【百人一首75番】契りおきしさせもが露を命にて|意味・現代語訳・品詞分解(藤原基俊)

【百人一首75番】契りおきしさせもが露を命にて|意味・現代語訳・品詞分解(藤原基俊)
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この歌の要点
歌
契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり
意味
(「しめぢが原のさせも草」の歌のように、私を頼りにせよと)約束してくださった、恵みの露のようなお言葉を、命のように大切に頼みにしてきたのに、ああ、今年の秋も(望みがかなわないまま)むなしく過ぎ去っていくようです。
作者
藤原基俊(ふじわらのもととし)
出典
『千載和歌集』雑上・1023番
決まり字
「ちぎりお」(4字決まり)
百人一首75番 藤原基俊の絵札
藤原基俊(江戸時代のかるた)

契りおきし させもが露を 命にて

あはれ今年の 秋もいぬめり

読みちぎりおきし させもがつゆを いのちにて
あわれことしの あきもいぬめり

歴史的仮名遣いちぎりおきし させもがつゆを いのちにて
あはれことしの あきもいぬめり

約束してくださった恵みの言葉を命と頼みにしてきたのに、ああ、今年の秋も望みがかなわずに過ぎていくようだ——息子の出世を願う親心を詠んだ藤原基俊の歌です。

現代語訳(意味)

(「しめぢが原のさせも草」の歌のように、私を頼りにせよと)約束してくださった、恵みの露のようなお言葉を、命のように大切に頼みにしてきたのに、ああ、今年の秋も(望みがかなわないまま)むなしく過ぎ去っていくようです。

語句の意味

語句読み意味・ポイント
契りおきしちぎりおきし「約束しておいた」。「し」は過去「き」の連体形です。
させもが露させもがつゆさせも草(ヨモギ)に置いた露。約束の言葉を、草をうるおす恵みの露にたとえています。
命にていのちにて命として、命のように頼みにして。
あはれあわれああ(感動詞)。
いぬめりいぬめり「去っていくようだ」。「いぬ」は去る、「めり」は推定の助動詞です。

品詞分解

歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。

単語品詞・活用意味・用法
契り動詞・ラ行四段「契る」連用形
おき動詞・カ行四段「おく」連用形
し助動詞「き」連体形過去
させも名詞
が格助詞
露名詞
を格助詞
命名詞
にて格助詞資格
あはれ感動詞
今年名詞
の格助詞
秋名詞
も係助詞
いぬ動詞・ナ変「いぬ」終止形去る
めり助動詞「めり」終止形推定

表現技法・文法のポイント

比喩

約束の言葉を「させもが露」にたとえ、それを命のように頼みにしたことを表しています。

引用(本歌をふまえる)

清水観音の歌とされる「なほ頼めしめぢが原のさせも草わが世の中にあらむ限りは」をふまえています。

推定の「めり」

目の前の様子から推し量る「〜ようだ」。入試頻出の助動詞です。

歌の背景・鑑賞

『千載和歌集』雑上に入っています。作者は、僧である息子の光覚を、奈良の興福寺の大切な法会(維摩会)の講師にしてもらおうと、藤原忠通(76番)に頼みました。忠通は「しめぢが原の(私を頼りにしなさい)」と答えて約束してくれましたが、その年も選ばれませんでした。その恨みを詠んだのがこの歌です。

諸説・伝説――想像をふくらませてみよう

昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。

子を思う親の嘆き

基俊は、息子の出世のために、関白・藤原忠通(76番)に何度もお願いしました。約束してもらったのに、また選ばれなかった――。恋の歌ではなく、親心を詠んだ歌が百人一首に選ばれているのは珍しいことです。

気位の高い歌人

基俊は名門の出身で学識も豊かでしたが、自信家で人を見下すところがあったため、出世できなかったともいわれます。それでも晩年には若き藤原俊成(83番)を弟子にし、その俊成の子が百人一首を選んだ定家です。基俊がいなければ、百人一首は生まれなかったかもしれません。

作者:藤原基俊

平安時代後期の貴族・歌人・書家、藤原基俊(ふじわらのもととし)です。藤原道長のひ孫という名門の出身ですが、官位には恵まれませんでした。源俊頼(74番)と並ぶ歌壇の指導者で、古い歌風を重んじました。晩年には藤原俊成(83番)を弟子にしています。

決まり字と覚え方

百人一首75番の取り札(下の句)
取り札
ちぎりお4字決まり

上の句が「ちぎりお」まで読まれたら、取り札が決まります。「ち」で始まる歌は3首あります。

覚え方:「ちぎりお」と聞いたら「あはれことしの」。42番「ちぎりき」と4字目で分かれる4字決まりです。契り置き(ちぎりお)しも、あはれ今年も、と覚えます。

入試で問われるポイント

  • 推定の「めり」
  • ナ変動詞「いぬ」
  • 比喩・本歌をふまえる表現
  • 42番との見分け(4字決まり)

よくある質問

「させもが露」とは何のことですか?

させも草に置いた露のことで、約束してくれた恵みの言葉をたとえています。

誰との約束だったのですか?

76番の作者・藤原忠通との約束です。息子を法会の講師にしてもらう約束でした。

「いぬめり」とはどういう意味ですか?

「去っていくようだ」という意味です。「いぬ」はナ変動詞で「去る」、「めり」は推定の助動詞です。

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画像:絵札「Hyakuninisshu 075」(パブリックドメイン)、取り札「Torifuda 075」(Cookai1205・CC0)/いずれも Wikimedia Commons。歌の本文・出典は『千載和歌集』ほか複数の資料で確認しています。
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04