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ナッシュJohn Nash
ひとことで言うと
ゲーム理論にナッシュ均衡を導入してノーベル経済学賞を受け、純粋数学でも埋め込み定理を証明してアーベル賞を受けた数学者。
| 名前 | ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニア(John Forbes Nash Jr.) |
|---|---|
| 生没年 | 1928年6月13日〜2015年5月23日(86歳) |
| 国 | アメリカ |
| 分野 | ゲーム理論・微分幾何学・偏微分方程式・経済学 |
| 主な業績 | ナッシュ均衡(1950年)、ナッシュの交渉解、リーマン多様体の等長埋め込み定理(1954〜56年)、偏微分方程式の研究 |
| 名前がつくもの | ナッシュ均衡・ナッシュの交渉解・ナッシュの埋め込み定理・ナッシュ・モーザーの定理 |
| 受賞 | 1994年ノーベル経済学賞、2015年アーベル賞 |
このページのポイント
- 1950年、ナッシュ均衡(全員が最善を選び、だれも一人だけ変えても得しない状態)を示し、ゲーム理論を大きく広げた
- 囚人のジレンマのように、それぞれが自分に得な選択をしても、全体では損になる場合があることを説明した
- 1994年にノーベル経済学賞、2015年にアーベル賞。純粋数学でも等長埋め込み定理を証明した
ナッシュは何をした人?(業績をひとことで)
ジョン・ナッシュ(1928〜2015年)は、アメリカの数学者です。1950年、ゲーム理論に「ナッシュ均衡」という考え方を導入し、経済学・生物学・社会科学に大きな影響をあたえました。この業績により、1994年にノーベル経済学賞(ハルサニ、ゼルテンと共同)を受けました。純粋数学でも、リーマン多様体の等長埋め込み定理など、重要な結果を残し、2015年にはアーベル賞(ニーレンバーグと共同)も受けています。
ナッシュは、病気(統合失調症)に長く苦しんだことでも知られています。その生涯は、伝記『ビューティフル・マインド』(シルヴィア・ナサー著、1998年)と、それをもとにした映画(2001年)によって、広く知られるようになりました。映画は事実と異なる部分も多いと指摘されています。
受験生にとってのナッシュは、確率・期待値・2次関数の最大最小の入口です。たとえば、2次関数の最大値・最小値の求め方は、ナッシュ均衡の計算でそのまま使います。確率の基本も、じゃんけんやサイコロの戦略を考える土台です。
サクラちゃん
ナッシュ均衡って、結局なんですか?
合格先生
「みんなが最善を選んだ結果、だれも自分だけ作戦を変えても得しない状態」のことだよ。たとえば、みんなが同じ道を通っていて、自分だけ道を変えても、かえって遅くなる。そういう「落ち着いた状態」を、数学で見つけたんだ。
ナッシュの生涯と年表
ウェストバージニア州の少年
ナッシュは1928年6月13日、アメリカのウェストバージニア州ブルーフィールドで生まれました。父は電気技師、母は教師でした。子どものころは、本を読んだり、実験をしたりするのが好きで、人づきあいは得意ではなかったと伝えられています。
大学:化学から数学へ
1945年、カーネギー工科大学(現在のカーネギーメロン大学)に入り、はじめは化学工学を学ぶつもりでしたが、数学の先生にすすめられて数学に進みました。1948年に学士号と修士号を取り、同じ年、プリンストン大学の大学院に進みます。プリンストンには、フォン・ノイマンの業績と生涯やアインシュタインがいました。
博士論文:ナッシュ均衡
1950年、ナッシュはプリンストン大学で博士号を受けます。論文の題は『非協力ゲーム』。わずか数十ページの論文でしたが、ここで示された考え方が、のちにノーベル賞の対象になります。ナッシュがこの理論をノイマンに話したとき、ノイマンは「ありふれた不動点定理の応用にすぎない」と言った、と伝えられています。ただし、これも後年の語りで、細部は確かめにくい話です。
MITで:純粋数学の仕事
ナッシュは1951年からマサチューセッツ工科大学(MIT)で教えました。1950年代前半から半ばにかけて、リーマン多様体の等長埋め込みなど、純粋数学の仕事を次々に発表します。このころのナッシュは、1958年のフィールズ賞の有力候補の一人だったと伝えられています。ただし、病気のため、その後の研究は中断しました。
病気と、長い年月
1958年ごろから、ナッシュの精神状態は不安定になりました。1959年には入院し、統合失調症と診断されました。以後、病院での治療と、研究を離れた生活を、何十年もつづけます。ナッシュ自身は、ノーベル賞のときの自伝や1996年の世界精神医学会での発表で、この時期のことを自分で語っています。それによれば、1970年代から80年代にかけて、少しずつ、妄想に影響された考えを理性的に退けられるようになっていった、とされます。「良い仕事ができないなら、自分を回復したとは思わない」という趣旨の言葉も伝えられています。
ノーベル賞とアーベル賞、そして最期
1994年、ナッシュはノーベル経済学賞をハルサニ、ゼルテンとともに受けました。1999年にはアメリカ数学会のスティール賞も受けています。2015年5月、ノルウェーでアーベル賞を受け取ったあと、帰りの車(タクシー)でニュージャージー州の高速道路を走行中に事故にあい、妻のアリシアとともに亡くなりました。86歳でした。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1928年 | 6月13日、アメリカのブルーフィールドで生まれる |
| 1945年 | カーネギー工科大学に入学し、のち数学に進む |
| 1948年 | 学士・修士。プリンストン大学大学院へ |
| 1950年 | 博士号。論文『非協力ゲーム』(ナッシュ均衡) |
| 1951年 | MITで教えはじめる |
| 1952年 | 実代数多様体についての論文 |
| 1954〜56年 | リーマン多様体の等長埋め込み定理 |
| 1957年 | アリシアと結婚 |
| 1959年 | 入院し、統合失調症と診断される |
| 1994年 | ノーベル経済学賞(ハルサニ、ゼルテンと共同) |
| 1996年 | 学会で病気について自ら発表 |
| 2015年 | アーベル賞(ニーレンバーグと共同)。5月23日、事故で亡くなる(86歳) |
ナッシュの主な業績をやさしく解説
業績1 ナッシュ均衡:ゲーム理論の中心
ゲーム理論では、複数の人が、相手の行動を考えながら、自分の行動を決めます。ナッシュ均衡とは、「全員が、他の人の選択を見たうえで、自分も最善を選んでいる状態」のことです。その状態では、だれか一人だけが作戦を変えても、得をしません。
ノイマンのゼロサム・ゲーム(一方の得が他方の損)では、2人の関係が単純でした。ナッシュは、3人以上でも、協力しない一般のゲームでも、(確率をまぜた戦略まで含めれば)かならず均衡が存在することを示しました。この証明には、ポアンカレたちが発展させた位相数学の「不動点定理」が使われています。
業績2 囚人のジレンマ:なぜ協力できないのか
ナッシュ均衡の例として有名なのが囚人のジレンマです。共犯の2人が、別々に取り調べを受けています。2人とも黙秘すれば1年ずつ、片方だけ自白すると自白した方は釈放(0年)で黙秘した方は3年、2人とも自白すると2年ずつ、というルールです。
相手が黙秘するなら、自分は黙秘で1年、自白なら0年なので、自白のほうが得です。相手が自白するなら、自分は黙秘で3年、自白で2年なので、やはり自白のほうが得です。そのため、2人とも自白してしまい、2年ずつになります。ところが、2人とも黙秘すれば1年ずつですむので、2人にとってはそのほうが良い結果です。個人の得を追うことが、全体の得とずれてしまう――この仕組みは、値下げ競争や、環境問題、軍拡競争の説明に使われます。(この例のルールは1950年にタッカーが紹介した形が知られており、ナッシュの発見したのは、このような状態が「均衡」として一般に存在するという点です。)
業績3 最適反応と均衡の計算(2社の生産量)
ナッシュ均衡を、式で求めてみましょう。2つの会社が、同じ商品の量 をそれぞれ決めます。値段は とし、費用は0とします。会社1の利益は で、 について2次関数になります。これが最大になるのは のときです。会社2も同じく 。この2本の直線の交点が、ナッシュ均衡です。
連立方程式を解くと、 です。このとき、2社はどちらも利益 を得ます。2次関数の最大値の考えと、連立方程式の解き方だけで、経済の問題が解けることがわかります。
業績4 混合戦略とじゃんけん
ナッシュ均衡には、確率をまぜるものもあります。たとえばじゃんけんでは、どれか一つの手に決めると読まれて負けやすくなります。グー・チョキ・パーを⅓ずつ出すのが、読まれても損をしない最善の戦略です。
サッカーのPKで、キッカーが右・左にけり分けるのも、ゴールキーパーが右・左に動くのも、似た構造です。反復試行の確率を使って、何回もくり返したときの勝率が計算できます。
業績5 純粋数学:埋め込み定理と偏微分方程式
ナッシュは、ゲーム理論だけでなく、純粋数学でも一流の仕事をしました。もっとも有名なのが等長埋め込み定理(1954〜56年)です。「曲がった空間(リーマン多様体)は、長さの測り方を変えずに、ふつうの空間の中に入れられる」という結果で、リーマンの幾何学やガウスの曲面の幾何学にもかかわる、難しい定理です。
さらに、偏微分方程式についても、ナッシュは重要な結果を残しました。「ナッシュ・モーザーの定理」や、コルモゴロフらの流れを受けた放物型方程式の研究など、偏微分方程式の分野の業績が、2015年のアーベル賞(ニーレンバーグと共同)で評価されました。
業績6 ヘックス:自分で考えたゲーム
ナッシュは大学院生のころ、ヘックスというボードゲームを独自に考えたと伝えられています(デンマークのピート・ハインも別に考案しています)。六角形のマスがひし形に並ぶ盤で、2人が交代でマスをぬり、自分の色で向かい合う2辺をつなげた方が勝ちです。
ナッシュは、このゲームでは引き分けがなく、先手が必ず勝てることを、「戦略をぬすむ論法」で示したとされます。ただし、具体的な必勝法は、今も一般の盤では見つかっていません。「必ず勝てることは分かるのに、やり方は分からない」というおもしろい例です。
業績7 ナッシュの交渉解:分け前をどう決めるか
ナッシュは1950年、もう一つの有名な理論を発表しました。2人が話し合って、1つのものを分けるときの決め方を、数学の条件から導く交渉の理論です。たとえば、2人で100万円を分けるとき、話し合いがまとまらなければ2人とも0円、という状況を考えます。ナッシュは、「結果が公平で、だれが先に言い出したかに関係せず、取り分の単位(円かドルか)にも関係しない」といった自然な条件をいくつか置きました。すると、それらをすべて満たす分け方が、2人の得を「かけ算」した値が最大になる分け方になることを示しました。
100万円を2人で分けるなら、取り分を 万円と 万円として、かけ算 を最大にします。これは2次関数の最大値の問題で、 のときに最大です。つまり、ちょうど半分ずつの分け方がナッシュの交渉解になります。2人の「あきらめどころ」(話し合いが決裂したときの得)がちがうと、解も変わります。ふだんの話し合いでも、「決裂したらどうなるか」を考えることが、取り分に大きく影響するという教えは、実社会でも役に立ちます。
ナッシュの名前がつく公式・定理・用語
- ナッシュ均衡:全員が最善を選び、だれも一人だけ変えても得しない状態。
- ナッシュの交渉解:2人が分け前を決める交渉の理論的な解(1950年)。
- ナッシュの埋め込み定理:リーマン多様体を空間に等長に入れられるという定理。
- ナッシュ・モーザーの定理:偏微分方程式に使われる強力な道具。
- ド・ジョルジ・ナッシュの定理:楕円型・放物型の方程式の解がなめらかになる、という結果。
- 受験に直結する道具:2次関数の最大値・最小値、確率の基本、連立方程式。

合格先生
ナッシュ均衡は「相手が何をするかを読んで、自分の最善を選ぶ」考え方だよ。入試でも、「相手がこう出たら、自分はこう」と先を読む力が、確率や場合分けの問題で役に立つんだ。
ナッシュの逸話と名言
映画『ビューティフル・マインド』と事実
2001年の映画『ビューティフル・マインド』は、ナッシュの人生を描いた作品で、アカデミー賞作品賞などを受けました。ただし、映画のバーの場面(友人たちが「みんなで協力するのが最善」という形で均衡を説明する場面)や、病気の描き方には、事実とはちがう部分が多いと指摘されています。ナッシュの理論は、「みんなで協力するのが最善」ではなく、「だれも一人だけ変えても得をしない」状態を表したものです。映画を見るときは、これを知っておくとよいでしょう。
ゲーム理論の他の受賞者
1994年のノーベル経済学賞は、ナッシュのほかに、ハンガリー出身のジョン・ハルサニ、ドイツのラインハルト・ゼルテンが共同で受けました。ゲーム理論の分野で、その後も、多くの研究者がノーベル賞を受けています。
良い仕事ができないのなら、自分を回復したとは思わない。
プリンストンの「幽霊」
病気の時期、ナッシュはプリンストン大学の数学棟(ファイン・ホール)に姿を見せ、黒板に数式を書いていくことがあったと伝えられています。学生たちは彼を「ファイン・ホールの幽霊」とよんだ、と伝記『ビューティフル・マインド』に書かれています。そのころの学生たちは、静かにその姿を見守っていた、といわれます。のちに、この大学で再び研究者として迎えられました。細かい場面は伝記や回想録によるもので、確かめにくい点もあります。
ノーベル賞の自伝
ナッシュは、ノーベル賞の公式サイトに自伝(Autobiography)を寄せています。研究者としての歩みを、飾らない言葉でふり返った文章は、公式サイトで今も読めます。
最期の日
2015年5月、ナッシュはノルウェーでアーベル賞を受けました。帰りのタクシーが、ニュージャージー州の高速道路で事故にあい、妻のアリシアとともに亡くなりました。授賞式の数日後のことでした。
うかるくん
病気になってからも、数学を続けていたんですね。
合格先生
うん。だけど、病気について私たちがどう語るかは慎重であるべきだね。ナッシュ本人が語った範囲を大事にして、数学の仕事そのものを学ぶのが、いちばんの敬意だと思うよ。
受験・勉強とナッシュのつながり
中学受験:場合の数・表を使った整理
囚人のジレンマのように、表にして全ての場合を書き出すのは、中学入試の「場合の数」の基本です。じゃんけんで、2人が出す手の組み合わせは 通り。そのうち、あいこは3通りで確率 です。
高校受験:確率・2次関数
高校入試の確率では、樹形図や表を使って、すべての場合を数えます。2次関数の最大値の問題は、利益や面積の最大化という形で出題されます。ナッシュの2社の問題は、まさにその応用です。
大学受験:確率・期待値・2次関数・連立方程式
- 確率・期待値:ゲーム理論の基本。確率の基本、反復試行の確率。
- 2次関数の最大・最小:利益を最大にする問題。2次関数の最大値・最小値。
- 連立方程式:交点を求める。連立方程式の解き方。
確率の直感を鍛えるなら、モンティ・ホール問題をわかりやすくがおすすめです。京都大学・東京大学の確率問題は、京大理系数学の出題分析も参考になります。
ゲームを数学の目で見る練習
日常のできごとを、ゲームとして書き出してみましょう。たとえば、同じ道を通る人が多い朝の通学路、2つのコンビニが同じ町内でお弁当の値段を決める場面、クラスでの係決めなどです。プレーヤーはだれか、選べる行動は何か、その結果だれがどれだけ得をするかを表にします。表ができたら、相手が何を選んでも自分にとって一番よい選択(優越戦略)があるか、探してみます。この練習は、確率や場合の数の問題で「条件を整理する力」をそのまま伸ばしてくれます。
勉強法として:「相手の立場で考える」
ナッシュの考え方から学べるのは、相手の立場で考えることです。入試問題の作者は、何を聞きたいのか。ひっかけがあるなら、どこか。出題者の意図を読む習慣が、答案の質を上げます。数学の勉強の進め方は、数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も読んでください。
ナッシュがその後にあたえた影響
- 経済学:ナッシュ均衡は、価格競争、オークション、取引のしくみ設計など、経済学のあらゆる場面で使われています。ゲーム理論の研究者の多くがノーベル経済学賞を受けています。
- 生物学:生物の行動戦略を説明する「進化的に安定な戦略」は、ナッシュ均衡の考え方を発展させたものです。
- 政治・国際関係:軍縮や環境交渉など、国どうしの協力の難しさの説明に使われています。
- 情報科学:インターネットの混雑、AIの学習など、複数のプレーヤーが関わる場面で使われます。→ チューリング・シャノンの流れとつながります。
- 純粋数学:埋め込み定理と偏微分方程式の結果は、幾何学・解析学の標準的な道具になっています。
ナッシュの仕事を全体で見ると、「ゲームの中の人が、みんな自分のために考えたら、どうなるか」を数学の言葉で答えたことが、いちばんの貢献でした。それまでの経済学は、「みんなが同じように行動する」という単純な仮定をおくことが多かったのですが、ナッシュ均衡の登場で、一人一人の選択が相手に影響しあう世界を、数学で正面から扱えるようになりました。
受験勉強もある意味、ゲームです。同じ志望校を目指す人たちは、それぞれ自分の勉強のしかたを選んでいます。自分だけが得意科目を伸ばすのか、苦手を埋めるのか。他の人がどうするかを気にしすぎる必要はありませんが、「合格最低点の近くで、1点の差がどこで生まれるか」を考える視点は、ゲーム理論の発想に近いものです。
ナッシュに挑戦!練習問題
やさしい
- 囚人のジレンマの表で、2人とも黙秘、A黙秘B自白、A自白B黙秘、2人とも自白の4通りのうち、2人の刑期の合計がいちばん短いのはどれですか。(刑期は 1・1、3・0、0・3、2・2 年)
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合計は、順に 2年、3年、3年、4年。いちばん短いのは2人とも黙秘(合計2年)です。 - 2人がじゃんけんを1回します。2人がでたらめに手を出すとき、あいこになる確率を求めなさい。
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全部で 3×3=9通り。あいこは3通り(グー同士、チョキ同士、パー同士)。確率は 3/9=1/3。
ふつう
- 囚人のジレンマで、Bが自白するとわかっているとき、Aが黙秘と自白のどちらを選ぶと刑期が短いですか。(Aの刑期は黙秘3年、自白2年)
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黙秘なら3年、自白なら2年なので、自白のほうが短い。 - 囚人のジレンマで、2人とも自白(2年ずつ)の状態から、Aだけが黙秘に変えたとき、Aの刑期はどうなりますか。これがナッシュ均衡といえる理由を説明しなさい。
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Bが自白のままAだけ黙秘に変えると、Aの刑期は2年から3年に増えて損になります。一人だけ作戦を変えても得しないので、2人とも自白はナッシュ均衡です。
むずかしい
- 2社が生産量 q₁、q₂ を決め、値段を P=12−(q₁+q₂)、費用0とします。q₂=4 のとき、会社1の利益を最大にする q₁ と、その最大の利益を求めなさい。
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利益は q₁(12−q₁−4)=q₁(8−q₁)=−(q₁−4)²+16。q₁=4 で最大、利益は16。 - Bがグーだけを出し続けるとします。Aがグー・チョキ・パーを⅓ずつ出すとき、Aが勝つ確率、負ける確率、あいこの確率をそれぞれ求めなさい。
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グーなら あいこ、チョキなら 負け、パーなら 勝ち。どれも確率⅓なので、勝ち・負け・あいこはすべて ⅓。(Bの出し方が何であっても、この結果は同じ)
ナッシュと関係する数学者
- フォン・ノイマン(ゲーム理論の創始者):ゼロサム・ゲームの理論をナッシュが一般化しました。
- リーマン(リーマン多様体):ナッシュの埋め込み定理の対象となった空間を作りました。
- ガウス(曲面の幾何学):曲面の長さの測り方の研究で、ナッシュの仕事の先がけとなりました。
- ポアンカレ(位相数学):均衡の存在証明に使う不動点定理の基礎を作りました。
- コルモゴロフ(確率論):確率を公理で作り直し、ゲーム理論や偏微分方程式の確率的な研究を支えました。
- チューリング:同じプリンストン周辺で、20世紀の計算と論理を作った一人です。
公式の一覧は算数・数学の公式一覧(公式辞典)、数学用語は数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)もどうぞ。
20世紀の数学者
- ヒルベルトの業績と生涯
1900年に「ヒルベルトの23の問題」を発表。ヒルベルト空間 - ミンコフスキー(1864〜1909)
数の幾何学・相対性理論の時空(ミンコフスキー空間) - アダマール(1865〜1963)
素数定理を証明(ド・ラ・ヴァレー・プーサンと同じ1896年) - ラッセル(1872〜1970)
集合論の「ラッセルのパラドックス」・『プリンキピア・マテマティカ』 - 高木貞治の業績と生涯
類体論を完成させた。日本の近代数学の父 - ルベーグ(1875〜1941)
ルベーグ積分(測度論) - ハーディの業績と生涯
ラマヌジャンを見いだした。『ある数学者の生涯と弁明』 - ネーターの業績と生涯
抽象代数学の母。対称性と保存則のネーターの定理 - ワイル(1885〜1955)
リーマン面・群論と量子力学 - 掛谷宗一(1886〜1947)
長さ1の針を回す最小の面積を問う「掛谷問題」 - ラマヌジャンの業績と生涯
ほぼ独学で数千の公式を残した天才。タクシー数1729 - バナッハ(1892〜1945)
関数解析(バナッハ空間)・バナッハ=タルスキーのパラドックス
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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。
読みもの(合格大作戦の数学の記事)
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公式・証明・例題を1つずつ - 数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)
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∞・Σ・∫ などの記号と読み方 - 理系時計(GeekClock)の数式の意味
階乗・2進数・黄金比
よくある質問
ナッシュは何をした人ですか?
ジョン・ナッシュは、20世紀のアメリカの数学者です。1950年にゲーム理論のナッシュ均衡を導入し、1994年にノーベル経済学賞を受けました。純粋数学でも等長埋め込み定理を証明し、2015年にはアーベル賞を受けています。
ナッシュ均衡とは何ですか?
ナッシュ均衡は、ゲームに参加する全員が、他の人の選択を前提に最善の選択をしており、だれも自分だけ作戦を変えても得をしない状態です。3人以上の一般のゲームにも、確率をまぜた戦略まで考えれば、かならず存在することをナッシュが示しました。
囚人のジレンマとは何ですか?
共犯の2人が別々に取り調べを受け、それぞれ黙秘か自白を選ぶゲームです。相手が何を選んでも自白のほうが自分の刑期は短いので、2人とも自白してしまいます。その結果は、2人とも黙秘したときより悪くなる、というところが「ジレンマ」です。
ナッシュはなぜノーベル経済学賞を受けたのですか?
1950年に示したナッシュ均衡が、ゲーム理論の中心となり、経済学の価格競争や取引の分析に広く使われるようになったからです。1994年にハルサニ、ゼルテンとともに受賞しました。
映画『ビューティフル・マインド』は事実ですか?
映画はナッシュの人生をもとにしていますが、病気の描き方やバーでの場面など、事実とちがう部分が多いと指摘されています。ナッシュの理論の説明も、実際とは異なります。正確には、ナサーの伝記や、ナッシュ自身の発表を参考にする必要があります。
ナッシュは数学ではほかに何を証明しましたか?
1950年代前半から半ばにかけて、リーマン多様体の等長埋め込み定理を証明しました。さらに偏微分方程式の研究でも重要な結果を残し、2015年にニーレンバーグとともにアーベル賞を受けました。
ナッシュは何歳で亡くなりましたか?
2015年5月23日、アメリカのニュージャージー州で、86歳のときに亡くなりました。ノルウェーでアーベル賞を受けて帰る途中、乗っていたタクシーの事故にあい、妻のアリシアとともに亡くなりました。
ナッシュと受験数学の関係は?
確率と期待値、2次関数の最大値・最小値、連立方程式の交点など、大学入試の数学の基本が、ナッシュ均衡の計算にそのまま使われます。中学入試の場合の数や、表を使った整理も入口です。
ナッシュとフォン・ノイマンの関係は?
ノイマンは、1928年から1944年にかけて、2人のゼロサム・ゲームの理論を作りました。ナッシュはそれを、3人以上や、協力しない一般のゲームにまで広げました。ナッシュの理論をノイマンは、はじめあまり評価しなかったと伝えられています。
あわせて読みたい
出典・参考
- MacTutor History of Mathematics「John Forbes Nash」(セント・アンドルーズ大学)
- J. F. Nash, “Equilibrium points in n-person games”, PNAS(1950年)
- J. F. Nash, “Non-cooperative games”, Annals of Mathematics(1951年)
- Sylvia Nasar, “A Beautiful Mind”(1998年)
- アーベル賞委員会「Abel Prize 2015」
最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦



