世界史用語集 › 第3章 古代ローマ
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コンスルと元老院こんする
重要度 ★★★★★ (★は合格大作戦の目安)
ひとことで言うと
コンスルと元老院とは、共和政ローマの政治の中心です。コンスル(執政官)は市民が毎年2人選ぶ任期1年の国のリーダー、元老院は役職経験者が集まる相談役の会議で、非常時だけ独裁官(任期6か月)が置かれました。
| 読み方 | こんする |
|---|---|
| 英語 | consul and senate(ラテン語 consul と senatus) |
| 時代 | 前509年ごろ〜前27年(共和政ローマの時代) |
| 地域 | ローマ |
| 章 | 第3章 古代ローマ |
| コンスル | 執政官。2人・任期1年・軍の最高司令官 |
| 元老院 | 役職経験者の会議。終身・およそ300人・助言が強い |
| 独裁官 | 非常時だけ。任期6か月 |
| いっしょに覚える | 護民官・民会・パトリキ・リキニウス・セクスティウス法・スッラ・カエサル |
このページのポイント
- コンスル(執政官)=2人・任期1年・おたがいに拒否・軍の最高司令官。王のように力を集めない工夫。
- 元老院=役職経験者の会議(終身・およそ300人)。法を決めるのは民会だが、元老院の助言は強い力を持った。
- 独裁官=非常時だけ・任期6か月。スッラやカエサルが終身独裁官になり、共和政は終わっていった。
コンスルと元老院をやさしく言うと
コンスル(執政官)は、共和政ローマの国のリーダーです。市民が毎年2人選び、任期は1年でした。元老院は、経験のある有力者が集まる、国の相談役の会議です。この2つが、共和政ローマの政治の中心でした。
- コンスル(執政官):2人・任期1年。戦争では軍の最高司令官になり、ふだんは元老院や民会を開いて、国の運営をしました。
- 元老院:前に役職についた人たちの集まり。法を決めるのは民会でしたが、元老院の助言は強い力を持ちました。
- 独裁官(ディクタトル):戦争などの非常のときだけ置かれる、全権の役職。任期は6か月。
ローマの人々は、王の支配に苦しんだ経験から、1人に力が集まらないしくみを大切にしました。王の代わりに2人のコンスル、任期は1年、2人がおたがいに反対できる、という具合です。
エンリケくん
コンスルは、どうして2人なんですか?
ロダン先生
2人いれば、どちらかが暴走しそうなとき、もう1人が止められるんだ。「おたがいに反対できる」のが大事なんだよ。そして1年たつと、ふつうの市民にもどる。力を持ち続けられないようにしたんだね。
エンリケくん
1人のリーダーより、安心ですね!
コンスルと元老院のくわしい流れ(しくみ・役割・変化)
① コンスルの始まり(前509年ごろ)
前509年ごろ、ローマが王を追放したとき、王の力は2人のコンスルに分けられた、と伝えられます。コンスルは、軍を指揮する権限(インペリウム)を持ちました。ただし、伝承が中心の時代なので、初期のようすはくわしく分かっていません。
はじめは、パトリキ(貴族)だけがコンスルになれました。しかし、リキニウス・セクスティウス法(前367年)で、2人のうち1人は平民から選ぶことになります。こうして、平民にも最高の役職の道が開かれました。
② コンスルの仕事
コンスルの主な仕事は、3つあります。
- 軍の指揮:戦争のときは、軍団(ローマ軍の部隊)を率いて戦いました。
- 会議を開く:元老院や民会を招集して、議長を務めました。
- 国の運営:役人の仕事をまとめ、外国の使いを迎えるなどしました。
ローマでは、年を「だれとだれがコンスルの年」と呼びました。たとえば「ガイウスとルキウスがコンスルのとき」というように、コンスルの名前で年を表したのです。毎年2人が替わるので、名前が年号の代わりでした。
③ 役職の階段
ローマの政治家は、決まった順番で役職を上がっていきました。財務官 → 按察官 → 法務官 → コンスルという順で、ふつうは、下から1段ずつのぼります。これを「出世の階段」と呼びます(ラテン語で「クルスス=ホノルム」といいます)。コンスルまで進んだ人は、特に大きな名誉と力を持ちました。このほか、市民の数や財産を調べる監察官などもありました。
④ 元老院:助言する役ではあるが、実際は強い
元老院は、コンスルなどの役職を終えた人たちが入る会議で、およそ300人ほどの議員がいました。議員は終身(一生)です。法を決めるのは民会でしたが、元老院は、外交・財政・戦争の方針などを話し合い、コンスルなどに「勧告」を出しました。経験豊かな議員が一生いるので、元老院の勧告は、事実上、大きな力を持ちました。
護民官の役目は、役人の決定にも反対できる強い役職でした。そしてホルテンシウス法で、平民会の決議が国の法になると、民会の力も増えました。
⑤ 独裁官と、共和政の終わり
国が大きな危機におちいったときは、元老院の求めに応じて、コンスルが1人を独裁官に指名しました。独裁官は、他の役職の反対を受けない全権を持ちましたが、任期は6か月まででした。危機が終わると、すぐに辞める決まりでした。
しかし、内乱の時代になると、この決まりは守られなくなります。前82年にスッラが、さらに前44年にカエサルが、期限のない「終身独裁官」になりました。カエサルは、王のようになるのではと恐れた人々に暗殺されます。そのあと、アウグストゥスが、元老院や役職の形を残しながら、実質は1人で治める帝政を始めました。

ロダン先生
コンスルは「任期1年・2人・おたがいに拒否」。この3点セットで覚えるといいよ。
しくみを図で整理する
前に見た図1・図3・図4で、しくみと役職の階段、独裁官の時代の流れを確かめました。ここで、「だれが、何をするか」を表にして整理します。
| 役職・機関 | だれが選ぶ/入る | 主な役割 |
|---|---|---|
| コンスル | 民会で市民が選ぶ(2人・1年) | 軍の指揮・国の運営 |
| 元老院 | 役職の経験者(終身) | 助言・外交・財政 |
| 民会 | ローマの市民 | 役人の選挙・法の決定 |
| 護民官 | 平民会で平民が選ぶ | 平民を守る・拒否権 |
| 独裁官 | コンスルが指名(非常時) | 全権を持つ(6か月) |
整理:コンスルと元老院のポイント
コンスル:2人・任期1年・おたがいに拒否・軍の最高司令官。元老院:役職の経験者・終身・およそ300人・助言(勧告)が強い。独裁官:非常時・任期6か月。終わり:スッラ・カエサルの終身独裁官 → 帝政。
コンスルの名前で年を表すしくみを知ると、ローマ数字の使い方も、おもしろく感じられるでしょう。
コンスルと元老院と関係する人物・用語
| 用語 | コンスルと元老院との関係 |
|---|---|
| 共和政ローマ | コンスルと元老院が中心の政治 |
| パトリキとプレブス | はじめコンスルは貴族だけ |
| 護民官(平民の代表) | 役人の決定に反対できる |
| リキニウス・セクスティウス法 | コンスルの1人を平民から選べるようにした |
| 三頭政治 | 元老院をこえた有力者の同盟 |
| カエサルの独裁 | 終身独裁官になって暗殺される |
| アウグストゥスの元首政 | コンスルなどの形を残した事実上の帝政 |
サクラちゃん
コンスルは、今の日本でいうと、総理大臣みたいなものですか?
合格先生
近いところもあるけれど、ちがう点も多いわ。コンスルは任期がたったの1年で、2人いて、軍の司令官でもあるの。今の首相より、ずっと「短く、2人で、戦う」役職ね。
サクラちゃん
1年で交代って、とても忙しそうです!
コンスルと元老院でまちがえやすい点
まちがえやすい点
- コンスルを「王」と同じにする:王は1人で一生。コンスルは2人で1年。おたがいに拒否できる。
- 法を決めるのは元老院だと思う:法を決めるのは民会。元老院は助言(勧告)をするが、実際には大きな力を持った。
- 元老院議員を選挙で選ぶと思う:元老院は、役職を経験した人が入る会議で、終身。
- 独裁官を「悪い独裁者」と思う:もとは、危機のときの任期6か月の役職。スッラ・カエサルが期限をなくしたため、意味が変わった。
- コンスルと護民官を混ぜる:コンスルは国のリーダーで軍の司令官。護民官は平民を守る役人。
- コンスルは最初から平民も就けた:最初は貴族だけ。前367年のリキニウス・セクスティウス法で平民にも道が開かれた。
入試ではこう出る
- 共通テスト:コンスル(任期1年・2人)・元老院・民会・護民官の役割の組み合わせ、独裁官の説明の正誤が問われます。ローマの政治しくみを、アテネの民主政と比べる問題もあります。
- 国公立の2次・論述:「共和政ローマの政治のしくみの特色」を、権力を集めない工夫(複数・任期・拒否権)から説明させる問題が考えられます。共和政が帝政に変わった理由も出ます。
- 私大:インペリウム・クルスス=ホノルム・独裁官スッラ・カエサルなどの語句。ポリュビオスの混合政体と結びつけた出題もあります。
世界史の勉強法その2【共通テスト対策】と合わせて、政治しくみは図にして覚えましょう。
ロダン先生の「これ知ってる?」
これ知ってる? 「コンスル」は今の「領事」のもと
英語の consul(領事)は、ローマのコンスルが元のことばなんだ。外国で自分の国の人を守る役人を、今もコンスル(領事)と呼ぶよ。ただし、仕事の中身はもちろん別ものだね。
これ知ってる? 「元老院」はアメリカの上院に
英語の senate(上院)の元は、ラテン語の senatus(元老院)だよ。senex(老人)が元で、「年長者の会議」という意味なんだ。アメリカの上院は、今も Senate と呼ばれているよ。
これ知ってる? コンスルのしるしは「束ねた棒」
コンスルの前には、「ファスケス」という、棒を束ねて斧をさした道具をかかげた従者が歩いたんだ。権力のしるしだよ。のちの時代に、国のしるしとしても使われたから、ヨーロッパの古い建物でときどき見かけるよ。旅先で探してみてね。

ロダン先生
コンスルは、王の力を2人で分け合い、1年で交代する。権力を集めないための工夫が、今の民主主義の考え方にもつながっているんだ。
練習問題
やさしい
- 共和政ローマで、市民が毎年2人選んだ国のリーダーを何というか。
答えと解説を見る
答え:コンスル(執政官)
任期は1年で、軍の最高司令官でもありました。 - 共和政ローマで、役職の経験者が集まり、助言をした会議を何というか。
答えと解説を見る
答え:元老院
議員は終身で、およそ300人でした。
ふつう
- 戦争などの非常時だけに置かれ、任期が6か月までだった役職を何というか。
答えと解説を見る
答え:独裁官(ディクタトル)
- コンスルが王とちがう点を、3つあげよ。
答えと解説を見る
答えの例:2人いる・任期は1年だけ・市民の選挙で選ばれ、おたがいに反対(拒否)できる。
3つのうち、どれでも3つ書ければ合格です。
むずかしい
- 正しいか誤りか答えよ。「共和政ローマでは、法を決める権限は元老院だけが持っていた。」
答えと解説を見る
答え:誤り
法を決めるのは民会でした。元老院は助言(勧告)をしましたが、その力は事実上、とても大きかったのです。 - 共和政ローマの政治のしくみが、権力が1人に集中しないようになっていた点を、60字ほどで説明せよ。
答えと解説を見る
答えの例:最高の役職のコンスルを2人にして任期を1年とし、おたがいに拒否できるようにして、元老院や民会、護民官も力を分け合ったから。(63字)
「2人・1年・拒否」の2つ以上が入れば合格です。
「古代ローマ」の章の用語
- 共和政ローマ(世界史) ★★★★★高校受験
- パトリキとプレブス(世界史) ★★★★★
- 護民官(世界史) ★★★★★
- 十二表法(世界史) ★★★★★
- リキニウス・セクスティウス法(世界史) ★★★★★
- ホルテンシウス法(世界史) ★★★★★
- ポエニ戦争(世界史) ★★★★★
- ハンニバル(世界史) ★★★★★
- ラティフンディア(世界史) ★★★★★
- グラックス兄弟(世界史) ★★★★★
- スパルタクスの反乱(世界史) ★★★★★
- 三頭政治(世界史) ★★★★★
- カエサル(世界史) ★★★★★
- アウグストゥス(世界史) ★★★★★高校受験
- ローマの平和(世界史) ★★★★★
- 五賢帝(世界史) ★★★★★
- カラカラ帝とアントニヌス勅令(世界史) ★★★★★
- 軍人皇帝時代(世界史) ★★★★★
- ディオクレティアヌス帝(世界史) ★★★★★
- コンスタンティヌス帝(世界史) ★★★★★
- ミラノ勅令(世界史) ★★★★★
- ニケーア公会議(世界史) ★★★★★
- テオドシウス帝(世界史) ★★★★★高校受験
- コロナトゥス(世界史) ★★★★★
この章の流れは古代ローマの年表(国と王朝の帯図・同じころの日本つき)で、年の順に確かめられます。
← 前の語:パトリキとプレブス(世界史) | 次の語:護民官(世界史) →
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よくある質問
コンスルとは何ですか?
コンスル(執政官)は、共和政ローマで、市民が毎年2人選んだ国のリーダーです。任期は1年で、戦争では軍の最高司令官になり、ふだんは元老院や民会を開いて国を運営しました。
コンスルはなぜ2人で、任期が1年なのですか?
王のように、1人に力が集まらないようにするためです。2人いればおたがいに反対(拒否)でき、1年で交代すれば、力を持ち続けられません。
元老院とは何ですか?
元老院は、役職の経験者が集まる会議で、議員は終身、およそ300人でした。法を決めるのは民会ですが、外交や財政について助言し、その勧告は事実上、大きな力を持ちました。
コンスルと元老院のちがいは何ですか?
コンスルは、市民が選ぶ任期1年の2人のリーダーで、実行する役です。元老院は、役職経験者が終身でつとめる会議で、助言する役です。
独裁官とは何ですか?
戦争などの非常時だけ、コンスルの指名で置かれた全権の役職です。任期は6か月で、危機が終わればすぐ辞めました。のちにスッラやカエサルが期限のない独裁官になりました。
コンスルになれるのは、どんな人でしたか?
はじめは貴族(パトリキ)だけでした。前367年のリキニウス・セクスティウス法で、2人のうち1人は平民から選ぶことになり、平民にも道が開かれました。
コンスルは日本の総理大臣と同じですか?
同じではありません。コンスルは任期が1年で、2人いて、軍の司令官でもありました。国のリーダーという点は近いですが、しくみはかなりちがいます。
ローマの役職の階段とは何ですか?
政治家が、財務官・按察官・法務官と1段ずつのぼり、最後にコンスルになるのが基本だった、出世の順番です。ラテン語で「クルスス=ホノルム」と呼ばれます。
コンスルは英語で何といいますか?
consul です。元老院は senate、独裁官は dictator と呼ばれ、英語の「領事」「上院」「独裁者」の元になったことばです。
コンスルと元老院は入試でどう出ますか?
共通テストでは、コンスルの任期・人数、元老院・民会・護民官の役割の組み合わせが問われます。論述では、権力が集中しないしくみの特色や、共和政が帝政に変わった理由が出ることがあります。
あわせて読みたい
出典・参考
- 高校「世界史探究」の教科書の一般的な記述
- ポリュビオス『歴史』(ローマの政治体制)
最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦


