シャノンは何をした人?業績・名言をわかりやすく|情報理論・ビット・ブール代数と回路

シャノンは何をした人?業績・名言をわかりやすく|情報理論・ビット・ブール代数と回路

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シャノンClaude Shannon

ひとことで言うと

情報をビットで測る「情報理論」を作ったアメリカの数学者。スイッチの回路とブール代数を結びつけ、コンピューターの基礎も築いた。

名前クロード・エルウッド・シャノン(C. E. Shannon)
生没年1916年4月30日〜2001年2月24日(84歳)
国アメリカ(ミシガン州出身、MITとベル研究所で活躍)
分野情報理論・符号理論・論理回路・暗号
主な業績情報理論(ビット・エントロピー・通信路容量)、スイッチ回路とブール代数(修士論文1937年)、標本化定理、暗号の理論
名前がつくものシャノン・エントロピー・シャノン・ハートレーの定理・シャノン限界・シャノンの符号化定理・シャノン賞
よばれ方情報理論の父

このページのポイント

  • 1948年の論文で、情報の量を確率とビットで測る情報理論をつくった。エントロピー H=−∑pilog⁡2piH=-\sum p_i\log_2p_i
  • 1937年の修士論文で、スイッチの直列=AND・並列=ORと気づき、ブール代数で回路を設計できるようにした。コンピューターの基礎
  • 一輪車に乗りながらジャグリングをした、迷路を解くねずみ「テセウス」を作ったなど、遊び心の発明家としても知られる(伝えられる話)

シャノンは何をした人?(業績をひとことで)

クロード・シャノン(1916〜2001年)は、アメリカの数学者・電気工学者で、「情報理論の父」とよばれる人です。1948年の論文『通信の数学的理論』で、情報の量を数で表す方法を作り、情報の単位として「ビット」を世に広めました。その20年前の1937年、まだ大学院生のときの修士論文では、電気回路のスイッチの組み合わせは、ブールの論理の代数(ブール代数)で表せることを示し、コンピューターの設計の基礎を作りました。今の私たちが使うスマートフォン・インターネット・動画・写真の圧縮・暗号は、どれもシャノンの考えの上に立っています。

受験生にとってのシャノンは、まず「ビット(0か1)」と「2進数」の人です。共通テストの「情報Ⅰ」で、2進数・論理回路・情報量が出てきます。数学では、対数の意味やn進法の変換のやり方、確率の考え方が、シャノンの理論の道具です。

うかるくん

うかるくん

「情報の量」って、どうやって数えるんですか? 本とか写真とかバラバラですよね?

合格先生

合格先生

それをシャノンは「答えを当てるのに、何回『はい・いいえ』で聞けばいいか」で数えたんだ。8個の箱から1つを当てるなら3回、つまり3ビット。すべての情報を同じものさしで測れるようにしたのが、すごいところだよ。

シャノンの生涯と年表

いじるのが大好きな少年

シャノンは1916年4月30日、アメリカのミシガン州ペトスキーに生まれ、近くのゲイロードという小さな町で育ちました。子どものころから、機械いじりや工作が大好きでした。町の友人の家との間に針金で電信(モールス信号の通信)の線を引いた、と伝えられています。のちに、発明王エジソンの遠い親せきだと語ったという話もあります。数学も得意で、パズルや暗号を解くことも好きでした。

大学で数学と電気工学を学ぶ

1936年、ミシガン大学を卒業し、数学と電気工学の2つの学位を得ました。その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)の大学院に進み、ヴァネヴァー・ブッシュの「微分解析機」(大きな機械式計算機)の研究を手伝いました。この機械には、大量のスイッチ(リレー)の回路がありました。

1937年、修士論文

シャノンはこのとき、「リレー回路の設計は、ブールの論理の代数で整理できる」ことに気づきました。1937年に書いた修士論文『リレーとスイッチ回路の記号的解析』は、電気工学の歴史で最も重要な修士論文の1つといわれています。論文は1938年に発表され、1940年にはアメリカの工学系の学会による賞(アルフレッド・ノーブル賞)が贈られました。

博士号、ベル研究所、戦争の時代

1940年には、MITで数学の博士号を取りました。博士論文は、なんと遺伝学についての数学の研究です(『理論遺伝学のための代数』)。1941年、アメリカの電話会社AT&Tのベル研究所に入り、第二次世界大戦中は、暗号と通信の研究にたずさわりました。1943年には、イギリスのチューリングがベル研究所を訪れ、2人は計算機や暗号について語りあった、と伝えられています。

1948年、情報理論の誕生

1948年、ベル研究所の技術雑誌に、論文『通信の数学的理論』が発表されました。この論文で、シャノンは情報を確率で測り、「雑音がある通信路でも、通信速度が通信路の容量より低ければ、誤りを限りなく小さくできる」ことを数学で示しました。情報理論の誕生です。1949年には、暗号の数学的な理論『秘匿系の通信理論』も発表しました。同じ年に、メアリー・エリザベス(ベティ)・ムーアと結婚しています。

遊び心の発明家、MITの教授

シャノンは、1950年代にいろいろな機械を作りました。迷路を解く電気じかけのねずみ「テセウス」(1950年)、チェスをする計算機の研究、ローマ数字で計算する機械(スロバックとよばれることもあるTHROBAC)、お手玉(ジャグリング)をする機械など。1956年にMITへ移り、1958年に教授になりました。1966年にはアメリカの科学賞(国家科学賞)、1985年には京都賞を受けています。晩年は病気で長く療養し、2001年2月24日、マサチューセッツ州で84歳で亡くなりました。

年できごと
1916年4月30日、アメリカのミシガン州ペトスキーで生まれる(ゲイロードで育つ)
1936年ミシガン大学を卒業(数学と電気工学の学位)
1937年MITで修士論文。スイッチ回路とブール代数を結びつける
1940年MITで博士号(遺伝学の数学)。修士論文が賞を受ける
1941年ベル研究所に入る
1948年論文『通信の数学的理論』を発表。情報理論の誕生
1949年暗号の理論を発表。ベティと結婚
1950年迷路を解くねずみ「テセウス」。チェスをする計算機の論文
1956年MITに移る(1958年に教授)
1966年アメリカ国家科学賞を受ける
1985年京都賞を受ける
2001年2月24日、マサチューセッツ州で亡くなる(84歳)

シャノンの主な業績をやさしく解説

業績1 スイッチ回路とブール代数(1937年の修士論文)

電話の交換機や初期のコンピューターには、リレーとよばれる電気スイッチが、たくさん使われていました。スイッチがオン(つながる)かオフ(切れる)かを、「1」か「0」で考えます。

スイッチ2つを直列につなぐと、両方がオンのときだけ電流が流れます。これは論理の「かつ(AND)」です。並列につなぐと、どちらか1つがオンなら電流が流れます。これは「または(OR)」です。さらに、オンとオフを入れかえる回路は、「でない(NOT)」です。

スイッチの回路は論理の式AB直列=ANDどちらも入れたときだけ点灯(A・B)AB並列=ORどちらか1つで点灯(A+B)1937年のシャノンの修士論文のアイデア
スイッチの直列はAND(かつ)、並列はOR(または)。回路の設計が論理の式の計算になる

ブールの論理代数が1854年に作った、「正しい」「正しくない」を1と0にして計算するブール代数は、論理学の道具でした。シャノンは、これがスイッチ回路にそのまま使えることを見つけたのです。ごちゃごちゃした回路を、式で書き、式を整理し、簡単な回路に直すことができます。たとえば、ド・モルガンの法則は、回路を組みかえるときにそのまま使えます。

この考え方が、現在のデジタル回路・コンピューターのCPU・スマートフォンの設計の基礎になっています。「情報Ⅰ」で習う論理回路(AND・OR・NOT)は、シャノンの論文の延長線上にあります。

業績2 情報の量を測る:ビットとエントロピー

シャノンは、情報の量を、確率で定義しました。考え方はこうです。「めったに起こらないことが分かったときほど、得られる情報は大きい」。晴れの日が多い砂漠で「雨だ」と聞けば大きなニュース、「晴れだ」と聞いてもあまり驚きません。

起こる確率が pp のできごとを知ったときの情報量を、−log⁡2p-\log_2 p ビットと定めました。たとえば、公平なコインで「表」と知ったときは、p=12p=\tfrac12 なので −log⁡212=1-\log_2\tfrac12=1 ビット。8個の箱から1つを当てる場合は、p=18p=\tfrac18 で −log⁡218=3-\log_2\tfrac18=3 ビットです。「はい・いいえ」で3回聞けば当たることと同じです。

3回の質問で8個から当てる123456781回目:後ろ半分(5〜8)? → はい(1)2回目:その後ろ半分(7〜8)? → いいえ(0)3回目:5〜6の後ろ(6)? → はい(1)1・0・1 = 3ビットで8個の1つが決まる2×2×2=8 → 8個なら3ビット(log₂8=3)
8個の箱から1つを、「はい・いいえ」の3回の質問で当てる。3ビットで8通りを区別できる

また、1回の結果の平均的な情報量を、エントロピーとよびます。結果がいくつかあって、それぞれの確率が p1,p2,…p_1,p_2,\dots のとき、

H=−∑ipilog⁡2piH=-\sum_i p_i\log_2 p_i

です。対数の意味とシグマの公式を使う式です。公平なコインのエントロピーは1ビット、表が出る確率が 14\tfrac14 のコインなら、H≈0.81H\approx0.81 ビットです。結果が読みやすいほど、エントロピーは小さくなります。

情報量(エントロピー)1ビット0.8101/21表の確率 pどちらか分からないほど、情報量が大きい
コインの表の確率pとエントロピー。p=1/2のときが最大で1ビット

この「ビット(bit)」という言葉は、「binary digit(2進数の1桁)」を縮めたもので、シャノンの論文では、同じ研究所の数学者ジョン・テューキーが提案した言葉として紹介されています。

業績3 通信の限界:情報はどこまで正確に送れるか

電話や電波には、かならず雑音がまじります。雑音があると、情報は壊れてしまいます。それまでの通信技術者は、「雑音のある線で正確に送るには、ゆっくり、何度もくり返して送るしかない」と考えていました。

シャノンは、通信路にはその通信路ごとの限界(通信路容量)があり、送る速度がその限界より低ければ、うまい符号を使うことで、誤りをいくらでも小さくできることを数学で示しました。有名な式が、周波数の幅 BB(ヘルツ)と、信号と雑音の強さの比 S/NS/N から容量 CC(ビット/秒)を求める、

C=Blog⁡2(1+SN)C=B\log_2\left(1+\frac{S}{N}\right)

です。これを使うと、「この電話線では、最大で毎秒何ビット送れるか」が計算できます。この限界は、シャノン限界ともよばれ、携帯電話・Wi-Fi・衛星通信の設計の目標になっています。

シャノンの通信モデル(1948年)情報源しゃべる人・文章・写真送信機(符号化)0と1の並びに変える通信路電線・電波 ←ここで雑音受信機(復号)0と1を元にもどす受け手聞く人・読む人
通信のモデル。情報を符号にして、雑音のある通信路で送り、受信側で元にもどす

業績4 符号と圧縮:よく出る文字は短く

情報理論のもう1つの柱は、情報を短く(圧縮して)表す方法です。たとえば、文字A・B・C・Dが、確率 12,14,18,18\tfrac12,\tfrac14,\tfrac18,\tfrac18 で出るとします。4種類なので、ふつうは2ビットずつ(00, 01, 10, 11)で表します。しかし、よく出るAを短く、めったに出ないCとDを長くして、A=0、B=10、C=110、D=111 とすれば、平均の長さは、12×1+14×2+18×3+18×3=1.75\tfrac12\times1+\tfrac14\times2+\tfrac18\times3+\tfrac18\times3=1.75 ビットで済みます。実は、この確率のエントロピーも1.75ビットで、これ以上は短くできない限界と一致しています。

よく出る文字は短い符号に0A 0確率 1/210B 10確率 1/4101C 110確率 1/8D 111確率 1/8平均 = ½×1+¼×2+⅛×3+⅛×3 = 1.75ビット
よく出る文字は短く(A=0)、めったに出ない文字は長く(D=111)。平均1.75ビット

この考え方は、ZIPファイル、写真のJPEG、音楽のMP3、動画の圧縮の基礎です。MITの学生だったハフマンが、最も効率のよい符号の作り方(ハフマン符号)を考えました。

さらにシャノンは、1949年には暗号の理論を作り、「使い捨ての鍵を使えば、解読できない完全な暗号ができる」ことを数学で示しました。また、標本化定理(連続的な音や信号を、一定の間隔で測れば、元にもどせる)も、シャノンの名前とともに知られています。フーリエ(フーリエ解析)の考え方が使われています。

シャノンの名前がつく公式・定理・用語

  • シャノン・エントロピー(情報エントロピー):H=−∑pilog⁡2piH=-\sum p_i\log_2p_i。確率分布のあいまいさを表す量。→ 対数の意味と性質
  • シャノン・ハートレーの定理(通信路容量):C=Blog⁡2(1+S/N)C=B\log_2(1+S/N)。雑音のある通信路で送れる限界。→ 指数と対数の公式
  • シャノンの符号化定理:情報源を、エントロピーまで圧縮できる、また、通信路容量以下の速度なら誤りなく送れる、という定理。
  • 標本化定理(ナイキスト・シャノンの標本化定理):信号を細かく測るときの間隔を決める定理。CD・デジタル音声の基礎。
  • シャノン限界:通信の速度の、理論的な上限。
  • ブール関数のシャノン展開:論理回路を簡単にする方法。
  • 情報理論の賞:クロード・E・シャノン賞(情報理論の学会の最高の賞)に名前が残っています。
指し棒で説明する合格先生

合格先生

2進数は、0と1だけで数を表す方法。10進数の1011は千十一、でも2進数の1011は11。1×8+0×4+1×2+1×11\times8+0\times4+1\times2+1\times1 だね。情報Ⅰでも数学でも使うから、慣れておこう!

シャノンの逸話と名言

廊下を一輪車でジャグリング

シャノンは、遊びの天才でもありました。ベル研究所やMITの廊下を、一輪車に乗りながらジャグリング(お手玉)をして進んでいた、という話が広く伝わっています。「ジャグリングの数学」について論文を書き、玉の数や手の動きを式にしたともいわれます。シャノン自身が、お手玉をするロボットを作ったという話もあります。ただし、どこまで本当かは資料によって差があり、「伝えられる話」です。

迷路を解くねずみ「テセウス」

1950年ごろ、シャノンは、迷路を覚えて進むことができる、電気じかけのねずみ「テセウス」を作ったことで有名です。ねずみは、迷路を何度か試すうちに、ゴールへ最短で行く道を覚えました。これは、機械が経験から学ぶ初期の例で、人工知能(AI)の歴史でもよく紹介されます。

「究極の機械」

シャノンが作った、「究極の機械」と名づけられたものもあります。スイッチを入れると、箱のふたが開き、中から手が出てきて、そのスイッチを切って箱の中に引っこむ、というだけの機械です。いかにも、シャノンらしいユーモアの発明品です。

「エントロピー」という名前

シャノンが、情報の量に「エントロピー」という名前をつけた理由について、有名な話があります。数学者のフォン・ノイマンから、「エントロピーという名前にするといい。まず、物理学の式と同じ形だし、もう1つ、だれもエントロピーが何かを本当には知らないので、議論で有利になるから」と言われた、という話です。ただし、この話は後年の回想で、事実かどうかは確かめられていません。

英語の文章は、1文字あたり何ビット?

シャノンは、1951年に「英語の文章の次の文字を、人にあてさせる」実験をして、英語の1文字には、およそ1ビット前後の情報しかないことを見積もりました(見積もりの値は、実験の方法によって、約0.6〜1.3ビットとされます)。アルファベット26文字と空白の27種類なら、でたらめに選べば約4.75ビットのはずです。それが約1ビット前後に減るのは、英語の文章にくせ(冗長性)があるからです。「q」の次には「u」が来やすく、「th」の次には「e」が来やすい。このくせがあるから、文字が少しぬけても、私たちは文章を読みとれます。この考え方は、文章の圧縮や、現代の文章を予測する人工知能(言語モデル)の考え方の、ご先祖さまともいえます。

名言

ものがどう組み立てられているのかに、いつも興味がありました。

シャノンの言葉として伝えられるもの(意訳)(後年のインタビューでの発言とされる)

シャノンは、研究を「遊び」だと考えた人でした。役に立つかどうかより、面白いかどうかで動いたといわれます。それでも結果として、世界を変える理論を作ったのです。

サクラちゃん

サクラちゃん

お手玉と一輪車の数学者なんて、おもしろい人ですね!

合格先生

合格先生

そうだね。遊びの中から大発見が生まれることは多い。受験勉強も、パズルのように楽しむ気持ちがあると、続けやすいよ。

受験・勉強とシャノンのつながり

中学受験・高校受験:場合の数と2進数

中学受験の算数では、2進法(0と1だけの数)の問題や、「天びんを何回使えば、偽物の玉が分かるか」という問題が出ます。これは、シャノンのいう「はい・いいえの質問で、候補を半分にしていく」考え方の練習です。2進数を使った時計の理系時計は、理系時計(GeekClock)の数式の意味(階乗・2進数・黄金比)で解説しています。

大学受験:情報Ⅰ・対数・確率

共通テストの「情報Ⅰ」では、2進数と10進数の変換、論理回路(AND・OR・NOT)、ビットとバイト、情報量の考え方が出題されます。数学では、対数関数のグラフ・確率の基本の公式が、シャノンの理論の道具です。数学で使う log⁡\log や Σ\Sigma の記号は、数学でよく使う記号の意味一覧(Σ・∫・≡)にまとめています。

大学・大学院入試:情報理論・符号理論・確率

情報系の学科では、「エントロピー」「符号化」「ハフマン符号」「通信路容量」が、大学や大学院の入試で出ます。確率論や線形代数の知識がそのまま使われます。

勉強法として:「半分に絞る」考え方

8個から1つを当てる3回の質問のように、候補を半分ずつ絞っていくのは、勉強にも役立ちます。たとえば、解けない問題のどこでつまずいているかを、「計算か、考え方か」「式の立て方か、式変形か」と、はい・いいえで絞っていくのです。数学の勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。

シャノンがその後の数学・科学にあたえた影響

  • デジタル社会:スマートフォン・インターネット・テレビ・音楽・写真・動画は、すべて「ビット」で表され、シャノンの理論にもとづいて、圧縮・送信・誤り訂正がされています。
  • コンピューター:スイッチ回路とブール代数の結びつきは、コンピューターの設計の基礎になりました。ブールの論理代数の論理と、チューリングの計算の理論と、シャノンの回路が、コンピューターの3本柱です。
  • 暗号:シャノンの暗号の理論は、現代の暗号の安全性を考えるときの出発点です。
  • 人工知能:チェス・迷路・言語の統計(英語のエントロピーの推定)の研究は、人工知能・機械学習・言語モデルの先がけになりました。
  • ほかの科学:情報理論は、生物学(遺伝子の情報)・物理学(エントロピー)・経済学・言語学など、さまざまな分野に広がりました。
  • 数学:確率論・組合せ論・符号理論という新しい数学の分野が育ちました。コルモゴロフ(確率論)などの確率論と深いつながりがあります。

ライプニッツが17世紀に考えた2進数が、シャノンの論文を経て、現代の社会をつくる言葉になりました。0と1だけの世界を、数学として大きく開いたのがシャノンです。

シャノンに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 1から1000までの番号のうち1つを、「はい・いいえ」で答えられる質問で当てます。最低何回の質問で、必ず当てられますか。
    答えと解説を見る210=1024≥10002^{10}=1024\ge1000 ですが 29=512<10002^9=512<1000 なので、10回です(候補を毎回半分にします)。1000通りを区別するには約10ビット必要です。
  2. 2進数の 1011(2)1011_{(2)} を10進数に直しなさい。
    答えと解説を見る1×8+0×4+1×2+1×1=1\times8+0\times4+1\times2+1\times1=11。

ふつう

  1. 公平なさいころ(6面)の目を知ったときの情報量は何ビットですか。log⁡26\log_2 6 を 2.5852.585 として答えなさい。
    答えと解説を見る各目が出る確率は 16\tfrac16。情報量は −log⁡216=log⁡26≈-\log_2\tfrac16=\log_26\approx2.585ビットです。
  2. 表が出る確率が 14\tfrac14、裏が 34\tfrac34 のコインのエントロピーを求めなさい。log⁡23=1.585\log_2 3=1.585 とします。
    答えと解説を見るH=−14log⁡214−34log⁡234=14×2+34×(2−1.585)=0.5+0.311=H=-\tfrac14\log_2\tfrac14-\tfrac34\log_2\tfrac34=\tfrac14\times2+\tfrac34\times(2-1.585)=0.5+0.311=約0.81ビット。1ビットより小さくなります。

むずかしい

  1. 文字A・B・C・Dが、確率 12,14,18,18\tfrac12,\tfrac14,\tfrac18,\tfrac18 で出る情報源のエントロピーと、符号 A=0・B=10・C=110・D=111 の平均の長さを求めなさい。
    答えと解説を見るエントロピーは 12×1+14×2+18×3+18×3=\tfrac12\times1+\tfrac14\times2+\tfrac18\times3+\tfrac18\times3=1.75ビット。符号の平均の長さも 12×1+14×2+18×3+18×3=1.75\tfrac12\times1+\tfrac14\times2+\tfrac18\times3+\tfrac18\times3=1.75 で、エントロピーと一致します。これ以上は短くできません。
  2. 周波数の幅 B=3000B=3000 Hz の電話線で、S/N=1023S/N=1023 のとき、通信路容量 C=Blog⁡2(1+S/N)C=B\log_2(1+S/N) を求めなさい。
    答えと解説を見る1+S/N=1024=2101+S/N=1024=2^{10} なので log⁡21024=10\log_2 1024=10。C=3000×10=C=3000\times10=30000ビット/秒です。

シャノンと関係する数学者

数学の公式を1つずつ学ぶなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、用語の意味は数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)も役立ちます。

20世紀の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

シャノンは何をした人ですか?

シャノンは、20世紀のアメリカの数学者・電気工学者で、「情報理論の父」とよばれます。1948年に情報の量をビットで測る理論をつくり、1937年にはスイッチ回路とブール代数を結びつけて、デジタル回路の基礎を築きました。

シャノンはなぜ有名なのですか?

情報理論をつくり、現代のデジタル通信・コンピューター・圧縮・暗号の基礎をつくったからです。「ビット」を情報の単位として広めた人としても有名です。

ビットとは何ですか?

情報の最小の単位で、0か1のどちらかを表します。「binary digit(2進数の1桁)」を縮めた言葉です。「はい・いいえ」の質問1回で得られる情報の量にあたります。シャノンの1948年の論文で広まりました。

シャノンの修士論文とは何ですか?

1937年にMITで書いた論文です。電気のスイッチ回路が、ブール代数(論理の代数)で表せることを示しました。スイッチの直列はAND、並列はORにあたります。電気工学の歴史で最も重要な修士論文の1つといわれます。

エントロピー(情報量)とは何ですか?

結果が予測しにくいほど大きくなる、情報の平均的な量です。確率 p_i の結果が複数あるとき H=−Σp_i log₂p_i と表します。公平なコイン投げのエントロピーは1ビットです。

シャノンは何歳で亡くなりましたか? どこの人ですか?

シャノンは1916年4月30日にアメリカのミシガン州で生まれ、2001年2月24日にマサチューセッツ州で84歳で亡くなりました。ミシガン大学とMITで学び、ベル研究所とMITで活躍しました。

シャノンの逸話にはどんなものがありますか?

廊下を一輪車でジャグリングしながら進んだ、迷路を解くねずみ「テセウス」やローマ数字の計算機を作った、「究極の機械」を作ったなどの話が伝えられています。遊び心の多い発明家でした。

通信路容量の式C=Blog₂(1+S/N)とは何ですか?

周波数の幅B、信号と雑音の強さの比S/Nをもとに、その通信路で送れる情報の最大の速度(ビット/秒)を表す式です。シャノン・ハートレーの定理とよばれ、通信技術の理論的な限界を示します。

シャノンは受験とどう関係しますか?

共通テストの「情報Ⅰ」で、2進数・論理回路(AND・OR・NOT)・情報量が出題されます。数学では対数・確率・数列の知識が、シャノンの理論の道具です。大学の情報系学科では、情報理論として学びます。

シャノンとブール・チューリングの関係は?

ブールは論理を式で計算する方法を作り、シャノンはそれをスイッチ回路に使いました。チューリングは計算の理論の創始者で、シャノンとは第二次世界大戦中にベル研究所で会って、暗号や計算機について語り合ったと伝えられます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics Archive, “Claude Shannon”(セントアンドリューズ大学)
  • C. E. Shannon, “A Mathematical Theory of Communication”, Bell System Technical Journal(1948年)
  • C. E. Shannon, “A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits”(1937年修士論文、1938年発表)
  • J. Soni & R. Goodman, “A Mind at Play”(2017年)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦