

この記事の結論
- 慶應義塾大学(慶應・慶大)理工学部の一般選抜の化学は、配点100点(総点500点の2割)で、物理(100点)と化学(100点)の2科目を、第1時限の120分で解きます(2026年度の要項。2027年度も理科は物理・化学の計200点)。範囲は化学基礎・化学で、理工学部では物理と化学の両方が必須です。
- 元の記事の見方では、慶應 理工の化学でいちばん大事なのは有機化学の構造決定です。理論・無機などは標準レベルで全分野が載った問題集1冊で固め、構造決定は慶應の赤本や、京大など構造決定が出る他大学の過去問で特別に演習し、少しずつでも毎日化学に触れることをすすめています。
この記事は「慶應義塾大学合格大作戦」の理工学部・化学編です。2013年12月に書いた記事を、2026年10月に今の入試(2027年度、2027年2月の試験)に合わせて書き直しました。試験日・時間・配点・範囲は慶應義塾大学の公式(一般選抜要項・試験教科・科目・配点・得点状況)で確かめた範囲で書いています。元の記事の「慶應の化学は構造決定が勝負」という見方と、すすめた勉強のしかたはそのまま残し、構造決定の解き方を図と例題で足しました。
| 慶應義塾大学合格大作戦・理工学部 | 数学/英語/物理/化学(この記事) |
| 早稲田大学合格大作戦・理工系学部 | 英語/数学/物理/化学 |
慶應 理工 化学の試験時間・配点・範囲(2026年度・2027年度)
まずは公式の数字です。慶應義塾大学の「2026年度 一般選抜要項」(大学のサイトでは「昨年度参考」として掲載)と、大学が公表している「2027年度 一般選抜 試験教科・科目・配点」で確かめた内容を表にまとめます。
| 項目 | 2026年度(要項で確認) | 2027年度(公表済みの範囲) |
|---|---|---|
| 化学の配点 | 100点 | 100点 |
| 理科の科目 | 物理・化学(2科目とも受験) | 物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学) |
| 理科の試験時間 | 120分(第1時限 10:00〜12:00、物理と化学をこの時間で解く) | 2027年度の一般選抜要項で確認 |
| 数学 | 150点・120分(第2時限) | 150点 |
| 外国語(英語) | 150点・90分(第3時限) | 150点 |
| 合計 | 500点 | 500点 |
| 試験日 | 2026年2月12日(木) | 2027年2月12日(金) |
| 合格発表 | ― | 2027年2月24日(水) |
化学は100点で、総点500点のうちちょうど2割です(100÷500=0.2)。物理と合わせた理科は200点で4割になり、数学(150点)・英語(150点)より大きな比重です。理工学部の理科は物理と化学の2科目が決まっていて、生物は選べません。「化学は苦手だから物理で勝負」という選び方はできないので、化学も物理と同じように100点を取りにいく準備が要ります。
理工学部は「学門A〜E」に分かれて募集しますが、試験の教科・配点はどの学門も同じです(学門の併願はできません)。化学の対策は、どの学門を選んでも共通です。
理科は「第1時限・120分」:物理と化学を同じ時限で解く
2026年度の時間割では、朝9:30に集合し、第1時限が理科(10:00〜12:00)、昼休みをはさんで第2時限の数学(13:20〜15:20)、第3時限の英語(16:10〜17:40)という順でした。化学は、朝いちばんの120分の中で物理といっしょに解きます。要項の時間割では理科が1つの時限なので、物理と化学に何分ずつ使うかの目安を、過去問で自分で決めておくことが大切です(下の「120分の使い方」でくわしく書きます)。
要項には遅刻の限度も書かれています。第1時限は開始後30分、第2時限は開始後15分、第3時限は開始時刻までです。限度を過ぎるとその時限から受験できず、1時限でも欠席すると不合格になります。理科は朝の時限なので、当日の移動には時間の余裕をもちましょう。また、試験教室に時計はないので、時計は各自で持っていきます(通信機器は時計として使えません)。2027年度の時刻は、2026年11月上旬に公開予定の「2027年度 一般選抜要項」で必ず確かめてください。この記事の時刻は2026年度のものです。
慶應 理工の化学の範囲:化学基礎と化学(「化学Ⅱ」は今の「化学」)
2027年度の「試験教科・科目・配点」では、理工学部の理科は「物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)」と書かれています。化学の範囲は化学基礎と化学の両方です。物質量(mol)や酸と塩基・酸化還元といった化学基礎の内容から、化学平衡・無機物質・有機化合物・高分子までが入ります。
元の記事は「有機化学(化学Ⅱ)」と書いています。これは2013年当時の言い方です。元の記事を書いた2013年12月は、入試が旧課程の「化学Ⅰ・化学Ⅱ」で行われていた時期で、2015年入試からは「化学基礎・化学」に変わりました。2025年入試からの今の課程でも、科目名は「化学基礎・化学」のままです。この記事では元の記事の「化学Ⅱ」を、今の「化学」(化学基礎のあとに学ぶ科目)と読みかえます。今の課程では、有機化合物は「化学」の単元として学びます。古い過去問集や問題集を使うときは、その単元が今の範囲に入っているかを確かめましょう。
慶應 理工の合格最低点(2022〜2026年度)
慶應義塾大学は、毎年「一般選抜 得点状況」で学部ごとの合格最低点などを公表しています。理工学部の最近5年分です(500点満点)。
| 年度 | 合格最低点 | 受験者平均点 | 最低点の割合 |
|---|---|---|---|
| 2026年度 | 280点 | 247.50点 | 56% |
| 2025年度 | 297点 | 261.38点 | 約59% |
| 2024年度 | 321点 | 282.83点 | 約64% |
| 2023年度 | 290点 | 249.21点 | 58% |
| 2022年度 | 340点 | 296.20点 | 68% |
理工学部の合格最低点は、各学門の正規合格者の最低点を、学門の合格者数で重みづけして平均した値です(資料の注記)。5年間で280〜340点(満点の56〜68%)の間で動いています。目標を350点(7割)にするなら、化学で7割(70点)が1つの目安です。化学が得意なら8割(80点)をねらい、そのぶんを苦手な科目の守りに回す、という配分もできます。合格最低点のグラフと得点計画の立て方は「慶應理工 数学の対策と勉強法」にくわしく書いています。
慶應 理工 化学の傾向:有機化学の構造決定が最重要
ここからは、2013年の元の記事の本文です。私が書いた見方を、そのまま残します。
慶應入試の化学では有機化学(化学Ⅱ)の構造決定ができるようになることが最も重要である。他の分野の勉強はセンター試験や他大学向けの勉強でも十分に対応できるが、慶應入試の化学で出題される難易度の高い構造決定は特別に勉強しておかなければ太刀打ちできないだろう。
これは2013年当時の出題を見て書いた、元の記事の見方です。「センター試験」は、今の大学入学共通テスト(共通テスト、旧センター試験)にあたります。出題の分野や問題の形は年度ごとに変わるので、最新の傾向は必ず過去問で確かめてください。慶應義塾大学は公式サイトで一般選抜の試験問題を公開しています(著作権の都合で一部が非公開の場合があります)。
元の記事のポイントは2つです。
- 理論・無機などは、ふつうの勉強で対応できる:共通テストや他大学向けの標準的な勉強で、十分に戦える。
- 構造決定だけは「特別に」勉強する:難易度の高い構造決定は、ふつうの勉強の延長では太刀打ちできない。専用の演習時間をとる。
つまり、慶應 理工の化学の作戦は「全分野は標準レベルで穴なく、構造決定だけは一段上まで」です。全部の分野を難しいレベルまで上げようとすると時間が足りません。どこに時間をかけるかを最初に決めておくのが、この記事の作戦の中心です。
有機化学の構造決定とは?解き方の4ステップ
構造決定とは、「元素分析の結果」「分子量」「いくつかの反応の結果」などの手がかりから、ある有機化合物の構造式を決める問題です。問題文には「化合物Aに〇〇を加えると…」のような実験の説明が並び、それを1つずつ読み解いて、最後に構造式を書きます。難しく見えますが、解く順番はほぼ決まっています。
- 分子式を決める:元素分析(C・H・Oの質量や割合)から組成式を出し、分子量から分子式にします。
- 不飽和度を計算する:分子式から、環と二重結合(三重結合)がいくつあるかを知ります。
- 官能基を決める:問題文の反応(銀鏡反応・ヨードホルム反応・ナトリウムとの反応など)から、どの官能基があるかを決めます。
- 異性体を書き出してしぼる:分子式と官能基に合う構造をすべて書き、残りの条件に合うものだけを残します。
この4つのどこかでつまずくと、最後の構造式にたどりつけません。順番に見ていきます。
ステップ1:元素分析から分子式を決める
元素分析では、試料を完全に燃やして、できた二酸化炭素(CO2)と水(H2O)の質量から、炭素と水素の質量を求めます。酸素は「全体から炭素と水素を引いた残り」として求めます。
例:C・H・Oからなる化合物の質量の割合が、炭素52.2%・水素13.0%・酸素34.8%だったとします。原子量をC=12、H=1.0、O=16とすると、
- C:52.2÷12=4.35
- H:13.0÷1.0=13.0
- O:34.8÷16=2.175
いちばん小さい2.175で割ると、C:H:O=2.0:6.0:1.0 なので、組成式はC2H6O(式量46)です。分子量が46と分かれば、分子式も C2H6O に決まります。別の例で、組成式が CH2O(式量30)、分子量が60なら、分子式は組成式の2倍の C2H4O2(酢酸やギ酸メチルなど)です。比が「2.5」のような半端な数になったら、全体を2倍して整数にします。
この計算は、化学基礎の物質量(mol)の考え方そのものです。molの計算があやしいと、構造決定の入り口で止まってしまいます。
ステップ2:不飽和度で「環」と「二重結合」の数を知る
不飽和度は、分子の中に環と二重結合がいくつあるかを表す数です。C・H・Oからなる化合物なら、次の式で計算できます。
不飽和度=(炭素の数×2+2−水素の数)÷2
酸素の数は式に入りません。窒素を含むときは窒素の数を足し、ハロゲン(塩素など)を含むときは水素と同じように引きます。数え方は、二重結合(C=C・C=O)1つで1、環1つで1、三重結合1つで2、ベンゼン環1つで4(環1つ+二重結合3つ)です。
- C2H6O:(4+2−6)÷2=0 → 環も二重結合もない(エタノールかジメチルエーテル)
- C4H8O2:(8+2−8)÷2=1 → 二重結合か環が1つ(カルボン酸やエステルのC=Oなど)
- C8H10:(16+2−10)÷2=4 → ベンゼン環1つの可能性が高い(キシレンやエチルベンゼン)
不飽和度が4以上なら、まずベンゼン環を疑います。この数を最初に出しておくだけで、考える候補がぐっと減ります。
ステップ3:反応の結果から官能基を決める
構造決定の問題文に出てくる反応は、高校の化学の教科書にある代表的なものがほとんどです。「この反応が出たら、この官能基」という対応を、表にして覚えておきましょう。
| 反応・実験の結果 | 分かること |
|---|---|
| 銀鏡反応を示す/フェーリング液を還元する | アルデヒド基(−CHO)がある(ギ酸も示す) |
| ヨードホルム反応を示す(黄色の沈殿) | CH3CO− か CH3CH(OH)− の部分がある |
| 塩化鉄(Ⅲ)水溶液で呈色する | フェノール類(ベンゼン環に直接−OH) |
| 炭酸水素ナトリウム水溶液で気体(CO2)が出る | カルボン酸(−COOH)がある |
| ナトリウムで水素が出る | ヒドロキシ基(−OH)がある(カルボン酸も出す。エーテルは出さない) |
| 臭素水の赤褐色が消える | 炭素の二重結合・三重結合がある |
| 加水分解(けん化)で2つの化合物に分かれる | エステル(−COO−)がある |
アルコールの酸化も大事な手がかりです。第一級アルコールは酸化されるとアルデヒドになり、さらにカルボン酸になります。第二級アルコールはケトンになり、第三級アルコールは酸化されにくい。この3つの区別は、問題文の「酸化するとケトンになった」のような一文から、−OHの位置を決めるのに使います。
ステップ4:異性体を「全部」書き出してしぼる
最後は、分子式と官能基に合う構造をもれなく書き出す段階です。慶應に限らず、構造決定で点を落とす人の多くは、ここで候補を書きもらしています。
例:C4H10O(不飽和度0)の構造異性体は、アルコールが4つ、エーテルが3つの合計7つです。このうち2-ブタノールは不斉炭素原子(4つの異なる原子・原子団と結合した炭素)をもつので、鏡像異性体(光学異性体)が1組あります。鏡像異性体も数えると8つになります。
書きもらしを防ぐコツは、炭素の骨格(つながり方)から先に書くことです。炭素4つなら「まっすぐ4つ」と「枝分かれ」の2通り。そこに−OHや−O−を入れる場所を、左から順に動かしていきます。同じ構造を2回書いていないかも、最後に確かめます。異性体には、構造異性体のほかに、二重結合のまわりのシス・トランス異性体(幾何異性体)と、鏡像異性体があります。問題文に「異性体をすべて」とあるときは、どこまで数えるのか(立体異性体を含むか)を必ず読みましょう。
練習:4ステップで解く構造決定の例題
4つのステップを、1つの例題で通して使ってみます(この記事で作った基本の例題で、慶應の入試問題ではありません)。
例題
- 化合物Aの分子式は C4H8O2 で、水酸化ナトリウム水溶液で加水分解すると、カルボン酸Bとアルコール C ができた(Bは塩として得られ、酸性にするとBになる)。
- Bは銀鏡反応を示した。
- Cを酸化するとケトンになった。
- Aの構造式を答えよ。
考え方と答えを見る(押すと開きます)
- 不飽和度:(4×2+2−8)÷2=1。二重結合か環が1つ。
- 官能基:加水分解でカルボン酸とアルコールに分かれるので、Aはエステル。不飽和度1は、エステルのC=Oの分です。
- B:カルボン酸なのに銀鏡反応を示すのは、アルデヒド基の形をもつギ酸 HCOOH(炭素1つ)。
- C:Aの炭素4つのうち1つがBなので、Cは炭素3つのアルコール。酸化してケトンになるので第二級アルコールで、2-プロパノール CH3CH(OH)CH3。
- 答え:Aはギ酸イソプロピル HCOOCH(CH3)2。
確かめ:C4H8O2 のエステルは、ギ酸プロピル・ギ酸イソプロピル・酢酸エチル・プロピオン酸メチルの4つです。Bがギ酸になるのは前の2つで、Cが第二級アルコールになるのはギ酸イソプロピルだけ。条件に合うものは1つにしぼれます。なお、2-プロパノールはヨードホルム反応も示します。
実際の入試の構造決定は、この例題よりも手がかりが多く、ベンゼン環をもつ化合物や、炭素数の多い化合物がよく出ます。それでも、不飽和度→官能基→異性体の書き出しという順番は変わりません。この型を、易しい問題で手に覚えさせてから難しい問題に進みましょう。
うかるくん
構造決定の問題って、問題文が長くて、どこから手をつけたらいいか分からないんです…。
合格先生
まず分子式から不飽和度を出そう。そのあと、問題文の反応を1つずつ「官能基」に言いかえて、余白にメモしていくんだ。
うかるくん
銀鏡反応ならアルデヒド基、ヨードホルム反応なら CH3CO− …みたいに、ですね。
合格先生
そう。最後に候補の構造を全部書き出して、条件に合わないものを消す。元の記事のとおり、慶應の構造決定は特別に練習しておかないと太刀打ちできないから、毎週少しずつでも解こう。
慶應 理工 化学の勉強法:元の記事の作戦
元の記事の勉強法の部分です。
構造決定問題を解けるようになるためには基本的な知識をしっかりと身につけた上で、構造決定の問題をこなし演習していく必要がある。慶應の赤本や、京大等構造決定が出題される他大の過去問を使うのがよいだろう。有機化学の基本的な実力やあるいは理論・無機等の分野の実力をはぐくむためにはアクセスのような標準レベルで全分野が掲載された問題集がお勧めである。
覚えなくてはいけないことも多くある科目なので少しずつでも毎日化学に触れていく習慣をつけていくことをお勧めする。
元の記事の作戦は、基本の知識 → 標準問題集で全分野 → 構造決定の演習という3段と、それをずっと支える毎日の習慣です。1つずつ、今の受験生向けに中身を足していきます。
1段目:基本的な知識をしっかり身につける
構造決定は、知識の組み合わせで解く問題です。官能基の性質、代表的な化合物の名前と構造式、反応の名前と生成物が頭に入っていないと、問題文の手がかりを「官能基」に言いかえられません。まずは教科書と、教科書に沿った参考書で、次のことを言えるようにします。
- アルコール・アルデヒド・ケトン・カルボン酸・エステル・エーテルの構造と性質
- 第一級・第二級・第三級アルコールの酸化のちがい
- ベンゼンの置換反応、フェノール・安息香酸・アニリンなど芳香族化合物の性質と分離
- 銀鏡反応・ヨードホルム反応・けん化など反応の名前と結果
- 構造異性体・シス・トランス異性体・鏡像異性体の区別
覚えた知識は、構造式を自分の手で書いて確かめます。目で読むだけでは、試験で書けません。
2段目:標準レベルで全分野が載った問題集1冊
元の記事は、有機の基本的な実力と、理論・無機の実力をはぐくむために、「アクセスのような標準レベルで全分野が掲載された問題集」を勧めています。これは2013年当時に挙げた問題集で、今も同じ形で手に入るかは書店やAmazonで確かめてください。大事なのは書名よりも、「標準レベル」「全分野が載っている」「1冊」という3つの条件です。
化学の参考書・問題集をレベル順に並べた一覧と、参考書と問題集の組み合わせ方は「化学のおすすめ参考書・問題集12冊|レベル順ロードマップ」にまとめています。今の自分の実力に合った段から始め、1冊を2周・3周して×の問題をなくしましょう。問題集の回し方(1周目で○△×の印、2周目は△と×だけ)は、数学の例ですが「慶應理工 数学の対策」の図と同じやり方で使えます。
3段目:慶應の赤本と、京大など他大学の過去問で構造決定を演習
構造決定を「特別に」勉強する教材として、元の記事は慶應の赤本と、京大(京都大学)など構造決定が出題される他大学の過去問を挙げています。慶應の過去問だけでは、構造決定の問題数が限られます。ほかの大学の構造決定の問題も解いて、いろいろな手がかりの組み合わせに慣れるのがねらいです。
- 慶應の過去問:形式と難しさを知るために、できるだけ多くの年度を。最新年度の問題は大学の公式サイトでも公開されています。
- 他大学の過去問:構造決定が出る大学の問題を、分野(有機)だけ抜き出して解きます。年度ごとの出題は変わるので、問題を見て有機の構造決定があるものを選びます。
- 解いたあと:解けなかった問題は、どのステップ(分子式・不飽和度・官能基・異性体)で止まったかを書いておきます。止まる場所が分かれば、もどる単元も分かります。
京大の入試の全体(学部別の配点など)は「京大の学部別の配点」に、過去問集の選び方は東大の例ですが「東大 過去問集の選び方と使い方」にまとめています。
ずっと続けること:少しずつでも毎日化学に触れる
元の記事は、化学は「覚えなくてはいけないことも多くある科目」なので、少しずつでも毎日化学に触れる習慣をすすめています。無機の色や沈殿、有機の反応の名前などは、まとめて覚えても時間がたつと抜けていきます。週に1回3時間より、毎日短い時間でも触れる方が、知識が残りやすいといわれています。
たとえば、曜日ごとに分野を決めておくと、何をするか迷いません。理論は計算問題を数問、無機は色・沈殿・気体の発生の確認、有機は反応の流れ図を白紙に書き出す、週末は構造決定を1問、のようにします(分野の割り当てと時間は例です)。忘れる前に復習するタイミングの考え方は「エビングハウスの忘却曲線」と「受験脳の作り方|復習のタイミング」に、毎日の勉強を記録して続ける方法は「勉強記録(勉強ログ)のつけ方」に書いています。
理論化学・無機化学の対策:「標準レベルで穴なく」
元の記事は、構造決定以外の分野は「センター試験(今の共通テスト)や他大学向けの勉強でも十分に対応できる」と見ています。だからといって、理論や無機を軽く見てよいわけではありません。標準レベルの問題を確実に取ることが、構造決定で時間を使うための前提です。
理論化学:計算の型を体で覚える
理論化学は、物質量(mol)・濃度・気体の法則・熱化学・電池と電気分解・化学平衡・反応速度など、計算が中心の分野です。化学基礎のmolの計算がすべての土台なので、ここがあやしい人は化学基礎の問題集にもどりましょう。計算は、数学と同じように途中式を書き、単位をつけて進めるとミスが減ります。計算力のつけ方は「受験の裏技11|化学と数学の実力の半分は計算力」も参考になります。
無機化学:表と図でまとめて、毎日見る
無機化学は、元素ごとの性質・沈殿の色・気体の発生方法など、覚えることが多い分野です。周期表の族ごとに表を作り、色のあるものは色ペンで書いておくと、見直しが速くなります。ここが、元の記事の「毎日化学に触れる」がいちばん効く分野です。
高分子化合物:有機の延長として
合成高分子(ナイロンやポリエステルなど)と天然高分子(糖類・アミノ酸とタンパク質など)は、有機化合物の反応の延長です。単量体と、つながり方(縮合重合・付加重合)を、有機の官能基の知識と結びつけて覚えます。分子量から重合度を求める計算も、理論の計算力が役立ちます。
共通テストの化学(化学基礎・化学)の対策もかねるなら、共通テストの科目と配点は「2027年 共通テストの時間割」、8割を安定させる作戦は「共通テストで8割を安定させるには」にまとめています。

合格先生
慶應 理工の化学は「全分野は標準で穴なく、構造決定だけは一段上まで」。構造決定は、不飽和度→官能基→異性体の書き出しの順番で解こう!
理科120分の使い方:物理と化学の時間配分
慶應 理工の理科は、2026年度の要項では第1時限の120分で物理と化学の2科目を解く形でした。1つの時限の中での配分は自分で決めることになるので、過去問で練習しておきましょう。考え方の順番は次のとおりです。
- 最初の数分で両方の問題を見る:物理と化学の大問の数と分野を見て、どちらから解くかを決めます。
- 得意な方から解く:得意な科目で確実に点を取り、気持ちを落ち着かせてから苦手な方へ。
- 1科目の目安時間を決める:過去問で「化学は〇分」と決め、超えたら印をつけて物理へ移ります。
- 構造決定で止まりすぎない:構造決定は時間がかかりやすい問題です。ほかの大問の取れる問題を先に取ってから、残りの時間で構造決定にもどる手もあります。
- 最後の数分は見直し:計算ミス、有効数字、構造式の水素の数の書きもれを確かめます。
過去問は、物理と化学を続けて120分で解く練習をしておくと、本番の疲れ方と時間の感覚に近づきます。物理の対策は「慶應義塾大学合格大作戦・理工学部(物理の受験対策)」、物理の勉強法全体は「物理の勉強法」と「物理のお勧め参考書&問題集」へ。本番の解き方・見直しの考え方は、共通テストの例ですが「共通テストの解き方(時間配分・見直し)」も参考になります。
慶應 理工をめざす学年別の化学の計画
元の記事の作戦(基本→全分野→構造決定、毎日触れる)を、学年ごとの重点にしました。学校の進み方に合わせて調整してください。
高1:化学基礎(mol・酸と塩基・酸化還元)
物質量(mol)、濃度、酸と塩基の中和、酸化還元を、教科書の例題と問題集で固めます。この3つは、理論・無機・有機のすべての計算の土台です。元素分析の計算もmolの考え方でできているので、構造決定の準備はここから始まっています。
高2:化学の理論と無機
物質の状態(気体の法則・溶液)、化学平衡、熱化学、電池と電気分解などの理論分野と、無機物質の性質を学びます。無機は覚えることが多いので、この時期から「毎日化学に触れる」習慣を始めます。
高3の春〜夏:有機化合物・高分子と、問題集1冊で全分野を1周
有機化合物と高分子を学び、標準レベルの問題集1冊で全分野を1周します。有機を習ったら、すぐに易しい構造決定の問題を解き始めましょう。夏休みは、問題集の2周目で×の問題を減らす時期です。
高3の秋:慶應の赤本と他大学の過去問で構造決定
慶應 理工の過去問を、物理と合わせた120分で解きます。あわせて、他大学の過去問から構造決定の問題を集めて、週に何問と決めて演習します。解けなかった問題は、4ステップのどこで止まったかを記録します。
直前期:×の総点検と120分の練習
新しい問題集には手を出さず、今までの問題集と過去問の×を総点検します。構造決定は、解いた問題を白紙から解き直し、手順がスムーズに出るかを確かめます。直前期の教材のしぼり方は「入試直前期の勉強法」へ。模試の受け方は「慶應義塾大学型模試の日程と受け方」も参考にしてください。
サクラちゃん
理論や無機は、共通テストや他大学向けの勉強で足りるって本当ですか?
合格先生
元の記事はそう見ているよ。ただし「標準レベルで全分野を穴なく」が前提。標準の問題集1冊を繰り返して、取れる問題を確実に取ることが大事なんだ。
サクラちゃん
そのうえで、構造決定だけは赤本と他大学の過去問で特別に練習するんですね。
合格先生
その通り。それから、化学は覚えることが多いから、少しずつでも毎日触れる。これが元の記事の「慶應 理工の化学」の作戦だよ。
慶應 理工の化学でよくある失敗
- 構造決定を後回しにする:有機を習ったらすぐ、易しい問題から練習を始める
- 異性体を書きもらす:炭素の骨格から先に書き、−OHなどの位置を順に動かす
- 不飽和度を計算しない:最初に出しておくと、候補が一気に減る
- 反応の名前だけ覚えて、構造との対応を覚えない:「ヨードホルム反応→CH3CO−」のように、結果と官能基をセットで
- 構造式の水素の数をまちがえる:最後に分子式と原子の数が合っているか数え直す
- 難しい問題集を何冊も手を出す:理論・無機は標準の1冊で穴なく。難しさを上げるのは構造決定だけ
- 化学に触れない日が続く:無機・有機の知識は抜けやすい。短い時間でも毎日
- 過去問を化学だけ時間無制限で解く:物理と合わせた120分で練習する
慶應 理工と早稲田 理工・慶應 薬学部の化学のちがい(併願するなら)
私大の理工系では、慶應義塾大学 理工学部と、早稲田大学の理工系3学部(基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部)を併願する人も多いでしょう。化学を使う同じ大学の学部(薬学部など)を併願する人もいます。公式の要項で確かめた範囲で比べます。
| 項目 | 慶應 理工 | 早稲田 理工(3学部) | 慶應 薬学部 |
|---|---|---|---|
| 化学の配点 | 100点(総点500点) | 60点(理科2科目で120点) | 150点 |
| 理科の選び方 | 物理と化学(必須) | 物理・化学・生物から2科目(学科で指定あり) | 化学だけ |
| 試験時間 | 理科2科目で120分(2026年度は第1時限) | 理科2科目で120分(2027年度は2時限) | 化学100分(2026年度は第1時限) |
| 化学の範囲 | 化学基礎・化学 | 化学基礎・化学 | 化学基礎・化学 |
| 試験日(2027年度) | 2月12日(金) | 2月16日(火) | 2月10日(水) |
どの学部も範囲は化学基礎・化学なので、勉強の土台は共通です。早稲田 理工の理科の選び方と時間割は「早稲田 理工 物理 対策|理科2科目120分・120点」に、化学編は「早稲田大学合格大作戦・理工系学部(化学の受験対策)」にあります。試験時間・配点・範囲は大学ごと・年度ごとに変わるので、必ずそれぞれの公式の要項で確かめてください。慶應 理工の英語は「慶應理工 英語の対策と勉強法」へ。
慶應義塾大学合格大作戦・早稲田大学合格大作戦(シリーズ)
元の記事にあった関連記事の一覧です。
- 慶應義塾大学合格大作戦・理工学部(数学の受験対策)
- 慶應義塾大学合格大作戦・理工学部(英語の受験対策)
- 慶應義塾大学合格大作戦・理工学部(物理の受験対策)
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※元の記事では「早稲田大学合格大作戦・理工系学部(英語の受験対策)」のリンク先がこの記事(keio4)になっていたので、正しい早稲田の英語編に直しました。
慶應義塾大学の受験の口コミ・質問
慶應 理工の化学でどの問題集を使ったか、構造決定をどう練習したかなど、受験生の生の声は受験掲示板「100点BBS」の慶應義塾大学受験掲示板で聞いてみるのもよいでしょう。早稲田と併願する人は早稲田大学の掲示板もあります。勉強の進め方で迷ったら「受験の質問・相談」でも受け付けています。化学が好きになる雑学として、頭の体操の「生物にあるけど化学にないものは?」や、色の正体を化学で考える「βカロテンとリコピン」もどうぞ。

うかるくん
理論・無機は標準の問題集1冊で穴なく、構造決定は赤本と他大学の過去問で特別に。毎日少しずつ化学に触れます!
よくある質問
慶應理工の化学の配点と試験時間は?
化学は100点で、総点500点(理科200点・数学150点・外国語150点)の2割です。2026年度の一般選抜要項では、理科は第1時限の10時から12時の120分で、物理と化学の2科目をこの時間で解きます。2027年度も理科は物理100点・化学100点の計200点と公表されています。時刻は2027年度の要項で確かめてください。
慶應理工の理科で生物は選べますか?
選べません。2027年度の試験教科・科目・配点では、理工学部の理科は物理(物理基礎・物理)と化学(化学基礎・化学)で、2科目とも受験します。
慶應理工の化学で一番大事な分野は?
この記事の元の記事(2013年)の見方では、有機化学の構造決定です。ほかの分野は標準的な勉強で対応できるが、難しい構造決定は特別に勉強しないと太刀打ちできない、としています。最新の傾向は過去問で確かめてください。
有機化学の構造決定はどう解けばいいですか?
元素分析と分子量から分子式を決め、不飽和度で環と二重結合の数を知り、反応の結果から官能基を決め、考えられる異性体を全部書き出して条件に合うものにしぼる、という4つのステップで解きます。
慶應理工の化学の対策におすすめの教材は?
元の記事は、標準レベルで全分野が載った問題集1冊(当時はアクセスを例に挙げた)で理論・無機・有機の基礎を固め、構造決定は慶應の赤本や京大など構造決定が出る他大学の過去問で演習することをすすめています。
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出典・参考
- 慶應義塾大学「2026年度 一般選抜要項」(昨年度参考)理工学部・薬学部の時間割・試験科目・配点・遅刻の扱い・時計の注意
- 慶應義塾大学「2027年度 一般選抜 試験教科・科目・配点」(理工学部の理科:物理(物理基礎・物理)・化学(化学基礎・化学)各100点、薬学部の化学150点)、一般選抜のページ(2027年度の試験日・合格発表日)
- 慶應義塾大学「一般選抜 得点状況」2022〜2026年度(理工学部の合格最低点・受験者平均点)
- 早稲田大学「2027年度 入試ガイド 一般選抜」「2027年度 基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部 一般選抜概要」(併願の比較)
- 化学の科目名の移り変わりは文部科学省の高等学校学習指導要領による。構造決定の例題・異性体の例はこの記事で作ったもので、入試問題ではありません。学年別の計画・1週間の例は目安です
最終更新:2026年10月23日/作成:大学受験合格大作戦












