正規分布とは?標準化と正規分布表をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

正規分布とは?標準化と正規分布表をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

合格大作戦 数学用語辞典 › 確率・統計

大学受験

正規分布とは

平均を中心に左右対称な、つりがね形の確率分布です。平均 mm、標準偏差 σ\sigma の正規分布を N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2) と書きます。平均から ±1σ\pm1\sigma に約 68%、±2σ\pm2\sigma に約 95% が入ります。

読み方:せいきぶんぷ/英語:normal distribution/習う学年:数学B(統計的な推測)

サクラちゃん

サクラちゃん

正規分布の問題って、毎回ちがう平均と標準偏差が出てきて、表をどう使えばいいかわかりません…

合格先生

合格先生

まず標準化して、平均 0・標準偏差 1 の分布に直すんだ。そうすれば、どんな正規分布も同じ 1 枚の表で計算できるよ。

この用語のポイント

  • 正規分布 = 平均 mm で最も高い、左右対称のつりがね形。N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2)
  • ±1σ\pm1\sigma に約 68%、±2σ\pm2\sigma に約 95%、±3σ\pm3\sigma に約 99.7%
  • 標準化 Z=X−mσZ=\dfrac{X-m}{\sigma} で N(0, 1)N(0,\ 1) に直し、正規分布表を読む

やさしく言うと

正規分布は、平均のまわりにいちばん多く集まり、平均から遠いほど少なくなる、左右対称のつりがね形の分布です。自然や社会のいろいろな「ばらつき」が、この形に近くなります。

  • 身長:同じ年れいの人の身長は、平均くらいの人がいちばん多く、とても高い人・とても低い人は少なくなります。人数をグラフにすると、つりがね形に近い山になります。
  • 測定の誤差:同じものの長さを何回も測ると、少しずつずれた値が出ます。小さなずれがたくさん重なってできる誤差は、正規分布に近くなることが知られています。
  • コインの表の回数:コインを何十回も投げて表の回数を数える実験をくり返すと、回数の分布は、真ん中が高いつりがね形に近づきます。

まとめると、正規分布は「ふつうの値が多く、極端な値ほどめずらしい」ようすを表す、いちばん代表的な分布です。

m−3σm−2σm−σmm+σm+2σm+3σ 平均 m で最も高い ±1σ に 約 68.3%±2σ に 約 95.4%±3σ に 約 99.7%
平均 m を中心に左右対称。±1σ・±2σ・±3σ に入る割合は決まっている

正規分布は、平均 mm と 標準偏差 σ\sigma の 2 つで形が決まります。平均 mm、標準偏差 σ\sigma の正規分布を N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2) と書きます(2 つ目は分散 σ2\sigma^2 です)。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

平均から ±1σ に約 68%、±2σ に約 95%。この 2 つを覚えておくと便利ね!

正規分布に近いもの・そうでないもの

○ 正規分布に近いことが多い

  • 同じ年れいの人の身長
  • 同じものを何回も測ったときの測定値
  • コインを 100 回投げたときの表の回数(近似)
  • 多くの人が受けたテストの得点(形が近い場合)
  • 大きさ nn の標本の平均(nn が大きいとき近似的に)

× 正規分布ではない・近くない

  • さいころ 1 回の目(1〜6 が同じ確率で、山の形にならない)
  • 年収(一部の人が非常に高く、右にすそが長い)
  • 満点がたくさんいるやさしいテストの得点(右にかたよる)
  • コイン 1 回の表・裏(2 つの値しかない)
  • 人の年れい(つりがね形にならない)

「データはいつも正規分布になる」わけではありません。正規分布を使ってよいのは、分布が左右対称の 1 つの山に近いときです。

図で見る

コインを 20 回投げて、表が出る回数の確率を棒グラフにしてみます(二項分布)。そこに、同じ平均・分散をもつ正規分布の曲線を重ねると、ほとんどぴったり重なります。

0.050.10.15 05101520表の回数 棒:二項分布 B(20, 1/2) 線:正規分布 N(10, 5) 0.176
二項分布の棒と、正規分布の曲線がほぼ重なる
うかるくん

うかるくん

棒グラフはとびとびの値なのに、どうしてなめらかな曲線で表せるんですか?

合格先生

合格先生

投げる回数がふえるほど、棒は細かくたくさん並んで、その頭をつないだ形がなめらかなつりがね形に近づくんだ。だから回数が多いときは、二項分布を正規分布で近似して計算できるんだよ。

正規分布は連続型の確率分布で、確率は「棒の高さ」ではなく曲線の下の面積で表します。曲線の下の面積の合計は 1 です。式で書くと、次の関数 f(x)f(x) のグラフです(この関数を確率密度関数といいます)。

f(x)=12π σ e−(x−m)22σ2f(x)=\frac1{\sqrt{2\pi}\,\sigma}\,e^{-\frac{(x-m)^2}{2\sigma^2}}

式を覚える必要はあまりありませんが、x=mx=m でいちばん大きくなり、mm から離れるほど急に小さくなる形をしていることがわかります。

2030405060708090100 N(50, 5²):細く高い N(50, 10²) N(70, 10²) 右へずれる σ が小さいほど平均のまわりに集まる。m がかわると左右にずれる
σ が小さいと細く高く、m がかわると左右にずれる

面積の合計はいつも 1 なので、σ\sigma が小さい(散らばりが小さい)分布は、横はばがせまいぶん高くなります。

標準化と正規分布表

平均も標準偏差もいろいろな正規分布を、1 つの表で計算できるようにするのが標準化です。XX が N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2) にしたがうとき、

Z=X−mσZ=\frac{X-m}{\sigma}

とおくと、ZZ は平均 0、標準偏差 1 の標準正規分布 N(0, 1)N(0,\ 1) にしたがいます。「平均を引いて、標準偏差でわる」ことで、「平均から標準偏差何個ぶん離れているか」に直しているのです。偏差値も、この ZZ を 50+10Z50+10Z に直したものです。

zz0.511.51.9623
P(0≤Z≤z)P(0\le Z\le z)0.19150.34130.43320.47500.47720.4987

上は正規分布表の一部です。高校の教科書や入試の正規分布表は、ふつう「0 から zz まで」の面積がのっています。左右対称なので、マイナスの側も同じ値を使えます。

-320-230-140050160270380 4565 0.19150.4332 ZX Z = (X − 50) ÷ 10 P(45≦X≦65) = P(−0.5≦Z≦1.5) = 0.6247
X の 45〜65 は、Z の −0.5〜1.5。面積を表から読んでたす

また、1.961.96 の値は推定でよく使います。P(−1.96≤Z≤1.96)=2×0.4750=0.95P(-1.96\le Z\le1.96)=2\times0.4750=0.95 なので、「平均から ±1.96σ\pm1.96\sigma の中に 95% が入る」という意味です。母平均の信頼度 95% の信頼区間はこれをもとに作ります。

テスト・入試ではこう出る

正規分布は高校の数学B(統計的な推測)で習います。テストや大学入学共通テストでは、標準化して正規分布表から確率を読む問題、二項分布を正規分布で近似する問題、標本平均の分布を使った母平均の推定や仮説検定の問題が出ます。どれも「標準化 → 表を読む」が基本の動作です。

例題1(標準化して表を読む)

確率変数 XX が正規分布 N(50, 102)N(50,\ 10^2) にしたがうとき、P(45≤X≤65)P(45\le X\le65) を求めなさい。

  1. 標準化:Z=X−5010Z=\dfrac{X-50}{10}。X=45X=45 のとき Z=−0.5Z=-0.5、X=65X=65 のとき Z=1.5Z=1.5。
  2. P(45≤X≤65)=P(−0.5≤Z≤1.5)=P(−0.5≤Z≤0)+P(0≤Z≤1.5)P(45\le X\le65)=P(-0.5\le Z\le1.5)=P(-0.5\le Z\le0)+P(0\le Z\le1.5)
  3. 左右対称なので P(−0.5≤Z≤0)=P(0≤Z≤0.5)=0.1915P(-0.5\le Z\le0)=P(0\le Z\le0.5)=0.1915。表より P(0≤Z≤1.5)=0.4332P(0\le Z\le1.5)=0.4332。
  4. たして 0.1915+0.4332=0.62470.1915+0.4332=0.6247。

答え 0.6247

例題2(二項分布の近似)

1 枚のコインを 100 回投げるとき、表が 60 回以上出る確率を、正規分布で近似して求めなさい(P(0≤Z≤2)=0.4772P(0\le Z\le2)=0.4772)。

  1. 表の回数 XX は二項分布 B(100, 12)B\left(100,\ \dfrac12\right) にしたがう。平均 m=100×12=50m=100\times\dfrac12=50、分散 100×12×12=25100\times\dfrac12\times\dfrac12=25。
  2. 回数が多いので、XX は近似的に正規分布 N(50, 25)N(50,\ 25)、つまり標準偏差 5 の正規分布にしたがうと考える。
  3. Z=X−505Z=\dfrac{X-50}5。X=60X=60 のとき Z=2Z=2。
  4. P(X≥60)≒P(Z≥2)=0.5−0.4772=0.0228P(X\ge60)\fallingdotseq P(Z\ge2)=0.5-0.4772=0.0228。

答え 約 0.0228(約 2.3%)。これは正規分布で近似した値で、二項分布で正確に計算すると約 0.028 です。高校では、このように正規分布で近似して考えます。

指さして説明するうかるくん

うかるくん

「平均を引いて、標準偏差でわる」。標準化ができれば、あとは表を読むだけだ!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2) の 2 つ目は分散! 標準偏差はその平方根だよ。

  • N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2) の 2 つ目を標準偏差だと思う:N(50, 100)N(50,\ 100) の標準偏差は 100 ではなく 10 です。2 つ目は分散です。
  • 標準化で σ\sigma でわり忘れる:Z=X−mZ=X-m だけで終わらせるまちがいです。必ず X−mσ\dfrac{X-m}{\sigma} と、標準偏差でわります。分散でわるのもまちがいです。
  • 正規分布表の読み方:表が「0 から zz まで」の面積なのに、「zz 以下全部」と思って使うまちがいです。P(Z≥2)P(Z\ge2) は 0.5−0.4772=0.02280.5-0.4772=0.0228 で、1−0.47721-0.4772 ではありません。
  • どんなデータにも正規分布を使う:かたよった分布や山が 2 つある分布では、「±1σ に約 68%」は成り立ちません。
  • 連続型で「ちょうどの値」の確率を考える:正規分布では、P(X=60)P(X=60) のような 1 点の確率は 0 です。確率は区間の面積で考えます。

ことばの由来

英語では normal distribution(ノーマル ディストリビューション)といい、「正規分布」はその訳です。数学者ガウスが測定の誤差を調べる研究でこの分布を使ったことから、ガウス分布とも呼ばれます。グラフの形から「つりがね形の曲線(ベルカーブ)」ともいいます。

ミニ問題

問題1 確率変数 XX が正規分布 N(60, 16)N(60,\ 16) にしたがうとき、XX の平均と標準偏差を答えましょう。

答えと解き方を見る

平均は 60、標準偏差は 4 です。N(m, σ2)N(m,\ \sigma^2) の 2 つ目は分散なので、σ2=16\sigma^2=16 より σ=4\sigma=4。標準偏差を 16 と答えるのはまちがいです。

問題2 XX が N(60, 42)N(60,\ 4^2) にしたがうとき、P(56≤X≤64)P(56\le X\le64) を求めましょう(P(0≤Z≤1)=0.3413P(0\le Z\le1)=0.3413)。

答えと解き方を見る

0.6826 です。Z=X−604Z=\dfrac{X-60}4 と標準化すると、X=56X=56 は Z=−1Z=-1、X=64X=64 は Z=1Z=1。P(−1≤Z≤1)=2×0.3413=0.6826P(-1\le Z\le1)=2\times0.3413=0.6826。平均から ±1σ\pm1\sigma に約 68% が入る、という目安と同じです。

問題3 ある模試の得点が正規分布にしたがうとします。偏差値 60 以上の人は、受験者のおよそ何%ですか(P(0≤Z≤1)=0.3413P(0\le Z\le1)=0.3413)。

答えと解き方を見る

約 16% です。偏差値は平均 50、標準偏差 10 になるように直した値なので、偏差値 60 は平均より 1σ1\sigma 上、つまり Z=1Z=1 にあたります。P(Z≥1)=0.5−0.3413=0.1587P(Z\ge1)=0.5-0.3413=0.1587 で、約 16% です。ただし、実際の得点の分布が正規分布に近いときだけ使える目安です。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

正規分布とは簡単にいうと何ですか?

平均のまわりにいちばん多く集まり、平均から離れるほど少なくなる、左右対称のつりがね形の分布です。

N(m, σ²) の意味は?

平均がm、分散がσ²(標準偏差がσ)の正規分布という意味です。2つ目は標準偏差ではなく分散です。

標準化とは何ですか?

Z=(X−m)÷σ と変えて、平均0、標準偏差1の標準正規分布に直すことです。どんな正規分布も、同じ正規分布表で計算できるようになります。

平均から±1σ、±2σには何%入りますか?

±1σに約68.3%、±2σに約95.4%、±3σに約99.7%が入ります。

正規分布と偏差値の関係は?

偏差値は、平均50、標準偏差10になるように直した値です。得点の分布が正規分布に近ければ、偏差値60以上は約16%、70以上は約2.3%です。

正規分布は何年生で習いますか?

高校の数学B(統計的な推測)で習います。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学B(統計的な推測)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦