アーリヤバタは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|円周率3.1416・正弦表・地球の自転

アーリヤバタは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|円周率3.1416・正弦表・地球の自転

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アーリヤバタAryabhata

ひとことで言うと

5〜6世紀のインドで、円周率3.1416・正弦表(サインのもと)・数列の和の公式・地球の自転を121の詩にまとめた数学者・天文学者。

名前アーリヤバタ(アールヤバタ、Aryabhata)
生没年476年〜550年ごろ(74歳ごろ)
国インド(グプタ朝。クスマプラ=今のパトナ付近で学ぶ)
分野数学・天文学
主な業績『アーリヤバティーヤ』(499年)、円周率3.1416、正弦表、平方の和・立方の和の公式、1次不定方程式のクッタカ、地球の自転
名前がつくものアーリヤバタの正弦表・インド初の人工衛星「アーリヤバタ」(1975年)・月のクレーター
よばれ方インド数学・天文学の祖の一人(アーリヤバタ1世)

このページのポイント

  • 499年、23歳で書いた『アーリヤバティーヤ』(121の詩)で、円周率を62832÷20000=3.1416と求めた
  • 円の弦の半分(ジーヤ)を使った正弦表を3°45′きざみでつくった。これが今のサイン(sine)の語源とされる
  • 1³+2³+…+n³=(1+2+…+n)²などの数列の公式や、地球の自転の考えを書いた。0との関係は諸説ある

アーリヤバタは何をした人?(業績をひとことで)

アーリヤバタ(アールヤバタ、Aryabhata)は、5〜6世紀のインドの数学者・天文学者です。476年に生まれ、550年ごろに亡くなったと伝えられます。499年、23歳のときに書いた『アーリヤバティーヤ』という本で、円周率を3.1416と求め、正弦表(サインの表)をつくり、地球が自転しているという考えを述べました。この本は、インドの数学と天文学を、わずか121の短い詩にまとめた名著です。

アーリヤバタが書いた円周率の値は62832÷20000=3.1416でした。本当の円周率3.14159265…にとても近い値です。また、アーリヤバタが三角比の表をつくるときに使った「弦の半分」という考え方は、のちにアラビアを通ってヨーロッパに伝わり、サイン(sine)という言葉のもとになったとされます。「0」や位取りの記数法とのかかわりも、数学の歴史でよく話題になります。ただし、アーリヤバタ自身が0の記号を書いたかどうかについては、学者の意見が分かれています。

受験とのつながりは、円周率3.14の計算のくふう・三角関数とは・等差数列の和の公式・1次不定方程式の整数解の求め方などです。1975年に打ち上げられたインド最初の人工衛星には「アーリヤバタ」の名前がつけられ、今もインドの人々に誇りをもって語られています。

サクラちゃん

サクラちゃん

サインって、昔の人が考えたんですか? 三角関数ってむずかしいイメージで……。

合格先生

合格先生

もとは天文学のための道具なんだ。星の位置を計算するのに「円の弦の長さ」の表が必要だった。その表を、1500年前のインドで作ったのがアーリヤバタ。「弦の半分」を使ったのが、今のサインのもとになったんだよ。

アーリヤバタの生涯と年表

パータリプトラのそばで生まれた天才

アーリヤバタは、476年に生まれたとされています。生まれた場所については、クスマプラ(今のインド北東部の都市パトナ付近)と伝えられていますが、はっきりしません。南インドのケーララ地方の出身だったという説もあり、諸説あります。当時のインドはグプタ朝の時代で、学問と文化がさかえていました。

アーリヤバタは、クスマプラ(古い都パータリプトラ)へ勉強に出て、そこで天文学の研究をしたと考えられています。パータリプトラは、古くからインドの学問の中心地として知られた都でした。のちの天文学者たちは、アーリヤバタを尊敬して「アーリヤバタ先生」とよびました。

23歳で『アーリヤバティーヤ』を書く

アーリヤバタの代表作『アーリヤバティーヤ』は、499年に書かれました。本の中に「カリ・ユガ(ヒンドゥー教の時代区分)が始まって3600年がたち、私が生まれて23年がたった」と書かれていて、そこから499年・23歳と分かります。本は121の詩でできていて、4つの部分に分かれます。

  • 天文の基本の表(13の詩):時間の大きな単位と、正弦表
  • 数学(33の詩):面積・体積・数列・平方根・円周率・1次不定方程式
  • 時間の計算と惑星の動き(25の詩):1年の長さ・惑星の位置の計算
  • 天球(50の詩):地球の形・自転・日食と月食

晩年とその後

アーリヤバタは、550年ごろに亡くなったと伝えられます。約130年後の629年ごろ、天文学者のバースカラ1世がこの本に注釈を書いて、ほめたたえました。のちに、ブラーマグプタやバースカラ2世もアーリヤバタの仕事を受けつぎ、インドの数学を発展させました。

年できごと
476年クスマプラ(今のパトナ付近)で生まれたと伝えられる
5世紀後半グプタ朝のもとで、クスマプラ(パータリプトラ)で学ぶ
499年23歳で『アーリヤバティーヤ』を書く(121の詩)
499年ごろ円周率を62832÷20000=3.1416と求める。正弦表(3°45′きざみ24個)をつくる
499年ごろ1次不定方程式の解き方「クッタカ(くだく)」を示す
499年ごろ地球が自転しているという考えを書く
550年ごろ亡くなったと伝えられる
628年ブラーマグプタが『ブラーマスプタ・シッダーンタ』を書く
629年ごろバースカラ1世が『アーリヤバティーヤ』の注釈を書く
8〜9世紀アーリヤバタの天文学がアラビア語に訳され、イスラム世界へ
1150年ごろバースカラ2世が、アーリヤバタ以来の数学をまとめる
1975年インド最初の人工衛星に「アーリヤバタ」の名前がつけられる

アーリヤバタの主な業績をやさしく解説

業績1 円周率を3.1416と求めた

アーリヤバタは、『アーリヤバティーヤ』の数学の章で、円周率の近似値をこう書いています。意味をわかりやすい日本語にすると、「100に4を足し、8をかけ、さらに62000を足す。これが、直径が20000の円の円周に近い値である」となります。計算すると、(100+4)×8+62000=62832(100+4)\times 8+62000=62832 です。

円周率=62832÷20000直径20000円周をのばすとアーリヤバタの値円周 = 6283262832÷20000= 3.1416本当は 3.14159265…円周(のばした長さ)は直径の約3.1416倍
直径20000の円の円周を62832とする。62832÷20000=3.1416で、本当の円周率3.14159…にとても近い

つまり、円周率は 6283220000=3.1416\dfrac{62832}{20000}=3.1416 です。本当の円周率は3.14159265…なので、小数第4位まで正しい値になっています。アーリヤバタは、この値を「アーサンナ(近い)」と書いていて、円周率が正確な数ではなく近似値であることを知っていたと考える学者もいます。これは、円周率が無理数であることに気づいていたという意味にとる人もいますが、そこまで読みとってよいかは意見が分かれています。

円周率の話は、ギリシャ文字の読み方一覧(π)とあわせて読むと、記号の由来も分かります。アルキメデスの円周率の近似や劉徽の割円術、祖沖之の円周率と比べると、同じ時代に世界各地で円周率の研究が進んでいたことがよく分かります。

業績2 正弦表(サインの表)をつくった

天文学では、星や月の位置を計算するために、円の「弦」(円周上の2点を結ぶ線)の長さを使います。ギリシャのプトレマイオスの弦の表は、弦の全体の長さを使っていました。アーリヤバタは、弦の半分(インドの言葉でジーヤ)を使うほうが計算しやすいことに気づき、表を作りました。これが今のサイン(正弦)のもとになった考え方です。

正弦表:弦の半分(ジーヤ)半弦30°半径=3438角半弦の長さ3°45′2257°30′44911°15′671……90°34383°45′きざみで24個
円の4分の1を3度45分ずつ24こに分けて、それぞれの弦の半分を表にした正弦表。最初は225、最後は半径と同じ3438

アーリヤバタの表は、半径を3438とした円で作られています。これは、円周を 360×60=21600360\times 60=21600 分と考え、21600÷(2π)≈343821600\div(2\pi)\approx 3438 とした値です。直角(90度)を3度45分ずつ24こに分け、それぞれの角に対する弦の半分の長さを表にしました。最初の値は225、最後(90度)は半径と同じ3438です。たとえば 3°45′ のとき、現代の計算で 3438×sin⁡3.75∘≈224.83438\times\sin 3.75^\circ\approx 224.8 なので、アーリヤバタの値225はよく合っています。

ジーヤという言葉は、アラビアに伝わって「ジーバ」になり、それが「ジャイブ(ふところ・入り江)」と読みまちがえられ、ラテン語のsinus(サイヌス、ふところ)に訳されて、英語のsineになったとされます。今の三角関数の定義やサインのグラフの書き方は、このような長い旅をへて高校の教科書にたどりついたのです。

業績3 数列の和の公式(平方の和・立方の和)

アーリヤバタは、数の列の和を求める公式も書いています。たとえば、1から nn までの2乗の和と3乗の和です。

12+22+⋯+n2=n(n+1)(2n+1)61^2+2^2+\cdots+n^2=\frac{n(n+1)(2n+1)}{6} 13+23+⋯+n3=(1+2+⋯+n)21^3+2^3+\cdots+n^3=\left(1+2+\cdots+n\right)^2

3乗の和は、「1から nn までの和の2乗」になるという、おどろくほど美しい式です。たとえば、13+23+33=36=621^3+2^3+3^3=36=6^2 で、6=1+2+36=1+2+3 です。図で見ると、1辺が1・3・6の正方形を同じ角から重ねたとき、それぞれのすき間の面積が 131^3、232^3、333^3 になっています。

1³+2³+3³=(1+2+3)²1827辺 6 → 面積 36辺 3 → 面積 9辺 1 → 面積 136−9=27=3³9−1= 8=2³1=1³全部の面積36=6²=(1+2+3)²
1辺が1・3・6の正方形を重ねた図。すき間の面積は1、8、27で、1の3乗・2の3乗・3の3乗に等しい

これらは、高校数学Bのシグマ(Σ)の公式として必ず出てきます。等差数列の和の公式も、アーリヤバタの本に入っています。ガウスの1から100までの和の話を思いだした人は、さすがです。

業績4 1次不定方程式の「クッタカ(くだく)」

アーリヤバタは、ax+by=cax+by=c のような、解がたくさんある方程式(1次不定方程式)の整数の解を求める方法を書きました。「クッタカ」は「くだく・粉にする」という意味で、数をどんどん小さくしていく手順です。これは、ユークリッドの互除法と同じ考え方で、割り算をくりかえして数を小さくしていきます。

たとえば「3で割ると2余り、5で割ると3余る数はいくつか」という問題は、天文学で2つの周期(たとえば太陽と月の周期)が同時にそろう日を調べるのに必要でした。この問題の答えは、8・23・38・53……と、15ずつふえる数になります。しくみはこうです。3で割ると2余る数は 2, 5, 8, 11, 14, 17, 20, 23, …、5で割ると3余る数は 3, 8, 13, 18, 23, 28, …で、はじめて両方に出てくるのが8です。その後は、3と5の最小公倍数の15をたしていけば、条件が成り立ちつづけます。アーリヤバタのクッタカは、数が大きくなってもこの答えを手早く見つけるための方法でした。中国剰余定理(余りの問題)や余りの問題の解き方と同じ種類の問題です。

業績5 地球は自転している

当時のほとんどの人は、「星のほうが空をまわっている」と思っていました。ところがアーリヤバタは、『アーリヤバティーヤ』で「地球が自転している」と書いています。「船に乗って前へ進む人は、止まっている岸のものが逆向きに動いて見える。それと同じで、星は西へ動くように見える」というたとえで説明しました。

船のたとえ:動いているのは?木は逆向きに動いて見える岸(止まっている)船が進む地球が回る(自転)→ 星が西へ動いて見える動いているのは星ではなく、乗っている私たち
前へ進む船から見ると、岸の木は逆向きに動いて見える。星が西へ動いて見えるのは、地球が自転しているから

アーリヤバタは、月が太陽の光を反射して光っていること、日食・月食は地球や月の影によることも書いています。古い時代には、日食を神話の怪物(ラーフ)のしわざと考える人も多かったのに、影の幾何学で説明しようとしたのです。ただし、のちの天文学者のなかには、地球の自転を認めない人もいました(ブラーマグプタなど)。アーリヤバタの考えがすべて受けいれられたわけではないことも、歴史が教えてくれます。

アーリヤバタの名前がつく公式・定理・用語

アーリヤバタの名前がつく公式は、受験の教科書にはほとんど出ません。ただし、つぎのものが数学の歴史で話題になります。

  • 『アーリヤバティーヤ』:499年の本。121の詩で数学と天文学をまとめた。
  • アーリヤバタの正弦表:半径3438・3°45′きざみ24個の表。→ 三角関数(サイン・コサイン)の意味
  • アーリヤバタの円周率:62832÷20000=3.1416。→ 円周率3.14の計算のくふう
  • クッタカ(くだく):1次不定方程式の整数解を求める方法。→ 1次不定方程式の解き方
  • アーリヤバタ式の文字記数法:サンスクリットの文字で数をあらわす方法。数を詩の中に入れるくふう。
  • 人工衛星アーリヤバタ:1975年に打ち上げられたインド最初の人工衛星の名。月のクレーターにもアーリヤバタの名がある。
指し棒で説明する合格先生

合格先生

アーリヤバタは「計算の表」と「数列の公式」を残した人。受験では、シグマの公式と三角関数の値として、アーリヤバタの仕事が生き続けているんだ。

アーリヤバタの逸話と名言

「0」とアーリヤバタ

今、私たちが使っている「0」を含む10個の数字(インド・アラビア数字)は、インドで生まれたとされます。アーリヤバタの本には、0の記号は出てきません。ところが、アーリヤバタが書いた「位から位へ、10倍(スターナム・スターナム・ダシャグナム)」という言葉と、平方根・立方根の計算の仕方から、アーリヤバタは位取りの記数法と0を知っていたのではないかと考える学者がいます。ただし、これはあくまで推測で、確かな証拠は見つかっていません。「ゼロ」と「れい(零)」の違いやインド式かけ算のやり方一覧を合わせて読むと、インドの数の考え方がよく分かります。

詩で書かれた数学

『アーリヤバティーヤ』は、数式ではなく、サンスクリット語の短い詩で書かれています。口で唱えて暗記できるようにするためです。数字も、文字のならべかたで表す独自の方法を使いました。そのため、とても短く(121の詩)、しかし意味をとるには注釈が必要です。アーリヤバタが意図したように、短い文で全体を伝える力は、数学の答案を書くときにも役立ちます。

100に4を足し、8倍し、さらに62000を足す。これが、直径が20000の円の円周に近い値である。

アーリヤバタ(『アーリヤバティーヤ』(499年)数学の章の円周率の詩(ガニタパーダ10)、日本語訳)

空に浮かぶ星と、地球のうごき

「地球が自転している」という考えは、ヨーロッパでコペルニクスが説いたのが1543年なので、それより1000年以上前です。ただし、アーリヤバタは「地球が太陽のまわりをまわる」とまでは書いていません。惑星の動きの計算に「周転円」という円の組み合わせを使ったことも知られています。一部の学者は、アーリヤバタが惑星の軌道を実質的に太陽中心で計算していたと見ていますが、この点も意見が分かれています。

名前の読み方と「1世」

アーリヤバタの日本語の書き方は、アーリヤバタ・アールヤバタ・アリヤバータなど、本によって少しずつちがいます。もとのサンスクリット語の読みを、日本語の文字でどう表すかのちがいで、同じ人のことです。また、10世紀ごろに同じ名前の天文学者がいたため、この本の著者を区別して「アーリヤバタ1世」とよぶことがあります。検索するときは、「アーリヤバタ」「アールヤバタ」「Aryabhata」のどれでも調べてみてください。

人工衛星になった名前

1975年4月19日、ソ連のロケットで打ち上げられたインド最初の人工衛星は、「アーリヤバタ」と名づけられました。インドでは、新しい人工衛星や研究所の名前に昔の学者の名前をつけることがよくあります。1500年前の数学者が、今もインドの人々の誇りであることがよく分かるできごとです。

うかるくん

うかるくん

地球が回っているって、1500年も前に書いた人がいたんですね!

合格先生

合格先生

そうなんだ。ただ、全部が正しかったわけじゃない。正しいものも、まちがったものも、はっきり書いたから、後の人が確かめて、直していけたんだよ。まちがいを恐れずに自分の考えを書くのは、勉強でも大切なことだね。

受験・勉強とアーリヤバタのつながり

中学受験:円周率・数列・規則性

中学受験の算数では、円周率3.14のかけ算(例:3.14×12=37.68)が頻出です。3.14の計算のくふう(分配法則で楽に)を覚えておくと、計算ミスが減ります。また、等差数列・平方数の和(1+4+9+…)・立方数の和の規則性の問題は、アーリヤバタの公式そのものです。

高校受験:規則性・円と弧

高校受験の規則性の問題では、1から nn までの和 n(n+1)2\frac{n(n+1)}{2} や、2乗の和・3乗の和の公式を使って、図形の個数を数える問題が出ます。円周率を使った弧の長さ・おうぎ形の面積も頻出で、円周率が約3.1416であることを知っておくと数値の見当がつきます。

大学受験:数列のΣ・三角関数・不定方程式・整数

  • 数学B:数列:∑k2\sum k^2、∑k3\sum k^3 の公式。→ Σの公式
  • 数学I・II:三角比・三角関数:サインの値、加法定理、グラフ。→ 三角関数のグラフ
  • 数学A:整数の性質:1次不定方程式 ax+by=cax+by=c の整数解、余りの問題。→ 余りの問題

京都大学・東京大学などの整数問題では、不定方程式を互除法で解く手順がよく出ます。京大理系数学の出題分析(整数・数列の出方)も見てみましょう。

勉強法として:「表をつくる」くせ

アーリヤバタは、表をつくるのが得意でした。正弦表は、計算のたびにゼロから考えなくてすむ「頭の中の辞書」です。受験勉強でも、よく使う値(sin⁡30∘\sin 30^\circ など)や公式を、自分用の表やノートにまとめると、試験中のスピードがあがります。数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)では、そのまとめ方も説明しています。

アーリヤバタがその後の数学にあたえた影響

このように、アーリヤバタの仕事は、インドから世界へと、数学の知恵が受けつがれていく旅の出発点の一つでした。わずか121の詩に、円周率・サイン・数列・不定方程式・天文学をぎゅっと詰めこんだこの本は、のちの世代が何度も注釈を書き、読みとき、新しい発見を重ねるための「種」のような本だったといえます。現代の私たちが学校で習う三角関数や数列の公式も、こうした長い旅の先にあります。教科書の1行の背景に、1500年前の数学者の工夫があることを、ときどき思い出してみてください。

アーリヤバタに挑戦!練習問題

やさしい

  1. アーリヤバタの円周率の値 62832÷20000 を計算しなさい。
    答えと解説を見る62832÷20000=3.1416。(本当の円周率3.14159…と小数第4位まで近い値)
  2. 1³+2³+3³+4³ を、「和の2乗」の公式で求めなさい。
    答えと解説を見る1+2+3+4=10 なので、10²=100。(1+8+27+64=100 でも確かめられる)

ふつう

  1. 円周を360度×60分=21600分とするとき、アーリヤバタの円周率3.1416で、半径はおよそいくつになりますか。小数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。
    答えと解説を見る半径=21600÷(2×3.1416)=21600÷6.2832≒3437.7。四捨五入して3438。これがアーリヤバタの正弦表の半径です。
  2. 1²+2²+…+10² を、公式 n(n+1)(2n+1)/6 で求めなさい。
    答えと解説を見る10×11×21÷6=2310÷6=385。

むずかしい

  1. 3で割ると2余り、5で割ると3余る正の整数のうち、100以下のものはいくつありますか。
    答えと解説を見る最小は8(8=3×2+2、8=5×1+3)。3と5の最小公倍数は15なので、8+15k(k=0, 1, 2, …)。8, 23, 38, 53, 68, 83, 98 の7個。
  2. 1次不定方程式 5x−7y=1 の整数解を、すべて求めなさい。
    答えと解説を見るx=3, y=2 が1つの解(15−14=1)。5(x−3)=7(y−2) で、5と7は互いに素なので、x−3=7t、y−2=5t。よってx=3+7t、y=2+5t(tは整数)。

アーリヤバタと関係する数学者

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中世(インド・アラビア・中国)の数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

アーリヤバタは何をした人ですか?

アーリヤバタは、5〜6世紀のインドの数学者・天文学者です。499年の『アーリヤバティーヤ』で円周率3.1416、正弦表、数列の和の公式、1次不定方程式の解き方を示し、地球が自転しているという考えも書きました。

アーリヤバタはいつの時代の人ですか?

476年に生まれ、550年ごろに亡くなったと伝えられるインドのグプタ朝の時代の人です。499年、23歳のときに『アーリヤバティーヤ』を書いたと、本人が本の中で述べています。生まれた場所はクスマプラ(今のパトナ付近)とされますが諸説あります。

アーリヤバタの円周率はいくつですか?

62832÷20000=3.1416です。「100に4を足し、8倍し、62000を足すと、直径20000の円の円周に近い値になる」という詩で書かれています。本当の円周率3.14159…と小数第4位まで近い値です。

アーリヤバタの正弦表とは何ですか?

円の4分の1を3度45分ずつ24こに分け、それぞれの角に対する弦の半分の長さ(半径は3438)を表にしたものです。弦の半分を使ったことが、今の三角関数のサイン(sine)のもとになったとされます。

アーリヤバタは0を発見したのですか?

アーリヤバタ自身が0の記号を書いたという確かな証拠はありません。ただし、位取りの記数法を使っていたのではないかと考える学者がいて、意見が分かれています。0はインドで育った数の考え方だとされます。

アーリヤバタは地球が回っていると考えていたのですか?

はい。『アーリヤバティーヤ』で、船に乗った人が岸のものが逆向きに動いて見えるのと同じだと説明して、星が西へ動いて見えるのは地球が自転しているからだと書きました。太陽のまわりをまわるとまでは書いていません。

アーリヤバタの名前は何に使われていますか?

1975年に打ち上げられたインド最初の人工衛星に「アーリヤバタ」の名がつけられました。月のクレーターにもアーリヤバタの名前があります。インドの人々にとって、昔の数学者・天文学者の代表的な存在です。

アーリヤバタと受験の関係は?

円周率3.14を使った計算、等差数列・平方数の和・立方数の和の公式(数学B)、サインの値(三角関数)、1次不定方程式の整数解(数学A)は、アーリヤバタの仕事とつながっています。

クッタカとは何ですか?

クッタカ(「くだく」の意味)は、ax+by=c のような1次不定方程式の整数解を求める方法です。ユークリッドの互除法と同じ考え方で、割り算をくりかえして数を小さくしていきます。天文学の周期の計算に使われました。

アーリヤバタの有名な言葉はありますか?

円周率の詩「100に4を足し、8倍し、62000を足す。これが直径20000の円の円周に近い値である」が有名です。また、「位から位へ10倍」という言葉は、位取りの記数法を示すものと考える人もいます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • J. J. O’Connor and E. F. Robertson, “Aryabhata the Elder”, MacTutor History of Mathematics Archive(セント・アンドリュース大学)
  • Aryabhata, “Aryabhatiya”(499年)
  • Georges Ifrah, “The Universal History of Numbers”(2000年)

最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦