この記事の結論

  • 験を担ぐ(げんをかつぐ)とは、ある物事がよい前ぶれか悪い前ぶれかを気にすることです。前にうまくいった日と同じことをくり返したり、縁起のよい物を選んだりします。「縁起を担ぐ」とほぼ同じ意味です。
  • 受験の験担ぎの多くは語呂合わせ(1つの音に願いの意味を重ねる言葉遊び)で、古文の掛詞(かけことば)と同じしくみです。

この記事は、2010年2月、大学入試センター試験(センター試験、今の大学入学共通テスト)が終わって2次試験に向かう時期に「合格げんかつぎ」として書いたものです。元の記事は、「験を担ぐ」の意味と、験担ぎのお菓子・食べ物の語呂合わせを並べた短い記事でした。

2026年10月に、元の文と一覧はそのまま残し、「験を担ぐ」という言葉そのもの(読み方・意味・漢字・由来)と、語呂合わせのしくみを国語の目で掘り下げて書き直しました。受験生への差し入れや験担ぎグッズの選び方は、別の記事「受験生への差し入れ・験担ぎ(ゲン担ぎ)グッズの選び方」にまとめています。

漢字合格大作戦で1字ずつ

「験」「担」「縁」「起」の書き順・読み・漢検の級は、漢字合格大作戦の1字ページで確かめられます。

合格の験担ぎ(2010年の元の記事)

(ここから2010年2月18日の元の記事です)

受験シーズン真っ盛りです。受験生本人はもちろんのこと保護者や学校、塾の先生も神頼みや験担ぎに走ります。

国語の試験で験を担ぐを漢字でかかせたり、意味を問われるかもしれません。

験を担ぐ(げんをかつぐ)の意味は

「以前に良い結果が出た行為と同じ事をして前途の吉兆をおしはかること」

験を担ぐお菓子・食べ物としては

お菓子・食べ物語呂合わせ語呂合わせの型
キットカットきっと勝つ同じ音
カール受かーる音を少し変える
キシリトールきっちり通る音を少し変える
コアラのマーチ寝てても木から落ちない意味にかける
ポッキー逆から読んで、吉報逆から読む
ハイレモン入れる門音を少し変える
合格せんべい合格!名前そのまま
キャラメルコーンかなえるコーン音を少し変える
セコイヤチョコ成功YEAR外国語をまぜる
GABA頑張る音を少し変える

などが有名だ。

げんかつぎでモチベーションがあがるなら安いものだ。

近くのコンビニで買ってみるのも良いだろう。受験で疲れた脳には糖分も必要だ。

(元の記事はここまでです。表の「語呂合わせの型」の列は、2026年の書き直しで足しました)

上の一覧は2010年当時によく知られていたものです。お菓子の名前や受験シーズン向けの包装は年によって変わります。この記事では、商品の紹介ではなく、言葉のしくみとして読んでいきます。元の記事の「受験で疲れた脳には糖分も必要だ」は2010年の元の言葉です。お菓子は食べすぎず、体質や持病で気になることがある人は医師に相談してください。

「験を担ぐ」の読み方と意味

「験を担ぐ」=よい前ぶれを気にして同じことをする 前にうまくいった日(模試でよい点) 同じことをくり返す(同じ朝ご飯) 今度もうまくいきそう(気持ちが落ち着く) 験(げん)=縁起・前ぶれ  担ぐ(かつぐ)=縁起を気にする
図1 「験を担ぐ」は、よい前ぶれを気にして、前にうまくいったときと同じことをすること

「験を担ぐ」は「げんをかつぐ」と読みます。「けんをかつぐ」とは読みません。名詞の形は「験担ぎ(げんかつぎ)」で、カタカナまじりで「ゲン担ぎ」と書くこともよくあります。

国語辞典(デジタル大辞泉)では、「験を担ぐ」を「ある物事について、吉兆か凶兆かを気にする」という意味で説明しています。吉兆(きっちょう)はよいことが起こる前ぶれ、凶兆(きょうちょう)は悪いことが起こる前ぶれのことです。つまり、「これはよい知らせかな、悪い知らせかな」と気にすることです。

2010年の元の記事では、意味を「以前に良い結果が出た行為と同じ事をして前途の吉兆をおしはかること」と書きました。辞典の説明より具体的ですが、受験生の験担ぎの多くは、たしかにこの形です。

  • 模試でよい点だった日と同じ朝ご飯を、試験の日にも食べる
  • 合格判定がよかったときに使っていた同じ鉛筆を、本番にも持っていく
  • 試験会場に、いつもと同じ道順で向かう
  • 名前や音が縁起のよいお菓子・食べ物を選ぶ(元の記事の一覧)

辞典の例文には「験を担いで大安の日に引っ越す」があります。大安(たいあん)は、暦で「何をするにもよい日」とされる日です。日を選ぶのも、験担ぎの一つです。

「験を担ぐ」の例文(使い方)

使い方を、受験の場面の例文で確かめておきましょう(例文は自作です)。

  • 兄は験を担いで、模試の日と同じ服で本番に向かった。
  • 祖母は験を担ぐ人で、受験の前の晩ご飯はいつもカツだった。
  • 兄はあまり験を担がないが、合格した先輩の鉛筆は大事に使っている。
  • 試験の朝に黒猫を見たけれど、験が悪いなんて気にしないことにした。

「験を担ぐ」は、人の性格や習慣を言うときにも使います(「父は験を担ぐほうだ」)。また、「験が悪い」「験がいい」のように「験」だけで使うこともあります。

「験」と「担」の漢字:読み・意味・成り立ち

元の記事で「国語の試験で験を担ぐを漢字でかかせたり、意味を問われるかもしれません」と書いたように、「験を担ぐ」は漢字の書き取りや意味の問題で出やすい言葉です。2つの字を順に見ていきましょう。

「験」の読み:ケンとゲン

「験」には2つの読みがある 験 ケン(ためす・しらべる) 試験 受験経験 実験 学校でよく使う読み ゲン(ききめ・縁起) 霊験 修験道験を担ぐ 仏教や縁起の言葉に多い
図2 「験」はケンとゲンの2つの読み。「受験」と「験担ぎ」は同じ字

「験」は18画、部首は馬(うまへん)、小学4年で習う漢字です。音読みはケンとゲンの2つあり、訓読みに「ためす」「しるし」があります(常用漢字の表で認められているのは音読みのケン・ゲンです)。旧字体は「驗」です。

ケンと読むときは、ためす・しらべるという意味が中心です。「試験」「受験」「経験」「実験」など、受験生が毎日のように使う言葉です。ゲンと読むときは、ききめ・しるし・縁起の意味で、「霊験(れいげん)」「修験道(しゅげんどう)」、そして「験を担ぐ」が仲間です。

受験生にとっておもしろいのは、「受験」と「験担ぎ」が同じ字を使っていることです。受験は「試験を受ける」、験担ぎは「前ぶれを気にする」。読みも意味もちがいますが、どちらも「しるし」「ためす」という1つの字から広がった言葉です。

「験(げん)」の意味:辞典では3つ

デジタル大辞泉では、「験(げん)」の意味を次の3つで説明しています。

  1. 仏道修行を積んだしるし。特に修験者(しゅげんじゃ)の加持祈祷(かじきとう)のききめ
  2. ある事を行ったことによるききめ。効果
  3. 縁起。前兆(「験が悪い」「験をかつぐ」)

「験を担ぐ」の「験」は、このうちの3番目、縁起・前ぶれの意味です。もとは修行のききめを表した言葉が、ふつうの「ききめ」になり、さらに「よいことが起こるしるし=縁起」の意味でも使われるようになった、という流れです。

「担ぐ」の4つの意味

「担ぐ(かつぐ)」の4つの意味 1 肩にのせる 荷物を担ぐ 2 上に立てる リーダーに担ぐ 3 ? からかってだます まんまと担がれた 4 吉 縁起を気にする 験を担ぐ
図3 「担ぐ」の4つの意味。「験を担ぐ」は4番目の「縁起を気にする」

「担」は8画、部首は扌(てへん)、小学6年で習う漢字です。訓読みは「かつぐ」「になう」、音読みは「タン」で、「担任」「分担」「負担」などの言葉があります。

「担ぐ(かつぐ)」には、辞典で次のような意味があります。

意味例
1. 物を肩にのせて支える荷物を担ぐ・みこしを担ぐ
2. 上に立つ人としておし立てる先輩を代表に担ぐ
3. からかってだますまんまと担がれた
4. 縁起や迷信を気にする験を担ぐ・縁起を担ぐ

「験を担ぐ」の「担ぐ」は4番目です。肩にのせる「担ぐ」とは別の意味なので、「験を肩にのせる」と考えると分かりにくくなります。精選版日本国語大辞典では、この意味の「かつぐ」を「御幣(ごへい)をかつぐ」の略と説明しています。

験担ぎの由来(語源)は諸説あり

「験を担ぐ」の由来(諸説あり) 「げん」の説1 えんぎぎえんげん 縁起を逆さに読んで縮めたという説 (一説) 「げん」の説2 験=ききめ前ぶれ 修行のしるし・ききめの「験」が広がったという説 (辞典の意味の流れ) 「担ぐ」は「御幣(ごへい)を担ぐ」から 不吉なものをはらう御幣 → 縁起を気にする
図4 「験を担ぐ」の由来。「げん」は縁起の倒語説など諸説あり、「担ぐ」は「御幣を担ぐ」から

「験を担ぐ」の由来は、「げん」の部分と「担ぐ」の部分に分けて考えると分かりやすくなります。どちらも、はっきり決まった答えがあるわけではなく、諸説あります。

「げん」の由来:縁起を逆さにした説

精選版日本国語大辞典では、縁起・前兆の意味の「げん」について、「縁起」を逆さに読んだ「ぎえん」が縮まったものとする説があると書いています。「えんぎ」→「ぎえん」→「げん」という流れです。言葉を逆さにして使うのは、江戸時代の言葉遊びや、仲間うちの言葉(「たね」を「ネタ」というなど)でも見られます。

一方で、上で見たように「験」には、もともと「ききめ」「しるし」の意味があります。そこから「よいことのしるし=縁起」の意味が生まれた、と考えることもできます。どちらか一つに決めず、「縁起を逆さにした説がある」「験(ききめ)の意味から広がった」と両方を知っておけば十分です。

「担ぐ」の由来:御幣を担ぐ

御幣(ごへい)とは、神社のお祓い(おはらい)で使う、紙を細長く切って木の棒にはさんだものです。精選版日本国語大辞典では、「御幣を担ぐ」は御幣で不吉なものを祓う(はらう)ことからきた言葉とされています。

この「御幣を担ぐ」が短くなって、「担ぐ」だけで「縁起を気にする」という意味になりました。さらに、「縁起を担ぐ」という言い方も、「御幣を担ぐ」から類推してできた言い回しではないか、と辞典は書いています。「験を担ぐ」も、同じ仲間の言い方です。

うかるくん

うかるくん

「験を担ぐ」の「担ぐ」って、肩にのせる意味じゃないの?験を背負って試験に行くのかと思ってた。

合格先生

合格先生

肩にのせる「担ぐ」とは別の意味なんだ。「御幣を担ぐ」が短くなって、縁起を気にするという意味になった。だから「験を担ぐ」は「縁起を気にする」と覚えるといいよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

「げん」が「縁起」を逆さにした言葉っていうのもびっくり。

合格先生

合格先生

それは一つの説だよ。「験」にはもともと「ききめ」の意味もあるから、由来は諸説ある、と答えるのが正確だね。

「験を担ぐ」と「縁起を担ぐ」「御幣を担ぐ」の違い

3つの「担ぐ」はどう違う? ほぼ同じ意味 験を担ぐ 縁起を担ぐ よい前ぶれか悪い前ぶれかを気にする 少し悪い意味も 御幣を担ぐ つまらない迷信まで 仲間の言葉:験がいい・験が悪い・験直し(縁起直し) 受験生なら「験がいい」と前向きに使おう
図5 「験を担ぐ」と「縁起を担ぐ」はほぼ同じ。「御幣を担ぐ」は少し悪い意味でも使われる

「担ぐ」がつく似た言葉が3つあります。辞典の説明を並べると、違いがよく分かります。

言葉辞典の意味(デジタル大辞泉)感じ
験を担ぐある物事について、吉兆か凶兆かを気にすることふつう
縁起を担ぐちょっとした物事に対して、よい前兆だとか悪い前兆であるとかを気にするふつう
御幣を担ぐくだらない縁起や迷信を気にかけるやや悪い意味

「験を担ぐ」と「縁起を担ぐ」は、辞典でもおたがいに類語として並べられていて、ほぼ同じ意味です。辞典の例文では、「縁起を担いで同じユニホームを着る」が挙がっています。スポーツ選手が勝った日と同じ服やくつで試合に出る、という使い方です。

「御幣を担ぐ」は、「くだらない」「つまらない」迷信まで気にする、という少し否定的な感じで使われることが多い言葉です。「年をとって御幣を担ぐようになった」のように使います。受験生を応援する場面では、「験を担ぐ」「縁起を担ぐ」を使うほうが自然です。

「縁起」の意味もおさえよう

「縁起(えんぎ)」には、辞典でいくつかの意味があります。

  • 吉凶の前ぶれ(「縁起がよい」)…験担ぎの「縁起」はこれ
  • 物事の起こり・由来
  • 神社やお寺の始まりの由来や、それを書いた書物・絵巻(「信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)」)
  • 仏教の言葉で、すべての物事は因縁によって起こるということ

日本史や美術で出てくる「〇〇縁起絵巻」の「縁起」は「由来」の意味で、験担ぎの「縁起」とは意味がちがいます。日本史の文化史を勉強するときは「日本史の勉強法」も参考にしてください。

「験直し」「験がいい」:仲間の言葉

「験」を使った言葉には、ほかに次のようなものがあります。

  • 験がいい…縁起がよい。「この鉛筆は験がいい」
  • 験が悪い…縁起が悪い。「本番の前に験が悪いことを言わないで」
  • 験直し(げんなおし)…縁起の悪いことがあったあと、よくなるように祝い直すこと。「縁起直し」と同じ意味(デジタル大辞泉)

模試の結果が悪かった日に、好きな物を食べて気持ちを切りかえるのは、一種の「験直し」です。結果が悪かったときこそ、気持ちを立て直して次に向かう力になります。「1.01の法則と0.99の法則」のように、毎日の少しの積み重ねに目を向けるのも一つの方法です。

「験を担ぐ」を漢字で書く:まちがえやすい字

「験」と形の似た字は、へん・つくりで見分ける 験 馬 うまへん 試験受験 検 木 きへん 検査点検 険 阝 こざとへん 危険保険 倹 亻 にんべん 倹約 剣 刂 りっとう 真剣剣道
図6 「験」と右がわが同じ字。へん(左がわ)とつくり(右がわ)で見分ける

書き取りでいちばん多いまちがいは、「験」を「検」や「険」と書いてしまうことです。「験」「検」「険」「倹」「剣」は右がわが同じ形で、へん・つくりだけがちがいます。

字部首意味のめやす言葉の例
験馬(うまへん)ためす・しるし試験・受験・経験・験を担ぐ
検木(きへん)しらべる検査・点検・検討
険阝(こざとへん)けわしい・あぶない危険・保険・冒険
倹亻(にんべん)つましい倹約
剣刂(りっとう)つるぎ真剣・剣道

覚え方のコツは、へんの意味と言葉を結びつけることです。「受験は馬に乗ってためしに行く」「検査は木の札をしらべる」「危険は山の坂(こざとへん)があぶない」のように、自分なりの絵を思いうかべると、まちがえにくくなります。こうした覚え方そのものも、言葉と絵を結びつける語呂合わせの一つです。

読みにも注意しましょう。「験を担ぐ」はげん、「試験」はけんです。「霊験あらたか(ききめがはっきり現れること)」の「霊験」は、ふつう「れいげん」と読みます。

練習問題:「験」と似た字の書き取り

カタカナの部分を漢字で書いてみましょう。答えは下の「答えを見る」を開くと出てきます。

  1. 合格を願ってゲンを担ぐ。
  2. 大学のジュケン票を忘れない。
  3. 理科のジッケンでデータをとる。
  4. 健康診断でケンサを受ける。
  5. 夜道のひとり歩きはキケンだ。
  6. おこづかいをケンヤクする。
  7. シンケンに過去問に取り組む。
練習問題の答えを見る

1. 験(験を担ぐ) 2. 受験(受験票) 3. 実験 4. 検査 5. 危険 6. 倹約 7. 真剣

1〜3が「うまへん」、4が「きへん」、5が「こざとへん」、6が「にんべん」、7が「りっとう」です。

読めそうで読めない漢字の問題は、「「長閑」読めそうで読めない漢字」「「心太」読めますか?」「「口遊む」読めますか?」でも練習できます。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「験を担ぐ」はげんをかつぐ。「験」はうまへんで、「受験」の験と同じ字。「検」「険」と書きまちがえないようにしよう!

合格の語呂合わせのしくみ:5つの型

合格の語呂合わせは5つの型に分けられる (2010年の元の記事の一覧から) 1. 同じ音 キットカット きっと勝つ2. 音を少し変える ハイレモン 入れる門3. 逆から読む ポッキー 吉報4. 外国語をまぜる セコイヤ 成功YEAR5. 意味にかける コアラのマーチ 木から落ちない
図7 合格の語呂合わせの5つの型。2010年の元の記事の一覧を分けたもの

元の記事の語呂合わせの一覧を、音の重ね方で分けると、図7の5つの型になります。どれも、物の名前の「音」や「意味」に、合格の願いを重ねています。

型1:同じ音を重ねる

いちばん分かりやすい型です。「キットカット」の「きっとかっと」を「きっと勝つ」と聞きます。「合格せんべい」のように、名前に願いの言葉がそのまま入っているものも、この仲間と考えられます。

型2:音を少し変える・のばす

音を少しだけ変えて、願いの言葉に近づける型です。一覧ではいちばん数が多い型です。

  • カール → 「受かーる」(「受かる」をのばす)
  • キシリトール → 「きっちり通る」(「きしり」を「きっちり」に)
  • ハイレモン → 「入れる門」(「はいれもん」を「入れる門」に)
  • キャラメルコーン → 「かなえるコーン」(「きゃらめる」を「かなえる」に)
  • GABA → 「頑張る」(「ギャバ」の音から)

少しくらい音がずれていても、口に出したときの調子(リズム)が似ていれば、聞いた人は元の言葉を思いうかべます。日本大百科全書でも、語呂合わせは「一字一語の対応」よりも、言葉の調子や続き具合から元の文句を思いおこさせるところに特徴がある、と説明しています。

型3:逆から読む

「ポッキー」を逆から読むと「きっぽー」、そこから「吉報(きっぽう)」=よい知らせです。上で見た「げん」の由来の一説(「えんぎ」を逆さにした「ぎえん」)と同じく、逆さ読みは日本語の言葉遊びでよく使われる方法です。

型4:外国語をまぜる

「セコイヤ」を「成功YEAR(成功の年)」と読むのは、日本語の「成功」と英語の「year」を組み合わせた語呂合わせです。英語の音を使う語呂合わせは、タコの英語「オクトパス」を「置くとパス」と読むものも知られています(験担ぎの語呂合わせ一覧)。

型5:意味にかける

「コアラのマーチ」の「寝てても木から落ちない」は、音ではなく意味にかけた験担ぎです。コアラは木の上で眠る動物として知られています。そこから「(木から)落ちない」=「(試験に)落ちない」と願いを重ねています。

受験で「落ちる」「すべる」という言葉を受験生の前で使わないようにするのも、意味に気をつける験担ぎの一つです。このように、縁起が悪いとしてさける言葉を忌み言葉(いみことば)といいます。結婚式で「切れる」「別れる」を使わないのも、同じ考え方です。

「語呂合わせ」とは?辞典の意味と地口・掛詞

「語呂合わせ(ごろあわせ)」は、デジタル大辞泉では次の2つの意味で説明されています。

  1. ことわざや成句(決まった言い回し)の口調・音をまねて、意味のちがうおもしろい句を作る言葉遊び。例:「猫に小判」→「下戸に御飯」。江戸で天明(1781〜1789年)のころにはやった
  2. 数字の並びに意味をあてはめて読むこと。例:794年を「鳴くよ(うぐいす)」

1番目の意味の語呂合わせは、地口(じぐち)や口合い(くちあい)ともいいます。合格の験担ぎは、物の名前を願いの言葉に作りかえるので、1番目の言葉遊びに近いものです。2番目は、受験勉強で年号や数字を覚えるときの語呂合わせです。

古文の「掛詞」と同じしくみ

1つの音に2つの意味を重ねる(掛詞と同じ) 古文の掛詞 まつ 松(木) 待つ(人を) 百人一首16番 受験の語呂合わせ きっと かつ お菓子の名前 勝つ(願い) 2010年の一覧
図8 1つの音に2つの意味を重ねる。古文の掛詞と受験の語呂合わせは同じしくみ

1つの音に2つの意味を重ねるしくみは、古文の和歌の掛詞(かけことば)と同じです。たとえば百人一首16番、中納言行平(在原行平)の「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」では、「いなば」に地名の「因幡(いなば)」と「往なば(行ってしまったら)」、「まつ」に「松」と「待つ」が重ねられています。

百人一首9番、小野小町の「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」では、「ふる」に「降る」と「経る(時がたつ)」、「ながめ」に「長雨」と「眺め(もの思いにふける)」が重ねられています。

掛詞を見つけるコツは、古文文法辞典の「掛詞の一覧と見つけ方」にまとめています。掛詞とよくいっしょに出る「縁語(えんご)」もあわせて読むと、和歌の言葉遊びがよく分かります。合格の語呂合わせで遊ぶのは、古文の掛詞の練習にもなるのです。

暗記の語呂合わせも同じ

受験勉強の暗記でも、語呂合わせはよく使われます。辞典の例にある「鳴くよ(794)うぐいす平安京」のように、数字の音に意味をあてはめると、ばらばらの数字が1つの文になって覚えやすくなります。合格大作戦では、「歴代総理大臣のゴロあわせ」や、「2の24乗=16777216の覚え方」などで語呂合わせを使っています。

ただし、語呂合わせは覚える入口です。年号の語呂だけ覚えて、その年に何があったのか、なぜ起こったのかを理解していなければ、記述問題では点になりません。語呂で覚えたら、教科書や参考書で中身を確かめておきましょう。

サクラちゃん

サクラちゃん

「ポッキー」が「吉報」って、逆から読むんだね。語呂合わせって、意外とルールがあるんだ。

合格先生

合格先生

そうなんだ。同じ音・音を少し変える・逆から読む・外国語をまぜる・意味にかけるの5つの型に分けられる。古文の掛詞も「1つの音に2つの意味」で、同じしくみだよ。

うかるくん

うかるくん

じゃあ、語呂合わせで遊ぶと、古文の和歌も読みやすくなるのかな。

合格先生

合格先生

音に敏感になると、掛詞に気づきやすくなるね。百人一首で「まつ」「ながめ」「ふる」を探してごらん。

自分で合格の語呂合わせを作ってみよう

自分で語呂合わせを作る3ステップ 1 願いを決める 勝つ・通る受かる・咲く 2 音を探す 似た音の言葉を集める 3 短くまとめる 口に出して言いやすく
図9 自分で語呂合わせを作る3ステップ。願い→音→短く

語呂合わせは、自分でも作れます。勉強の休み時間の頭の体操にもなります。図9の3ステップで考えてみましょう。

  1. 願いの言葉を決める:「勝つ」「通る」「受かる」「咲く」「合格」など。
  2. 音を探す:願いの言葉と同じ音・似た音の言葉を、身のまわりの物や教科の言葉から集めます。逆から読んだり、英語にしたりしてもかまいません。
  3. 短くまとめる:口に出して言いやすい長さにします。人に話して「なるほど」と言ってもらえたら成功です。

たとえば、昔からよく知られている縁起の語呂合わせには、お正月の料理の「鯛(たい)=めでたい」や、「南天(なんてん)=難を転ずる」などがあります。どれも、物の名前の音に願いを重ねています。

語呂合わせを作るときの注意

  • 人を傷つける語呂合わせは作らない:人の名前や見た目を使った語呂合わせは、からかいになりやすいので避けましょう。
  • 忌み言葉に気をつける:受験生の前では「落ちる」「すべる」につながる言葉を選ばないようにします。
  • 験担ぎにしばられない:語呂のよい物が手に入らなくても、合格には関係ありません。験担ぎは気持ちを整える小さなスイッチです。

合格を本当に支えるのは、毎日の勉強の積み重ねです。二宮尊徳の「積小為大(せきしょういだい)」や、「努力は才能を超える」のような格言を1つ選んで机に貼るのも、言葉の力を借りる験担ぎの一つといえます。格言は「受験の格言100選」から選べます。

2010年当時と今(2027年入試)のちがい

元の記事を書いた2010年2月は、1月に大学入試センター試験(センター試験)があり、国公立大学の2次試験の前でした。センター試験は2020年1月が最後で、2021年1月から大学入学共通テスト(共通テスト)に変わりました。2027年の共通テストまでの日数は「2027年共通テストカウントダウンタイマー」で見られます。

試験の形は変わっても、受験生を応援したい気持ちや、験を担いで気持ちを落ち着けたいという気持ちは、2010年も今も同じです。差し入れの選び方や時期は「受験生への差し入れ・験担ぎグッズの選び方」に、受験合格グッズは「受験合格グッズのまとめ」に、本番に向けた体調の整え方は「受験生の体調管理方法まとめ」にまとめています。

共通テストの前日は「共通テスト前日にやっておきたいこと20」、2次試験の前日・当日は「2次試験の前日・当日チェックリスト」で確かめてください。京都大学(京大)の受験生には、合格祈願で知られる「吉田神社の節分祭」の記事もあります。

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

験を担ぐは縁起を気にすること。語呂合わせは1つの音に2つの意味!言葉のしくみが分かると、国語も古文ももっと楽しくなるよ。

「験を担ぐ」の読み方・意味・由来(まとめ)

  1. 「験を担ぐ」はげんをかつぐと読む。意味は、ある物事がよい前ぶれか悪い前ぶれかを気にすること。名詞は「験担ぎ(ゲン担ぎ)」。
  2. 「験」はケン(試験・受験)とゲン(霊験・験担ぎ)の2つの読み。うまへんの18画、小学4年。
  3. 「担ぐ」は「御幣を担ぐ」の略で、縁起を気にするという意味。
  4. 「げん」の由来は、縁起を逆さにした「ぎえん」からという説など、諸説あり。
  5. 「験を担ぐ」と「縁起を担ぐ」はほぼ同じ意味。「御幣を担ぐ」は少し悪い意味でも使う。
  6. 合格の語呂合わせは同じ音・音を少し変える・逆から読む・外国語をまぜる・意味にかけるの5つの型。
  7. 1つの音に2つの意味を重ねるのは、古文の掛詞と同じしくみ。

漢字合格大作戦で書き順も

「験」「検」「険」の書き分けや、「担」の書き順は漢字合格大作戦で。国語の勉強は「国語まとめ」、和歌の言葉遊びは「百人一首」からどうぞ。

受験の不安や質問は、「受験の質問・相談」からどうぞ。

受験生どうしの情報交換や応援は、受験掲示板「100点BBS」へ。共通テスト掲示板・京都大学の掲示板・東京大学の掲示板があります。

よくある質問

「験を担ぐ」の読み方は?

「げんをかつぐ」と読みます。「けんをかつぐ」とは読みません。名詞の形は「験担ぎ(げんかつぎ)」で、「ゲン担ぎ」と書くこともあります。

「験を担ぐ」とはどういう意味ですか?

ある物事について、よい前ぶれか悪い前ぶれかを気にすることです。前にうまくいった日と同じことをくり返したり、縁起のよい物を選んだりします。

「験を担ぐ」と「縁起を担ぐ」の違いは?

国語辞典ではおたがいに類語として並べられており、ほぼ同じ意味です。「御幣を担ぐ」は、つまらない迷信まで気にするという、やや悪い意味で使われることがあります。

「験担ぎ」の「げん」の語源は?

「縁起」を逆さに読んだ「ぎえん」が縮まったという説があります。「験」にはもともと「ききめ・しるし」の意味もあり、由来は諸説あります。

「験を担ぐ」の「験」は「検」とどう違いますか?

「験」はうまへんで、ためす・しるしの意味(試験・受験)です。「検」はきへんで、しらべるの意味(検査・点検)です。「験を担ぐ」は、うまへんの「験」を書きます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • デジタル大辞泉(小学館)「験(げん)」「験を担ぐ」「縁起を担ぐ」「御幣を担ぐ」「担ぐ」「縁起」「験直し」「語呂合せ」(コトバンクで確認)
  • 精選版日本国語大辞典「験(げん)」(縁起の倒語「ギエン」の約とする説)・「御幣を担ぐ」(御幣で不吉なものを祓うことから)・「縁起を担ぐ」・「担ぐ」(御幣をかつぐの略)(コトバンクで確認)
  • 日本大百科全書(ニッポニカ)「語呂合せ」(コトバンクで確認)
  • 漢字の画数・部首・学年は漢字合格大作戦の各字のページによる
  • 2010年の元の記事の文と語呂合わせの一覧は、2010年2月18日の時点のもの。商品が今も売られているかは確かめていない。例文は自作

最終更新:2026年10月23日/作成:大学受験合格大作戦

合格神・五角丸

合格神社でお告げを授かろう

そなたの頑張りを書けば、合格神・五角丸が運勢と「最後の一画」を授けるぞ。

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