2026年ノーベル生理学・医学賞は「光遺伝学」|受賞者3人と受賞理由をわかりやすく解説

この記事の結論

  • 2026年のノーベル生理学・医学賞はカール・ダイセロス、ペーター・ヘーゲマン、ゲオルク・ナーゲルの3人
  • 受賞理由は「光で開閉するイオンチャネルの発見と、オプトジェネティクス(光遺伝学)」
  • 藻類のたんぱく質チャネルロドプシンを使い、光で神経細胞のスイッチを入れる方法を作った。日本人の受賞はなし

受賞者3人と所属

ノーベル財団(カロリンスカ研究所ノーベル会議)は2026年10月5日(日本時間18時30分ごろ)、生理学・医学賞を次の3人に贈ると発表しました。

受賞者生まれ所属主な業績
カール・ダイセロス
Karl Deisseroth
1971年ハワード・ヒューズ医学研究所、スタンフォード大学(アメリカ)チャネルロドプシンを神経細胞に入れ、光で神経を動かす方法(光遺伝学)を作った
ペーター・ヘーゲマン
Peter Hegemann
1954年フンボルト大学ベルリン(ドイツ)藻類が光に向かって泳ぐしくみを研究し、チャネルロドプシンを発見
ゲオルク・ナーゲル
Georg Nagel
1953年ヴュルツブルク大学(ドイツ)ヘーゲマンとともにチャネルロドプシンを発見し、そのはたらきを確かめた

賞金は1200万スウェーデン・クローナで、3人で等分されます。

受賞理由をわかりやすく:光で神経のスイッチを入れる

① 青い光を当てる 光 光ファイバーなどで脳の一部を照らす ② 光のスイッチが開く + + + チャネルロドプシンが開き陽イオンが流れ込む ③ 神経が働く 電気信号(活動電位)が生まれる
光遺伝学(オプトジェネティクス)のしくみ(大学受験合格大作戦 作成)

脳の中では、たくさんの神経細胞(ニューロン)が電気信号をやりとりしています。でも、「どの神経細胞が、どの記憶や感情、行動を生み出しているのか」を確かめるのは、とても難しいことでした。

今回の受賞者たちは、光を当てたときだけ、ねらった神経細胞を働かせる方法を作りました。これが光遺伝学(オプトジェネティクス)です。

  1. 藻類が持つチャネルロドプシンというたんぱく質の遺伝子を、調べたい神経細胞に入れる
  2. その神経細胞に青い光を当てると、チャネルロドプシンの通り道(チャネル)が開く
  3. 陽イオンが細胞の中に流れ込み、電気信号(活動電位)が生まれる

光を当てるタイミングで神経細胞をオン・オフできるので、「この神経細胞が働くと、この行動が起こる」という原因と結果の関係を、生きた動物の脳で確かめられるようになりました。

発見の流れ:藻類の「目」から脳科学へ

2000年代初めヘーゲマンとナーゲルがチャネルロドプシンを発見2005年ダイセロスがラットの神経細胞を光で動かす2007年生きたマウスの脳で光のスイッチに成功
発見から光遺伝学が生まれるまで
  • 始まりは好奇心:ヘーゲマンは、単細胞の藻類クラミドモナスが、なぜ光の方へ泳げるのかに興味を持ちました。
  • 2000年代初め:ヘーゲマンとナーゲルは、クラミドモナスの細胞の表面で、青い光が当たるとイオンの通り道が開くたんぱく質チャネルロドプシンを発見しました。カエルの卵など別の細胞に入れても、その細胞が光に反応するようになることを確かめました。
  • 2005年:ダイセロスは、チャネルロドプシンの遺伝子をラットの神経細胞に入れ、青い光で神経信号を起こすことに成功しました。
  • 2007年:生きたマウスの脳で、光のスイッチを働かせることに成功しました。

何の役に立つの?

  • 脳のしくみの解明:特定の記憶・感情・行動を生み出す神経回路が、次々に明らかになっています。
  • 病気の研究:神経の病気や精神疾患にかかわる神経回路の研究に使われています。
  • 視力の回復:目の病気で見えにくくなった人の視力を取り戻す臨床研究にも使われ始めています。
Optogenetics provides opportunities for mapping the brain in a way that we could once only dream of.
(光遺伝学は、かつて夢でしかなかった方法で脳の地図を描く機会をもたらした)
― ペール・スヴェニングソン(ノーベル生理学・医学委員会 委員長)

受験生向け:高校生物とのつながり

今回の受賞内容は、高校の生物基礎・生物で学ぶ内容と深くつながっています。入試の長文問題や小論文・面接の題材として取り上げられる可能性があります。

高校で学ぶ内容今回の受賞とのつながり
ニューロンと活動電位陽イオンが細胞内に流れ込むと、膜電位が変化して活動電位が生まれる
イオンチャネルチャネルロドプシンは「光で開く」イオンチャネル
光受容と視物質ロドプシンチャネルロドプシンも、ロドプシンと同じようにレチナールという色素で光を受け取る
クラミドモナス(単細胞の緑藻)と走光性光の方へ泳ぐしくみの研究が出発点
遺伝子の導入(バイオテクノロジー)ほかの生物の遺伝子を神経細胞に入れて働かせる

小論文・面接のテーマ例:「基礎研究(藻類が光に向かうしくみ)が、思いがけず医学や脳科学を大きく変えた」。好奇心から始まった研究の価値を考える題材として、医学部・理工系の面接で使えます。

日本人の受賞は?

2026年の生理学・医学賞に日本人の受賞者はいませんでした。日本人の生理学・医学賞受賞者は、利根川進さん(1987年)、山中伸弥さん(2012年)、大村智さん(2015年)、大隅良典さん(2016年)、本庶佑さん(2018年)、坂口志文さん(2025年)の6人です。

日本人受賞者30人の出身大学・出身高校・受賞時の年齢は日本人ノーベル賞受賞者一覧【2026年最新】にまとめています。2026年のほかの部門の受賞者も、発表のたびに更新します。

2026年ノーベル賞の発表日程(残り)

部門発表(日本時間)
物理学賞10月6日(火)18:45以降
化学賞10月7日(水)18:45以降
文学賞10月8日(木)20:00以降
平和賞10月9日(金)18:00
経済学賞10月12日(月)18:45以降

受験生同士の速報・感想は、受験掲示板「100点BBS」の2026年ノーベル賞 速報スレへ。

よくある質問

2026年のノーベル生理学・医学賞は誰が受賞しましたか?

カール・ダイセロス(スタンフォード大学など・アメリカ)、ペーター・ヘーゲマン(フンボルト大学ベルリン・ドイツ)、ゲオルク・ナーゲル(ヴュルツブルク大学・ドイツ)の3人です。

受賞理由は何ですか?

「光で開閉するイオンチャネルの発見と、オプトジェネティクス(光遺伝学)」です。藻類のたんぱく質チャネルロドプシンを使い、光で神経細胞を働かせる方法を作りました。

光遺伝学(オプトジェネティクス)とは何ですか?

光に反応するたんぱく質の遺伝子を神経細胞に入れ、光を当てたときだけその神経細胞を働かせる方法です。どの神経細胞がどの行動や感情を生み出すかを、生きた動物の脳で確かめられます。

チャネルロドプシンとは何ですか?

単細胞の藻類クラミドモナスが持つたんぱく質で、青い光が当たると通り道(チャネル)が開いて陽イオンを通します。

2026年の生理学・医学賞に日本人は選ばれましたか?

選ばれませんでした。日本人の生理学・医学賞受賞者は、2025年の坂口志文さんまでで6人です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • NobelPrize.org「Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2026」(2026年10月5日)
  • 図は大学受験合格大作戦が作成

最終更新:2026年10月5日/作成:大学受験合格大作戦

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