合格大作戦 数学用語辞典 › 確率・統計
大学受験
分散と標準偏差とは
分散は、各データと平均との差(偏差)を2乗して平均した値です。標準偏差は分散の正の平方根です。どちらも、データが平均のまわりにどれだけ散らばっているかを表します。
うかるくん
平均との差を平均すれば、散らばりがわかるんじゃないですか?
合格先生
ためしてごらん。平均との差(偏差)をたすと、プラスとマイナスが打ち消し合って必ず0になるんだ。だから2乗してから平均する。それが分散だよ。
この用語のポイント
- 分散=偏差の2乗の平均、標準偏差=分散の平方根
- 分散 =(2乗の平均)−(平均の2乗)でも求められる
- 標準偏差はデータと同じ単位。大きいほど散らばりが大きい
やさしく言うと
分散と標準偏差は、データが平均のまわりにどれくらい散らばっているかを表す数です。身近な例で考えてみましょう。
- ダーツ:同じ「中心のあたり」をねらっても、矢がまとまる人と、あちこちに散らばる人がいます。散らばりが大きいほど、分散・標準偏差は大きくなります。
- 2つのクラスのテスト:どちらも平均 60 点でも、全員が 55〜65 点のクラスと、20 点から 100 点までいるクラスでは、ようすがまったくちがいます。
- バスの到着時刻:平均すると時刻どおりでも、毎日 1 分以内にくるバスと、10 分ずれる日があるバスでは、使いやすさがちがいます。標準偏差が小さいほうが「安定している」といえます。
平均が同じ7点でも、「4, 6, 7, 8, 10」と「6, 7, 7, 7, 8」では散らばり方がちがいます。散らばりが大きいほど、分散も標準偏差も大きくなります。
まとめると、平均=真ん中あたりの値、分散・標準偏差=そのまわりの散らばりの大きさです。
求め方(4ステップ)
データ A「4, 6, 7, 8, 10」で計算します。
| ステップ | やること | データAでは |
|---|---|---|
| 1 | 平均を出す | |
| 2 | 各データの偏差(データ − 平均)を出す | |
| 3 | 偏差を2乗して平均する → 分散 | |
| 4 | 分散の正の平方根をとる → 標準偏差 |
式で書くと、データ 、平均 のとき
です。分散は 、標準偏差は と書きます。
うかるくん
わざわざ 2 乗してからルートをとるなら、偏差の絶対値を平均すればいいんじゃないですか?
合格先生
その考え方もあって「平均偏差」というんだ。でも 2 乗のほうが、式の計算がしやすく、「2乗の平均−平均の2乗」のような便利な公式も使える。だから統計では分散・標準偏差がよく使われるんだよ。

うかるくん
平均との差を2乗して平均すると分散、そのルートが標準偏差だ。
もう1つの求め方
(分散)=(2乗の平均)−(平均の2乗) でも求められます。データAでは、2乗の平均が 、平均の2乗が なので、分散は で、同じ答えになります。平均が整数でないときは、こちらのほうが楽なことがあります。
式で書くと です。「2乗の平均」と「平均の2乗」は順番がちがうだけで、別の数なので注意しましょう。
散らばりを表す数・表さない数
○ 散らばりを表す
- 分散
- 標準偏差
- 範囲(最大値 − 最小値)
- 四分位範囲(箱ひげ図の箱の長さ)
- 平均偏差(偏差の絶対値の平均)
× 散らばりを表さない
- 平均値
- 中央値
- 最頻値(これらは「代表値」)
- データの個数
- 合計
標準偏差は、もとのデータと同じ単位(点、cm など)になるので、分散よりも意味をつかみやすい数です。分散は単位が2乗(点²)になります。
図で見る:データを変えると
データ全体に同じ数をたしたり、全体を何倍かしたりすると、平均と標準偏差はどう変わるでしょうか。
全部に 10 をたすと、平均は 10 ふえますが、平均からの差(偏差)は変わらないので、分散も標準偏差も変わりません。全部を 2 倍すると偏差も 2 倍になり、標準偏差は 2 倍、分散は 4 倍になります。
| データの変え方 | 平均 | 標準偏差 | 分散 |
|---|---|---|---|
| 全部に をたす | ふえる | 変わらない | 変わらない |
| 全部を 倍する() | 倍 | 倍 | 倍 |
テスト・入試ではこう出る
高校の数学Ⅰ「データの分析」で学びます。定期テストでは、表を使って分散・標準偏差を計算する問題や、2 つのデータの散らばりを比べる問題がよく出ます。大学入学共通テストの数学Ⅰ・Aでも、データの分析の問題が出題され、ヒストグラムや箱ひげ図と合わせて、標準偏差の大小を読み取る問題が見られます。標準偏差は、偏差値を計算するときにも使われます。
例題1(偏差から求める)
データ「2, 4, 6, 8, 10」の分散と標準偏差を求めなさい。
- 平均は 。
- 偏差は 。
- 偏差の 2 乗は で、合計 40。分散は 。
- 標準偏差は (約 2.83)。
答え 分散 8、標準偏差
例題2(2乗の平均−平均の2乗)
データ「1, 2, 3, 4, 5」の分散と標準偏差を、(2乗の平均)−(平均の2乗)を使って求めなさい。
- 平均は なので、平均の 2 乗は 。
- 2 乗の平均は 。
- 分散は 。
- 標準偏差は (約 1.41)。
答え 分散 2、標準偏差 (偏差から求めても で同じ)

うかるくん
2通りの求め方で同じ答えになれば、計算ミスがないとわかって安心だ!
まちがえやすい点

合格先生
分散のままで終わらない! 標準偏差は分散の平方根だよ。
- 平方根をとり忘れる:分散は2乗の平均、標準偏差はその平方根です。「標準偏差を求めよ」で分散を答えないようにしましょう。
- 偏差をそのまま平均する:偏差の合計は必ず0になります()。だから2乗してから平均します。
- 「2乗の平均」と「平均の2乗」を逆にする:データAで とすると、分散がマイナスになってしまいます。分散は 0 以上なので、マイナスになったら計算ちがいです。
- 全部に数をたすと散らばりも変わると思う:全員に 5 点加点しても、標準偏差は変わりません。変わるのは平均だけです。
- n で割るか n − 1 で割るか:高校の「データの分析」では、データの個数 で割ります。大学の統計などでは、標本から母集団の分散を推測するために で割る「不偏分散」も使います。どちらの定義か確かめましょう。
ことばの由来
偏差は「かたよりの差」、つまり平均からどれだけずれているかという意味です。標準偏差は「標準的な(ふつうの)ずれの大きさ」と考えるとイメージしやすくなります。英語では standard deviation(スタンダード・ディビエーション)といい、deviation は「それること・ずれ」という意味です。分散は英語の variance(バリアンス、「変わること・ちがい」)にあたります。
ミニ問題
問題1 あるデータの分散が 16 のとき、標準偏差はいくつですか。また、データが「5, 5, 5, 5」のとき、分散はいくつですか。
答えと解き方を見る
標準偏差は 4()、「5, 5, 5, 5」の分散は 0 です。全部が同じ値なら、偏差がすべて 0 なので散らばりも 0 です。分散・標準偏差が 0 になるのは、このときだけです。
問題2 データ「1, 3, 5, 7」の分散と標準偏差を求めましょう。
答えと解き方を見る
分散 5、標準偏差 (約 2.24)です。平均は 、偏差は 、2 乗は で合計 20。 です。
問題3 テストの点数の標準偏差が 8 点でした。全員に 5 点を加えると、標準偏差はどうなりますか。また、全員の点数を 2 倍すると、どうなりますか。
答えと解き方を見る
5 点加えても 8 点のまま、2 倍すると 16 点 です。全員に同じ数をたすと、平均も全員の点も同じだけずれるので、偏差は変わりません。2 倍すると偏差も 2 倍になるので、標準偏差も 2 倍(分散は 4 倍)になります。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
分散と標準偏差のちがいは?
分散は偏差の2乗の平均、標準偏差は分散の正の平方根です。標準偏差はもとのデータと同じ単位になるので、散らばりの大きさをつかみやすい数です。
分散の求め方は?
平均を出し、各データから平均を引いた偏差を2乗して、その平均をとります。「2乗の平均から平均の2乗を引く」方法でも同じ値になります。
なぜ偏差を2乗するのですか?
偏差をそのまま合計すると、プラスとマイナスが打ち消し合って必ず0になるからです。2乗すると全部0以上になり、散らばりの大きさを表せます。
標準偏差が0になるのはどんなときですか?
データがすべて同じ値のときです。偏差がすべて0になるので、分散も標準偏差も0になります。
全員に点数を加えると標準偏差は変わりますか?
変わりません。平均も同じだけふえるので、平均からの差は変わらないからです。全員の点数を2倍すると、標準偏差は2倍になります。
分散と標準偏差は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅰ「データの分析」で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(データの分析)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


