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君子は和して同ぜずくんしはわしてどうぜず
ひとことで言うと
立派な人は、人と調和するが、自分の考えを捨ててむやみに同調はしないということ。続きに「小人は同じて和せず」とある、孔子の言葉。
| 読み方 | くんしはわしてどうぜず |
|---|---|
| 意味 | 立派な人は、人と仲よく調和するが、自分の考えを捨ててむやみに同調することはないということ。 |
| 出典 | 『論語』子路「君子和而不同、小人同而不和」 |
| お話 | 孔子が君子と小人を比べた言葉。「和」と「同」のちがいは『春秋左氏伝』の晏子の羹のたとえが有名 |
| 似た言葉 | 和而不同・十人十色の意味 |
| 反対の言葉 | 付和雷同の意味・八方美人の意味 |
| 漢文の句法 | 置き字(而)・否定(不)・重要単語(君子・小人) |
このページのポイント
- 「君子は和して同ぜず」は、人と調和しても、むやみに同調はしないという孔子の言葉。「和」と「同」はちがいます
- 出典は『論語』子路。「小人は同じて和せず」との対句と、為政篇の「周して比せず」まで、原文と訓読文で読めます
- 『春秋左氏伝』の晏子の羹のたとえを4こまのイラストで。付和雷同とのちがい、入試での出方まで
「君子は和して同ぜず」の意味と読み方
「君子は和して同ぜず」はくんしはわしてどうぜずと読みます。意味は「立派な人は、人と仲よく調和するが、自分の考えを捨ててむやみに同調することはない」ということです。原文には続きがあり、「小人は同じて和せず」(つまらない人は、すぐに同調するが、本当に調和することはない)と対になっています。
「君子(くんし)」は徳のある立派な人、「小人(しょうじん)」は徳のないつまらない人のことです。「和(わ)」は、ちがう考えをもつ人どうしが、たがいに認め合ってまとまること。「同(どう)」は、自分の考えをもたずに、まわりに合わせることです。出典は『論語(ろんご)』の子路(しろ)篇で、四字熟語の「和而不同(わじふどう)」もこの言葉から生まれました。
うかるくん
「和」も「同」も、みんなと仲よくすることじゃないんですか?
ミスターT先生
そこがこの言葉のおもしろいところなんだ。「和」は、ちがう意見を言い合いながらもまとまること。「同」は、本当はちがうと思っていても「そうだね」と合わせること。見た目はどちらも仲がよさそうだけど、中身がまったくちがうんだよ。
ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。
- ○キャプテンは、みんなの意見を聞きながらも、だめなことはだめと言う。君子は和して同ぜずだ。
- ○会議では遠慮せず反対意見も出そう。君子は和して同ぜずの精神で、よい結論をめざす。
- ○友だちと仲がよくても、悪いさそいには乗らない。和して同ぜずでいたい。
「和」の字は「和」の読み方・書き順・部首、「同」は「同」の読み方・書き順・部首で、読み方と書き順を確かめておきましょう。
絵で読む「君子は和して同ぜず」のお話
『論語』子路篇のこの言葉には、いつ・だれに言ったのかは書かれていません。そこで、1〜3こま目は、「和」と「同」のちがいをくわしく説明した有名な話として、『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』昭公二十年の斉の景公と晏子(あんし)の問答を絵にしました(問答は原典の内容どおり、場所のようすやしぐさは想像です)。4こま目は、孔子の言葉を場面にした想像の絵です。
絵で読む「君子は和して同ぜず」(1〜3は『春秋左氏伝』の晏子の話、4は想像の場面)
晏子が言いたかったのは、王さまが何を言っても「はい、そのとおりです」と言う家来は、「和」ではなく「同」にすぎないということです。本当の「和」は、王さまが「よい」と言ったことでも、悪い所があればそれを申し上げて、よりよいものにすること。ちがう意見があるからこそ、よいものができる。羹(スープ)のたとえは、そのことを分かりやすく言ったものです。

ミスターT先生
「君子は和して同ぜず」は、仲よくすることと、何でも合わせることはちがう、という言葉なんだ。ちがう意見を言える関係こそ、本当に仲のよい関係だね。
「君子は和して同ぜず」の原文・書き下し文・現代語訳
出典は『論語』子路第十三です。「君子」と「小人」、「和」と「同」が入れかわる対句(ついく)になっています。返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は教科書で多い読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方とルールでくわしく説明しています。
1文目の前半:君子は和して同ぜず
書き下し文子曰はく、「君子は和して同ぜず、
(『論語』子路)
現代語訳先生(孔子)が言った、「立派な人は、人と調和するが、むやみに同調することはない。
1文目の後半:小人は同じて和せず
書き下し文小人は同じて和せず。」
(『論語』子路)
現代語訳つまらない人は、すぐに同調するが、本当に調和することはない。」
原典(『論語』子路)の本文では
維基文庫(中国語のウィキソース)の『論語』子路第十三では、次のようになっています(句読点は維基文庫の本文のとおり)。
- 字は今と同じ:この章は、旧字体と今の字体のちがいがありません。
- 「同ぜず」「同じて」:「同ず(どうず)」という動詞の形で読みます。「同ぜず」は「同調しない」、「同じて」は「同調して」です。
為政篇の「周して比せず」も同じ形
『論語』為政篇には、そっくりな形の言葉があります。いっしょに覚えると、孔子が考えた「君子」と「小人」のちがいがよく分かります。
為政篇:君子は周して比せず
書き下し文君子は周して比せず、小人は比して周せず。
(『論語』為政)
現代語訳立派な人は、広く公平に人と親しむが、かたよった仲間をつくらない。つまらない人は、かたよった仲間をつくるが、広く公平に親しむことはない。
サクラちゃん
「同じて和せず」って、みんな同じことを言っているのに、まとまっていないんですか?
ミスターT先生
そうなんだ。口では「そうだそうだ」と合わせていても、心の中ではそれぞれ自分の得のことを考えているから、いざというときにまとまらない。古い注釈では、小人は好みは同じでも、利益をあらそうから和しない、という説明もあるよ。
出典『論語』と話の背景
『論語』は、春秋時代の思想家孔子(紀元前551年ごろ〜紀元前479年)と、その弟子たちの言葉や行いを、のちの弟子たちがまとめた本です。全部で20篇あり、「子路」は13番目の篇です。篇の名前は、最初の章に出てくる弟子の子路から取られています。孔子は、人の上に立つ人がどうあるべきかを、「君子」と「小人」を比べる形でくり返し語りました。諸子百家の中での孔子の位置は諸子百家(儒家・道家・法家)の考え方で図にしています。

晏子の「和同論」(『春秋左氏伝』昭公二十年)
お話の絵にした晏子(あんし、名は晏嬰〈あんえい〉)は、孔子と同じころの斉(せい)の国の宰相です。『春秋左氏伝』は、魯の国の歴史書『春秋』にくわしい説明を加えた本で、その昭公二十年(紀元前522年)の記事に、この問答があります。
晏子はさらに、「君臣もまた然り(君主と家来の関係も同じです)」と言います。君主が「よい」と言うことにも悪い所があれば、家来はそれを申し上げて、よい所を完成させる。君主が「だめだ」と言うことにもよい所があれば、それを申し上げて、悪い所を取り去る。ところが梁丘據は、君主が「よい」と言えば「よい」、「だめだ」と言えば「だめだ」と言うだけ。それは「同」であって「和」ではない、というのです。
孔子の「君子は和して同ぜず」と晏子の話が直接つながっているかどうかは分かりませんが、「和」と「同」を分けて考える見方は、この時代によく知られていたことがうかがえます。また、聖徳太子の十七条憲法の「和を以て貴しと為す」は、『論語』学而篇の「礼の用は和を貴しと為す」をふまえたものとする説があります。日本でも「和」は大切な言葉ですが、それは「みんなが同じになること」ではないのです。
「君子は和して同ぜず」の使い方と例文・似た言葉
「君子は和して同ぜず」は、人と協力しながらも、自分の考えをしっかりもつことが大切だと言いたいときに使います。チームワークや会議、友だちづきあいの話でよく使われ、「和して同ぜず」と前半だけで使うことも多いです。
- ○よいチームは、意見がぶつかってもまとまる。和して同ぜずの関係だ。
- ○社長は「君子は和して同ぜず。イエスマンはいらない」と社員に話した。
- ○クラスの空気に流されず、正しいと思うことを言えた。和して同ぜずでいられたと思う。
- ×みんなの意見に何でも合わせるのが、君子は和して同ぜずだ。(それは「同」。反対の意味)
- ×和して同ぜずだから、だれの意見も聞かずに自分の考えだけを通す。(「和」がない。人と調和することが前提)
似た言葉
- 和而不同(わじふどう):この言葉の原文をそのまま四字熟語にしたもの。
- 和を以て貴しと為す:十七条憲法の第一条。人と人との調和を大切にせよという意味です。
- 十人十色(じゅうにんといろ):考え方や好みは人によってそれぞれちがう。「ちがいがあるのが当たり前」という点で、「和」の考えに通じます。
反対の言葉
- 付和雷同(ふわらいどう):自分の考えがなく、他人の意見にすぐ同調すること。まさに「同じて和せず」の姿です。
- 八方美人(はっぽうびじん):だれからも悪く思われないように、だれにでもいい顔をする人。
- 長いものには巻かれろ:力のある人には、さからわずに従うほうが得だ、という考え。
なお、「異口同音(いくどうおん)」は、多くの人が口をそろえて同じことを言うことです。悪い意味の言葉ではありませんが、「同」の字のとおり、全員が同じ意見になることを表すので、「和して同ぜず」とは少し向きがちがいます。
英語では、19世紀の宣教師ジェームズ・レッグが『論語』を訳したときの "The superior man is affable, but not adulatory; the mean man is adulatory, but not affable."(立派な人は親しみやすいが、へつらわない。つまらない人はへつらうが、親しみやすくはない)という訳がよく知られています。今の英語なら harmony without conformity(同調しない調和)と言い表すこともあります。
受験勉強への生かし方
受験勉強では、友だちと教え合ったり、はげまし合ったりすることが大きな力になります。でも、「みんながやっているから」「みんなが休むから」と合わせてばかりいると、自分に必要な勉強が見えなくなります。勉強仲間とのよいつきあい方は受験の格言「予備校や塾で友達を作るな」の意味で、まわりの「当たり前」をうのみにしない考え方は「常識とは偏見のコレクションである」の本当の出典と意味で紹介しています。仲間と「和」しながら、自分の計画は「同ぜず」に守る。これが受験生の「君子」の姿です。志望校選びでも、まわりに「同ずる」のではなく自分で決めることの大切さを勇者となれ!周りに流されず志望校を決める受験生へのメッセージで書いています。受験生をはげます言葉は受験の格言・名言100選(意味・出典つき)にも集めました。
「君子は和して同ぜず」のよくあるまちがい
- 「みんなと同じにすれば仲よくなれる」という意味だと思う:反対です。同じにする(同)のではなく、ちがいを認め合ってまとまる(和)ことをすすめる言葉です。
- 「人とかかわらない」という意味だと思う:「同ぜず」だけを見るとそう思えますが、前半に「和して」とあるように、人と調和することが前提です。
- 「小人」を「こびと」「しょうにん」と読む:ここでは「しょうじん」と読み、徳のないつまらない人のことです。体の小さい人の意味ではありません。
- 「同ぜず」を「同じず」と書く:「同ず(どうず)」の打ち消しなので「同ぜず」です。後半は「同じて(どうじて)」と読みます。
- 「付和雷同」と同じ意味だと思う:「付和雷同」は「同じて和せず」のほう、つまり反対の意味の言葉です。
うかるくん
みんなとちがう意見を言うと、空気がこわれそうで、つい合わせちゃいます…。
ミスターT先生
その気持ちはよく分かるよ。でも晏子の羹を思い出してごらん。ちがう味があるから、おいしいスープになる。ていねいな言い方で意見を伝えることは、空気をこわすことじゃなくて、チームをよくすることなんだ。
入試ではこう出る
「君子は和して同ぜず」は、高校受験・大学受験でよく出る言葉です。
- 高校受験:『論語』の一節として、「君子和而不同」に返り点をつける問題・書き下し文に直す問題、「和」と「同」のちがいを説明する問題が出ることがあります。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
- 大学受験:対句の構造、「君子」「小人」の意味、「和」と「同」のちがいを説明する記述問題がよく出ます。評論文では、日本人の「同調圧力」や「空気を読む」文化を論じる文章で引用されることがあります。
- 中学受験:この言葉そのものより、反対の意味の四字熟語「付和雷同」や「十人十色」がよく出ます。意味のちがいをセットで覚えておきましょう。

サクラちゃん
「和=ちがいを認めてまとまる」「同=ただ合わせる」。「付和雷同」は「同」のほうと覚えれば、意味を選ぶ問題で迷いませんね!
練習問題
やさしい
- 「君子は和して同ぜず」の意味として正しいものを選びましょう。
ア 立派な人は、人と調和するが、むやみに同調しない イ 立派な人は、だれとも仲よくしない ウ 立派な人は、いつもみんなと同じ意見を言う エ 立派な人は、人の意見を聞かない答えと解説を見る
ア。ウは「同」、イやエは「和」がない状態で、どちらもこの言葉の意味とはちがいます。 - 「君子は和して同ぜず」の反対の意味に近い四字熟語を選びましょう。
ア 十人十色 イ 付和雷同 ウ 温故知新 エ 一石二鳥答えと解説を見る
イ。「付和雷同」は、自分の考えがなく他人の意見にすぐ同調すること。「同じて和せず」に近い言葉です。
ふつう
- 「君子和而不同、小人同而不和」を書き下し文に直しましょう。
答えと解説を見る
君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。「而」は置き字なので書き下し文には書きません。 - この言葉の「小人」の読み方と意味を答えましょう。
答えと解説を見る
読み方はしょうじん。意味は徳のない、つまらない人(君子の反対)です。
むずかしい
- 『春秋左氏伝』で晏子は、「和」と「同」のちがいをどのようなたとえで説明しましたか。
答えと解説を見る
「和」は、水・火・酢・塩・梅などちがう材料を合わせて作るおいしい羹(スープ)のようなもの。「同」は、水に水を足すようなもの(だれも飲まない)、また琴と瑟が同じ音ばかり出すようなもの(だれも聞かない)だとたとえました。 - 「君子和而不同、小人同而不和」の表現上の特色を、「対句」という言葉を使って説明しましょう。
答えと解説を見る
前半と後半で「君子」と「小人」、「和」と「同」の位置を入れかえた対句になっており、君子と小人のちがい、「和」と「同」のちがいをはっきり対比させている。
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よくある質問
君子は和して同ぜずとはどういう意味ですか?
君子は和して同ぜずとは、立派な人は人と仲よく調和するが、自分の考えを捨ててむやみに同調することはない、という意味です。続きの「小人は同じて和せず」と対になっています。
君子は和して同ぜずの読み方は何ですか?
「くんしはわしてどうぜず」と読みます。続きの「小人は同じて和せず」は「しょうじんはどうじてわせず」と読みます。
君子は和して同ぜずの出典・由来は何ですか?
出典は『論語』子路篇で、孔子の言葉です。原文は「君子和而不同、小人同而不和」で、四字熟語の「和而不同」もここから生まれました。
「和」と「同」のちがいは何ですか?
「和」は、ちがう考えをもつ人どうしが認め合ってまとまることです。「同」は、自分の考えをもたずにまわりに合わせることです。『春秋左氏伝』では晏子が、「和」を羹(スープ)に、「同」を水に水を足すことにたとえています。
君子は和して同ぜずの例文を教えてください。
「よいチームは、意見がぶつかってもまとまる。和して同ぜずの関係だ」のように使います。前半だけで「和して同ぜず」と使うことも多いです。
君子は和して同ぜずはビジネスで使えますか?
はい、使えます。会議で反対意見を出し合う大切さや、イエスマンではない協力のしかたを言うときに、よく引用されます。
君子は和して同ぜずの反対の言葉は何ですか?
反対の意味に近い言葉は「付和雷同」です。自分の考えがなく、他人の意見にすぐ同調することで、まさに「小人は同じて和せず」の姿です。「八方美人」も反対に近い言葉です。
君子は和して同ぜずは英語で何と言いますか?
19世紀のジェームズ・レッグによる『論語』の英訳 "The superior man is affable, but not adulatory." がよく知られています。今の英語で harmony without conformity(同調しない調和)と言い表すこともあります。
君子は和して同ぜずの「小人」とはどんな人ですか?
「小人(しょうじん)」は、徳のないつまらない人のことで、立派な人を表す「君子」の反対の言葉です。体の小さい人という意味ではありません。
君子は和して同ぜずは入試でどう出ますか?
高校受験では返り点や書き下し文、「和」と「同」のちがいの問題が出ます。大学受験では対句の構造や「君子」「小人」の意味を説明する記述問題が出ることがあります。
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出典・参考
- 原文:『論語』子路第十三・為政第二、『春秋左氏伝』昭公二十年(維基文庫の本文で確認)
- 英訳:James Legge 訳『論語』(The Chinese Classics)
- 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
- 絵:メトロポリタン美術館 Open Access(パブリックドメイン)
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最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦



