推敲(すいこう)の意味と由来|唐詩紀事の原文・書き下し文・現代語訳と賈島の詩、イラストで読むお話【故事成語】

推敲(すいこう)の意味と由来|唐詩紀事の原文・書き下し文・現代語訳と賈島の詩、イラストで読むお話【故事成語】

故事成語の一覧 › 『唐詩紀事』

中学受験高校受験大学受験

推敲すいこう

ひとことで言うと

詩や文章の字句を、何度も練り直すこと。唐の詩人・賈島が「僧は推す月下の門」の「推」を「敲」にするか迷い、韓愈が「敲がよい」と答えた話から。

読み方すいこう
意味詩や文章を作るとき、字句を何度も考えて練り直し、よりよくすること。
出典『唐詩紀事』巻40 賈島(宋・計有功)。同じ話が『鑑誡録』『唐才子伝』などにも
お話唐の詩人・賈島が、ロバの上で「推す」か「敲く」かを考えこみ、韓愈の行列にぶつかったが、韓愈は「敲の字がよい」と答えた
もとの詩賈島「題李凝幽居」(鳥は宿る池辺の樹、僧は敲く月下の門)
似た言葉練る・彫琢・添削・一言一句
反対に近い言葉杜撰(ずさん)・書きっぱなし
漢文の句法願望・意志(欲す)・再読文字(未だ〜ず)・置き字(矣)

このページのポイント

  • 「推敲」は詩や文章の字句を何度も練り直すこと。まちがい探しの「見直し」より、表現をよくする意味が強い言葉です
  • 出典は『唐詩紀事』。「推す」か「敲く」か迷った賈島と、韓愈の出会いを4こまのイラストで読めます
  • 原文には再読文字「未だ〜ず」・願望「欲す」・置き字「矣」、もとの詩には対句が入っています

「推敲」の意味と読み方

「推敲」はすいこうと読みます。意味は「詩や文章を作るとき、字句を何度も考えて練り直し、よりよいものにすること」です。作文・小論文・手紙・発表の原稿など、書いたものを見直してよくする場面で使います。

「推」はおす、「敲」はたたくという意味の字です。唐の詩人・賈島(かとう)が、詩の一句を「僧は推す月下の門」にするか「僧は敲く月下の門」にするかで迷いに迷った、という話から生まれました。たった1字を選ぶのに、そこまで悩んだことから、言葉を一つひとつ練ることを「推敲」と言うようになったのです。

推敲=字句を何度も練り直すこと推+敲どちらの字にしようか?書く読み直す言葉を比べる直すくり返してよりよく
「推」か「敲」か。1字を選ぶために考えぬいた話から、字句を練り直すことを「推敲」と言います
うかるくん

うかるくん

作文の授業で「推敲しなさい」って言われるんですけど、「見直し」とはちがうんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いい質問だ。まちがいを探して直すだけなら「見直し」や「校正」だね。推敲は、もっと良い言葉はないか、もっと伝わる順番はないかと、表現そのものを練り直すことなんだ。もとの話では、まちがいではない「推す」を、さらに良い「敲く」に変えようと悩んでいる。そこがポイントだよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○提出する前に、作文をもう一度推敲しよう。
  • ○何度も推敲を重ねて、ようやくスピーチの原稿ができあがった。
  • ○この小説は、作者が十年かけて推敲したと言われている。
冠をかぶり、ゆったりした衣を着た、ひげのある男性の立ち姿を線で描いた古い肖像画
「推敲」の話で「敲の字がよい」と答えた韓愈(かんゆ)の肖像。清の時代の人物画集『晩笑堂画伝』に収められた絵で、写真は1921年に出版された本からとったものです。画像:「Han Yu」『晩笑堂竹荘画伝』1921年刊本より(Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

絵で読む「推敲」のお話

まずは話の流れを、4つの場面で見てみましょう。登場するのは、ロバに乗った詩人・賈島と、都の長官・韓愈です。詩のことで頭がいっぱいの賈島が、思わぬ大事件を起こしてしまいます。

絵で読む「推敲」のお話(4こま)

長安の都1推すか、敲くか推す?敲く?僧は推す月下の門…?
1唐の詩人・賈島は、科挙を受けに都の長安へ来て、ロバに乗りながら詩を作っていました。「僧は推す月下の門」の「推す」を「敲く」に変えようか迷い、手で押したりたたいたりするしぐさをくり返します。
2行列に突っこむ京兆尹無礼者!道をあけよ!推す…敲く…
2考えることに夢中で、都の長官(京兆尹)・韓愈の行列に気づかず、3列目まで突っこんでしまいました。
3わけを話す「推す」か「敲く」か迷っていて、気づきませんでした…ふむ…
3賈島は韓愈の前に連れていかれ、「推す」にするか「敲く」にするか迷っていたのだと、くわしくわけを話しました。
4「敲」がよい「敲く」がよいぞなるほど!愈曰はく、「敲の字佳し。」
4韓愈はしばらく考えて「『敲』の字がよい」と答え、二人は馬を並べて、長いあいだ詩について語り合いました。

京兆尹(けいちょういん)は、都の長安を治める長官で、とても位の高い役人です。その行列に突っこむのは、ふつうなら厳しく罰せられてもおかしくない失礼なことでした。ところが韓愈は、賈島が詩の1字に夢中になっていたと知ると、怒るどころか一緒に考え、「敲の字がよい」と答えたのです。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

この話のすごいところは、位の高い韓愈が、まだ無名だった詩人の悩みを本気で聞いたことだ。二人はこのあと、身分をこえた友だち(布衣の交わり)になったと伝えられている。言葉を大事にする人どうしは、すぐ通じ合うんだね。

なぜ「敲く」のほうがよいのか、話の中では理由は書かれていません。よく紹介されるのは、静かな月夜に、門をたたくトントンという音がひびくことで、まわりの静けさがかえって引き立つ、という読み方です。また、「推す」だと自分の家に帰る僧のようですが、「敲く」ならよその家をたずねてきた僧になり、詩の場面(友人の住まいをたずねる詩)に合う、という説明もあります。どちらも後の人の解釈です。

「推す」と「敲く」、どうちがう?トン推す(おす)手で押して静かに開ける敲く(たたく)たたいて音をたてる韓愈のすすめで「敲く」に決まった
「推す」は手で押して静かに開ける、「敲く」はたたいて音をたてる。月夜の静けさの中にひびく音が、「敲」のよさだとよく言われます

「推敲」の原文・書き下し文・現代語訳

この話は、宋の時代の計有功(けいゆうこう)がまとめた『唐詩紀事(とうしきじ)』の巻40「賈島」の項にのっています。維基文庫(中国語のウィキソース)の四庫全書本の本文に、句読点をつけて示します。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

『唐詩紀事』巻40 賈島(四庫全書本。句読点は補ったもの)島赴舉至京,騎驢賦詩,得「僧推月下門」之句,欲改推作敲,引手作推敲之勢,未决。不覺衝大尹韓愈,乃具言。愈曰:「敲字佳矣。」遂並轡論詩久之。

下の訓読文では、字を今の日本の字体(舉→挙、覺→覚、决→決 など)に直しています。書き下し文は、教科書で多い読み方をもとにした一例です。

1文目:ロバに乗って詩を作る

書き下し文島たう挙きよに赴おもむきて京けいに至いたり、驢ろに騎のりて詩しを賦ふす。

(『唐詩紀事』巻40)

現代語訳賈島は科挙(役人になるための試験)を受けに都に来て、ロバに乗りながら詩を作った。

ここがポイント「島」は賈島のこと。「挙に赴く」は「科挙を受けに行く」。「驢(ろ)」はロバ、「詩を賦す」は「詩を作る」です。レ点だけの文なので、1字下を読んでから返る練習にぴったりです。

2文目:「推す」の句ができる

書き下し文「僧そうは推おす月下げつかの門もん」の句くを得えたり。

(『唐詩紀事』巻40)

現代語訳「僧は推す月下の門(僧が月明かりの下で門を押す)」という句ができた。

ここがポイント一二点のあいだに「 」が入っても、読み方は同じです。「〜を得たり」は「〜ができた」。はじめは「推す」だったことがポイントです。

3文目:「推」か「敲」か、決まらない

書き下し文推すいを改あらためて敲かうと作なさんと欲ほつし、手てを引ひきて推敲すいかうの勢いきほひを作なすも、未いまだ決けつせず。

(『唐詩紀事』巻40)

現代語訳「推」を改めて「敲」にしようと思い、手を出して押すしぐさやたたくしぐさをしてみたが、まだ決められなかった。

ここがポイント「欲(ほっ)す」は「〜しようと思う」。「上レ」は、レ点と上点がいっしょについた返り点です。「未(いま)だ〜ず」は1字を2回読む再読文字で、「まだ〜ない」。

4文目:行列に突っこむ

書き下し文覚おぼえず大尹たいいん韓愈かんゆに衝あたる。乃すなはち具つぶさに言いふ。

(『唐詩紀事』巻40)

現代語訳(考えに夢中で)思わず、都の長官の韓愈(の行列)にぶつかってしまった。そこで(賈島は)くわしくわけを話した。

ここがポイント「覚えず」は「思わず・気づかないうちに」で、「不」は否定の句法の字。「大尹(たいいん)」は都の長官(京兆尹)。「具(つぶさ)に」は「くわしく」です。

5文目:韓愈の答え

書き下し文愈ゆ曰いはく、「敲かうの字じ佳よし。」

(『唐詩紀事』巻40)

現代語訳韓愈が言うには、「敲の字がよい。」

ここがポイント「矣(い)」は文の終わりにつけて言い切る気持ちを表す字で、書き下し文では読まない置き字です。「佳(よ)し」は「よい」。

6文目:馬を並べて詩を語り合う

書き下し文遂つひに轡くつわを並ならべて詩しを論ろんずること之これを久ひさしうす。

(『唐詩紀事』巻40)

現代語訳そのまま(二人は)馬を並べて、長いあいだ詩について語り合った。

ここがポイント「轡(くつわ)を並べる」は、馬の口につける金具を並べる、つまり馬を並べて進むこと。「之を久しうす」の「之」は、とくに何かを指さず、語調を整える字です。
「推敲」で覚える句法4つ欲改改めんと欲す改めようと思う願望・意志未決未だ決せずまだ決まらない再読文字不覚覚えず思わず・気づかずに否定佳矣佳し(矣は読まない)よい置き字
「推敲」の原文に出てくる句法。願望の「欲す」、再読文字の「未だ〜ず」、置き字の「矣」がそろっています

賈島の詩「題李凝幽居(李凝の幽居に題す)」

悩んだ一句が入っているのは、賈島の「題李凝幽居(りぎょうのゆうきょにだいす)」という詩です。友人の李凝(りぎょう)が、世をはなれて静かに暮らす住まい(幽居)をたずねたときの詩で、1句5字・8句の五言律詩です。維基文庫の本文は次のとおりです。

賈島「題李凝幽居」(維基文庫。本によっては1句目が「幽居少鄰並」、2句目が「荒村」)閑居少鄰並,草徑入荒園。鳥宿池邊樹,僧敲月下門。過橋分野色,移石動雲根。暫去還來此,幽期不負言。

詩の3・4句目(頷聯):話に出てくる句

書き下し文鳥とりは宿やどる池辺ちへんの樹き、僧そうは敲たたく月下げつかの門もん。

(賈島「題李凝幽居」)

現代語訳鳥は池のほとりの木にねむり、僧は月明かりの下で門をたたく。

ここがポイント返り点がなく、上から順に読む句です。「鳥」と「僧」、「宿る」と「敲く」、「池辺」と「月下」、「樹」と「門」が、それぞれ対になる対句です。漢詩のきまりは漢詩のきまり(絶句・律詩・押韻・対句)へ。
1・2句閑居鄰並少なく、草径荒園に入る。
静かな住まいには、となりに並ぶ家も少なく、草の生えた小道が、荒れた庭へと続いている。
3・4句鳥は宿る池辺の樹、僧は敲く月下の門。
鳥は池のほとりの木にねむり、僧は月明かりの下で門をたたく。
5・6句橋を過ぎて野色を分かち、石を移して雲根を動かす。
橋をわたると野の景色が分かれて広がり、石を動かすと雲の根(山の石)が動くようだ。
7・8句暫く去りて還た此に来たらん、幽期言に負かず。
しばらくここを去るが、またここに来よう。世をはなれて静かに過ごそうという約束を、たがえはしない。

書き下し文と訳は一例です。とくに5・6句目と7・8句目は、解釈が分かれます。「僧」を賈島自身とみるか、ほかの僧とみるかも、読み方によってちがいます。

「題李凝幽居」は五言律詩(5字×8句)首聯閑居少鄰並草径入荒園頷聯鳥宿池辺樹僧敲月下門頸聯過橋分野色移石動雲根尾聯暫去還来此幽期不負言頷聯は対句:鳥↔僧 宿↔敲 池辺↔月下 樹↔門※偶数句の終わり(園・門・根・言)で韻をふむ(字は今の日本の字体に直したもの)
五言律詩は2句ずつ4つのまとまり(首聯・頷聯・頸聯・尾聯)。推敲の句は3・4句目の頷聯で、対句になっています

出典『唐詩紀事』と話の背景

「推敲」の話は、『唐詩紀事』のほか、いくつもの本に少しずつちがう形で伝わっています。どれが最初の形なのかは、はっきりしません。主なものを並べてみます。

  • 『唐詩紀事』巻40(宋・計有功):はじめに「僧推月下門」の句ができ、「推」を「敲」に改めようと迷った、という形。上で読んだ文です。
  • 『鑑誡録』巻8(五代・何光遠):行列に突っこんだ賈島が下ろされて韓愈の前に連れていかれ、韓愈が馬を止めてしばらく考え「敲の字佳し」と答える、ややくわしい形。二人が友だちになり、韓愈が賈島に詩を贈ったことまで書かれています。
  • 『苕溪漁隠叢話』(宋・胡仔)が引く『劉公嘉話』:「鳥宿池辺樹、僧敲月下門」の句を得て、「はじめは推の字にしようとし、また敲の字にしようとした」という形。
  • 『唐才子伝』(元・辛文房):李凝(本によっては「李余」)の住まいをたずねたときに句を得た、とする形。

また、宋の葛立方(かつりっぽう)の『韻語陽秋』は、この話について「このころ、賈島はとっくに韓愈と知り合いだったはずだ。知り合いでなければ、韓愈が敲の字をすすめたりするだろうか」と、話そのものを疑う意見を書いています。つまり、推敲の話は歴史の事実としては確かではない、伝説的な話とみられているのです。それでも、言葉を練ることの大切さを伝える話として、千年以上語りつがれてきました。

推敲の話の二人賈島かとう(字は浪仙)779年〜843年もとは僧(無本)一字に苦しむ「苦吟」の詩人韓愈かんゆ(字は退之)768年〜824年唐宋八大家の一人話の中では都の長官(京兆尹)詩の話をきっかけに身分をこえた友(布衣の交わり)に
賈島と韓愈。身分も年もちがう二人が、詩の1字をきっかけに語り合ったと伝えられています

賈島と韓愈はどんな人?

賈島(かとう、779年〜843年)は、唐の詩人です。若いころは僧で「無本(むほん)」と名のっていましたが、韓愈にすすめられて僧をやめ、科挙を受けたと伝えられます。ただ、科挙にはなかなか合格できず、生涯、低い役職にとどまりました。1字1句に苦しみながら詩を作る「苦吟(くぎん)」の詩人として知られ、同じく苦吟で知られる孟郊(もうこう)と並べて語られます。

韓愈(かんゆ、768年〜824年)は、唐を代表する文章家・詩人で、のちに「唐宋八大家(とうそうはちたいか)」の一人に数えられました。かざりの多い文章をやめて、古代のような力強い文章にもどろうという「古文」の運動を進めた人です。若い詩人を引き立てたことでも知られ、賈島もその一人でした。唐の文学の流れは中国文学史(唐詩・唐宋八大家)にまとめています。

サクラちゃん

サクラちゃん

本当にあった話じゃないかもしれないのに、どうしてこんなに有名なんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

それだけ、「1字にこだわる」という姿勢が、多くの人の心に残ったからだろうね。日本でも、文章を書く人は「推敲」という言葉を毎日のように使う。話が事実かどうかとは別に、言葉を大切にする心を伝える話として受けつがれてきたんだ。

「推敲」の使い方と例文・似た言葉

「推敲」は、名詞として「推敲を重ねる」「推敲の跡」、動詞として「推敲する」の形でよく使います。詩や文章など、言葉で表したものについて使うのが基本です。

  • ○読書感想文を書いたら、声に出して読みながら推敲しよう。(作文)
  • ○原稿には、作家が何度も推敲した跡が残っている。(作品)
  • ○入試の小論文は、書く前に構成を考え、最後に推敲の時間を残しておく。(試験)
  • ○一言一句推敲された美しい文章。(ほめ言葉)
  • ×旅行の計画を推敲する。(言葉で書いたもの以外には、ふつうは「練る」「見直す」を使う)
  • ×犯人がだれかを推敲する。(「推理する」「推測する」のまちがい)

似た言葉

  • 練る(文章を練る):何度も手を加えてよくすること。「推敲する」のやさしい言い方です。
  • 彫琢(ちょうたく):宝石を彫りみがくように、文章を美しく仕上げること。
  • 添削(てんさく):ほかの人が書いた文章を、書き足したりけずったりして直すこと。推敲は自分の文章、添削は人の文章に使うことが多いです。
  • 校正(こうせい):誤字や脱字、まちがいを探して直すこと。表現を練る推敲とは少しちがいます。
  • 一言一句(いちごんいっく):ひとつひとつの言葉。「一言一句ゆるがせにしない」のように、推敲する姿勢を表すときに使います。

反対の意味に近い言葉

  • 杜撰(ずさん):いいかげんで、手ぬきが多いこと。もとは、宋の詩人・杜黙(ともく)の詩がきまりに合わなかったことから、と言われます。くわしくは杜撰(ずさん)の意味と由来へ。
  • 書きっぱなし・やりっぱなし:書いたまま見直さないこと。

英語では、文章を推敲することを「polish(みがく)」「refine(洗練する)」「revise(改訂する)」などと言います。

作文・小論文を推敲するコツ

賈島のように1字で何日も悩む必要はありませんが、受験の作文や小論文でも推敲はとても大切です。次の順で見直すと、短い時間でも効果があります。

  • 声に出して(心の中で)読む:読みにくい所は、文が長すぎるか、言葉の順番がおかしい所です。
  • 1文を短くする:「〜が、〜ので、〜けれど」とつながる長い文は、2つに分けられないか考えます。
  • 同じ言葉のくり返しを探す:「とても」「思う」が何度も出てきたら、別の言い方に変えます。
  • 2つの言葉を比べる:「推す」と「敲く」のように、候補の言葉を並べて、場面に合うほうを選びます。
  • 最後に誤字・脱字を確かめる:表現を練り直したあとで、校正をします。

「推敲」のよくあるまちがい

「推敲」を書きまちがえない推敲敲=たたく文章を練る○推考推しはかる別の言葉×推稿稿=原稿この語はない×「敲」の右は攴(たたく形)。門をたたく字です
「推考」「推稿」はまちがい。「敲」は右側が「攴(たたく形)」の字です
  • 「推考」「推稿」と書く:正しくは推敲。「推考(すいこう)」は「推しはかって考える」という別の言葉です。「稿」は原稿の「稿」で、ここでは使いません。「敲」は常用漢字ではありません。「推」の読み方・書き順・部首・「稿」の読み方・書き順・部首も確かめましょう。
  • 「推理する」「推測する」の意味で使う:「推」の字につられて「おしはかる」意味だと思うのは誤り。推敲は文章を練り直すことです。
  • 「最初の句が敲で、推に直した」と覚える:『唐詩紀事』では、はじめが「推」、韓愈のすすめで「敲」です。詩の本文も「僧敲月下門」です。
  • 「敲」を「こう」と読めない:「敲」の音読みはこう、訓読みはたたく。「推」は音読みすい、訓読みおすです。
  • 「佳矣」の「矣」を読んでしまう:「矣」は置き字なので、書き下し文では読みません。「敲の字佳し」です。

入試ではこう出る

「推敲」は、中学受験から大学受験まで、いろいろな形で出てきます。

  • 中学受験:故事成語の意味を選ぶ問題、「すいこう」を漢字で書く問題(「推考」と書くまちがいが多い)。作文や記述問題でも「推敲する時間」は大切です。
  • 高校受験:書き下し文と現代語訳がついた漢文として出ることが多く、返り点のつけ方、「推」と「敲」がそれぞれどんな動作か、賈島が韓愈の行列にぶつかった理由がよく問われます。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:「未決」の再読文字、「欲」の読み方、「並轡」の意味。漢詩の形式(五言律詩・対句・押韻)と組み合わせて出ることもあります。共通テストの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

賈島が行列にぶつかった理由は、「推」と「敲」のどちらにするか考えるのに夢中で、まわりが見えていなかったから、と書けばいいですね!

練習問題

やさしい

  1. 「推敲」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 人の気持ちをおしはかること イ 詩や文章の字句を練り直すこと ウ 門をたたいて人をたずねること エ 詩を声に出して読むこと
    答えと解説を見るイ。詩や文章を、何度も考えてよりよく練り直すことです。
  2. 「すいこう」を漢字で書きましょう。また、「推」と「敲」の訓読みを答えましょう。
    答えと解説を見る推敲。「推」はおす、「敲」はたたく。「推考」と書かないように注意しましょう。

ふつう

  1. 「欲改推作敲」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る推を改めて敲と作さんと欲す。「欲」は最後に読み、「〜んと欲す」(〜しようと思う)となります。
  2. 賈島が韓愈の行列にぶつかってしまったのはなぜですか。
    答えと解説を見る詩の一句を「推す」にするか「敲く」にするかを考えるのに夢中で、手でしぐさをくり返し、まわりに気づかなかったから。

むずかしい

  1. 「未決」を書き下し文に直し、この「未」の読み方の特徴を説明しましょう。
    答えと解説を見る未だ決せず。「未」は再読文字で、はじめに「いまだ」と読み、下の字から返ってもう一度「ず」と読みます。意味は「まだ決まらない」。
  2. 「鳥宿池辺樹、僧敲月下門」の2句は、どのような表現の工夫がされていますか。
    答えと解説を見る「鳥」と「僧」、「宿」と「敲」、「池辺」と「月下」、「樹」と「門」がそれぞれ対応する対句になっている。五言律詩の3・4句目(頷聯)は対句にするのがきまりです。

「推敲」とあわせて覚えたい関連ページ

ほかの故事成語(絵で読む・意味と由来)

← 前の語:塞翁が馬の意味と由来 | 次の語:杞憂の意味と由来 →

読みもの(合格大作戦の記事)

受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう

よくある質問

推敲の意味を簡単に言うと何ですか?

詩や文章を作るとき、字句を何度も考えて練り直し、よりよいものにすることです。作文や原稿を見直して、表現をよくするときに使います。

推敲の由来となった話はどんな話ですか?

唐の詩人・賈島が、ロバの上で「僧は推す月下の門」の「推す」を「敲く」に変えるか迷い、都の長官・韓愈の行列にぶつかってしまいました。わけを聞いた韓愈は「敲の字がよい」と答え、二人は詩を語り合ったという話です。

推敲の出典は何ですか?

宋の計有功がまとめた『唐詩紀事』の巻40「賈島」の項がよく知られています。同じ話が『鑑誡録』『唐才子伝』などにも少しずつちがう形で伝わっていて、どれが最初の形かははっきりしません。

推敲の話に出てくる詩は何ですか?

賈島の五言律詩「題李凝幽居」です。3・4句目が「鳥は宿る池辺の樹、僧は敲く月下の門」で、この「敲く」が推敲の話の1字です。

推敲と校正はどうちがいますか?

校正は、誤字や脱字などのまちがいを探して直すことです。推敲は、まちがいでなくても、もっとよい言葉や表現がないかを考えて練り直すことです。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 原文:『唐詩紀事』巻40 賈島(四庫全書本、維基文庫の本文で確認)
  • 詩:賈島「題李凝幽居」(維基文庫の本文で確認)
  • 話のちがい:『鑑誡録』巻8・『唐才子伝』・『苕溪漁隠叢話』前集巻19(『劉公嘉話』を引用)・『韻語陽秋』巻3(いずれも維基文庫で確認)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • 絵:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦