騎虎の勢いの意味と由来|隋書の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

騎虎の勢いの意味と由来|隋書の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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騎虎の勢いきこのいきおい

ひとことで言うと

始めたことを、とちゅうでやめられない勢い。虎に乗ったら下りられない、と隋の独孤皇后が夫の楊堅を励ました言葉から。

読み方きこのいきおい
意味物事を始めてしまったら、勢いがついてとちゅうでやめられなくなること。引くに引けないこと。
出典『隋書』后妃伝・文献独孤皇后(原文は「騎獣之勢」)
お話北周の宣帝が亡くなり政治をとりしきった楊堅に、妻の独孤氏が「猛獣に乗ったら下りられない。がんばれ」と励まし、楊堅は隋の皇帝になった
似た言葉乗りかかった船・引くに引けない・背水の陣
まちがえやすい言葉破竹の勢い(止められないほど強い勢い)
漢文の句法使役(使A〜)・不可能(不得)

このページのポイント

  • 「騎虎の勢い」は始めたことをとちゅうでやめられない、引くに引けない勢いのことです
  • 出典は『隋書』。独孤氏が夫の楊堅を励ました言葉で、原文は「騎獣之勢」(虎の字をさけたとされる)
  • 「破竹の勢い」(強くて止まらない)とのちがいが、入試でよく問われます

「騎虎の勢い」の意味と読み方

「騎虎の勢い」はきこのいきおいと読みます。意味は「物事を始めてしまったら、勢いがついて、とちゅうでやめられなくなること」「引くに引けないこと」です。四字熟語の形で「騎虎之勢(きこのいきおい)」とも書きます。

「騎(き)」は「(馬などに)またがって乗る」、「虎(こ)」は「とら」です。「騎虎」で「虎に乗ること」。虎に乗って走り出したら、とちゅうで下りると虎に食べられてしまうので、下りずに行くところまで行くしかない、というたとえから生まれた言葉です。

虎に乗ったら、下りられない走り出した虎(始めてしまったこと)とちゅうで下りる虎に食べられる=失敗してほろびる下りずに進む最後まで行く=やりとげるしかない→ 引くに引けない勢い=騎虎の勢い
虎の背中から下りれば食べられてしまう。だから、始めたことは最後までやりとげるしかない――これが「騎虎の勢い」です
うかるくん

うかるくん

虎に乗るなんて、すごく勇ましい言葉ですね!「いけいけどんどん」みたいな意味ですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

そこがよくあるかんちがいなんだ。「騎虎の勢い」は、ただ勢いがいいという意味ではない。「やめたくても、もうやめられない」「下りたらおしまいだから進むしかない」という、追いつめられた気持ちが入っている言葉なんだよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○ここまで準備を進めたら、もう騎虎の勢いだ。最後までやりぬくしかない。
  • ○工事は騎虎の勢いで、今さら計画を止めることはできなかった。
  • ○引退を宣言してしまった以上、騎虎の勢いで、もう後にはもどれない。

「騎」の字は「騎」の読み方・書き順・部首、「虎」の字は「虎」の読み方・書き順・部首、「勢」の字は「勢」の読み方・書き順・部首で、読み方や書き順を確かめられます。

絵で読む「騎虎の勢い」のお話

「騎虎の勢い」は、中国の隋(ずい)という国が生まれるときの話から出た言葉です。登場するのは、のちに隋の初代皇帝になる楊堅(ようけん)と、その妻の独孤氏(どっこし)です。4つの場面で見てみましょう。

絵で読む「騎虎の勢い」のお話(4こま)

1楊堅が政治をとりしきる楊堅(ようけん)家来次の書類です
1北周の宣帝が亡くなったあと、楊堅(ようけん)が宮中に入り、国の政治をすべてとりしきるようになります。
2独孤氏の伝言独孤氏(どっこし)使いの者大事はもう動き出した。獣に乗ったら下りられない。がんばるよう伝えよ!
2妻の独孤氏(どっこし)は使いを出し、「大事はもう動き出した。獣に乗った勢いで、とちゅうで下りることはできない。がんばりなさい」と伝えます。
3たとえ:虎に乗ると…下りたら食べられる!このまま行くしかない!
3虎のような猛獣に乗って走り出したら、とちゅうで下りれば食べられてしまう。だから最後まで行くしかない――というたとえです。
4隋の皇帝と皇后に隋の文帝皇后騎獣の勢ひ、必ず下るを得ず
4楊堅は位をゆずり受けて隋の皇帝(文帝)となり、独孤氏は皇后になりました。

楊堅は、もともと北周(ほくしゅう)という国の重い役目の家臣でした。北周の宣帝(せんてい)が亡くなると、まだ幼い皇帝にかわって、楊堅が宮中で政治のすべてをとりしきるようになります。けれども、これは皇帝の家に取ってかわろうとする大きな賭けでもありました。とちゅうでやめれば、敵に反撃されて身をほろぼすおそれがあります。

そのとき、妻の独孤氏が使いを出して伝えたのが、「大事已に然り、騎獣の勢ひ、必ず下るを得ず。之を勉めよ」という言葉でした。「もう大事は動き出してしまった。猛獣に乗ったようなもので、とちゅうで下りることはできない。がんばりなさい」という意味です。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

独孤氏の言葉は、「やめなさい」でも「気をつけなさい」でもなく、「もう引き返せないのだから、覚悟を決めてやりとげなさい」という励ましなんだ。だから「騎虎の勢い」には、覚悟の気持ちも入っているんだね。

楊堅はこのあと、北周の皇帝から位をゆずり受けて(これを「受禅(じゅぜん)」といいます)、隋の皇帝になりました。これが隋の文帝(ぶんてい)です。独孤氏は皇后となり、亡くなったあと「文献皇后(ぶんけんこうごう)」とおくり名されました。

「騎虎の勢い」の原文・書き下し文・現代語訳

出典の『隋書(ずいしょ)』后妃伝(こうひでん)・文献独孤皇后の部分を、1文ずつ読みましょう(書き下し文は読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

『隋書』巻36 后妃伝・文献独孤皇后の本文(維基文庫の本文。句読点を補ったもの)及周宣帝崩,高祖居禁中,總百揆,后使人謂高祖曰:「大事已然,騎獸之勢,必不得下,勉之!」高祖受禪,立為皇后。

原文の「高祖」は楊堅(隋の高祖文帝)、「后」は独孤氏のことです。

1文目:宣帝が亡くなり、楊堅が政治をとる

書き下し文周の宣帝崩ほうずるに及および、高祖禁中に居り、百揆ひやくきを総すぶ。

(『隋書』后妃伝・文献独孤皇后(原文は「總」。ここでは「総」で表示))

現代語訳北周の宣帝が亡くなると、高祖(楊堅)は宮中に住んで、国のすべての政治をとりしきった。

ここがポイント「崩(ほう)ず」は、天子(皇帝)が亡くなること。身分によって「亡くなる」の言い方が変わります。「百揆(ひゃくき)」は「すべての政治」。「及(およ)ぶ」は「〜するに及び=〜したときに」で、一二点で返って読みます。

2文目:独孤氏が使いを出す

書き下し文后人をして高祖に謂いはしめて曰いはく、

(『隋書』后妃伝・文献独孤皇后)

現代語訳皇后(独孤氏)は人をやって、高祖に言わせて言うには、

ここがポイント「使(し)む」は「〜させる」という使役の句法。「使A〜(Aをして〜しむ)」の形で、Aに送り仮名「ヲシテ」をつけます。「使」は書き下し文ではひらがなの「しむ(しめて)」になります。一二点に三点が加わった返り方に注意。

3文目:騎獣の勢ひ

書き下し文大事已すでに然しかり。騎獣の勢いきほひ、必ず下くだるを得ず。之これを勉つとめよ。

(『隋書』后妃伝・文献独孤皇后(原文は「獸」。ここでは「獣」で表示))

現代語訳大事はもうこうなってしまった。猛獣に乗ったような勢いで、決してとちゅうで下りることはできない。がんばりなさい。

ここがポイント「不得〜(〜するを得ず)」は「〜できない」という意味で、否定の句法と可能の句法が組み合わさった形です。レ点が2つ続くので、「下る→得→ず」と下から返ります。「勉めよ」は命令形で、「努力しなさい」。

4文目:隋の皇帝と皇后に

書き下し文高祖禅ぜんを受うけ、立てて皇后と為なす。

(『隋書』后妃伝・文献独孤皇后(原文は「禪」。ここでは「禅」で表示))

現代語訳高祖は(北周の皇帝から)位をゆずり受け、(独孤氏を)立てて皇后とした。

ここがポイント「禅(ぜん)を受く」は「位をゆずり受ける」(受禅)。「為(な)す」は「AをBとする」の「と為す」で、「皇后と為す」となります。
「騎虎の勢い」の原文で覚える句法使A〜Aをして〜しむAに〜させる使役不得〜〜するを得ず〜できない不可能已〜已に〜もう〜してしまった副詞勉之之を勉めよがんばりなさい命令
「騎虎の勢い」の原文には、使役・不可能・命令など、入試でよく出る形がつまっています

原文は「虎」ではなく「獣」

原文をよく見ると、「騎虎之勢」ではなく「騎獣之勢」と書かれています。これは、『隋書』が唐の時代にまとめられた歴史書だからだと考えられています。唐の初代皇帝・李淵(りえん)の祖父の名前が「李虎(りこ)」だったので、「虎」の字を書くのをさけて「獣」に書きかえた、とされます。皇帝や祖先の名前の字を使わないようにするこのきまりを、「避諱(ひき)」といいます。

原文はなぜ「虎」でなく「獣」?虎本来の字唐の皇帝の祖先の名獣原文の字『隋書』騎獣之勢さける『隋書』は唐の時代にまとめられた歴史書唐の皇帝の祖父「李虎」の名を書くのをさけた=避諱(ひき)とされる
唐の時代にまとめられた『隋書』では、皇帝の祖先の名「虎」をさけて「獣」と書いたとされます

話の内容から、もとは「虎」の意味だったと考えられ、のちに「騎虎の勢い」「騎虎之勢」の形で広まりました。原文と、今使われている言葉の字がちがう例として、覚えておくとよいでしょう。

サクラちゃん

サクラちゃん

名前の字を使っちゃいけないなんて、昔の中国はきびしかったんですね!

ミスターT先生

ミスターT先生

そうなんだ。避諱は漢文を読むときに知っておくと便利だよ。たとえば月下氷人の話がのっている本も、「玄」の字をさけて名前が変わったとされている。原文の字が教科書の形とちがうときは、避諱が関係していることもあると覚えておくといいね。

出典『隋書』と話の背景

「騎虎の勢い」の出典は『隋書(ずいしょ)』です。隋(581年〜618年)の歴史を書いた歴史書で、唐の時代に、魏徴(ぎちょう)たちがまとめました。中国の「正史(せいし)」とよばれる、国が正式に作った歴史書の一つです。日本の聖徳太子が送った遣隋使(けんずいし)の「日出づる処の天子」の手紙の話も、この『隋書』の東夷伝(倭国伝)にのっています。

黒い冠をかぶり、赤と黒の衣を着た皇帝が、両わきに家来をしたがえて立っている古い絵
隋の文帝(楊堅)の肖像画(上半分)。唐の閻立本(えんりっぽん)の作と伝えられる「歴代帝王図巻」の一部です。画像:「歴代帝王図巻」より隋の文帝(伝 閻立本、ボストン美術館蔵)、Wikimedia Commons・パブリックドメイン

楊堅と独孤氏

楊堅(541年〜604年)は、北周の有力な家臣の家に生まれました。娘が北周の宣帝の皇后になったこともあり、宣帝が亡くなったあとは、幼い皇帝にかわって国の政治の中心に立ちます。そして581年に位をゆずり受けて隋を建て、589年には南の陳(ちん)をほろぼして、長く分かれていた中国を統一しました。役人を試験で選ぶ「科挙(かきょ)」の始まりも、隋の時代とされます。

妻の独孤氏は、北周の重臣・独孤信(どっこしん)の娘です。『隋書』の后妃伝では、政治のことにもよく意見を言い、文帝と並んで「二聖(にせい)」とよばれたと書かれています。「騎獣の勢ひ」の言葉は、そうした独孤氏の性格がよく表れた場面として伝えられています。

北周から隋へ(楊堅と独孤氏)580年北周の宣帝が亡くなる楊堅が宮中で政治をとりしきる独孤氏「騎獣の勢ひ、必ず下るを得ず」(年は「宣帝が亡くなったあと」と書かれる)581年楊堅が位をゆずり受け、隋を建てる文帝となり、独孤氏は皇后に589年隋が陳をほろぼし、中国を統一南北朝の時代が終わる
北周の宣帝が亡くなった580年から、隋の建国(581年)、中国統一(589年)までのながれ

「虎」が出てくる故事成語

虎は、昔の中国で「いちばんこわい猛獣」の代表でした。そのため、虎を使った故事成語がたくさんあります。「虎の威を借る狐」(強い者の力をかりていばる)、「苛政は虎よりも猛し」(むごい政治は虎よりもこわい)、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」(危険をおかさなければ大きな成果は得られない)などです。四字熟語にも、「三人成虎」(うそも大勢が言えば本当になる)や「暴虎馮河」(むこうみずな勇気)があります。どれも「虎=とてもこわいもの」という感覚から生まれた言葉です。

「騎虎の勢い」の使い方と例文・似た言葉

「騎虎の勢い」は、すでに始めてしまったことを、もうやめられない・引き返せないときに使います。「騎虎の勢いで〜する」「もはや騎虎の勢いだ」の形が多いです。少しかたい、書き言葉らしい言い方です。

  • ○会社を辞めて店を開いた以上、騎虎の勢いで成功させるしかない。
  • ○大勢の前で「全国大会に出る」と宣言してしまい、騎虎の勢いで練習にはげんだ。
  • ○改革はすでに騎虎の勢いで進んでおり、だれにも止められなかった。
  • ○受験勉強を始めたからには、騎虎の勢いで第一志望まで走りぬこう。
  • ×わがチームは騎虎の勢いで、連戦連勝している。(ただ強くて勝ち進むようすは「破竹の勢い」)
  • ×動物園で、騎虎の勢いのある虎を見た。(虎そのものの勢いのことではない)
騎虎の勢い似た言葉乗りかかった船引くに引けない背水の陣毒を食らわば皿まで少しちがう破竹の勢い反対の言葉引き際がよい見切りをつける
似た言葉・反対の言葉。「破竹の勢い」は止められないほど強い勢いで、「引くに引けない」という意味はありません

似た言葉

  • 騎虎之勢(きこのいきおい):四字熟語の形。意味は同じです。
  • 乗りかかった船:いったん始めたことは、とちゅうでやめるわけにいかない、というたとえ。「騎虎の勢い」のくだけた言い方に近い言葉です。
  • 引くに引けない:いきおいや立場上、やめることも後もどりすることもできない。
  • 背水の陣:川を背にして陣をしき、にげ道をなくして必死に戦うこと。「後がない」状態で全力を出す点が似ています。
  • 毒を食らわば皿まで:一度悪いことに手を出したら、とことんやってしまえ、ということわざ。よくない場面で使う点がちがいます。

反対の言葉

  • 引き際(ひきぎわ)がよい:やめるべきときに、いさぎよくやめること。
  • 見切りをつける:見こみがないと考えて、あきらめてやめること。

どんな場面で使う? 3つのポイント

「騎虎の勢い」を正しく使うには、次の3つがそろっているかを考えると分かりやすくなります。

  1. もう始めてしまっている:まだ何も始めていないときには使いません。「虎に乗ってしまった」あとの言葉です。
  2. やめると、かえって困ったことになる:とちゅうでやめると損をしたり、立場がなくなったりする。だから「下りられない」のです。
  3. 最後までやりとげるしかない:引き返せないので、覚悟を決めて前に進む。独孤氏の「之を勉めよ(がんばりなさい)」にあたる部分です。

たとえば、文化祭で「クラスで劇をやろう」と言い出した人が、準備が進んでから「やっぱりやめよう」とは言えなくなる――これは「騎虎の勢い」の場面です。一方、「部活の試合で、勢いにのって勝ち続けている」のは、やめられないのではなく強くて止まらないだけなので、「破竹の勢い」がぴったりです。

また、「騎虎の勢い」は、自分で自分を励ますときにも、人の行動を少し心配しながら言うときにも使えます。「もう騎虎の勢いだ、やるしかない」は自分への励まし、「彼は騎虎の勢いで、もう止まれないのだろう」は人のようすを外から見た言い方です。どちらの場合も、「引き返せない」という気持ちが中心にあることを忘れないようにしましょう。

受験生にとっての「騎虎の勢い」

受験勉強も、ある意味では「虎に乗る」ようなものです。志望校を決めて走り出したら、とちゅうで下りるのはもったいない。独孤氏が楊堅に送った「之を勉めよ」は、今の受験生にもそのまま通じる励ましの言葉と言えるでしょう。ただし、本当に無理をして体をこわしては元も子もありません。「引き際」を考えることも、ときには大切です。

「騎虎の勢い」のよくあるまちがい

「騎虎の勢い」と「破竹の勢い」騎虎の勢いやめたくてもやめられない引くに引けない破竹の勢い竹を割るように止められないどんどん勝ち進むどちらも「勢い」だが、気持ちがちがう騎虎=追いつめられて進む/破竹=強くて止まらない
「騎虎の勢い」は追いつめられて進む勢い、「破竹の勢い」は強くて止まらない勢い
  • 「破竹の勢い」と同じ意味で使う:いちばん多いまちがいです。「破竹の勢い」は、竹を割るように止められないほど強い勢いで、どんどん勝ち進むようすを言います。「騎虎の勢い」はやめたくてもやめられない勢いで、追いつめられた気持ちがあります。
  • 「きこうのいきおい」「きとらのいきおい」と読む:正しくは「きこのいきおい」。「騎」は「き」、「虎」は音読みで「こ」です。
  • 「奇虎」「起虎」と書く:「騎」は馬へんの字で、「馬などにまたがって乗る」という意味です(騎馬・騎士の「騎」)。
  • 原文も「騎虎」だと思う:『隋書』の原文は「騎獣之勢」。「虎」をさけて「獣」と書いたとされる点をおさえておきましょう。
うかるくん

うかるくん

「破竹の勢い」と「騎虎の勢い」、どっちも「勢い」だから、まぜちゃいそうです…。

ミスターT先生

ミスターT先生

竹はパカッと割れて気持ちいい(破竹=強くて止まらない)、虎の背中はこわくて下りられない(騎虎=やめられない)。絵を思いうかべて覚えるとまちがえないよ。

入試ではこう出る

「騎虎の勢い」は、高校受験と大学受験で出てきます。

  • 高校受験:故事成語の意味を選ぶ問題、「破竹の勢い」との使い分けを問う問題、空らんに「虎」を入れる問題などがよく問われます。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:評論や小説の中で、登場人物の「引くに引けない」気持ちを表す言葉として出てくることがあります。漢文では、「使A〜」の使役、「不得〜」の不可能が読めるかがポイントです。共通テストでの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

意味を選ぶ問題では、「とちゅうでやめられない」がキーワードですね!「強くて勝ち進む」は破竹の勢いだから×!

練習問題

やさしい

  1. 「騎虎の勢い」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 虎のように強いこと イ とちゅうでやめられない勢い ウ 止められないほど勝ち進むこと エ こわいものに近づかないこと
    答えと解説を見るイ。虎に乗ったら下りられないことから、始めたことをとちゅうでやめられないことです。ウは「破竹の勢い」です。
  2. 「騎虎の勢い」の「騎」と同じ意味の「騎」を使った言葉を1つ書きましょう。
    答えと解説を見る騎馬・騎手・騎士など。「騎」は「馬などにまたがって乗る」という意味です。

ふつう

  1. 「騎獣之勢、必不得下」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る騎獣の勢ひ、必ず下るを得ず。「不得〜」は「〜するを得ず(〜できない)」と読みます。
  2. 『隋書』の原文が「騎虎」でなく「騎獣」になっているのはなぜだと考えられていますか。
    答えと解説を見る『隋書』は唐の時代にまとめられた歴史書で、唐の皇帝の祖先(李淵の祖父)の名前が「李虎」だったため、「虎」の字を書くのをさけて(避諱)「獣」に書きかえたと考えられています。

むずかしい

  1. 「后使人謂高祖曰」を書き下し文に直し、どのような句法が使われているか答えましょう。
    答えと解説を見る后人をして高祖に謂はしめて曰はく、「使A〜(Aをして〜しむ)」の使役の句法です。訳は「皇后は人に高祖へ言わせて言うには」。
  2. 独孤氏が「騎獣の勢ひ、必ず下るを得ず」と言ったのは、楊堅がどのような立場にいたからですか。
    答えと解説を見る北周の宣帝が亡くなったあと、楊堅は宮中で政治のすべてをとりしきり、皇帝の家に取ってかわる大きな事をすでに始めていた。とちゅうでやめれば身をほろぼすので、最後までやりとげるしかない立場にいたから。

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よくある質問

騎虎の勢いの意味を簡単に言うと何ですか?

始めたことを、とちゅうでやめられない勢いのことです。虎に乗って走り出したら、下りると食べられてしまうので、行くところまで行くしかない、というたとえから来ています。

騎虎の勢いの出典は何ですか?

『隋書』后妃伝の文献独孤皇后の部分です。北周の宣帝が亡くなったあと、独孤氏が夫の楊堅に「大事已に然り、騎獣の勢ひ、必ず下るを得ず。之を勉めよ」と伝えました。

騎虎の勢いの原文はなぜ「騎獣」なのですか?

『隋書』は唐の時代にまとめられ、唐の皇帝の祖先の名前が「李虎」だったため、「虎」の字をさけて「獣」と書いた(避諱)とされています。

騎虎の勢いと破竹の勢いのちがいは何ですか?

騎虎の勢いは「やめたくてもやめられない、引くに引けない勢い」、破竹の勢いは「竹を割るように止められないほど強い勢い」です。勝ち進むようすには破竹の勢いを使います。

騎虎の勢いの似た言葉は何ですか?

乗りかかった船、引くに引けない、背水の陣などです。反対の言葉には、引き際がよい、見切りをつけるなどがあります。

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出典・参考

  • 原文:『隋書』巻36 后妃伝・文献独孤皇后(維基文庫の本文で確認)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(読み方の一例)
  • 絵:「歴代帝王図巻」隋の文帝(Wikimedia Commons、パブリックドメイン)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦