読めそうで読めない漢字10問|長ける・朋友・潔い・手水・捏造・極刑の読み方と意味【パート12】

この記事の結論

  • 「読めそうで読めない漢字」とは、毎日のように目にする字なのに、ふだんと違う読み方をする言葉のことです。常用漢字表にない訓読み、音がつまる読み(促音化)、昔の発音が変わった読み、慣用読みなどが「ワナ」になります
  • パート12は「長ける・朋友・潔い・朗らか・手水・清清しい・捏造・極刑・端午・薬球」の10問。答えは押すと開く形にしました。1問ずつの意味・例文・まちがえやすい読みも解説します

【国語のお勉強】

読めそうで読めない漢字12

「読めそうで読めない漢字」シリーズの12回目です。

読めそうで読めない漢字。みんなが読める漢字は読めて当たり前。誰も知らない漢字は読めなくても仕方が無い。差がつくのは、読めそうで読めない漢字を読めるかどうかです。

この記事の漢字1字は「漢字合格大作戦」で

「長」「潔」「朗」「極」「端」のような1字の書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で確かめられます。級別の一覧は漢検2級など、高校で習う読みは高校で習う読みへ。

読めそうで読めない漢字クイズ10問(パート12)

本

次の10個の言葉、いくつ読めるでしょうか? 声に出して読んでみてください。

  1. 長ける
  2. 朋友
  3. 潔い
  4. 朗らか
  5. 手水
  6. 清清しい(清々しい)
  7. 捏造
  8. 極刑
  9. 端午
  10. 薬球

ヒント:1・3・4・6は、送り仮名がヒントになる「訓読み」の言葉です。5と10は昔のことばの形が残っています。7と8は、ついやってしまう読み間違いが有名な言葉です。9は5月の行事の名前です。

答え合わせ(押すと開きます)

それでは答え合わせしてみましょう。↓

答えと意味を見る
暗記法
  1. 長ける=たける 長けるの意味:ある方面の力や才能を十分にもっていること
  2. 朋友=ほうゆう 朋友の意味:友達。同門の友。同志の友。
  3. 潔い=いさぎよい 潔いの意味:卑劣なところがなく立派である
  4. 朗らか=ほがらか 朗らかの意味:心にこだわりがなく、晴れ晴れとして明るいさま。
  5. 手水=ちょうず 「てみづ」の音変化ですので「てみず」と読む場合もあります。手水の意味:手や顔などを水で洗うこと。社寺に参拝する前などに、手や口を水で清めること。また、その水。
  6. 清清しい(清々しい)=すがすがしい 清清しいの意味:さわやかで気持ちがいい。用例:受験が終わって清清しい顔をしている。
  7. 捏造=ねつぞう 「ていぞう」と読む間違いが多い。2014年当時、STAP細胞関連の記事などでよく見た言葉。捏造の意味:事実であるかのように偽ってつくりあげること。
  8. 極刑=きょっけい 「きょくけい」と読む間違いが多い。極刑の意味:死刑のこと
  9. 端午=たんご 五月五日は端午の節句。
  10. 薬球=くすだま 「くすりだま」と読む間違いが多い。開店祝いなどで使う飾り物。昔は「端午の節句」の魔よけとして使われた。

※10は、元の記事では「薬球」と出題しました。国語辞典の見出しでは「薬玉」と書くのが一般的です(「球」も「玉」も訓読みは「たま」)。

さていくつ読めたでしょうか? コメント欄で間違った漢字を教えていただけると幸いです。

漢字の読み間違いの6つのワナ

今回の10問は、どれも「字そのものは知っている」ものばかりです。それでも読めないのはなぜでしょう。読み間違いには、いくつかの決まったパターン(ワナ)があります。パートごとに問題はちがっても、ワナの種類はほとんど同じです。

「読めそうで読めない」6つのワナ 1 常用漢字表にない訓読み 字は知っているのに学校で習わない読み 長ける・清々しい 2 音がつまる(促音化) 「ク」のあとにカ行が来て小さい「ッ」に 極刑 3 昔の発音が変わった読み 「て+みづ」が長い年月で変化 手水 4 慣用読みが定着した 本来の読みとは別の読みが広まった 捏造 5 常用漢字にない字 学校ではまず習わない字が入っている 朋友 6 昔のことばが残る読み 「くすり」のもとの形といわれる 薬玉
読めそうで読めない漢字の6つのワナ(大学受験合格大作戦 作成)
  1. 常用漢字表にない訓読み(表外の読み):「長」の訓読みは、常用漢字表では「なが(い)」だけです。「長ける」の「た(ける)」は表にない読みなので、学校のテストではあまり出てきません。「清々しい」の「すがすが(しい)」も同じです。
  2. 音がつまる(促音化):極刑の「極」はキョクですが、次にカ行の「ケイ」が来ると「きょっけい」になります。
  3. 昔の発音が変わった読み:手水は「て+みづ」が長い時間をかけて変化し、「ちょうず」になりました。
  4. 慣用読みが定着した:捏造の「ねつぞう」は、本来の読みとは別に広まった読み(慣用読み)だと国語辞典で説明されます。
  5. 常用漢字にない字:朋友の「朋」、捏造の「捏」は常用漢字ではありません。学校で習わないので、形の似た字から当て推量しがちです。
  6. 昔のことばが残る読み:薬玉の「くす」は、「くすり」のもとの形といわれる言葉がかくれた読みです。

二十四節気の漢字を集めたパート5(二十四節気の読み方クイズ)では「音読みと訓読みの取り違え」「だいとたい」が中心でした。国名の当て字を集めたパート7(国名の漢字表記クイズ)は「1文字ずつの音」がカギでした。パート12は、訓読みと、音が変わる読みが主役です。

人差し指を立てて説明する合格先生

合格先生

読み間違いには「型」があるんだ。1問ずつ覚えるより、どのワナにはまったかを考えると、初めて見る言葉でも読めるようになるよ。

1問ずつ解説:読み方・意味・例文

ここからは答えを書きながら、1問ずつくわしく見ていきます。意味は元の記事の説明を残し、例文と、まちがえやすい読みを足しました。

問題読みワナよくある間違い
長けるたける表にない訓読みながける
朋友ほうゆう常用漢字にない字ともとも
潔いいさぎよい送り仮名が短いきよい
朗らかほがらか送り仮名「らか」あきらか
手水ちょうず(てみず)昔の発音の変化てすい
清清しいすがすがしい表にない訓読みきよきよしい
捏造ねつぞう慣用読み・常用外ていぞう
極刑きょっけい促音化きょくけい
端午たんご十二支の「午」はしご
薬球(薬玉)くすだま昔のことばくすりだま

「よくある間違い」のうち、捏造・極刑・薬玉は元の記事にある間違い、それ以外は読み方の手がかりとして考えられる例です。

1. 長ける(たける):「〜に長けている」の形でよく使う

長けるは「たける」と読みます。意味は「ある方面の力や才能を十分にもっていること」。「語学に長けている」「人をまとめる力に長けた人」のように、「〜に長ける」「〜に長けている」の形で使うのがふつうです。ほめ言葉として使うことが多い言葉です。

「長」は小学2年で習う字ですが、常用漢字表の訓読みは「なが(い)」だけ。「たける」は表にない読みです。だから「ながける」と読んでしまう人が出てきます。音読みの「チョウ」を使った言葉には、成長・長所・特長・長じる(ちょうじる)があり、「長じる」も「すぐれる・得意である」という意味で、「長ける」と意味が近い言葉です。

似た意味の言葉には「才能がある」「秀でる(ひいでる)」「得意だ」などがあります。作文や小論文で「〜が得意だ」が続くときに「〜に長けている」と言いかえると、文に変化をつけられます。

2. 朋友(ほうゆう):「朋」も「友」も「とも」

朋友は「ほうゆう」と読みます。意味は「友達。同門の友。同志の友」。「朋」は常用漢字ではありませんが、人名用漢字として名前にも使われる字で、「朋(とも)」と読む人名でおなじみかもしれません。「友」の音読みは「ユウ」なので、「朋友」は音読み+音読みで「ほう・ゆう」です。

朋友は、中国の古典によく出てくる言葉です。『論語』の最初の章(学而篇)の「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」は、漢文の授業で習う有名な一文です。「友達が遠くからたずねてくる。なんと楽しいことか」という意味です。また『孟子』では、人と人との5つの大切な関係(五倫)の一つとして「朋友信有り」(友達どうしは信頼が大切)があげられています。

「朋」と「友」の違いについては、「同じ先生に学ぶ仲間が朋、同じ志をもつ仲間が友」とする古い説明がよく知られています(諸説あり)。元の記事の意味の説明「同門の友。同志の友。」は、この説明にもとづくものです。『論語』の言葉は「志学・而立・不惑」など年齢の名前にもなっています(年齢の名称(還暦・古希・米寿など)と論語の言葉)。

うかるくん

うかるくん

「朋」って名前でしか見たことがないです。「ともとも」って読みそうになりました…

合格先生

合格先生

熟語の中では音読みになることが多いんだ。「朋」の音は「ホウ」。形は「月」が2つ並んだ字で、「崩(ホウ)」の中にも入っているよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

「崩壊」の「崩」もホウですね。形の中に同じ部分があると、音も似ることがあるんですね。

合格先生

合格先生

そう。漢字の多くは意味の部分+音の部分でできている。知らない字は、音の部分から読みの見当をつけるのがコツだよ。

3. 潔い(いさぎよい):送り仮名は「い」だけ

潔いは「いさぎよい」と読みます。意味は「卑劣なところがなく立派である」。「潔く負けを認める」「潔い引き際」のように、未練がましくなく、きっぱりしているようすにも使います。

「潔」は小学5年で習う字で、音読みは「ケツ」。清潔(せいけつ)・簡潔(かんけつ)・潔白(けっぱく)・不潔(ふけつ)などの熟語でおなじみです。熟語では読めるのに、送り仮名がつくと読めなくなるのが「潔い」のワナです。

書くときの注意は送り仮名。「潔よい」ではなく「潔い」です。「いさぎよい」の「いさぎよ」までを漢字1字が受け持ちます。漢字の書き取りで送り仮名をまちがえると、入試ではそれだけで×になることがあります。

4. 朗らか(ほがらか):「らか」から送る言葉の仲間

朗らかは「ほがらか」と読みます。意味は「心にこだわりがなく、晴れ晴れとして明るいさま」。「朗らかな笑顔」「朗らかな人柄」のように使います。

「朗」の音読みは「ロウ」で、朗読(ろうどく)・明朗(めいろう)・朗報(ろうほう)などの熟語があります。訓読みは「ほが(らか)」だけです。

送り仮名は「朗らか」。「明らか(あきらか)」「滑らか(なめらか)」「柔らか(やわらか)」と同じく、「らか」から送る形の言葉です。「明らか」と形が似ているので、「あきらか」と読んでしまわないように気をつけましょう。

5. 手水(ちょうず):神社やお寺で手と口を清める水

手水は「ちょうず」と読みます。元の記事の説明のとおり、「てみづ」の音が変わったものなので、「てみず」と読む場合もあります。意味は「手や顔などを水で洗うこと。社寺に参拝する前などに、手や口を水で清めること。また、その水」です。

「手水」の読みが「ちょうず」になるまで て+みづ 手+水 てうづ 音が変わる ちょうず 今の読み 「てみず」と読むこともあります 手水舎は「ちょうずや」「てみずや」の両方で読まれます
「手水」の読みの変化(大学受験合格大作戦 作成)

「手」も「水」も小学1年で習う字です。それなのに読めないのは、昔の発音が変わって、今の読みが字の読みとかけはなれたからです。「て+みづ」→「てうづ」→「ちょうず」。古文で習う歴史的仮名遣いでは「てうづ」と書きます。「てう」が「ちょう」になるのは、「蝶(てふ→ちょう)」「今日(けふ→きょう)」と同じ、古文の読み方の決まりです(古文文法辞典)。

神社やお寺の入口近くにある、手と口を清めるための建物を手水舎(ちょうずや・てみずや)、水をためた石の鉢を手水鉢(ちょうずばち)といいます。昔の言葉では「手水場(ちょうずば)」がトイレを指すこともありました。手を洗う場所だったからです。

手水の作法

手水の使い方は、一般に次の流れで紹介されています。合格祈願で神社にお参りするときに、知っておくと安心です。

手水の作法(一般的な流れ) 1 左手 右手で柄杓 左手を清める 2 右手 持ちかえて 右手を清める 3 口 左手に水を 受け口をすすぐ 4 左手 もう一度 左手を清める 5 柄 柄杓を立て 柄を水で流す ※神社やお寺によって案内が違うこともあります。現地の掲示に従いましょう
手水の作法の一般的な流れ(大学受験合格大作戦 作成)

京都では、2月の節分に京都大学(京大)のすぐそばの吉田神社で節分祭が開かれ、多くの受験生が合格祈願に訪れます(吉田神社の節分祭と京大合格祈願)。お参りの前に、手水で心を落ち着けるのもよいですね。

6. 清清しい(すがすがしい):「々」はくり返しの記号

清清しい(清々しい)は「すがすがしい」と読みます。意味は「さわやかで気持ちがいい」。元の記事の用例は「受験が終わって清清しい顔をしている」。受験生にとっては、いちばん使ってみたい言葉かもしれません。

「清」の常用漢字表の読みは「セイ・ショウ・きよ(い)・きよ(まる)・きよ(める)」で、「すがすが(しい)」は表にない読みです。そのため「きよきよしい」「せいせいしい」と読んでしまう人がいます。

「々」は漢字ではなく「くり返しの記号」 清 清 清 々 前の字をくり返す 同じ字が2つ続く 人々ひとびと時々ときどき堂々どうどう清々しいすがすがしい
「々」のはたらき(大学受験合格大作戦 作成)

「清々しい」の「々」は漢字ではなく、前の字をくり返すことを表す記号です。「同の字点(どうのじてん)」とよばれ、形がカタカナの「ノ」と「マ」に見えることから「ノマ」とよぶ人もいます。人々・時々・堂々のように使います。

なお「清々(せいせい)する」は別の言葉で、「心配やいやなことがなくなって、気分がさっぱりする」という意味です。同じ「清々」でも、後ろに「しい」がつけば「すがすがしい」、「する」がつけば「せいせいする」。送り仮名と後ろの言葉で読みが決まるよい例です。

7. 捏造(ねつぞう):「ていぞう」は読み間違い

捏造は「ねつぞう」と読みます。「ていぞう」と読む間違いが多い言葉です。意味は「事実であるかのように偽ってつくりあげること」。

2014年当時、STAP細胞の論文をめぐる問題が大きく報じられ、ニュースや記事で「捏造」という言葉をよく見かけました。元の記事はちょうどそのころに書いたものです。

「捏」は常用漢字ではありません。国語辞典では、もともとの読みは「でつぞう」で、「ねつぞう」は慣用読みとして広まった、と説明されています。今は「ねつぞう」がふつうの読みです。「捏」の訓読みは「こねる」で、「粘土を捏ねる」「パン生地を捏ねる」のように使います。ないものを、こねてつくりあげると考えると、意味と結びつきます。「でっちあげる」も漢字で「捏ち上げる」と書くことがあります。

似た意味の言葉には、偽造(ぎぞう:にせものをつくる)・改ざん(書きかえる)・虚偽(きょぎ:うそ)などがあります。どれも、小論文や現代文の評論で出てくる言葉です。「造」の音読みは「ゾウ」(製造・構造・創造)。同じシリーズでは「杜撰(ずさん)」も読み間違いの多い言葉として取り上げました(杜撰の読み方と意味・パート9)。

8. 極刑(きょっけい):小さい「ッ」になる

極刑は「きょっけい」と読みます。「きょくけい」と読む間違いが多い言葉です。意味は「死刑のこと」。ニュースや裁判の記事で「極刑に処する」「極刑を求める」のように使われます。

「極刑」はなぜ「きょっけい」? 極 キョク + 刑 ケイ ク→ッ きょっけい 「ク・キ」+カ行 / 「ツ・チ」+カ・サ・タ・ハ行 → 小さい「ッ」になりやすい 学校がっこう国家こっか発見はっけん出発しゅっぱつ
促音化のしくみ(大学受験合格大作戦 作成)

「極」の音読みは「キョク・ゴク」、「刑」の音読みは「ケイ」です。キョク+ケイと続くとき、「ク」が小さい「ッ」に変わります。これを促音化(そくおんか)といいます。学校(ガク+コウ→がっこう)、国家(コク+カ→こっか)、発見(ハツ+ケン→はっけん)、出発(シュツ+ハツ→しゅっぱつ)も同じしくみです。

おおまかな決まりは、「ク・キ」で終わる音のあとにカ行、「ツ・チ」で終わる音のあとにカ・サ・タ・ハ行が来ると「ッ」になりやすい、というものです。「極」は「ク」で終わるので、カ行以外が続く極端(きょくたん)・極東(きょくとう)や、にごる音が続く極限(きょくげん)では「ッ」になりません。ただし例外もあるので、最後は1語ずつ辞書で確かめるのが確実です。「極」には「ゴク」の読みもあり、極上(ごくじょう)・極楽(ごくらく)・極寒(ごっかん)などがあります。極寒も促音化して「ごっかん」です。

9. 端午(たんご):5月5日は端午の節句

端午は「たんご」と読みます。元の記事のとおり、五月五日は端午の節句です。「端」は「はし」、「午」は「正午(しょうご)」の「ご」なので、「はしご」と読んでしまう人もいます。

「端午」の由来と5月5日 端=はじめ月のはじめ 午=うま十二支の午の日 月はじめの午の日もとの意味 午(ご)と五(ご)同じ音 5月5日の行事にといわれる(諸説あり) 菖蒲=尚武どちらも「しょうぶ」 1948年から5月5日は「こどもの日」
「端午」の由来(大学受験合格大作戦 作成)

「端」には「はじめ」という意味があり、「午」は十二支の「午(うま)」です。そこで「端午」は、もとは月のはじめの午の日を指したといわれます。「午」と「五」が同じ「ご」の音であることから、やがて5月5日の行事になった、という説明がよく知られています(諸説あり)。この行事は中国から伝わったものです。

日本では、菖蒲(しょうぶ)の葉を軒にさしたり、菖蒲湯に入ったりして邪気をはらう風習がありました。「菖蒲」と「尚武(しょうぶ:武を重んじること)」が同じ音であることから、武家の社会で男の子の成長を願う行事として広まったといわれています。こいのぼりや五月人形をかざり、柏餅(かしわもち)やちまきを食べる地域が多いですね。

1948年に「国民の祝日に関する法律」ができ、5月5日は「こどもの日」になりました。法律では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日とされています。5月のはじめは、二十四節気の「立夏(りっか)」のころでもあります(立夏とは)。旧暦の5月は「皐月(さつき)」です(旧暦の月の名前(睦月〜師走))。

五節句の一覧

端午は「五節句」の一つです。季節の変わり目の行事として、今もカレンダーに残っています。

節句読み日付主な植物・行事
人日じんじつ1月7日七草がゆ
上巳じょうし(じょうみ)3月3日桃の節句・ひな祭り
端午たんご5月5日菖蒲の節句・こどもの日
七夕しちせき(たなばた)7月7日笹かざり
重陽ちょうよう9月9日菊の節句

五節句の名前も「読めそうで読めない漢字」の宝庫です。重陽の節句は、白露(はくろ)と重陽の節句の記事でも紹介しています。

サクラちゃん

サクラちゃん

端午の「端」が「はじめ」なんて知りませんでした。「はし」と「はじめ」って、つながっているんですか?

合格先生

合格先生

ものの「はし」は、そこから始まる所でもあるよね。だから「端」にははし・はじめの両方の意味があるんだ。「発端(ほったん)」は「物事のはじまり」という意味だよ。

うかるくん

うかるくん

発端も促音化で「ほったん」だ! 極刑と同じワナですね。

合格先生

合格先生

よく気づいたね。1つのワナを知ると、ほかの言葉でも使える。それが漢字の勉強のおもしろさだよ。

10. 薬球・薬玉(くすだま):昔は端午の節句の魔よけ

薬玉(薬球)は「くすだま」と読みます。「くすりだま」と読む間違いが多い言葉です。元の記事の説明は「開店祝いなどで使う飾り物。昔は『端午の節句』の魔よけとして使われた」。9番の端午とつながる問題でした。

薬玉(くすだま)の昔と今 昔:端午の節句の魔よけ 香料を袋に入れて玉にし 菖蒲・蓬・五色の糸で飾る 柱やすだれにかけた 今:お祝いで割る飾り 祝開店 開店祝い・運動会・式典で ひもを引いて割る
薬玉の昔と今(大学受験合格大作戦 作成)

国語辞典では、薬玉はもともと香料を錦の袋に入れて玉の形にし、菖蒲や蓬(よもぎ)などを結びつけ、五色の糸を長く垂らしたもので、端午の節句に邪気をはらうものとして柱やすだれにかけた、と説明されています。香りのよい「薬」を入れた「玉」だから薬玉です。

「くす」は「薬(くすり)」のもとの形といわれ、「薬師(くすし)」は昔のことばで医者のことです。今、開店祝いや運動会、式典などで、ひもを引いて割る「くす玉」は、この薬玉の形を受けついだお祝いの飾りです。今では、ひらがなをまぜて「くす玉」と書くこともよくあります。

「薬」の音読みは「ヤク」(薬局・医薬品)、「玉」の音読みは「ギョク」(玉石混交)。「球」の音読みは「キュウ」(地球・野球)で、訓読みは「たま」です。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

端午と薬玉はセットで覚えればいいんだ! 5月5日の魔よけの玉が、今は運動会のくす玉になったんですね。

読めそうで読めない漢字の覚え方:4つのステップ

読めそうで読めない漢字は、ただ答えを丸暗記するより、なぜその読みになるのかをセットにすると忘れにくくなります。次の4つのステップで進めてみてください。

  1. 声に出して読む:目で見るだけでは「読めたつもり」になります。この記事の10問を、答えをかくして声に出して読みましょう。
  2. ワナの種類に分ける:まちがえた言葉を、上の6つのワナのどれにはまったかで分けます。「極刑」と「発端」のように、同じワナの言葉をまとめて覚えます。
  3. 例文ごと覚える:「語学に長けている」「潔く負けを認める」「朗らかな笑顔」のように、よく使う形で覚えると、読みと意味が一度に身につきます。
  4. 1字ページで確かめる:「長」「清」「極」のような字は、書き順・音読み・訓読みをまとめて確かめておくと、別の熟語でも迷いません。

パート12の10問を音読みと訓読みで分けてみると、音読み+音読みの熟語が朋友・捏造・極刑・端午の4つ、訓読み+訓読みが手水(て+みず)と薬玉(くす+たま)の2つ、残りの長ける・潔い・朗らか・清々しいは送り仮名のつく訓読みです。音読みの熟語は「音が変わるワナ」、訓読みの言葉は「表にない読みのワナ」に気をつける、と分けておくと、初めて見る言葉にも応用できます。

まちがえた言葉を書きとめる「まちがいノート」を1冊つくるのもおすすめです。左に言葉、右に読みと意味、下に「どのワナか」を書いておくと、試験の前に見直しやすくなります。

受験と漢字の読み:入試・漢検でどう役立つ?

漢字の読みは、国語の点数に直接つながるだけでなく、現代文の読解のスピードにも響きます。評論文では「捏造」「極刑」「潔い」のような言葉が説明なしに出てきます。読めない言葉で止まると、文の意味をとりちがえやすくなります。

  • 大学入試の国語:評論や小説の中の漢字の読み・書き取りが出題されることがあります。京都大学(京大)の国語でも書き取りが出ています(2014年の京大国語で出題された漢字)。
  • 記述問題:「潔い」「朗らか」などの言葉を自分の答案で正しく使えると、表現がひきしまります(現代文の記述問題への対策・勉強法)。
  • 古文・漢文:手水(てうづ)のような歴史的仮名遣い、「朋有り遠方より来たる」のような漢文の有名な一文は、古典の授業とつながっています。京大の国語には明治の文語文も出ます(京大 国語 文語文の勉強法)。百人一首で古文のことばに慣れるのもよい方法です(百人一首)。
  • 漢字の検定:常用漢字の読みは級ごとに範囲があります。「潔」「朗」「端」の級は1字ページで確かめられます。

国語の勉強全体の進め方は「国語まとめ」にあります。わからないことがあれば「受験の質問・相談」でどうぞ。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

読み方を覚えたら、自分で使ってみること。作文や日記で「清々しい」「朗らか」を1回使えば、もう忘れないよ。

続きは「読めたらすごい漢字」へ

パート12の10問がぜんぶ読めた人は、もう一段むずかしい「読めたらすごい漢字」に挑戦してみましょう。春によく見かける、あの花の名前です(読めたらすごい漢字1)。

京都の5月の行事では、葵祭も読み方と由来を知っておきたい行事です(葵祭とは)。

このページに出た漢字を1字ずつ確かめよう

「長」「潔」「朗」「極」「端」のような1字の書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で確かめられます。級別の一覧は漢検2級など、高校で習う読みは高校で習う読みへ。

読めそうで読めない漢字シリーズ(パート1〜12)

  1. 読めそうで読めない漢字(パート1)
  2. 読めそうで読めない漢字~パート2
  3. 読めそうで読めない漢字~パート3
  4. 読めそうで読めない漢字~パート4
  5. 読めそうで読めない漢字~パート5【二十四節気編】
  6. 読めそうで読めない漢字~パート6
  7. 読めそうで読めない漢字~パート7【国の名前編】
  8. 読めそうで読めない漢字~パート8
  9. 読めそうで読めない漢字~パート9
  10. 読めそうで読めない漢字~パート10
  11. 読めそうで読めない漢字~パート11【日本の伝統色】
  12. 読めそうで読めない漢字~パート12(この記事)

よくある質問

「長ける」の読み方と意味は?

「たける」と読みます。ある方面の力や才能を十分にもっていることで、「語学に長けている」のように「〜に長ける」の形で使います。「たける」は常用漢字表にない読みです。

「捏造」は「ていぞう」と読みますか?

いいえ、「ねつぞう」と読みます。国語辞典では、もとの読みは「でつぞう」で、「ねつぞう」は慣用読みとして広まったと説明されています。「捏」は常用漢字ではありません。

「極刑」は「きょくけい」ですか?

「きょっけい」と読みます。極(キョク)と刑(ケイ)が続くとき、「ク」が小さい「ッ」に変わります(促音化)。学校(がっこう)と同じしくみです。

「手水」は「ちょうず」と「てみず」のどちらですか?

ふつうは「ちょうず」と読みます。「てみづ」の音が変わったものなので、「てみず」と読む場合もあります。手水舎も「ちょうずや」「てみずや」の両方で読まれます。

「薬玉」の読み方と由来は?

「くすだま」と読みます。もとは香料を袋に入れて玉の形にし、菖蒲や五色の糸で飾ったもので、端午の節句に邪気をはらうためにかけました。今は開店祝いや運動会で割るくす玉として使われます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 問題と答え・意味の説明・写真:2014年5月の元の記事(大学受験合格大作戦)
  • 読み・意味・慣用読み(捏造)・薬玉の説明:国語辞典の範囲(読みには揺れがあり、複数の読みがある言葉もある)
  • 常用漢字かどうか・常用漢字の音訓:常用漢字表(2010年)による
  • 「こどもの日」の趣旨:国民の祝日に関する法律(1948年)
  • 『論語』学而篇・『孟子』滕文公上(五倫)の文:漢文の教科書などで広く知られる本文

最終更新:2026年10月22日/作成:大学受験合格大作戦

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