羊頭狗肉(ようとうくにく)の意味と由来|無門関・晏子春秋の原文・書き下し文とイラスト【故事成語】

羊頭狗肉(ようとうくにく)の意味と由来|無門関・晏子春秋の原文・書き下し文とイラスト【故事成語】

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羊頭狗肉ようとうくにく

ひとことで言うと

見かけは立派だが、中身がともなわないこと。羊の頭を店先にかかげて、実際には犬(狗)の肉を売るたとえから。

読み方ようとうくにく
意味見かけは立派だが、中身がそれにともなわないこと。看板・宣伝と実際の中身がちがうこと。
出典『無門関』第六則の「懸羊頭売狗肉(羊頭を懸けて狗肉を売る)」。もとの形は『晏子春秋』の「牛首を門に懸けて馬肉を売る」とされる
お話斉の晏子が、宮中では許して外だけ禁じる霊公を、「牛の頭をかけて馬の肉を売るようなもの」といさめた
似た言葉看板倒れ・見かけ倒し・有名無実・羊質虎皮
反対の言葉看板に偽りなし・名実相伴う・言行一致
漢文の句法使役(使)・再読文字(猶)・疑問(何以)

このページのポイント

  • 「羊頭狗肉」は見かけは立派だが中身がともなわないこと。看板と中身がちがうときに使います
  • 「羊頭・狗肉」の形は『無門関』、もとのたとえは『晏子春秋』の「牛首・馬肉」。両方の原文を読めます
  • 使役・再読文字「猶」・疑問「何以」など、漢文の大事な句法も練習できます

「羊頭狗肉」の意味と読み方

「羊頭狗肉」はようとうくにくと読みます。意味は「見かけは立派だが、中身がそれにともなわないこと」です。看板や宣伝と、実際の中身がちがうときに使います。「羊頭を懸(か)けて狗肉を売る」を4字にちぢめた言葉です。

「羊頭(ようとう)」は羊の頭、「狗肉(くにく)」は犬の肉のことです。「狗(く)」は犬を表す字です。昔の中国では、羊の肉はごちそうで、犬の肉はそれより安いものとされていました。店先に羊の頭をかかげて「うちは羊の肉の店です」と見せかけ、実際には安い犬の肉を売る――そんなずるい商売のたとえから生まれた言葉です。

「羊頭」は看板、「狗肉」は中身羊羊頭見かけ・看板狗狗肉売っている中身見かけは立派なのに、中身がそまつ=看板と中身がちがう
店先の「羊頭」が見かけ(看板)、売っている「狗肉」が中身。2つがちがうのが「羊頭狗肉」
サクラちゃん

サクラちゃん

「羊頭狗肉」って、四字熟語なんですか? それとも故事成語なんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

どちらとも言えるんだ。4字でできているから四字熟語の一覧にも入るし、中国の昔の本の言葉や話がもとになっているから故事成語でもある。合格大作戦では、四字熟語の一覧にも、この故事成語のページにも入れているよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○「日本一おいしい」と書いてあったのに、ふつうの味だった。これでは羊頭狗肉だ。
  • ○表紙は立派だが中身はうすい、羊頭狗肉の本だった。
  • ○「全員に役立つ講座」と宣伝しておいて、内容は宣伝だけ。羊頭狗肉のそしりはまぬがれない。

絵で読む「羊頭狗肉」のお話

「羊頭狗肉」は、ある一人の人物の出来事というより、「羊の頭をかけて犬の肉を売る」というたとえから生まれた言葉です。1〜3こま目はそのたとえを絵にしたもの、4こま目は、もとの形とされる『晏子春秋(あんししゅんじゅう)』の場面です。

絵で読む「羊頭狗肉」のお話(4こま。1〜3こま目はたとえを絵にしたもの)

1羊の頭の看板羊肉羊羊の肉だ、おいしそう!
1ある肉屋が、店先に羊の頭をかかげています。見た人は「ここは、おいしい羊の肉を売る店だ」と思います。
2売るのは犬の肉羊狗しめしめ
2ところが、実際に売っているのは、羊よりずっと安い犬(狗)の肉。店の主人は、看板で客を集めていたのです。
3見かけと中身がちがう!狗羊羊の頭をかけて犬の肉を売るとは!
3気づいた客はおこります。「羊の頭をかけて、犬の肉を売るとは!」――見かけと中身がちがうのです。
4もとは晏子のたとえ外だけ禁じるのは、牛の頭をかけて馬の肉を売るのと同じです晏子霊公猶ほ牛首を門に懸けて馬肉を売るがごとし
4もとになったとされるのは、斉の晏子のたとえ。「牛の頭を門にかけて、馬の肉を売るようなものです」と、王をいさめました。

肉屋の店先にかかる羊の頭は、今でいえば看板や広告です。看板を見て店に入った客は、中身もそのとおりだと信じています。だからこそ、中身がちがうと分かったときに「だまされた」と強く感じるのです。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

この言葉のポイントは、ただ「中身がそまつ」というだけでなく、立派な見かけで人を引きつけておいて、中身がともなわないところにある。見かけと中身の差を言う言葉なんだね。

4こま目の晏子の話では、売り物は「牛」と「馬」でした。動物の組み合わせがちがっても、門(店先)にかかげた物と、中で売っている物がちがうというたとえの形は同じです。

「羊頭狗肉」の原文・書き下し文・現代語訳

まず、もとの形とされる『晏子春秋』の話を読み、そのあとで「羊頭」「狗肉」の字が出てくる『無門関(むもんかん)』の一句を読みます(どちらも維基文庫=中国語のウィキソースの本文で確かめました。書き下し文は合格大作戦による読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

白文(『晏子春秋』内篇雑下 第一より。句読点を補い、字は今の字体にしたもの)霊公好婦人而丈夫飾者、国人尽服之。公使吏禁之、曰、「女子而男子飾者、裂其衣、断其帯。」裂衣断帯、相望而不止。……晏子対曰、「君使服之於内、而禁之於外、猶懸牛首於門而売馬肉也。公何以不使内勿服、則外莫敢為也。」公曰、「善。」使内勿服、不逾月、而国人莫之服。

1文目:霊公の好み

書き下し文霊れい公こう婦ふ人じんにして丈ぢやう夫ふの飾かざりする者ものを好このむ、国こく人じん尽ことごとく之これを服ふくす。

(『晏子春秋』内篇雑下(原文は「靈公」))

現代語訳斉の霊公は、女性でありながら男性の服装をする者を好んだ。国じゅうの人が、みなそれ(男の服装)をまねた。

ここがポイント「丈夫(じょうふ)」は「一人前の男性」。「而(じ)」は読まない置き字で、「婦人にして」の「して」の働きをしています。上下点の間にある「婦人にして丈夫の飾りする者を」を読んでから「好む」へ返ります。

2文目:外だけ禁じる

書き下し文公こう吏りをして之これを禁きんぜしめて曰いはく、「女ぢよ子しにして男だん子しの飾かざりする者ものは、其その衣ころもを裂さき、其その帯おびを断たて。」

(『晏子春秋』内篇雑下)

現代語訳霊公は役人にそれを取りしまらせて言った。「女性で男性の服装をする者は、その服を裂き、その帯を断ち切れ。」

ここがポイント「使A〜(Aをして〜しむ)」は「Aに〜させる」という使役の句法。一二三点で「吏をして→之を→禁ぜ→しめて」と返ります。「吏(り)」は役人のこと。このあと原文は「衣を裂き帯を断つもの相望むも止まず」(罰を受ける者が次々に出ても、やまなかった)と続きます。

3文目:晏子のたとえ(もとの形)

書き下し文晏あん子し対こたへて曰いはく、「君きみ之これを内うちに服ふくせしめて、之これを外そとに禁きんずるは、猶なほ牛ぎう首しゆを門もんに懸かけて馬肉ばにくを売うるがごときなり。

(『晏子春秋』内篇雑下(原文は「懸牛首於門而賣馬肉也」))

現代語訳晏子が答えて言うには、「殿は宮中では(女性に男の)服装をさせておきながら、外ではそれを禁じておられます。それは、ちょうど牛の頭を門にかけておいて、馬の肉を売るようなものです。

ここがポイント「猶(なほ)〜ごとし」は「ちょうど〜のようだ」という再読文字。1回目は「猶ほ」、2回目は返って「ごとき」と読みます。「対(こた)ふ」は目上の人に答えること。「於」は読まない置き字で、「内に」「外に」「門に」の「に」の働き(「於」の読み方と働き)。この「牛首を門に懸けて馬肉を売る」が、羊頭狗肉のもとの形とされます。

4文目:宮中から禁じなさい

書き下し文公こう何なにを以もつて内うちをして服ふくすること勿なからしめざる、則すなはち外そと敢あへて為なす莫なからん。」

(『晏子春秋』内篇雑下)

現代語訳どうして殿は、宮中の者にその服装をさせないようになさらないのですか。(宮中でやめさせれば)外の者も、あえてする者はいなくなるでしょう。」

ここがポイント「何を以て(なにをもつて)〜」は「どうして〜か」という疑問の句法。ここでは「宮中からやめさせるべきです」とすすめる気持ちがこもっています。「莫(な)し」は「〜するものはない」という否定の句法。原文では、霊公がこれを聞き入れて宮中から禁じると、ひと月もたたないうちに、国中でだれもしなくなったと結ばれています。
『晏子春秋』の話の流れ1.霊公の好み宮中の女性に男の服装をさせて楽しむ2.国中がまねる外の女性たちも男の服装をし始める3.外だけ禁止服を裂き帯を切る罰。でも止まらない4.晏子のことば牛の頭をかけて馬の肉を売るのと同じ5.宮中から禁止ひと月もたたずに、国中でやんだ
外だけを取りしまっても止まらず、宮中(上の人)から改めたら、すぐにやんだ

「羊頭」「狗肉」が出てくる『無門関』

「羊の頭」と「犬の肉」の形は、中国・南宋の禅のお坊さん、無門慧開(むもんえかい)がまとめた『無門関』に出てきます。お釈迦さまが花をひねって見せ、弟子の迦葉(かしょう)だけがその意味をさとってほほえんだ、という第六則「世尊拈花(せそんねんげ)」につけた無門の言葉です。

『無門関』第六則「世尊拈花」の一句

書き下し文黄くわう面めんの瞿く曇どん、傍かたはらに人ひと無なきがごとし。良りやうを圧あつして賤せんと為なし、羊やう頭とうを懸かけて狗く肉にくを売うる。

(『無門関』第六則「世尊拈花」(原文は「壓良為賤,懸羊頭賣狗肉」))

現代語訳金色の顔のお釈迦さまは、まるでそばに人がいないかのように、勝手気ままにふるまう。良い者をおさえつけて身分の低い者にし、羊の頭をかかげて犬の肉を売っている。

ここがポイント「瞿曇(くどん)」はお釈迦さまのこと。「傍若無人(傍らに人無きがごとし)」は、レ点が2つ続いて「人→無き→ごとし」と返る形で、傍若無人(ぼうじゃくぶじん)という故事成語にもなっています。「懸羊頭売狗肉」は一二点が2回続く形です。
「羊頭狗肉」のもとの話で覚える句法4つ使A〜Aをして〜しむAに〜させる使役猶〜猶ほ〜がごとしちょうど〜のようだ再読文字何以何を以て〜どうして〜か疑問莫〜〜莫し(なし)〜するものはない否定
「羊頭狗肉」のもとの話には、使役・再読文字・疑問・否定の句法が出てきます
うかるくん

うかるくん

えっ、お釈迦さまのことを「犬の肉を売っている」って言ってるんですか? 悪口みたい…。

ミスターT先生

ミスターT先生

禅の本では、わざと悪口のような言い方をして、かえって大切なことを考えさせる書き方がよく見られるんだ。ここも、お釈迦さまを本気でけなしているのではなく、「言葉では伝えられない教え」をめぐる問いかけとして読まれることが多い。ただ、どう読むかにはいろいろな説があるから、ここでは「そう読まれることが多い」とだけ言っておくね。

出典と話の背景(晏子春秋と無門関)

「羊頭狗肉」の出典としてよく挙げられるのは『無門関』ですが、たとえの形そのものは、もっと古い『晏子春秋』にあるとされます。辞書によって、どちらを出典として書くかが違います。

牛と馬 → 羊と犬(狗)へ『晏子春秋』春秋時代の斉の晏子の話牛の頭を門にかけ、馬の肉を売る『無門関』南宋の禅の本(1228年ごろ)羊の頭をかけ、犬の肉を売る四字熟語日本で広く使われる形羊頭狗肉(ようとうくにく)※動物は変わっても「看板と中身がちがう」は同じ
「牛首・馬肉」から「羊頭・狗肉」へ。動物は変わっても、たとえの形は同じです

『晏子春秋』と晏子

『晏子春秋』は、春秋時代の斉(せい)の国の宰相、晏子(あんし)=晏嬰(あんえい)の言葉や行いをまとめた本です。晏子は、霊公・荘公・景公という三代の君主に仕えたことで知られ、背が低かったけれども頭の回転が速く、ときには君主をたくみなたとえでいさめた人物として伝えられています。

この話でも、晏子は「殿のやり方はまちがっています」と正面から言うのではなく、だれにでも分かる商売のたとえを使って、霊公に自分で気づかせています。そして霊公が宮中から改めると、ひと月もたたずに国中の流行がやみました。上に立つ人がまず自分を正せば、下の人も自然に従う――晏子の話には、こうした教えがこめられています。孔子の巧言令色(口先だけで中身のない人)を戒める言葉とも、通じるところがありますね。

『無門関』と禅の言葉

『無門関』は、南宋の禅僧・無門慧開が、禅の修行で考える問題(公案)48則を選び、それぞれに自分の言葉と詩をつけた本で、1228年ごろにまとめられたとされます。日本でも、鎌倉時代に禅とともに伝わり、よく読まれてきました。第六則の「世尊拈花」は、言葉や文字にたよらずに心から心へ教えを伝えるという話で、四字熟語の以心伝心や不立文字(ふりゅうもんじ)とも関係の深い場面です。

中国語では、今も「挂羊头卖狗肉(羊の頭をかけて犬の肉を売る)」という言い方が使われています。日本では、これを4字にまとめた「羊頭狗肉」の形が一般的になりました。いつごろ、どの本から日本で4字の形が広まったのかは、はっきりした資料が見つからなかったので、ここでは決めつけないでおきます。また、同じようなたとえは、ほかの中国の本にも見えると言われ、どれが最初かについては諸説あります。

「羊頭狗肉」の使い方と例文・似た言葉

「羊頭狗肉」は、宣伝・看板・肩書き・表紙など、外から見える部分が立派なのに、中身がそれに見合わないときに使います。「羊頭狗肉だ」「羊頭狗肉の〜」「羊頭狗肉のそしりをまぬがれない」などの形が多く、相手を批判する、やや強い言葉です。

  • ○「最新の機能が満載」という広告だったが、使ってみると昔の型と同じで、まさに羊頭狗肉だった。(広告と商品のちがい)
  • ○店の名前は「高級フレンチ」なのに、料理はそまつで、羊頭狗肉の店だった。(看板と中身のちがい)
  • ○立派な目標をかかげても、何も実行しなければ羊頭狗肉に終わる。(言葉と行動のちがい)
  • ○「やさしい問題集」という題なのに中身は難問ばかりで、羊頭狗肉とまでは言わないが、題と中身が合っていない。(打ち消して使う)
  • ×羊の肉が好きなので、羊頭狗肉の料理を注文した。(本当の料理の名前ではない)
  • ×見た目は地味だが、中身はすばらしい。羊頭狗肉だ。(反対。見かけより中身がよいときには使わない)

「羊頭狗肉」がよく使われる場面

今の日本語で「羊頭狗肉」がよく使われるのは、広告・商品の説明、政治や会社の計画、本や講座の題名などです。どれも、外に向けて「こんなにすばらしいですよ」と示す部分(=羊頭)と、実際の中身(=狗肉)があり、その差が大きいときに批判の言葉として使われます。

たとえば新聞の社説や評論文では、「改革」とは名ばかりで中身が変わっていない計画を「羊頭狗肉の改革」と書くことがあります。反対に、自分たちのことを言うときに「羊頭狗肉にならないよう、中身をしっかり作ります」のように、自分をいましめる言葉として使うこともできます。文章を書くときは、相手を強く責める言葉だということを覚えておき、使う場面を選びましょう。

羊頭狗肉似た言葉看板倒れ見かけ倒し有名無実羊質虎皮近い言葉美辞麗句慇懃無礼反対の言葉看板に偽りなし名実相伴う表裏がない
似た言葉・反対の言葉。「美辞麗句」「慇懃無礼」は、見かけと中身のずれを言う点で近い言葉です

似た言葉

  • 看板倒れ:看板(名前・宣伝)ばかり立派で、実質がともなわないこと。いちばん近い意味の日本語です。
  • 見かけ倒し:見かけは立派だが、実際は大したことがないこと。
  • 有名無実(ゆうめいむじつ):名前だけで、中身がないこと。決まりや役職などによく使います。
  • 羊質虎皮(ようしつこひ):中身は羊なのに、虎の皮をかぶっていること。見かけは強そうでも、中身は弱いことのたとえです。
  • 美辞麗句・慇懃無礼:言葉や態度のうわべだけが立派で、中身や本心がともなわないこと。

反対の言葉

  • 看板に偽りなし:看板(宣伝)のとおり、中身も確かであること。
  • 名実相伴う(めいじつあいともなう):評判と実力・中身が一致していること。
  • 言行一致:言うこととすることが同じであること。「立派な言葉に、行いがともなう」という点で反対の言葉です。

「羊頭狗肉」のよくあるまちがい

「狗肉」の「狗」を書きまちがえない狗けものへんいぬ(く)○ 狗肉拘てへん拘束(こう)× 拘肉苟くさかんむりいやしくも× 苟肉動物の字だから「けものへん」と覚えます
「狗」は動物を表す「けものへん」。てへんの「拘」、くさかんむりの「苟」とはちがう字です
  • 「狗」を「拘」「苟」と書く:「狗」は、けものへんに「句」で、犬を表す字です。「羊」の字は「羊」の読み方・書き順・部首、「肉」は「肉」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
  • 読み方を「ようとういぬにく」「ひつじあたまくにく」とする:正しくは「ようとうくにく」。「狗」は音読みで「く」と読みます。
  • 「羊頭」と「狗肉」の役割を逆にする:外にかかげるのが「羊頭」(よい物)、中で売るのが「狗肉」(そまつな物)。「狗頭羊肉」ではありません。
  • 「見かけより中身がよい」ときに使う:反対です。見かけが中身より上のときにだけ使います。
  • 出典を『無門関』だけだと思う:「羊頭・狗肉」の形は『無門関』に出てきますが、たとえの形は『晏子春秋』の「牛首・馬肉」がもとだとされます。両方覚えておくと、入試の説明問題にも対応できます。
うかるくん

うかるくん

「羊頭狗肉」と「看板倒れ」って、同じ意味ですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

ほとんど同じだけど、羊頭狗肉には「立派な看板で人を引きつけておいて、中身をごまかす」という、ずるさの感じが少し強く出る。看板倒れは「看板ほどではなかった」という、がっかりした感じだ。わざとかどうかで使い分けると、文章がぐっと上手になるよ。

入試ではこう出る

「羊頭狗肉」は、中学受験から大学受験まで、四字熟語・故事成語の両方の問題で出てくる言葉です。

  • 中学受験:意味を選ぶ問題、「羊頭□肉」の□に漢字を入れる問題、似た意味の言葉(看板倒れ・見かけ倒し)を選ぶ問題。動物の字を組み合わせた四字熟語として出ることもあります。
  • 高校受験:四字熟語の意味と使い方を問う問題が中心です。例文の中で正しく使われているものを選ぶ問題では、「見かけより中身がよい」という逆の使い方の文がひっかけとして出ます。漢文の基本は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)へ。
  • 大学受験:評論文で「羊頭狗肉の改革」のように、名前ばかりで中身のない政策などを批判する言葉として出てきます。漢文では、『晏子春秋』の話のような「使役」「猶〜ごとし」の読み方が問われます。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

覚え方は「外に羊、中に犬」! 外にかかげる物のほうが立派なのがポイントですね。晏子の話の「牛首・馬肉」もいっしょに覚えておきます!

練習問題

やさしい

  1. 「羊頭狗肉」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 羊と犬の肉を両方売ること イ 見かけは立派だが中身がともなわないこと ウ 見かけは地味だが中身がすぐれていること エ 動物を大切にすること
    答えと解説を見るイ。羊の頭(見かけ)をかかげて犬の肉(そまつな中身)を売るたとえです。ウは反対の意味です。
  2. 「ようとうくにく」を漢字で書きましょう。また、「狗」は何という動物を表しますか。
    答えと解説を見る羊頭狗肉。「狗」は犬を表します。

ふつう

  1. 次の文のうち、「羊頭狗肉」の使い方が正しいものを1つ選びましょう。
    ア 見た目は地味だが、味は最高の羊頭狗肉の店だ。 イ 「本格派」とうたっていたのに中身はお粗末で、羊頭狗肉だった。 ウ 羊頭狗肉の料理をおいしく食べた。
    答えと解説を見るイ。宣伝(見かけ)が立派なのに中身がそまつなので、正しい使い方です。アは見かけより中身がよい場合なので反対、ウは本当の料理の名前のように使っているので誤りです。
  2. 『晏子春秋』で、晏子が霊公をいさめるときに使ったたとえは、どんな形でしたか。
    答えと解説を見る「牛首を門に懸けて馬肉を売る」(牛の頭を門にかけて、馬の肉を売る)。宮中では男の服装をさせながら、外だけ禁じるのは、看板と中身がちがうのと同じだ、というたとえです。

むずかしい

  1. 「猶懸牛首於門而売馬肉也」の「猶」は何という種類の字ですか。書き下し文と意味も答えましょう。
    答えと解説を見る再読文字。書き下し文は「猶ほ牛首を門に懸けて馬肉を売るがごときなり」。「ちょうど牛の頭を門にかけて、馬の肉を売るようなものだ」という意味です。
  2. 晏子の進言を聞いた霊公が、宮中から男の服装を禁じたところ、どうなりましたか。また、この話から読み取れる教えを答えましょう。
    答えと解説を見るひと月もたたないうちに、国中でだれも男の服装をしなくなった。上に立つ人が言うこととすることを一致させ、まず自分から正せば、下の人も自然に従う、という教えが読み取れます。

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よくある質問

羊頭狗肉の意味を簡単に言うと何ですか?

見かけは立派だが、中身がそれにともなわないことです。羊の頭を店先にかかげて、実際には安い犬の肉を売るというたとえから生まれました。

羊頭狗肉の出典は何ですか?

「羊頭を懸けて狗肉を売る」の形は、南宋の禅の本『無門関』第六則に出てきます。もとの形は、春秋時代の斉の晏子の話をまとめた『晏子春秋』の「牛首を門に懸けて馬肉を売る」というたとえだとされます。

羊頭狗肉の「狗」とは何ですか?

犬のことです。「狗肉(くにく)」は犬の肉を指します。昔の中国では、羊の肉より犬の肉のほうが安いものとされていました。

羊頭狗肉に似た言葉は何ですか?

看板倒れ、見かけ倒し、有名無実、羊質虎皮などです。反対の言葉には、看板に偽りなし、名実相伴うなどがあります。

羊頭狗肉は四字熟語ですか、故事成語ですか?

どちらとも言えます。4字の熟語なので四字熟語の一覧にも入り、『無門関』や『晏子春秋』の言葉・話がもとになっているので故事成語でもあります。

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出典・参考

  • 原文:『無門関』第六則「世尊拈花」、『晏子春秋』内篇雑下 第一(いずれも維基文庫の本文で確認。原典の字は旧字体)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(読み方の一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦