
この記事の結論
- 2026年9月中旬、パリ近郊の高校で始まった高校生の抗議(授業の封鎖・デモ)が、フランス全国に広がっています
- 訴えは先生不足、古くて傷んだ校舎、過密な時間割、大学出願システム「Parcoursup(パルクールシュップ)」への不安など
- 全国約3,700校のうち400〜500校で授業が止まり、拘束された人は5,000人を超えたと報じられています

何が起きている?フランスの高校生デモの経過
抗議は2026年9月18日ごろ、パリ近郊の高校で、校門を机やゴミ箱でふさいで授業を止める「封鎖(ブロキュス)」として始まりました。先生の欠員が続いていたクレテイユ市のサン=テグジュペリ高校などを中心に広がり、9月末にはパリ周辺を越えて全国に拡大しました。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 9月18日ごろ | パリ近郊の高校で封鎖の動きが始まる |
| 9月24〜25日 | パリ周辺の約60校に広がる |
| 9月28日 | マルセイユ、リールなど全国へ。180校で影響(内務省) |
| 9月29日 | 公務員の全国行動日と重なり、338校で影響(教育省) |
| 10月1日 | 全国900か所以上で行動と報道。一部の大学生も合流 |
| 10月2日〜 | 全国約3,700校のうち400〜500校で授業を停止(教育相) |
| 10月5日 | 拘束・逮捕された人が累計5,000人を超える |
| 10月6日 | 全国での行動日。教員の労働組合も支援を呼びかけ |
一部では放火や破壊も起き、教育相は24校が放火・破壊の被害にあい、教職員78人がけがをしたと説明しています。一方で、警察の対応が未成年に対して行き過ぎだという批判も出ており、警察内部の監察機関による調査も始まっています。
高校生は何を訴えている?
要求は学校ごとに違いますが、高校生の団体や報道によると、主に次のような点が挙げられています。
- 先生が足りない:欠員のまま埋まらず、授業が行われない科目がある
- 校舎が古い・傷んでいる:雨漏り、窓や暖房の故障、使えないトイレ、机やいすの不足。教室にネズミやゴキブリが出るという訴えも報じられました
- 暑さ対策がない:冷房のない教室で授業や試験が行われている
- クラスや時間割が過密
- 大学出願システム「Parcoursup」への不安
| データ | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 新学期に先生が少なくとも1人足りない公立中学・高校 | 53% | 中等教育の教員組合SNESの調査(2026年度) |
| 2024〜25年度に高校で行われなかった授業時間 | 10% | フランス教育省 |
| Parcoursupで希望がどこにも通らなかった人(2026年夏の本手続き段階) | 約16万3千人(18%) | 報道(2025年は11.9%) |
Parcoursup(パルクールシュップ)とは
Parcoursupは、フランスの高校生が大学などへ進学するときに使うオンラインの出願・選抜システムです。2018年に導入されました。高校生は希望する進学先をこのサイトで登録し、各大学などから合否や待機の結果を受け取ります。
2026年は、本手続きの段階で希望がどこにも通らなかった人が約18%と、前年の約12%から大きく増えたと報じられています。進路が決まらない不安が、今回の抗議の背景の一つになっています。
背景にあるフランスの財政難
フランスは国の借金が大きく、政府は支出を抑える政策を進めています。2027年度予算案では、教育予算は655億ユーロ(前年度比12億ユーロ増)とされましたが、教員の定員1,588人分の削減も盛り込まれたと報じられています。
国の借金の利払いが増え、教育などの公共サービスにしわ寄せが出ているという指摘もあります。韓国の中央日報は、フランスの財政不安がヨーロッパの金融市場にも影響し始めていると伝えています。
フランス政府の対応
- ルコルニュ首相は、安全が確保できる学校から授業を再開するよう求めました。
- あわせて、長く続く先生の欠員の補充を優先し、校舎の改修について地域圏(日本の都道府県より広い地方の単位。高校の校舎を管理している)の代表と話し合う方針を示しました。今月中に最初の決定を出すとしています。
- 内相は、警察は暴力や破壊を止めているだけで、若者を押さえつけてはいないと説明しています。
日本の受験生が知っておきたい:フランスと日本の比較
| フランス | 日本 | |
|---|---|---|
| 高校 | リセ(3年間) | 高等学校(3年間) |
| 高校の校舎を管理するのは | 地域圏(州にあたる) | 公立高校は都道府県など |
| 大学に入るための試験 | バカロレア(高校修了資格を兼ねる国家試験) | 大学入学共通テスト・各大学の個別試験など |
| 大学への出願 | Parcoursup(国の出願システムで一括) | 大学ごとに出願 |
小論文・面接で使える視点
今回のできごとは、教育学部・法学部・経済学部などの小論文や面接で問われやすいテーマを多くふくんでいます。
- 教育への公的支出と財政:国の借金が増えるなか、教育にどれだけお金をかけるべきか
- 若者の政治参加と表現の自由:高校生が社会に声を上げることの意味
- 抗議と暴力の線引き:正当な訴えと、放火・破壊などの暴力をどう区別するか
- 教育の地域格差:抗議は所得の低い地域の学校からも始まったと報じられています
問題例:「フランスの高校生の抗議運動を例に、教育環境の整備に国がどこまで責任を持つべきか、あなたの考えを800字以内で述べなさい。」
よくある質問
フランスの高校生デモはなぜ起きたのですか?
先生の欠員、古く傷んだ校舎、冷房のない教室、過密な時間割、大学出願システムParcoursupへの不安などが理由です。背景には、国の財政難で教育予算が抑えられていることがあると報じられています。
どれくらいの規模ですか?
2026年9月中旬にパリ近郊で始まり、10月初めには全国約3,700校のうち400〜500校で授業が止まりました。拘束・逮捕された人は5,000人を超えたと報じられています。
「教室にネズミやゴキブリ」は本当ですか?
校舎の老朽化を訴える高校生の声として報道されています。雨漏りや暖房の故障、トイレや机の不足なども訴えられています。
Parcoursupとは何ですか?
フランスの高校生が大学などへ出願するためのオンラインの出願・選抜システムで、2018年に導入されました。2026年は本手続きの段階で約18%の人が希望先に入れなかったと報じられています。
フランス政府はどう対応していますか?
首相は安全が確保できる学校から授業を再開するよう求め、先生の欠員補充や校舎の改修について、今月中に最初の決定を出す方針を示しています。
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出典・参考
- France 24「Mobilisation lycéenne : plus de 400 lycées paralysés, journée du 6 octobre... Ce qu'il faut savoir」(2026年10月4日)
- NHKニュース「フランスで高校生が教育環境の改善訴えデモ 約5000人拘束」(2026年10月3日)
- Wikipédia(フランス語版)「Mouvement lycéen et étudiant de 2026 en France」(2026年10月6日時点。教育省・内務省の発表、SNESの調査などの出典付き)
- AEF info「Le PLF 2027 prévoit une hausse de 1,2 Md€ pour l'Éducation nationale et le retrait de 1 588 postes d'enseignants titulaires」
- 中央日報日本語版(Yahoo!ニュース)「「教室にネズミとゴキブリ」…フランス発の欧州危機くるか」(2026年10月6日)
- 写真:Guallendra/Wikimedia Commons(CC0 1.0)
最終更新:2026年10月5日/作成:大学受験合格大作戦









