霜のでき方を化学で解説|水蒸気が直接氷になる「凝華(昇華)」・放射冷却・露点、霜柱や露との違い【中学受験〜大学受験・図解】

この記事の結論

  • 霜は、空気中の水蒸気(気体)が、水にならずに直接氷(固体)になったもの。この変化を化学では凝華(ぎょうか)という(以前の教科書では「昇華」)
  • できる条件は、よく晴れて風の弱い夜に、放射冷却で地面や草が0℃以下に冷えること
  • 凝華は熱を出す変化。水1gあたり約2.8kJで、融解熱と蒸発熱を合わせた大きさ
  • 霜・霜柱・露・樹氷は、できる場所も状態変化もちがう。中学理科の露点・飽和水蒸気量、化学基礎の状態変化、地学の放射冷却で入試に出る

質問はこちら:中学受験の理科スレ/大学受験の化学スレ(100点BBS)

朝、草や車の窓が白くなっている「霜」。じつは空から降ってくるのではなく、その場で空気中の水蒸気が氷の結晶に変わったものです。この記事では、霜のでき方を化学(状態変化・熱)と地学(放射冷却)の両方から、図を使ってくわしく解説します。二十四節気の霜降(そうこう)は、ちょうど霜がおり始めるころです。

霜がついた赤い葉
霜がついた赤い葉。葉のふちに氷の結晶が育っている(写真:Gerda Arendt、Wikimedia Commons、CC0)

霜とは?気象庁の定義

気象庁は霜を「大気中の水蒸気が昇華して、地面又は地物に付着した氷の結晶」と定め、形は「うろこ状、針状、羽状又は扇子状」が一般的としています(気象庁「霜・結氷の観測」)。気象庁の文章では、気体→固体の変化も「昇華」と書かれています。

うろこ状針状羽状扇子状
霜の結晶のおもな形(気象庁の分類をもとに大学受験合格大作戦が作図)

天気予報では「霜が降る」ではなく「霜がおりる」と言います(気象庁 予報用語)。その年の秋から冬に初めておりる霜が初霜、春になってからおりる霜が遅霜(おそじも)です。

霜のでき方を3ステップで

① よく晴れた夜 ② 地面が0℃以下に ③ 水蒸気→氷の結晶 雲がない・風が弱い 熱が空へにげる(放射冷却) 地面・草 0℃以下 H₂OH₂OH₂OH₂OH₂O 空気中の水蒸気 凝華 霜(氷の結晶)
霜ができるまでの3ステップ(大学受験合格大作戦 作成)
ステップなにが起きる?キーワード
① よく晴れた、風の弱い夜雲がないので、地面の熱が空(宇宙)へにげやすい。風が弱いので、上の暖かい空気とまざらない放射冷却
② 地面や草が0℃以下に地面や草の表面がどんどん冷え、まわりの空気より冷たくなる0℃以下・露点(霜点)
③ 水蒸気が直接氷に冷えた表面にふれた水蒸気が、水滴にならずにそのまま氷の結晶になってくっつく凝華(昇華)

化学で見る霜:状態変化と「凝華」

水は温度によって固体(氷)・液体(水)・気体(水蒸気)の3つのすがた(三態)をとります。すがたが変わることを状態変化といい、6つの名前があります。

固体氷(霜)液体水(露)気体水蒸気 融解凝固 蒸発凝縮 昇華凝華(霜) 赤い矢印は熱を吸収する変化、青い矢印は熱を放出する変化
物質の三態と6つの状態変化(大学受験合格大作戦 作成)
変化向き熱身近な例
融解固体 → 液体吸収氷がとける
凝固液体 → 固体放出水が凍る
蒸発液体 → 気体吸収洗濯物がかわく
凝縮気体 → 液体放出露・冷たいコップの水滴
昇華固体 → 気体吸収ドライアイスが小さくなる・冷凍庫の氷がやせる
凝華気体 → 固体放出霜・冷凍庫の霜・樹霜
「昇華」と「凝華」:以前は、固体→気体も気体→固体も、どちらも「昇華」と呼んでいました。日本化学会の提案を受けて、2022年度からの高校の教科書(化学基礎)では、気体→固体を「凝華」と区別して書くものがあります(啓林館の用語解説など)。気象庁の定義や中学校の教科書・参考書では「昇華」と書かれていることもあるので、両方の言い方を知っておくと安心です。

霜ができると熱が出る?状態変化と熱の出入り

水蒸気の水分子は、ばらばらに飛び回っていて大きなエネルギーをもっています。それが氷の結晶にならぶとき、あまったエネルギーを熱として出します。凝華で出る熱(=昇華熱と同じ大きさ)は、融解熱と蒸発熱を足したくらいです。

水1gあたり(0℃付近のおよその値)。上ほどエネルギーが大きい 水蒸気(気体) 水(液体) 氷(固体)・霜 融解熱 約0.33kJ 蒸発熱 約2.5kJ 凝華(霜ができる)約2.8kJ の熱を出す =融解熱+蒸発熱
水1gの状態変化と熱の大きさ(0℃付近のおよその値。大学受験合格大作戦 作成)
熱水1gあたり(0℃付近、およそ)意味
融解熱約0.33kJ氷→水で吸収する熱
蒸発熱約2.5kJ水→水蒸気で吸収する熱
昇華熱約2.8kJ(=融解熱+蒸発熱)氷→水蒸気で吸収する熱。凝華(水蒸気→氷)ではこの熱を放出

値は教科書や資料によって少しちがいます。入試では「昇華熱 = 融解熱 + 蒸発熱」(ヘスの法則の考え方)が大事です。

なぜ水にならずに氷になる?露点と飽和水蒸気量

空気が水蒸気をふくめる量には限りがあり、これを飽和水蒸気量といいます。気温が下がるほど小さくなります。空気を冷やして水蒸気が飽和する温度が露点です。

-10℃0℃10℃20℃30℃010203010℃・水蒸気4.8g/m³の空気0℃で飽和=露点0℃0℃以下→霜ができる飽和水蒸気量(空気1m³にふくむことができる水蒸気の最大量、g)
飽和水蒸気量のグラフ(中学校の教科書でよく使われる値。大学受験合格大作戦 作成)
気温-10℃-5℃0℃5℃10℃15℃20℃25℃30℃
飽和水蒸気量(g/m³)2.13.34.86.89.412.817.323.130.4
  • 露点が0℃より高いとき:地面がその温度まで冷えると、水蒸気は水滴(露)になります。
  • 露点が0℃以下のとき:地面が0℃以下に冷えると、水蒸気は水滴にならず、直接氷(霜)になります。氷の上では、水の上よりも少ない水蒸気で飽和するため、氷の結晶がどんどん育ちます。

このように、0℃以下で氷として飽和する温度を霜点(そうてん)と呼ぶこともあります。

放射冷却:晴れた夜ほど冷えこむわけ

晴れた夜:冷えこむ曇りの夜:冷えにくい 熱が宇宙へにげる 雲が熱を返す 地面 0℃以下 → 霜 地面 0℃より上 → 霜は少ない
晴れた夜と曇りの夜のちがい(大学受験合格大作戦 作成)

地面は、昼は太陽の光で温まり、夜は赤外線として熱を空へ出し続けます。これが放射冷却です。

  • 晴れた夜:雲がないので、熱が宇宙へにげて、地面がどんどん冷えます。
  • 曇りの夜:雲が熱を受け止めて地面へ返すので、冷えにくくなります。
  • 風が強い夜:上の暖かい空気がまざるので、地面だけが冷えることが少なくなります。

地面の近くがいちばん冷たい

0℃地上1.5m:予報・観測の気温(0℃より上)地面の近く:0℃以下 → 霜1.5m地面気温(左ほど低い・右ほど高い)↑高さ晴れて風の弱い朝の、高さと気温(イメージ)
地面近くと観測する高さ(地上1.5m)の気温(大学受験合格大作戦 作成)

天気予報の気温は、気象庁が地上1.5mの高さで観測した値です。晴れて風の弱い朝は、地面の近くがいちばん冷えるので、予報の最低気温が0℃より高くても霜がおりることがあります。

霜がおりやすい条件チェック

条件理由
よく晴れている雲がなく、放射冷却が強くなる
風が弱い暖かい空気がまざらず、地面近くだけが冷える
移動性高気圧におおわれた秋・春の朝晴れて風が弱くなりやすい
盆地・くぼ地・谷の底冷えた重い空気がたまりやすい
草の上・車の窓・屋根熱をためにくく、空へ熱をにがしやすいので先に冷える
空気が乾きすぎていない水蒸気が少なすぎると、霜になる材料が足りない

霜・霜柱・露・樹氷のちがい

霜水蒸気→氷空気から(凝華)霜柱土の中の水→氷地面の下から露水蒸気→水滴空気から(凝縮)樹氷霧の水滴→氷木に凍りつく
霜・霜柱・露・樹氷のちがい(大学受験合格大作戦 作成)
名前もとになる水状態変化できる場所
霜空気中の水蒸気気体 → 固体(凝華)地面・草・窓などの表面
霜柱土の中の水液体 → 固体(凝固)土の表面から上へ柱のように伸びる
露空気中の水蒸気気体 → 液体(凝縮)草の葉など(0℃より上)
樹氷霧などの過冷却の水滴液体 → 固体(凍結)木の枝などに風上へ伸びる
雪雲の中の水蒸気気体 → 固体(凝華)が雲の中で空から降ってくる

霜柱は名前が似ていますが、空気ではなく土の中の水が凍ってできます。地面の表面で凍った水のところへ、土の中の水が吸い上げられて次々と凍り、柱のように伸びます。二十四節気の白露は「露」、霜降は「霜」がテーマです。

身近な霜:冷凍庫・車の窓

身近な例なにが起きている?
冷凍庫の壁の霜開け閉めで入った空気中の水蒸気が、冷たい壁にふれて凝華する
冬の朝の車のフロントガラス夜の放射冷却でガラスが0℃以下になり、水蒸気が凝華して白くなる
冷たい飲みものの缶の水滴缶のまわりの空気が露点以下に冷え、水蒸気が凝縮する(こちらは露のなかま)
冷凍庫の氷がだんだん小さくなる氷が水蒸気になる昇華

霜の害と防ぎ方

春の遅霜は、茶の新芽や果樹の花・野菜に被害を出すことがあります。気象台は霜で農作物に被害が出そうなとき「霜注意報」を出します(発表の基準は地域ごとにちがいます)。

茶畑で見かける防霜ファンは、晴れた夜に地面近くより上のほうが暖かくなる性質を使い、上の暖かい空気を下へ送って新芽が冷えすぎないようにする道具です。

中学受験レベル:ここまで覚えよう

中学入試の理科では、小学校で学ぶ「水のすがたの変化」や「天気のようす」をもとに、霜や露が出題されます。むずかしい言葉より、しくみを自分の言葉で説明できることが大切です。

覚えることポイント
水の3つのすがた氷(固体)・水(液体)・水じょう気(気体)。水は0℃でこおり、100℃でふっとうする
水じょう気は目に見えない湯気(ゆげ)は水じょう気が冷えて小さな水てきになったもので、目に見える
露(つゆ)空気中の水じょう気が冷えて水てきになったもの。冷たいコップの外側の水てきと同じなかま
霜(しも)空気中の水じょう気が、0℃以下に冷えたものにふれてそのまま氷になったもの
霜柱(しもばしら)土の中の水がこおって、柱のようにのびたもの。霜とはでき方がちがう
霜ができやすい日よく晴れて風の弱い冬の朝。雲がないと、地面の熱が空へにげて冷えるため

中学入試によく出る問い

  1. 冷たい水を入れたコップの外側に水てきがつくのはなぜですか。
  2. 霜ができやすいのは、くもった朝と晴れた朝のどちらですか。理由も答えなさい。
  3. 霜と霜柱のちがいを説明しなさい。
答えの例を見る
  1. コップのまわりの空気が冷やされ、空気中の水じょう気が水てきになって、コップの表面につくから。
  2. 晴れた朝。雲がないと夜のあいだに地面の熱が空へにげて、地面が0℃以下に冷えやすいから。
  3. 霜は空気中の水じょう気がそのまま氷になったもの、霜柱は土の中の水がこおってのびたもの。

大学受験レベル:ここまで理解しよう

大学入試の化学では、霜を「状態図」と「熱化学」で考えます。地学では、晴れた夜の放射冷却と接地逆転層(地面近くのほうが上空より冷たい空気の層)がテーマになります。

テーマポイント
状態図と三重点水の三重点は約0.01℃・約611Pa。水蒸気の分圧がこれより低い条件では、水蒸気は液体を通らずに固体(氷)になる。霜は、冷えた表面のまわりで水蒸気の分圧が氷の飽和蒸気圧をこえたときに育つ
氷と水の飽和蒸気圧0℃より低い温度では、氷の飽和蒸気圧は過冷却の水より小さい。そのため水蒸気は氷の上に集まりやすく、結晶が育つ(雲の中で雪が育つしくみと同じ考え方)
熱化学昇華熱 = 融解熱 + 蒸発熱(ヘスの法則)。凝華は発熱(エンタルピーが減る)
地学晴れて風の弱い夜は放射冷却で地表が冷え、接地逆転層ができる。防霜ファンは上の暖かい空気を下へ送る

例題(化学)

水蒸気9.0gが、0℃で霜(氷)になるとき、何kJの熱が出ますか。水のモル質量を18g/mol、0℃での融解熱を6.0kJ/mol、蒸発熱を45kJ/molとします。

答えを見る

物質量は 9.0 ÷ 18 = 0.50mol。凝華で出る熱は昇華熱と同じ大きさで、6.0 + 45 = 51kJ/mol。よって 51 × 0.50 = 25.5 ≒ 26kJ(熱を放出)。

霜について質問・情報交換するスレ(100点BBS)
覚え方のコツやわからないところを書き込めます。
中学受験:【理科】霜のでき方スレ大学受験:【化学】霜のでき方スレ

受験に出る霜(教科別まとめ)

教科ポイント
化学基礎気体→固体は凝華(以前は昇華)。凝華・凝縮・凝固は熱を放出、昇華・蒸発・融解は吸収
化学昇華熱=融解熱+蒸発熱。状態図(三重点より低い圧力では、氷と水蒸気が直接変化する)
中学理科(2年 天気)露点・飽和水蒸気量・湿度の計算。露点が0℃以下なら霜になる
地学基礎晴れた夜の放射冷却、移動性高気圧と冷えこみ
物理熱の移動(伝導・対流・放射)。夜の地面は放射で熱を失う
国語・季語霜降(そうこう)、霜月(11月)、「霜」は冬の季語。「霜がおりる」

例題(中学理科)

気温10℃の空気1m³に、水蒸気が4.8gふくまれています。この空気の湿度は何%ですか。また、この空気が冷えると、何℃で水滴や霜ができ始めますか(飽和水蒸気量は上の表を使う)。

答えを見る

湿度 = 4.8 ÷ 9.4 × 100 ≒ 51%。水蒸気量4.8g/m³が飽和水蒸気量になる温度は0℃なので、露点は0℃。0℃より冷えた地面では、水蒸気が直接氷になって霜ができます。

霜のことば

ことば意味
霜降(そうこう)二十四節気の18番目。霜がおり始めるころ。2027年は10月24日
初霜その年の秋から冬にかけて初めておりる霜
遅霜(おそじも)・晩霜春になってからおりる霜。農作物の被害に注意
霜月(しもつき)旧暦11月の呼び名
霜柱土の中の水が凍って柱のように伸びたもの(冬の季語)
霜降り(しもふり)牛肉の脂が霜のように入ったようす。霜降(そうこう)と読み方がちがう
二十四節気の霜降(そうこう)とは?意味・七十二候・2027年はいつもあわせてどうぞ。紅葉のしくみは霜降と紅葉へ。

よくある質問

霜はどうやってできるのですか?

よく晴れて風の弱い夜に、放射冷却で地面や草が0℃以下に冷え、そこにふれた空気中の水蒸気が水にならずに直接氷の結晶になってできます。

霜ができる変化は昇華ですか、凝華ですか?

気体から固体への変化で、2022年度からの高校の教科書(化学基礎)では「凝華」と書くものがあります。以前の教科書や気象庁の定義では「昇華」と書かれています。

霜と霜柱のちがいは?

霜は空気中の水蒸気が氷になったもの、霜柱は土の中の水が凍って柱のように伸びたものです。もとになる水も状態変化もちがいます。

霜と露のちがいは?

どちらも空気中の水蒸気からできますが、0℃より上で水滴になるのが露(凝縮)、0℃以下で直接氷になるのが霜(凝華)です。

気温が0℃より高くても霜はおりますか?

おりることがあります。天気予報の気温は地上1.5mで観測した値で、晴れて風の弱い朝は地面の近くのほうが冷えるためです。

霜ができると熱は出ますか?

出ます。水蒸気が氷になる凝華は熱を放出する変化で、水1gあたり約2.8kJ(融解熱と蒸発熱の合計くらい)です。

中学受験では霜について何を覚えればよいですか?

水の3つのすがた、霜は空気中の水じょう気がそのまま氷になったもの、霜柱は土の中の水がこおったもの、霜はよく晴れて風の弱い冬の朝にできやすいこと、の4つが基本です。

大学受験の化学では霜はどう出ますか?

状態変化(凝華)と熱化学(昇華熱=融解熱+蒸発熱)、水の状態図(三重点 約0.01℃・約611Pa)として出題されます。

「霜が降りる」と「霜がおりる」はどちらが正しい?

気象庁の予報用語では「霜がおりる」を使います。霜は空から降ってくるのではなく、その場でできるためです。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 気象庁「霜・結氷の観測」(霜の定義と形)
  • 気象庁 予報用語「氷・霜・雪…に関する用語」(霜がおりる・初霜・遅霜)
  • 啓林館 高等学校 化学基礎(2022年度〜)用語の解説(気体→固体を凝華)
  • 飽和水蒸気量・融解熱・蒸発熱は中学校・高校の教科書で使われるおよその値
  • 写真:Gerda Arendt「Red leaves wih frost, Ehrenbach」(Wikimedia Commons、CC0)

最終更新:2026年10月10日/作成:大学受験合格大作戦

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