蛍雪の功(けいせつのこう)の意味と由来|晋書の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

蛍雪の功(けいせつのこう)の意味と由来|晋書の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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蛍雪の功けいせつのこう

ひとことで言うと

苦労して勉強し、その成果が現れること。貧しくて油が買えず、蛍の光(車胤)や雪の明かり(孫康)で本を読んで学んだ話から。

読み方けいせつのこう
意味苦労して勉強し、その成果が現れること。苦学して身を立てること。
出典車胤(蛍)は『晋書』車胤伝。孫康(雪)は『宋斉語』など(『太平御覧』の引用)。2つを並べた句は『蒙求』の「孫康映雪、車胤聚蛍」
お話東晋の車胤は夏に袋に蛍を集めてその光で、孫康は冬に雪明かりで、貧しくても本を読んで学んだ
似た言葉蛍窓雪案・刻苦勉励・苦学・韋編三絶
四字熟語の形蛍雪之功
漢文の句法部分否定(不常)・再読文字(当)・使役(使)

このページのポイント

  • 「蛍雪の功」は苦労して勉強した成果。努力の結果までふくむ言葉です
  • 蛍=車胤(夏)、雪=孫康(冬)。2つの話を、4こまのイラストで読めます
  • 原文には部分否定「不常」・再読文字「当」・使役「使」が入っていて、漢文の練習にぴったりです

「蛍雪の功」の意味と読み方

「蛍雪の功」はけいせつのこうと読みます。意味は「苦労して勉強し、その成果が現れること」です。貧しさや忙しさなど、苦しい中でもあきらめずに学び続け、努力が実を結んだことをほめるときに使います。

「蛍(けい)」は虫のほたる、「雪(せつ)」はゆき、「功(こう)」はてがら・成果のことです。蛍の光や雪の明かりで本を読んだ、中国の昔の2人の人物の話がもとになっています。4字の四字熟語の形「蛍雪之功」と書くこともあります。

「蛍」と「雪」は、2人の話蛍(ほたる)車胤(しゃいん)夏・袋に蛍を集めその光で読む『晋書』車胤伝雪(ゆき)孫康(そんこう)冬・雪の明かりに本を照らして読む『宋斉語』などどちらも、貧しくて油が買えなかった
「蛍」は車胤(しゃいん)、「雪」は孫康(そんこう)。2人とも、油が買えないほど貧しい中で勉強しました
うかるくん

うかるくん

「蛍雪の功」って、卒業式のあいさつで聞いたことがあります。でも、蛍と雪が勉強とどう関係あるんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに目をつけたね。昔の中国には電気がないから、夜に本を読むには油を燃やす灯りが必要だった。その油が買えないほど貧しい人が、蛍の光や雪の明かりで本を読んで、えらくなった――という話から生まれた言葉なんだ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○毎朝早く起きて勉強を続けた蛍雪の功が実り、第一志望の高校に合格した。
  • ○働きながら夜間の学校に通い、資格を取った。まさに蛍雪の功だ。
  • ○卒業生のみなさんの蛍雪の功をたたえます。(卒業式の式辞などで)
「蛍雪の功」の言葉のしくみ蛍蛍の光車胤雪雪明かり孫康功てがら・成果こう+の=苦労して勉強すること苦労して勉強した成果
「蛍」と「雪」で「苦労して勉強すること」、「功」は「成果」。合わせて「苦労して勉強した成果」です

このように、「蛍雪の功」は努力の「結果」までをふくんだ言葉です。ただ「苦労して勉強している」最中のことだけを言うなら、「蛍雪」「苦学」などの言葉のほうが合います。「功」の字が「成果が出た」ことを表している、と覚えておくと使いまちがえません。

絵で読む「蛍雪の功」のお話

まずは話の流れを、4つの場面で見てみましょう。前の3こまは車胤(しゃいん)の話、最後の1こまは孫康(そんこう)の話です。もともとは別々に伝わっていた2つの話が、のちに1組にされて「蛍雪」という言葉になりました。

絵で読む「蛍雪の功」のお話(4こま)

1油が買えない車胤家が貧しくて油が買えない…
1東晋の車胤(しゃいん)は、まじめで勉強熱心な若者でした。けれども家が貧しく、夜に灯りをともす油をいつも買えるわけではありませんでした。
2夏、蛍を集める蛍を袋に集めよう!
2夏の夜、車胤は白い練りぎぬ(絹)の袋を持って外に出て、光る蛍を数十匹つかまえて袋に入れました。
3蛍の光で読む車胤夜を以て日に継ぐ
3蛍の袋の光で本を照らし、昼だけでなく夜も勉強を続けました(夜を以て日に継ぐ)。
4冬、雪の明かりで読む孫康雪の明かりで読めるぞ常に雪に映じて書を読む
4また、孫康(そんこう)という人も家が貧しく、冬は雪の明かりに本を照らして読んだと伝えられます。2人の話から「蛍雪の功」という言葉ができました。

車胤の話でおもしろいのは、「練嚢(れんのう)」という道具です。「練」は練りぎぬ(やわらかくした絹)、「嚢」は袋のことで、うすい絹の袋なら中の蛍の光が外に透けて見えます。数十匹もの蛍を集めて、やっと本の字が読めるくらいの明るさになったのでしょう。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

この話のポイントは、「勉強する場所や道具がそろっていなくても、工夫して学び続けた」ところだ。だから「蛍雪の功」は、ただ「たくさん勉強した」ではなく、苦しい中で努力して、成果を上げたことをほめる言葉になるんだね。

実際に蛍の光や雪明かりでどれくらい字が読めるのかは、条件によってちがい、昔の人がどう読んだかを確かめた資料も見つかりません。この話は、「それほどまでして学んだ」という熱心さを伝える話として読むのがよいでしょう。

「蛍雪の功」の原文・書き下し文・現代語訳

車胤の話は、中国の歴史書『晋書(しんじょ)』の「車胤伝」にあります。まずは本文を見て、1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で読んでいきましょう。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

『晋書』車胤伝(新字体に直し、句読点を補ったもの)車胤字武子、南平人也。……太守王胡之名知人、見胤于童幼之中、謂胤父曰、「此児当大興卿門。可使専学。」胤恭勤不倦、博学多通。家貧不常得油。夏月則練嚢盛数十蛍火、以照書、以夜継日焉。

1文目:役人の予言(子どものころの車胤)

書き下し文此この児じは当まさに大おほいに卿けいの門もんを興おこすべし。専もつぱら学まなばしむべし。

(『晋書』車胤伝)

現代語訳この子はきっと、あなたの家を大いに栄えさせるでしょう。勉強に打ちこませるのがよい。

ここがポイント人を見る目があると評判だった太守(郡の長官)の王胡之(おうこし)が、幼い車胤を見て、父親に言った言葉です。「当(まさ)に〜べし」は再読文字で、1字を2回読みます。「使(し)む」は「〜させる」という使役の句法。「卿(けい)」は相手を呼ぶていねいな言い方です。

2文目:まじめで、よく学んだ

書き下し文胤いん恭勤きようきんにして倦うまず、博学はくがくにして多通たつうなり。

(『晋書』車胤伝)

現代語訳車胤はつつしみ深く勤勉で、あきることがなく、広く学んで多くのことに通じていた。

ここがポイント「倦(う)まず」は「あきない・いやにならない」。「不(ず)」は打ち消しの字で、否定の句法の基本です。「恭勤(きょうきん)」は、つつしみ深くまじめにつとめること。

3文目:いつも油があるわけではない

書き下し文家いへ貧ひんにして常つねには油あぶらを得えず。

(『晋書』車胤伝)

現代語訳家が貧しかったので、いつも灯りの油が手に入るわけではなかった。

ここがポイント「不常〜(常には〜ず)」は、「いつも〜とは限らない」という部分否定です。「常不〜(常に〜ず)」なら「いつも〜しない(まったく手に入らない)」という全部否定になります。字の順番で意味が変わるので、入試でよく問われます。

4文目:蛍の光で読む

書き下し文夏月かげつには則すなはち練嚢れんなうに数十すうじふの蛍火けいくわを盛もり、以もつて書しよを照てらし、夜よるを以もつて日ひに継つぐ。

(『晋書』車胤伝)

現代語訳夏には、練りぎぬの袋に数十匹の蛍を入れ、その光で本を照らし、夜も昼に続けて勉強した。

ここがポイント「以(もつ)て」は「それで・そうして」。「夜を以て日に継ぐ」は「夜を昼につぎたす=昼も夜も休まず」という意味で、今の日本語の「夜を日に継いで働く」のもとです。「以」の読み方は「以」の読み方と用法へ。文末の「焉」は読まない置き字です。

孫康の雪の話の原文

孫康の話は、『晋書』の車胤伝には出てきません。宋の時代にまとめられた百科事典のような本『太平御覧(たいへいぎょらん)』の「雪」の項目に、『宋斉語(そうせいご)』という本からの引用として、次の短い文があります。

『太平御覧』巻十二が引く『宋斉語』(新字体)孫康家貧、常映雪読書。

孫康の話:雪明かりで読む

書き下し文孫康そんかう家いへ貧ひんにして、常つねに雪ゆきに映えいじて書しよを読よむ。

(『太平御覧』巻十二が引く『宋斉語』)

現代語訳孫康は家が貧しく、いつも雪の明かりに照らして本を読んだ。

ここがポイント「映(えい)ず」は「光に照らす・照りはえる」。ここでは「常(つね)に」で、3文目の「常には〜ず」とちがって打ち消しがありません。「書」は「本」のことです。
「蛍雪の功」の原文で覚える句法4つ不常得油常には油を得ずいつも手に入るわけではない部分否定当大興当に大いに興すべしきっと大いに栄えさせるだろう再読文字可使専学専ら学ばしむべし勉強に打ちこませるとよい使役以夜継日夜を以て日に継ぐ夜も昼に続けて勉強する「以」の用法
「蛍雪の功」の原文には、部分否定・再読文字・使役・「以」の用法が出てきます
サクラちゃん

サクラちゃん

「蛍雪の功」っていう4文字は、原文のどこにあるんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

じつは、どちらの原文にも「蛍雪の功」という言葉は出てこないんだ。2人の話を並べたのは、唐の時代の子ども向けの本『蒙求(もうぎゅう)』の「孫康映雪、車胤聚蛍」(孫康は雪に映し、車胤は蛍を聚む)という4字句が有名だね。「蛍雪」を「苦学」の意味で使う言い方は、そこから広まったと考えられている。いつ「蛍雪の功」の形になったのかは、はっきりした資料が見つからなかったよ。

出典『晋書』と話の背景

車胤の話の出典は『晋書(しんじょ)』です。晋(しん)という王朝(3世紀後半〜5世紀前半)の歴史を、のちの唐の時代に国の事業としてまとめた本です。車胤は、晋のうち都を南の建康(今の南京)に移した東晋(とうしん)の時代の人です。

車胤伝によると、車胤は南平(今の湖北省のあたり)の人で、字(あざな)は武子(ぶし)。子どものころ、人を見る目で知られた王胡之に「この子はきっと家を栄えさせる」と言われ、蛍の光で勉強を続けました。成長すると、東晋の実力者・桓温(かんおん)に役人として招かれ、そこから出世して、朝廷で名を知られるようになります。最後は吏部尚書(りぶしょうしょ:役人の人事をつかさどる役所の長官)にまでなりました。蛍の光で学んだ若者が、国の大事な役につく――これが「蛍雪の功」の「功」の部分です。

2つの話は、別々の本から車胤の蛍『晋書』車胤伝唐の時代にまとめた歴史書孫康の雪『宋斉語』など『太平御覧』が引用『談藪』では雪の人は孫伯翳(諸説あり)『蒙求』(唐)で1組に孫康映雪 車胤聚蛍昔の子どもが覚えた、人物の話の4字句
蛍の話と雪の話は、もとは別々の本。2つを並べた『蒙求』の句が有名です

孫康の話は、本によってちがう

孫康(そんこう)の雪の話は、車胤の話ほどはっきりしていません。調べた範囲では、次のようなちがいがあります。

  • 『宋斉語』(『太平御覧』の引用):「孫康家貧、常映雪読書」とあり、雪明かりで読んだのは孫康です。
  • 『談藪(だんそう)』(『太平広記』の引用):南朝の斉の時代の孫伯翳(そんはくえい)という人が「家貧しく、嘗て雪に映じて書を読む」とあり、人物がちがいます。
  • のちの出世:日本の本には「孫康はのちに御史大夫(役人を取りしまる高い役)になった」と書くものがありますが、もとになった資料ははっきり確かめられませんでした。

このように、雪の話の人物や、その後の出世については諸説あります。国語のテストでは「車胤=蛍」「孫康=雪」と覚えておけば十分です。

『蒙求』と日本の「蛍の光」

『蒙求(もうぎゅう)』は、唐の李瀚(りかん)がまとめたとされる、昔の人物の話を4字ずつの句にして並べた本です。「孫康映雪、車胤聚蛍」のように、2つの話を対にして覚えやすくしてあり、日本でも平安時代から子どもの学びの本として読まれてきました。「勧学院の雀は蒙求をさえずる」(勧学院の雀でさえ蒙求を覚えてしまう)ということわざがあるほどです。

日本で「蛍雪」がよく知られているのは、卒業式で歌われてきた唱歌「蛍の光」のおかげでもあります。明治時代の『小学唱歌集』にのった歌で、歌い出しに蛍の光と窓の雪が出てきます。これは、この故事をふまえて「苦労して学んだ日々」を表したものです。卒業式で歌われるのは、「蛍雪の功」をおさめて巣立っていく人を送る歌だからなのです。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

卒業式で「蛍の光」を歌うのは、蛍雪の功をあげて巣立っていく人を送るためなんですね! 歌の意味が分かると、聞こえ方が変わりそうです。

「蛍雪の功」の使い方と例文・似た言葉

「蛍雪の功」は、「蛍雪の功が実る」「蛍雪の功を積む」「蛍雪の功なって合格する」のような形で使います。苦労して勉強したことと、その結果(合格・卒業・資格の取得など)がそろっている場面で使うのがポイントです。あらたまった言い方なので、式のあいさつや手紙、作文などでよく使われます。

  • ○三年間の蛍雪の功が実を結び、全員が志望校に進んだ。(努力の結果)
  • ○祖父は貧しい中で夜学に通い、蛍雪の功を積んで教師になった。(苦学して身を立てる)
  • ○蛍雪の功なって、念願の資格試験に合格した。(「功なる」=成果が上がる)
  • ○受験生のみなさんの蛍雪の功が報われることを願っています。(はげましの言葉)
  • ×蛍の光がきれいだったので、蛍雪の功だ。(本物の蛍や雪の景色をほめる意味では使わない)
  • ×一夜づけで蛍雪の功を上げた。(長い苦労がない場面には合わない)

手紙やあいさつでは、「蛍雪の功なり、ご卒業おめでとうございます」「長年の蛍雪の功が報われましたね」のように、相手の努力をたたえる言葉として使えます。英語では、夜おそくまで勉強することを burn the midnight oil(夜中の油を燃やす)と言いますが、「蛍雪の功」はその油さえなかった人の話だと思うと、言葉の重みが分かります。

「蛍雪」だけで「苦学」の意味にもなり、「蛍雪の窓」「蛍雪時代」(苦労して勉強した時代)のようにも使います。

蛍雪の功似た言葉蛍窓雪案刻苦勉励苦学韋編三絶同じような苦学の話鑿壁(壁に穴)懸頭刺股※反対の意味の言葉は「怠ける」「勉強をおこたる」など
似た言葉と、同じように苦労して学んだ昔の話

似た言葉

  • 蛍窓雪案(けいそうせつあん):蛍の窓と雪の机。「蛍雪」と同じく、苦労して勉強することです。
  • 刻苦勉励(こっくべんれい):大変な苦労をして、懸命に努力すること。勉強に限らず使えます。
  • 苦学(くがく):働きながら学ぶなど、苦労して勉強すること。「苦学生」という言い方もあります。
  • 韋編三絶(いへんさんぜつ):孔子が易の本を何度も読み、とじひもが3回切れた話。くり返し熱心に読むことです。
  • 切磋琢磨(せっさたくま):仲間と学問や人格をみがき合うこと。

同じように苦労して学んだ話

  • 鑿壁(さくへき):漢の匡衡(きょうこう)が、灯りがないので壁に穴をあけ、隣の家の明かりで本を読んだ話(『西京雑記』)。「囊蛍鑿壁」と並べて言うこともあります。
  • 懸頭刺股(けんとうしこ):眠くならないように、髪を天井から縄でつるしたり(孫敬)、ももを錐でさしたり(蘇秦)した話。
  • 孟母三遷:子どもの学びのために、孟子の母が3回引っこした話。学ぶ環境の大切さを言います。

反対の意味の言葉

「蛍雪の功」とぴったり反対の故事成語は見当たりませんが、「怠ける」「勉強をおこたる」「努力しないで結果だけを求める」ことが反対の意味になります。中途半端でやめてしまう意味では、竜頭蛇尾(初めは勢いがよいが、終わりはふるわない)も、努力を続けた「蛍雪の功」とは逆の姿です。

「蛍雪の功」のよくあるまちがい

「蛍雪の功」の「功」を書きまちがえない功こう(てがら)功績・成功○ これ効こう(ききめ)効果・効く× 蛍雪の効螢けい(旧字体)原文・古い本△ 昔の字「功」は努力して上げた成果のこと
「功(てがら・成果)」が正しい字。「効(ききめ)」と書くのはまちがいです
  • 「功」を「効」と書く:「効」は「効果・効く」の「ききめ」。「蛍雪の功」の「功」は「功績・成功」の「てがら・成果」です。字の形は「功」の読み方・書き順・部首・「効」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
  • 「蛍」の字をまちがえる:「蛍」は下が「虫」の形。旧字体では「螢」と書き、原文もこの字です。「蛍」の読み方・書き順・部首・「雪」の読み方・書き順・部首のページで書き順も確かめられます。
  • 読み方をまちがえる:「けいせつのこう」です。「ほたるゆきのこう」「けいせつのいさお」とは読みません。
  • 蛍と雪の人物を取りちがえる:蛍=車胤(夏)、雪=孫康(冬)。季節もセットで覚えると取りちがえません。
  • 「苦労」だけの意味で使う:「蛍雪の功」は努力の成果まで言う言葉です。成果がまだ出ていない最中なら「蛍雪の日々」「苦学」などと言います。
うかるくん

うかるくん

「不常得油」と「常不得油」って、何がちがうんですか? どっちも「油が手に入らない」に見えます…。

ミスターT先生

ミスターT先生

「不常〜」は「常には〜ず」で、「いつも手に入るとは限らない(手に入る日もある)」。「常不〜」は「常に〜ず」で、「いつも手に入らない」。打ち消しの「不」が、「常」の前にあると部分否定、後ろにあると全部否定になる。車胤の家は、油がときどき買えなかった、というわけだね。

入試ではこう出る

「蛍雪の功」は、中学受験から大学受験まで、それぞれの形で出てきます。

  • 中学受験:故事成語の意味を選ぶ問題、「けいせつのこう」を漢字で書く問題(「功」と「効」のまちがいに注意)、「蛍」と「雪」がだれの話かを答える問題がよく問われます。四字熟語の「蛍雪之功」として出ることもあります。
  • 高校受験:漢文の入門として、返り点のついた文を書き下す・「夜を以て日に継ぐ」の意味を答える問題が中心です。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:「不常得油」の部分否定、「当〜」の再読文字、「可使〜」の使役を訳す問題が出やすいところです。共通テストでの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。

大学受験の漢文では、部分否定は「不」が先に来たら「いつも(必ず・両方とも)〜とは限らない」と訳すのが決まりです。「不常(常には〜ず)」「不必(必ずしも〜ず)」「不倶(倶には〜ず)」「不復(復た〜ず)」などが同じなかまで、「常不」「必不」のように順番が逆になると全部否定になります。蛍雪の功の「家貧不常得油」は、この区別を確かめる例文としてちょうどよい1文です。

また、作文や小論文で「蛍雪の功」を使うときは、だれの、どんな努力の、どんな成果かをはっきり書くと説得力が出ます。「蛍雪の功が実り」と書いたら、そのあとに合格・卒業・資格などの結果を続けるのが自然な文の形です。自分のことに使うと少し大げさに聞こえることもあるので、人の努力をたたえる場面で使うのがいちばん合っています。

練習問題

やさしい

  1. 「蛍雪の功」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 蛍や雪の景色が美しいこと イ 苦労して勉強し、その成果が現れること ウ 夏も冬も遊んでばかりいること エ 自然を大切にすること
    答えと解説を見るイ。蛍の光や雪明かりで本を読んだ車胤と孫康の話から、苦労して勉強した成果を言います。
  2. 「けいせつのこう」を漢字で書きましょう。また、「蛍」と「雪」はそれぞれだれの話ですか。
    答えと解説を見る蛍雪の功(「効」ではなく「功」)。蛍=車胤、雪=孫康です。

ふつう

  1. 「以夜継日」を書き下し文に直し、意味を答えましょう。
    答えと解説を見る夜を以て日に継ぐ。夜も昼に続けて(昼も夜も休まず)勉強した、という意味です。
  2. 車胤が蛍を集めて本を読んだのはなぜですか。原文の言葉を使って答えましょう。
    答えと解説を見る「家貧にして常には油を得ず」とあるように、家が貧しくて灯りの油がいつも手に入るわけではなかったから。

むずかしい

  1. 「家貧不常得油」の「不常得油」は何という句法ですか。また、「常不得油」とどう意味がちがいますか。
    答えと解説を見る部分否定。「不常得油」は「いつも油が手に入るとは限らない(手に入るときもある)」。「常不得油」は全部否定で「いつも油が手に入らない」という意味になります。
  2. 「此児当大興卿門。可使専学。」を書き下し文に直し、「当」と「使」の働きを説明しましょう。
    答えと解説を見る此の児は当に大いに卿の門を興すべし。専ら学ばしむべし。「当」は再読文字で「当(まさ)に〜べし」(きっと〜だろう)。「使」は使役で「〜しむ」(〜させる)。

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よくある質問

蛍雪の功の意味を簡単に言うと何ですか?

苦労して勉強し、その成果が現れることです。貧しさなど苦しい中でも学び続け、合格や卒業などの結果を出したことをほめるときに使います。

蛍雪の功の由来となった話はどんな話ですか?

中国の東晋の車胤は、家が貧しく灯りの油が買えなかったので、夏に練りぎぬの袋に数十匹の蛍を入れ、その光で本を読みました。また孫康は、冬に雪の明かりで本を読んだと伝えられます。この2人の話から生まれた言葉です。

蛍雪の功の出典は何ですか?

車胤の蛍の話は『晋書』車胤伝です。孫康の雪の話は『太平御覧』が引く『宋斉語』などにあり、雪の話の人物を孫伯翳とする本もあります。2つの話を並べた句としては、唐の『蒙求』の「孫康映雪、車胤聚蛍」が有名です。

蛍雪の功の「功」はどういう意味ですか?

「てがら・成果」という意味です。「効果」の「効」と書くのはまちがいです。

卒業式で歌う「蛍の光」と蛍雪の功は関係がありますか?

あります。唱歌「蛍の光」の歌い出しに出てくる蛍の光と窓の雪は、この車胤と孫康の故事をふまえたもので、苦労して学んだ日々を表しています。

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出典・参考

  • 原文:『晋書』巻八十三 車胤伝、『太平御覧』巻十二が引く『宋斉語』、『太平広記』巻二百三十五が引く『談藪』、『蒙求』(いずれも維基文庫の本文で確認。ここでは新字体で表示)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(一般的な読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦