足るを知るの意味と由来|老子「足るを知る者は富む」の原文・書き下し文・現代語訳、吾唯足知・例文をイラストで解説【故事成語】

足るを知るの意味と由来|老子「足るを知る者は富む」の原文・書き下し文・現代語訳、吾唯足知・例文をイラストで解説【故事成語】

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足るを知るたるをしる

ひとことで言うと

今の自分の持ち物や立場に満足することを知り、むやみに欲ばらないこと。老子の「足るを知る者は富む」から。

読み方たるをしる
意味自分の今の立場や持っているものに満足することを知り、むやみに欲ばらないこと。満足を知る人こそ、心がゆたかであるということ。
出典『老子』三十三章「知足者富(足るを知る者は富む)」、四十四章「知足不辱」、四十六章「禍莫大於不知足」
別の形知足・吾唯足知(われただたるをしる)
似た言葉少欲知足・腹八分目・分相応
反対の言葉欲に目がくらむ・あぶはち取らず・貪欲
英語He who knows he has enough is rich. / Contentment is wealth.
漢文の句法「者」の用法・否定(不)・比較(莫〜於)

このページのポイント

  • 「足るを知る」は、今あるものに満足し、むやみに欲ばらないこと
  • もとは『老子』三十三章の「足るを知る者は富む」。「富む」はお金ではなく心のゆたかさ
  • 四十四章・四十六章の原文、龍安寺の「吾唯足知」、句法と入試での出方まで分かります

「足るを知る」の意味と読み方

「足るを知る」はたるをしると読みます。意味は「自分の今の立場や持っているものに満足することを知り、むやみに欲ばらないこと」です。中国の思想家老子の言葉「足るを知る者は富む(満足することを知っている人は、心がゆたかである)」がもとになっていて、「知足(ちそく)」の2字で言うこともあります。

「足る(たる)」は、昔の言葉で「足りる・十分である」という意味の動詞です(今の言葉の「足りる」にあたります)。「足るを知る」は、文字どおりには「十分であることを知る」、つまり「もうこれで十分だ」と分かる心のことです。お金や物をどれだけたくさん持っていても、「まだ足りない、もっとほしい」と思っている人の心は、いつまでも満たされません。反対に、持っているものが少なくても、「これで十分、ありがたい」と思える人は、心がゆたかです。老子は、本当のゆたかさは、持っている量ではなく、満足を知る心で決まると考えたのです。

ゆたかさは「量」より「心」たくさん持っているでも「まだ足りない」少しだけ持っているでも「これで十分」持ち物心心足るを知る者は富む(『老子』三十三章)満足を知る心がある人こそ、本当にゆたか
たくさん持っていても「足りない」人より、少なくても「十分」と思える人のほうが、心はゆたかです
うかるくん

うかるくん

「足るを知る」って、がまんしなさいってことですか? ほしい物をあきらめるのは、ちょっとさびしいです…

ミスターT先生

ミスターT先生

がまんとは少しちがうんだ。老子が言ったのは、「もうある物のよさに気づく」ということ。ほしい物を追いかけてばかりいると、今持っている物のありがたさが見えなくなる。同じ『老子』には上善は水の如し(老子・第八章)という言葉もあって、どちらも「よけいなあらそいをしない、しなやかな生き方」をすすめているんだよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○新しいゲーム機がほしかったけれど、今あるゲームも十分楽しい。足るを知ることも大切だ。
  • ○祖母は「足るを知る人は幸せだよ」と言って、小さな庭の花を毎日楽しんでいる。
  • ○もうけを追いすぎて失敗する会社もある。経営にも足るを知る心が必要だ。

「足」は「足」の読み方・書き順・部首、「知」は「知」の読み方・書き順・部首、「富」は「富」の読み方・書き順・部首で、書き順と読み方を確かめておきましょう。「足」には「あし」のほかに「たりる・たる・たす」という読み方があります。

絵で読む「足るを知る」のたとえ

「足るを知る」は、一つの出来事から生まれた言葉ではなく、『老子』のいくつかの章に出てくる老子の言葉です。そこで、原文の言葉をもとに、たとえの場面を4こまの絵にしました(1〜3こまは実際にあった出来事ではありません。4こま目は老子の言葉を場面にした想像の絵です)。

絵で読む「足るを知る」(1〜3こまはたとえの場面)

1もっとほしい(たとえ)もっと、もっとほしい!欲ばりな男
1たとえの場面です。宝の箱がいくつもあるのに、男は「もっと、もっとほしい」と、大きなふくろに宝をつめこみ続けます。
2ふくろが破れたああ、つめすぎて全部なくした…
2つめこみすぎたふくろは破れ、宝はちらばってしまいました。『老子』四十四章の「多く蔵すれば必ず厚く亡ふ(たくさんため込むと、たくさん失う)」の場面です。
3これで十分これで十分。ありがたい足るを知る人
3いっぽう、木かげの男は、小さなかごの食べ物だけで「これで十分。ありがたい」とにこにこしています。
4老子のことば(想像の場面)満足を知る人こそ本当にゆたかだ足るを知る者は富む
4老子は「足るを知る者は富む(満足することを知っている人こそ、本当にゆたかだ)」と語りました(老子の言葉を場面にした想像の絵)。

1・2こま目の欲ばりな男は、たくさん持っているのに満足できず、ついには全部を失ってしまいました。これは、四十四章の「甚だ愛すれば必ず大いに費え、多く蔵すれば必ず厚く亡ふ(ものを愛しすぎると必ず大きくついやし、たくさんため込むと必ずたくさん失う)」を絵にしたものです。3こま目の男は、持ち物は少なくても、心は満ちています。老子は、この3こま目の男のような人こそ「富む(ゆたかだ)」と言ったのです。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

老子の「富む」は、お金持ちという意味じゃない。心が満ちたりていることなんだ。どんなにお金があっても「足りない」と思っていたら、その人は心の中では貧しいままだ、というわけだね。

「足るを知る」の原文・書き下し文・現代語訳

「足るを知る(知足)」は、『老子』(『道徳経』)の三十三章・四十四章・四十六章に出てきます。いちばん有名な「足るを知る者は富む」は三十三章です。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方とルールでくわしく説明しています。

白文(『老子』三十三章・全文)知人者智、自知者明。勝人者有力、自勝者強。知足者富。強行者有志。不失其所者久。死而不亡者寿。

三十三章①:人を知るのは知恵、自分を知るのは明らかさ

書き下し文人ひとを知しる者ものは智ちなり、自みづから知しる者ものは明めいなり。

(『老子』三十三章)

現代語訳他人のことがよく分かる人は知恵のある人だが、自分自身のことが分かる人は、さらに明らかな(物事がよく見えている)人である。

ここがポイント「者(もの)」は、上の言葉を「〜する人」にまとめて主語を作る字です。「者・所・所以」の読み方は「者・所・所以」の読み方と意味にまとめています。

三十三章②:人に勝つのは力、自分に勝つのが本当の強さ

書き下し文人ひとに勝かつ者ものは力ちから有あり、自みづから勝かつ者ものは強つよし。

(『老子』三十三章)

現代語訳他人に勝つ人は力があるが、自分に勝つ人こそ本当に強い。

ここがポイント「有り」は下から返って読む字で、「力有り」と読みます。「人に〜」と「自ら〜」をならべた対句になっていて、どちらも自分の内側に向かう力のほうを高く見ています。

三十三章③:足るを知る者は富む

書き下し文足たるを知しる者ものは富とむ。

(『老子』三十三章)

現代語訳満足することを知っている人は、(心が)ゆたかである。

ここがポイントここが「足るを知る」の出どころです。「知足」は、下の「足」を先に読んでから「知」に返るので、レ点がついています。このあと「強めて行ふ者は志有り(努力してやりぬく人は志がある)」と続きます。
三十三章の対句(外の力と内の力)外に向かう力自分の内に向かう力知人者智人を知る者は智自知者明自ら知る者は明勝人者有力人に勝つ者は力有り自勝者強自ら勝つ者は強し知足者富足るを知る者は富む強行者有志強めて行ふ者は志有り※このあと「其の所を失はざる者は久し」などと続く
三十三章は、外に向かう力と、自分の内に向かう力をならべた対句です

次は、四十四章です。この章は「名声と自分の体と、どちらが大切か」という問いから始まり、欲ばりすぎることのあぶなさを説きます。

白文(『老子』四十四章・全文)名与身孰親。身与貨孰多。得与亡孰病。是故甚愛必大費、多蔵必厚亡。知足不辱、知止不殆、可以長久。

四十四章:足るを知れば辱められず

書き下し文足たるを知しれば辱はづかしめられず、止とどまるを知しれば殆あやふからず、以もつて長ちやう久きうなるべし。

(『老子』四十四章)

現代語訳満足することを知っていれば、はずかしい目にあわない。ほどよい所で止まることを知っていれば、あぶないことはない。そうすれば、長く安らかでいられる。

ここがポイント「不(ず)」は否定(否定の句法(不・無・非・莫・弗))。「可(べ)し」は「〜できる」の意味で、「以て〜べし」の形になっています(可能の句法(可・能・得・足))。「止まるを知る(知止)」も、「足るを知る」とならんで大切な考えです。
四十四章の3つの問い名と身名声と自分の体、どちらが大切?身と貨自分の体と財産、どちらが大事?得と亡得ると失う、どちらが苦しい?甚だ愛すれば必ず大いに費え多く蔵すれば必ず厚く亡ふ足るを知れば辱められず止まるを知れば殆ふからず
四十四章は3つの問いから始まり、「足るを知る」「止まるを知る」でまとめられます

さらに四十六章では、欲ばりこそが、いちばんの災いのもとだと言い切っています。

四十六章:足るを知らないことほど大きな災いはない

書き下し文禍わざはひは足たるを知しらざるより大だいなるは莫なし。

(『老子』四十六章)

現代語訳わざわいは、満足することを知らないことより大きなものはない。

ここがポイント「AはBより大なるは莫し」は「AとしてはBよりも大きいものはない(Bがいちばん大きい)」という比較・最上の形です。くわしくは比較・選択の句法(莫如・不如・於)で練習できます。章の最後は「故に足るを知るの足るは、常に足る(だから、足るを知って満足する満ち足り方こそ、いつまでも続く満ち足り方だ)」でしめくくられます。

原典(王弼本『老子』)の本文では

維基文庫(中国語のウィキソース)の王弼本『道徳経』の本文では、次のようになっています(句読点は維基文庫の本文のとおり)。

『老子』三十三章・四十四章・四十六章の本文(一部)知人者智,自知者明。勝人者有力,自勝者強。知足者富。……(四十四章)是故甚愛必大費,多藏必厚亡,知足不辱,知止不殆,可以長久。……(四十六章)禍莫大於不知足;咎莫大於欲得。故知足之足,常足矣。
  • 「知足」は3つの章に出てくる:老子にとって、「足るを知る」がとても大切な考えだったことが分かります。
  • 「蔵」が「藏」、「与」が「與」など:昔の字体(旧字体)で書かれています。意味は同じです。
  • 「咎(とが)は得んと欲するより大なるは莫し」:四十六章では、「足るを知らないこと」と「もっと手に入れたいと欲ばること」をならべて、どちらも災いのもとだとしています。
原文で覚える句法4つ者もの〜する人は(主語を作る)「者」の用法不ず〜しない否定莫〜於〜より…は莫し〜より…なものはない比較(最上)可以以て〜べし〜することができる可能
原文には、「者」の用法、否定の「不」、比較の「莫〜於」、可能の「可以」が出てきます

出典『老子』と話の背景

『老子』は、『道徳経(どうとくきょう)』とも呼ばれる中国の古い思想の本で、全部で八十一章あります。書いたのは老子(老聃〈ろうたん〉)とされますが、どんな人だったのか、いつの時代の人なのかには諸説あります。老子の考えは「道家(どうか)」と呼ばれ、人がわざと何かをするより、自然のなりゆきにまかせる(無為自然)ことを大切にしました。孔子・孟子の儒家とのちがいは諸子百家(儒家・道家・法家)の考え方で図にしています。

老子が生きたとされる春秋時代の終わりごろは、国どうしが領土やお金をうばい合い、戦争が絶えない時代でした。四十六章の前半には、「天下に道が行われていれば、早馬は戦場から退けられて田畑の仕事に使われるが、天下に道がなければ、軍馬が国境の野で子を産む(戦争が続いて馬が帰れない)」という言葉があります。老子は、人や国が「もっと、もっと」と欲ばることが、争いや災いを生むと見ていたのです。だからこそ、「足るを知る」ことを何度もくり返して説きました。

京都・龍安寺の「吾唯足知」のつくばい(諸説あり)

日本で「足るを知る」がよく知られているのは、京都の龍安寺(りょうあんじ)の「吾唯足知(われただたるをしる)」のつくばい(手や口を清めるための低い石の手水鉢)のおかげでもあります。丸い石のまん中に四角い水穴があり、それを漢字の「口」として使って、まわりの4つの字と組み合わせると「吾・唯・足・知」になる、というしかけです。

「吾唯足知」(上→右→下→左の順に読む)口(水)五隹疋矢五+口=吾隹+口=唯疋+口=足矢+口=知※「足」の上の部分は、図では形の近い「疋」で表しています
まん中の四角い水穴を「口」として共有し、4つの字を作るしかけです

このつくばいは、水戸藩の徳川光圀(水戸黄門)が寄進したと伝えられていますが、それを確かめるはっきりした資料は見つかりませんでした(言い伝え・諸説あり)。また、見学の人が見られる場所にあるのは複製(レプリカ)で、本物は茶室のそばにある、とも言われています。「吾唯足知」は、老子の「足るを知る」に、禅の考えが重なった言葉として、茶道や禅の世界でも大切にされてきました。

仏教の「少欲知足」

仏教にも「少欲知足(しょうよくちそく)」という言葉があります。「欲を少なくして、足るを知る」という意味で、お坊さんの心がまえとして大切にされてきました。老子の道家と仏教は別の教えですが、「欲ばらず、今あるものに満足する」という点で通じ合っていて、日本では両方が重なって「足るを知る」が広まったと考えられます。

サクラちゃん

サクラちゃん

「足るを知る」と「衣食足りて礼節を知る」って、どっちも「足る」と「知る」が入っていますね。同じ意味ですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに気づいたね。でも意味はちがうんだ。衣食足りて礼節を知る(管子)は、『管子』の言葉で、「生活が満ち足りてはじめて、人は礼儀を知る」という意味。こちらは「足りること」が条件だね。「足るを知る」は、「今あるもので十分だと分かる心」のこと。出典も意味も別だから、ごちゃまぜにしないようにしよう。

「足るを知る」の使い方と例文・似た言葉

「足るを知る」は、欲ばらず、今の自分の持ち物や立場に満足して、それを大切にする心を表すときに使います。人をいましめるときや、自分の心がけ(座右の銘)として使うことが多い言葉です。「足るを知る者は富む」「足るを知る生き方」「足るを知る心」などの形でも使います。

  • ○もっと広い家がほしいと思っていたが、家族が元気でいるだけで幸せだと気づいた。足るを知るとはこのことだ。
  • ○おこづかいで買える物の中から選ぶ。足るを知る練習だと思えば、買い物も楽しい。
  • ○環境を守るためには、一人一人が足るを知るくらしを心がけることが大切だ。
  • ×テストで30点だったけど、足るを知るだから勉強はもういいや。(努力をやめる言いわけには使わない)
  • ×このコップは水が足るを知る量しか入らない。(物の量が足りているかどうかの話ではない)
足るを知る似た言葉知足少欲知足吾唯足知腹八分目分相応反対の言葉欲に目がくらむ貪欲あぶはち取らず
似た言葉と反対の言葉

似た言葉

  • 知足(ちそく):「足るを知る」を漢字2字で言った形。「知足の心」などと使います。
  • 少欲知足(しょうよくちそく):欲を少なくして、足るを知ること。仏教の言葉です。
  • 吾唯足知(われただたるをしる):龍安寺のつくばいで知られる言葉。
  • 腹八分目(はらはちぶんめ):おなかいっぱいまで食べず、八分目くらいでやめておくのがよい。何ごともほどほどがよい、という意味でも使います。
  • 分相応(ぶんそうおう):その人の立場や力にふさわしいこと。

反対の言葉

  • 欲に目がくらむ:欲ばる気持ちが強すぎて、正しい判断ができなくなる。
  • あぶはち取らず:あぶと蜂の両方をとろうとして、どちらもとれない。欲ばって両方をねらい、結局どちらも失うこと。
  • 貪欲(どんよく):ひどく欲が深いこと。ただし今は「知識に貪欲だ」のように、よい意味で使うこともあります。

英語では、"He who knows he has enough is rich."(十分だと知っている者は富んでいる)や、"Contentment is wealth."(満足こそ富である)のように訳されます。英語のことわざ "Enough is as good as a feast."(足りていればごちそうと同じ)も、近い意味です。

受験勉強への生かし方

受験勉強で「足るを知る」とは、参考書や問題集を次々に買い足さず、今ある1冊をやりこむことです。新しい参考書を見ると「これをやれば成績が上がるかも」と思いがちですが、何冊も手を出して全部が中途半端になる受験生は少なくありません。1・2こま目の、ふくろに宝をつめこみすぎた男と同じです。英単語の覚え方(単語帳は1冊を極める)や、「問題集を終わらせることを目標にするな」の意味(成績が伸びる問題集の使い方)で、1冊をしゃぶりつくす勉強法をくわしく説明しています。

また、文房具やグッズを買いそろえることに満足してしまうのも要注意です。受験生に買ってはいけないグッズ(共通テストで使えない文房具・時計)も読んでおくと、むだな買い物をへらせます。ただし、「足るを知る」は勉強の量をへらしてよいという意味ではありません。三十三章には「自ら勝つ者は強し」「強めて行ふ者は志有り」ともあります。道具は足るを知り、努力は自分に勝って続ける――それが老子の教えを受験に生かすコツです。

「足るを知る」のよくあるまちがい

  • 「たりるをしる」と読む・「足りるを知る」と書く:もとの形は、昔の言葉の「足る(たる)」を使った「足るを知る(たるをしる)」です。意味は通じますが、ことわざ・故事成語としては「足る」が正しい形です。
  • 「足」を「あし」の意味だと思う:ここでの「足」は「足りる・十分である」という意味です。
  • 「何もしない」「努力しない」ことだと思う:老子が言ったのは、欲ばりすぎないことです。同じ章で「自分に勝つ者こそ強い」とも言っていて、努力をやめろという意味ではありません。
  • 孔子(論語)の言葉だと思う:出典は『老子』(三十三章・四十四章・四十六章)です。
  • 「衣食足りて礼節を知る」と同じ意味だと思う:あちらは『管子』の言葉で、「生活が満ち足りてはじめて礼儀を知る」という意味。「足る」と「知る」が入っていても、出典も意味も別です。
  • 「吾唯足知」を「ごゆいそくち」とだけ覚えて意味を知らない:「われただたるをしる(わたしはただ満足することを知っている)」と読むのがふつうです。
うかるくん

うかるくん

「足るを知る」なら、ゲームを買ってもらえなくても文句を言っちゃだめってことですか…?

ミスターT先生

ミスターT先生

あはは、そういう使い方は家の人にまかせよう(笑)。大事なのは、ほしい気持ちそのものを悪いと思うことではなく、「今ある物のよさ」にも目を向けることだ。ほしい物を手に入れたら、それを長く大切にする。それも立派な「足るを知る」だよ。

入試ではこう出る

「足るを知る」は、中学受験の国語の文章から、大学受験の漢文・倫理まで出てくることがある言葉です。

  • 中学受験:環境問題やくらし方を考える説明文・随筆の中で、「足るを知る」という言葉が引用されることがあります。意味を説明する問題や、筆者の考えをまとめる問題で、「今あるものに満足する」という意味を答えられるようにしておきましょう。「足る」の読み方や、「衣食足りて礼節を知る」との区別も大切です。
  • 高校受験:故事成語・ことわざの意味の問題や、評論文の中の言葉として出てきます。漢文では「知足者富」の返り点・書き下しの形で問われることもあります。高校受験の漢文は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:『老子』の思想(無為自然・小国寡民)を問う倫理の問題や、漢文で「禍莫大於不知足」の比較の形、「知足不辱、知止不殆」の対句が問われます。現代文の評論で、消費社会への批判として引用されることもあります。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「足るを知る者は富む」の「富む」は、お金ではなく心のゆたかさ。説明問題では、ここをはっきり書くとよさそうですね!

練習問題

やさしい

  1. 「足るを知る」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 足が速いことを知る イ 今の自分の持ち物や立場に満足し、欲ばらない ウ 生活が満ちたりてはじめて礼儀を知る エ 足りない物を数える
    答えと解説を見るイ。ウは「衣食足りて礼節を知る」の意味です。
  2. 「足るを知る」の読み方をひらがなで答えましょう。
    答えと解説を見るたるをしる。「足る」は「足りる」の昔の形です。

ふつう

  1. 「知足者富。」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る足るを知る者は富む。「知足」はレ点で、「足」を先に読んでから「知」に返ります。
  2. 「足るを知る」と似た意味の言葉を、次から選びましょう。
    ア あぶはち取らず イ 欲に目がくらむ ウ 腹八分目 エ 一石二鳥
    答えと解説を見るウ。何ごともほどほどでやめておくのがよい、という点で似ています。アとイは反対の意味の言葉です。

むずかしい

  1. 「禍莫大於不知足。」を書き下し文に直し、どんな意味かを説明しましょう。
    答えと解説を見る禍は足るを知らざるより大なるは莫し。「わざわいは、満足することを知らないことより大きなものはない」、つまり欲ばって満足しないことが、いちばんの災いのもとだという意味です。
  2. 『老子』三十三章で、「足るを知る者は富む」の「富む」は、どのような「ゆたかさ」を言っていますか。章の対句(「人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し」など)をふまえて説明しましょう。
    答えと解説を見る三十三章は、他人に向かう力より、自分の内側に向かう力(自分を知る・自分に勝つ)を高く見る対句です。「富む」も、お金や物の多さではなく、満足することを知る心のゆたかさを言っています。

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よくある質問

足るを知るとはどういう意味ですか?

足るを知るとは、今の自分の持ち物や立場に満足することを知り、むやみに欲ばらないという意味です。老子の「足るを知る者は富む」から生まれた言葉で、満足を知る人こそ心がゆたかだ、という教えです。

足るを知るの読み方は何ですか?

「たるをしる」と読みます。「足る」は「足りる」の昔の形なので、「たりるをしる」ではありません。

足るを知るの出典・由来は何ですか?

中国の思想家・老子の言葉をまとめた『老子』(道徳経)が出典です。三十三章の「知足者富(足るを知る者は富む)」がいちばん有名で、四十四章・四十六章にも「足るを知る」が出てきます。

「足るを知る者は富む」の原文と書き下し文は?

原文は「知足者富」で、書き下し文は「足るを知る者は富む」です。同じ三十三章には「人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し」という対句もあります。

足るを知るの例文を教えてください。

「新しいゲーム機がほしかったけれど、今あるゲームも十分楽しい。足るを知ることも大切だ」のように使います。座右の銘として「足るを知る者は富む」の形で使う人も多いです。

「吾唯足知」とは何ですか?

「吾唯足知(われただたるをしる)」は、京都の龍安寺のつくばいに刻まれていることで知られる言葉です。まん中の水穴を「口」として4つの字に共有させたしかけで、徳川光圀が寄進したと伝えられますが、はっきりした資料は見つかっていません。

足るを知るに似た言葉・反対の言葉は?

似た言葉は「知足」「少欲知足」「腹八分目」「分相応」などです。反対の言葉には「欲に目がくらむ」「あぶはち取らず」があります。

足るを知るは英語で何と言いますか?

"He who knows he has enough is rich."(十分だと知っている者は富んでいる)や "Contentment is wealth."(満足こそ富である)のように訳されます。

足るを知るはビジネスで使えますか?努力しないという意味ですか?

足るを知るは、欲ばりすぎを防ぐ心がけとしてビジネスの場でも使われますが、努力をやめるという意味ではありません。老子は同じ章で「自ら勝つ者は強し」とも言っていて、欲はほどほどに、努力は続けることをすすめています。

足るを知るは入試でどう出ますか?

中学受験・高校受験では、説明文や随筆の中の言葉として意味を問われることがあります。大学受験では『老子』の思想や、「禍莫大於不知足」の比較の句法、「知足者富」の書き下しが問われます。

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出典・参考

  • 原文:『老子』(道徳経)三十三章・四十四章・四十六章(王弼本、維基文庫の本文で確認)
  • 龍安寺のつくばい「吾唯足知」の寄進者などは言い伝えとして紹介(はっきりした資料は未確認)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦