合格大作戦 数学用語辞典 › 数と式
大学受験
漸化式とは
数列の前の項から次の項を作るルールを表した式です。たとえば an+1=2an−1 のような式で、初項と漸化式がそろうと数列のすべての項が決まります。
読み方:ぜんかしき/英語:recurrence relation/習う学年:数学B(数列)

うかるくん
漸化式って、一般項と何がちがうんですか?
![合格先生]()
合格先生
一般項は番号から直接求める式、漸化式は前の項から次の項を作る式だよ。漸化式を解いて一般項を出す、という流れなんだ。
この用語のポイント
- 漸化式は前の項から次の項を作るルール
- 初項+漸化式で数列が全部決まる
- an+1=pan+q は α=pα+q を使って等比数列の形に
やさしく言うと
漸化式は、「前の項から次の項を作るルール」を表した式です。「漸」は「だんだん、少しずつ」という意味です。1 つ前の値を受け取って、次の値へ渡していくイメージです。
- 貯金:今月の貯金は「先月の貯金+1000 円」。式にすると an+1=an+1000 です。
- ふえる細菌:1 時間ごとに数が 2 倍になるなら、「次の 1 時間後の数=今の数×2」で an+1=2an です。
- 預金の利息:1 年ごとに 1% の利息がついて、それも元金にふくめていくなら、an+1=1.01an です。1 万円なら 10000 → 10100 → 10201 → … と増えます。
どの例も、ルールだけでは「最初にいくらあったか」が決まりません。スタート(初項)とルール(漸化式)の 2 つがそろうと、数列が全部決まります。
初項 a1=3 と漸化式 an+1=2an−1 で 3, 5, 9, 17, 33, …![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
スタートとルールがあれば、何番目の項でも順番に作れるんだ!
漸化式の例
○ 漸化式
- an+1=an+3(3 をたす → 等差数列)
- an+1=2an(2 倍する → 等比数列)
- an+1=2an−1(2 倍して 1 を引く)
- an+1=an+n(たす数が番号で変わる)
- an+2=an+1+an(2 つ前まで使う。フィボナッチ数列)
- an+1=an+1an(分数の形でもよい)
× 漸化式ではないもの
- an=3n−1(番号から直接求める式。これは一般項)
- Sn=n2(和を表す式)
- a5=13(1 つの項の値を言っているだけ)
- 1, 4, 7, 10, …(数の並びそのもの。数列)
- y=2x−1(関数の式で、項の番号がない)
漸化式は「となりの項どうしの関係」、一般項は「番号 n から直接求める式」です。式の中に an+1 と an のように番号のちがう項が両方出てくるかどうかが見分けるポイントです。
図で見る
漸化式と一般項は、同じ数列を 2 通りに表したものです。ちがいは、目的の項へのたどり着き方です。
漸化式は 1 段ずつ、一般項は番号から直接。a₁₀ は 1025漸化式は、階段を 1 段ずつのぼるようなものです。a10 がほしければ、a2, a3, … と 9 回計算しなければなりません。一般項がわかれば、n=10 を代入するだけです。そこで、漸化式から一般項を求めることを「漸化式を解く」といいます。
![サクラちゃん]()
サクラちゃん
一般項のほうが便利なら、最初から一般項で書けばいいのに、どうして漸化式を使うんですか?
![合格先生]()
合格先生
現実の問題では、「次はどうなるか」というルールのほうが先に見つかることが多いんだ。貯金や細菌の例もそうだったよね。ルールを式にしたのが漸化式、それを解いて番号の式にしたのが一般項なんだ。
よく出る形と解き方の考え方
3 つ目の「階差型」は、となりどうしの差が番号 n の式になっている形です。差を並べた数列を階差数列といい、それを Σ でたし合わせると一般項が出ます。
1, 2, 4, 7, 11, 16 の差は 1, 2, 3, 4, 5。差をたしていけば一般項になる図の数列は an+1=an+n、a1=1 です。an=1+(1+2+⋯+(n−1))=1+2n(n−1) となり、n=6 で 1+15=16 と図に合います。ただし、この式は「差を n−1 個たす」ので n≧2 のときの式です。n=1 でも成り立つか、最後に確かめます。
a(n+1)=pa(n)+q 型と特性方程式
4 つ目の形は、入試でいちばんよく出ます。図 1 の an+1=2an−1 で考えます。
α=2α−1 より α=1。もとの式からこの式を引くと an+1−1=2(an−1) になります。つまり an−1 は初項 3−1=2、公比 2 の等比数列です。よって an−1=2⋅2n−1、つまり an=2n+1。n=4 で 17 となり、図と合います。
この α=pα+q を特性方程式とよぶことがあります。α は、ルールを当てはめても変わらない数です。数列がある値に近づくときは、その値がこの α になります。
an+1=2an+1 の数列は、α=2 に近づいていく図の数列は 6, 4, 3, 2.5, 2.25, … と、2 との差が毎回半分になります。an+1−2=21(an−2) と変形できるからです。
![「ここが大事!」と説明する合格先生]()
合格先生
特性方程式の α は「動かない数」。α との差が等比数列になる、と覚えよう!
テスト・入試ではこう出る
漸化式は高校の数学B(数列)で習います。定期テストでは等差型・等比型・階差型・an+1=pan+q 型の一般項を求める問題、大学入試ではそれに加えて、文章題から漸化式を自分で立てる問題や、数学的帰納法と組み合わせた問題がよく出ます。
例題1(階差型)
a1=1、an+1=an+2n で決まる数列 {an} の一般項を求めなさい。
- となりの差が 2n なので階差数列の型。n≧2 のとき、an=a1+k=1∑n−12k。
- k=1∑n−12k=2×2(n−1)n=n(n−1)
- an=1+n(n−1)=n2−n+1
- n=1 のとき 1−1+1=1=a1 なので、n=1 でも成り立つ。
答え an=n2−n+1(たしかめ:1, 3, 7, 13 と順に計算した値に一致)
例題2(an+1=pan+q 型)
a1=1、an+1=3an+2 で決まる数列 {an} の一般項を求めなさい。
- an+1 と an を α におきかえた式 α=3α+2 を解くと、α=−1。
- もとの式から α=3α+2 を引くと、an+1−α=3(an−α)、つまり an+1+1=3(an+1)。
- an+1 は、初項 a1+1=2、公比 3 の等比数列。よって an+1=2⋅3n−1。
- an=2⋅3n−1−1
答え an=2⋅3n−1−1(たしかめ:a2=3×1+2=5、式では 2×3−1=5)
どの型でも、答えが出たら n=1, 2 を代入して、順に計算した値と合うかを確かめると、計算ミスにすぐ気づけます。
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
漸化式だけでは数列は決まらない! 初項を必ずセットで。
- 漸化式だけで数列が決まると思う:an+1=2an−1 でも、a1=3 なら 3, 5, 9, …、a1=1 なら 1, 1, 1, … です。初項が必要です。
- α を答えに書く:α=pα+q は式を変形するための道具です。答えは an を n の式で表したものです。
- 等比数列の初項をまちがえる:an+1+1=3(an+1) のとき、等比数列 {an+1} の初項は a1 ではなく a1+1 です。例題2なら 1 ではなく 2 です。
- 階差数列で n=1 を確かめない:an=a1+k=1∑n−1bk は n≧2 のときの式です。n=1 でも成り立つか、最後に確かめます。
- Σ の上の数を n にする:階差型でたすのは b1 から bn−1 までの n−1 個です。k=1∑n にすると 1 つ多くたしてしまいます。
ことばの由来・歴史
「漸」は「しだいに、だんだん」という意味の漢字で、「漸近線」の「漸」と同じです。項が 1 つずつ順に決まっていく様子を表しています。英語では recurrence relation(リカレンス・リレーション)といい、recurrence は「くり返し起こること」という意味です。同じルールをくり返し使って項を作るので、この名前があります。
有名な漸化式に、an+2=an+1+an で決まるフィボナッチ数列(1, 1, 2, 3, 5, 8, …)があります。イタリアのフィボナッチが 1202 年の本『算盤の書』で、うさぎがふえていく問題として紹介したことで知られています。
ミニ問題
問題1 a1=5、an+1=an−2 で決まる数列の a4 と、一般項 an を求めましょう。
答えと解き方を見る
a4= −1、一般項は an=7−2n です。
順に計算すると 5, 3, 1, −1 なので a4=−1。毎回 2 を引くので、初項 5、公差 −2 の等差数列です。an=5+(n−1)×(−2)=7−2n。たしかめ:n=4 で 7−8=−1 です。
問題2 a1=1、an+1=2an+1 で決まる数列の一般項を求めましょう。
答えと解き方を見る
an=2n−1 です。
- α=2α+1 を解くと α=−1。
- 漸化式は an+1+1=2(an+1) と変形できる。
- an+1 は初項 a1+1=2、公比 2 の等比数列なので、an+1=2⋅2n−1=2n。
たしかめ:1, 3, 7, 15 と、2n−1 の 1, 3, 7, 15 が一致します。この数列は「ハノイの塔」で円盤を動かす最少の回数としても有名です。
問題3 a1=2、an+1=an+2n で決まる数列の一般項を求めましょう。
答えと解き方を見る
an=2n です。
- となりの差が 2n なので、階差数列の型。n≧2 のとき an=a1+k=1∑n−12k。
- k=1∑n−12k=2+4+⋯+2n−1=2n−2(等比数列の和)。
- an=2+(2n−2)=2n。
- n=1 のとき 21=2=a1 なので、n=1 でも成り立つ。
たしかめ:2, 4, 8, 16 と順に計算した値と一致します。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
漸化式とは何ですか?
数列の前の項から次の項を作るルールを表した式です。初項とあわせると、数列のすべての項が決まります。
漸化式と一般項のちがいは何ですか?
漸化式はとなりの項どうしの関係を表す式、一般項は番号nから直接その項を求める式です。
「漸化式を解く」とはどういう意味ですか?
漸化式と初項から、一般項(番号nの式)を求めることです。
特性方程式とは何ですか?
aₙ₊₁=paₙ+q 型の漸化式で、aₙ₊₁ と aₙ を α に置きかえた式 α=pα+q のことです。この α を使うと等比数列の形に変形できます。
階差数列の型で n=1 を確かめるのはなぜですか?
a₁ に差をたしていく式は、差を n−1 個たすので n≧2 のときの式だからです。n=1 でも成り立つかを最後に確かめます。
漸化式は何年生で習いますか?
高校の数学B(数列)で習います。数学的帰納法と一緒に学ぶことが多い内容です。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学B(数列)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦