合格大作戦 数学用語辞典 › 集合と論理
大学受験
数学的帰納法とは
自然数 についての命題を、[1] のとき成り立つ、[2] のとき成り立てば のときも成り立つ、の2つを示して、すべての自然数 で成り立つと証明する方法です。
うかるくん
数学的帰納法って、[1] とか [2] とか、何をしているのかよく分からないんです…
合格先生
ドミノ倒しを思い出そう。「1枚目が倒れる」が [1]、「倒れたら次も倒れる」が [2]。この2つで、全部倒れると言えるんだ。
この用語のポイント
- [1] で成り立つ+[2] なら の2つを示す
- ドミノ倒しと同じしくみ。[1] を省くと証明にならない
- 出発点は とは限らない( なら から)
やさしく言うと
数学的帰納法は、「最初が正しい」と「1つ正しければ次も正しい」の2つから、全部が正しいと言う証明の方法です。身近なたとえで考えてみましょう。
- ドミノ倒し:ドミノが全部倒れることを言うのに、1枚ずつ見る必要はありません。「1枚目が倒れる」「どのドミノも、倒れたら次を倒す」の2つが言えれば、全部倒れます。
- はしご:「1段目には上れる」「どの段にいても、次の段に上れる」なら、何段目でも上れます。100段目に行けるかを、100段ぶん試す必要はありません。
- うわさの伝わり方:「1番の人が知っている」「知った人は、必ず次の番号の人に伝える」なら、列の全員にうわさが届きます。
数学の言葉にすると、次の2つを示します。
- [1] のとき成り立つ(1枚目が倒れる)
- [2] のとき成り立つと仮定すると、 のときも成り立つ(倒れたら次も倒れる)
まとめると、数学的帰納法は「出発点」と「次へ進むしくみ」の2つで、無限に続く自然数を全部まとめて証明する方法です。
数学的帰納法を使う場面
○ 使える
- 自然数 についての等式:( を1つずつ進められる)
- 自然数 についての不等式: のとき (出発点を にする)
- 倍数の証明: は 3 の倍数( を で表せる)
- 漸化式から予想した一般項 の証明( を で表せる)
- 個の数についての不等式や、 角形の対角線の本数など( を 1 ずつふやして考えられる)
× 数学的帰納法にならないもの
- 実数 についての命題( には「次の数」がないので、順にたどれない)
- で確かめただけ(いくつ確かめても、それだけでは証明ではない)
- [2] だけ示して [1] を確かめていないもの(出発点がない)
- 「 で成り立つ」を最初から正しいとして使ったもの(示したいことを使っている)
- 1 つの具体的な式 の確認(自然数 全体の話ではない)
ポイントは、自然数のように「1, 2, 3, …」と順番にたどれるものについて使う、ということです。数学的帰納法は、高校の数学B(数列)で、漸化式や和の公式とセットで習います。
図で見る
[1] と [2] がどうつながって「すべての 」になるのかを、図で見てみます。[1] で を確かめたら、[2] を として使うと 、もう一度 として使うと …と、次々に成り立つことが伝わります。うかるくん
[2] で「 のとき成り立つと仮定する」って、まだ示していないことを使っていて、ずるくないですか?
合格先生
[2] で示しているのは「もし で成り立つなら、 でも成り立つ」というつながりだけなんだ。 で本当に成り立つかは、[1] から順にたどれば分かる。だから [1] と [2] がそろって、はじめて証明になるんだよ。
等式 の [2] のしくみも、図にするとよく分かります。1 辺が の正方形( 個)に、次の奇数 個を L 字につけ足すと、1 辺が の正方形になります。
証明の書き方
例として、 …(*) を証明します。答案は、次の形で書くのが基本です。
[1] のとき、左辺 、右辺 なので、(*) は成り立つ。
[2] のとき (*) が成り立つ、つまり と仮定する。 のとき、左辺は
となり、 のときも (*) は成り立つ。
[1]、[2] より、すべての自然数 について (*) は成り立つ。| 書くこと | 中身 | ドミノでいうと |
|---|---|---|
| [1] | 出発点の (ふつうは 1)で、両辺を計算して成り立つことを示す | 1枚目が倒れる |
| [2] の仮定 | 「 のとき成り立つ」と仮定し、その式を書く | k枚目が倒れたとする |
| [2] の本体 | の式を、仮定を使って変形して示す | k+1枚目も倒れる |
| 結論 | 「[1]、[2] より、すべての自然数 で成り立つ」 | 全部倒れる |

合格先生
[2] では、どこで仮定を使ったかがはっきり見えるように書こう。そこが採点のポイントだ!
いろいろな形の帰納法
基本は [1]・[2] の2段ですが、問題によって少し形が変わります。
- 出発点が 1 でない:「 のとき 」なら、[1] は で確かめ、[2] は として示します。下の図のように、 では で成り立たないので、出発点を正しく選ぶことが大事です。
- 2つ前までを仮定する: のように、前の2つの項から次が決まる数列では、[1] で の2つを確かめ、[2] で「 のとき成り立つ」と仮定して を示す形を使います。
- それまで全部を仮定する:「 のすべてで成り立つ」と仮定して を示す形もあります。大学入試の整数問題などで出てきます。
「数学的」とつく理由
ふつうの「帰納」は、たくさんの例を観察してきまりを推測することです(理科の実験など)。推測なので、例外が見つかる可能性が残ります。
数学的帰納法は名前に「帰納」とつきますが、例を集める方法ではありません。[1] と [2] からすべての について確実に言える、正式な証明です。区別するために「数学的」とつけています。英語では mathematical induction(induction は「帰納」の意味)といいます。
テスト・入試ではこう出る
数学的帰納法は、高校の数学B(数列)で習います。定期テストでは和の等式の証明、大学入試では倍数の証明、不等式の証明、漸化式で予想した一般項の証明がよく出ます。[1]・[2]・結論の形がそろっているかも採点されます。
例題1(倍数の証明)
すべての自然数 について、 は 3 の倍数であることを証明しなさい。
[1] のとき、 は 3 の倍数。
[2] のとき成り立つ、つまり ( は整数)と仮定する。 のとき、
- と、仮定の形 を取り出す。
- 仮定より なので、。
- で、 は整数。よって 3 の倍数。
例題2(不等式の証明)
5 以上のすべての自然数 について、 が成り立つことを証明しなさい。
[1] のとき、、 で、 なので成り立つ。
[2] として、 のとき が成り立つと仮定する。
- (仮定を使う)。
- あとは を示せばよい。。
- なので 。
- よって となり、 のときも成り立つ。
まちがえやすい点

合格先生
[1] の の確認を忘れたら証明にならない!
- [1] を省く:「 は偶数」は、 で偶数と仮定すると も偶数になり、[2] は通ります。でも で (奇数)なので、実は1つも成り立ちません。[1] がないと証明になりません。
- 示したい式を先に使う:[2] で使ってよい仮定は「 のとき」だけです。 の式を正しいものとして両辺を変形し、「 になったから正しい」とするのは×。左辺から右辺へ、一方向に変形します。
- 出発点をいつも にする:「 のとき 」なら、[1] は ()から始めます。 では で成り立ちません。
- のときの「次の項」をまちがえる: の次の項は、 の を にした です。 や とするのは×。
- 仮定を使わずに終わる:[2] で仮定を1回も使っていないなら、どこかがおかしいか、帰納法を使う必要がない問題です。どこで仮定を使ったかを確かめましょう。
ミニ問題
問題1 を数学的帰納法で証明します。[2] で のとき成り立つと仮定したとき、 のときの左辺を の式で表し、右辺と等しくなることを確かめましょう。
答えと解き方を見る
のときの左辺は、 に次の項 を足したものです。仮定より
右辺は を代入した なので、等しくなります。 でくくるのがコツです。
問題2 式 に を代入すると、どれも素数になります。では「すべての自然数 で素数」と言ってよいでしょうか。
答えと解き方を見る
言えません。 のとき で、41 で割り切れるので素数ではありません。40 個確かめても、それは例を集めただけです。すべての について言うには、数学的帰納法などの証明が必要です(この式は [2] が示せないので、帰納法でも証明できません)。
問題3 、 で決まる数列は、 となるので、 と予想できます。この予想が正しいことを数学的帰納法で示しましょう。
答えと解き方を見る
[1] のとき、 で成り立つ。
[2] のとき と仮定すると、漸化式より 。これは のときの予想の式そのものなので、成り立つ。
よって、すべての自然数 で です。「予想 → 帰納法で確かめる」は漸化式の問題でよく使う流れです。

うかるくん
予想した式を、帰納法できっちり証明する。漸化式の問題がぐっと楽になった!
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
数学的帰納法とは何ですか?
n=1で成り立つことと、n=kで成り立てばn=k+1でも成り立つことの2つを示して、すべての自然数nで成り立つと証明する方法です。
なぜドミノ倒しにたとえるのですか?
1枚目が倒れ、どのドミノも倒れたら次を倒すなら、全部倒れるからです。これが数学的帰納法の2つの段階にあたります。
n=1 の確認は必要ですか?
必要です。n=kからn=k+1への部分だけが正しくても、出発点がなければ1つも成り立たない場合があります。
n=k で成り立つと仮定してよいのはなぜですか?
示しているのは「kで成り立てばk+1でも成り立つ」というつながりだからです。kで本当に成り立つことは、n=1から順にたどることで保証されます。
いくつかの n で確かめれば証明になりますか?
なりません。n²−n+41 は n=1〜40 で素数ですが、n=41 では41²で素数ではありません。例をいくつ集めても証明にはなりません。
数学的帰納法は何年生で習いますか?
高校の数学B(数列)で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学B(数列)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


