故事成語の一覧 › 『春秋左氏伝』
大学受験難関大
尾大掉わずびだいふるわず
ひとことで言うと
下の者の勢力が大きくなりすぎて、上に立つ者が思うように動かせなくなること。楚の申無宇が「末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず」と忠告したことから。
| 読み方 | びだいふるわず |
|---|---|
| 意味 | 下の者(部下・家来・地方)の勢力が強くなりすぎて、上に立つ者が思うように動かせなくなること。尾が大きすぎるとふり動かせないことのたとえ。 |
| 出典 | 『春秋左氏伝』昭公十一年「末大必折,尾大不掉(末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず)」 |
| お話 | 楚の霊王が国境に大きな城を築いて弟の棄疾を置いたとき、家来の申無宇が、大きな町が君主をおびやかした例をあげて忠告した |
| 似た言葉 | 末大必折・本末転倒・庇を貸して母屋を取られる・下剋上 |
| 反対の言葉 | 臂の指を使うが如し・一枚岩 |
| 漢文の句法 | 比較(莫如)・疑問(何如)・仮定(若)・置き字(於) |
このページのポイント
- 「尾大掉わず」は、下の者の力が強くなりすぎて、上が思うように動かせなくなること
- もとは『春秋左氏伝』昭公十一年。楚の申無宇が「末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず」と霊王に忠告した
- 4字の図解、尾と体・本と末のたとえの図、申無宇の4つの例、竜頭蛇尾・本末転倒とのちがい、入試の出方まで分かります
「尾大掉わず」の意味と読み方
「尾大掉わず」はびだいふるわずと読みます。意味は「下の者(家来・部下・地方)の勢力が大きくなりすぎて、上に立つ者が思うように動かせなくなること」です。動物の尾(しっぽ)が体にくらべて大きすぎると、ふり動かせなくなることにたとえた言葉です。
もとになったのは、中国の歴史書『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』昭公十一年の話です。楚の霊王が国境に大きな城を築き、力のある弟を置いたとき、家来の申無宇が「末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず」と忠告しました。原文の4字の形は「尾大不掉」です。同じ『春秋左氏伝』からは、唇亡びて歯寒しの意味と由来(春秋左氏伝)などの故事成語も生まれています。
うかるくん
「掉」って見たことない字です。どういう意味ですか?
ミスターT先生
「掉(とう・ちょう)」は「ふる・ふるう」、つまり振り動かすという意味の字なんだ。「尾大掉わず」は「尾が大きくて、ふるうことができない」。ちなみに、最後をりっぱにしめくくることを「掉尾を飾る(ちょうびをかざる)」と言うけれど、これも「尾をふる」から来た言葉だよ。魚が最後に尾をはね上げる勢いのことなんだ。
ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。
- ○地方の支店が本社より大きくなり、尾大掉わずの状態になった。
- ○子会社の発言力が強くなりすぎて、親会社が口を出せない。まさに尾大掉わずだ。
- ○組織が大きくなるときは、尾大掉わずにならないよう、まとめる仕組みが必要だ。
「尾」は「尾」の読み方・書き順・部首、「大」は「大」の読み方・書き順・部首で、読み方と書き順を確かめておきましょう。「掉」は常用漢字ではないので、ふだんはあまり見かけませんが、「掉尾(ちょうび)」という言葉で使われます。
絵で読む「尾大掉わず」のお話
お話の舞台は、今から2500年以上前の中国、春秋時代です。周の王の力が弱まり、各地の国が勢力を争っていました。その中でも南の楚は、とても大きな国でした。楚の霊王は、鼎の軽重を問うの意味と由来(楚の荘王)で知られる荘王の孫にあたります。霊王は北の小国・蔡をほろぼし、国境の守りを固めようとしました。
絵で読む「尾大掉わず」(『春秋左氏伝』昭公十一年の4こま)
1こま目の三つの町は、陳(ちん)・蔡(さい)・不羹(ふこう)です。どれも楚の北の国境に近く、北の国々ににらみをきかせる大切な場所でした。霊王は、そこに大きな城を築いて兵を置き、さらに弟の棄疾を蔡の長官にしました。王にとっては、国を強くするための作戦のつもりでした。
2こま目で申無宇が言った「大きな者は国境に置かない」は、原文では「五大は辺に在らず、五細は庭に在らず」です。身分の高い大物は国境(辺)に置かず、身分の低い者は朝廷(庭)に置かない、という昔からの教えでした。「五大」がだれをさすかは、注釈によって説明が分かれます(王の太子や王の兄弟など、身分の高い人々とする説などがあります)。

ミスターT先生
申無宇は、「棄疾があやしい」とは一言も言っていない。「大きな者を、遠い所に置くこと」そのものが危ない、としくみの問題として話したんだ。人を悪く言わずに、危険を伝える――家来としての、かしこい忠告の仕方だね。
3こま目の4つの例は、どれも「大きな町が、国の主をおびやかした」という歴史でした。申無宇は、こうした例を王もよく知っているはずだ、と言いました。そして4こま目で、木と動物のたとえを使って、話をまとめたのです。
「尾大掉わず」の原文・書き下し文・現代語訳
もとになった文章は、『春秋左氏伝』昭公十一年にあります。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方とルールでくわしく説明しています。
1文目:棄疾の蔡に在るは何如(霊王)
書き下し文王申無宇に問ひて曰く、棄疾の蔡に在るは何如。
(『春秋左氏伝』昭公十一年)
現代語訳霊王が申無宇にたずねて言った。「棄疾が蔡にいることは、どうであろうか」。
2文目:子を択ぶは父に如くは莫し(申無宇)
書き下し文子を択ぶは父に如くは莫く、臣を択ぶは君に如くは莫し。
(『春秋左氏伝』昭公十一年(原典の字は「擇」))
現代語訳子どもを選ぶのは父親がいちばんよく、家来を選ぶのは君主がいちばんよい(=棄疾のことは、王がいちばんよくご存じのはずです)。
3文目:五大は辺に在らず、五細は庭に在らず(申無宇)
書き下し文五大は辺に在らず、五細は庭に在らず。
(『春秋左氏伝』昭公十一年(原典の字は「邊」))
現代語訳身分の高い大物は国境に置かず、身分の低い者は朝廷に置かない(とわたしは聞いています)。
4文目:若し是に由りて之を観れば、則ち国に害あり(申無宇)
書き下し文若し是に由りて之を観れば、則ち国に害あり。
(『春秋左氏伝』昭公十一年(原典の字は「觀」))
現代語訳もしこれ(4つの例)によって考えるならば、(大きな町は)国にとって害になります。
5文目:末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず(申無宇)
書き下し文末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず。
(『春秋左氏伝』昭公十一年)
現代語訳枝先が大きすぎれば(木は)必ず折れ、尾が大きすぎれば(体は尾を)ふり動かせない。
6文目:君の知る所なり(申無宇)
書き下し文君の知る所なり。
(『春秋左氏伝』昭公十一年)
現代語訳(このことは)王もご存じのことです。
原典(『春秋左氏伝』昭公十一年)の本文では
維基文庫(中国語のウィキソース)の『春秋左氏伝』では、この場面は次のようになっています(句読点は維基文庫の本文のとおり)。
- 「國有大城何如」:霊王は続けて、「国に大きな城があるのはどうか」とたずねました。
- 「鄭亰櫟實殺曼伯」:鄭の京・櫟という大きな町(の勢力)が、曼伯の死につながった、という意味。「實(実)」は「じつに・まさしく」。維基文庫の本文では「京」の別の字形が使われています。
- 「衛蒲戚實出獻公」:衛の蒲・戚の町の勢力が、献公を国の外へ追い出した。
- 「末大必折,尾大不掉」:4字ずつの対句。今の日本語の「尾大掉わず」は、この後半から生まれました。
サクラちゃん
霊王は、申無宇の忠告を聞いたんですか?
ミスターT先生
残念ながら、聞かなかったようなんだ。2年後の紀元前529年、蔡にいた棄疾たちが兵をあげ、霊王は位を失って亡くなった。そして棄疾が楚の王(平王)になったんだ。申無宇の心配は、ほとんどそのとおりになってしまったんだね。「尾大掉わず」が今も使われるのは、本当に起きた歴史の教訓だからなんだよ。
出典『春秋左氏伝』と話の背景
『春秋左氏伝』は、孔子が編んだとされる魯の国の歴史書『春秋』に、くわしい説明(伝)をつけた本です。作者は左丘明(さきゅうめい)と伝えられますが、本当の作者や成立のいきさつには諸説あります。短い記事だけの『春秋』に対して、『左伝』は人物の会話や事件のいきさつを生き生きと書いているので、故事成語の宝庫になっています。食指が動くの意味と由来(春秋左氏伝)や臍を噛むの意味と由来(楚の文王)も、同じ『左伝』の話です。
霊王と棄疾
霊王(名は虔〈けん〉)は、楚の王の一族の争いの中で王位についた人で、大きな宮殿を建てたり、まわりの国を攻めたりして、楚の力を広げようとしました。蔡をほろぼしたのも、その一つです。弟の棄疾は、霊王の兄弟の中でいちばん年下で、才能のある人物だったと伝えられます。霊王は、その弟に国境の大きな町をまかせたのです。
申無宇の忠告は、「弟が悪い人だ」ということではありませんでした。力のある人を、大きな城とともに、都から遠い所に置くというしくみそのものが、王にとって危ないということでした。実際に紀元前529年、霊王が遠くへ出かけているすきに、棄疾たちが兵をあげ、霊王は国にもどれないまま亡くなりました。
「本」と「末」の考え方
申無宇の言葉の前半「末大なれば必ず折る」の「末」は、木の枝先のことです。木の根もとや幹を「本(もと)」、枝先を「末(すえ)」と言います。「本」より「末」が大きくなると、木は自分の重さにたえられずに折れてしまいます。この「本と末」の考え方は、本末転倒(ほんまつてんとう)の意味という四字熟語にも使われています。本末転倒は「大事なことと、どうでもいいことを取りちがえる」こと、尾大掉わずは「下が大きすぎて、上が動かせない」こと。どちらも「本と末のバランスがくずれた」状態です。
その後の歴史でも
中国の歴史では、このあとも「尾大掉わず」がくり返されました。たとえば唐の時代には、国境を守る節度使(せつどし)という地方の長官が大きな軍を持つようになり、やがて中央の朝廷の言うことを聞かなくなっていきました。地方の力が強くなりすぎた例として、「尾大不掉」という言葉がよく使われます。
「尾大掉わず」の使い方と例文・似た言葉
「尾大掉わず」は、組織の一部や部下の力が強くなりすぎて、上に立つ人やまとめ役がコントロールできなくなった状態を表すときに使います。会社・団体・国・チームなど、「上と下」のある組織について使うのが基本です。ややかたい書き言葉で、「尾大掉わずの状態」「尾大掉わずになる」の形でよく使います。
- ○グループ会社のほうが本社より大きくなり、尾大掉わずの心配が出てきた。
- ○応援団の一部が強くなりすぎて、団長の指示が通らない。尾大掉わずとはこのことだ。
- ○地方の豪族の力が強まり、朝廷は尾大掉わずの状態におちいった。
- ○人数がふえすぎた委員会が尾大掉わずにならないよう、班に分けてまとめ役を置いた。
- ×最初は勢いがあったのに、終わりは尾大掉わずになった。(はじめは勢いがよく終わりがふるわないのは「竜頭蛇尾」)
- ×うちの犬はしっぽが大きいので尾大掉わずだ。(本当のしっぽの話ではなく、組織の上下の力関係のたとえ)
似た言葉
- 末大必折(まつだいひっせつ):「末大なれば必ず折る」。同じ申無宇の言葉の前半で、ほぼ同じ意味です。
- 庇を貸して母屋を取られる:一部を貸したら、全体を乗っ取られてしまうこと。下の者が力をつけて上をしのぐ点が似ています。
- 下剋上(げこくじょう):下の者が上の者に打ち勝って、その地位をうばうこと。尾大掉わずが進んだ先に起こりやすいことです。
- 本末転倒(ほんまつてんとう)の意味:大事なことと小さなことを取りちがえること。「本と末」が入れかわる点が共通しています。
- 竜頭蛇尾の意味と由来(尾のつく故事成語):はじめは勢いがよく、終わりがふるわないこと。同じ「尾」の字が入りますが、意味はちがうので注意しましょう。
反対の言葉
- 臂の指を使うが如し(ひじのゆびをつかうがごとし):体が腕を、腕が指を動かすように、上の者が下の者を思いのままに動かせること(『漢書』賈誼伝の言葉として知られます)。
- 一枚岩(いちまいいわ):組織がしっかりまとまっていて、ゆるがないこと。
英語では、"the tail wagging the dog"(しっぽが犬をふる=小さな部分や下の者が、全体を動かしてしまう)という言い方がよく似ています。尾大掉わずは「尾が大きくてふれない」、英語は「尾のほうが犬をふる」と、向きは少しちがいますが、下が上をコントロールできなくなることを表す点は同じです。
受験勉強への生かし方
受験勉強にも「尾大掉わず」は起こります。あなたの一日を一つの国と考えると、「勉強」が王さま、「スマホ」「ゲーム」「部活」「好きな科目だけの勉強」が地方の町です。どれも大切ですが、どれかが大きくなりすぎると、王さま(勉強の計画)がそれを動かせなくなります。大きくなりすぎる前に、全体の中での大きさを決めておくことが大切です。勉強計画の立て方(年→月→週→日の作り方)で、一日の時間の配分を先に決めておくと、「尾」に一日をふり回されずにすみます。
また、問題集や参考書も、使い方をまちがえると「尾」になります。「問題集を最後まで終わらせること」そのものが目的になってしまうと、本当の目的(点を取る力)が動かせなくなるのです。「問題集を終わらせることを目標にするな」の意味を読むと、手段と目的のバランスの取り方が分かります。科目ごとの勉強の進め方は大学受験の勉強法まとめ(目的別の記事一覧)にまとめています。
「尾大掉わず」のよくあるまちがい
- 「おだいふるわず」「びだいとうわず」と読む:正しくは「びだいふるわず」です。「尾大」は音読みで「びだい」、「掉わず」は「ふるわず」と訓読みします。
- 「掉」を「悼」「棹」と書く:「掉」はてへんで、手で振り動かす意味です。「悼(いたむ)」はりっしんべん、「棹(さお)」はきへんで、別の字です。
- 「振るわず(成績がよくない)」の意味だと思う:「成績が振るわない」の「振るわない」とはちがい、ここはしっぽをふり動かせないことです。
- 「竜頭蛇尾」と同じ意味だと思う:竜頭蛇尾は「はじめは勢いがよいが、終わりがふるわない」こと。尾大掉わずは「下が大きすぎて、上が動かせない」ことで、時間の流れの話ではありません。
- 上の者がだめなことを悪く言う言葉だと思う:たんに「上の人の力が足りない」ではなく、上と下の大きさのバランスがくずれたしくみの問題を表す言葉です。
うかるくん
「竜頭蛇尾」も「尾大掉わず」も「尾」の話だから、こんがらがりそうです……。
ミスターT先生
「時間」と「大きさ」で分けよう。竜頭蛇尾は、頭(はじめ)は竜なのに、尾(終わり)は蛇――時間の流れの中で勢いが落ちる話。尾大掉わずは、尾が体より大きすぎて動かせない――上と下の大きさの話。「最後がしょぼい」なら竜頭蛇尾、「下が強すぎる」なら尾大掉わずだよ。
入試ではこう出る
「尾大掉わず」は、大学受験、とくに難関大学の漢文や国語で出会う言葉です。『春秋左氏伝』は大学入試の漢文の出典としてよく使われ、この場面のようにたとえを使った忠告の文章は、内容説明の問題になりやすいからです。
- たとえの説明:「末大必折,尾大不掉」が何をたとえているかを説明させる問題。「末・尾=地方の大きな町や力のある家来」「本・体=王」と、たとえと本当の意味を対応させて答えます。
- 句法:「莫如(〜に如くは莫し)」の比較・最上級、「何如(いかん)」の疑問、「若〜則…」の仮定、置き字の「於」などが問われます。共通テストの漢文の対策でも、こうした句法が土台になります。
- 四字熟語・語彙:「尾大不掉」「本末転倒」「末大必折」の意味のちがいや、「掉尾(ちょうび)」の読みが、国語の語彙問題で問われることがあります。

サクラちゃん
「尾大掉わず」は下が強すぎて、上が動かせないこと! 楚の申無宇が「末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず」と忠告しました。「掉」は「ふるう」、竜頭蛇尾とはちがいます!
練習問題
やさしい
- 「尾大掉わず」の読み方を、ひらがなで答えましょう。
答えと解説を見る
びだいふるわず。 - 「尾大掉わず」の意味として正しいものを選びましょう。
ア はじめは勢いがよいが、終わりはふるわないこと イ 下の者の力が強すぎて、上の者が思うように動かせないこと ウ 大事なことと小さなことを取りちがえること エ しっぽをふって喜ぶこと答えと解説を見る
イ。アは「竜頭蛇尾」、ウは「本末転倒」の意味です。
ふつう
- 「末大必折、尾大不掉」を書き下し文に直しましょう。
答えと解説を見る
末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず。 - 「択子莫如父」を書き下し文に直し、現代語訳しましょう。
答えと解説を見る
子を択ぶは父に如くは莫し。訳:子どもを選ぶのは、父親がいちばんよい(父親におよぶ者はない)。「莫如A」は最上級の形です。
むずかしい
- 申無宇の言う「末」「尾」と、「本」「体」は、それぞれ楚の国の何をたとえていますか。
答えと解説を見る
「末」「尾」は、国境の大きな城(陳・蔡・不羹)や、そこに置かれた力のある家来(棄疾)。「本」「体」は霊王(国の中心)をたとえています。 - 申無宇は、霊王に直接「棄疾はあやしい」とは言いませんでした。どのような言い方で忠告しましたか。説明しましょう。
答えと解説を見る
「家来を選ぶのは王がいちばん」と王を立てたうえで、昔からの教え(五大は辺に在らず)と、大きな町が君主をおびやかした4つの国の例をあげ、木と尾のたとえを使って、大きな町を置くこと自体の危険を伝えました。
「尾大掉わず」とあわせて覚えたい関連ページ
- 鼎の軽重を問うの意味と由来(楚の荘王)
霊王の祖父・荘王の話(春秋左氏伝) - 唇亡びて歯寒しの意味と由来(宮之奇の忠告)
同じ『左伝』の、聞き入れられなかった忠告 - 臍を噛むの意味と由来(楚と鄧の話)
同じ『左伝』の楚の話 - 食指が動くの意味と由来(鄭の公子宋)
同じ『左伝』から生まれた言葉 - 竜頭蛇尾の意味と由来(尾のつく言葉)
「尾」の字が入る、意味のちがう言葉 - 本末転倒(ほんまつてんとう)の意味
「本」と「末」が入れかわる四字熟語 - 漢文の比較の句法(莫如・不如)
「父に如くは莫し」の形 - 漢文の仮定の句法(若・如・苟)
「若し是に由りて之を観れば」の形
『春秋左氏伝』から生まれた故事成語(絵で読む)
- 病膏肓に入るの意味と由来
病気が重くなって治せなくなること。また、物事に夢中になりすぎること。 - 牛耳を執るの意味と由来
団体や組織を思いのままに動かす。主導権を握る。 - 宋襄の仁の意味と由来
無用な情けをかけて、かえって自分が失敗すること。 - 唇亡びて歯寒しの意味と由来
互いに助け合う関係の一方が滅びれば、もう一方も危うくなるということ。 - 食指が動くの意味と由来
何かを食べたい、手に入れたいという欲が起こること。 - 臍を噛むの意味と由来
後悔してもどうにもならないこと。 - 鼎の軽重を問うの意味と由来
権威者の力量を疑い、その地位を奪おうとすること。
← 前の語:三寸の舌の意味と由来 | 次の語:和氏の璧の意味と由来 →
読みもの(合格大作戦の記事)
- 故事成語の一覧(意味・由来・出典)
矛盾・蛇足・漁夫の利など150語 - 四字熟語の一覧(読み・意味・受験別)
四面楚歌・臥薪嘗胆など300語 - 勉強計画の立て方(年→月→週→日)
ずれたら自分で直す方法 - 「問題集を終わらせることを目標にするな」の意味
成績が伸びる問題集の使い方 - 大学受験の勉強法まとめ(目的別の記事一覧)
やる気・計画・教科別・格言 - 国語のまとめ(漢字・古文・漢文)
国語の記事の入口
よくある質問
尾大掉わずとはどういう意味ですか?
尾大掉わずとは、下の者(部下・家来・地方)の勢力が大きくなりすぎて、上に立つ者が思うように動かせなくなるという意味です。動物の尾が大きすぎると、ふり動かせないことにたとえています。
尾大掉わずの読み方は何ですか?
「びだいふるわず」と読みます。「尾大」は音読みで「びだい」、「掉わず」は「ふるわず」と読みます。原文の4字の形は「尾大不掉」です。
尾大掉わずの由来・出典は何ですか?
中国の歴史書『春秋左氏伝』昭公十一年が由来です。楚の霊王が国境に大きな城を築き、弟の棄疾を置いたとき、家来の申無宇が「末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず」と忠告しました。
尾大掉わずの原文と書き下し文は?
原文は「末大必折,尾大不掉」で、書き下し文は「末大なれば必ず折れ、尾大なれば掉はず」です。枝先が大きすぎれば木は折れ、尾が大きすぎればふり動かせない、という対句になっています。
「掉」とはどういう意味ですか?
「掉」は「ふる・ふるう」、つまり振り動かすという意味の字です。最後をりっぱにしめくくる「掉尾を飾る(ちょうびをかざる)」の「掉」も同じ字です。
尾大掉わずはどう使いますか?例文は?
組織の一部や部下の力が強くなりすぎて、上がまとめられなくなった状態に使います。「子会社が大きくなりすぎて、尾大掉わずの状態になった」のように、ややかたい書き言葉として使います。
尾大掉わずはビジネスで使えますか?
使えます。支店や子会社、特定の部署の力が強くなりすぎて、本社や経営陣がコントロールできなくなった状態を表すときに使えます。組織の「しくみ」の問題を指摘する言葉です。
尾大掉わずと竜頭蛇尾のちがいは何ですか?
竜頭蛇尾は、はじめは勢いがよいが終わりがふるわないという「時間の流れ」の言葉です。尾大掉わずは、下が大きすぎて上が動かせないという「上と下の大きさ」の言葉で、意味がちがいます。
尾大掉わずの似た言葉・反対の言葉・英語は?
似た言葉には「末大必折」「庇を貸して母屋を取られる」「下剋上」があります。反対の言葉には「臂の指を使うが如し」「一枚岩」があります。英語では "the tail wagging the dog" が近い言い方です。
尾大掉わずは入試でどう出ますか?
大学受験、とくに難関大の漢文で、「末大必折,尾大不掉」が何をたとえているかの説明がよく問われます。「莫如」「何如」「若〜則」などの句法や、「掉尾」の読みが問われることもあります。
あわせて読みたい
出典・参考
- 原文:『春秋左氏伝』昭公十一年(維基文庫の本文で確認)
- 霊王・棄疾(平王)のその後(昭公十三年)・霊王が荘王の孫であること・唐の節度使:一般的な説明
- 「五大」の中身:注釈により説明が分かれる(諸説あり)
- 「臂の指を使うが如し」:『漢書』賈誼伝の言葉として一般に知られる
- 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
- お話の絵・図:合格大作戦
最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦



