チューリングは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|チューリング機械・エニグマ解読・チューリングテスト

チューリングは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|チューリング機械・エニグマ解読・チューリングテスト

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チューリングAlan Turing

ひとことで言うと

「計算とは何か」を数学で決めたチューリング機械を考え、エニグマ暗号の解読にも貢献した「コンピューター科学の父」。

名前アラン・マシスン・チューリング(Alan Mathison Turing)
生没年1912年6月23日〜1954年6月7日(41歳)
国イギリス(ロンドン生まれ、ケンブリッジ・マンチェスターなどで活躍)
分野数理論理学・計算理論・暗号・人工知能・数理生物学
主な業績チューリング機械(1936年)、停止問題、エニグマ暗号の解読への貢献、チューリング・テスト(1950年)、反応拡散による模様の理論(1952年)
名前がつくものチューリング機械・チューリング完全・チューリング・テスト・チューリング賞・チューリング・パターン
よばれ方コンピューター科学の父

このページのポイント

  • 1936年、「計算とは何か」を表すチューリング機械を考え、停止問題で「機械には解けない問題がある」ことを証明した
  • 第二次世界大戦中、ブレッチリー・パークでドイツ軍のエニグマ暗号の解読に貢献。鍵の数は約1.6×10²⁰通りだった
  • 1950年にチューリング・テストを提案、1952年には模様の理論も発表。1952年の有罪判決は、のち2009年に政府が謝罪、2013年に恩赦となった

チューリングは何をした人?(業績をひとことで)

アラン・チューリング(1912〜1954年)は、イギリスの数学者です。「計算とは何か」を数学の言葉で決めたチューリング機械(1936年)を考え出し、コンピューター科学の父とよばれています。第二次世界大戦中は、ドイツ軍の暗号機エニグマの解読で連合国の勝利に貢献したとされます。さらに戦後は、「機械は考えられるか」を問うチューリング・テスト(1950年)や、動物の模様ができる理由を数学で説明する理論(1952年)も発表しました。

チューリングの名は、コンピューター科学の最高の賞「チューリング賞」や、「チューリング完全」という言葉にも残っています。今、私たちが使うスマホやパソコンは、チューリングが考えた「何でも計算できる機械」の実現形だといえます。

受験生にとってのチューリングは、2進法・暗号・合同式の入口です。たとえば暗号は合同式(mod)の計算、2進法はn進法の変換のしかた、場合の数は順列と組合せの意味で学ぶ内容と直接つながっています。

うかるくん

うかるくん

戦争の暗号を解いたって、数学で解いたんですか?

合格先生

合格先生

そうだよ。エニグマの鍵は約1.6×10²⁰通りもあった。でもチームは、確率と論理で「ありえない組み合わせ」を次々に消して、数を絞ったんだ。場合の数と論理が戦いの武器になった話だね。

16歳のころのアラン・チューリングの写真
16歳ごろのアラン・チューリング(1928年ごろ)画像:撮影者はおそらく Arthur Reginald Chaffin とされる/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

チューリングの生涯と年表

数と自然が好きな少年

チューリングは1912年6月23日、ロンドンで生まれました。父はインドで働くイギリスの役人で、幼いころは両親と離れて預けられることが多かったと伝えられています。学校(シャーボーン校)では、数学や科学が得意で、ラテン語や古典は苦手だったといわれます。親友だったクリストファー・モーコムが1930年に亡くなったことは、少年のチューリングに大きな衝撃をあたえたと伝えられています。

ケンブリッジ大学と「計算可能数」

1931年、ケンブリッジ大学のキングス・カレッジに入学し、数学を学びます。1935年にはフェロー(研究員)に選ばれました。1936年、24歳のときに「計算可能数について」という論文を書き、「どんな問題が機械で解けるか」を数学の問題として扱いました。この論文が、現代のコンピューター科学の出発点になります。

この問題は、ヒルベルトの業績と生涯らが1928年ごろにまとめた「あらゆる数学の命題の真偽を決める手順があるか」という問い(決定問題)に答えるものでした。同じころ、アメリカの数学者チャーチも別の方法で同じ結論に達しています。チューリングは1936年から1938年までプリンストン大学でチャーチに学び、博士号を受けました。ゲーデルの不完全性定理の流れを受けた仕事でもあります。

ブレッチリー・パーク:エニグマとの戦い

1939年、第二次世界大戦がはじまると、チューリングはイギリスの暗号解読機関があるブレッチリー・パークで働きはじめます。ドイツ軍の暗号機エニグマは、毎日鍵が変わるため、人の手だけでは解けません。チューリングは、ポーランドの数学者たちの先行研究を発展させ、鍵をしぼりこむ電気式の機械「ボンブ」の設計に関わりました。この仕事は戦争が終わっても長く秘密にされ、1970年代に入るまで一般には知られていませんでした。

戦後:コンピューターと人工知能

戦後、チューリングはプログラム内蔵式のコンピューターの設計(ACE、1945〜46年)を手がけ、1948年からはマンチェスター大学で、初期のコンピューターの開発と使用に参加しました。1950年には論文「計算する機械と知性」でチューリング・テストを提案します。1952年には模様ができる理由を数学で説明する論文を発表しました。1951年に王立協会の会員にも選ばれています。

有罪判決と死:落ち着いて事実を

1952年、当時のイギリスでは同性愛が法律で罪とされていました。チューリングは、同性の男性との関係を理由に逮捕され、有罪判決を受けます。刑務所に入る代わりに、ホルモンを注射する治療を受けることを選びました。この判決のため、チューリングは政府の暗号の仕事からも外されました。

1954年6月7日、チューリングは41歳で、自宅で亡くなっているのが見つかりました。検死では青酸(シアン化物)による中毒が死因とされ、検視審問は自殺と判断しました。ただし、実験の薬品を扱っていたことなどから、事故だったという見方もあり、今も議論があります。確かなことは分かっていません。

のちに、この扱いは不当だったと考えられるようになりました。2009年にはイギリスの首相が政府を代表して謝罪し、2013年には女王による恩赦(罪を許すこと)がおこなわれました。その後、同じ法律で有罪とされた多くの人々を許す法律も作られたとされます。2021年6月には、イングランド銀行が発行する50ポンド紙幣にチューリングの肖像が使われはじめました。

年できごと
1912年6月23日、ロンドンで生まれる
1930年親友モーコムが亡くなる
1931年ケンブリッジ大学キングス・カレッジに入学
1936年論文「計算可能数について」。チューリング機械と停止問題
1936〜38年プリンストン大学でチャーチに学び、博士号
1939年ブレッチリー・パークでエニグマ解読に参加
1945〜46年コンピューターACEの設計
1950年論文「計算する機械と知性」。チューリング・テストの提案
1951年王立協会の会員に選ばれる
1952年模様ができる理由の理論(反応拡散)。同性愛を理由に有罪判決
1954年6月7日、自宅で亡くなる(41歳)。死因は青酸中毒、自殺か事故かは議論がある
2009年イギリス首相が政府として謝罪
2013年女王による恩赦

チューリングの主な業績をやさしく解説

業績1 チューリング機械:計算とは何かを決めた

チューリングが1936年に考えたのは、現実には存在しない、紙の上の機械です。無限に長いテープ(マス目に区切られた紙の帯)と、1マスずつ読み書きするヘッド、それに「いまの状態と読んだ文字に応じて、何を書き、どちらに動き、次の状態をどうするか」を決めた規則表だけでできています。

チューリング機械(想像上の計算機)10110_ヘッド無限につづくテープ(記憶)規則表の例状態A・1を読んだら → 0を書いて、右へ、状態Bへ状態A・0を読んだら → 1を書いて、止まる
チューリング機械。テープの文字をヘッドが読み書きし、規則表にしたがって右か左に動く

驚くべきことに、この簡単な機械で、人間が手順にして書けるあらゆる計算ができると考えられています(これを「チューリングの提唱」といいます)。足し算も、素数判定も、文章の処理も、すべてこの機械でできます。さらに、チューリングは万能チューリング機械も考えました。手順(プログラム)そのものをテープに書いておけば、1台で何でも実行できる機械です。いまのパソコンやスマホが、1台でいろいろなアプリを動かせるのは、この考えのおかげです。

業績2 停止問題:解けない問題があることの証明

もう一つの大発見が、「機械では原理的に解けない問題がある」という証明です。「プログラムを動かしたとき、いつか止まるか、永遠に動きつづけるか」を、どんなプログラムでも前もって当てることはできない、というのが停止問題です。

停止問題:当てる機械は作れない仮定:「止まるか」を必ず当てる機械 H があるそこで機械 D を作るHが「止まる」と言う → D はずっと動くHが「止まらない」と言う → D は止まるD に D 自身を入れると…どう答えても H の答えと逆になる=矛盾だからそんな H は作れない(1936年)
停止問題。止まるかどうかを必ず当てる機械が作れたとすると矛盾が起こるので、そのような機械は作れない

証明は、カントールの対角線論法に似た手順で、「自分自身にあてはめると矛盾する機械」を作ります。うそつきのパラドックスのような、おもしろい構造です。この結果は、ゲーデルの不完全性定理と並ぶ、20世紀の数学の大発見の一つとされています。

業績3 エニグマの解読:暗号と数学

暗号の基本は「ずらす」「入れかえる」です。たとえば古代ローマのカエサル(シーザー)の時代からあるといわれるシーザー暗号は、アルファベットを一定の数だけずらすだけの暗号です。数字におきかえて余りを使えば、合同式(mod)で書けます。

シーザー暗号:3文字ずらすADBECFDGEHFIGJHKILJMKNLOMPHELLO → KHOORA=0, B=1, … Z=25 とおいて暗号=(元の数+3) を 26 で割った余り
シーザー暗号。アルファベットを3文字ずらす。A=0…Z=25として「元の数+3」を26で割った余り

これに対し、エニグマは1文字ごとにずらし方が変わる、とても複雑な暗号機でした。3つの回転盤の位置、回転盤の入れ方、配線盤のつなぎ方を合わせると、鍵の組み合わせは約1.6×10²⁰通りにもなります。

エニグマ暗号機の鍵の数回転盤の位置26×26×26盤の入れ方60通り配線盤約150兆通り××全部で約 1.6×10²⁰ 通り(1京の約16000倍)1文字ごとに回転盤が動くので、同じ文字でも暗号がちがう
エニグマの鍵の数。回転盤の位置×入れ方×配線盤で約1.6×10²⁰通り

チューリングたちは、暗号文の中に「ありそうな言葉」(たとえば天気予報の「WETTER」や、ドイツ語の決まり文句)が入っていることを手がかりに、そこから矛盾する鍵を消していく方法を考えました。これを機械で自動化したのがボンブです。戦争の終結が早まったと評価されますが、どれだけ短縮されたかについては、歴史家の間でも見方が分かれます。

業績4 チューリング・テスト:機械は考えられるか

1950年、チューリングは「機械は考えることができるか?」という問いを、もっと具体的な試験に置きかえました。それが「模倣ゲーム」、のちにチューリング・テストとよばれるものです。審査する人が、文字だけで人間と機械の両方に質問し、どちらが機械か見分けられなければ、その機械は「考えている」と考えてよい、という提案です。

チューリング・テスト(1950年)審査する人A(人間?)B(機械?)文字だけで会話して、どちらが機械か見分けられなければ「考えている」と考える
チューリング・テスト。文字だけで会話して、どちらが機械か見分けられないか確かめる

チューリングはこの論文で、「機械は決められたことしかできない」という反論にも答えています。その中には、前の世紀にエイダ・ラブレスの業績と生涯が書いた「機械は自分から何も生み出さない」という指摘への返事も含まれています。いまの対話型AIが話題になるたびに、チューリング・テストの名前が登場します。

業績5 模様ができる理由:反応拡散方程式

晩年のチューリングは、生物学にも関心を向けました。動物の体の水玉や、しま模様は、どうしてできるのか。チューリングは、2種類の物質が、広がりながらたがいに反応するだけで、均一な状態から水玉やしま模様が自然に生まれることを方程式で示しました(1952年)。この考えはチューリング・パターンとよばれ、今も、魚の模様や指の形成の研究などで検証されています。

模様ができる理由(1952年)反応しながら広がる2つの物質で水玉・しまが自然にできる(反応拡散方程式)
反応拡散による斑点模様。2種類の物質が広がりながら反応して水玉模様ができる

業績6 計算できる数、できない数(計算可能数)

1936年の論文の題にある「計算可能数」とは、有限の手順で、好きなけたまで書きだせる数のことです。sqrt2sqrt{2} や pipi は、手順さえ決めればいくらでも先のけたまで計算できるので、計算可能数です。ふつうに思いつく数のほとんどは計算可能数です。

ところが、手順にできない数もあります。手順(プログラム)は文章で書けるので、「1番目、2番目、3番目……」と番号をつけて数えあげられます。一方、すべての実数はカントールの無限の理論で示されたとおり、数えあげられないほどたくさんあります。そのため、計算できない数のほうが圧倒的に多いことになります。身近な数ばかり見ていると、気づかない世界です。

この考えは、「手順で書ける問題は少なく、解けない問題が本当はたくさんある」という発想につながり、のちの計算機科学の大きな柱になりました。たとえば、現代の暗号で使われる素数の性質は、コンピューターが「たしかに計算できるが、時間がかかりすぎる」という領域にあります。素数とはと素因数分解のやり方を学ぶと、その入口が見えてきます。大きな数の素因数分解が難しいことは、インターネットの暗号を守る力になっています。

チューリングの名前がつく公式・定理・用語

チューリングの名前がつくものは、コンピューター科学や人工知能の言葉にたくさんあります。

  • チューリング機械:計算の仕組みを数学で表した想像上の機械。
  • チューリング完全:チューリング機械と同じことが計算できる、という性質。今のプログラミング言語の多くはこれにあたります。
  • 停止問題:プログラムが止まるかどうかを、一般には判定できないという問題。
  • チューリング・テスト:機械が人間のように振る舞えるかをはかる試験。
  • チューリング賞:コンピューター科学の最高の賞とされ、アメリカの計算機学会(ACM)が1966年から贈っています。
  • チューリング・パターン:反応拡散による模様。
  • 数学の基礎の言葉として、2進法・n進法とは、余りの意味、素数とはなどが、チューリングの暗号・計算の仕事の道具です。
指し棒で説明する合格先生

合格先生

コンピューターは0と1だけで動いているよ。その土台の「計算とは何か」を決めたのがチューリング。2進法を理解しておくと、情報の勉強もぐっと楽になるよ。

チューリングの逸話と名言

自転車と鎖のくせ

チューリングは、自転車のチェーンが何回転かすると外れる癖を、回数を数えて、外れる直前に自分で直していたと伝えられています。ブレッチリー・パークでは、お茶のマグカップを暖房機に鎖でつないでおいたという話もあります。変わり者として、いくつもの逸話が語られていますが、どこまで正確かは確かめにくいものも多くあります。

マラソンランナー

チューリングはランナーとしてもすぐれていて、1947年にマラソンを2時間46分ほどで走ったと伝えられています。オリンピックの代表候補の話もありますが、詳しい記録は確かめられていません。走ることを「頭を休めるため」と話していた、とも伝えられます。

機械は考えることができるか?

アラン・チューリング(1950年の論文「計算する機械と知性」の冒頭の問い)

私たちは先を見通せないが、やるべきことが山ほどあることは見える。

アラン・チューリング(同論文の結びの言葉の意味を取ったもの。細かい訳は訳者によってちがいます)

名前のついた研究所と賞

現在、イギリスのロンドンには「アラン・チューリング研究所」があり、データ科学と人工知能の国立研究所として活動しています。また、数学の世界では、チューリングの名のついた講演会・奨学金・奨励賞も数多くあります。

ブレッチリーの仲間たち

ブレッチリー・パークには数学者だけでなく、言語学者・チェスの名人・クロスワードの名人などが集められました。多くの人が、戦後も長く、その仕事について家族にも話せませんでした。チューリングの仕事が広く知られるようになったのは、1970年代に秘密が解かれてからです。

サクラちゃん

サクラちゃん

有名な人なのに、ずっと知られなかったんですね。

合格先生

合格先生

そうだね。知られていない仕事の中にも、世界を変えたものがある。評価されるのを待たずに、自分の問いを追いかけつづけたところが、チューリングのすごさだと思うよ。

名前が残る記念

チューリングの名前は、さまざまな形で残されています。マンチェスターには記念の像があり、イギリスの50ポンド紙幣にも肖像が使われています。2012年の生誕100年には、世界中で記念の行事が開かれました。数学や情報科学を学ぶ高校生・大学生にとって、チューリングは「計算」の意味を教えてくれる人であり、同時に、才能ある人をどう扱うかという社会の課題を考えさせてくれる人でもあります。

チューリング自身が、自分の仕事の意味を十分に認められないまま亡くなったことは、とても残念なことです。いまは、その業績をていねいに学び、伝えていくことが、私たちにできることだといえるでしょう。

チューリングが残した問いは、いまもつづいています。機械はどこまで考えられるのか。人間にしかできないことは何か。これらは、受験勉強の先にある、大学や社会で出会うテーマです。数学や情報の勉強は、その入口に立つ準備でもあります。

受験・勉強とチューリングのつながり

中学受験:規則性・場合の数

中学入試の「規則性」や「場合の数」は、チューリングの暗号の考え方の入口です。「A→D、B→E…と3つずつずらす暗号」は、中学入試で出題されることもあります。文字を数字に直して、余りの問題の解き方を使うと、規則が見えてきます。

高校受験・大学受験:n進法・合同式・場合の数

共通テストの「情報」では、2進法の変換、アルゴリズムの流れ図、暗号の基礎が出題されます。数学では、n進法の変換のしかた、合同式の計算、順列・組合せの公式が基本です。京都大学の整数・確率の問題も、チューリングの数え方や余りの考え方が必要になります。出題傾向は京大理系数学の出題分析や京大文系数学の出題分析で確かめましょう。

大学・大学院:計算量と計算可能性

大学の情報科学では、「計算可能性」や「計算の量(計算量)」の理論を学びます。チューリング機械、停止問題、Pと NP などが大学院入試の定番テーマです。

勉強法として:「手順」と「限界」を知る

チューリングの考え方から学べるのは、手順を明確にする力と、手順の限界を知る力です。問題を解くときは、手順を書き出す。それでも解けないときは、「そもそも解けるのか」を疑ってみる。この2つの姿勢が、数学の力になります。進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も読んでください。

チューリングがその後にあたえた影響

  • コンピューター科学:チューリング機械は、どんな計算ができるかを論じるときの標準の道具です。フォン・ノイマンの業績と生涯の設計したコンピューターの仕組みとも、深いつながりがあります。
  • 人工知能:チューリング・テストは、AIの目標として今も引用されます。
  • 情報理論・暗号:シャノンの情報理論と並び、現代の暗号の基礎を作りました。今、インターネットの暗号に使われる素数と合同式は、チューリングの時代の暗号と地続きです。
  • 数理生物学:チューリング・パターンは、生物の形ができる仕組みの研究に使われています。
  • 社会の変化:チューリングの扱いをめぐる反省は、差別をなくす議論に結びつき、2009年の首相の謝罪や2013年の恩赦につながったとされます。

チューリングに挑戦!練習問題

やさしい

  1. アルファベットを3つずつ後ろにずらすシーザー暗号で、暗号文「KHOOR」を元の言葉にもどしなさい。
    答えと解説を見る3つ前にもどします。K→H、H→E、O→L、O→L、R→O で、元の言葉はHELLO。
  2. 2進法の 10110 を10進法で表しなさい。
    答えと解説を見る16+0+4+2+0=22。

ふつう

  1. エニグマの3つの回転盤は、それぞれ26通りの位置があります。3つの位置の組み合わせは何通りですか。
    答えと解説を見る26×26×26=17576通り。
  2. A=0、B=1、…、Z=25 とします。文字 Y(24)を5つ後ろにずらすと、何の文字になりますか。26で割った余りを使って答えなさい。
    答えと解説を見る24+5=29 を26で割った余りは3。3は D。よってD。(Z のあとは A にもどる)

むずかしい

  1. チューリング機械のテープの10マスに、0か1のどちらかを書きます。書き方は全部で何通りですか。
    答えと解説を見る各マスに2通りなので 2¹⁰=1024通り。
  2. エニグマの配線盤で、26文字から2文字を選んで1組つなぐ方法は何通りですか。
    答えと解説を見る26個から2個を選ぶ組み合わせで ₂₆C₂=26×25÷2=325通り。

チューリングと関係する数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

チューリングは何をした人ですか?

アラン・チューリングは、20世紀のイギリスの数学者です。計算とは何かを数学で表したチューリング機械を1936年に考え、第二次世界大戦ではドイツ軍の暗号機エニグマの解読に貢献しました。コンピューター科学や人工知能の基礎を作った人として知られます。

チューリング機械とは何ですか?

チューリング機械は、無限に長いテープと、それを読み書きするヘッド、動きを決める規則表でできた、想像上の計算機です。人間が手順に書けるあらゆる計算ができると考えられており、計算とは何かを数学で決める出発点になりました。

チューリング・テストとは何ですか?

1950年にチューリングが提案した、機械が考えているといえるかを調べる試験です。審査する人が文字だけで人間と機械に質問し、どちらが機械か見分けられなければ、その機械は人間のように振る舞えると考えます。

エニグマの解読でチューリングは何をしましたか?

ブレッチリー・パークで、ポーランドの数学者の先行研究を発展させ、エニグマの鍵をしぼりこむ機械ボンブの設計に関わりました。この仕事は戦後も長く秘密にされ、1970年代に知られるようになりました。

停止問題とは何ですか?

停止問題は、「プログラムがいつか止まるか、永遠に動きつづけるか」を、どんなプログラムでも前もって判定できるか、という問題です。チューリングは1936年に、そのような判定機は作れないことを証明しました。

チューリングはなぜ有罪判決を受けたのですか?

1952年、当時のイギリスでは同性愛が法律で罪とされていたためです。チューリングは刑務所に入る代わりにホルモン治療を受けることを選びました。のちに不当だったと考えられ、2009年に政府が謝罪し、2013年に恩赦が与えられました。

チューリングは何歳で、なぜ亡くなったのですか?

1954年6月7日、41歳で亡くなりました。検死では青酸による中毒が死因とされ、検視審問は自殺と判断しました。ただし、実験で薬品を扱っていたことなどから事故だったという見方もあり、確かなことは分かっていません。

チューリング賞とは何ですか?

チューリング賞は、アメリカの計算機学会(ACM)が1966年から贈っている、コンピューター科学の最高の賞とされるものです。チューリングの名前にちなんでいます。

チューリングと受験数学の関係は?

暗号は合同式、コンピューターの内部は2進法で表され、エニグマの鍵の数は場合の数で数えます。n進法・合同式・順列と組合せは、大学入試の数学や共通テストの情報の基本で、チューリングの仕事の入口になります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics「Alan Mathison Turing」(セント・アンドルーズ大学)
  • A. M. Turing, “On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem”(1936〜37年)
  • A. M. Turing, “Computing Machinery and Intelligence”, Mind(1950年)
  • A. M. Turing, “The Chemical Basis of Morphogenesis”(1952年)
  • 肖像写真:「Alan Turing Aged 16」、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦