
定番 教科書によく出る定番の段 類聚章段
枕草子の「木の花は、濃きも薄きも紅梅」で始まる段(「木の花は」)を、全文・現代語訳・文法でいっしょに読みます。花の名前の読みと今の名前も説明します。
解説:ミスターT先生(京都大学文学部出身の古文の先生。合格大作戦のキャラクターの合格先生に古典を叩き込んだ師匠)
この段を30秒で(あらすじと要点)
- あらすじ:作者が好きな木の花を挙げる。紅梅・桜・藤をほめ、橘は白い花と黄金の実、ほととぎすとの縁でたたえる。日本では興ざめとされる梨の花も、白居易「長恨歌」で楊貴妃の涙にたとえられたことから見直し、桐は鳳凰と琴、楝は端午の節句と結びつけて語る。
- 文法の要点:係り結び(こそ…ためれ/やは…ある/こそ…めでたけれ)、結びの省略(にや)、ためれ(存続たり+推定めり)、打消推量のじ、現在推量のらむ。
- テストの定番:教科書によく出る段。「すさまじ」=興ざめだ、「めでたし」=すばらしい、「梨花一枝春帯雨」=白居易「長恨歌」、「ことごとしき名つきたる鳥」=鳳凰。



この段で覚える文法(テストに出る順)
- 係り結び:こそ…ためれ/やは…ある(反語)/こそ…めでたけれ
- 結びの省略:思へばにや(あらむ)
- ためれ=存続「たり」+推定「めり」
- 打消推量のじ、現在推量のらむ
- 古今異義語:すさまじ・めでたし・にほひ・せめて
「木の花は」はどんな段?(類聚章段・花と漢詩)
「木の花は」は、ものを集めて挙げる類聚章段の一つで、作者が好きな木に咲く花を順に語ります。紅梅・桜・藤・橘・梨・桐・楝(センダン)が登場し、季節は春から初夏へ移っていきます。
この段の山場は梨の花です。日本ではつまらない花とされていたのに、中国では唐の詩人白居易が「長恨歌」で楊貴妃の涙にたとえた――それを知った作者が、もう一度よく見直してその美しさを見つけます。桐の花では、中国の伝説の鳥鳳凰や琴の材料のことにもふれます。作者は中宮定子に仕えた女房で、和歌だけでなく漢詩・漢文にもくわしいことで知られていました。
なお、明治の『國文大觀』(能因本系)にはこのほかに「卯の花」をほめる文がありますが、教科書で広く読まれる形(三巻本系)にはないため、このページでは入れていません。
本文と現代語訳・文法(1文ずつ)
色の見方:過去 完了・存続 推量・推定・意志 使役・受身・尊敬 断定 打消 敬語 係りの語 結びの語(色の語にふれると説明が出ます)
1
木の花は、濃きも薄きも紅梅。
現代語訳木に咲く花では、色が濃いのも薄いのも、紅梅(がいちばんだ)。
- 「〜は」で始まる類聚章段。「は」のあとに作者の好きなものを次々に挙げていく。「紅梅(がよい)」のように、あとの言葉が省かれている。→古文常識の一覧(平安時代の暮らしと季節)
- 紅梅(こうばい)は紅色の花が咲く梅。白梅より華やかな梅として好まれた。
2
桜は、花びら大きに、葉の色濃きが、枝細くて咲きたる。
現代語訳桜は、花びらが大きく、葉の色が濃いものが、細い枝に咲いているの(がよい)。
- 「咲きたる」は存続の「たり」の連体形で「咲いている」。下に「もの(がよい)」が省かれている。→完了・存続の助動詞「たり・り」
- 「濃きが」の「が」は「〜であるもの」の意味で、「〜で(あって)」と軽く訳すと自然。
3
藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし。
現代語訳藤の花は、花房が長くしなやかに垂れて、色濃く咲いているのが、たいへんすばらしい。
- 「しなひ」は、しなやかに垂れ下がった花房のこと。藤(ふじ)は今も同じ名前の、つるで伸びる木。
- 「めでたし」は今の「おめでたい」ではなく「すばらしい・りっぱだ」。→古今異義語の一覧(めでたし・すさまじ・をかし)
4
四月のつごもり、五月のついたちのころほひ、橘の葉の濃く青きに、花のいと白う咲きたるが、雨うち降りたるつとめてなどは、世になう心あるさまにをかし。
現代語訳四月の終わりから五月の初めのころ、橘の葉が濃い緑色をしているところに、花がとても白く咲いているのが、雨がさっと降った翌朝などは、世に比べるものがないほど趣のある様子で美しい。
- 「つごもり」は月の終わり、「ついたち」は月の初め、「つとめて」は早朝・翌朝。旧暦の四月末〜五月初めは、今の暦では5月下旬〜6月ごろにあたる。→旧暦の月の名前と季節のずれ
- 橘(たちばな)は、日本にもとからあるみかんのなかまの木。初夏に白い花が咲き、秋に小さな黄色い実がなる。京都御所の紫宸殿の前には「右近の橘」が植えられている。
- 「白う」「世になう」は「白く」「世になく」のウ音便。→古文の音便(イ音便・ウ音便)
- 「をかし」は明るく知的な「趣がある・美しい」。枕草子をつらぬく言葉。


5
花の中より黄金の玉かと見えて、いみじうあざやかに見えたるなど、朝露にぬれたるあさぼらけの桜に劣らず。
現代語訳(白い)花の中から(実が)黄金の玉かと見えて、とてもくっきりと見えているのなどは、朝露にぬれている明け方の桜にも負けない。
- 「黄金の玉」は、花の中にのぞく橘の実のこと。白い花・緑の葉・黄色い実の色の取り合わせをほめている。
- 「あさぼらけ」は、夜がほのぼのと明けるころ。「いみじう」は「いみじく」のウ音便で「とても」。
6
ほととぎすのよすがとさへ思へばにや、なほさらに言ふべうもあらず。
現代語訳(橘は)ほととぎすがとまって鳴く木だとまで思うからだろうか、やはりあらためて言うまでもない(ほどすばらしい)。
- 「思へばにや」は「思へばにやあらむ」の「あらむ」が省かれた形(結びの省略)。「に」は断定「なり」の連用形。訳は「〜からだろうか」。→係り結びと結びの省略
- 「よすが」は、たよりにするところ・ゆかり。橘とほととぎすは和歌でよくいっしょによまれる組み合わせ。『古今和歌集』の「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」も、橘の花の香りの歌として有名。
- 「言ふべうもあらず」は「言うまでもない」。→助動詞「べし」の6つの意味


7
梨の花、よにすさまじきものにして、近うもてなさず、はかなき文つけなどだにせず。
現代語訳梨の花は、まったく興ざめなものとされていて、身近に置いて大切にすることもなく、ちょっとした手紙を結びつけることさえしない。
- 「すさまじ」は今の「すごい」ではなく「興ざめだ・つまらない」。→古今異義語の一覧(すさまじ・あいなし)
- 「だに」は「〜さえ」(軽いものを挙げて、ほかはまして、と思わせる)。→副助詞「だに・すら・さへ」の違い
- 平安時代は、手紙を季節の花の枝に結びつけて送るのが風流とされた。梨の花はその役にも使われなかった、ということ。梨(なし)は今の梨と同じなかまで、春に白い花が咲く。


8
愛敬おくれたる人の顔などを見ては、たとひに言ふも、げに、葉の色よりはじめて、あいなく見ゆるを、唐土には限りなきものにて、文にも作る、
現代語訳かわいげのない人の顔などを見ては、(梨の花のようだと)たとえに言うのも、なるほど、葉の色をはじめとして、ぱっとしなく見えるのに、中国ではこの上ないものとして、漢詩にも作る(のだから)、
- 「愛敬おくる」は、かわいげ・魅力がとぼしいこと。「げに」は「なるほど・本当に」。
- 「あいなし」は「つまらない・おもしろくない」。「唐土」(もろこし)は中国、「文」はここでは漢詩・漢文のこと。
9
なほさりともやうあらむと、せめて見れば、花びらの端に、をかしきにほひこそ、心もとなうつきためれ。
現代語訳やはり、そうはいってもわけがあるのだろうと思って、じっくり見ると、花びらの端に、美しい色つやが、ほんのかすかについているようだ。
- 係り結び:「こそ」があるので文末は已然形「めれ」。「ためれ」は「たるめれ」→「たんめれ」→「た(ん)めれ」。→推定の助動詞「めり」(なめり・ためり)
- 「にほひ」は香りではなく美しい色つや。「心もとなう」は「心もとなく」のウ音便で、ここでは「かすかに・ぼんやりと」。
- 「せめて」は「しいて・むりに」。今の「せめて〜だけでも」とはちがう。

10
楊貴妃の、帝の御使ひに会ひて泣きける顔に似せて、「梨花一枝、春、雨を帯びたり。」など言ひたるは、おぼろけならじと思ふに、なほいみじうめでたきことは、たぐひあらじとおぼえたり。
現代語訳楊貴妃が、皇帝の使者に会って泣いた顔にたとえて、「梨の花の一枝が、春の雨にぬれている」などと(漢詩に)言っているのは、並たいていのことではないだろうと思うと、やはりとてもすばらしいことは、ほかに比べるものがないだろうと思われた。
- ここは中国・唐の詩人白居易(白楽天)の長い詩「長恨歌」をふまえている。玄宗皇帝に愛された楊貴妃が亡くなったあと、仙人の世界で皇帝の使いに会い、涙を流す姿を「梨花一枝春帯雨」(梨の花の一枝が春の雨にぬれている)とたとえた。
- 「おぼろけならじ」の「じ」は打消推量(〜ないだろう)。「おぼろけなり」は「並ひととおりだ」。→打消推量の「じ」と「まじ」
- 日本では地味な梨の花も、漢詩の世界では美人の涙にたとえられる。作者の漢詩の知識がよく出ている所。



11
桐の木の花、紫に咲きたるはなほをかしきに、葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれど、異木どもとひとしう言ふべきにもあらず。
現代語訳桐の木の花が、紫色に咲いているのはやはり趣があるが、葉の広がり方は、いやに大げさだけれど、ほかの木と同じように言うべきものではない。
- 桐(きり)は初夏にうす紫の花が咲き、大きな葉をつける木。軽くて湿気に強く、今もたんすや下駄・琴の材料に使われる。
- 「うたて」は「いやに・ひどく」、「こちたし」は「大げさだ・うるさいほど多い」。「異木」(ことき)は「ほかの木」。
12
唐土にことごとしき名つきたる鳥の、えりてこれにのみゐるらむ、いみじう心ことなり。
現代語訳中国でたいそうな名前のついた鳥が、えらんでこの木にだけとまるというのは、とても格別だ。
- 「ことごとしき名つきたる鳥」は鳳凰(ほうおう)のこと。中国の言い伝えで、鳳凰は桐の木にだけとまるとされた。
- 「らむ」は目の前にないことを想像する現在推量(今ごろ〜ているだろう)。ここは連体形で「〜とかいう(こと)」。→現在推量の助動詞「らむ」
- 「ゐる」は「とまる・座る」。「心ことなり」は「格別だ」。


13
まいて琴に作りて、さまざまなる音のいでくるなどは、をかしなど世の常に言ふべくやはある、いみじうこそめでたけれ。
現代語訳まして、琴に作って、いろいろな音が出てくることなどは、「趣がある」などとありふれた言い方で言ってよいだろうか、いや言えない。たいへんすばらしいのだ。
- 「やは」は反語(〜だろうか、いや〜ない)。係り結びで文末は連体形「ある」。「こそ」の結びは已然形「めでたけれ」。1文に係り結びが2つ。→係り結び(反語の「やは」と「こそ」)
- 「まいて」は「まして」のイ音便。「世の常」は「ありふれたこと」。

14
木のさまにくげなれど、楝の花いとをかし。かれがれに、さまことに咲きて、必ず五月五日にあふもをかし。
現代語訳木の形はみっともないけれど、楝の花はとても趣がある。まばらに、ほかとはちがった様子で咲いて、必ず五月五日(端午の節句)に(花の時期が)重なるのもおもしろい。
- 楝(あふち、読みは「おうち」)は今のセンダンの古い名前。初夏にうす紫の小さな花が咲く。
- 「にくげなり」は「みっともない・感じが悪い」。「にくし」の仲間も古今異義語。「かれがれに」は「まばらに」、「さまことに」は「ふつうとちがって」。→古今異義語の一覧(にくし・をかし)
- 五月五日は端午の節句。旧暦なので今の6月ごろで、ちょうど楝の花が咲く時期にあたる。
梨の花の見方が変わるしくみを図で確かめる

重要な古語(単語帳)
| 古語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 紅梅 | こうばい | 紅色の花の梅 |
| しなひ | しない | しなやかに垂れた花房 |
| つごもり | つごもり | 月の終わり(月末) |
| つとめて | つとめて | 早朝・翌朝 |
| あさぼらけ | あさぼらけ | 夜がほのぼのと明けるころ |
| よすが | よすが | たよりにするところ・ゆかり |
| すさまじ | すさまじ | 興ざめだ・つまらない |
| あいなし | あいなし | つまらない・おもしろくない |
| せめて | せめて | しいて・むりに |
| にほひ | におい | 美しい色つや |
| おぼろけなり | おぼろけなり | 並ひととおりだ(下に打消が多い) |
| うたて | うたて | いやに・ひどく |
| こちたし | こちたし | 大げさだ・うるさいほど多い |
| めでたし | めでたし | すばらしい・りっぱだ |
| 楝 | おうち | センダンの古い名前 |
テストに出る問題(答えは押すと開く)
問1 「木の花は」の段は、枕草子の3種類の章段のうちどれ?
類聚章段(「〜は」「〜もの」とものを集めて挙げる段)。
問2 「橘」はどんな植物?
みかんのなかまの木。初夏に白い花が咲き、黄色い実がなる。和歌ではほととぎすといっしょによまれることが多い。
問3 「梨の花、よにすさまじきものにして」の「すさまじ」の意味は?
興ざめだ・つまらない。今の「すさまじい(ものすごい)」とはちがう。
問4 「をかしきにほひこそ、心もとなうつきためれ」の「ためれ」を文法的に説明しなさい。
存続の助動詞「たり」の連体形「たる」が撥音便「たん」になり「ん」が書かれない形「た」+推定の助動詞「めり」の已然形「めれ」(係助詞「こそ」の結び)。
問5 「梨花一枝、春、雨を帯びたり」は、だれのどの詩をふまえている?
唐の白居易(白楽天)の「長恨歌」。楊貴妃が涙を流す姿を、雨にぬれた梨の花にたとえた句。
問6 「唐土にことごとしき名つきたる鳥」とは何の鳥?
鳳凰。中国で、鳳凰は桐の木にだけとまると言い伝えられた。
問7 「をかしなど世の常に言ふべくやはある」を現代語訳しなさい。
「趣がある」などとありふれた言い方で言ってよいだろうか、いや言えない。(「やは」は反語)
問8 「楝の花」が「必ず五月五日にあふ」とはどういうこと?
楝(センダン)の花の時期が、毎年ちょうど端午の節句(旧暦五月五日)に重なるということ。

枕草子「木の花は」原文(全文・通し)
1文ずつ区切らずに、原文を通して読みたい人・音読したい人のための全文です。
木の花は、濃きも薄きも紅梅。
桜は、花びら大きに、葉の色濃きが、枝細くて咲きたる。
藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし。
四月のつごもり、五月のついたちのころほひ、橘の葉の濃く青きに、花のいと白う咲きたるが、雨うち降りたるつとめてなどは、世になう心あるさまにをかし。
花の中より黄金の玉かと見えて、いみじうあざやかに見えたるなど、朝露にぬれたるあさぼらけの桜に劣らず。
ほととぎすのよすがとさへ思へばにや、なほさらに言ふべうもあらず。
梨の花、よにすさまじきものにして、近うもてなさず、はかなき文つけなどだにせず。
愛敬おくれたる人の顔などを見ては、たとひに言ふも、げに、葉の色よりはじめて、あいなく見ゆるを、唐土には限りなきものにて、文にも作る、
なほさりともやうあらむと、せめて見れば、花びらの端に、をかしきにほひこそ、心もとなうつきためれ。
楊貴妃の、帝の御使ひに会ひて泣きける顔に似せて、「梨花一枝、春、雨を帯びたり。」など言ひたるは、おぼろけならじと思ふに、なほいみじうめでたきことは、たぐひあらじとおぼえたり。
桐の木の花、紫に咲きたるはなほをかしきに、葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれど、異木どもとひとしう言ふべきにもあらず。
唐土にことごとしき名つきたる鳥の、えりてこれにのみゐるらむ、いみじう心ことなり。
まいて琴に作りて、さまざまなる音のいでくるなどは、をかしなど世の常に言ふべくやはある、いみじうこそめでたけれ。
木のさまにくげなれど、楝の花いとをかし。かれがれに、さまことに咲きて、必ず五月五日にあふもをかし。
枕草子「木の花は」現代語訳(全文・通し)
木に咲く花では、色が濃いのも薄いのも、紅梅(がいちばんだ)。
桜は、花びらが大きく、葉の色が濃いものが、細い枝に咲いているの(がよい)。
藤の花は、花房が長くしなやかに垂れて、色濃く咲いているのが、たいへんすばらしい。
四月の終わりから五月の初めのころ、橘の葉が濃い緑色をしているところに、花がとても白く咲いているのが、雨がさっと降った翌朝などは、世に比べるものがないほど趣のある様子で美しい。
(白い)花の中から(実が)黄金の玉かと見えて、とてもくっきりと見えているのなどは、朝露にぬれている明け方の桜にも負けない。
(橘は)ほととぎすがとまって鳴く木だとまで思うからだろうか、やはりあらためて言うまでもない(ほどすばらしい)。
梨の花は、まったく興ざめなものとされていて、身近に置いて大切にすることもなく、ちょっとした手紙を結びつけることさえしない。
かわいげのない人の顔などを見ては、(梨の花のようだと)たとえに言うのも、なるほど、葉の色をはじめとして、ぱっとしなく見えるのに、中国ではこの上ないものとして、漢詩にも作る(のだから)、
やはり、そうはいってもわけがあるのだろうと思って、じっくり見ると、花びらの端に、美しい色つやが、ほんのかすかについているようだ。
楊貴妃が、皇帝の使者に会って泣いた顔にたとえて、「梨の花の一枝が、春の雨にぬれている」などと(漢詩に)言っているのは、並たいていのことではないだろうと思うと、やはりとてもすばらしいことは、ほかに比べるものがないだろうと思われた。
桐の木の花が、紫色に咲いているのはやはり趣があるが、葉の広がり方は、いやに大げさだけれど、ほかの木と同じように言うべきものではない。
中国でたいそうな名前のついた鳥が、えらんでこの木にだけとまるというのは、とても格別だ。
まして、琴に作って、いろいろな音が出てくることなどは、「趣がある」などとありふれた言い方で言ってよいだろうか、いや言えない。たいへんすばらしいのだ。
木の形はみっともないけれど、楝の花はとても趣がある。まばらに、ほかとはちがった様子で咲いて、必ず五月五日(端午の節句)に(花の時期が)重なるのもおもしろい。
枕草子「木の花は」原文と現代語訳の印刷用ページ(A4・左右に並べて)
よくある質問(枕草子の基本)
枕草子の作者は誰?
清少納言です。一条天皇の中宮定子に仕えた女房で、歌人の清原元輔の娘です。
枕草子はいつの作品?
平安時代の中ごろ、1000年(長保2年)前後に書かれたとされます。
枕草子の冒頭(書き出し)は?
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」です。
枕草子はどんな作品?
日本最古の随筆とされ、鴨長明『方丈記』、兼好法師(吉田兼好)『徒然草』と並ぶ三大随筆の一つです。「〜もの」と物を集める類聚章段、自然や人を見て感じたことを書く随想章段、宮仕えの思い出を書く回想(日記)章段の3種類の段があり、「をかし」の文学と呼ばれます。
枕草子の目次(教科書に出る段)
枕草子の入口(教科書に出る段の一覧・作者清少納言と中宮定子) 「定番」は教科書によく出る段です。
- 枕草子「春はあけぼの」の原文・現代語訳とテストに出る語句 定番
- 枕草子「うつくしきもの」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「にくきもの」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「すさまじきもの」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「ありがたきもの」の原文・現代語訳 定番
- 木の花は(このページ) 定番
- 枕草子「虫は」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「上にさぶらふ御猫は」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「中納言参りたまひて」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「雪のいと高う降りたるを」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「宮に初めて参りたるころ」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「九月ばかり」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「五月ばかりなどに山里にありく」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「二月つごもりごろに」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「頭の弁の、職に参りたまひて」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「大進生昌が家に」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「この草子、目に見え心に思ふことを」の原文・現代語訳 定番
- 枕草子「ころは」の原文・現代語訳
- 枕草子「鳥は」の原文・現代語訳
- 枕草子「草の花は」の原文・現代語訳
- 枕草子「心ときめきするもの」の原文・現代語訳
- 枕草子「過ぎにしかた恋しきもの」の原文・現代語訳
- 枕草子「うれしきもの」の原文・現代語訳
- 枕草子「はしたなきもの」の原文・現代語訳
- 枕草子「かたはらいたきもの」の原文・現代語訳
- 枕草子「清涼殿の丑寅の隅の」の原文・現代語訳
- 枕草子「野分のまたの日こそ」の原文・現代語訳
- 枕草子「月のいと明かきに」の原文・現代語訳
- 枕草子「正月一日は」の原文・現代語訳
- 枕草子「職の御曹司におはしますころ」の原文・現代語訳
- 枕草子「遠くて近きもの・近うて遠きもの」の原文・現代語訳

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本文は『枕草子』を、教科書で広く読まれる形(三巻本系)にそろえ、新字体・現代の送り仮名に直したものです(参考にした古い本:Wikisource の枕草子、明治の『國文大觀』〈能因本系〉)。枕草子は本によって語句や段の分け方が少しずつちがうため、段の番号ではなく段の名前で示しています。現代語訳・解説・問題・図は合格大作戦のオリジナルです。挿絵は著作権の切れた古い絵です(それぞれの絵の下に出典)。文法の用語は合格大作戦の古文文法辞典に合わせています。


