徒然草「世に従はん人は」(第155段)原文と現代語訳・文法|世に従はん人はまづ機嫌を知るべし(死期はついでを待たず)

ミスターT先生

第155段

徒然草の「世に従はん人は、まづ機嫌を知るべし」から始まる段(「世に従はん人は」・第155段)を、全文・現代語訳・文法でいっしょに読みます。世の中のことには時機があるけれど、死だけは順番を待たずにやって来る。徒然草の無常観がもっともはっきり書かれた段の一つです。

解説:ミスターT先生(京都大学文学部出身の古文の先生。合格大作戦のキャラクターの合格先生に古典を叩き込んだ師匠)

この段を30秒で(あらすじと要点)

  • 兼好の主張:世の中のことは時機(機嫌)を見はからうべきだが、病・出産・死だけは時機を待ってくれない。だから、必ずやりとげたいことは、時機を言わずにすぐ始めよ。四季は重なりながらも決まった順序で移るが、死期は順序を待たず、気づかないうちに背後にせまっている。
  • 文法の要点:古今異義語「機嫌」(時機)、「べし」の当然・「べからず」「まじき」、存続の「り」(定まれる・迫れり)、断定「なり」の連用形「に」(来るにはあらず)、比況の「ごとし」。
  • テストの定番:教科書の定番ではないが、「四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず」の意味、木の葉と潮のたとえが何を表すかがよく問われる。
うかるくん
うかるくん
T先生、「機嫌を知るべし」って、「人の機嫌をうかがえ」ってことですか?
ミスターT先生
ミスターT先生
いきなりワナにはまったな。古文の「機嫌」は時機・しおどきや。「世の中で生きていくなら、まずタイミングを知れ」という意味やで。
合格先生
合格先生
でもこの段は、そこから話がひっくり返るんです。T先生は「この段はただしからが本番や」と、いつも赤ペンで丸をつけさせていました。

この段で覚える文法(テストに出る順)

  1. 古今異義語機嫌=時機(今の「気分」ではない)
  2. 四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず
  3. 存続のり(定まれる・迫れり)
  4. べからず・まじき=〜してはならない
  5. 断定のに(来るにはあらず)と比況のごとし

「世に従はん人は」はどんな段?(無常観と「今すぐ始めよ」)

第155段は、徒然草の無常観(この世のすべては移り変わり、とどまらないという考え)が、もっともはっきりした形で書かれた段の一つです。前半では「世の中のことには時機がある」と、ふつうの処世の知恵を述べます。ところが「ただし」から、病・出産・死だけは時機を待ってくれない、と話が大きく転換します。

そのあとは、季節と草木のたとえです。夏は春が終わってから来るのではなく、春のうちから夏の気配が始まっている。木の葉は、新しい芽に押されて落ちる。移り変わりは、目に見えないところでもう始まっているのです。そして「四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず」と、四季よりもさらに速く、順序もなくやって来る死について述べ、最後は「沖の干潟」と「磯から満ちる潮」のたとえでしめくくります。

「やりとげたいことは時機を待たずに始めよ」という主張は、「一つのことを成しとげたいなら、ほかを捨てよ」と説く徒然草第188段「一事を必ずなさんと思はば」の意味と現代語訳とも通じています。

1. 機嫌を知れ 世の中のことは時機が大事 2. ただし 病・出産・死は時機を待たない 3. 今すぐ始めよ やりとげたい事は機嫌を言うな 4. 季節のたとえ 春のうちにもう夏が始まる 5. 死期は待たず 四季には順序死には順序なし 6. 潮のたとえ 死は後ろから磯から満ちる
図1 徒然草「世に従はん人は」の流れ(6つの場面・ことがら)

本文と現代語訳・文法(1文ずつ)

色の見方:過去 完了・存続 推量・推定・意志 使役・受身・尊敬 断定 打消 敬語 係りの語 結びの語(色の語にふれると説明が出ます)

1

世に従はん人は、まづ機嫌を知るべし。

現代語訳世の中の流れに合わせて生きていこうとする人は、まず物事の時機を知らなければならない。

2

ついで悪しき事は、人の耳にも逆ひ、心にもたがひて、その事成らず。さやうの折節を心得べきなり。

現代語訳順序(タイミング)の悪いことは、人の耳にもさからい、気持ちにも合わなくて、そのことはうまくいかない。そういう時機をよく心得なければならないのである。

  • 「ついで」は「順序・時機」。「ついで悪しき事」は「タイミングの悪いこと」。
  • 「逆ふ(さかふ)」は「さからう」、「たがふ」は「くいちがう・合わない」。
  • 「折節」は「その時・時機」。ここまでが、ふつうの世の中のことについての話。

3

ただし、病を受け、子生み、死ぬる事のみ、機嫌をはからず、ついで悪しとてやむことなし。

現代語訳ただし、病気になること、子を産むこと、死ぬことだけは、時機を考えてはくれず、順序が悪いからといってやめになることはない。

  • 「ただし」から話が大きく転換する。病・出産・死だけは、人の都合を待ってくれない。
  • 「死ぬる」はナ行変格活用の動詞「死ぬ」の連体形。ナ変は「死ぬ」「往(い)ぬ」の二語だけ。
サクラちゃん
サクラちゃん
病気や死はともかく、「子生み」も入ってるんですね。
ミスターT先生
ミスターT先生
そうや。赤ちゃんは「今は都合が悪いから、来週にして」とはいかへん。病・出産・死、どれも人の都合を待たずにやって来るもの、という点で同じなんや。

4

生・住・異・滅の移り変はる、まことの大事は、猛き川のみなぎり流るるがごとし。しばしもとどこほらず、ただちに行ひゆくものなり。

現代語訳生まれ、とどまり、変わり、滅びるという、移り変わっていく本当に大切なことは、勢いの強い川があふれんばかりに流れるようなものである。少しの間もとどまらず、まっすぐに進んでいくものである。

  • 「生・住・異・滅」は仏教の言葉で、すべてのものが生まれ、とどまり、変化し、滅びるという四つのすがた。徒然草の無常観(すべては移り変わる)の中心にある考え。
  • 「ごとし」は比況の助動詞で「〜のようだ」。→比況の助動詞「ごとし」
  • 「猛き川のみなぎり流るる」は、移り変わりが止められないことを、激しい川の流れにたとえている。
うかるくん
うかるくん
「生・住・異・滅」って、急にむずかしい言葉が出てきました。
ミスターT先生
ミスターT先生
仏教の言葉で、生まれて、とどまって、変わって、滅びる。人も物も、ぜんぶこの流れの中にある。それを「猛き川」にたとえてるんや。川の流れは手で止められへんやろ。

5

されば、真俗につけて、必ず果たし遂げんと思はん事は、機嫌を言ふべからず。とかくの用意なく、足を踏みとどむまじきなり。

現代語訳だから、仏道のことでも世俗のことでも、必ずやりとげようと思うことは、時機を問題にしてはならない。あれこれと準備などせずに、足を止めてはならないのである。

  • 「べからず」は〜してはならない(禁止に近い当然の打消)、「まじき」は打消当然の「まじ」の連体形で〜してはならない。→助動詞「まじ」の意味(打消推量・打消当然)
  • 「真俗」は「真諦と俗諦」で、仏道のことと世俗のこと。つまり「どんなことでも」。
  • ここがこの段の主張の中心。「いつかやろう」と時機を待っていると、その前に死が来てしまうかもしれない、という考え。
合格先生
合格先生
「必ず果たし遂げんと思はん事は、機嫌を言ふべからず」。受験生のころ、T先生にこの一文を書いた紙を渡されました。「明日からやるは、やらんのと同じや」と。
ミスターT先生
ミスターT先生
そんなこと言うたかな。けど、本気でやりたいことほど「準備ができたら」と先のばしにしがちや。兼好は準備なんかせんでええから、足を止めるなと言うてる。

6

春暮れてのち夏になり、夏果てて秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気をもよほし、夏より既に秋は通ひ、秋はすなはち寒くなり、十月は小春の天気、草も青くなり、梅もつぼみぬ。

現代語訳春が終わってから夏になり、夏が終わってから秋が来るのではない。春はそのまま夏の気配をきざし、夏のうちから早くも秋の気配は通い、秋はすぐに寒くなり、十月は小春のおだやかな天気で、草も青くなり、梅もつぼみをつけた。

  • 「来るにはあらず」の「に」は断定「なり」の連用形(「〜である」の「で」)。「にはあらず」で「〜のではない」。→「に」の識別(断定・格助詞・接続助詞)
  • 「やがて」は「そのまま・すぐに」。季節は一つずつ交代するのではなく、前の季節の中に次の季節がもう始まっている、という観察。
  • 「十月」は旧暦の十月(今の十一月ごろ)。「小春」はそのころの春のようにおだやかな天気。
サクラちゃん
サクラちゃん
春のうちに夏が始まってる、って、なんか分かります。五月なのにもう暑い日がありますもん。
ミスターT先生
ミスターT先生
ええ感覚や。季節は、ある日パッと切りかわるんやない。前の季節の中に、次の季節がもう入りこんでる。兼好はそれをよう見てるんやな。

7

木の葉の落つるも、まづ落ちて芽ぐむにはあらず。下よりきざしつはるに堪へずして落つるなり。

現代語訳木の葉が落ちるのも、まず落ちてから芽が出るのではない。下から(新しい芽が)きざしてふくらんでくる力にこらえきれずに落ちるのである。

  • 「芽ぐむ」は「芽を出す」、「つはる」は「芽がふくらむ」。
  • 古い葉が落ちてから新しい芽が出るのではなく、新しい芽に押し出されて古い葉が落ちる。移り変わりは目に見えないところで、もう始まっている。

8

迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとるついで甚だ速し。

現代語訳(次のものを)迎える気が、下にもう用意されているので、待ち受けて入れかわる順序は、とても速い。

  • 「設く」は「準備する・用意する」。「待ちとる」は「待ち受けて受けとる」。
  • 季節や草木のたとえは、次の「死」の話への前置きになっている。

9

生・老・病・死の移り来る事、またこれに過ぎたり。四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず。

現代語訳生まれ、老い、病み、死ぬという移り変わりがやって来ることは、またこれ(四季の移り変わり)以上に速い。四季にはそれでも決まった順序がある。死ぬ時は順序を待たない。

  • 「生・老・病・死」は仏教でいう四苦。人が生きるうえでさけられない四つの苦しみ。
  • 「定まれる」の「る」は、四段動詞「定まる」の已然形「定まれ」についた存続「り」の連体形。→完了・存続の助動詞「たり・り」(サ未四已)
  • 「四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず」は、この段でいちばん有名な一文。
うかるくん
うかるくん
「四季はなほ定まれるついであり」の「る」は、受身ですか?
ミスターT先生
ミスターT先生
「定まれ」は四段動詞「定まる」の已然形、e の音や。e の音+「る」は存続「り」の連体形。次の「迫れり」の「り」も同じ存続「り」の終止形。ここ、テストに出るで!

10

死は前よりしも来たらず、かねて後ろに迫れり。

現代語訳死は前からやって来るとはかぎらず、前もって背後にせまっている。

  • 「しも」は強めの副助詞。「前よりしも〜ず」で「必ずしも前から〜とはかぎらない」。
  • 「かねて」は「前もって・あらかじめ」。死は向こうから見えるようにやって来るのではなく、気づかないうちに後ろに来ている。

11

人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来たる。沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるがごとし。

現代語訳人はみな死があることを知っていて、(それを)待つ気持ちがそれほどさしせまっていないうちに、(死は)思いがけずやって来る。(それは)沖の干潟は遠くまで続いているのに、(足もとの)磯のほうから潮が満ちてくるようなものである。

  • 「覚えずして」は「思いがけず・知らないうちに」。
  • 最後のたとえ:潮は沖のほうから満ちてくると思っていると、じつは足もとの磯のほうから満ちてくる。死も、遠くのことだと思っているうちに、すぐそばまで来ている。
  • 「遥かなれども」の「なれ」は形容動詞「遥かなり」の已然形。
サクラちゃん
サクラちゃん
「磯より潮の満つる」って、ちょっとこわいです…。
ミスターT先生
ミスターT先生
沖のほうばっかり見てたら、足もとから水が来てた。死は遠くのことやと思ってるうちに、すぐそばに来てる、というたとえや。こわがらせたいんやなくて、だから今を大事にせえ、というのが兼好の言いたいことやと思うで。

四季と死期のちがい・潮のたとえを図で見る

四季は重なりながら、決まった順に移る 春 夏 秋 冬 前の季節の中に次の季節がもう始まる 死期はついでを待たず、後ろに迫る 沖の干潟は遥か(死はまだ遠いと思う) 人 前を見る 磯から潮が満ちる(死は後ろから来る)
図2 「四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず」と、潮のたとえ
ミスターT先生
ミスターT先生
四季は重なりながらも順番どおり。死は順番なし、しかも後ろから。この対比がつかめたら、この段は読めたも同然や。

重要な古語(単語帳)

古語読み意味
機嫌きげん時機・しおどき
ついで(序)ついで順序・時機
折節おりふしその時・時機
たがふたがうくいちがう・合わない
生・住・異・滅しょう・じゅう・い・めつ生まれ、とどまり、変化し、滅びること(仏教語)
猛したけし勢いが強い・勇ましい
真俗しんぞく仏道のことと世俗のこと
やがてやがてそのまま・すぐに
もよほすもよおすきざす・引き起こす
小春こはる旧暦十月ごろの、春のようにおだやかな天気
芽ぐむめぐむ芽を出す
つはるつわる芽がふくらむ・きざす
死期しご死ぬ時
かねてかねて前もって・あらかじめ
覚えずおぼえず思いがけず・知らないうちに

テストに出る問題(答えは押すと開く)

問1 「まづ機嫌を知るべし」の「機嫌」の意味は?

時機・しおどき(物事をするのにちょうどよい時)。今の「気分」の意味ではない。

問2 時機を考えずにやってくるものとして、兼好が挙げた三つは何?

病(病気になること)、子生み(出産)、死ぬこと。

問3 「生・住・異・滅」とはどういう意味か。

すべてのものが生まれ、とどまり、変化し、滅びるという四つのすがた(仏教の言葉)。

問4 「必ず果たし遂げんと思はん事は、機嫌を言ふべからず」を現代語訳しなさい。

必ずやりとげようと思うことは、時機を問題にしてはならない。

問5 兼好は、四季と死期のちがいをどう述べているか。本文の言葉で答えなさい。

「四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず。」

問6 「定まれる」の「る」と「迫れり」の「り」の文法的説明をしなさい。

どちらも存続の助動詞「り」。「る」は連体形、「り」は終止形。四段動詞の已然形(定まれ・迫れ)についている。

問7 「木の葉の落つるも、まづ落ちて芽ぐむにはあらず」は、どういうことを言っているか。

古い葉が落ちてから新しい芽が出るのではなく、下から出てくる新しい芽に押されて古い葉が落ちる。移り変わりはすでに始まっている、ということ。

問8 「沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるがごとし」は何をたとえているか。

死はまだ遠いと思っているうちに、思いがけず身近なところからやって来ること。

うかるくん
うかるくん
「機嫌」は時機! それと、「明日からやる」はやめて、今日から単語を覚えます。

徒然草「世に従はん人は」原文(全文・通し)

1文ずつ区切らずに、原文を通して読みたい人・音読したい人のための全文です。

世に従はん人は、まづ機嫌を知るべし。

ついで悪しき事は、人の耳にも逆ひ、心にもたがひて、その事成らず。さやうの折節を心得べきなり。

ただし、病を受け、子生み、死ぬる事のみ、機嫌をはからず、ついで悪しとてやむことなし。

生・住・異・滅の移り変はる、まことの大事は、猛き川のみなぎり流るるがごとし。しばしもとどこほらず、ただちに行ひゆくものなり。

されば、真俗につけて、必ず果たし遂げんと思はん事は、機嫌を言ふべからず。とかくの用意なく、足を踏みとどむまじきなり。

春暮れてのち夏になり、夏果てて秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気をもよほし、夏より既に秋は通ひ、秋はすなはち寒くなり、十月は小春の天気、草も青くなり、梅もつぼみぬ。

木の葉の落つるも、まづ落ちて芽ぐむにはあらず。下よりきざしつはるに堪へずして落つるなり。

迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとるついで甚だ速し。

生・老・病・死の移り来る事、またこれに過ぎたり。四季はなほ定まれるついであり。死期はついでを待たず。

死は前よりしも来たらず、かねて後ろに迫れり。

人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来たる。沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるがごとし。

徒然草「世に従はん人は」現代語訳(全文・通し)

世の中の流れに合わせて生きていこうとする人は、まず物事の時機を知らなければならない。

順序(タイミング)の悪いことは、人の耳にもさからい、気持ちにも合わなくて、そのことはうまくいかない。そういう時機をよく心得なければならないのである。

ただし、病気になること、子を産むこと、死ぬことだけは、時機を考えてはくれず、順序が悪いからといってやめになることはない。

生まれ、とどまり、変わり、滅びるという、移り変わっていく本当に大切なことは、勢いの強い川があふれんばかりに流れるようなものである。少しの間もとどまらず、まっすぐに進んでいくものである。

だから、仏道のことでも世俗のことでも、必ずやりとげようと思うことは、時機を問題にしてはならない。あれこれと準備などせずに、足を止めてはならないのである。

春が終わってから夏になり、夏が終わってから秋が来るのではない。春はそのまま夏の気配をきざし、夏のうちから早くも秋の気配は通い、秋はすぐに寒くなり、十月は小春のおだやかな天気で、草も青くなり、梅もつぼみをつけた。

木の葉が落ちるのも、まず落ちてから芽が出るのではない。下から(新しい芽が)きざしてふくらんでくる力にこらえきれずに落ちるのである。

(次のものを)迎える気が、下にもう用意されているので、待ち受けて入れかわる順序は、とても速い。

生まれ、老い、病み、死ぬという移り変わりがやって来ることは、またこれ(四季の移り変わり)以上に速い。四季にはそれでも決まった順序がある。死ぬ時は順序を待たない。

死は前からやって来るとはかぎらず、前もって背後にせまっている。

人はみな死があることを知っていて、(それを)待つ気持ちがそれほどさしせまっていないうちに、(死は)思いがけずやって来る。(それは)沖の干潟は遠くまで続いているのに、(足もとの)磯のほうから潮が満ちてくるようなものである。

徒然草「世に従はん人は」原文と現代語訳の印刷用ページ(A4・左右に並べて)

よくある質問(徒然草の基本)

徒然草の作者は誰?

兼好法師(吉田兼好・卜部兼好)です。もとは朝廷に仕えた役人で、のちに出家しました。歌人としても知られます。

徒然草はいつの作品?

鎌倉時代の終わりごろ、1330年ごろにまとめられたとする説が有力ですが、諸説あります。

徒然草の冒頭(書き出し)は?

序段の「つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」です。

徒然草はどんな作品?

序段と243の段からなる随筆で、清少納言『枕草子』、鴨長明『方丈記』と並ぶ三大随筆の一つです。無常観(すべては移り変わるという考え)、人の生き方、季節の趣、おもしろい失敗談など、話題はさまざまです。

徒然草の目次(教科書に出る段)

徒然草の入口(教科書に出る段の一覧・作者兼好法師と無常観) 「定番」は教科書によく出る段です。

ミスターT先生
ミスターT先生
次は「相模守時頼の母は」。鎌倉幕府の執権・北条時頼のお母さんが、障子の破れを一こまずつ自分で張りかえた話や。そのわけに、きっと感心するで。お楽しみに!

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本文は『徒然草』を、教科書で広く読まれる形にそろえ、新字体・歴史的仮名遣いに直したものです(参考にした古い本:Wikisource の徒然草、大正の『校註日本文學大系』)。徒然草は本によって語句が少しずつちがいます。段の番号は広く使われている番号(序段と第1〜243段)です。現代語訳・解説・問題・図は合格大作戦のオリジナルです。挿絵は著作権の切れた古い絵です(それぞれの絵の下に出典)。文法の用語は合格大作戦の古文文法辞典に合わせています。