この記事の結論
- 物理の参考書・問題集は、簡単な問題を「考えながら」完璧に解けるようになる段階から順にのぼるのが正解です。学校の基礎問題集とリードLight物理基礎(基礎)→物理重要問題集・物理のエッセンス(演習)→名問の森(良問)→難問題の系統とその解き方(余力のある人だけ)の順です。
- 医学部志望が化学をいつ始めるかは、余力があればすぐに。ただし数学・英語をほったらかしにしない範囲で、まず全科目のスケジュールを作ってからにします。

この記事は、私が2013年6月に書いた「物理のお勧め基礎問題集・参考書(高1・高2基礎編)」がもとになっています。大学受験合格大作戦のTwitter(今のX)でいただいた3つの質問に、ブログで答えたものです。2026年10月に、質問と答えは残したうえで、今の大学入学共通テスト(共通テスト、旧センター試験)の物理基礎・物理と、レベル順の進め方を図で足しました。
旧帝大(旧帝国大学)・国立上位校、国公立大学の医学部を目指す人を視野に入れて答えています。ただし、基礎の部分は、物理を初めて学ぶ人や、入試科目に物理がある人みんなの参考になるはずです。
Twitter頂いた質問
質問なのですけど、
①物理基礎の問題集を買おうと思ってます リードLight物理基礎 と シグマベスト基礎問題集 ではどちらの方がより大学入試、センターに通じますか?
②また、おすすめの物理の参考書、問題集があったら教えてください
③学校で化学を習うのは高2からなので、まだならっていません。しかし医学部は早めに化学を終わらせとけといわれます。夏休みから始めるべきでしょうか?よろしくお願いします
物理 参考書 おすすめ|レベル順ロードマップ
先に全体の地図を見ておきましょう。元の記事では、物理の勉強を「第一段階 基礎編」と「第二段階 演習編」に分け、そのあとに良問の問題集と、極めつけの難しい問題集を紹介しました。図1は、それを階段の形にしたものです。
物理ほど、段階を踏んだ勉強が大事な科目はありません。東京大学(東大)・京都大学(京大)や国立大学の医学部を目指す人の中には、いきなり難しい問題ばかりを解きたがる人がいます。けれども、それは物理の基本をしっかりマスターしている人にだけ許される勉強法です。自分が今どの段にいるかを確かめてから、1冊ずつ進めてください。本の一覧は次のとおりです。
| 段階 | 書名 | 使い方(元の記事の評価) |
|---|---|---|
| 第一段階 基礎 | 学校で配られた基礎問題集 | まずこれをやりこむ。授業を最大限に使うのが基本 |
| 第一段階 基礎 | リードLight物理基礎 | 質問者さんへのお勧め。教科書の進み方に合わせて、基礎の確認→代表的な型→入試を意識した問題と進む |
| 第一段階 基礎 | リードLightノート物理基礎 | 要点のまとめ・基礎チェック・例題・章末問題の書きこみ式。リードLightと合わせて基礎固めに |
| 第一段階 基礎 | シグマ基本問題集 物理基礎 | リードLightと並ぶ、とても良い基礎の問題集 |
| 第二段階 演習 | 物理重要問題集 | 2次試験対策の柱。この3冊を極めればどの大学にも対応できる |
| 第二段階 演習 | 物理のエッセンス 力学・波動 | 考え方を身につける本。力学・波動の巻 |
| 第二段階 演習 | 物理のエッセンス 熱・電磁気・原子 | 同じシリーズの熱・電磁気・原子の巻 |
| 良問で仕上げ | 名問の森 物理 | 良問がそろう。旧帝大(理系)・医学部志望はぜひ。すらすら解ければ物理は合格レベル |
| 極めつけ | 難問題の系統とその解き方 物理 | かなり難しい。余力のある人・物理が大好きな人以外は手を出さなくてよい |
リンク先は Amazon の検索結果です。本の版や中身は年によって変わります。今は新しい学習指導要領(新課程)に対応した版が出ているので、買う前に「物理基礎」「物理」の新課程版かどうかを確かめてください。
物理基礎 問題集 おすすめ|リードLightとシグマ基本問題集
①物理基礎の問題集を買おうと思ってます リードLight物理基礎 と シグマベスト基礎問題集 ではどちらの方がより大学入試、センターに通じますか?
学校で配られている基礎問題集があれば、まずはそれをしっかりやりこむことをお勧めします。学校の授業を最大限に使ったうえで、プラスアルファの問題集をやっていくのが基本です。
物理とは、その名のとおり「物(もの)の理(ことわり)」です。覚える公式は少ないですが、理屈を理解するのはとても難しい科目です。物理の問題を実際に解きながら、公式や概念を理解していく必要があります。そのためには、難しい問題を解くのではなく、簡単な問題をしっかりと「考えながら」数多くこなしていく必要があります。
「リードLight物理基礎」と「シグマ基本問題集 物理基礎」は、どちらもとても良い問題集です。そのうえで、質問者さんの今の状況を想定してお勧めするのは「リードLight物理基礎」です。
当時の出版社の紹介では、この本は教科書の進み方に合わせて学習できる作りで、基礎的な知識を確かめる問題から始まります。代表的な型の問題をくり返し学べるので、考え方が身につきます。さらに、入試問題を意識して物理的な思考力や応用力を養う問題も入っているので、大学受験にもつながります。
また「リードLightノート物理基礎」も合わせて使うと、物理の基礎をしっかり理解するのに役立つでしょう。こちらは、要点をまとめた「要項」、基礎の知識を確かめる「基礎チェック」、代表的な型の「基本例題」、例題に関する問題、そして「章末問題」などでできている書きこみ式のノートです。
2013年当時:センター試験の理科が変わる前
元の記事では「平成27年度の大学入試センター試験から理科の出題方式が変更されます」と書き、基礎的な分野をしっかり理解することが今まで以上に求められる、と伝えました。リードLight物理基礎は大学入試の問題も念頭において作られているので、高1・高2の時期にやりこむ問題集としてお勧めしたのです。当時の変更と、旧教育課程の人への経過措置は「2015年センター試験の日程と旧教育課程の経過措置」にまとめています。
うかるくん
学校の問題集って簡単すぎる気がして…。いきなりリードLightやシグマから始めちゃだめですか?
合格先生
簡単に見える問題こそ、「なぜこの式になるのか」を説明できるかで確かめよう。答えが合っても理由が言えなければ、まだ第一段階の途中だ。学校の問題集を説明できるまで解いてから、リードLightに進めば十分間に合う。
うかるくん
答えじゃなくて「理由」を言えるか…。たしかに自信ないです。
物理の勉強法:簡単な問題を「考えながら」
元の記事の中心にある考え方は、次のとおりです。どんなに難しい問題も、簡単な問題の概念の組み合わせでしかない。だから、簡単な問題を完璧に解けるようになることが、物理が解けるようになる第一段階です。
たとえば、斜面をすべり下りた物体が別の物体にぶつかる、という入試の大問を考えてみましょう。「物体が動き出す」所は運動方程式、「高さが変わる」所は力学的エネルギー保存、「2つがぶつかる」所は運動量保存です。1つ1つは、基礎問題集に出てくる簡単な問題です。どこで、どの考え方を使うかを見分けられれば、難問も解けるようになります。
物理の5分野と力学
大学受験の物理は、力学・熱・波・電磁気・原子の5分野に分けて考えると見通しがよくなります。まん中の土台は力学です。力・エネルギー・運動量の考え方は、熱(気体の分子の運動)でも、電磁気(電場の中の電荷の運動)でも、そのまま使います。
物理の公式は、数学の道具で書かれています。ベクトルや三角比、微分の考え方がわからないときは、「算数・数学公式辞典」や「数学用語辞典」で確かめてください。物理と数学は計算力が実力の大きな部分をしめる、という話は「受験の裏技・テクニック(化学と数学は計算力)」にも書きました。物理の勉強の全体の進め方は「物理の勉強法」にまとめています。
問題集は1冊を「くり返す」
同じレベルの問題集を何冊も買うより、1冊を2周、3周するほうが力がつきます。1周目でまちがえた問題に印を付け、2周目はその問題だけを解き直します。この考え方は、数学の「青チャートと1対1対応の演習」や、「基本書を1冊に絞って反復する勉強法」と同じです。

合格先生
物理は図をかいてから式を立てる。「何が一定で、何が変わるか」を図に書きこむだけで、使う考え方(運動方程式・エネルギー・運動量)が見えてくるぞ。
物理 問題集 おすすめ|重要問題集・エッセンス・名問の森・難系
②また、おすすめの物理の参考書、問題集があったら教えてください
第二段階 演習編です。物理の基礎をしっかりおさえたあと(2次試験対策)は、次の3冊を極めれば、どの大学を目指すにしても十分対応できます。
物理のエッセンスは、考え方をつかむための本、物理重要問題集は入試問題で演習する本、と役割を分けて使うと効率がよくなります。物理のエッセンスで「なぜそうなるか」を読み、同じ分野の重要問題集を解く、というペアで進めるとよいでしょう。
名問の森 物理(旧帝大・医学部)
良問がそろっている問題集としてお勧めなのが「名問の森 物理」です。旧帝大(理系)や医学部を狙う人は、ぜひやっておきましょう。この問題集をすらすら解けるレベルになれば、どこの大学でも、物理に関しては合格レベルに達するでしょう。分冊になっているので、買うときは巻と版を確かめてください。
難問題の系統とその解き方 物理(余力のある人だけ)
そして、極めつけの問題集が「難問題の系統とその解き方 物理」です。これはかなり難しいので、余力がある人や物理が大好きな人以外は、あえて手を出す必要はありません。
2013年に京都大学医学部医学科に現役合格した子と、ちょうど物理の勉強法について話したことがあります。この子は「難問題の系統とその解き方 物理」は例題しか解いていませんでした。この本を10回ほどやりこんで京大医学部に合格する人もいますが、すべての人にお勧めする問題集ではありません。くれぐれも、勉強時間の配分をまちがえないようにしてください。
難関大の物理の出題の特徴は、大学ごとの記事も参考にしてください。早稲田大学は「早稲田大学 理工系学部(物理の受験対策)」、慶應義塾大学は「慶應義塾大学 理工学部(物理の受験対策)」です。もう少し広く物理の本を比べたい人は「物理のお勧め参考書&問題集」へ。
共通テスト 物理基礎・物理のちがい
元の記事を書いた2013年は、物理の科目が変わる直前でした。2015年のセンター試験から、科目は「物理Ⅰ」から「物理基礎」と「物理」に分かれました。2021年1月からは大学入学共通テストになり、2025年1月の試験からは、2022年度から高校で始まった新しい学習指導要領(新課程)の内容で出題されています。
高校では、物理基礎(2単位)を先に学び、そのあと物理(4単位)を学ぶのがふつうです。物理基礎では運動とエネルギー、熱・波・電気の入り口を学び、物理では力学の続き(運動量・円運動・単振動・万有引力)、気体分子の運動、波(音・光)、電気と磁気、原子を学びます。
物理基礎(文系に多い)
共通テストの「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」は、4つのうち2つを選んで60分・100点です。物理基礎はそのうちの50点分になります。文系の人なら、リードLight物理基礎のような基礎の問題集を1冊仕上げ、共通テストの過去問で形式に慣れれば十分に戦えます。
物理(理系に多い)
「物理」は1科目60分・100点で、範囲には物理基礎の内容もふくまれます。2027年の共通テストでは、理科は2日目の1月17日(日)の朝、2科目受ける人は9:30〜11:40、1科目の人は10:40〜11:40です(「2027年 共通テストの時間割・日程」)。本番まであと何日かは「2027年 共通テストのカウントダウン」で確かめられます。
共通テストの物理は、実験やグラフ、会話の文から状況を読み取る問題も出ます。公式を覚えるだけでは点が安定しない科目なので、ふだんから図をかく練習をしておきましょう。物理で8割を安定させる作戦は「共通テストで8割を安定させる科目別の作戦」に、科目全体の仕上げは「共通テスト対策の仕上げ」に、過去問の使い方は「センター試験の過去問は共通テスト対策に使える?」に書いています。
医学部・京大・東大の物理
2次試験の理科の配点が大きい大学では、物理が合否を分けます。たとえば京大(令和9年度)の個別学力検査の理科は、理学部300点、工学部250点、医学部医学科300点です(理科は2科目。くわしくは「京大の学部別の配点」「京大工学部の配点」)。東大の第2次学力試験の理科は、2科目で150分・120点です。過去問集の選び方は「東大の過去問集の選び方」も参考になります。
医学部の2次試験では、理科を2科目課す大学が多くあります。どの科目が選べるかは大学ごとにちがうので、志望校の募集要項で必ず確かめてください。京大医学科の受験生の特徴は「京大医学部医学科ってどんな人が合格するの?」に書いています。物理が好きになったら、日本のノーベル物理学賞の話(「南部陽一郎さんノーベル物理学賞」)も読んでみてください。
化学の勉強はいつから?医学部志望の高1へ
③学校で化学を習うのは高2からなので、まだならっていません。しかし医学部は早めに化学を終わらせとけといわれます。夏休みから始めるべきでしょうか?よろしくお願いします
結論から言うと、余力があれば、すぐに始めたほうがいいです。
化学に限らず、高2の終わりの時点で全範囲を終わらせ、高3では演習に力を入れることができるのが理想です。しかし、化学以上に時間がかかる数学や英語をほったらかして化学を始めるのは、あまりお勧めしません。まずは化学に限らず、全科目の大学受験までの勉強スケジュールをきっちりと作成しましょう。
化学を始めるなら、計算の土台になる理論化学(物質量・mol)からです。どの本から始めるかは、レベル順に12冊を並べた「化学のおすすめ参考書・問題集12冊」を見てください。元の記事では「平成27年の大学入試センター試験から出題方式が変わり、指導要領も変わっているので、その点も意識して問題集を選びましょう」と書きました。今も同じで、新課程に対応した版を選ぶことが大切です。
図7は、理系・医学部志望の人の一つの例です。学校の授業の進み方は学校ごとにちがうので、授業より少し先を参考書で読んでおくくらいがちょうどよいでしょう。高1から高3までの全教科のバランスは「共通テストの勉強法の全体像(高1〜高3)」に、入試の直前に教材を絞るやり方は「入試直前期の勉強法」にまとめています。
サクラちゃん
夏休みに化学を始めたいけど、数学がちょっと遅れてて…。どっちを先にすればいいですか?
合格先生
それなら数学が先だ。数学と英語は時間がかかるうえに、物理や化学の計算の土台にもなる。数学を予定どおりに戻してから、化学は理論化学の物質量(mol)だけでも少しずつ始めよう。
サクラちゃん
まずは全科目のスケジュールを作ってみます!
まとめ:物理は段階を踏んで、化学は計画の中で
- 物理基礎は、学校の問題集→リードLight物理基礎(リードLightノートも)。シグマ基本問題集も良い本。
- 2次試験対策は物理重要問題集と物理のエッセンス2冊。旧帝大・医学部は名問の森まで。
- 難問題の系統とその解き方は、余力のある人だけ。例題だけでも十分。
- 難しい問題も、簡単な問題の組み合わせ。「考えながら」解いて理由を言えるようにする。
- 共通テストは物理基礎(基礎2つで100点・60分)と物理(100点・60分)。本は新課程版を。
- 化学は余力があればすぐに。ただし数学・英語を優先し、まず全科目のスケジュールを作る。
本選びで迷ったら「受験の質問・相談」で聞いてください。数学もあわせて仕上げたい人は「数学まとめ」へ。

うかるくん
簡単な問題を「考えながら」完璧に、から1段ずつ!化学は全科目のスケジュールを作ってから始めよう。
よくある質問
物理基礎の問題集はリードLightとシグマ基本問題集のどちらがいいですか?
どちらも良い問題集です。まず学校の基礎問題集をやりこみ、そのうえで教科書の進み方に合わせて学べるリードLight物理基礎をお勧めしています。
物理の2次試験対策にはどの問題集がいいですか?
物理重要問題集と物理のエッセンス(力学・波動/熱・電磁気・原子)の3冊を極めれば、どの大学にも対応できます。旧帝大・医学部志望は名問の森まで進むとよいでしょう。
難問題の系統とその解き方はやるべきですか?
かなり難しいので、余力がある人や物理が大好きな人以外は手を出す必要はありません。使うなら例題だけでも十分です。
共通テストの物理基礎と物理のちがいは何ですか?
物理基礎は「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」から2つを選んで60分・100点の一部(50点分)です。物理は1科目60分・100点で、範囲に物理基礎の内容もふくまれます。
医学部志望は化学をいつから始めればいいですか?
余力があればすぐに始めてかまいません。ただし数学・英語を後回しにしないことが条件です。まず全科目の勉強スケジュールを作り、高2の終わりに全範囲を終えるのが理想です。
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- 京大医学部医学科ってどんな人が合格するの?
出典・参考
- 大学入試センター「令和9年度 大学入学共通テスト」(実施要項、出題教科・科目の出題方法等:日程・試験時間・理科の科目と配点)
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(物理基礎・物理)
- 京都大学「令和9年度 入学者選抜要項」、東京大学「令和9年度 入学者選抜要項」(2次試験の理科の配点・試験時間)
- 書名・段階・お勧めの理由は2013年6月の元の記事による(本の版・中身は当時のもの)
- 図は大学受験合格大作戦が作成
最終更新:2026年10月22日/作成:大学受験合格大作戦












