老馬の智(ろうばのち)の意味と由来|韓非子の原文・書き下し文・現代語訳、管仲と老馬・隰朋と蟻の話、使い方・例文をイラストで【故事成語】

老馬の智(ろうばのち)の意味と由来|韓非子の原文・書き下し文・現代語訳、管仲と老馬・隰朋と蟻の話、使い方・例文をイラストで【故事成語】

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老馬の智ろうばのち

ひとことで言うと

経験を積んだ者の知恵は、たよりになり役に立つということ。道に迷った管仲が、年をとった馬を放ってあとについて行き、帰り道を見つけた話から。

読み方ろうばのち
意味長い経験を積んだ者の知恵は、たよりになり役に立つということ。また、どんな者からでも素直に学ぶべきだということ。
出典『韓非子』説林上「老馬之智可用也」
お話孤竹を討った帰りに道に迷った斉の管仲が、老いた馬を放ってあとについて行き、道を見つけた。続けて隰朋が蟻の知恵で水を見つけた
似た言葉亀の甲より年の功・老いたる馬は道を忘れず・老馬識途・三人行えば必ず我が師あり
反対の見方後生畏るべし・出藍の誉れ
漢文の句法可能(可=べし)・詠嘆(不亦〜乎)・置き字(於・而)

このページのポイント

  • 「老馬の智」は、経験を積んだ者の知恵はたよりになること。だれからでも謙虚に学ぶ大切さもふくむ
  • もとは『韓非子』説林上。管仲が「老馬の智用ふべきなり」と老馬を放ち、隰朋は蟻の知恵で水を見つけた
  • 韓非子の主張(聖人でも馬や蟻に学んだ)、「迷惑」の昔の意味、可能・詠嘆の句法、入試での出方まで分かります

「老馬の智」の意味と読み方

「老馬の智」はろうばのちと読みます。意味は「長い経験を積んだ者の知恵は、たよりになり、役に立つ」ということです。年をとった馬は、何度も通った道を覚えているので、人が道に迷ったときに道案内になる――という話から生まれました。

この言葉には、もう一つ大切な意味がふくまれています。それは、どんなにえらい人でも、自分の知らないことは、相手がだれであっても素直に学ぶべきだということです。もとの話では、名宰相の管仲が、人ではなく馬に道を教わりました。「経験者の知恵」と「学ぶ側の謙虚さ」の両方を表す言葉です。「老馬の智を借りる」「老馬の智に学ぶ」のように使います。

話に出てくる二つの「先生」管仲 → 老いた馬長い経験の知恵何度も通った道を体で覚えている隰朋 → 蟻自然を見る知恵季節で住む所を変える蟻のくらしを知る聖人の管仲も、知恵者の隰朋も知らないことは老馬と蟻を師とした
話に出てくる二つの「先生」――老いた馬と蟻
うかるくん

うかるくん

馬って、本当に道を覚えているんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

馬は帰り道をよく覚える動物だと言われているね。このお話の大事なところは、それを使おうと思いついたのが管仲だということ。斉の国を強くした大政治家なのに、「道は馬のほうがよく知っている」と、プライドにこだわらず馬にまかせたんだ。もとは中国の思想書『韓非子(かんぴし)』にのっている話だよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○新しい機械の不具合が直らず、引退したベテラン技術者の老馬の智を借りることにした。
  • ○山で道に迷ったら、地元のお年寄りの老馬の智にたよるのがいちばんだ。
  • ○先輩の受験体験は、まさに老馬の智だ。

「老」は「老」の読み方・書き順・部首、「馬」は「馬」の読み方・書き順・部首で、読み方と書き順を確かめておきましょう。「智(ち)」は「知恵」の「知」と同じ意味の字で、「老馬の知」と書くこともあります。

絵で読む「老馬の智」のお話

お話の舞台は、今から2600年以上前の春秋時代の中国です。東の大国・斉(せい)の桓公は、宰相の管仲に助けられて国を強くし、まわりの国々のリーダー(覇者)になっていました。4つの場面で見てみましょう。

絵で読む「老馬の智」(『韓非子』の4こま)

1春に、孤竹を討ちに斉孤竹を討ちに行くぞ!桓公(斉)管仲隰朋春往きて冬反る
1春秋時代、斉(せい)の桓公(かんこう)は、宰相の管仲(かんちゅう)と家来の隰朋(しゅうほう)をしたがえて、北の国・孤竹(こちく)を討ちに出かけました。出発したのは春でした。
2冬の帰り道で迷うどっちの道だ??桓公隰朋迷惑して道を失ふ
2戦いを終えて帰るころには、もう冬。一行は山の中で、帰り道が分からなくなってしまいました。
3老いた馬についていく老いた馬の知恵を使いましょう管仲老いた馬老馬の智、用ふべし
3管仲は「老いた馬の知恵が役に立ちます」と言って、年をとった馬を放ち、そのあとについて行きました。こうして、とうとう帰り道が見つかりました。
4蟻の知恵で水を見つける蟻塚の下を掘れば水があるぞ水だ!隰朋蟻塚乃ち地を掘り、遂に水を得たり
4こんどは山の中で水がなくなりました。隰朋が「蟻は冬は山の日なたの側に住む。蟻塚の下を掘れば水がある」と言い、地面を掘らせると、本当に水が出ました。

孤竹への遠征については、歴史書『史記』の斉太公世家にも、桓公が燕(えん)の国を助けるために山戎(さんじゅう)という異民族を討ち、「孤竹に至りて還る(孤竹まで行って帰った)」と書かれています。桓公の二十三年、紀元前663年のことです。春に出て冬に帰るほどの長い遠征で、慣れない北の山道で迷ってしまったのです。

春に行き、冬に帰る長い道のり海孤竹斉春に往く冬に反るここで道に迷う※位置はイメージ。孤竹の場所は諸説あり
春に斉を出て、冬に帰る道で迷いました(位置はイメージ)
人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

この話は、馬で一回、蟻で一回と、二度続けて「人間以外に学ぶ」場面がある。そして最後に韓非子が「聖人でも馬や蟻を先生にした。今の人は、聖人の知恵にさえ学ぼうとしない。まちがっていないか」としめくくる。ここまで読んで、はじめて話の言いたいことが分かるんだ。

二つ目の蟻の話もおもしろいところです。隰朋は、蟻が「冬は山の陽(日なた・南側)に住み、夏は山の陰(日かげ・北側)に住む」ことを知っていました。そして「蟻塚の高さが一寸なら、その下の一仞(じん)ほどの所に水がある」と言って地面を掘らせ、水を手に入れたのです。小さな蟻のくらしにも、生きるための知恵がある――隰朋はそれを見のがしませんでした。

蟻は、季節で住む側を変える南から日が当たる山の陰(北)夏に住む山の陽(南)冬に住む蟻壌一寸にして仞に水有り蟻塚の高さ一寸なら、下の一仞ほどに水がある
蟻は冬は山の南(陽)、夏は山の北(陰)に住む、と隰朋は言いました

「老馬の智」の原文・書き下し文・現代語訳

もとになった文章は、『韓非子』説林(ぜいりん)上にあります。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方とルールでくわしく説明しています。

白文(『韓非子』説林上)管仲、隰朋従於桓公而伐孤竹、春往冬反、迷惑失道。管仲曰、老馬之智可用也。乃放老馬而随之、遂得道。行山中無水、隰朋曰、蟻冬居山之陽、夏居山之陰。蟻壌一寸而仞有水。乃掘地、遂得水。以管仲之聖而隰朋之智、至其所不知、不難師於老馬与蟻。今人不知以其愚心而師聖人之智、不亦過乎。

1文目:桓公にしたがって孤竹を討つ

書き下し文管くわん仲ちゆう、隰しふ朋ぽう桓くわん公こうに従したがひて孤こ竹ちくを伐うつ。

(『韓非子』説林上)

現代語訳管仲と隰朋は、(斉の)桓公にしたがって孤竹の国を攻めた。

ここがポイント「於」「而」はここでは読まない置き字(而・於・于・乎・矣・焉)です。「於」は「〜に」と送り仮名で表し、「而」は「〜て」でつなぎます。一二点が二回出てくるので、組ごとに読む順番を確かめましょう。

2文目:春に行き冬に帰る途中、道に迷う

書き下し文春はる往ゆきて冬ふゆ反かへる、迷めい惑わくして道みちを失うしなふ。

(『韓非子』説林上)

現代語訳春に出発して冬に帰るとき、迷ってしまって道が分からなくなった。

ここがポイント「反る(かへる)」は「帰る」と同じ。「迷惑」は今の「めいわく(人に困ること)」ではなく、道に迷い、どうしてよいか分からなくなるという意味です。漢文の言葉は、今の日本語と意味がちがうことがあるので注意しましょう(漢文の重要単語(今と意味がちがう言葉))。

3文目:老いた馬の知恵を使うべきだ

書き下し文老らう馬ばの智ち用もちふべきなり。

(『韓非子』説林上)

現代語訳(管仲は言った。)「年をとった馬の知恵を使うのがよい。」

ここがポイントここが「老馬の智」のもとの言葉です。「可(べし)」は「〜できる・〜するのがよい」。「用」を先に読んでから「可」に返ります(レ点)。「可」の読み方は可能の句法(可・能・得・足)で整理しています。

4文目:老馬を放ってついて行き、道を見つける

書き下し文乃すなはち老らう馬ばを放はなちて之これに随したがひ、遂つひに道みちを得えたり。

(『韓非子』説林上)

現代語訳そこで年をとった馬を放して、そのあとについて行くと、とうとう帰り道が見つかった。

ここがポイント「乃ち(すなはち)」は「そこで」。「遂に(つひに)」は「とうとう・そのまま」。「之」は、ここでは老馬を指す代名詞です。

5文目:蟻は冬は山の南、夏は山の北に住む

書き下し文蟻ありは冬ふゆは山やまの陽ように居をり、夏なつは山やまの陰いんに居をる。

(『韓非子』説林上)

現代語訳(隰朋は言った。)「蟻は冬は山の南側(日なた)に住み、夏は山の北側(日かげ)に住む。」

ここがポイント漢文では、山の南側を「陽」、北側を「陰」と言います(川では北側が「陽」になります)。日がよく当たる側が「陽」です。

6文目:蟻塚の下には水がある

書き下し文蟻ぎ壌じやう一いつ寸すんにして仞じんに水みづ有あり。

(『韓非子』説林上)

現代語訳蟻塚の高さが一寸であれば、(その下の)一仞ほどの深さに水がある。

ここがポイント「蟻壌(ぎじょう)」は蟻が盛り上げた土、つまり蟻塚。「仞(じん)」は長さの単位で、七尺とも八尺ともいわれます(諸説あり)。訳し方にも、いくつかの説があります。

7文目:今の人は、まちがっていないか

書き下し文亦また過あやまたずや。

(『韓非子』説林上)

現代語訳(聖人の知恵に学ぼうとしない今の人は)なんとまちがっていることではないか。

ここがポイント「不亦〜乎(亦た〜ずや)」は「なんと〜ではないか」という詠嘆の形。『論語』の「学びて時に之を習ふ、亦た説ばしからずや」と同じ形です。詠嘆の句法(嗚呼・哉・不亦〜乎)でまとめています。
原文で覚える句法4つ可〜〜べし〜できる・〜するのがよい可能乃〜乃ち〜そこで〜接続不難〜〜を難しとせず〜をためらわない否定不亦〜乎亦た〜ずやなんと〜ではないか詠嘆
「老馬の智」の原文には、可能・接続・否定・詠嘆の形が入っています

原典(『韓非子』説林上)の本文では

維基文庫(中国語のウィキソース)の『韓非子』説林上では、話の終わりは次のようになっています(句読点は維基文庫の本文のとおり)。

『韓非子』説林上の本文(一部)以管仲之聖而隰朋之智,至其所不知,不難師於老馬與蟻。今人不知以其愚心而師聖人之智,不亦過乎?
  • 「以管仲之聖而隰朋之智」:「管仲の聖と隰朋の智とを以てして」。聖人とよばれた管仲や、知恵者の隰朋でさえ、という意味です。
  • 「不難師於老馬與蟻」:「老馬と蟻とを師とするを難しとせず」。老馬と蟻を先生にすることを、ためらわなかった。
  • 「今人不知以其愚心而師聖人之智」:「今の人は其の愚心を以てして聖人の智を師とするを知らず」。今の人は、自分がおろかなのに、聖人の知恵を先生にしようとしない。
  • 「與」「隨」「壤」:昔の字体(旧字体)です。今の字では「与」「随」「壌」です。
サクラちゃん

サクラちゃん

最後の「今の人は〜」って、だれに言っているんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

韓非子は、戦国時代の終わりの思想家だ。彼の時代から見て「今の人」――つまり、昔の聖人の教えや、すぐれた人の知恵に学ぼうとしない人たちを批判しているんだね。『韓非子』の説林(ぜいりん)という篇は、話を林のようにたくさん集めたところで、短い話から教えを引き出す形になっている。馬の話だけで終わらせず、「だから、謙虚に学べ」まで読むのが大切だよ。

韓非子が言いたかったこと昔の賢者聖人・知恵者でも、知らないことは馬や蟻を先生にするのをためらわない○今の人自分はおろかなのに、聖人の知恵を先生にしようとしない×亦た過たずや(まちがいではないか)
話のしめくくりで、韓非子は「学ぼうとしない今の人」を批判しています

出典『韓非子』と話の背景

『韓非子(かんぴし)』は、戦国時代の終わりに活躍した思想家・韓非(かんぴ)の考えをまとめた本です。法律と賞罰で国を治めることを説く「法家(ほうか)」の代表的な書物で、秦の始皇帝も韓非の文章を読んで感心したと伝えられています。諸子百家については諸子百家(儒家・道家・法家など)の思想と漢文でまとめています。

『韓非子』からは、矛盾(ほこたて)の意味と由来、株を守る(守株)の意味と由来、逆鱗に触れる(竜ののどの鱗)など、たくさんの故事成語が生まれました。どれも、短いたとえ話から人の生き方や政治のあり方を教える話です。

管仲と桓公

管仲(かんちゅう)は、春秋時代の斉の宰相です。若いころからの親友・鮑叔(ほうしゅく)にすすめられて桓公に仕え、斉を天下一の強国にしました。二人の友情は管鮑の交わり(管仲と鮑叔の友情)という言葉になっています。管仲の名をつけた書物『管子』には「衣食足りて礼節を知る(管子)」という有名な言葉もあります。

そんな「聖人」とまでよばれた管仲が、道に迷ったときに頼ったのは、人ではなく年をとった馬でした。自分の知らないことは、知っている者に学ぶ。それが身分の低い人でも、動物でも――このいさぎよさこそが、管仲をすぐれた政治家にしたのかもしれません。

「老馬」と馬の故事成語

馬が出てくる故事成語は、ほかにもあります。逃げた馬がもどってくる話が塞翁が馬(人間万事塞翁が馬)、すぐれた馬もそれを見ぬく人がいなければ埋もれてしまう話が千里の馬も伯楽に会わざれば(韓愈「雑説」)です。中国では「老馬識途(老馬途を識る)」という四字の形でもよく知られています。

「老馬の智」の使い方と例文・似た言葉

「老馬の智」は、経験を積んだ人の知恵が、たよりになる・役に立つことを表すときに使います。「老馬の智を借りる」「老馬の智に頼る」「老馬の智に学ぶ」などの形がよく使われます。経験の長い人をうやまう気持ちをこめて使う言葉です。

  • ○トラブルが起きたときは、長年この仕事をしてきた部長の老馬の智にたよった。
  • ○祖父の老馬の智で、畑の作物はみごとに育った。
  • ○引退した監督を相談役にむかえ、老馬の智を借りることにした。
  • ○若いリーダーこそ、老馬の智に学ぶ謙虚さを持つべきだ。
  • ×年をとった馬は、もう役に立たないという老馬の智だ。(反対の意味に使っている)
  • ×入部したばかりの一年生の老馬の智を借りた。(経験の長い人について使う言葉)
老馬の智似た言葉(経験に学ぶ・だれにでも学ぶ)亀の甲より年の功老馬識途老いたる馬は道を忘れず下問を恥じず反対の見方(若い力をたたえる)後生畏るべし出藍の誉れ三人行えば必ず我が師あり
「経験に学ぶ」言葉と、「若い力をたたえる」言葉

似た言葉

  • 亀の甲より年の功:長い年月で積み重ねた経験は、とうといものだということ。いちばん身近な、近い意味のことわざです。
  • 老いたる馬は道を忘れず:経験を積んだ人は、ものごとの筋道をあやまらないこと。「老馬の智」から生まれた言い方です。
  • 老馬識途(ろうばしきと):中国でよく使われる四字の形。「老馬途を識る」。
  • 下問を恥じず:自分より下の立場の人にたずねることを恥ずかしいと思わないこと(『論語』の「不恥下問」から)。
  • 三人行えば必ず我が師あり(論語):だれからでも学べることはある、ということ。

反対の見方を表す言葉

英語では、"An old horse knows the way."(年をとった馬は道を知っている)とそのまま訳して紹介されることがあります。近い意味のことわざとしては "Experience is the best teacher."(経験は最良の教師)がよく使われます。

受験勉強への生かし方

受験は、多くの人にとって初めての道です。だからこそ、同じ道を先に通った人の知恵――先生や先輩、合格した人の経験――は、まさに「老馬の智」になります。管仲のように、分からないことは素直にたずねる人が、遠回りせずに目的地にたどり着けます。合格した先輩の経験をどう読み、どう自分の勉強に生かすかは京大の合格体験記の読み方(先輩から学ぶ5つのポイント)にまとめました。

先人たちの知恵を短い言葉で知りたいなら、受験の格言・名言100選(意味・出典つき)が役に立ちます。自分の勉強法や進路で迷ったら、一人でかかえこまず受験の質問・相談(合格先生が答えます)で相談してみましょう。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」です。

「老馬の智」のよくあるまちがい

  • 「老いた者は役に立たない」という意味だと思う:反対です。「年をとった者の経験こそが役に立つ」という意味です。
  • 「老馬」を「おいうま」と読む:読みは「ろうば」、全体で「ろうばのち」です。
  • 道案内をした人物を「隰朋」とする:老馬を放とうと言ったのは管仲です。隰朋は、そのあとの蟻の話で水を見つけた人物です。
  • 「迷惑」を今の意味で訳す:原文の「迷惑」は「道に迷って、どうしてよいか分からない」こと。「人にめいわくをかける」ではありません。
  • 話の言いたいことを「馬はかしこい」だけで終える:韓非子が最後に言いたかったのは、「聖人でも馬や蟻に学んだ。だから謙虚に学べ」ということです。
うかるくん

うかるくん

管仲と隰朋、どっちが馬でどっちが蟻か、ごっちゃになりそうです……。

ミスターT先生

ミスターT先生

「管仲は馬、隰朋は蟻」。「老馬の智」という言葉を言ったのは管仲だから、「言葉の主=管仲=馬」と覚えよう。水を見つけたのは、あとから出てくる隰朋のほうだ。

入試ではこう出る

「老馬の智」は、高校受験・大学受験で出てくることがある故事成語です。

  • 高校受験:故事成語の意味を選ぶ問題や、「亀の甲より年の功」など意味の近いことわざを選ぶ問題で見られます。漢文の資料として「老馬之智可用也」の書き下しや返り点を問われることもあります。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:『韓非子』の本文が出て、「迷惑」の意味(今との意味のちがい)、「可用也」の「可」の読み、最後の「不亦過乎」の詠嘆の訳、そして筆者(韓非子)の主張をまとめさせる問題が考えられます。馬と蟻の二つの話から、何を言いたいのかを説明できるようにしておきましょう。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「老馬の智」は経験者の知恵はたよりになること。管仲は馬、隰朋は蟻。そして韓非子の主張は「聖人でも馬や蟻に学んだ。だから謙虚に学べ」です!

練習問題

やさしい

  1. 「老馬の智」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 年をとった者は役に立たない イ 経験を積んだ者の知恵はたよりになる ウ 馬はどんな動物よりかしこい エ 若い人ほど知恵がある
    答えと解説を見るイ。年をとった馬が道を覚えていて、道案内になった話から生まれた言葉です。
  2. 「老馬の智」の話で、老いた馬を放って道を見つけようと言った人物はだれですか。
    答えと解説を見る管仲(斉の宰相)。蟻の知恵で水を見つけたのは隰朋です。

ふつう

  1. 「老馬之智可用也。」を書き下し文に直し、現代語訳しましょう。
    答えと解説を見る老馬の智用ふべきなり。訳:年をとった馬の知恵を使うのがよい。
  2. 原文「春往冬反、迷惑失道」の「迷惑」の意味を答えましょう。
    答えと解説を見る道に迷い、どうしてよいか分からなくなること。今の「人にめいわくをかける」の意味ではありません。

むずかしい

  1. 「不亦過乎」を書き下し文に直し、句法の名前を答えましょう。
    答えと解説を見る亦た過たずや。「なんとまちがっていることではないか」という詠嘆の形です。
  2. 韓非子がこの話(老馬と蟻)を通して言いたかったことを説明しましょう。
    答えと解説を見る聖人の管仲や知恵者の隰朋でさえ、知らないことは老馬や蟻を先生にすることをためらわなかった。それなのに今の人は、自分がおろかなのに聖人の知恵に学ぼうとしない。それはまちがいだ、だから謙虚に学ぶべきだということ。

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よくある質問

老馬の智とはどういう意味ですか?

老馬の智とは、長い経験を積んだ者の知恵はたよりになり、役に立つという意味です。年をとった馬が道を覚えていて、道に迷った人の道案内になった話から生まれました。

老馬の智の読み方は何ですか?

「ろうばのち」と読みます。「老馬の知」と書くこともあり、中国では「老馬識途(老馬途を識る)」の形でも知られています。

老馬の智の由来・出典は何ですか?

中国の思想書『韓非子』説林上の話が由来です。斉の桓公にしたがって孤竹を討った管仲たちが帰り道で迷ったとき、管仲が「老馬の智用ふべきなり」と言って老いた馬を放ち、そのあとについて行って道を見つけました。

老馬の智の原文と書き下し文は?

原文は「老馬之智可用也」で、書き下し文は「老馬の智用ふべきなり」です。「年をとった馬の知恵を使うのがよい」という意味です。

老馬の智の話に出てくる蟻の話とは?

同じ話の後半で、山の中で水がなくなったとき、隰朋が「蟻は冬は山の陽に、夏は山の陰に住む。蟻塚の下を掘れば水がある」と言い、地面を掘らせて水を見つけた話です。

老馬の智で韓非子が言いたかったことは何ですか?

聖人の管仲や知恵者の隰朋でさえ、知らないことは老馬や蟻を先生にした、だから人は謙虚に学ぶべきだということです。韓非子は、聖人の知恵に学ぼうとしない今の人を「亦た過たずや(まちがいではないか)」と批判しています。

老馬の智の似た言葉・反対の言葉は?

似た言葉は「亀の甲より年の功」「老いたる馬は道を忘れず」「老馬識途」「三人行えば必ず我が師あり」などです。反対の見方の言葉には「後生畏るべし」「出藍の誉れ」があります。

老馬の智はビジネスで使えますか?

はい、使えます。「ベテラン社員の老馬の智を借りる」「OBの老馬の智に学ぶ」のように、経験の長い人の知恵をたよる場面で使われます。相手をうやまう気持ちをこめた言葉です。

老馬の智は英語で何と言いますか?

"An old horse knows the way."(年をとった馬は道を知っている)と訳して紹介されることがあります。近い意味のことわざに "Experience is the best teacher."(経験は最良の教師)があります。

老馬の智は入試でどう出ますか?

高校受験では故事成語の意味や、意味の近いことわざを選ぶ問題が出ます。大学受験では『韓非子』の原文で「迷惑」の意味、「可用也」の読み、「不亦過乎」の詠嘆、筆者の主張が問われることがあります。

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出典・参考

  • 原文:『韓非子』説林上(維基文庫の本文で確認)
  • 孤竹への遠征:『史記』斉太公世家「齊桓公救燕,遂伐山戎,至于孤竹而還」(維基文庫で確認)
  • 「仞」の長さ・孤竹の位置:一般的な説明(諸説あり)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦