徒然草「つれづれなるままに」(序段)原文と現代語訳・文法|つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて(係り結び・古今異義語)

ミスターT先生

定番 教科書によく出る定番の段 序段

徒然草の書き出し「つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて」(序段)を、全文・現代語訳・文法でいっしょに読みます。

解説:ミスターT先生(京都大学文学部出身の古文の先生。合格大作戦のキャラクターの合格先生に古典を叩き込んだ師匠)

この段を30秒で(あらすじと要点)

  • あらすじ:兼好法師が、することもなく退屈なまま一日じゅう硯に向かい、心に浮かぶとりとめのないことを書きつけていると、妙に気がおかしくなるような気持ちになる、と書く理由を語る。徒然草の書き出し。
  • 文法の要点:係り結び「こそ〜ものぐるほしけれ(已然形)」、ウ音便「あやしう」、已然形+「ば」の確定条件「書きつくれば」。
  • テストの定番:教科書によく出る冒頭。「つれづれなり」=退屈だ・手持ちぶさただ、「日暮らし」=一日じゅう、「よしなしごと」=とりとめもないこと。暗唱もよく求められる。
うかるくん
うかるくん
T先生、「つれづれなるままに」って、聞いたことはあります。でも、どういう意味かは知らないです……。
ミスターT先生
ミスターT先生
それでええ。今日から分かるようになる。これは徒然草の書き出し(序段)で、教科書・テストによく出る定番中の定番や。たった1文やけど、大事な古語がぎっしり詰まってるで。
合格先生
合格先生
わたしは高校生のとき、T先生に「序段は声に出して10回読め。意味はあとからついてくる」と言われました。今でもすらすら言えます。

この段で覚える文法(テストに出る順)

  1. 古今異義語つれづれなり=することがなく退屈だ(作品名のもと)
  2. 日暮らし=一日じゅう、よしなしごと=とりとめもないこと
  3. 係り結びこそ〜ものぐるほしけれ(已然形)
  4. ウ音便あやしう(←あやしく)
  5. 已然形+ば=確定条件(書きつくれば=書きつけていると)

序段はどんな段?(徒然草の書き出し・作者兼好法師)

序段は、徒然草の書き出しにあたる短い文章です。作者の兼好法師(吉田兼好)は、鎌倉時代の終わりから南北朝時代の人で、若いころは朝廷に仕える役人でしたが、のちに出家しました。歌人としても知られています。

序段では、「退屈なので、心に浮かぶことを書きつけた」と、この本を書いた理由をさらりと述べています。「よしなしごと(とりとめもないこと)」と、自分の文章をへりくだって言っているのもポイントです。実際の徒然草には、人の生き方、無常(すべては移り変わること)、季節の趣、おもしろい失敗談など、いろいろな話題が243の段に書かれています。

最後の「あやしうこそものぐるほしけれ」は、「書いているうちに、自分でも妙なほど心がたかぶってくる」という気持ちだと読むのが一般的ですが、どんな気持ちを表すのかについては、いくつかの読み方があります。

※手元の古い本では「心に移り行く」「怪しう」「物狂ほし」と漢字で書かれていますが、ここでは教科書でよく見る「うつりゆく」「あやしう」「ものぐるほし」の形にしました。

1. 退屈なまま することもなくつれづれなるままに 2. 一日じゅう 日暮らし朝から晩まで 3. 硯に向かう 筆をとって書く用意 4. 心に浮かぶ うつりゆくよしなしごと 5. 書きつける そこはかとなくあてもなく 6. 妙な気持ち あやしうこそものぐるほしけれ
図1 徒然草「つれづれなるままに(序段)」の流れ(6つの場面・ことがら)

本文と現代語訳・文法(1文ずつ)

色の見方:過去 完了・存続 推量・推定・意志 使役・受身・尊敬 断定 打消 敬語 係りの語 結びの語(色の語にふれると説明が出ます)

1

つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、

現代語訳することもなく退屈なのにまかせて、一日じゅう、硯に向かって、

サクラちゃん
サクラちゃん
「つれづれ」って、今だと「つれづれなるままに書いたブログ」みたいに、「気ままに」って意味で使いますよね?
ミスターT先生
ミスターT先生
そこがワナや。古文の「つれづれなり」は「することがなくて退屈」。気ままに、ではなく、ひまで手持ちぶさたな状態のことや。ここ、テストに出るで!
机に向かって筆をとる兼好法師(徒然草の古い絵)
机に向かって筆をとる兼好法師
出典:歌川広重「兼好法師」(1840年代の摺物、チェスター・ビーティー図書館、Wikimedia Commons)

2

心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、

現代語訳心に浮かんでは消えていく、とりとめもないことを、とくに何というあてもなく書きつけていると、

  • 「よしなしごと」は「つまらないこと・とりとめのないこと」。兼好が自分の文章をへりくだって言っている。
  • 「そこはかとなく」は「どこがどうというはっきりしたあてもなく・なんとなく」。
  • 「書きつくれば」は、カ行下二段動詞「書きつく」の已然形+「ば」で、確定条件(〜すると・〜していると)。「つくれ」は動詞の一部で、完了の助動詞「つ」ではない。→接続助詞「ば」(未然形+ば・已然形+ば)
うかるくん
うかるくん
「書きつくれば」の「つくれ」って、完了の「つ」じゃないんですか?
ミスターT先生
ミスターT先生
ええ質問や。「書きつく」で一つの動詞(カ行下二段)なんや。「つくれ」はその已然形で、助動詞やない。已然形に「ば」がついて「書きつけていると」になる。

3

あやしうこそものぐるほしけれ。

現代語訳(自分でも)不思議なほど、気がおかしくなるような感じがする。

  • 係り結び:係助詞「こそ」があるので、文末の形容詞「ものぐるほし」が已然形「ものぐるほしけれ」になる。→係り結びとは?ぞ・なむ・や・か・こそと結びの形
  • 「あやしう」は「あやしく」のウ音便。「あやし」はここでは「不思議だ・妙だ」。→古文の音便(イ音便・ウ音便)
  • 「ものぐるほし」は「気がおかしくなりそうだ・正気でないようだ」。書いているうちに、妙に心がたかぶって、われを忘れるような気持ちになることを言う。
合格先生
合格先生
T先生は「最後の『こそ』を見たら、文末に『え』の音が来るのを確かめろ」とよく言っていました。「ものぐるほしけれ」の「け」ですね。
サクラちゃん
サクラちゃん
「こそ」は已然形! これ、覚え方があると楽ですね。

係り結び「こそ〜ものぐるほしけれ」を図で確かめる

序段の最後の一文 あやしう こそ ものぐるほし けれ 。 「こそ」を受けて已然形で結ぶ ぞ・なむ・や・か → 文末は連体形 (例)ものぐるほしき こそ → 文末は已然形 (例)ものぐるほしけれ
図2 序段の係り結び「こそ〜ものぐるほしけれ」(こそは已然形で結ぶ)
ミスターT先生
ミスターT先生
「ぞ・なむ・や・か」は連体形、「こそ」は已然形。序段の1文で係り結びのいちばん大事なところが覚えられるんや。お得やろ?

重要な古語(単語帳)

古語読み意味
つれづれなりつれづれなりすることがなく退屈だ・手持ちぶさただ
日暮らしひぐらし一日じゅう・朝から晩まで
硯すずり墨をする道具
うつりゆくうつりゆく次々に移っていく・浮かんでは消える
よしなしごとよしなしごとつまらないこと・とりとめもないこと
そこはかとなしそこはかとなしはっきりしたあてもない・なんとなく
書きつくかきつく書きつける・書きとめる
あやしあやし不思議だ・妙だ(身分が低い、の意味もある)
ものぐるほしものぐるおし気がおかしくなりそうだ・正気でないようだ
ままにままに〜にまかせて・〜のとおりに

テストに出る問題(答えは押すと開く)

問1 「つれづれなるままに」の「つれづれなり」の意味は?

「することがなく退屈だ・手持ちぶさただ」。

問2 「日暮らし」の意味を答えなさい。

「一日じゅう・朝から晩まで」。

問3 「よしなしごと」とはどんなことか。

つまらない、とりとめのないこと。兼好が自分の書くものをへりくだって言っている。

問4 「書きつくれば」の「ば」は、仮定条件と確定条件のどちらか。理由も答えなさい。

確定条件。「書きつくれ」が已然形で、已然形+「ば」は確定条件(〜すると・〜していると)になるから。

問5 「あやしうこそものぐるほしけれ」で、係り結びになっている語を答え、結びの活用形を答えなさい。

係助詞「こそ」と「ものぐるほしけれ」。結びは已然形。

問6 「あやしう」は何という音便か。もとの形も答えなさい。

ウ音便。もとの形は「あやしく」。

問7 徒然草の作者と、同じく「三大随筆」とよばれる作品を二つ答えなさい。

作者は兼好法師(吉田兼好)。三大随筆のほかの二つは、清少納言『枕草子』と鴨長明『方丈記』。

うかるくん
うかるくん
たった1文なのに、古今異義語も係り結びも音便も入ってました! もう「つれづれ」はまちがえません。

徒然草「つれづれなるままに(序段)」原文(全文・通し)

1文ずつ区切らずに、原文を通して読みたい人・音読したい人のための全文です。

つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、

心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、

あやしうこそものぐるほしけれ。

徒然草「つれづれなるままに(序段)」現代語訳(全文・通し)

することもなく退屈なのにまかせて、一日じゅう、硯に向かって、

心に浮かんでは消えていく、とりとめもないことを、とくに何というあてもなく書きつけていると、

(自分でも)不思議なほど、気がおかしくなるような感じがする。

徒然草「つれづれなるままに(序段)」原文と現代語訳の印刷用ページ(A4・左右に並べて)

よくある質問(徒然草の基本)

徒然草の作者は誰?

兼好法師(吉田兼好・卜部兼好)です。もとは朝廷に仕えた役人で、のちに出家しました。歌人としても知られます。

徒然草はいつの作品?

鎌倉時代の終わりごろ、1330年ごろにまとめられたとする説が有力ですが、諸説あります。

徒然草の冒頭(書き出し)は?

序段の「つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」です。

徒然草はどんな作品?

序段と243の段からなる随筆で、清少納言『枕草子』、鴨長明『方丈記』と並ぶ三大随筆の一つです。無常観(すべては移り変わるという考え)、人の生き方、季節の趣、おもしろい失敗談など、話題はさまざまです。

徒然草の目次(教科書に出る段)

徒然草の入口(教科書に出る段の一覧・作者兼好法師と無常観) 「定番」は教科書によく出る段です。

ミスターT先生
ミスターT先生
次は第7段「あだし野の露消ゆる時なく」。人の命ははかないからこそ味わい深いという、徒然草の無常観がはっきり出る段や。兼好のちょっと過激なひとことにも注目やで。お楽しみに!

あわせて読みたい古文のページ

本文は『徒然草』を、教科書で広く読まれる形にそろえ、新字体・歴史的仮名遣いに直したものです(参考にした古い本:Wikisource の徒然草、大正の『校註日本文學大系』)。徒然草は本によって語句が少しずつちがいます。段の番号は広く使われている番号(序段と第1〜243段)です。現代語訳・解説・問題・図は合格大作戦のオリジナルです。挿絵は著作権の切れた古い絵です(それぞれの絵の下に出典)。文法の用語は合格大作戦の古文文法辞典に合わせています。