良薬は口に苦し(りょうやくはくちににがし)の意味と由来|史記・孔子家語の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

良薬は口に苦し(りょうやくはくちににがし)の意味と由来|史記・孔子家語の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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良薬は口に苦しりょうやくはくちににがし

ひとことで言うと

ためになる忠告は、聞くのがつらいということ。よく効く薬が苦いのと同じで、耳の痛い言葉こそ自分のためになる、という教え。

読み方りょうやくはくちににがし
意味よく効く薬が苦いように、自分のためになる忠告は聞くのがつらいものだ。耳の痛い忠告こそ聞き入れるべきだ、という教え。
出典『史記』留侯世家(張良の言葉。原文は「毒薬苦口利於病」)・『孔子家語』六本(「良薬苦於口而利於病」)
お話秦の宮殿にとどまりたがった劉邦に、樊噲が諫め、張良が「忠言は耳に逆らへども行ひに利あり、毒薬は口に苦けれども病に利あり」と説いて、劉邦は軍を霸上にもどした
似た言葉忠言耳に逆らう・金言耳に逆らう・苦言
反対の言葉口に甘きは腹に毒・甘言・巧言令色
漢文の句法願望(願はくは〜せよ)・置き字(於・而)・逆接(〜ども)

このページのポイント

  • 「良薬は口に苦し」は、ためになる忠告は聞くのがつらいという意味。薬は「たとえ」で、本当は忠告の話です
  • お話は『史記』留侯世家。秦の宮殿にとどまりたがった劉邦を、樊噲と張良がいさめた場面を4こまのイラストで読めます
  • 『史記』の字は「毒薬」、「良薬」の字は『孔子家語』など。本によって字と順番がちがうことも図で比べます

「良薬は口に苦し」の意味と読み方

「良薬は口に苦し」はりょうやくはくちににがしと読みます。意味は「よく効く薬が苦くて飲みにくいように、自分のためになる忠告は、聞くのがつらいものだ」ということです。耳の痛い注意や忠告こそ、すなおに聞き入れたほうがよい、という教えとして使います。

大切なのは、この言葉が薬の話をしているようで、本当は「忠告」の話をしているところです。もとの文では、「良薬は口に苦し」と「忠言(ちゅうげん)は耳に逆らう」が対(つい)になっていて、2つで1つの教えになっています。「忠言」とは、まごころから出た、いさめの言葉のことです。

「薬」と「忠告」は同じ形良薬(よい薬)はじめはつらい口に苦いあとで役に立つ病気に効く原文「苦口・利於病」忠言(忠告)はじめはつらい耳に痛いあとで役に立つ行いに役立つ原文「逆耳・利於行」言いたいのは右の「忠告」のほう
よく効く薬は口に苦い、ためになる忠告は耳に痛い。どちらも「はじめはつらいが、あとで役に立つ」形です
うかるくん

うかるくん

苦い薬がよく効くっていう、ただの薬の話じゃないんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに目をつけたね。これは中国の歴史書『史記(しき)』で、張良(ちょうりょう)という軍師が、のちに漢の皇帝になる劉邦(りゅうほう)をいさめた場面に出てくる言葉なんだ。薬は「たとえ」で、言いたいのは「耳の痛い忠告を聞きなさい」ということ。お話を読むと、よく分かるよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○先生の注意はきびしかったが、良薬は口に苦しで、おかげで字がきれいになった。
  • ○友だちに弱点をはっきり言われて落ちこんだけれど、良薬は口に苦しと思って直すことにした。
  • ○模試の結果は散々だったが、良薬は口に苦し。苦手な所がはっきり分かった。

3つ目の例のように、人の忠告だけでなく、つらい結果や耳の痛い事実が、あとで自分のためになるときにも広げて使われます。

黒いふちどりの青い上着に桃色の衣を重ね、頭に小さなまげを結んだ男性が立っている、古い中国の肖像画
この言葉を劉邦に語った張良(ちょうりょう)の肖像。明の時代に、のちの人が想像して描いたものです(本人を見て描いた絵ではありません)。画像:「明人画張良像軸」(明代、作者不明、北京・故宮博物院蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

絵で読む「良薬は口に苦し」のお話

お話の舞台は、紀元前206年ごろ。中国を初めて統一した秦(しん)がほろびる場面です。秦に反乱を起こした軍のうち、沛公(はいこう)=劉邦の軍が、ひと足先に秦の都・咸陽(かんよう)に入りました。登場するのは、沛公と、その家来の樊噲(はんかい)、そして軍師の張良(ちょうりょう)の3人です。

絵で読む「良薬は口に苦し」のお話(4こま)

1秦の宮殿ですばらしい!ここに住みたいなあ沛公(劉邦)
1秦の都に入った沛公(劉邦)は、宮殿の宝や美しい部屋を見て、ここにとどまりたいと思います。
2樊噲の諫め宮殿を出て陣に入ってください!いやだ…樊噲沛公
2家来の樊噲(はんかい)が「宮殿を出てください」と諫めますが、沛公は聞き入れません。
3張良が説く忠告は耳に痛いが行いに役立ち、よく効く薬は口に苦いが病気に効くのです張良沛公
3軍師の張良が説きます。「忠告は耳に痛くても行いの役に立ち、よく効く薬は口に苦くても病気に効くのです。」
4軍を霸上へよし、霸上の陣にもどろう霸上の陣毒薬は口に苦けれども病に利あり
4沛公は二人の言葉を聞き入れ、宝には手をつけずに、軍を霸上(はじょう)の陣地にもどしました。

秦の宮殿には、立派な部屋やとばり、犬や馬、宝物、そして千人単位の女官がいた、と原文は書いています。いなかの役人から身を起こした沛公が、それを見て「ここにとどまりたい」と思ったのも、むりはありません。

けれども、まだ戦いは終わっていません。秦をたおしに来た軍は、ほかにもいます。いちばん強い項羽(こうう)の大軍も、すぐそこまで来ていました。秦の宝を自分のものにして宮殿でぜいたくをすれば、人々からは「秦と同じではないか」と見られ、項羽からはにらまれます。樊噲と張良は、そのあぶなさが見えていたのです。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

このお話のポイントは、沛公が、耳の痛い忠告をすなおに聞き入れたところだ。だから「良薬は口に苦し」は、ただの説教ではなく、「聞き入れた人が勝った」話として読めるんだね。

沛公は軍を霸上(はじょう)にもどし、このあと秦の人々と「法は三章のみ」(人を殺した者は死刑、人を傷つけた者と盗んだ者は罰する、それ以外の秦のきびしい法はやめる)という約束をして、人々の心をつかみました。そしてまもなく、項羽との命がけの宴「鴻門の会(こうもんのかい)」をむかえます。そこでも沛公を助けたのは、張良と樊噲でした。

お話の流れ(紀元前206年ごろ)1秦の都・咸陽に入る秦王の子嬰が降伏2宮殿にとどまりたくなる宝・美しい部屋・女官3樊噲が諫める沛公は聞かない4張良「良薬は口に苦し」樊噲の言葉を聞いて5軍を霸上にもどす宝の倉を封じる6このあと鴻門の会へ項羽との命がけの宴
秦の都に入ってから鴻門の会まで。「良薬は口に苦し」は、そのまん中の場面です

「良薬は口に苦し」の原文・書き下し文・現代語訳

このことわざのもとになった文は、いくつかの本に出てきます。ここでは、張良の言葉として有名な『史記』留侯世家(りゅうこうせいか)の場面を1文ずつ読み、そのあと「良薬」という字が出てくる『孔子家語(こうしけご)』の文を読みます。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

白文(『史記』留侯世家。字は今の字にした)沛公入秦宮、宮室帷帳狗馬重宝婦女以千数、意欲留居之。樊噲諫沛公出舎、沛公不聴。良曰、「夫秦為無道、故沛公得至此。夫為天下除残賊、宜縞素為資。今始入秦、即安其楽、此所謂『助桀為虐』。且『忠言逆耳利於行、毒薬苦口利於病』、願沛公聴樊噲言。」沛公乃還軍霸上。

1文目:秦の宮殿にとどまりたい

書き下し文沛公はいこう秦宮しんきゆうに入いり、意い之これに留居りうきよせんと欲ほつす。

(『史記』留侯世家(間の「宮室帷帳狗馬重宝婦女以千数」は省いた))

現代語訳沛公は秦の宮殿に入り、(宝や女官の多さを見て)心の中で、ここにとどまって住みたいと思った。

ここがポイント「欲(ほつ)す」は「〜したいと思う」。「〜せんと欲す」の形で、願望の句法の入り口になる言い方です。一・二・三点が出てくるので、一二点の練習にちょうどよい1文です。

2文目:樊噲が諫める

書き下し文樊噲はんくわい沛公はいこうに出いでて舎しやせんことを諫いさむるも、沛公はいこう聴きかず。

(『史記』留侯世家)

現代語訳樊噲は沛公に、宮殿を出て(外の陣に)宿をとるよう諫めたが、沛公は聞き入れなかった。

ここがポイント「舎(しゃ)す」は「宿をとる・とどまる」。「不(ず)」は否定の句法の字で、「聴かず」と下の字から返って読みます。「〜も」は「〜けれども」という逆接の送り仮名です。

3文目:張良の言葉(前半)

書き下し文良りやう曰いはく、「夫それ秦しん無道ぶだうを為なす、故ゆゑに沛公はいこう此ここに至いたるを得えたり。」

(『史記』留侯世家)

現代語訳張良が言うには、「そもそも秦が道にはずれたことをしたので、だからこそ沛公はここまで来ることができたのです。」

ここがポイント「夫(そ)れ」は話を始めるときの「そもそも」。「故(ゆゑ)に」は「だから」。「此(ここ)に至るを得たり」は、レ点が2つ続くので「此に→至るを→得たり」と下から順に返ります。秦の悪い政治のおかげで勝てたのだから、秦と同じことをしてはいけない、という前置きです。

4文目:忠言は耳に逆らい、毒薬は口に苦し

書き下し文忠言ちゆうげんは耳みみに逆さからへども行おこなひに利りあり、毒薬どくやくは口くちに苦にがけれども病やまひに利りあり。

(『史記』留侯世家(原文の字は「毒藥」))

現代語訳まごころからの忠告は耳に痛いけれども行いのためになり、よく効く薬は口に苦いけれども病気のためになる。

ここがポイントここがことわざのもとです。「於」は読まない置き字で、「行ひに」「病に」の「に」の働きをしています。「於」の読み方と働きは「於」の読み方へ。「〜ども」「〜けれども」は逆接で、「つらいけれど、ためになる」という形が2回くり返されます(対句)。

5文目:樊噲の言うことを聞いてください

書き下し文願ねがはくは沛公はいこう樊噲はんくわいの言げんを聴きけ。

(『史記』留侯世家)

現代語訳どうか沛公さま、樊噲の言うことをお聞きください。

ここがポイント「願はくは〜(せ)よ」は「どうか〜してください」という願望の句法。相手にお願いするときの決まった言い方です。このあと原文は「沛公乃ち軍を霸上に還す」(沛公はそこで軍を霸上にもどした)と続きます。
原文で覚える句法・読み方4つ〜ども逆らへども・苦けれども〜けれども(逆接)於行ひに・病に読まない置き字願願はくは〜(せ)よどうか〜してください故故にだから(理由→結果)
「良薬は口に苦し」の原文で覚えたい句法。逆接の「ども」と置き字の「於」は、入試でもよく問われます

「毒薬」と「良薬」――本によって字がちがう

『史記』の張良の言葉では、薬は「毒薬(どくやく)」と書かれています。今の日本語の「毒薬」は命をうばう毒のことですが、ここでは「効き目の強い薬」の意味だと説明されるのがふつうです。昔の中国では、作用の強い薬を「毒」と呼ぶことがありました。

一方、「良薬」という字で出てくるのが『孔子家語』六本(りくほん)篇です。こちらでは孔子の言葉として、薬の句が先、忠言の句があとに来ます。

『孔子家語』六本の文

書き下し文孔子こうし曰いはく、「良薬りやうやくは口くちに苦にがけれども、病やまひに利りあり。」

(『孔子家語』六本(このあと「忠言は耳に逆らへども、行ひに利あり」と続く))

現代語訳孔子が言うには、「よく効く薬は口に苦いけれども、病気のためになる。」

ここがポイント「而」は読まない置き字で、ここでは前と後ろを「けれども」とつなぐ働きをしています。「苦二於口一」のように、「於」をはさんで一二点で返る形は、漢文で何度も出てきます。
本によって、字と順番がちがう『史記』留侯世家張良の言葉(引用)① 忠言逆耳利於行② 毒藥苦口利於病『孔子家語』六本孔子の言葉① 良藥苦於口而利於病② 忠言逆於耳而利於行『説苑』正諫孔子の言葉① 良藥苦於口,利於病② 忠言逆於耳,利於行『韓非子』外儲説左上韓非の文① 夫良藥苦於口…② 忠言拂於耳…字は原典の旧字体のまま。「拂」は「払う=さからう」
同じ考えが、少しずつちがう字で、いくつもの本に出てきます

日本で使われている「良薬は口に苦し」の形は、字の上では『孔子家語』や『説苑(ぜいえん)』の「良薬苦於口」に近い形です。けれども、だれが、どんな場面で言ったかがはっきりしたお話としては、『史記』の張良の場面がよく知られています。そこで多くの辞典は、出典として両方、またはどちらかを挙げています。

サクラちゃん

サクラちゃん

じゃあ、張良が自分で考えた言葉なんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

それがちがうんだ。原文をよく見ると、張良は「且つ『忠言は耳に逆らへども…』」と、二重のかぎかっこで前からある言葉を引用している。同じ考えは、張良より前の時代の『韓非子(かんぴし)』にも「夫れ良薬は口に苦し」と出てくる。だから、もとから世の中で言われていた教えを、張良が大事な場面で使った、と考えるのがよさそうだね。いちばん最初にだれが言ったかは、はっきりしないよ。

出典『史記』と話の背景

『史記』は、前漢の司馬遷(しばせん)が書いた歴史書です。伝説の時代から前漢の武帝のころまでを、皇帝の記録(本紀)、諸侯や重要な家の記録(世家)、人物の伝記(列伝)などに分けて書いています。「良薬は口に苦し」の場面は、張良の伝記である「留侯世家(りゅうこうせいか)」にあります。張良は、のちに「留侯(りゅうこう)」という位を与えられたので、こう呼ばれます。

張良という人

張良は、もとは韓(かん)の国の宰相の家の出身です。韓が秦にほろぼされると、秦の始皇帝をうらみ、力の強い男をやとって、旅の途中の始皇帝に大きな鉄のつちを投げつけさせた(博浪沙〈はくろうさ〉の事件)と伝えられています。ねらいははずれ、張良は名前を変えてかくれました。

その後、ふしぎな老人から兵法の書をさずかったという話も、同じ留侯世家に書かれています。やがて劉邦の軍師となり、作戦を立てて劉邦を勝利に導きました。劉邦は天下をとったあと、「はかりごとを陣の幕の中でめぐらし、勝ちを千里の外で決めたのは、わたしは子房(張良)に及ばない」とほめた、と『史記』高祖本紀にあります。

樊噲という人

樊噲は、劉邦と同じ沛(はい)の町の出身で、もとは犬の肉を売る仕事をしていたと『史記』に書かれています。力が強く、まっすぐな性格の武将です。このお話では、だれよりも先に「宮殿を出ましょう」と言いました。のちの鴻門の会では、盾を持って宴の席に乗りこみ、劉邦を守ったことで有名です。

つまりこの場面は、まっすぐな武将(樊噲)がまず忠告し、知恵のある軍師(張良)が理由をつけて後おししたという形になっています。張良は「わたしの言うことを聞け」ではなく、「樊噲の言を聴け」と言っています。先に忠告した仲間の言葉を立てたのも、張良らしいところです。

なぜ「宮殿を出る」ことが大事だったのか

原文の張良の言葉には、「天下のために残賊(ざんぞく)を除くには、縞素(こうそ)を資と為すべし」という一文があります。「縞素」は白い布の衣で、ぜいたくをせず、つつましくしていることを元手にせよ、という意味です。さらに張良は、秦の宮殿で楽しみにひたるのは「桀(けつ)を助けて虐を為す」(悪い王の桀を助けて、ひどいことをするようなものだ)とも言っています。

秦の人々は、秦のきびしい政治に苦しんでいました。その秦をたおしに来た劉邦が、宮殿でぜいたくを始めたら、人々はがっかりします。劉邦が宝に手をつけずに陣にもどったことは、人々の信頼を集め、のちに天下をとる力になりました。耳の痛い忠告を聞けるかどうかが、大きな分かれ道だったのです。

この「耳の痛いことを言う家来と、それを聞き入れる主君」という組み合わせは、故事成語にたびたび出てきます。家来の忠告を聞かずに国をほろぼした例として、呉の王・夫差(ふさ)が伍子胥(ごししょ)の忠告を聞かなかった話(臥薪嘗胆)もあります。

「良薬は口に苦し」の使い方と例文・似た言葉

「良薬は口に苦し」は、耳の痛い忠告・注意・批判を受けたときに、「つらいけれど、自分のためになる」と受け止める場面で使います。自分に言い聞かせる使い方がいちばん自然です。

  • ○コーチの指摘はきつかったが、良薬は口に苦し。フォームを一から直そう。(自分に言い聞かせる)
  • ○作文を赤ペンだらけにされたけれど、良薬は口に苦しで、次はずっとよく書けた。(あとでためになった)
  • ○お客さまからのきびしい意見も、良薬は口に苦しと受け止めて、サービスを改めた。(仕事の場面)
  • ○「良薬は口に苦しと言うから、先輩の注意は最後まで聞いておこう。」(ことわざとして引く)
  • ×このお菓子は良薬は口に苦しで、とても苦い。(ただ味が苦いことには使わない)
  • ×(先生に向かって)「先生の話は良薬は口に苦しですね。」(「先生の話はつらい」と言っているように聞こえ、失礼になりやすい)

「良薬口に苦し」と、「は」をはぶいた形もよく使われます。英語では Good medicine tastes bitter.(よい薬は苦い味がする)という言い方があります。

良薬は口に苦し似た言葉忠言耳に逆らう金言耳に逆らう苦言耳が痛い英語:Good medicine tastes bitter.反対の向きの言葉口に甘きは腹に毒甘言巧言令色
似た言葉と、反対の向きの言葉。「口に甘きは腹に毒」は、甘い言葉ほど危ないという、裏返しの教えです

似た言葉

  • 忠言耳に逆らう(ちゅうげんみみにさからう):まごころからの忠告は、聞く人の耳に痛く、すなおに聞き入れにくい。原文で「良薬」と対になっている句そのものです。
  • 金言耳に逆らう(きんげんみみにさからう):ためになる教えほど、聞いて気持ちのよいものではない。
  • 苦言(くげん)・耳が痛い:ふだんの言い方。「苦言を呈する」は、相手のためを思って、あえてきびしいことを言うこと。

反対の向きの言葉

  • 口に甘きは腹に毒(くちにあまきははらにどく):口あたりのよいもの(聞いて気持ちのよい話)は、かえって害になることが多い。
  • 甘言(かんげん):人の気を引く、うまい言葉。「甘言にのせられる」と使います。
  • 巧言令色(こうげんれいしょく):うまい言葉と、とりつくろった顔つき。『論語』の言葉で、巧言令色のページでくわしく読めます。

「良薬は口に苦し」のよくあるまちがい

読み方をまちがえやすい2か所良薬○ りょうやく× よいくすり音読みの熟語として読む苦し○ にがし× くるし「苦い(味)」の昔の言い方
「良薬」は音読み、「苦し」は「にがし」。読み方の問題でまちがえやすい2か所です
  • 「苦し」を「くるし」と読む:正しくは「にがし」。「苦い(にがい)」の古い言い方です。くすりの味の話なので、「苦しい(つらい)」ではありません。字は「苦」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
  • 「良薬」を「よいくすり」と読む:音読みで「りょうやく」と読みます。「良」の読み方・書き順・部首・「薬」の読み方・書き順・部首の音読みです。
  • 薬の話だけだと思う:本当に言いたいのは「ためになる忠告は聞きづらい」ことです。もとの文では「忠言は耳に逆らう」と対になっています。
  • 目上の人の言葉を、その人の前で「良薬」と言う:「あなたの話は苦い(つらい)」と言っているように聞こえることがあります。自分の受け止め方として使うのが安全です。
  • 張良が考えた言葉だと思う:張良は前からある言葉を引用しています。同じ考えは『韓非子』や『孔子家語』にもあり、最初にだれが言ったかは分かっていません。
  • 『史記』の原文も「良薬」だと思う:『史記』留侯世家の字は「毒薬」です。「良薬」の字で出てくるのは『孔子家語』『説苑』『韓非子』などです。
うかるくん

うかるくん

「毒薬は口に苦し」なんて書いたら、こわい意味になりませんか…?

ミスターT先生

ミスターT先生

そう感じるのは自然だね。でも漢文の「毒」には、「よく効く・作用が強い」という意味もあるんだ。今の日本語に直すときは「よく効く薬」と訳せばいい。ことわざとしては「良薬は口に苦し」と書くのが正しいから、そこはまちがえないようにね。

入試ではこう出る

「良薬は口に苦し」は、中学受験・高校受験のことわざ問題の定番で、大学受験の漢文でも原文の形で出てきます。

  • 中学受験:ことわざの意味を選ぶ問題、「□薬は口に□し」の空らんをうめる問題、似た意味のことわざ(忠言耳に逆らう)を選ぶ問題がよく出ます。「苦し」の読み(にがし)も問われます。
  • 高校受験:ことわざ・故事成語の意味のほか、漢文の入門として「良薬苦於口、利於病」に返り点をつける・書き下し文に直す問題が考えられます。置き字「於」「而」を読まないことがポイントです。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:『史記』の楚漢の争いの場面は、鴻門の会と並んで漢文でよく読まれます。「願はくは〜せよ」の願望、「〜ども」の逆接、「故に」の働き、「樊噲の言」がだれのどんな言葉を指すかを説明させる問題がよく問われます。共通テストの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「良薬は口に苦し」の意味を書くときは、「よく効く薬が苦いように、ためになる忠告は聞くのがつらい」と、薬のたとえと本当の意味を両方書けばかんぺきですね!

練習問題

やさしい

  1. 「良薬は口に苦し」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 苦い薬ほど体に悪い イ ためになる忠告は聞くのがつらい ウ よい薬は高い エ 苦労すれば必ず成功する
    答えと解説を見るイ。よく効く薬が苦いように、自分のためになる忠告は、耳に痛く聞きづらいものだ、という意味です。
  2. 「良薬は口に苦し」の「良薬」「苦し」の読みを、ひらがなで書きましょう。
    答えと解説を見るりょうやく・にがし。「苦し」を「くるし」と読むのはまちがいです。

ふつう

  1. 「良薬苦於口、而利於病。」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る良薬は口に苦けれども、病に利あり。「於」「而」は読まない置き字です。
  2. 『史記』留侯世家で、張良は沛公(劉邦)に何をしてほしかったのですか。
    答えと解説を見る樊噲の忠告を聞き入れて、秦の宮殿を出て(軍を霸上にもどして)ほしかった。宮殿にとどまってぜいたくをするのをやめさせるためです。

むずかしい

  1. 「願沛公聴樊噲言」を書き下し文に直し、現代語訳しましょう。また、ここで使われている句法の名前を答えましょう。
    答えと解説を見る書き下し文:願はくは沛公樊噲の言を聴け。訳:どうか沛公さま、樊噲の言うことをお聞きください。句法:願望(願はくは〜せよ)。
  2. 『史記』留侯世家の原文と、日本のことわざ「良薬は口に苦し」とでは、薬を表す字がどうちがいますか。また、原文の字の意味を説明しましょう。
    答えと解説を見る原文は「毒薬」、ことわざは「良薬」です。原文の「毒薬」は、命をうばう毒ではなく、効き目の強い薬の意味だと説明されます。「良薬」の字は『孔子家語』『説苑』などに出てきます。

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よくある質問

良薬は口に苦しの意味を簡単に言うと何ですか?

ためになる忠告は、聞くのがつらいということです。よく効く薬が苦くて飲みにくいように、自分のためになる注意や忠告は耳に痛いけれど、すなおに聞き入れたほうがよい、という教えです。

良薬は口に苦しの由来はどんな話ですか?

『史記』留侯世家の話です。秦の都に入った劉邦(沛公)が宮殿にとどまりたがり、樊噲の忠告も聞きませんでした。そこで張良が「忠言は耳に逆らへども行ひに利あり、毒薬は口に苦けれども病に利あり」と説き、劉邦は軍を霸上にもどしました。

良薬は口に苦しの出典は何ですか?

『史記』留侯世家の張良の言葉と、『孔子家語』六本の孔子の言葉がよく挙げられます。『史記』の字は「毒薬苦口利於病」、『孔子家語』は「良薬苦於口而利於病」です。同じ考えは『韓非子』外儲説左上や『説苑』正諫にもあります。

「口に苦し」は何と読みますか?

「くちににがし」と読みます。「苦し」は「苦い(にがい)」の古い言い方で、薬の味のことです。「くるし」と読むのはまちがいです。

良薬は口に苦しの反対の言葉は何ですか?

「口に甘きは腹に毒」や「甘言」などです。聞いて気持ちのよい言葉や口あたりのよいものは、かえって害になることがある、という意味で、良薬は口に苦しと裏返しの教えになっています。

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出典・参考

  • 原文:『史記』留侯世家、『孔子家語』六本、『説苑』正諫、『韓非子』外儲説左上(いずれも維基文庫の本文で確認。白文・訓読文は今の字にした)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(一般的な読み方をもとにした一例)
  • 絵:張良の肖像(明代、故宮博物院蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦