この記事の結論
- 京大の数学では、大問を最後まで解ききることを「完答(1完)」、途中まで解いて部分点をもらうことを「半答(1半)」と呼び、「3完2半」のように数えます。理系は6題なので、医学部医学科は全完、ほかの理系学部は4完が目標の目安です。
- 本番は、最初の10分で6題を仕分け、解ける問題から解き、手が止まったら次へ。答案は方針・場合分け・結論をはっきり書き、白紙をつくらないことが合格への近道です。
京都大学(京大)の理系数学では、例年6題が出題されます(2026年度は150分・6題・素点200点)。年ごとの出題内容は「京大の理系数学 出題分析」に、文系は「京大の文系数学 出題分析」にまとめています。
この記事は、2008年に書いた「京大受験数学の極意」を、今の入試に合わせて書き直したものです。参考書や1年の勉強の進め方ではなく、試験会場での戦い方(数え方・目標・解く順番・時間配分・答案の書き方)に話をしぼっています。参考書の順番は「京大数学の参考書ロードマップ」、勉強法の全体像は「京大 数学 勉強法」をご覧ください。
京大 数学「完答」「半答」とは?「何完」の数え方
京大受験では、大問1つを完全に解ききることができれば【1完】(いちかん)と数えます。最後まで完答できなかったけれど、途中まで解いて部分点をもらえる問題を【半答】(はんとう)と数えます。「2完1半」なら、2題を解ききり、1題を途中まで解いたという意味です。
6題すべてを完答することは【全完】(ぜんかん)と呼びます。この数え方は京大受験生の間でよく使われる言い方で、大学が決めた用語ではありません。点数の目安として、この記事では完答を1、半答を0.5として数えます。
A君・B君・Cさんの答案で考える
A君・B君・Cさんの3人が、2009年度の京大入試の数学で次のような答案を出したとしましょう(A君とB君は京都大学工学部、Cさんは京都大学医学部を受験)。
| 第1問 | 第2問 | 第3問 | 第4問 | 第5問 | 第6問 | 数え方 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A君(工学部) | 完答 | 半答 | 半答 | 白紙 | 完答 | 完答 | 3完2半(さんかんにはん) |
| B君(工学部) | 完答 | 完答 | 無回答 | 無回答 | 完答 | 完答 | 4完(よんかん) |
| Cさん(医学部) | 完答 | 半答 | 完答 | 半答 | 完答 | 完答 | 4完2半(よんかんにはん) |
完答が3問、半答が2問のA君は【3完2半】です。半答を0.5問分と考えると「3+1=4問分」で、6問中4問分、つまり約67%の得点と考えます(2008年の元の記事では「66パーセント」と書いていましたが、4÷6=0.666…なので約67%に直しました)。
B君は4問を完答し、2問は無回答の【4完】でした。4問分なので、A君とB君の得点はほぼ同じぐらいと考えます。Cさんは4問完答・2問半答の【4完2半】で、5問分、約83%です。
ここで大事なのは、「3完2半」と「4完」がほぼ同じということです。1題を解ききれなくても、2題で途中まで書ければ、もう1題完答したのと同じくらいの力になります。半答の価値は、思っているより大きいのです。
京大入試のあとによく聞く会話
京大入試が終わったあと、京大のまわりでよく耳にする会話です。
A君:「数学何完(なんかん)やった?」
B君:「おれ、4完やった。君は?」
A君:「3完2半やった。Cさんは?」
Cさん:「私は4完2半だった」
A君・B君:「やっぱり医学部受験する人はすごいな~」
Cさん:「本当は全完(ぜんかん)狙ってたんだけど・・・・」
このように「何完何半」は、受験生どうしで出来ぐあいを伝え合う共通語になっています。受験掲示板「100点BBS」の「京都大学受験掲示板」でも、入試の当日には同じような言い方の書き込みが見られます。
うかるくん
「半答は0.5」って、本当に半分の点がもらえるんですか?
合格先生
そこは注意してほしい。京大は問題ごとの配点や採点基準を公表していないんだ。だから0.5は「出来ぐあいを数えるための目安」。途中までの議論がどれだけ正しいかで、点は多くも少なくもなるよ。
うかるくん
じゃあ、何を書けば点になるのかは分からないんですね…。
合格先生
手がかりはある。京大は毎年、数学の「出題意図」を公式サイトで公表していて、答えに至る論理性を評価すると書いている。つまり、筋道の通った途中経過を書くことが部分点への道なんだ。
京大 理系数学 何完で合格?学部別の目標の目安
京大医学部(医学科)の受験生は「全完」をねらう
京大医学部を受験する人は、Cさんのように【全完】(6問とも完答)をねらっていきましょう。悪くても4完2半は取りたいところです。医学部医学科は、2027年度入試では2次試験(個別学力検査)の数学が250点で、理科・外国語も各300点あります。ほかの受験生も高い点を取ってくるので、数学で大きく落とすと取り返すのが大変です。
工学部・理学部・農学部・薬学部などは「4完」が目標
医学部以外の理系学部、つまり京都大学工学部・理学部・農学部・薬学部・総合人間学部(理系)・医学部人間健康科学科・教育学部(理系)・経済学部(理系)の受験生は、4完を目指しましょう。3完2半や2完4半でも十分戦えます。悪くても2完2半は欲しいところです。
ただし、これは2008年に書いた筆者の目安で、今も考え方は変わりませんが、問題がやさしい年は求められる完答数が上がり、難しい年は下がります。また、200点の素点は学部ごとの配点に換算されます(2027年度は理学部・経済学部(理系)が300点、工学部・医学部医学科が250点など)。学部ごとの数学の重さは「京都大学の学部別 配点一覧」「京大受験は数学が重要!学部別の配点比率」、工学部は「京大工学部の配点」をご覧ください。経済学部(理系)と工学部で迷っている人には「京大経済学部と工学部どちらにするべきか?」も参考になります。
京大 数学 本番の解き方:最初の10分で6題を仕分ける
京大の数学は、問題文が短く、小問の誘導が少ない問題が多いのが特ちょうです。第1問から順番に解こうとして、1題目でつまずくと、そのまま時間を使いきってしまうことがあります。そこで、はじめの10分で6題すべてに目を通し、印をつけて仕分けます。
- ◎ すぐ方針が立つ:読んだだけで「この道具を使えばいける」と見える問題。最初に解いて、確実に完答します。
- ○ 時間をかければ解けそう:方針はなんとなく見えるが、計算が重い・場合分けが多い問題。◎のあとに取り組みます。
- △ 手が出ない:方針が見えない問題。最後に回し、小問(1)や具体例だけでも書いて部分点をねらいます。
仕分けのときは、問題を解きはじめないのがコツです。気になる問題があっても、印をつけて次へ進みます。全体を見てから解きはじめると、「この問題に何分使えるか」が見えて、あせりが減ります。
見た目の難しさにだまされない
京大の問題は、見た目が短くても難しいもの、反対に見た目がものものしくても方針がすぐ立つものがあります。整数・確率・図形などは、小さい数で試すと急に道が見えることも多いです。仕分けで△にした問題も、◎と○を解いたあとにもう一度読むと、方針が浮かぶことがあります。

合格先生
解く順番は自分で決めてよい。「第1問から順に」は京大ではいちばん危ない戦い方だ。過去問の練習のときから、最初の10分で仕分ける習慣をつけよう。
京大 数学 時間配分:150分・6題の使い方
理系数学は150分で6題なので、1題あたりの平均は25分です。しかし、実際には問題ごとに難しさがちがうので、平均どおりに配る必要はありません。下の図は、仕分けの結果に合わせた時間の使い方の一例です。
「撤退ルール」を決めておく
本番でいちばんこわいのは、1題に1時間以上使ってしまい、ほかの問題に手がつかなくなることです。そこで、手が止まって10分たったら、分かったところまで書いて次の問題へ、と決めておきます。答案の残りのスペースを空けておけば、あとで戻ってきて続きを書けます。
「あと少しで解けそう」と感じるときほど、時間は過ぎていきます。時計を見るタイミング(1題を解き終えるたびに)も決めておくと、使った時間に気づきやすくなります。
文系の数学は120分・5題
文系の数学は120分で5題です(2026年度)。1題あたりの平均は24分で、考え方は理系と同じです。最初の10分で仕分け、最後の10分を見直しに残します。文系の何完の目安は学部によってちがいますが、文系は数学で差がつきやすいので、完答1題と半答を積み重ねることを意識しましょう。
サクラちゃん
本番で、◎のつもりで解きはじめた問題が途中で解けなくなったらどうしよう…。頭が真っ白になりそうです。
合格先生
よくあることだよ。まず深呼吸して、その問題は○に格下げする。分かったところまで書いて、次の◎へ移ろう。ほかの問題を解いているうちに、ふっと方針が浮かぶことも多いんだ。
サクラちゃん
1問目でつまずいても、あせらなくていいんですね。
合格先生
そう。3完2半でも4完と同じくらいの力だったよね。1題のつまずきで合否は決まらない。むしろ、あせってほかの問題で計算ミスをするほうがこわいよ。
京大 数学 答案の書き方:記述式で部分点をとる
京大の数学はすべて記述式で、答えだけでなく、答えにたどり着くまでの筋道を書く試験です。京都大学が公表している数学の「出題意図」でも、論理性・計算力・数学的な直観・数学的な表現などの基礎学力を総合的に評価するとし、論述形式の解答を主体として、値を求める問題でも答えに至る論理性を評価するとしています。
① 方針を一言書く
計算に入る前に「(1)の結果を使って〜を示す」「a の値で場合分けする」と一言書きます。採点する人に道筋が伝わるだけでなく、自分の頭の整理にもなります。途中で止まっても、方針が正しければ評価される可能性があります。
② 文字の定義と条件をはっきりさせる
自分で文字を置くときは「点Pの座標を (p, q) とおく」「求める確率を Pn とする」のように必ず書きます。文字の範囲(正の整数、0以上など)もここで確かめます。用語の意味があいまいなときは「数学用語辞典」、公式は「算数・数学公式辞典」で確かめておきましょう。
③ 場合分けはもれなく、見出しをつける
整数や確率、文字を含む方程式の問題では、場合分けが答案の骨組みになります。「(i) a>0 のとき」「(ii) a=0 のとき」「(iii) a<0 のとき」のように見出しをつけ、すべての場合を調べたことが分かるように書きます。
④ 図をかく
図形・ベクトル・積分(面積や体積)の問題では、図をかいて条件を書きこみます。図があると、採点する人にも自分にも状況が伝わり、条件の見落としが減ります。
⑤ 結論をはっきり書く
最後は「以上より、求める値は〜である」「よって示された」と結論を書きます。答えに下線を引いたり枠で囲んだりすると、見直しのときにも見つけやすくなります。
京大 数学 部分点のとり方:白紙をつくらない
手が出ない△の問題でも、白紙で出すのはもったいないです。次の階段のどこかまで登れれば、半答になる可能性があります。
- 具体例で実験する:n=1, 2, 3 のときを計算する、図をかいて特別な場合を調べる。規則が見えれば、それを方針として書けます。
- 小問(1)を完答する:小問に分かれている問題では、(1)は(2)への手がかり(誘導)になっていることが多く、比較的取りやすい部分です。
- 方針と途中の結果を書く:「〜を示せれば結論が出る」と書き、示せたところまでを書きます。示せなかった部分は「〜が成り立つとすると」とはっきり分けて書きましょう。
ただし、まちがっていると自分で分かっていることを書いて、ごまかすのは逆効果です。論理のつながっていない式を並べても点にはなりにくく、正しい部分まで読みにくくなります。分かったことを、分かった範囲で、正直に書くのがいちばんです。
京大 数学 見直しのコツ:最後の10分でやること
時間のない見直しでは、答案を最初から読み直すより、答えが正しいかを別の方向から確かめるほうが効果があります。たとえば一般の n で求めた式に n=1 を代入して、具体的に計算した値と合うかを見ます。合わなければ、どこかでミスをしています。
また、問題文の条件(「異なる」「正の整数」「0<x<π」など)を、答案のどこで使ったかを指でたどります。使っていない条件があれば、答えか議論のどこかがおかしいサインです。
京大 数学 過去問で「本番の練習」をする
ここまでの解き方は、本番でいきなりできるものではありません。過去問を使って150分を通して解く練習をし、毎回「何完何半だったか」を記録しましょう。
- 本番と同じ150分で、最初の10分の仕分けから見直しまで通してやる。
- 終わったら、問題ごとに完答・半答・白紙を自分で判定し、表にする。
- △にした問題は、解答を読んだあと「どの段まで書けたはずか」を考え、部分点の階段を確かめる。
- 時間配分の失敗(1題に使いすぎた、見直しの時間がなかった)もメモしておく。
過去問を始める時期や、何年分やるかは「京大受験は数学が重要!」「京大数学の参考書ロードマップ」で、過去問が難しすぎると感じるときの問題集の選び方は「京大数学の2次試験対策と高2の勉強法」でくわしく書いています。過去問の前に基本の解法を固める段階なら「京大理系数学のおすすめ参考書と勉強法」「青チャートと1対1対応の演習はいつまでに終わらせる?」が参考になります。

うかるくん
最初の10分で仕分けて、手が止まったら10分で撤退、白紙はつくらない! 次の過去問から、何完何半かを記録してみます。
まとめ:京大数学の極意は「解く順番」と「白紙をつくらない」こと
- 大問を解ききれば完答、途中まで書けば半答。「3完2半」と「4完」はほぼ同じくらいの力。
- 医学部医学科は全完(悪くても4完2半)、ほかの理系学部は4完(3完2半・2完4半でも戦える。悪くても2完2半)が目安。
- 最初の10分で6題を◎○△に仕分け、◎から解く。手が止まって10分なら次へ。
- 答案は方針・文字の定義・場合分け・図・結論。京大は答えに至る論理性を評価する。
- △の問題も、具体例・小問(1)・方針と途中結果で部分点の階段を1段でも上がる。
京大合格をめざす作戦全体は「私の京大合格作戦」、数学の公式や用語の一覧は「数学まとめ」にあります。京大入試の当日のようすは「京大入試一日目終了」、試験の時間割は「京大入試の時間割」をご覧ください。勉強の進め方で迷ったら「受験の質問・相談」からどうぞ。
ほかの京大受験の記事は「京大合格大作戦」、京大受験の参考書は「京大参考書」にまとめています。
※試験時間・題数・素点は2026年度の京大入試の記録、学部別の配点は令和9年度(2027年度)京都大学入学者選抜要項によります。「何完」の目標・時間配分・撤退ルールは、筆者の京大受験指導の経験にもとづく目安です。京大は問題ごとの配点・採点基準を公表していません。
よくある質問
京大数学の「完答」「半答」とは何ですか?
大問を最後まで解ききることを完答(1完)、途中まで解いて部分点をもらうことを半答と呼びます。受験生の間の言い方で、「3完2半」のように数えます。
京大理系数学は何完すれば合格できますか?
筆者の目安では、医学部医学科は全完(悪くても4完2半)、ほかの理系学部は4完(3完2半や2完4半でも戦える、悪くても2完2半)です。年ごとの難しさで変わります。
京大理系数学の試験時間と問題数は?
2026年度は150分で大問6題、素点200点でした。文系は120分で5題、素点150点です。素点は学部ごとの配点に換算されます。
京大数学の時間配分はどうすればいいですか?
最初の10分で全問を見て解く順番を決め、解けそうな問題から解きます。手が止まって10分たったら次へ移り、最後の10分前後は見直しに残すのがおすすめです。
京大数学で部分点はもらえますか?
問題ごとの配点や採点基準は公表されていません。ただし京大は出題意図で答えに至る論理性を評価するとしており、筋道の通った途中経過を書くことが大切です。











