月下氷人の意味と由来|月下老人と氷人の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

月下氷人の意味と由来|月下老人と氷人の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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月下氷人げっかひょうじん

ひとことで言うと

結婚の仲立ちをする人。仲人。赤い縄で夫婦をつなぐ「月下老人」と、氷の上下で話す夢の「氷人」の2つの話から。

読み方げっかひょうじん
意味結婚の仲立ちをする人。仲人(なこうど)。
出典月下老人:『太平広記』巻159「定婚店」(出典は『続幽怪録』=唐・李復言『続玄怪録』とされる)/氷人:『晋書』芸術伝・索紞
お話月の下で結婚の帳面を調べ、赤い縄で夫婦の足をつなぐ老人の話と、氷の上と下で話す夢を「仲人をするしるし」と解いた話
似た言葉仲人・媒酌人・月下老人・月老・氷人
まちがえやすい言葉月下美人(植物の名前)
漢文の句法再読文字(当)・限定(耳)・置き字(於・而)

このページのポイント

  • 「月下氷人」は結婚の仲立ちをする人(仲人)。結婚式のあいさつなどで使う改まった言い方です
  • 月下老人(唐の物語「定婚店」)と氷人(『晋書』索紞の話)の2つの話を合わせた言葉です
  • 原文では再読文字「当に〜べし」、限定の「耳(のみ)」、置き字「而」が練習できます

「月下氷人」の意味と読み方

「月下氷人」はげっかひょうじんと読みます。意味は「結婚の仲立ちをする人」「仲人(なこうど)」です。男女の間に入って、結婚がまとまるように世話をする人のことを言います。

この言葉は、中国の2つの話を合わせてできています。1つは、月の下で結婚の帳面を調べ、赤い縄で夫婦の足をつなぐ「月下老人(げっかろうじん)」の話。もう1つは、氷の上と下で人が話す夢から仲人をすることになった「氷人(ひょうじん)」の話です。どちらも結婚の仲立ちをする人のたとえなので、2つを合わせて「月下氷人」と言うようになりました。

2つの話を合わせた言葉月下老人唐の物語「定婚店」赤い縄で夫婦をつなぐ氷人『晋書』索紞の話氷の上と下で話す夢+月下氷人結婚の仲立ちをする人(仲人)
「月下老人」と「氷人」は、どちらも結婚の仲立ちをする人のたとえ。合わせて「月下氷人」です
サクラちゃん

サクラちゃん

「月下」はなんとなく分かるけど、「氷人」って何ですか?氷でできた人?

ミスターT先生

ミスターT先生

ははは、氷の人形ではないよ。氷の上に立って、氷の下の人と話をする夢を見た人がいて、それが「仲人をするしるし」だと占われた、という話から来ているんだ。氷の上と下の2人の間に立って話をとりもつ人――それが「氷人」だね。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。改まった言い方なので、手紙や結婚式のあいさつでよく使われます。

  • ○二人の結婚では、恩師が月下氷人をつとめた。
  • ○本日は月下氷人の大役をおおせつかり、ありがとうございます。(結婚式のあいさつ)
  • ○おじが月下氷人となって、両親は出会ったそうだ。

「月下」は「月の下(月の光の下)」、「氷人」は「氷の上の人」。漢字の意味だけを見ても仲人とは結びつかないので、話を知らないと意味が分からない言葉の代表です。だからこそ、入試で意味がよく問われます。

絵で読む「月下氷人」のお話

「月下氷人」のもとになった2つの話を、4つの場面で見てみましょう。前の2こまが唐の時代の「月下老人」の話、後ろの2こまが晋の時代の「氷人」の話です。時代も登場人物もちがう、別々の話です。

絵で読む「月下氷人」のお話(4こま:月下老人の話2こま+氷人の話2こま)

1月の下の老人老人韋固(いこ)何の本ですか?
1唐の時代、若者の韋固が宋城の宿にとまったとき、月の明るい夜に、石段のそばで本を調べている不思議な老人に出会います。
2赤い縄で足をつなぐ赤い縄(赤縄)天下の結婚の帳面じゃこの赤い縄で夫婦の足をつなぐ
2老人は「天下の結婚の帳面じゃ」と言い、袋の赤い縄を見せて「これで夫婦の足をつなぐ。つながれたら必ず夫婦になる」と話します。
3氷の上で話す夢夢令狐策(れいこさく)氷の下の人おーい、聞こえるか?
3時代はさかのぼって晋。令狐策という人が、氷の上に立って、氷の下の人と話をする夢を見ます。
4索紞が夢を解く索紞(さくたん)令狐策氷の上は陽、下は陰。あなたは仲人になる。氷がとけるころ結婚だ
4占いの名人・索紞は「あなたは人の仲人をする。氷がとけるころ結婚がまとまる」と解きました。そのとおりになりました。

月下老人の話(「定婚店」)

唐の時代、韋固(いこ)という若者は、早く結婚したいと思っていましたが、なかなか縁談がまとまりませんでした。旅の途中、宋城(そうじょう)の南の宿にとまったとき、月の明るい夜に、袋によりかかって石段に座り、月の光で本を調べている老人に出会います。

何の本かとたずねると、老人は「天下の婚牘(こんとく)」、つまり世の中の結婚の帳面だと答えます。そして、袋の中の赤い縄で、夫婦になる二人の足をこっそりつないでおくのだと話しました。この縄でつながれたら、どんなに身分がちがっても、遠くはなれていても、必ず夫婦になる、というのです。

物語には、韋固がそのとき告げられた結婚相手を受け入れられず、乱暴なことをしてしまう場面もあります。けれども何年もたって、韋固が結婚した相手は、まさに老人が言ったとおりの人でした。この話を聞いた宋城の長官は、その宿に「定婚店(ていこんてん)」(結婚が定められた宿)という名前をつけた、と結ばれています。

本を開いて説明するミスターT先生

ミスターT先生

月の下で本を調べていたこの老人が、のちに「月下老人」「月老(げつろう)」とよばれるようになった。今でも中国や台湾では、縁結びの神さまとしてまつられているんだ。日本の「運命の赤い糸」の話も、この赤い縄の話とつながると言われているよ。

氷人の話(『晋書』索紞伝)

もう1つは、晋の時代の話です。令狐策(れいこさく)という人が、氷の上に立って、氷の下にいる人と話をする夢を見ました。夢うらないの名人だった索紞(さくたん)は、これを次のように解きました。

「氷の上は陽(よう)、氷の下は陰(いん)。陽と陰は男と女のこと。あなたは陽の側から陰の側に話しかけたのだから、男女の間をとりもつ仲人をすることになる。氷がとけるころに結婚がまとまるだろう」。令狐策は「わたしはもう年寄りだ。仲人などしない」と言いましたが、まもなく太守(地方の長官)の田豹(でんぴょう)から、むすこの縁談の世話をたのまれ、その結婚は春のはじめ(仲春)にまとまりました。

索紞の夢の解き方氷の上=陽(男)氷の下=陰(女)話をする陽が陰と話す → 男女の間をとりもつあなたは人の仲人(媒)をすることになる氷がとける(泮く)→ 春のはじめ氷がとけるころに、結婚がまとまるだろう
索紞は、氷の上下を「陽と陰(男と女)」、氷がとけることを「春の結婚の季節」と読み解きました

「月下氷人」の原文・書き下し文・現代語訳

2つの話の大事なところを、原文で読んでみましょう(書き下し文は読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

月下老人(『太平広記』巻159「定婚店」)

『太平広記』巻159「定婚店」(出典は『続幽怪録』と書かれている)の本文から(維基文庫の本文。句読点を補ったもの)貞觀二年,將游清河,旅次宋城南店。……有老人倚巾囊,坐於階上,向月檢書。……曰:「天下之婚牘耳。」……「赤繩子耳,以係夫婦之足。」

1:月の下で本を調べる老人

書き下し文老人有り、巾嚢きんなうに倚より、階上に坐ざし、月に向むかひて書を検けんす。

(『太平広記』巻159「定婚店」(原文は「囊」「檢」。ここでは「嚢」「検」で表示))

現代語訳老人がいて、布の袋によりかかり、石段の上に座って、月(の光)に向かって本を調べていた。

ここがポイント「有(あり)」は下の「老人」から返って読みます(一二点)。「於(お)」は場所を表す置き字で読まず、送り仮名の「ニ」で働きを表します。「月に向かひて書を検す」が、「月下老人」という名前のもとになった場面です。

2:天下の結婚の帳面

書き下し文天下の婚牘こんとくのみ。

(『太平広記』巻159「定婚店」)

現代語訳世の中の(人々の)結婚の帳面だよ。

ここがポイント文の終わりの「耳(のみ)」は「〜だけだ・〜にすぎない」という限定の句法の字で、ここでは「〜なのだよ」と言い切る気持ちを表します。「耳」を「みみ」と読まないように注意。「婚牘(こんとく)」は結婚の記録の帳面です。

3:赤い縄で足をつなぐ

書き下し文赤縄子せきじようしのみ、以もつて夫婦の足を係つなぐ。

(『太平広記』巻159「定婚店」(原文は「繩」。ここでは「縄」で表示))

現代語訳(袋の中のものは)赤い縄だよ。これで夫婦になる者の足をつなぐのだ。

ここがポイント「以て(もつて)」は「それで・これを使って」。ここでは下に目的語がなく、「赤い縄を使って」という意味で前の語を受けています。「以」の読み方と働きも見てみましょう。「赤縄(せきじょう)」は、のちに「縁結び」を表す言葉にもなりました。

氷人(『晋書』芸術伝・索紞)

『晋書』巻95 芸術伝・索紞の本文から(維基文庫の本文。句読点を補ったもの)孝廉令狐策夢立冰上,與冰下人語。紞曰:「冰上為陽,冰下為陰,陰陽事也。士如歸妻,迨冰未泮,婚姻事也。君在冰上與冰下人語,為陽語陰,媒介事也。君當為人作媒,冰泮而婚成。」

4:氷の上で話す夢

書き下し文孝廉令狐策れいこさく、夢に氷上に立ち、氷下の人と語る。

(『晋書』芸術伝・索紞(原文は「冰」「與」。ここでは「氷」「与」で表示))

現代語訳孝廉(役人に推薦された人)の令狐策が、夢の中で氷の上に立ち、氷の下の人と話をした。

ここがポイント「与(と)」は「〜と」の意味で、書き下し文ではひらがなにします。「与A語(Aと語る)」のように、下から返って読みます。「孝廉(こうれん)」は、親孝行で正直な人として役人に推薦された人のことです。

5:索紞の答え

書き下し文君当まさに人の為ために媒なかだちを作すべし。氷泮とけて婚成らん。

(『晋書』芸術伝・索紞(原文は「當」「冰」。ここでは「当」「氷」で表示))

現代語訳あなたはきっと人のために仲人をすることになるでしょう。氷がとけるころに、結婚がまとまるでしょう。

ここがポイント「当(まさ)に〜べし」は、1字を2回読む再読文字。「きっと〜するはずだ」という意味です。「而」は読まない置き字で、「〜て」の送り仮名で働きを表します。上下点と一二点、レ点がまざった、返り点の練習によい文です。
うかるくん

うかるくん

索紞さんの答えの中の「士如帰妻、迨冰未泮」って何ですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところを見たね。これは中国最古の詩集『詩経』の詩の一節で、「男が妻をむかえるなら、氷がとけきらないうちに」という意味だ。昔の中国では、氷がとける前の時期が結婚の季節と考えられていた。索紞は有名な詩をふまえて夢を解いたんだね。このように古典の言葉をふまえるのは、漢文によく出てくる書き方なんだ。

出典と話の背景

「月下氷人」の4字そのものが出てくる中国の古典は、はっきりしません。月下老人の話と氷人の話という、2つの出典をもつ言葉として説明されるのがふつうです。2つを合わせた「月下氷人」の形がいつ・だれによって使われ始めたのかは、はっきりした資料が見つかりませんでした(日本でよく使われる形だと言われますが、確かめられていません)。

月下老人の出典:『続玄怪録』と『続幽怪録』

月下老人の話は、唐の李復言(りふくげん)が書いたふしぎな話を集めた本『続玄怪録(ぞくげんかいろく)』の中の話とされています。この本は、『続幽怪録(ぞくゆうかいろく)』ともよばれます。宋の時代に、皇帝の祖先とされる人の名前に使われていた「玄」の字を避けて、「幽」の字に書きかえたため、とされています。

月下老人の話はどの本に?『続玄怪録』(唐・李復言)もとの本とされる「玄」を避けたとされる『続幽怪録』宋の時代のよび名『太平広記』巻159「定婚店」「出続幽怪録」と書かれて収められている
月下老人の話は『続玄怪録』(『続幽怪録』)の話とされ、宋の時代の『太平広記』に「定婚店」として収められています

今、この話を読むときによく使われるのは、宋の時代(10世紀の終わりごろ)に作られた大きな物語集『太平広記(たいへいこうき)』です。巻159の「定婚店」に、この話が「出続幽怪録(『続幽怪録』から出た)」と書かれて収められています。このページの原文も、『太平広記』の本文によりました。本によって、話の年号や細かい字が少しちがうことがあります。

氷人の出典:『晋書』芸術伝

氷人の話は、晋の時代の歴史書『晋書(しんじょ)』の芸術伝(げいじゅつでん)にあります。ここでの「芸術」は、今の絵や音楽のことではなく、占い・天文・医術などの特別な技のことです。索紞は、夢うらないをよくした人として、この伝に話がいくつものっています。『晋書』は、唐の時代にまとめられた歴史書です。

「赤い縄」と「赤い糸」足と足を縄で中国の「定婚店」小指と小指を糸で日本でよく言われる形どちらも「生まれる前から決まった縁」※小指の糸になったいきさつは諸説あり
中国の話では「足と足を赤い縄で」。日本では「小指と小指を赤い糸で」と語られることが多いです

「運命の赤い糸」とのつながり

日本では、「運命の人とは、小指と小指が見えない赤い糸で結ばれている」とよく言われます。この言い方は、月下老人の赤い縄の話がもとになっている、と説明されることが多いです。ただし、中国の話では「足と足」をつなぐのに、日本ではなぜ「小指と小指」になったのかは、諸説あり、はっきりしたことは分かっていません。

中国や台湾では、今も月下老人(月老)が縁結びの神さまとして寺や廟にまつられています。故事成語が、今の人々の暮らしや言い伝えの中に生きている例と言えるでしょう。

「月下氷人」の使い方と例文・似た言葉

「月下氷人」は、結婚の仲立ちをする人を、改まって、上品に言うときに使います。ふだんの会話では「仲人」と言うことが多く、「月下氷人」は結婚式のスピーチ、手紙、文章の中などで使われます。「月下氷人をつとめる」「月下氷人となる」の形がよく使われます。

  • ○この縁談は、父の古い友人が月下氷人となってまとめてくれた。
  • ○先生に月下氷人をお願いしたところ、こころよく引き受けてくださった。
  • ○二人を引き合わせた私は、いわば月下氷人の役を果たしたことになる。
  • ○祖父は、近所の若い人たちの月下氷人を何度もつとめた世話好きな人だった。
  • ×月の明るい冬の夜、月下氷人のように池の氷の上を歩いた。(月や氷の景色の意味では使わない)
  • ×二人の会社の合併で、銀行が月下氷人になった。(結婚以外の仲立ちに使うのは本来の使い方ではない。「仲立ち」「橋渡し」が正しい)
「仲人」を表す言葉いろいろ月下氷人げっかひょうじん2つの話を合わせた形月下老人・月老げっかろうじん・げつろう唐の物語から氷人ひょうじん『晋書』の話から仲人・媒酌人なこうど・ばいしゃくにんふだん・式での言い方
「月下氷人」は改まった言い方。ふだんは「仲人」、結婚式では「媒酌人」とも言います

似た言葉

  • 仲人(なこうど):結婚の仲立ちをする人。いちばんふつうの言い方です。
  • 媒酌人(ばいしゃくにん):結婚式で、仲人として式に立ち会う人。「媒」は仲立ち、「酌」は酒をつぐことです。
  • 月下老人・月老(げっかろうじん・げつろう):月下老人の話から。中国では今もこの言い方がよく使われます。
  • 氷人(ひょうじん)・氷上人(ひょうじょうじん):氷人の話から。これだけでも仲人の意味になります。
  • 橋渡し・仲立ち:結婚にかぎらず、人と人、物事の間をとりもつこと。

どんな場面で使う?

「月下氷人」は、だれかが結婚の世話をしたことを、敬意をこめて、少し上品に言うときにぴったりの言葉です。結婚式のスピーチで「本日、月下氷人の大役をつとめます〇〇です」とあいさつしたり、手紙で「お二人の月下氷人となれましたことを、うれしく思います」と書いたりします。

正式な仲人を立てない結婚式も多くなりましたが、「二人を引き合わせた人」「出会いのきっかけを作った人」を、ちゃめっ気をこめて「月下氷人」とよぶこともあります。「わたしが月下氷人というわけだね」のように、自分のことを少しおどけて言う使い方です。ただし、本来は結婚の仲立ちを表す言葉なので、仕事の取り引きや会社どうしの仲立ちには使わないようにしましょう。

また、目上の人に「月下氷人をお願いします」とたのむのは、改まった言い方としてていねいです。ふだんの会話では「仲人をお願いします」と言うほうが自然です。言葉の重さを場面に合わせて使い分けられると、国語の力がぐっと上がります。

結婚にまつわる故事成語・四字熟語

  • 覆水盆に返らず:一度別れた夫婦はもとにもどれない、というたとえ(太公望と妻の話などが伝わる)。
  • 冠婚葬祭(かんこんそうさい):元服・結婚・葬式・祖先の祭り。人の一生の大事な儀式のこと。
  • 同床異夢(どうしょういむ):同じことをしていても、考えや目的がちがうこと。「同じ床にねても、見る夢はちがう」という意味です。

「月下氷人」のよくあるまちがい

  • 「つきしたひょうにん」「げっかこおりびと」と読む:正しくは「げっかひょうじん」。字は「月」の読み方・書き順・部首・「下」の読み方・書き順・部首・「氷」の読み方・書き順・部首・「人」の読み方・書き順・部首で読み方を確かめましょう。
  • 「月下美人」と書く:「月下美人(げっかびじん)」は、夜に白い花をさかせるサボテンの仲間の植物の名前です。音が似ていますが、まったく別の言葉です。
  • 「冷たい人」の意味だと思う:「氷」の字から「氷のように冷たい人」と考えるのはまちがいです。氷の上と下の人の話をとりもつ夢の話から、「仲人」の意味になりました。
  • 景色の意味で使う:「月の下の氷の上の人」のような、景色やようすを表す言葉ではありません。
  • 月下老人と氷人を同じ話だと思う:月下老人は唐の物語、氷人は晋の歴史書の話で、時代も出典も別です。2つを合わせた言葉だということをおさえましょう。仲人の「媒」の字は「媒」の読み方・書き順・部首、赤い「縄」は「縄」の読み方・書き順・部首で確かめられます。
うかるくん

うかるくん

えっ、「月下美人」って花の名前だったんですか!まちがえて書きそうでした…。

ミスターT先生

ミスターT先生

音が似ているから、テストでは要注意だね。「氷人」=「氷の上で話をとりもつ人」=仲人、とお話とセットで覚えておけば、「美人」と書くまちがいはしなくなるよ。

入試ではこう出る

「月下氷人」は、高校受験と大学受験でよく出てきます。

  • 高校受験:故事成語・四字熟語の意味を選ぶ問題(「仲人」を選ぶ)、読みを答える問題、「月下□人」の空らんをうめる問題がよく問われます。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:国語の知識問題で、意味や由来(2つの話の組み合わせ)を問われることがあります。漢文では、「当(まさ)に〜べし」の再読文字、「耳(のみ)」の限定、「而」の置き字が読めるかがポイントです。共通テストでの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
  • 中学受験:むずかしい語ですが、故事成語をたくさん集めた問題集では、「仲人」の意味の言葉として出てくることがあります。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「月下」と「氷人」で、お話が2つあるんですね!「月の下の老人の赤い縄」と「氷の上と下で話す夢」――絵で覚えたら、もう忘れません!

練習問題

やさしい

  1. 「月下氷人」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 月の夜に出る幽霊 イ 心の冷たい人 ウ 結婚の仲立ちをする人 エ 夜に花をさかせる植物
    答えと解説を見るウ。仲人のことです。エは「月下美人」という植物です。
  2. 「月下氷人」を、ひらがなで読みましょう。
    答えと解説を見るげっかひょうじん。

ふつう

  1. 「月下氷人」は、2つの話を合わせた言葉です。それぞれどのような話ですか。
    答えと解説を見る月下老人:月の下で結婚の帳面を調べ、赤い縄で夫婦の足をつなぐ老人の話(唐の「定婚店」)。氷人:氷の上に立って氷の下の人と話す夢を見た令狐策が、索紞に「仲人をすることになる」と占われた話(『晋書』)。
  2. 「天下之婚牘耳」を書き下し文に直しましょう。また、「耳」は何と読み、どのような働きの字ですか。
    答えと解説を見る天下の婚牘のみ。「耳」は「のみ」と読み、「〜だけだ・〜なのだ」という限定・強めの働きをする字です。

むずかしい

  1. 「君当為人作媒」を書き下し文に直し、現代語訳しましょう。
    答えと解説を見る君当に人の為に媒を作すべし。訳は「あなたはきっと人のために仲人をすることになるだろう」。「当」は「まさに〜べし」と2回読む再読文字です。
  2. 索紞は、令狐策の夢の「氷の上」と「氷の下」を、それぞれ何と解きましたか。また、なぜ「仲人をする」と解いたのですか。
    答えと解説を見る氷の上を陽(男)、氷の下を陰(女)と解いた。陽の側にいる令狐策が陰の側の人と話をするのは、男と女の間をとりもつことを表すので、仲人をすることになる、と解いた。

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よくある質問

月下氷人の意味を簡単に言うと何ですか?

結婚の仲立ちをする人、つまり仲人のことです。結婚式のあいさつや手紙などで使われる、改まった言い方です。

月下氷人の由来は何ですか?

2つの話を合わせた言葉です。1つは唐の物語「定婚店」の、月の下で結婚の帳面を調べ赤い縄で夫婦の足をつなぐ月下老人の話。もう1つは『晋書』の、氷の上と下で話す夢を見た令狐策が、索紞に仲人をすると占われた氷人の話です。

月下老人の話の出典は何ですか?

唐の李復言の『続玄怪録』(『続幽怪録』ともよばれる)の話とされ、宋の時代の『太平広記』巻159に「定婚店」という題で収められています。

月下氷人と月下美人はどうちがいますか?

月下氷人は仲人のことです。月下美人は夜に白い花をさかせるサボテンの仲間の植物の名前で、まったく別の言葉です。

運命の赤い糸は月下老人と関係がありますか?

月下老人が赤い縄で夫婦の足をつなぐという話がもとになっている、と説明されることが多いです。ただし、日本で小指と小指を結ぶ赤い糸の形になったいきさつには諸説あります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 月下老人の原文:『太平広記』巻159「定婚店」(出続幽怪録)(維基文庫の本文で確認)
  • 氷人の原文:『晋書』巻95 芸術伝・索紞(維基文庫の本文で確認)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(読み方の一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦