- 歌
- 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪
- 意味
- 夜がほのぼのと明けるころ、(外を見ると)有明の月の光が差しているのかと思うほどに、吉野の里に白く降り積もっている雪であることよ。
- 作者
- 坂上是則(さかのうえのこれのり)
- 出典
- 『古今和歌集』冬・332番
- 決まり字
- 「あさぼらけあ」(6字決まり)

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪
読みあさぼらけ ありあけのつきと みるまでに
よしののさとに ふれるしらゆき
歴史的仮名遣いあさぼらけ ありあけのつきと みるまでに
よしののさとに ふれるしらゆき
夜明けの薄明かりの中、有明の月の光かと思うほど、吉野の里に白く降り積もった雪——光と雪を見間違えるほど美しい、坂上是則の冬の歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| 朝ぼらけ | あさぼらけ | 夜がほのぼのと明けるころ。 |
| 有明の月 | ありあけのつき | 夜が明けても空に残っている月。 |
| 見るまでに | みるまでに | 「見間違えるほどに」。 |
| 吉野の里 | よしののさと | 奈良県の吉野。雪や桜の名所として知られます。 |
| 降れる白雪 | ふれるしらゆき | 「降り積もっている白雪」。「る」は存続の助動詞「り」の連体形です。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| 朝ぼらけ | 名詞 | |
| 有明 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 月 | 名詞 | |
| と | 格助詞 | |
| 見る | 動詞・マ行上一段「見る」連体形 | |
| まで | 副助詞 | 程度 |
| に | 格助詞 | |
| 吉野 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 里 | 名詞 | |
| に | 格助詞 | |
| 降れ | 動詞・ラ行四段「降る」已然形 | |
| る | 助動詞「り」連体形 | 存続 |
| 白雪 | 名詞 | 体言止め |
表現技法・文法のポイント
白く積もった雪を、有明の月の光と見間違えるほどだと表しています。
「白雪」で終わり、一面の白さを印象づけています。
「降れる」の「る」は存続。「降り積もっている」状態を表します。
歌の背景・鑑賞
『古今和歌集』冬の部に入っています。詞書によると、作者が大和国(奈良県)に行ったとき、雪が降ったのを見て詠んだ歌です。夜明けの薄暗い中で、雪明かりを月の光と見間違えるという、幻想的な一瞬をとらえています。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
坂上是則は、蹴鞠(けまり)の名手だったという話が伝わっています。宮中で蹴鞠をしたとき、鞠を何百回も落とさずに蹴り続けて、天皇からほうびをもらったともいわれます。歌も運動もできる、才能豊かな人だったのかもしれません。
是則は、征夷大将軍として東北に遠征した坂上田村麻呂の子孫とされます。武人の家から、繊細な雪景色の歌を詠む歌人が生まれたと考えると、意外な感じがしますね。
真っ暗な夜明け前、障子を開けると外がぼうっと明るい。月かと思ったら、一面の雪だった――。電気のない時代の人だからこそ感じられた、光の驚きを想像してみましょう。
作者:坂上是則
平安時代前期から中期の貴族・歌人、坂上是則(さかのうえのこれのり)です。征夷大将軍・坂上田村麻呂の子孫とされます。地方官や朝廷の文書係などを務めました。三十六歌仙の一人です。
決まり字と覚え方
上の句が「あさぼらけあ」まで読まれたら、取り札が決まります。「あ」で始まる歌は16首あります。
覚え方:「あさぼらけあ」と聞いたら「よしののさとに」。64番も「あさぼらけ」で始まるので、6字目の「あ」(有明)と「う」(宇治)で分かれる6字決まりです。「あ」は有明(あ)、吉野(よしの)、と覚えます。
入試で問われるポイント
- 見立て
- 存続の「り」(降れる)
- 64番との見分け(6字決まり)
よくある質問
「朝ぼらけ」とはいつごろですか?
夜がほのぼのと明けるころです。
何を何に見立てているのですか?
白く降り積もった雪を、有明の月の光に見立てています。
64番「朝ぼらけ」との見分け方は?
31番は「朝ぼらけ 有明の月と」、64番は「朝ぼらけ 宇治の川霧」です。6字目の「あ」と「う」で決まります。
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大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
