鵬程万里(ほうていばんり)の意味と由来|荘子「逍遥遊」鯤と鵬の原文・書き下し文・現代語訳、卒業の門出の使い方・例文をイラストで【故事成語】

鵬程万里(ほうていばんり)の意味と由来|荘子「逍遥遊」鯤と鵬の原文・書き下し文・現代語訳、卒業の門出の使い方・例文をイラストで【故事成語】

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鵬程万里ほうていばんり

ひとことで言うと

鵬という大きな鳥が飛ぶ道のりのように、前途がはるかに遠く、大きいこと。卒業や旅立ちなど、門出をいわう言葉。『荘子』逍遥遊の、九万里の空を南の海へ飛ぶ鵬の話から。

読み方ほうていばんり
意味前途がはるかに遠いこと。また、これからの将来が大きく広がっていること。
出典『荘子』逍遥遊「鵬之徙於南冥也、水撃三千里、摶扶揺而上者九万里」
お話北冥の大魚・鯤が鳥の鵬に変わり、つむじ風に乗って九万里の高さまで上がり、南冥へ飛んでいく。せみと小ばとがそれを笑った
似た言葉前途洋々(ぜんとようよう)・前途有望・鵬翼・青雲の志
反対の言葉前途多難・井の中の蛙(いのなかのかわず)
漢文の句法置き字(而・於)・比況(若し)・比較(及ばず)

このページのポイント

  • 「鵬程万里」は、前途がはるかに遠く、大きいこと。卒業・旅立ちなど門出をいわう言葉
  • もとは『荘子』逍遥遊。鯤が鵬に変わり、九万里の空を南冥へ飛ぶ話
  • 4字の図解、鯤と鵬の旅の図、「小知は大知に及ばず」、水と風の「厚み」のたとえ、入試の出方まで分かります

「鵬程万里」の意味と読み方

「鵬程万里」はほうていばんりと読みます。意味は「鵬(ほう)という大きな鳥が飛んでいく道のりが万里もあるように、前途がはるかに遠く、大きいこと」です。遠い旅の道のりを表すほか、これからの将来が大きく広がっていることをいわう言葉として、卒業・旅立ち・門出のあいさつでよく使われます。

「鵬」は、中国の古い書物『荘子(そうじ)』に出てくる、想像上の巨大な鳥です。北の海にいた大きな魚「鯤(こん)」が姿を変えて鵬になり、九万里の高さまで上がって南の海へ飛んでいく――その話がもとになっています。「程」は「道のり」、「万里」は「とても遠い道のり」のことです。

「鵬程万里」を4字に分けると鵬ほうおおとり程ていみちのり万ばんたくさん里りきょり鵬程鵬が飛んでいく道のり万里とても遠い前途がはるかに遠く、大きいこと(遠い旅立ち・大きな将来をいわう言葉)
「鵬程(鵬の道のり)」+「万里(とても遠い)」=前途がはるかに遠く、大きい
サクラちゃん

サクラちゃん

「鵬」って、どんな鳥なんですか? 本当にいたんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

鵬は、荘子という思想家が書いた話の中の鳥で、本当にいたわけではないよ。背中の大きさが何千里もあって、翼は空にたれた雲のよう。九万里の空へ上がるという、とてつもなく大きな鳥だ。日本では「おおとり」とも読むね。荘子は、この大きな鳥を使って「小さな物差しで、大きなものをはかってはいけない」という考えを伝えようとしたんだ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○卒業生の鵬程万里の前途を、心からお祝いします。
  • ○海外へ留学する友に、鵬程万里の旅立ちをいわう寄せ書きをおくった。
  • ○若い研究者たちの前には、鵬程万里の道が広がっている。

「程」は「程」の読み方・書き順・部首、「万」は「万」の読み方・書き順・部首、「里」は「里」の読み方・書き順・部首で、読み方と書き順を確かめておきましょう。「鵬」は常用漢字ではなく、人名に使える漢字(人名用漢字)です。「万里」は「ばんり」と読みます(「まんり」ではありません)。

絵で読む「鵬程万里」のお話

お話は、『荘子』のいちばん最初の篇「逍遥遊(しょうようゆう)」の書き出しです。「逍遥遊」とは、「何にもしばられず、のびのびと自由に遊ぶ」という意味。荘子は、この篇を、とてつもなく大きな魚と鳥の話から始めました。4つの場面で見てみましょう。

絵で読む「鵬程万里」(『荘子』逍遥遊の4こま)

1北の海の大魚・鯤鯤の大きさは、何千里あるか分からない
1北のはての海(北冥)に、鯤(こん)という魚がいました。その大きさは、何千里あるのか分からないほどでした。
2鳥に変わる=鵬鯤鵬(ほう)化して鳥と為る、其の名を鵬と為す
2鯤は姿を変えて鳥になりました。名前は鵬(ほう)。背中も何千里あるか分からず、力いっぱい飛び立つと、その翼は空にたれ下がる雲のようでした。
3九万里の空へ九万里南冥へ水を撃つこと三千里
3海が荒れると、鵬は南のはての海(南冥)へ移ります。海面を翼で三千里も打ち、つむじ風に乗って九万里の高さまで上がり、南へ向かって飛んでいきました。
4せみと小ばとが笑う(はるか上の鵬)ぼくらは楡の木までで十分なぜ九万里も上がって南へ行くの?(笑)蜩(せみ)学鳩小知は大知に及ばず
4それを見た蜩(せみ)と学鳩(こばと)は笑いました。「ぼくらは楡の木に飛びつくのがせいぜいだ。どうして九万里も上がって南へ行く必要があるの?」。荘子は「小知は大知に及ばず」と言います。

3こま目の「つむじ風」は、原文では「扶揺(ふよう)」と書かれています。下からうずを巻いて上へふき上げる、強い風のことです。鵬はそれに乗って九万里の高さまで上がり、そこから南へ向かいました。原文はさらに「去るに六月を以て息ふ者なり」と続きます。これは「六か月飛び続けてから休む」とも、「六月(夏)の大風に乗って飛び去る」とも読まれ、解釈は諸説あります。

北冥から南冥へ――鵬の旅北冥北のはての海鯤(魚)南冥南のはての海「天池」鵬(鳥)① 水を撃つこと三千里(海面を翼で打つ)② 扶揺(つむじ風)に乗って九万里の上空へ③「六月を以て息ふ」(解釈は諸説あり)
北冥の魚・鯤が鳥・鵬になり、九万里の空を通って南冥へ

「九万里」とは、どのくらいの高さでしょうか。「里」は道のりの単位ですが、長さは時代や国によってちがいます。古代中国の1里は数百メートルほどとされ、日本で昔使われた1里(約3.9km)とは別ものです。どちらで計算しても、九万里は人が想像できないほどの高さになります。荘子は正確な数字を伝えたかったのではなく、「とてつもなく高く、遠い」ことを大きな数で表したのです。「万里」の「万」も、「ちょうど1万」ではなく「数えきれないほど多い」という意味で使われています。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

4こま目のせみと小ばとは、鵬を「なんで、わざわざ?」と笑った。でも、楡の木までしか飛んだことのない者に、九万里の空の景色は想像できない。荘子が言いたいのは、小さな経験だけで、大きなものを笑ってはいけないということだ。「鵬程万里」は、その「大きなもの」の側の言葉なんだね。

このあと荘子は、時間の長さについても同じことを言います。朝に生えて夜にかれるきのこ(朝菌)は、一か月の始めと終わりを知らない――朝菌は晦朔を知らずの意味と由来(荘子・逍遥遊)の話です。「鵬程万里」が空間の大きさのたとえなら、「朝菌は晦朔を知らず」は時間の長さのたとえです。同じ逍遥遊篇の中で、ならんで出てきます。

「鵬程万里」の原文・書き下し文・現代語訳

もとになった文章は、『荘子』逍遥遊にあります。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方とルールでくわしく説明しています。

白文(『荘子』逍遥遊、一部)北冥有魚、其名為鯤。鯤之大、不知其幾千里也。化而為鳥、其名為鵬。鵬之背、不知其幾千里也。怒而飛、其翼若垂天之雲。…鵬之徙於南冥也、水撃三千里、摶扶揺而上者九万里、去以六月息者也。

1文目:北冥に魚有り

書き下し文北ほく冥めいに魚うを有あり、其その名なを鯤こんと為なす。

(『荘子』逍遥遊)

現代語訳北のはての海に魚がいて、その名を鯤という。

ここがポイント「有(あり)」と「為(なす)」はどちらもレ点で、下の字を先に読みます。「北冥(ほくめい)」は北のはての暗い海。「冥」は「暗い・遠い」という意味です。

2文目:化して鳥と為る

書き下し文化くわして鳥とりと為なる、其その名なを鵬ほうと為なす。

(『荘子』逍遥遊)

現代語訳(鯤は)姿を変えて鳥になった。その名を鵬という。

ここがポイント「而」は読まない置き字(而・於・于・乎・矣・焉)で、前の「化して」の「て」につながります。同じ「為」でも、「鳥と為る(なる)」と「鵬と為す(なす=〜という)」で読み方がちがう点に注意しましょう。

3文目:其の翼は垂天の雲のごとし

書き下し文怒どして飛とべば、其その翼つばさは垂すい天てんの雲くものごとし。

(『荘子』逍遥遊)

現代語訳(鵬が)力をふるい起こして飛び立つと、その翼は空いっぱいにたれ下がる雲のようだ。

ここがポイント「若(ごとし)」は「〜のようだ」とたとえる字で、比況の句法(如・若・猶)で整理しています。「怒」はここでは「おこる」ではなく、「力をこめる・ふるい立つ」という意味です。

4文目:水に撃つこと三千里、上る者九万里

書き下し文鵬ほうの南なん冥めいに徙うつるや、水みづに撃うつこと三さん千ぜん里り、扶ふ揺えうに摶うちて上のぼる者もの九きう万まん里り。

(『荘子』逍遥遊(斉諧という書の言葉として))

現代語訳鵬が南冥へ移るときには、翼で水面を三千里も打ち、つむじ風に乗って九万里もの高さまで上がる。

ここがポイントここが「鵬程万里」のもとになった文です。「於」「而」「也」は読まない置き字。原文では、この話は「斉諧(せいかい)」というふしぎな話を集めた書物の言葉として引かれています。

5文目:小知は大知に及ばず

書き下し文小せう知ちは大だい知ちに及およばず。

(『荘子』逍遥遊)

現代語訳小さな知恵は、大きな知恵にはおよばない。

ここがポイントせみと小ばとが鵬を笑ったあとの、荘子のまとめです。「AはBに及ばず」は「AはBにかなわない」という比較の形で、比較の句法(不如・不若・莫若)でくわしく練習できます。

もう1文:風の積むことや厚からざれば

書き下し文風かぜの積つむことや厚あつからざれば、則すなはち其その大だい翼よくを負おふや力ちから無なし。

(『荘子』逍遥遊)

現代語訳風の積み重なりが厚くなければ、(鵬の)大きな翼を背負って運ぶ力はない。

ここがポイント「不(ざれば)」は「〜でなければ」という仮定の形、「則(すなはち)」は「そうすると」と前後をつなぐ字です。「無(なし)」も否定の字で、否定の句法(不・弗・非・無・莫)でまとめています。鵬が九万里まで上がる理由を説明した文です(下の「出典と背景」でくわしく)。

原典(『荘子』逍遥遊)の本文では

維基文庫(中国語のウィキソース)の『荘子』逍遥遊では、書き出しは次のようになっています(句読点は維基文庫の本文のとおり)。

『荘子』逍遥遊の本文(一部)北冥有魚,其名爲鯤。鯤之大,不知其幾千里也,化而爲鳥,其名爲鵬。鵬之背,不知其幾千里也,怒而飛,其翼若垂天之雲。是鳥也,海運,則將徙於南冥。南冥者,天池也。…「鵬之徙於南冥也,水擊三千里,摶扶搖而上者九萬里,去以六月息者也。」
  • 「爲」「擊」「萬」:昔の字体です。今の字では「為」「撃」「万」と書きます。
  • 「海運」:海が大きくうねり動くこと。そのとき大風が起こり、鵬はそれに乗って南へ移る、と読まれます。
  • 「南冥者,天池也」:南冥とは、天の池(天然の大きな池)である。
  • 「摶扶搖」:「摶」は羽ばたいて風を打つ(または、うずを巻いて上る)こと。本によっては「搏」と書かれ、「扶」を「抉」とする本もあります。

このあと、同じ逍遥遊篇の「湯(とう)の棘(きょく)に問ふ」の段でも、鵬の話がもう一度出てきます。そこでは「背は泰山のよう、翼は垂天の雲のよう」と書かれ、小さな鳥の斥鴳(せきあん)が「わたしは数仞(すうじん)上がって草むらを飛ぶ。これも飛ぶことの極みだ。あれはどこへ行くのか」と笑います。荘子はこれを「小大の弁(小と大のちがい)」とよびました。

どこまで高く飛べる?楡の木せみ・小ばと数仞斥鴳九万里鵬※高さは正しい比ではありません
せみ・小ばと、斥鴳、そして九万里の鵬。小さな者には大きな者が分からない

「鵬程万里」という4字の形

『荘子』の原文には、「鵬程万里」という4字そのものは出てきません。鵬の話をもとに、のちの時代に「鵬程(鵬の飛ぶ道のり)」「万里」という言い方が生まれ、4字の熟語になったと考えられます。台湾の教育部の成語辞典は、明の時代の戯曲『龍膏記(りゅうこうき)』の「鵬程万里終に当に奮ふべし」という例をあげていますが、いつ・だれが最初に使ったかははっきりした資料が見つかりませんでした(諸説あり)。中国では「万里鵬程」「万里鵬翼」という形もあります。

出典『荘子』と話の背景

『荘子』は、中国の戦国時代の思想家・荘周(そうしゅう)と、その流れをくむ人々の考えをまとめた本です。荘子は、老子とならぶ「道家(どうか)」の代表で、「老荘思想」とよばれます。人間がつくった「大きい・小さい」「役に立つ・立たない」といった物差しにとらわれず、自然のままに自由に生きることを説きました。諸子百家の中での位置は諸子百家(儒家・道家・法家)のちがいで確かめられます。

「逍遥遊」が伝えたかったこと

逍遥遊篇は、鵬の話、せみと小ばとの話、朝菌の話、斥鴳の話……と、「小さいもの」と「大きいもの」の話をつぎつぎにならべます。そして最後に、「至人(しじん)は己(おのれ)無く、神人(しんじん)は功無く、聖人は名無し」と、何ものにもとらわれない人のすがたを語ります。鵬でさえ、風がなければ飛べません。本当に自由なのは、何にもたよらずに遊べる人だ――というのが荘子の考えです。

逍遥遊の「小」と「大」小さいもの大きいもの空間(高さ・遠さ)蜩と学鳩斥鴳鵬(九万里)小知は大知に及ばず→鵬程万里時間(命の長さ)朝菌・蟪蛄(1日・ひと夏)冥霊・大椿(千年・万年以上)小年は大年に及ばず→朝菌小さな世界の争いは「蝸牛角上の争い」(則陽篇)
「鵬程万里」は空間の大きさ、「朝菌は晦朔を知らず」は時間の長さのたとえ

水と風の「厚み」のたとえ

鵬の話の中には、もう一つ有名なたとえがあります。「水の積むことや厚からざれば、則ち大舟を負ふや力無し」――水がたっぷりなければ、大きな舟は浮かばない。くぼみに一杯の水をこぼすと、草の葉は舟のように浮かぶけれど、杯を置くと底について動かない。それは「水浅くして舟大なればなり」。同じように、「風の積むことや厚からざれば、則ち其の大翼を負ふや力無し」――風が厚く積み重なっていなければ、鵬の大きな翼を運ぶことはできません。だから鵬は九万里の高さまで上がり、たっぷりの風を下にして、はじめて南へ飛べるのです。

大きく飛ぶには「厚み」が要る水が浅いと草の葉→浮く杯→動かない水浅くして舟大なり風が厚ければ風が下に厚く積もる風の積むことや厚からざれば、則ち其の大翼を負ふや力無し→ 大きく飛ぶには、下に積み重ねが要る
大きな舟には深い水、大きな翼には厚い風。大きく飛ぶには「積み重ね」が要る

荘子のほかの話とのつながり

『荘子』からは、ほかにもたくさんの故事成語が生まれています。夢で蝶になる胡蝶の夢の意味と由来(荘子・斉物論)、せまい井戸の中のかえるの井の中の蛙の意味と由来(荘子・秋水)、かたつむりの角の上の国どうしの戦い蝸牛角上の争いの意味と由来(荘子・則陽)などです。どれも「人間の物差しは小さい」という、荘子らしい見方が共通しています。とくに「井の中の蛙」は、「鵬程万里」の反対の立場の話として読むと分かりやすいでしょう。

また、『史記』の陳勝の言葉燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(大きな志)も、「小さな鳥には、大きな鳥の志は分からない」という、鵬とせみ・小ばとによく似た形のたとえです。

「鵬程万里」の使い方と例文・似た言葉

「鵬程万里」は、遠い道のりの旅立ちや、大きな未来が広がっている人について使う、あらたまった言葉です。とくに、卒業式の式辞、送別会のあいさつ、寄せ書き、手紙など、人の門出をいわう場面でよく使われます。「鵬程万里の前途」「鵬程万里の旅立ち」「鵬程万里の志」のような形にします。

  • ○本日巣立つみなさんの、鵬程万里の前途を祝福します。
  • ○宇宙飛行士を目指す彼女の夢は、まさに鵬程万里だ。
  • ○新天地での鵬程万里のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
  • ○船は鵬程万里の航海に出た。(遠い道のりの意味)
  • ×駅まで鵬程万里なので、自転車で行こう。(近所の「遠い」には大げさすぎる)
  • ×試験に落ちて、鵬程万里の気分だ。(「先が見えず苦しい」意味ではない。それなら「前途多難」)
「鵬程万里」は門出の言葉卒業式鵬程万里の前途を心から祝します。留学鵬程万里の旅立ちに幸多かれと願います。転勤・退職新天地での鵬程万里のご活躍をお祈りします。
卒業・留学・転勤など、門出をいわう言葉として使います

似た言葉

  • 前途洋々(ぜんとようよう)の意味:将来が希望に満ちて、明るく広がっていること。「鵬程万里」と並べて使われることも多い言葉です。
  • 前途有望(ぜんとゆうぼう):将来に大きな見こみがあること。
  • 鵬翼(ほうよく):鵬のつばさ。大きな計画や事業のたとえで、昔は飛行機のことも言いました。
  • 鴻鵠の志(燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや):大きな鳥のように、大きな志をもつこと。
  • 青雲の志(せいうんのこころざし):立身出世して、高い地位にのぼろうとする志。

反対の言葉

  • 前途多難(ぜんとたなん):これから先に、多くの苦しみや困難が予想されること。
  • 井の中の蛙(大海を知らず)の意味:せまい世界しか知らず、広い世界があることを知らないこと。
鵬程万里のなかまの言葉鵬程万里将来が明るく大きい前途洋々前途有望鵬翼(ほうよく)大きな志鴻鵠の志青雲の志反対の言葉前途多難(先に苦しみが多い)井の中の蛙(せまい世界しか知らない)
将来の大きさを表すなかまの言葉と、反対の言葉

英語では、"a long and promising journey"(長く、希望にあふれた旅)や、"a bright future ahead"(先に明るい未来がある)、"to have a great future before one" などで言い表せます。

受験勉強への生かし方

受験は、まさに「鵬程万里」の旅です。志望校という南冥ははるか遠く、まわりから「そんな高い目標、無理だよ」と笑われることもあるかもしれません。せみと小ばとのように、自分の経験の範囲でしか考えない人の言葉に、ふりまわされる必要はありません。勇者となれ!周りに流されず志望校を決める受験生へのメッセージは、そんな人にこそ読んでほしい記事です。

ただし、鵬もいきなり九万里へは行けませんでした。たっぷりの風を下に積み重ねて、はじめて大きな翼で飛べたのです。勉強も同じで、基礎の積み重ねが「厚く」なければ、難しい問題(大きな翼)を運ぶ力は出ません。「継続は力なり」の意味と由来(受験勉強を続けるコツ)や、毎日1%の積み重ねが1年で大きな差になる1.01の法則と0.99の法則(1.01の365乗=37.8)を読むと、「厚み」をつくる毎日の勉強の大切さが分かります。

「鵬程万里」のよくあるまちがい

  • 「ほうていまんり」と読む:正しくは「ほうていばんり」です。「万里の長城(ばんりのちょうじょう)」と同じ読み方です。
  • 「鵬」を「朋」「崩」「鳳」と書く:「朋」に「鳥」を合わせた「鵬」です。「鳳(ほう)」は鳳凰の鳳で、別の鳥です。
  • 「程」を「呈」「堤」と書く:「道のり・ほど」の意味の「程」です。「日程」「旅程」の程と同じです。
  • 苦しい道のりの意味だと思う:「遠い」ことは表しますが、希望にあふれた大きな前途をいわう、明るい言葉です。
  • 「鵬」を本当にいた鳥だと思う:荘子の話に出てくる想像上の鳥です。
  • 「前途洋々」とまったく同じだと思う:「前途洋々」は将来が明るいこと。「鵬程万里」は道のりの遠さ・大きさに重みがあり、遠い旅立ちにも使えます。
うかるくん

うかるくん

「鵬程万里」と「朝菌は晦朔を知らず」、同じ逍遥遊の話なのに、意味が全然ちがって見えます……。

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに気づいたね。「鵬程万里」は、大きなもの(鵬)の側に立った言葉で、前途の大きさをいわう。「朝菌は晦朔を知らず」は、小さなもの(朝菌)の側に立った言葉で、短い命のものには長い時間が分からないという意味だ。同じ「小と大」の話を、どちらから見るかで言葉の向きが変わるんだよ。

入試ではこう出る

「鵬程万里」は、大学受験の漢文・国語で出会うことの多い言葉です。

  • 大学受験(漢文):『荘子』逍遥遊の書き出しは、漢文の教科書や問題集によく取り上げられます。「化して鳥と為る」「其の名を鵬と為す」の「為」の読み分け、「若(ごとし)」の比況、「而」「於」の置き字、「小知は大知に及ばず」の比較の形、荘子が鵬とせみ・小ばとの話で伝えたかったこと(小大の弁)が問われます。共通テストの漢文の対策は共通テストの漢文の対策も参考にしてください。
  • 思想・文学史:『荘子』が道家の書で、「無為自然」「老荘思想」と結びつくこと、逍遥遊が最初の篇であることは、国語便覧や文学史の問題で問われます。
  • 四字熟語:「鵬程万里」の読み(ばんり)・意味・漢字(鵬・程)が、漢字検定や国語の語彙問題で問われることがあります。中学受験・高校受験で出ることは多くありません。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「鵬程万里」は前途がはるかに遠く、大きいこと! もとは『荘子』逍遥遊の鵬が「九万里」の空を南冥へ飛ぶ話。卒業や門出をいわう言葉です!

練習問題

やさしい

  1. 「鵬程万里」の読み方を、ひらがなで答えましょう。
    答えと解説を見るほうていばんり。「万里」は「ばんり」と読みます。
  2. 「鵬程万里」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 前途がはるかに遠く、大きいこと イ 先に苦しみが多いこと ウ せまい世界しか知らないこと エ 見かけだけ立派なこと
    答えと解説を見るア。イは「前途多難」、ウは「井の中の蛙」、エは「沐猴にして冠す」です。

ふつう

  1. 「化而為鳥、其名為鵬」を書き下し文に直し、2つの「為」の読み方のちがいを答えましょう。
    答えと解説を見る化して鳥と為る、其の名を鵬と為す。はじめの「為」は「なる(〜になる)」、あとの「為」は「なす(〜とする・〜という)」と読みます。
  2. 「其翼若垂天之雲」を書き下し文に直し、「若」の意味を答えましょう。
    答えと解説を見る其の翼は垂天の雲のごとし。「若」は「〜のようだ」という比況の意味です。

むずかしい

  1. せみと小ばとは、鵬の何を笑いましたか。また、荘子はそれをどうまとめましたか。
    答えと解説を見る楡の木に飛びつくだけで十分なのに、なぜ九万里も上がって南へ行くのかと笑いました。荘子は「小知は大知に及ばず(小さな知恵では大きな知恵は分からない)」とまとめました。
  2. 「風の積むことや厚からざれば、則ち其の大翼を負ふや力無し」は、鵬が九万里の高さまで上がる理由をどう説明していますか。
    答えと解説を見る風が厚く積み重なっていなければ、大きな翼を運ぶ力がないので、鵬は九万里の高さまで上がって、たっぷりの風を下にしてから南へ飛ぶ、と説明しています。

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よくある質問

鵬程万里とはどういう意味ですか?

鵬程万里とは、鵬という大きな鳥が飛ぶ道のりのように、前途がはるかに遠く、大きいという意味です。これからの将来が大きく広がっていることをいわう言葉として使われます。

鵬程万里の読み方は何ですか?

「ほうていばんり」と読みます。「万里」は「まんり」ではなく「ばんり」です。

鵬程万里の由来・出典は何ですか?

中国の思想書『荘子』逍遥遊の話が由来です。北の海の大きな魚・鯤が鳥の鵬に変わり、海面を三千里打ち、つむじ風に乗って九万里の高さまで上がって南の海へ飛んでいく、という話から生まれました。

「鵬」とはどんな鳥ですか?

鵬(ほう・おおとり)は、『荘子』に出てくる想像上の巨大な鳥です。背中は何千里あるか分からず、翼は空にたれ下がる雲のようだと書かれています。

鵬程万里の原文と書き下し文は?

もとの文は「鵬之徙於南冥也、水撃三千里、摶扶揺而上者九万里」で、書き下し文は「鵬の南冥に徙るや、水に撃つこと三千里、扶揺に摶ちて上る者九万里」です。「鵬程万里」という4字そのものは原文にはなく、後の時代にできた形です。

鵬程万里はどんな場面で使いますか?例文は?

卒業式の式辞、送別会のあいさつ、寄せ書きなど、人の門出をいわう場面で使います。「卒業生の鵬程万里の前途を祝します」「新天地での鵬程万里のご活躍をお祈りします」のように使います。

鵬程万里の似た言葉・反対の言葉は?

似た言葉には「前途洋々」「前途有望」「鵬翼」「青雲の志」があります。反対の言葉には「前途多難」「井の中の蛙」があります。

鵬程万里と朝菌は晦朔を知らずのちがいは?

どちらも『荘子』逍遥遊の話ですが、鵬程万里は大きな鳥の飛ぶ空間の大きさから前途の大きさをいわう言葉、朝菌は晦朔を知らずは短い命のものには長い時間が分からないという、時間のたとえです。

鵬程万里は英語で何と言いますか?

"a long and promising journey"(長く希望にあふれた旅)や "a bright future ahead"(先に明るい未来がある)で言い表せます。

鵬程万里は入試でどう出ますか?

大学受験の漢文では、『荘子』逍遥遊の書き出しで「為」の読み分け、「若」の比況、置き字、「小知は大知に及ばず」の比較の形が問われます。四字熟語として読み・意味・漢字を問う問題もあります。

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出典・参考

  • 原文:『荘子』逍遥遊(維基文庫の本文で確認)
  • 「鵬程万里」の4字の形:台湾教育部『成語典』(明・楊珽『龍膏記』の例。最初の用例は未確認)
  • 荘子の思想・老荘思想:一般的な説明
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦