毛遂自薦(もうすいじせん)の意味と由来|史記の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読む毛遂と楚王の話【故事成語】

毛遂自薦(もうすいじせん)の意味と由来|史記の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読む毛遂と楚王の話【故事成語】

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毛遂自薦もうすいじせん

ひとことで言うと

人からすすめられるのを待たず、自分から進んで名乗り出ること。戦国時代、趙の毛遂が自分から平原君の使いに加わり、楚王を説き伏せて同盟を成功させた話から。

読み方もうすいじせん
意味人からすすめられるのを待たずに、自分から進んで名乗り出ること。自分で自分を推薦すること。
もとの形毛遂、自ら平原君に賛す(自賛於平原君)
出典『史記』平原君虞卿列伝
お話秦に都を囲まれた趙の平原君が楚へ救いを求めるとき、食客の毛遂が自ら名乗り出て一行に加わり、剣に手をかけて楚王を説き伏せ、合従を結ばせた
似た言葉名乗りを上げる・自己推薦・隗より始めよ
反対の言葉他薦・推薦
漢文の句法不可能(〜を得ず)・比較(A於B)・反語(豈に〜んや)

このページのポイント

  • 「毛遂自薦」は自分から進んで名乗り出ること。「自画自賛(自分をほめる)」とはちがいます
  • 出典は『史記』平原君虞卿列伝。毛遂が楚王を説き伏せて合従を結ばせた話を、4こまのイラストで読めます
  • 平原君は毛遂を「三寸の舌は百万の師より彊し」とたたえました。同じ話から「嚢中の錐」も生まれています

「毛遂自薦」の意味と読み方

「毛遂自薦」はもうすいじせんと読みます。意味は「人からすすめられるのを待たずに、自分から進んで名乗り出ること。自分で自分を推薦すること」です。

「毛遂(もうすい)」は、中国の戦国時代の人の名前です。「自薦(じせん)」は自分で自分を推薦することで、人にすすめてもらう「他薦(たせん)」の反対です。毛遂が、だれにもすすめられていないのに「わたしを連れて行ってください」と名乗り出て、大きな手がらを立てた話から生まれました。

「自薦」と「他薦」のちがい他薦(たせん)上の人AさんBさんBがよい自薦(じせん)上の人Bさんわたしにやらせて毛遂自薦=自分から進んで名乗り出ること
人にすすめてもらうのが「他薦」、自分で自分をすすめるのが「自薦」。毛遂自薦は自薦のほうです
うかるくん

うかるくん

「毛遂」って、毛がどうかしたんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

ははは、人の名前なんだ。「毛」が名字で「遂」が名前。中国の戦国時代、趙の国の宰相・平原君(へいげんくん)の家にいた食客の一人だよ。平原君が大事な使いに出るとき、毛遂は自分から「わたしを加えてください」と名乗り出た。出典は『史記』の平原君虞卿列伝だ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○だれも手をあげない中、毛遂自薦で学級委員に立候補した。
  • ○新しい仕事のリーダーに、毛遂自薦で名乗りを上げた。
  • ○「毛遂自薦ですが、その役をわたしにやらせてください」と言った。

この言葉は、勇気を出して自分から手をあげることをほめるときにも、少しへりくだって「自分から言い出してすみませんが」という気持ちをこめるときにも使います。毛遂が、ただ名乗り出ただけでなく、そのあと本当に大きな手がらを立てたことが、この言葉の大事なところです。

絵で読む「毛遂自薦」のお話

まずは話の流れを、4つの場面で見てみましょう。登場するのは、趙の宰相平原君、その食客の毛遂、そして南の大国・楚の王です。『史記』では「楚王」とだけ書かれていますが、時代から、楚の考烈王(こうれつおう)のこととされます。

絵で読む「毛遂自薦」のお話(4こま)

1毛遂が名乗り出るくすくすわたしを一行に加えてください!平原君毛遂
1秦に都を囲まれた趙の平原君が、楚へ連れて行く二十人を選ぶと、十九人しか決まりません。そこで食客の毛遂が、自分から「わたしを加えてください」と名乗り出ます。選ばれていた十九人は、目くばせしあって笑いました。
2昼になっても決まらないもう昼…利害は二言で決まる話です!楚王平原君毛遂
2楚の宮殿で、平原君と楚王は日の出から話し合いますが、昼になっても合従(同盟)が決まりません。十九人に「先生、上がりなさい」と言われた毛遂は、剣のつかに手をかけて階段をかけ上がり、「利害は二言で決まる話です」と言います。
3楚王を説き伏せる十歩の内では、楚の大軍もたのめません。合従は楚のためです!毛遂楚王
3「下がれ」としかる楚王に、毛遂は剣に手をかけたまま進み出て、「十歩の内では、楚の大軍もたのめません」「秦の白起に都を焼かれたはじを忘れたのですか」「合従は楚のためです」と、たたみかけるように説きます。
4合従が決まる合従は定まった!三寸の舌は百万の師より強し(平原君)
4楚王は「先生のおっしゃるとおり」と承知し、毛遂のささげる銅の盤の血をすすって、合従の約束が結ばれました。趙に帰った平原君は「毛先生の三寸の舌は、百万の軍よりも強い」とたたえました。

毛遂は、まず名乗り出るところで笑われ、楚の宮殿では王に「下がれ」としかられました。それでも引き下がらず、短い言葉で相手の気持ちを動かして、平原君が半日かけても決められなかった同盟を、あっという間にまとめてしまったのです。

親指を立てるミスターT先生

ミスターT先生

毛遂がすごいのは、名乗り出たことよりも、名乗り出たあとに結果を出したことだ。「毛遂自薦」は、ただの「出しゃばり」ではなく、自分の力を信じて手をあげ、ちゃんとやりとげることをたたえる言葉なんだよ。

なお、名乗り出たときに平原君が言った「賢い人は袋の中の錐のように、すぐ先が見えるもの」というたとえと、毛遂の「早く袋に入れてもらえば穎脱して出た」という言い返しは、「嚢中の錐(のうちゅうのきり)」のページでくわしく読めます。

「毛遂自薦」の原文・書き下し文・現代語訳

ここでは『史記』平原君虞卿列伝の本文から、毛遂が名乗り出る場面と、楚王を説き伏せる場面を読みます。原文の「贊」「從」「國」「爲」「縣」などは、ここでは今の字で表示します。書き下し文は代表的な読み方の一例です。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

白文(『史記』平原君虞卿列伝より。句読点を補い、一部を省いたもの)門下有毛遂者、前、自賛於平原君曰、「遂聞君将合従於楚、約与食客門下二十人偕、不外索。今少一人、願君即以遂備員而行矣。」……楚王叱曰、「胡不下。吾乃与而君言、汝何為者也。」毛遂按剣而前曰、「王之所以叱遂者、以楚国之衆也。今十歩之内、王不得恃楚国之衆也、王之命県於遂手。……合従者為楚、非為趙也。」

1文目:自分から名乗り出る

書き下し文門もん下かに毛もう遂すいといふ者もの有あり。前すすみて、自みづから平へい原げん君くんに賛さんして曰いはく、

(『史記』平原君虞卿列伝(原文は「贊」))

現代語訳(平原君の)門下に毛遂という者がいた。進み出て、自分で自分を平原君にすすめて言った、

ここがポイント「門下」は、平原君の家に身を寄せる食客たちのこと。「自ら賛す」は「自分で自分をすすめる」で、これが「自薦」にあたります。原文は「自薦」ではなく「自賛」と書かれている点に注意しましょう。「於」は読まない置き字で、場所や相手を表します(「於」の読み方と働き)。

このあと毛遂は「あなたは楚と合従を結ぶため、食客から二十人を連れて行き、外からは探さないと聞きました。今、一人足りません。どうかわたしを数に入れて行ってください」と言いました。平原君は「袋の中の錐」のたとえで断ろうとしますが、毛遂に言い返され、ついに連れて行くことにします。

2文目:王がわたしをしかるわけ

書き下し文王おうの遂すいを叱しつする所以ゆゑんの者ものは、楚そ国こくの衆しゅうを以もつてなり。

(『史記』平原君虞卿列伝)

現代語訳王がわたしをしかりつけるわけは、楚の国の人数(兵の多さ)をたのみにしているからです。

ここがポイント「〜所以(ゆゑん)」は「〜するわけ・理由」。下の「叱遂(遂を叱する)」から返って読みます。「衆(しゅう)」は「人数の多さ・大軍」。「以(もつ)て」は「〜によって・〜をたのみにして」で、「以」の読み方と働き(以て・以為へらく)でくわしく説明しています。

3文目:十歩の内では大軍もたのめない

書き下し文今いま十じっ歩ぽの内うち、王おう楚そ国こくの衆しゅうを恃たのむを得えざるなり。王おうの命めいは遂すいの手てに県かかれり。

(『史記』平原君虞卿列伝(原文は「縣」))

現代語訳今、この十歩の内では、王は楚の大軍をたのみにすることはできません。王の命は、わたしの手にかかっているのです。

ここがポイント「〜を得ず」は「〜できない」という可能・不可能の句法(能く・得・可)。レ点が2つ続くので、「恃む→得→ざる」と下から順に返ります。「県(かか)る」は、ここでは「懸かる(ぶら下がる)」の意味です。剣に手をかけた毛遂が、王のすぐ目の前にいることを思い出させて、王をおどしているのです。

4文目:合従は楚のため

書き下し文合がっ従しょうする者ものは楚その為ためにして、趙ちょうの為ために非あらざるなり。

(『史記』平原君虞卿列伝(原文は「爲」))

現代語訳合従(秦に対抗するための同盟)は楚のためのものであって、趙のためのものではありません。

ここがポイント「為(ため)に」は「〜のために」。上下の字から返って読む字です。「為」の読み方は「為」の読み方(ため・なる・なす・たり)にまとめています。「非(あら)ず」は否定の句法(不・非・無)の字。毛遂は「趙を助けてほしい」と頼むのではなく、「これは楚の得になる話だ」と言いかえて、王を動かしました。

5文目:三寸の舌は百万の師より強し(平原君)

書き下し文毛もう先せん生せい三さん寸ずんの舌したを以もつて、百ひゃく万まんの師しよりも彊つよし。

(『史記』平原君虞卿列伝(趙に帰った平原君の言葉))

現代語訳毛先生は、三寸の舌(弁舌)によって、百万の軍隊よりも強い力を発揮した。

ここがポイント「師(し)」は、ここでは「先生」ではなく「軍隊」。「A於B」で「BよりもA」とくらべる比較の句法(於・不如・莫如)です。「於」は読まない置き字ですが、送り仮名の「よりも」で比べる意味を表します。「彊」は「強」と同じ意味の字です。
「毛遂自薦」の原文で覚える句法4つ所以〜所以の者は〜するわけは理由不得〜〜を得ず〜できない不可能豈〜哉豈に〜んやどうして〜か(いや〜ない)反語A於BBよりもABよりも(もっと)A比較
「毛遂自薦」の話の原文で覚えたい句法は4つ。理由・不可能・反語・比較が1つの話で練習できます

楚王がはじめに毛遂をしかった言葉「胡(なん)ぞ下らざる(どうして下がらないのか)」の「胡ぞ」は、「何ぞ」と同じ疑問・反語の字です。また毛遂は「殷の湯王は七十里、周の文王は百里の土地から天下をとった。豈(あ)に其の士卒衆多ならんや(どうして兵が多かったからだろうか、いやそうではない)」とも言いました。こうした反語の句法(豈に〜んや・何ぞ〜ん)や疑問の句法(何・胡・安・誰)が、この話にはたくさん出てきます。

サクラちゃん

サクラちゃん

「毛遂自薦」っていう4字は、原文に出てくるんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

原文は「自ら平原君に賛して」で、「自薦」ではなく「自賛」と書かれているんだ。「毛遂自薦」は、この話をまとめて後の人が作った4字の言い方だね。中国でも「毛遂自荐」と言うよ。ただ、いつ・どの本から4字の形で言うようになったかは、はっきりした資料が見つからなかった。

出典『史記』平原君虞卿列伝と話の背景

「毛遂自薦」の出典は、前漢の司馬遷(しばせん)が書いた『史記』の「平原君虞卿列伝」です。平原君は趙の公子・趙勝(ちょうしょう)で、食客を数千人も抱えた「戦国の四君」の一人です。

秦・趙・楚と、平原君の旅長江黄河秦趙都・邯鄲楚邯鄲を囲む平原君と毛遂ら二十人(位置は大まかなもの)
西の秦が趙の都・邯鄲を囲み、平原君は毛遂たちを連れて南の楚へ救いを求めに行きました

なぜ楚へ行ったの?

紀元前260年の長平(ちょうへい)の戦いで、趙は秦に大敗しました。そのあと秦の軍は趙の都・邯鄲(かんたん)を囲みます。趙だけでは秦に勝てないので、平原君は南の大国・楚に、秦に対抗する同盟「合従(がっしょう)」を結んでもらうために出かけたのです。合従は、もともと遊説家の蘇秦が説いた策として知られています(鶏口牛後の話)。

毛遂はどうやって楚王を動かした?

毛遂の説得は、順番がよく考えられています。まず剣に手をかけて「十歩の内では大軍もたのめない」とおどし、次に「湯王や文王は小さな国から天下をとった。楚は広さ五千里、兵は百万。覇者になれる国だ」とはげまします。さらに「秦の将軍・白起(はくき)は、ただの若造なのに、楚の都を攻めとり、夷陵(いりょう)を焼き、王のご先祖をはずかしめた。趙でさえはずかしく思っているのに、王はそれをにくいと思わないのか」とはじをつきます。そして最後に「合従は楚のためで、趙のためではない」と言い切りました。

毛遂は楚王をどう説き伏せた?① おどす十歩の内では、楚の大軍もたのめない② はげます湯王・文王は小さな国から天下をとった③ はじをつく白起に都を焼かれたうらみを忘れたのか④ 決めつける合従は楚のためで、趙のためではない楚王「合従は定まった」
毛遂の説得は、おどす→はげます→はじをつく→決めつける、の順。最後に楚王は合従を承知しました

楚王が「まことに先生の言うとおりだ」と承知すると、毛遂は家来に「鶏・犬・馬の血を持ってこい」と命じ、銅の盤(ばん)をささげて、楚王、平原君、そして自分の順に血をすすらせました。血をすするのは、昔の中国で約束を固く結ぶときの儀式です。そして左手に盤を持ったまま、下にいる十九人を右手でまねいて「公等録録、所謂人に因りて事を成す者なり(あなたたちは平凡で、人のおかげで事を成しとげる者たちだ)」と言いました。名乗り出たときに笑われた仕返しのようで、おもしろい場面です。

平原君の言葉

趙に帰った平原君は「わたしは、これまで多くの人物を見てきて、天下の人材を見落とすことはないと思っていた。しかし毛先生を見落としていた」と言い、「毛先生一たび楚に至りて、趙をして九鼎大呂よりも重からしむ(毛先生が一度楚へ行っただけで、趙の重みを、国の宝の鼎や大鐘よりも重くした)」「毛先生は三寸の舌を以て、百万の師よりも彊し」とたたえて、毛遂を上客にしました。「九鼎大呂」は国の宝のこと、「三寸の舌」は弁舌(話す力)のことです。これが「三寸の舌」という故事成語のもとになりました。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

笑っていた十九人を、最後は毛遂が「人のおかげで事を成す者たち」と言い返したんですね! 自分から手をあげて、結果で見返したのがかっこいいです!

「毛遂自薦」の使い方と例文・似た言葉

「毛遂自薦」は、だれかにすすめられるのを待たず、自分から「やらせてください」と申し出るときに使います。選挙の立候補、係や役割の希望、仕事への応募などの場面によく合います。

  • ○文化祭の実行委員に、毛遂自薦で名乗り出た。(自分から立候補する)
  • ○「毛遂自薦ではありますが、この仕事、わたしに任せていただけませんか」(へりくだって申し出る)
  • ○推薦してくれる人がいなかったので、毛遂自薦で代表選考に応募した。(人にすすめられずに自分から)
  • ○毛遂自薦した以上は、毛遂のようにしっかり結果を出したい。(名乗り出た責任)
  • ×テストで100点をとったので、毛遂自薦して自分をほめた。(自分をほめるのは「自画自賛」)
  • ×先生が彼を委員に毛遂自薦した。(人をすすめるのは「推薦」「他薦」。毛遂自薦は自分で自分をすすめること)
毛遂自薦似た言葉名乗りを上げる隗より始めよ同じ話から嚢中の錐三寸の舌まちがえやすい・反対自画自賛(別の意味)他薦(反対)
似た言葉は「名乗りを上げる」。「自画自賛」は自分をほめることで、意味がちがいます

似た言葉

  • 名乗りを上げる・名乗り出る:自分から進んで、その役や競争に加わると申し出ること。
  • 自己推薦(じこすいせん):自分で自分を推薦すること。入試の「自己推薦型」の選抜などでも使われる言葉です。
  • 隗より始めよ(かいよりはじめよ):燕の郭隗が「人材を集めたいなら、まずわたし(隗)を重く用いなさい」と言った話。自分を先に用いるようすすめた点が、毛遂自薦と似ています。

まちがえやすい言葉・反対の言葉

  • 自画自賛(じがじさん):自分で描いた絵に自分でほめ言葉を書くことから、自分で自分をほめること。毛遂自薦の原文は「自賛」ですが、日本語の「自画自賛」とは意味がちがいます。
  • 他薦(たせん)・推薦:ほかの人がすすめること。毛遂自薦の反対です。
  • 嚢中の錐:同じ話から生まれた言葉。才能のある人は、自分から名乗り出なくても自然に目立つ、という意味です。

「毛遂自薦」のよくあるまちがい

  • 「毛遂」を「もうつい」「けすい」と読む:正しくは「もうすい」。「遂」は「遂げる(とげる)」の字で、音読みは「スイ」です。字の形は「遂」の読み方・書き順・部首、「薦」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
  • 「自薦」を「自選」「自線」と書く:「自分で選ぶ」ではなく「自分を推薦する」なので「薦」です。「推薦」の「薦」と覚えましょう。
  • 「自画自賛」と同じ意味だと思う:自画自賛は「自分で自分をほめる」こと、毛遂自薦は「自分で自分を推薦する(名乗り出る)」ことです。
  • 人をすすめるときに使う:「AさんをBに毛遂自薦する」は誤り。毛遂自薦は自分自身を推薦するときだけに使います。
  • 毛遂を「毛の多い人」と思う:「毛」は名字です。中国には今も「毛」という名字があります。
  • 「嚢中の錐」と同じ意味だと思う:同じ話から生まれた言葉ですが、嚢中の錐は「才能が自然に表れる」、毛遂自薦は「自分から名乗り出る」です。

入試ではこう出る

「毛遂自薦」は、おもに大学受験の国語で出てきます。四字熟語の問題としても、漢文の読解としても出題されます。

  • 四字熟語の問題:意味を選ぶ問題、「もうすいじせん」を漢字で書く問題(「自薦」の「薦」)、「自画自賛」とのちがいを問う問題。
  • 漢文の読解:『史記』平原君虞卿列伝は、長文の漢文として読まれます。「所以」(理由)、「〜を得ず」(不可能)、「豈に〜んや」「胡ぞ〜ざる」(反語・疑問)、「A於B」(比較)、「為」の読み分けなどがよく問われます。
  • 内容の説明:毛遂が楚王をどう説得したか、平原君の「三寸の舌は百万の師より彊し」はどういう意味か、を説明させる問題。漢文の勉強の進め方は漢文の勉強法(句法・単語・音読)へ。
うかるくん

うかるくん

「三寸の舌は百万の師より彊し」って、どう説明すればいいですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

「毛遂の弁舌(話す力)は、百万の軍隊よりも大きな力を持っていた」とまとめよう。「三寸の舌」は口で話す力、「師」は軍隊、「A於B」は「BよりもA」の比較だ。戦わずに、ことばだけで大国の楚を動かしたことをたたえているんだね。

練習問題

やさしい

  1. 「毛遂自薦」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 自分で自分をほめること イ 自分から進んで名乗り出ること ウ ほかの人を推薦すること エ 毛の手入れをすること
    答えと解説を見るイ。人にすすめられるのを待たず、自分で自分を推薦することです。アは「自画自賛」、ウは「他薦・推薦」です。
  2. 「もうすいじせん」を漢字で書きましょう。
    答えと解説を見る毛遂自薦。「自薦」の「薦」は「推薦」の「薦」です。

ふつう

  1. 「王之所以叱遂者、以楚国之衆也」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る王の遂を叱する所以の者は、楚国の衆を以てなり。「所以」は「〜するわけ・理由」を表し、下の「叱遂」から返って読みます。
  2. 平原君の言った「三寸の舌は百万の師より彊し」の「師」の意味を答えましょう。
    答えと解説を見る軍隊。毛遂の弁舌は、百万の軍隊よりも強い力があった、という意味です。

むずかしい

  1. 毛遂が楚王に「合従は楚のためで、趙のためではない」と言ったのはなぜですか。説明しましょう。
    答えと解説を見る合従を「趙を助けてもらう話」ではなく、秦にはずかしめられた楚自身の利益のための話だと言いかえることで、楚王が自分から合従を望むように気持ちを動かすためです。

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よくある質問

毛遂自薦の意味を簡単に言うと何ですか?

人からすすめられるのを待たずに、自分から進んで名乗り出ること、自分で自分を推薦することです。

毛遂自薦の由来となった話はどんな話ですか?

中国の戦国時代、秦に都を囲まれた趙の平原君が楚へ救いを求めに行くとき、食客の毛遂が自分から名乗り出て一行に加わりました。楚では、昼になっても決まらない話し合いの場に剣に手をかけて上り、楚王を説き伏せて同盟(合従)を結ばせました。

毛遂自薦の出典は何ですか?

前漢の司馬遷が書いた『史記』の平原君虞卿列伝です。原文では「自ら平原君に賛す(自賛於平原君)」と書かれています。

毛遂自薦と自画自賛のちがいは何ですか?

毛遂自薦は自分で自分を推薦する(名乗り出る)こと、自画自賛は自分で自分をほめることです。意味がちがうので、使い分けに注意しましょう。

三寸の舌は百万の師より強しとはどういう意味ですか?

趙に帰った平原君が毛遂をたたえた言葉で、毛遂の弁舌(話す力)は百万の軍隊よりも大きな力があった、という意味です。

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出典・参考

  • 原文:『史記』平原君虞卿列伝(維基文庫の本文で確認。原文の「贊」「從」「國」「爲」「縣」などはここでは今の字で表示)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(代表的な読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦