鶏鳴狗盗(けいめいくとう)の意味と由来|史記の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

鶏鳴狗盗(けいめいくとう)の意味と由来|史記の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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鶏鳴狗盗けいめいくとう

ひとことで言うと

くだらないと思える特技でも役に立つことがあること。また、つまらない特技しかない人のたとえ。犬のまねのどろぼうと鶏の鳴きまねで、孟嘗君が秦をぬけ出した話から。

読み方けいめいくとう
意味①くだらないと思える特技でも、役に立つことがあるということ。②つまらない特技しかない人、小手先のはかりごとをする人のたとえ。
出典『史記』孟嘗君列伝(4字の形は北宋・王安石「読孟嘗君伝」に見える)
お話秦でとらえられた斉の孟嘗君が、犬のまねで狐白裘を盗み出す客と、鶏の鳴きまねで函谷関の門を開けさせる客に助けられた
似た言葉芸は身を助く・適材適所
関係する人孟嘗君(田文)・秦の昭王・王安石
漢文の句法使役(使)・願望(願)・限定(特〜耳)・反語(豈)

このページのポイント

  • 「鶏鳴狗盗」はくだらない特技も役に立つこと、またつまらない特技しかない人のたとえ
  • 出典は『史記』孟嘗君列伝。犬のまねと鶏の鳴きまねで秦をぬけ出した話を4こまのイラストで読めます
  • 王安石の「読孟嘗君伝」の批判とあわせて読むと、同じ話の2つの見方が分かります

「鶏鳴狗盗」の意味と読み方

「鶏鳴狗盗」はけいめいくとうと読みます。「鶏鳴」は鶏(にわとり)の鳴きまね、「狗盗」は犬(狗)のまねをしてしのびこみ、物を盗むことです。

意味は、辞書によって2つの面が書かれています。1つは、「くだらないと思える特技でも、役に立つことがある」ということ。もう1つは、「つまらない特技しかない人」「小手先のはかりごとをする人」のたとえです。ほめる使い方と、けなす使い方の両方があるのが、この言葉のおもしろいところです。

「鶏鳴」+「狗盗」鶏鳴鶏の鳴きまね(けいめい)狗盗犬のまねで盗む(くとう)意味① つまらない特技でも役に立つくだらないと思える才能も、使い方しだいで生きる意味② つまらない特技しかない人小さな才能・小手先のはかりごとの人のたとえ
「鶏鳴」と「狗盗」の組み立てと、2つの意味。どちらの意味で使っているかは、前後の文で判断します
うかるくん

うかるくん

鶏の鳴きまねと、犬のまねのどろぼう…。なんでそんな言葉が故事成語になったんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

中国の歴史書『史記(しき)』に、この2つの「特技」で命を救われた人の話があるんだ。斉の国の孟嘗君(もうしょうくん)という有力者だよ。たくさんの客を養っていて、その中に、ほかの客からばかにされていた2人がいた。その2人が、いちばん大事な場面で役に立ったんだ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○文化祭では、ものまねが得意な彼が大活やくした。鶏鳴狗盗もばかにできない。(意味①)
  • ○鶏鳴狗盗のたぐいでも、使い方しだいで力になる。(意味①)
  • ○小手先の鶏鳴狗盗のやり方ばかりでは、本当の信頼は得られない。(意味②)

絵で読む「鶏鳴狗盗」のお話

話の流れを、4つの場面で見てみましょう。舞台は戦国時代の秦(しん)の国です。斉の孟嘗君は、秦の昭王によばれて宰相(大臣のかしら)にむかえられますが、「孟嘗君は斉の王族だから、秦より斉を大事にするだろう」という声が出て、とらえられ、殺されそうになります。

絵で読む「鶏鳴狗盗」のお話(4こま)

1秦でつかまる狐白裘をくれたら王にたのんであげるわもう王にあげてしまった…
1斉の孟嘗君は、秦の国によばれて行きましたが、とらえられてしまいます。王のお気に入りの女性にたすけをたのむと、「狐白裘(白い狐の毛皮の上着)をくれたら」と言われますが、それはもう王にさしあげていました。
2犬のまねで蔵へワン…秦の蔵
2食客の中でいちばん下の席にいた、犬のまねがうまい男が、夜に犬のようにして宮殿の蔵にしのびこみ、狐白裘を取ってきます。それをおくると、孟嘗君はゆるされました。
3夜中の函谷関函谷関コケコッコー!コケコッコー
3孟嘗君は名前を変えてにげ、夜中に函谷関に着きます。関所は「鶏が鳴いたら旅人を出す」きまりで、門は開きません。そこで、鶏の鳴きまねがうまい食客が鳴くと、鶏たちがいっせいに鳴き出しました。
4門が開いて脱出函谷関しまった!遂に伝を発して出づ
4門が開き、孟嘗君たちは関所を出ました。まもなく秦の追っ手が着きましたが、間に合いませんでした。

2人の特技は、ふだんならわらわれるようなものです。実際、孟嘗君がこの2人を客にむかえたとき、ほかの客たちはみな「はずかしい」と思っていた、と書かれています。ところが、秦からの脱出という一番の危機で役に立ったのは、その2人だけでした。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

この話は、「どんな特技も、使う場面しだいで大きな力になる」という読み方ができる。いっぽうで、「こんな者しか集まらなかった」と読む人もいたんだ。その話は「出典と背景」でくわしく見ていこう。

白い鶏が、黄色い唐傘と青い朝顔の前に立っている、縦長の色あざやかな木版画
歌川広重の木版画「傘と鶏と朝顔」(1830年ごろ)。函谷関では、この鶏の「鳴き声」が門を開ける合図でした。画像:歌川広重「Rooster, Umbrella, and Morning Glories」(日本・江戸時代 1830年ごろ、メトロポリタン美術館蔵、パブリックドメイン)

「鶏鳴狗盗」の原文・書き下し文・現代語訳

話は『史記』孟嘗君列伝にあります。少し長いので、大事な場面を1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

1文目:王のお気に入りの女性にたのむ

書き下し文孟まう嘗しやう君くん、人ひとをして昭せう王わうの幸かう姫きに抵いたりて解とかんことを求もとめしむ。

(『史記』孟嘗君列伝)

現代語訳孟嘗君は、人を昭王のお気に入りの女性のところへ行かせて、ゆるしてもらえるようたのませた。

ここがポイント「使A〜(Aをして〜しむ)」は「Aに〜させる」という使役の句法。「使」は書き下し文ではひらがなで「しむ」と書きます。上下点の中に一二点とレ点が入った形で、「求」についた「上レ」は、レ点で「解」から返り、さらに上下点で「使」へ返る印です。

2文目:狐白裘がほしい

書き下し文幸かう姫き曰いはく、「妾せふ願ねがはくは君きみの狐こ白はく裘きうを得えん。」

(『史記』孟嘗君列伝)

現代語訳お気に入りの女性が言うには、「わたしは、どうかあなたの狐白裘をいただきたい。」

ここがポイント「願はくは〜ん」は「どうか〜したい」という願望の句法。「妾(せふ)」は女性が自分をへりくだって言うことば。狐白裘は、狐のわきの下の白い毛を集めて作った、とても高価な上着とされます。『史記』には「千金の値打ちがあり、天下に二つとない」と書かれています。

3文目:だれも答えられない

書き下し文孟まう嘗しやう君くん之これを患うれへ、遍あまねく客かくに問とふも、能よく対こたふる莫なし。

(『史記』孟嘗君列伝)

現代語訳孟嘗君はこれに困って、客たちにくまなくたずねたが、答えられる者はいなかった。

ここがポイント「莫(な)し」は「〜する者はいない」という否定の句法。「能く」は「〜できる」で、可能の言い方の字です。狐白裘はもう王にさしあげてしまい、ほかには一枚もなかったからです。

4文目:犬のまねの名人

書き下し文最さい下か坐ざに能よく狗く盗たうを為なす者もの有あり。

(『史記』孟嘗君列伝)

現代語訳いちばん下の席に、犬のまねをして盗みをするのが得意な者がいた。

ここがポイント「狗盗」は、犬のように夜しのびこんで盗むこと。上下点の中に一二点がある形で、「狗盗→為→者→有」の順に読みます。

5文目:蔵から狐白裘を取り出す

書き下し文乃すなはち夜よる狗いぬと為なり、以もつて秦しん宮きゆうの臧ざう中ちゆうに入いり、献けんずる所ところの狐こ白はく裘きうを取とりて至いたる。

(『史記』孟嘗君列伝)

現代語訳そこで夜に犬のふりをして、秦の宮殿の蔵の中に入り、さしあげた狐白裘を取ってもどってきた。

ここがポイント「所(ところ)」は下の動詞から返って読み、「〜する所の…」の形になります。「臧(ざう)」は「蔵」と同じで、くらのこと。この狐白裘を女性におくり、女性が王にとりなして、孟嘗君はゆるされました。

6文目:関所のきまり

書き下し文関くわんの法はふは、鶏にはとり鳴なきて客かくを出いだす。

(『史記』孟嘗君列伝)

現代語訳関所のきまりでは、鶏が鳴いてから旅人を外に出すことになっていた。

ここがポイント「而」は読まない置き字で、「鳴きて」の「て」の働きをしています。夜明けの鶏の声が、関所の門を開ける合図だったのです。

7文目:鶏の鳴きまねで門が開く

書き下し文客かくの下か坐ざに居をる者ものに、能よく鶏鳴けいめいを為なすもの有あり。而しかうして鶏にはとり斉ひとしく鳴なき、遂つひに伝でんを発はつして出いづ。

(『史記』孟嘗君列伝(原文は「鷄」))

現代語訳客の中の下の席にいる者に、鶏の鳴きまねが得意な者がいた。(その者が鳴くと)鶏がいっせいに鳴き、とうとう通行手形を見せて関所を出た。

ここがポイントここの「而(しかうして)」は読む「而」で、「そうして」という意味のつなぎの言葉です(「而」の読み方と働き)。「伝(でん)」は関所を通るための通行手形のこと。
孟嘗君のにげ道(おおまかな位置)秦とらえられる(西の国)函谷関斉孟嘗君の国(東の国)夜中に着く鶏が鳴くまで開かない西の秦から、東の斉へ向かう道の関所※位置は分かりやすくした図で、正しい地図ではありません
西の秦から、東の斉へ。函谷関は、秦から東へぬける道の大事な関所でした

原典(『史記』孟嘗君列伝)の本文では

維基文庫(中国語のウィキソース)で見られる『史記』孟嘗君列伝の本文と、上の訓読文には、次のようなちがいがあります。

  • 旧字体:原典は「鷄」「關」「獻」「傳」などの字で書かれています。上では今の日本の字体にしています。
  • その前後:脱出のあと、本文は「始め孟嘗君此の二人を賓客に列(なら)ぶるや、賓客尽く之を羞(は)づ。孟嘗君の秦の難有るに及び、卒(つひ)に此の二人之を抜く。是れより後、客皆服す」と続きます。はじめはほかの客がはずかしがったが、最後にはこの2人が孟嘗君を救い、それからは客たちもみな感心した、という結びです。
  • 4字の言葉は出てこない:『史記』の本文には「鶏鳴狗盗」という4字の言葉はありません。4字の形は、のちの王安石の文章に見えます(下の「出典と背景」)。

王安石「読孟嘗君伝」より

書き下し文孟まう嘗しやう君くんは特ただ鶏けい鳴めい狗く盗たうの雄ゆうのみ。豈あに以もつて士しを得うと言いふに足たらんや。

(王安石「読孟嘗君伝」(北宋。原文は「雞鳴狗盜」))

現代語訳孟嘗君は、ただ鶏の鳴きまねや犬のまねのどろぼうたちの親分にすぎない。どうしてすぐれた人物を得たと言うことができようか(いや、できない)。

ここがポイント「特だ〜のみ」は「ただ〜だけだ」という限定の句法。「豈に〜んや」は「どうして〜か、いや〜ない」という反語の句法です。一二点の上に三点がつく形で、「士→得→言→足」の順に読みます。
「鶏鳴狗盗」で覚える句法5つ使A〜Aをして〜しむAに〜させる使役願〜願はくは〜んどうか〜したい願望莫能〜能く〜莫し〜できる者はいない否定特〜耳特だ〜のみただ〜だけだ限定豈〜哉豈に〜んやどうして〜か(いや〜ない)反語
「鶏鳴狗盗」の原文に出てくる句法は5つ。使役・願望・否定・限定・反語をまとめて復習できます

出典『史記』と話の背景

「鶏鳴狗盗」の話の出典は、前漢の司馬遷(しばせん)が書いた歴史書『史記』の孟嘗君列伝です。孟嘗君は名を田文(でんぶん)といい、斉の王族の家に生まれました。多くの人を客(食客=しょっかく)として養ったことで知られ、『史記』には「食客三千人」と書かれています。

食客を集めた「戦国四君」斉孟嘗君名は 田文趙平原君名は 趙勝魏信陵君名は 魏無忌楚春申君名は 黄歇孟嘗君の食客は「三千人」と書かれています
戦国時代には、たくさんの食客をかかえた有力者が各国にいました。とくに有名な4人を「戦国四君」とよびます

戦国時代の有力者たちは、身分や出身にこだわらず、さまざまな特技を持つ人を客としてむかえ、食事や住まいの世話をしました。客は、主人がこまったときに知恵や力を貸します。斉の孟嘗君・趙の平原君・魏の信陵君・楚の春申君の4人は、とくに多くの客を集めたことで「戦国四君」とよばれます。平原君の客の話からは「嚢中の錐(のうちゅうのきり)」「毛遂自薦(もうすいじせん)」という言葉も生まれました。

王安石の批判「読孟嘗君伝」

この話には、ちがう見方もあります。北宋の政治家・文人の王安石(おうあんせき)は、「読孟嘗君伝(孟嘗君伝を読む)」という短い文章で、世の人が「孟嘗君はすぐれた人物(士)を集めた」とほめるのに反対しました。孟嘗君は「鶏鳴狗盗の雄(親分)」にすぎない。もし本当にすぐれた人物を一人でも得ていたなら、強い斉の力で秦をおさえられたはずだ。鶏鳴狗盗のような者が門下にいたからこそ、本当の士は来なかったのだ、というのです。

同じ話の、2つの見方『史記』(司馬遷)みんながはずかしいと思っていた2人が孟嘗君の命を救った→「客皆服す」(客もみな感心した)「読孟嘗君伝」(北宋・王安石)孟嘗君は「鶏鳴狗盗の雄」にすぎないそんな者がいたから、本当の士は来ない→ 人を集めたとは言えない、と批判「鶏鳴狗盗」の4字の形は、王安石の文に見えます
『史記』は2人の活やくを描き、王安石は「それしかいなかった」と批判しました。同じ話でも、読み方は一つではありません

辞書にある「つまらない特技しかない人」「小手先のはかりごと」という意味②は、この王安石の見方につながっています。いっぽう、「くだらない特技でも役に立つ」という意味①は、『史記』の話の流れそのものです。この短い文章「読孟嘗君伝」は、昔から漢文の名文を集めた本(『古文観止』など)にも入っていて、漢文の教材としても読まれてきました。

「鶏鳴狗盗」の使い方と例文・似た言葉

「鶏鳴狗盗」は、文章の中で使われることが多い、少しかたい言葉です。ほめるときは意味①、けなすときは意味②と、前後の言葉でどちらの意味かが決まります。

  • ○チームには、鶏鳴狗盗の特技を持つ仲間も必要だ。(意味①:どんな特技も役に立つ)
  • ○手品が得意な先生の話で教室がもり上がった。鶏鳴狗盗も使いようだ。(意味①)
  • ○鶏鳴狗盗のような小細工では、大きな仕事はできない。(意味②:小手先のはかりごと)
  • ○王安石は、孟嘗君を「鶏鳴狗盗の雄」と批判した。(もとの文に近い使い方)
  • ×朝早く鶏が鳴いて、鶏鳴狗盗だった。(「朝早い」「動物が鳴く」という意味ではない)
  • ×犬がどろぼうをつかまえた。まさに鶏鳴狗盗だ。(「狗盗」は犬のまねをして盗む人のことで、犬の手がらの話ではない)

似た言葉・関係のある言葉

  • 芸は身を助く:身につけた芸が、こまったときに生活の助けになる、ということわざ。意味①に近い言葉です。
  • 適材適所(てきざいてきしょ):その人の力に合った場所で使うこと。2人の特技が、ちょうど合う場面で生きた話とも言えます。
  • 嚢中の錐:すぐれた人は、ふくろの中のきりのように、自然と目立ってくるというたとえ。同じ戦国四君(平原君)の話です。
  • 小手先・小細工:意味②に近い、目先だけのやり方のことです。

「鶏鳴狗盗」のよくあるまちがい

  • 読み方を「けいめいこうとう」「とりなきいぬぬすみ」とする:「狗」は「く」と読み、「けいめいくとう」です。
  • 「狗」を「拘」「駒」と書く:「狗」はけものへんの字で、犬のことです。「鶏」の字は「鶏」の読み方・書き順・部首、「盗」の字は「盗」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
  • 「狗盗」を「犬が盗む」と思う:犬が盗むのではなく、人が犬のふりをしてしのびこんで盗むことです。
  • ほめ言葉だけだと思う:王安石の文章のように、「つまらない者たち」とけなす使い方もあります。
  • 出典を王安石の文だけだと思う:話そのものは『史記』孟嘗君列伝にあります。4字の言葉の形が王安石の文に見える、という関係です。
うかるくん

うかるくん

「使人抵昭王幸姫求解」、返り点が多くてどこから読めばいいか分かりません…。

ミスターT先生

ミスターT先生

まず「使(しむ)」がいちばん最後に読まれる、と見当をつけよう。使役の文は「AをしてBしむ」だから、「人をして(Aに)……求めしむ」の形になる。あとは中の「昭王の幸姫に抵りて」「解かんことを求め」を順に読めばいい。使役の句法(使・令・教・遣)で同じ形を練習できるよ。

入試ではこう出る

  • 中学受験:四字熟語の意味や読みを問う問題で、ときどき出てきます。「鶏」「盗」の漢字の書き取りにも注意しましょう。
  • 高校受験:漢文の資料として、返り点のつけ方、「使」の使役、2人の客が役に立った場面などが問われます。高校受験の漢文の対策は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:『史記』の本文や王安石「読孟嘗君伝」が出ると、使役・願望・限定・反語の句法、「客皆服す」の理由、王安石が孟嘗君を批判した理由を説明させる問題などがよく問われます。共通テストの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

王安石の批判は、「鶏鳴狗盗のような者が門下にいたから、本当にすぐれた人物は来なかった」という理屈ですね。『史記』の見方とくらべて説明できるようにしておきます!

練習問題

やさしい

  1. 「鶏鳴狗盗」の読み方をひらがなで書きましょう。
    答えと解説を見るけいめいくとう。「狗」は「く」と読み、犬のことです。
  2. 「鶏鳴」「狗盗」は、それぞれどんなことですか。
    答えと解説を見る「鶏鳴」は鶏の鳴きまね、「狗盗」は犬のまねをしてしのびこみ、物を盗むことです。

ふつう

  1. 「関法、鶏鳴而出客」を書き下し文に直し、意味を答えましょう。
    答えと解説を見る関の法は、鶏鳴きて客を出だす。「関所のきまりでは、鶏が鳴いてから旅人を外に出す」という意味です。
  2. 孟嘗君が秦をぬけ出すのに、2人の客はそれぞれどのように役に立ちましたか。
    答えと解説を見る犬のまねがうまい客は、秦の宮殿の蔵から狐白裘を盗み出し、それを王のお気に入りの女性におくって、孟嘗君がゆるされるようにしました。鶏の鳴きまねがうまい客は、夜中の函谷関で鶏の声をまねて本物の鶏を鳴かせ、関所の門を開けさせました。

むずかしい

  1. 王安石は「読孟嘗君伝」で、孟嘗君をどのように評価しましたか。理由とあわせて答えましょう。
    答えと解説を見る孟嘗君は「鶏鳴狗盗の雄(親分)」にすぎず、すぐれた人物を得たとは言えないと批判しました。本当にすぐれた人物が一人でもいれば、強い斉の力で秦をおさえられたはずで、鶏鳴狗盗のような者が門下にいたから本当の士が来なかったのだ、という理由です。
  2. 「豈足以言得士」を書き下し文に直し、句法の名前を答えましょう。
    答えと解説を見る豈に以て士を得と言ふに足らんや。「豈に〜んや」は反語で、「どうしてすぐれた人物を得たと言えようか(いや、言えない)」という意味です。

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よくある質問

鶏鳴狗盗の意味を簡単に言うと何ですか?

くだらないと思える特技でも役に立つことがある、という意味です。また、つまらない特技しかない人や、小手先のはかりごとをする人のたとえとしても使います。

鶏鳴狗盗の由来はどんな話ですか?

『史記』孟嘗君列伝の話です。秦でとらえられた斉の孟嘗君は、犬のまねをして蔵から狐白裘を盗み出した客のおかげでゆるされ、夜中の函谷関では、鶏の鳴きまねをした客のおかげで門を開けさせて、秦をぬけ出しました。

鶏鳴狗盗の出典は何ですか?

話の出典は前漢の司馬遷の『史記』孟嘗君列伝です。ただし『史記』の本文には「鶏鳴狗盗」の4字は出てこず、4字の形は北宋の王安石「読孟嘗君伝」の「孟嘗君特鶏鳴狗盗之雄耳」に見えます。

王安石は孟嘗君をどう評価しましたか?

「読孟嘗君伝」で、孟嘗君は鶏鳴狗盗の親分にすぎず、すぐれた人物を得たとは言えない、と批判しました。鶏鳴狗盗のような者が門下にいたから、本当の士が来なかったのだと述べています。

函谷関の門はなぜ開いたのですか?

関所のきまりで、鶏が鳴いたら旅人を出すことになっていたからです。鶏の鳴きまねが得意な客が鳴くと、本物の鶏もいっせいに鳴き、夜明け前に門が開きました。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 原文:『史記』孟嘗君列伝(維基文庫の本文で確認。字は今の日本の字体で表示)
  • 原文:王安石「読孟嘗君伝」(維基文庫の本文で確認)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • 絵:メトロポリタン美術館(Open Access、パブリックドメイン)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦