この記事の結論
- 京大合格作戦の基本は、孫子(そんし)の「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」です。京大入試(彼)の科目・配点・出題傾向と、自分(己)の今の得点・弱点を知り、その差をうめる計画を立てれば、受験という戦いを突破できます。
- 京都大学(京大)の一般選抜は、どの学部も2次試験が総点の65〜85%を占めます(2027年度)。だから作戦の中心は「2次試験の過去問を知ること」と「合格者が使った参考書の共通点を知ること」です。

この記事は、合格大作戦を始めた2008年6月に「私の京大合格作戦」という題で書いた、いちばん古い記事のひとつです。2026年10月に、今の入試(大学入学共通テスト、2027年度の入学者選抜要項)に合わせて書き直し、「作戦の立て方」を図で分かるようにしました。
京大合格作戦の基本:彼を知り己を知れば百戦殆うからず
【彼を知り己を知れば百戦殆うからず】
中国の春秋時代の兵法書『孫子』(孫子の兵法)の「謀攻篇(ぼうこうへん)」にある言葉です。くわしくは「孫子の兵法」の記事で紹介しています。「殆うからず」は「危なくない」という意味で、「百戦危うからず」と書かれることもあります。
この言葉には続きがあります。相手を知らずに自分だけ知っていれば「一勝一負」(勝ったり負けたり)、相手も自分も知らなければ「戦うごとに必ず殆うし」。ひと目で分かるように図にしました。
これを京大受験に当てはめると、こうなります。まず京大受験(彼)がどんなものなのかを知り、そして自分の現状(己)を知り、いまどんな勉強をしていけばよいのかを知れば、受験(戦)を突破できるはずです。
「自分は毎日がんばっている」だけでは、図1のまん中の「一勝一負」です。京大の入試を知らずに勉強すると、配点の小さい科目に時間をかけすぎたり、京大では出ない形式の問題ばかり練習したりしてしまいます。

合格先生
がんばる前に、まず「どこへ向かってがんばるか」を決めよう。地図を見ないで走り出すと、速く走るほど遠回りになるんだ。
京大入試の分析(彼を知る):科目・配点・日程
京大受験にはどんな受験科目があり、共通テスト(旧センター試験)の点数は何点に換算されるのか、2次試験の配点は何点なのか。こうした基本的なことから、化学で毎年のように出る分野はどこか、数学はどの分野を重点的に勉強すればよいのかといった科目別の具体的な対策まで、必要な情報を知っていきましょう。
京大入試の流れ
京大の一般選抜(前期日程)は、1月の大学入学共通テスト(共通テスト、旧センター試験)と、2月25日から行われる京大独自の個別学力検査(2次試験)の合計点で合否が決まります。志願者が多い学部では、共通テストの点で第1段階選抜(いわゆる足切り)があります。
試験の時間割は「京大入試の時間割」にまとめています。
京大 配点:どの学部も2次試験が重い
京大の作戦を立てるうえでいちばん大事な「彼」の情報が配点です。どの学部も2次試験の比率が高く、共通テストで少し失敗しても2次試験で逆転できます。反対に言えば、2次試験の対策が遅れると共通テストがよくても合格できない入試です。
学部ごとの科目別の配点は「京都大学の学部別 配点一覧」で、工学部は「京大工学部の配点」で確かめてください。理系は数学・理科の配点が大きく、とくに数学がどれだけ重いかは「京大受験は数学が重要!学部別の配点比率」で図にしています。
京大 過去問:出題の「くせ」を知る
配点の次に知りたいのが、科目ごとの出題の傾向です。京大の2次試験は、どの科目も記述式で、途中の考え方まで答案に書かせるのが特徴です。たとえば次のような「くせ」があります。
- 数学:問題数は少なく、1題をじっくり考えさせる。文系・理系の分析は「京大文系数学の出題分析」「京大理系数学の出題分析」に年度ごとにまとめています(理系の数学の配点は素点200点、学部ごとに換算)。
- 英語:和訳と英作文が中心で、2次試験にリスニングはありません(「京大入試の英語にリスニングはある?」)。
- 国語:現代文・古文の記述に加え、文系では明治時代の文語文が出ることもあります(「京大 国語 文語文の勉強法」、古文は「古文文法辞典の入試別ページ(2次試験)」)。
理科の「毎年必ず出る分野」のような細かい傾向は、人から聞くより自分で過去問を10年分ほど並べて確かめるのが確実です。表紙をながめるだけでなく、各年の大問のテーマを1行ずつ書き出すと、くり返し出る分野が自然と見えてきます。これも立派な「彼を知る」作業です。
2008年当時の話:工学部の国語
この記事を書いた2008年当時、京都大学の工学部では、2009年度の入試から2次試験に国語が加わることになっていました。当時は「国語の勉強法は、2008年度入試までのほかの学部の受験対策を参考にしましょう」と書きました(当時の記事:「京都大学工学部で国語」「京都大学工学部国語の配点」)。今も工学部の2次試験には国語(100点)があります。このように入試は年によって変わるので、「彼」の情報は毎年、京大の公式の要項で確かめ直すことが大切です。
京大受験の自己分析(己を知る):今の力と目標の差
「彼」が分かったら、次は「己」です。自己分析といっても難しいことはありません。科目ごとに「今の得点率」と「合格に必要な得点率」を並べて、差を出すだけです。
己を知るための材料
- 模試の成績:大手予備校の京大型の記述模試は、本番に近い形で「今の位置」が分かります。合否判定の記号より、科目別・大問別の点数を見ましょう。
- 過去問の点数:時間を計って解き、自分で採点してみます。最初は点が取れなくて当たり前です。
- まちがいノート:まちがえた問題の分野を記録すると、弱点が「数学全体」ではなく「整数」「確率」のように細かく見えてきます。
- 使える時間:部活や学校の予定を書き出し、1週間に何時間勉強できるかを知るのも「己を知る」ことです。
うかるくん
模試でE判定でした…。京大はもうあきらめた方がいいですか?
合格先生
判定の記号だけで決めるのはもったいない。科目ごと、大問ごとに点数を見て、どこで点を落としたかを調べよう。それが「己を知る」だ。
うかるくん
数学の大問は、ほとんど白紙でした。英語は和訳で少し点が取れていました。
合格先生
それなら作戦ははっきりしている。数学は基本の解法を固め直す、英語は和訳を伸ばしつつ英作文を始める。差が大きい所から順番にうめていけば、判定は後からついてくるよ。
下の表は、「彼を知る」「己を知る」で調べることと、その生かし方の一覧です。
| 知ること | 何で調べる? | 作戦への生かし方 |
|---|---|---|
| 科目と配点(彼) | 京大の入学者選抜要項・募集要項 | 配点の大きい科目に時間をかける |
| 出題の傾向(彼) | 過去問(赤本・25カ年など) | 毎年出る分野・形式を先に固める |
| 合格者の勉強法(彼) | 合格体験記・先輩の話 | 多くの人が使う参考書を軸にする |
| 今の得点(己) | 模試・過去問の点数 | 目標との差を科目ごとに出す |
| 得意と弱点(己) | 模試の分野別の成績・まちがいノート | 弱点の分野から手をつける |
| 使える時間(己) | 1週間の予定表 | 計画を「できる量」に直す |
京大 合格体験記の使い方:先輩の参考書の共通点を分析
毎年、みごとに京大に合格した先輩たちの合格体験記にも目を通しておきましょう。合格体験記には、どんな参考書を使ったか、模試の成績がどう変わったかまで書かれていることがあります。何人分も読むと、驚くほど多くの先輩たちが同じ参考書を使っていることに気づくはずです。
合格体験記は「1人分」ではなく「何人分」も
1人の体験記だけを読むと、その人に合った特別な方法をまねしてしまうことがあります。余力があれば数年分の合格体験記を手に入れて、【情報を分析】しましょう。分析のしかたは次のとおりです。
- 合格者ごとに、使った参考書を科目別に書き出す
- 何人もが使っている本に丸をつける(これが王道ルートの候補)
- 模試の成績が上がった時期と、そのころにしていた勉強を見る
- 自分と同じような弱点(「数学が苦手だった」など)を持っていた人の体験記を、とくにていねいに読む
たとえば京大の数学では、多くの合格者が「青チャート→1対1対応の演習→過去問」という順番をたどっています。くわしくは「京大数学の参考書ロードマップ」「青チャートと1対1対応の演習はいつまでに終わらせる?」、理系は「京大理系数学のおすすめ参考書と勉強法」を、英語は「京大英語のおすすめ参考書」を見てください。
書籍『私の京大合格作戦』について
元の記事では、京大合格者の体験記を集めた本『私の京大合格作戦』(エール出版社)を紹介していました。2008年当時は年度版として出ていた本です。なお、この本は当サイト(大学受験合格大作戦)とは無関係で、題名が似ているだけです。今の版が出ているかどうかは、書店やAmazonで確かめてください(Amazonで『私の京大合格作戦』をさがす)。
本のほかに、先輩の生の声は受験掲示板「100点BBS」の「京都大学の掲示板」でも読めます。合格した人・在学生の書き込みも、自分で確かめながら参考にしてください。

うかるくん
合格体験記を5人分並べたら、数学の本が3人も同じでした!まずその本から始めればいいんですね。
京大合格作戦でよくある失敗
作戦を立てたつもりでも、次のような落とし穴にはまる人がいます。どれも「彼」か「己」のどちらかを見落としているのが原因です。
- 参考書を次々に買いかえる:1冊を仕上げる前に別の本へ移ると、どれも中途半端になります。合格体験記で見つけた王道の1冊を、まずくり返しましょう(己の時間を知らない失敗)。
- 得意科目ばかり勉強する:得意な科目は楽しいので、つい時間が増えます。しかし点が伸びるのは差の大きい科目です(己の弱点から目をそらす失敗)。
- 過去問を「最後のお楽しみ」に取っておく:1月になって初めて解くと、京大の形式に慣れる時間がありません(彼を知るのが遅い失敗)。
- ほかの大学の対策をそのまま使う:マーク式や短い答えの問題が多い大学と、記述中心の京大では練習のしかたがちがいます(彼を取りちがえる失敗)。
- うわさをそのまま信じる:「今年は〇〇が出る」といった予想は当たるとは限りません。配点や科目は京大の公式の要項で確かめましょう。
失敗に気づいたら、図2の3ステップに戻ればだいじょうぶです。作戦は何度でも立て直せます。
京大受験の1年の作戦(勉強計画)
「彼」と「己」が分かったら、いよいよ作戦です。下の図は、高3生・浪人生の1年の流れの目安です。現役生は学校の進み具合に合わせてずらしてください。
作戦のポイント
- 最初に過去問を見る:解けなくてかまいません。4月のうちに1年分をながめ、「ゴールの高さ」を知っておくと、毎日の勉強の向きが決まります。
- 差の大きい科目から:図5のように差を出し、いちばん差が大きく、しかも配点の大きい科目に時間をかけます。京大理系なら多くの場合は数学です。
- 秋から過去問で実戦:京大の答案は、考え方まで書いてはじめて点になります。秋からは時間を計って書き切る練習をします。数学の本番での解き方は「京大受験数学の極意(理系)」へ。
- 共通テストは足切りを確実に:2次の比率が高いとはいえ、第1段階選抜を通らなければ2次を受けられません。12月からは共通テストの形式にも慣れておきます。
- 作戦は何度でも直す:模試や過去問の結果が出るたびに「己を知る」をやり直し、計画を直します。作戦は一度立てたら終わりではありません。
サクラちゃん
計画を立てても、いつも途中でくずれてしまいます…。
合格先生
計画がくずれるのは、多くの場合「使える時間」を多く見積もりすぎているからだ。1週間のうち1日は予備の日にして、遅れをそこで取り戻すようにしてごらん。
サクラちゃん
予備の日があれば、くずれても立て直せそうです!
京大 勉強法:科目別の作戦の記事
科目別の具体的な作戦は、次の記事にまとめています。
- 数学:「京大 数学 勉強法」「京大数学の2次試験対策と高2の勉強法」、公式は「算数・数学公式辞典」、言葉は「数学用語辞典」、まとめは「数学まとめ」
- 国語:「国語まとめ」「古文文法辞典」「漢字合格大作戦」
- 理科・社会:「物理の勉強法」「世界史の勉強法(私大・2次個別試験編)」
- 英語:「英語の勉強法【基礎編1】語彙」
京大について知るのも、やる気を保つ「彼を知る」のひとつです。「京都大学出身の有名人・著名人一覧」や「東大は淡青、京大は濃青」もどうぞ。2月の節分には「吉田神社の節分祭と京大合格祈願」も。勉強の相談は「受験の質問・相談」で受け付けています。
よくある質問
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味と出典は?
相手と自分の両方をよく知っていれば、何度戦っても危なくないという意味です。中国の兵法書『孫子』の謀攻篇にある言葉です。
京大合格の作戦はどう立てればいい?
京大入試の科目・配点・過去問(彼)を調べ、模試や過去問で自分の得点と弱点(己)を知り、その差が大きく配点も大きい科目から計画を立てます。
京大は共通テストと2次試験のどちらが大事?
2027年度の配点では、どの学部も2次試験が総点の65〜85%を占めます。ただし第1段階選抜があるので共通テストも油断できません。
京大の合格体験記はどう読めばいい?
1人分ではなく何人分も読み、多くの合格者が使っている参考書や、成績が上がった時期の勉強に注目します。
『私の京大合格作戦』はこのサイトの本?
ちがいます。エール出版社の合格体験記の本で、大学受験合格大作戦とは無関係です。











