この記事の結論

  • tempered glass の意味は「強化ガラス」。熱してから急に冷やして強くしたガラスで、toughened glass ともいいます
  • temper は「気分・気性」「かんしゃく」「(鋼を)鍛える」「和らげる」など意味が多い単語。もとは「ほどよく混ぜる・調整する」で、temperature(温度)・temperament(気質)・temperate(温和な)も仲間です

日常でよく目にするが、意外とまちがえたり、知らなかったりする英単語があります。今回はその1つ、tempered glass(強化ガラス)です。

temper というと「lose one's temper(かっとなる)」を思いうかべる人が多いでしょう。では、なぜ「怒り」の単語がガラスに付くのでしょうか。この記事では、元の記事の temper の意味の一覧をそのまま上に残し、意味の広がりと、身の回りのガラスの英単語を図で整理します。

temper の意味は「ほどよく調整する」から広がった temperほどよく混ぜる・調整する 😊 気分・気性心の「混ざり具合」 😠 かんしゃくバランスがくずれる 🔨 鋼を鍛える硬さをちょうどよく 🌿 和らげる強すぎるものをほどよく
図1 temper の4つの意味は「ほどよく調整する」から広がった

temper の意味一覧(名詞・動詞・成句)

まず、元の記事で紹介した temper の意味です。英和辞典で確かめて、成句の形を正しく直しました(元の記事では fly into temper と a が抜けていました)。

名詞の temper

番号意味数えるか
1気分、機嫌;気性、性質C(数えられる)
2かんしゃく、短気、不機嫌C/U
3(鋼(はがね)などの)硬度;弾性U(数えられない)
4落ち着き、平静U

動詞の temper

番号意味
1(鋼など)を鍛える;(粘土など)を適度の硬さにする
2(かたい言い方)…を和らげる、抑制する

成句(よく出る形)

成句意味
fly into a temperかんしゃくを起こす(a が要る)
lose one's temper腹を立てる、かっとなる
keep one's temper怒りをおさえる、平静を保つ
recover one's temper落ち着きを取りもどす
out of temper機嫌が悪い

表の C と U は、英和辞典で「数えられる名詞(countable)」「数えられない名詞(uncountable)」を表す記号です。同じ単語でも意味によって数え方が変わることは、単複同形の名詞(sheep・fish など)の記事でも紹介しています。

人差し指を立てて説明する合格先生

合格先生

temper は「怒り」だけの単語じゃない。もとは「ほどよく調整する」。この1本の線が見えると、ガラスも鋼も気分も、ぜんぶつながるよ。

tempered glass の意味は「強化ガラス」

tempered glass は「強化ガラス」です。動詞 temper の「(鋼など)を鍛える」の過去分詞 tempered が形容詞のように使われ、「鍛えられたガラス」=強化ガラスになります。イギリス英語では toughened glass(tough=丈夫な)ともいいます。

強化ガラスはどうやって作る?

代表的な作り方(風冷強化)は、ふつうの板ガラスを約650〜700℃まで熱し、表面に空気を吹きつけて急に冷やす方法です。表面が先に冷えて固まり、あとから内側が縮むため、表面には「押し合う力(圧縮応力)」の層ができます。この層が傷やひびの広がりをおさえるので、強さはふつうの板ガラスの3〜5倍程度とされています。

強化ガラス(tempered glass)のでき方 ① 板ガラスふつうのガラス ② 熱する 🔥約650〜700℃ ③ 急に冷やす 💨表面に空気を吹く → 内側 ← 表面に「押し合う層」強さは3〜5倍程度
図2 熱して急に冷やすと、表面に押し合う層ができて強くなる

「熱してから冷やして性質を整える」のは、鍛冶屋さんが鋼を鍛えるのと同じ発想です。だから、ガラスにも temper(鍛える)が使われるわけです。物理で習う「熱と温度」「力のつり合い」の話とも関係があります。物理の考え方の身につけ方は物理の勉強法も参考にしてください。

強化ガラスの割れ方と弱点

強化ガラスは、割れると角の丸い小さな粒になって砕けます。とがった大きな破片になるふつうの板ガラスより、けがをしにくいのが長所です。そのため、自動車の横の窓や、ガラスの扉など、人がぶつかるかもしれない場所に使われます。

一方で、弱点もあります。

  • あとから切ったり穴をあけたりできない:強化の作業は製造の最後に行います。強化したあとで加工すると、全体が割れてしまうからです。
  • 防犯には向かない:一部が割れると全体が一気に砕けるため、穴をあけて侵入されるのを防ぐガラスではありません。
  • 耐熱ガラスとはちがう:急な温度の変化には弱いことがあるので、電子レンジ用などの耐熱ガラスの代わりにはなりません。
割れたら、どうなる? ふつうの板ガラス強化ガラス合わせガラス float glasstempered glasslaminated glass とがった破片 ⚠丸い小さな粒膜で飛び散りにくい
図3 ふつうの板ガラス・強化ガラス・合わせガラスの割れ方

身の回りのガラスの英単語一覧

「強化ガラス」のほかにも、身の回りにはいろいろなガラスがあります。英和・和英辞典で確かめた言い方をまとめました。長文やリスニングで建物・車・災害の話題が出たときに役立ちます。

日本語英語どんなガラス?
強化ガラスtempered glass/toughened glass熱して急に冷やし、強くしたガラス。割れると粒になる
合わせガラスlaminated glass2枚以上の板ガラスの間に樹脂などの膜をはさんだガラス。割れても飛び散りにくい
網入りガラスwired glass/wire glass金網を入れたガラス。火事のときガラスが落ちるのを防ぐのがおもな目的
すりガラスfrosted glass/ground glass表面をざらざらにして、向こうが見えにくいガラス
複層ガラスdouble glazing/insulated glazing板ガラスの間に空気などの層をはさみ、熱を伝えにくくしたガラス
ふつうの板ガラスfloat glass/plate glass窓などに使われる平らなガラス
身の回りのガラスを英語で言うと? double glazing複層ガラス(断熱の窓) wired glass網入りガラス(防火) frosted glassすりガラス(浴室など) laminated glass合わせガラス(前の窓) tempered glass強化ガラス(横の窓)
図4 家と車のまわりのガラスを英語で言うと

合わせガラス(laminated glass)

laminate は「薄い層を重ねる」という意味の動詞です。プリントをフィルムではさむ「ラミネート」と同じ単語です。合わせガラスは、ひびが入っても間の膜が破片をつなぎとめるので、自動車のフロントガラスなどに使われています。

網入りガラス(wired glass)

網入りガラスは「割れにくいガラス」と思われがちですが、おもな目的は防火です。火事の熱で割れても、網のおかげでガラスが落ちにくく、炎が広がるのをおさえます。ぶつかったときの強さや防犯の効果はほとんどないとされています。見た目と目的がちがう、よくある勘ちがいです。

すりガラス(frosted glass)

frost は「霜(しも)」。霜がついたように白くくもって見えることから frosted glass といいます。ground glass の ground は grind(すりつぶす・みがく)の過去分詞で、「すった(みがいた)ガラス」という意味です。日本語の「すりガラス」とそっくりな作りの言葉ですね。

複層ガラス(double glazing)

glaze は「(窓に)ガラスをはめる」という動詞で、glazing はその名詞形です。double glazing は「ガラスを二重にはめること」で、断熱や結露を防ぐのが目的です。

このように、身の回りの物の英語は、日本語と同じ発想の物も、まったくちがう発想の物もあります。乾電池の大きさ(単3・単4)を英語で言うと?やシャボン玉を英語で言うと?も、同じ「身の回りの英単語」の記事です。カタカナ語とのちがいは和製英語の一覧でも整理しています。

うかるくん

うかるくん

先生、「強化ガラス」って strong glass じゃだめなんですか?

合格先生

合格先生

ただ「強いガラス」と言いたいだけなら strong glass でも通じるよ。でも、製品の名前として決まった言い方は tempered glass。表示や説明書ではこちらが使われるんだ。

うかるくん

うかるくん

なるほど。じゃあ「ラミネート」も英語なんですね!

合格先生

合格先生

そう。laminated glass の laminate は「層を重ねる」。カタカナ語から英単語を引き出せると、覚える量がぐっと減るよ。

temper の語源|temperature・temperament・temperate との関係

temper は、ラテン語の temperare(ほどよく分ける・混ぜる、適度にする)から来た言葉で、古い英語の時代にはすでに使われていました。辞書には、ラテン語の tempus(時・ちょうどよい時)とつながるという説明もあります。「ちょうどよい割合に調整する」というのが中心のイメージです。

temper の仲間は「ほどよさ」でつながる ラテン語 temperareほどよく混ぜる・調整する temper気分・鍛える temperature温度 temperament気質 temperate温和な 暑すぎず寒すぎず、激しすぎず…どれも「ちょうどよい」がカギ
図5 temper の仲間の単語
単語意味「ほどよさ」とのつながり
temper気分・気性/鍛える・和らげる心の混ざり具合。金属の硬さをほどよくする
temperature温度・体温古くは「ほどよく調整された状態」の意味もあった
temperament気質・気性古くは「要素のほどよい混ぜ合わせ」の意味
temperate温和な・節度のある暑すぎず寒すぎない。temperate zone=温帯

temperature(温度)

temperature はラテン語の temperatura から来た言葉で、今の意味は「温度・体温」です。古くは「ほどよく調整された状態」という意味でも使われました。「have a temperature(熱がある)」という言い方は、体温が「ふつうより高い」ことを表します。

temperament(気質)

temperament は「気質・気性」。昔は「いくつかの要素をほどよく混ぜ合わせたもの」という意味でした。人の性格は体の中の要素の混ざり具合で決まる、という昔の考え方とつながっています。音楽では「音律(音の高さの調整のしかた)」という意味もあり、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』の英語名に well-tempered が使われているのも、この「調整する」の意味です。

temperate(温和な)

temperate は「ほどよい・度をこさない」。気候なら「温暖な」で、地理の温帯は temperate zone です。人について言えば「節度のある・穏やかな」という意味になります。地理の基礎の用語は地理の勉強法【基礎編】でも確かめておきましょう。

このように、知らない単語でも「仲間の単語」から意味を推測できることがあります。語源(語のつくり)を使った覚え方は、pseudonym(偽名)の意味と語源でも、pseudo+nym という形で紹介しています。

temper を使った表現・例文

ここからは、入試の長文や英作文で使える temper の表現を、例文といっしょに見ていきます。

temper を「落ち着き」と考えると覚えやすい 😌temper=落ち着き 😠 loseone's temper怒りだす 🙂 keepone's temper平静を保つ 失う → 怒る / 保つ → 冷静
図6 temper を「落ち着き」と考えると、lose と keep の意味が見える

lose one's temper(かっとなる)

  • He lost his temper and shouted at me.
    彼はかっとなって、私にどなった。
  • Try not to lose your temper during the exam.
    試験中にいらいらしないようにしよう。

temper を「落ち着き」と考えると、「落ち着きを失う」=怒る、と自然に読めます。

keep one's temper(平静を保つ)

  • She kept her temper even when she was criticized.
    彼女は批判されても、平静を保った。

fly into a temper(かんしゃくを起こす)

  • The child flew into a temper when his toy was taken away.
    その子はおもちゃを取り上げられて、かんしゃくを起こした。

fly into ~ は「急に~の状態になる」。a temper と a を付けるのを忘れないようにしましょう。同じ形で fly into a rage(激怒する)という言い方もあります。

-tempered で気性を表す形容詞

temper に -ed を付けた形容詞で、人の気性を表すことができます。人物の描写が多い物語文によく出ます。

「〇〇-tempered」で気性を表す 🔥🌿 short-temperedhot-tempered怒りっぽい bad-tempered機嫌が悪い good-temperedeven-tempered穏やかな
図7 気性を表す「〇〇-tempered」
形容詞意味
short-tempered/quick-tempered短気な、怒りっぽい
hot-temperedかっとなりやすい
bad-tempered/ill-tempered機嫌の悪い、怒りっぽい
good-tempered/sweet-tempered気立てのよい、温厚な
even-tempered落ち着いた、むらのない

また、temper tantrum は「(子どもの)かんしゃく」です。子育ての話題の英文によく出ます。

動詞 temper「和らげる」

かたい文章では、動詞の temper が「(強すぎるものを)和らげる・ほどよくする」の意味で使われます。

  • We should temper justice with mercy.
    正義は慈悲で和らげるべきだ。(法の厳しさを思いやりでほどよくする)
  • His joy was tempered by the bad news.
    悪い知らせで、彼の喜びは少しおさえられた。

英文和訳では「鍛える」と訳すとおかしくなる場面です。文脈から「ほどよくする」の意味を選びましょう。多義語の訳し分けは、英単語の覚え方【基礎編1】の「1語を1つの訳だけで覚えない」という考え方が役立ちます。

料理の「テンパリング」

チョコレートを作るときの「テンパリング(tempering)」も、同じ temper です。温度を少しずつ合わせて、なめらかに固まるようにほどよく調整する作業のことです。ちなみに日本語の「テンパる(あせる)」は、麻雀の「聴牌(テンパイ)」から来たとされる言葉で、英語の temper とは別のものです。

temper の覚え方と英語の勉強への生かし方

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

「ほどよく調整する」→ 気分・かんしゃく・鍛える・和らげる。中心のイメージ1つ+枝分かれで覚えると、初めて見る使い方にも強くなるね!

中心のイメージから覚える

temper のように意味の多い単語は、訳語を1つずつ丸暗記すると混乱します。図1のように「ほどよく調整する」という中心のイメージを決め、そこから意味が広がったと考えると、次のように整理できます。

  1. 心をほどよく調整した状態 → 気分・気性・落ち着き
  2. その調整がくずれた状態 → かんしゃく・短気(lose one's temper)
  3. 金属やガラスの硬さを調整する → 鍛える(tempered glass・tempered steel)
  4. 強すぎるものを調整する → 和らげる(temper justice with mercy)

単語帳で temper を見たら、この4つをセットで確認しておくと安心です。どんな単語帳を選ぶかは難関大学向けの英単語帳の選び方、単語帳の使い方は英単語の覚え方の記事にまとめています。

辞書で「名詞の C/U」を見るくせをつける

元の記事の一覧にあった C・U の記号のように、辞書には「数えられるかどうか」も書いてあります。a temper(かんしゃく)と temper(落ち着き)では意味がちがうので、英作文では a の有無に気をつけます。辞書の引き方や、電子辞書と紙の辞書の使い分けは電子辞書と紙の辞書の記事を見てください。

身の回りの物で単語を覚える

強化ガラスの扉や車の窓、浴室のすりガラスなど、ふだん目にする物を「英語で何と言う?」と考えるのは、手軽で忘れにくい覚え方です。数学の用語なら数学用語を英語で言うと?、図形なら多角形を英語で言うと?、単位ならメートルの定義のように、ほかの教科と結びつけるとさらに広がります。

サクラちゃん

サクラちゃん

英語の長文で temper が出てきたら、「怒り」と「鍛える」のどっちか迷いそうです……。

合格先生

合格先生

見分けるコツは周りの単語。glass・steel・metal があれば「鍛える」、lose・keep・bad などがあれば「気分・怒り」、justice・joy のような抽象的な名詞が目的語なら「和らげる」だよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

形と相方の単語を見ればいいんですね。わかりやすい!

合格先生

合格先生

その調子。文脈から多義語の意味を選ぶ力は、和訳問題でそのまま点になるよ。

英語の勉強全体の中で

単語は、文法・読解・英作文の土台です。英語の勉強の順番は英語の勉強法ロードマップ、全体像は英語勉強法まとめで確認できます。英語のやり直しや基礎固めをしたい人には、英語の基礎を固めたい人向けの参考書の記事や、時制のしくみを扱った「基礎からの英語学習」の記事もおすすめです。同じく「意味と使い方」を深掘りした英単語の記事として、propaganda(プロパガンダ)の意味や、J・K・ローリングのペンネームの話と pseudonym の仲間の単語もあわせて読んでみてください。勉強法の全体は大学受験の勉強法まとめにあります。

よくある質問

tempered glass の意味は?

「強化ガラス」です。熱してから急に冷やして強くしたガラスのことで、イギリス英語では toughened glass ともいいます。

temper の意味は?

名詞では「気分・気性」「かんしゃく」「(鋼などの)硬さ」「落ち着き」、動詞では「(鋼など)を鍛える」「和らげる・抑える」という意味があります。もとは「ほどよく調整する」という意味です。

lose one's temper と keep one's temper の違いは?

lose one's temper は「かっとなる・腹を立てる」、keep one's temper は「怒りをおさえる・平静を保つ」です。temper を「落ち着き」と考えると覚えやすくなります。

「かんしゃくを起こす」は英語で何と言いますか?

fly into a temper と言います。a を付けるのを忘れないようにしましょう。lose one's temper も「かっとなる」の意味で使えます。

合わせガラスや網入りガラスは英語で何と言いますか?

合わせガラスは laminated glass、網入りガラスは wired glass(wire glass)、すりガラスは frosted glass、複層ガラスは double glazing です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • Wiktionary「temper」「temperature」「temperament」「temperate」(語源・意味・成句・派生語)
  • Wikipedia「強化ガラス」「合わせガラス」「網入りガラス」(作り方・割れ方・用途)
  • Weblio 英和・和英辞書(網入りガラス・すりガラス・複層ガラスの英訳)
  • 元の記事(2010年10月)の temper の意味の一覧

最終更新:2026年10月23日/作成:大学受験合格大作戦

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Xでフォローしよう

おすすめの記事