この公式のポイント
- 割る数が互いに素なら、余りの条件をみたす数は必ずある
- その数は積 mn ごとにただ1つ
- 実際の計算は x=a+mk とおいて不定方程式
- 互いに素でないと解がないこともある

うかるくん
3で割ると2余り、5で割ると3余る数って、必ずあるの?
![合格先生]()
合格先生
割る数が互いに素なら必ずある。しかも mn ごとにただ1つだ。余りの組が全部ちがうから、もれなく1回ずつ出てくるんだぞ。
中国剰余定理
「3で割ると2余り、5で割ると3余る数は?」のように、いくつかの数で割った余りを指定したとき、それをみたす数がいつあり、どれだけあるかを教えてくれる定理です。
割る数が互いに素のとき
m と n が互いに素(最大公約数が1)のとき、どんな整数 a, b についても
x≡a(modm),x≡b(modn)をみたす整数 x が存在し、それは mn を法としてただ1つ(0≤x<mn の範囲にちょうど1つ)。
3つ以上の条件でも、割る数がどの2つも互いに素なら同じことが言える(法は全部の積)。
m=3, n=5 の場合:0〜14 の余りの組はすべてちがい、15マスに1つずつ入る
名前は、中国の古い数学書『孫子算経』にある「3で割ると2余り、5で割ると3余り、7で割ると2余る数は何か」という問題に由来します(答えは23)。日本の和算では、同じ考え方が「百五減算」として知られています。
なぜ成り立つのか(証明)
存在すること:x≡a(modm) をみたす数のうち、次の n 個を考えます。
a,a+m,a+2m,…,a+(n−1)m
この n 個を n で割った余りはすべてちがいます。もし a+im と a+jm(0≤j<i≤n−1)の余りが同じなら、差 (i−j)m は n で割り切れます。m と n は互いに素なので、i−j が n で割り切れることになりますが、0<i−j<n なので矛盾です。
余りは 0 から n−1 までの n 種類しかないので、n 個の余りにはどの値もちょうど1回ずつ出てきます(鳩の巣原理と同じ考え方)。だから n で割った余りが b と同じになるものが必ずあり、それが求める x です。
ただ1つであること:x, y がどちらも条件をみたせば、x−y は m でも n でも割り切れます。m, n は互いに素なので x−y は mn で割り切れ、x≡y(modmn) です。
3つ以上のとき:はじめの2つの条件を「mn で割った余り」の1つの条件にまとめ、次の条件と組み合わせることをくり返します。
実際に求めるときは、x=a+mk とおいて mk≡b−a(modn) を解きます。これは1次不定方程式を解くことと同じです。
孫子の問題:条件を1つずつ加えてしぼりこむと23。周期は 3×5×7=105
大学受験での使い方
大学受験例題1(孫子の問題)
3で割ると2余り、5で割ると3余り、7で割ると2余る正の整数のうち、最小のものを求めなさい。
解き方
3で割ると2余る数は 2, 5, 8, 11, …。このうち5で割ると3余る最初の数は 8 なので、2つの条件をまとめると x≡8(mod15)。
8, 23, 38, … のうち7で割ると2余るのは 23(23=7⋅3+2)。
3、5、7はどの2つも互いに素なので、解は x≡23(mod105) で、最小の正の整数は 23。
答え 23
大学受験例題2(1次不定方程式で解く)
x≡4(mod7)、
x≡6(mod11) をみたす整数
x をすべて求めなさい。
解き方
x=7k+4 とおくと 7k+4≡6(mod11)、つまり 7k≡2(mod11)。
7⋅8=56=5⋅11+1 より 7⋅8≡1(mod11)。両辺に 8 をかけて k≡16≡5(mod11)。
k=11l+5 を入れて x=7(11l+5)+4=77l+39。(確かめ:39=7⋅5+4=11⋅3+6)
答え x=77l+39(l は整数)
大学受験例題3(下2けたを求める)
2100 の下2けたを求めなさい。
解き方
100=4⋅25 で、4 と 25 は互いに素。それぞれで割った余りを調べます。
2100 は4で割り切れるので 2100≡0(mod4)。
210=1024=41⋅25−1 より 210≡−1(mod25)。よって 2100=(210)10≡(−1)10=1(mod25)。
25で割ると1余る数 1, 26, 51, 76 のうち4の倍数は 76。中国剰余定理より、100で割った余りはただ1つに決まり 2100≡76(mod100)。
答え 76
高校の範囲をこえる内容と入試での使い方
「3で割ると2余り、5で割ると3余る数」のような問題は、数学A「数学と人間の活動」の整数の性質で、1次不定方程式などを使って解く問題として出てきます。ただし「中国剰余定理」という名前と、一般の形の証明は高校の教科書の中心内容ではなく、大学の整数論・代数学で学ぶ発展内容です。
- 答案での使い方:具体的な数の問題では、x=7k+4 とおいて不定方程式を解く、または候補を順に調べる方法で、答えを実際に求めて書きます。「中国剰余定理より」とだけ書いて済ませるのは避けましょう。
- 存在や個数を問う証明問題:「余りの組がすべてちがう」ことを使う問題では、上の証明(n 個の余りがすべてちがう)の流れを答案に書きます。
- 大きな数の余り:例題3のように、法を互いに素な数に分けて計算すると楽になります。
- 検算:求めた x を、それぞれの数で実際に割って確かめます。
- 難関大の入試では、この定理が背景になっている整数問題があります。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
割る数が互いに素でないと、解がないこともある。4で割ると1余り、6で割ると2余る数は存在しないぞ。
- 互いに素でない数で使う:x≡1(mod4) と x≡2(mod6) は、前者は奇数、後者は偶数を求めるので解がない。
- 答えを1つだけ書く:「すべて求めよ」なら、mn ごとにくり返す無数の解(x≡23(mod105) など)を答える。
- まとめた法を和にする:2つの条件をまとめた法は m+n ではなく mn。
練習問題
- 大学受験 3で割ると1余り、4で割ると2余る正の整数のうち、最小のものを求めなさい。
答えと解説を見る
4で割ると2余る数 2, 6, 10, … のうち3で割ると1余る最初の数は 10。一般には x≡10(mod12)。答え 10 - 大学受験 x≡3(mod5)、x≡5(mod8) をみたす整数 x を、40 を法として求めなさい。
答えと解説を見る
x=8k+5 とおくと 8k+5≡3k≡3(mod5) より k≡1(mod5)。x=8(5l+1)+5=40l+13。答え x≡13(mod40) - 大学受験 4で割ると1余り、5で割ると2余り、7で割ると3余る正の整数のうち、最小のものを求めなさい。
答えと解説を見る
7で割ると3余る数 3, 10, 17, … のうち5で割ると2余る最初の数は 17(x≡17(mod35))。17=4⋅4+1 で4で割ると1余るので条件をみたす。答え 17(一般には x≡17(mod140))
関連する公式
よくある質問
中国剰余定理とは?
割る数 m と n が互いに素なら、m で割った余りと n で割った余りを指定したとき、それをみたす整数が mn ごとにただ1つあるという定理です。
なぜ「中国」の名前がついているのですか?
中国の古い数学書『孫子算経』に、3で割ると2余り、5で割ると3余り、7で割ると2余る数を求める問題があることに由来します。答えは23です。
実際にはどうやって求めますか?
x=a+mk とおいて、n で割った余りの条件から k を求めます。1次不定方程式を解くのと同じです。小さな数なら候補を順に調べても求められます。
割る数が互いに素でないとどうなりますか?
解がないこともあります。たとえば4で割ると1余り、6で割ると2余る数は、奇数と偶数の条件が矛盾するのでありません。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学A(数学と人間の活動)
- 大学初年級の整数論・代数学(範囲外の発展内容)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦