この記事の結論
- 東大合格の戦略(ストラテジー)とは、550点満点(共通テスト110点+2次試験440点)のうち、どの科目で何点取って合格ラインをこえるかを先に決め、そこから逆算して勉強の計画を立てることです。
- 手順は「配点を知る→目標点を決める→科目に点を配る→学年・月・週の計画にする」の4つ。模試や過去問の結果で、1〜2か月ごとに計画を直していきます。

2008年12月、私はこのページで、ある通信教育の会社が配っていた「志望校ごとの合格戦略」をまとめた無料の冊子を紹介しました。東京大学(東大)編と京都大学(京大)編があり、どちらか一つしか申しこめない、というものでした。記事の最後には「※ストラテジーとは戦略」と一言だけ書いていました。
その冊子はもう配られていないので、2026年10月に、この記事を「東大合格の戦略を自分で立てる方法」に書き直しました。人から渡された作戦より、自分の点数を見ながら自分で立てた作戦のほうが、ずっと強いからです。配点は東大の公式資料「令和9(2027)年度 東京大学入学者選抜要項」で確かめた数字を使います。東大の入試の仕組み(科類・日程・足切り・進学選択)をまだ知らない人は、先に「東大合格大作戦(東大の入試の仕組み)」を読んでください。
東大 合格 戦略とは:4つの手順
ストラテジー(strategy)は「戦略」という意味の英語です。受験でいう戦略とは、「何を、いつまでに、どれくらいやるか」を決める大きな作戦のことです。これに対して、1問1問の解き方や時間配分のような細かい工夫は「戦術(タクティクス)」とよばれます。戦略がまちがっていると、どんなに勉強してもゴールに届きません。
中国の兵法書『孫子』の謀攻篇には「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉があります。東大の入試(彼)を知り、自分の実力(己)を知って、その差をうめる計画を立てる。これが東大合格の戦略の全部です。くわしくは「孫子の兵法」に書きました。
- 配点を知る:550点のうち、どの科目が何点か。
- 目標点を決める:合格者の最低点を参考に、少し上に「貯金」をのせる。
- 科目に点を配る:得意科目で稼ぎ、苦手科目は大きく落とさない。
- 計画にする:学年→月→週→1日の勉強に落としこむ。
京大を目ざす人向けには、同じ考え方で「京大合格作戦の立て方」を書いています。東大と京大で迷っている人は、両方の配点を比べてみると、自分に合う大学が見えてきます。
東大 配点から考える:550点の内訳
戦略の第一歩は、配点を正確に知ることです。東大の一般選抜(前期日程)は、共通テストの成績(1000点満点を110点に換算)と、2次試験(第2次学力試験)の成績440点の合計550点満点で合否が決まります。2次試験は、文科(文科一類・二類・三類)と理科(理科一類・二類・三類)で科目の配点がちがいます。
| 外国語 | 国語 | 数学 | 地歴/理科 | 2次の合計 | 共通テスト | 総点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 文科 | 120 | 120 | 80 | 地理歴史 120 | 440 | 110 | 550 |
| 理科 | 120 | 80 | 120 | 理科 120 | 440 | 110 | 550 |
配点から分かる3つのこと
- 2次試験が8割:550点のうち440点が2次試験です。戦略の中心は2次試験の過去問になります。
- 外国語(英語)は文理とも120点:文科でも理科でも、英語は配点が最大の科目の一つです。英語が安定すると、戦略全体が安定します。
- 「小さい科目」もゼロではない:文科の数学80点、理科の国語80点は、共通テスト全体(110点)に近い重さがあります。苦手でも捨ててはいけません。
2次試験の科目ごとの試験時間は、文科が国語150分・数学100分・地理歴史150分・外国語120分、理科が国語100分・数学150分・理科150分・外国語120分です。英語には聞き取り試験(30分程度)があります。試験の時刻は「東大の入試時間割【2027年】」にまとめています。
うかるくん
共通テストは110点しかないから、ほとんど勉強しなくてもいいですよね?
合格先生
それは危ない戦略だ。東大には第1段階選抜(足切り)があって、2027年度の予告倍率は文科各類が約2.5倍、理科一類が約2.3倍、理科二類が約3.0倍、理科三類が約2.8倍。志願者がこれをこえると、共通テストの成績で2次試験を受けられる人がしぼられる。それに110点も合計点の一部だ。
うかるくん
足切りされたら、2次の勉強が全部むだになっちゃう…。共通テストも計画に入れます!
東大 目標点の決め方:合格最低点から逆算する
次に、何点取れば合格できるかを決めます。目安になるのが、東大が毎年公表している合格者の最低点(合格最低点)です。合格最低点は年によっても科類によってもちがうので、志望する科類の数年分を東大の公式サイトで見て、その中でいちばん高い年をこえる点を目標にすると安全です。合格最低点の調べ方と、偏差値50からの挑戦の話は「東大の合格最低点と偏差値50からの計画」に書いています。
目標点は「合格ライン+貯金」
本番では、得意科目で思ったより取れないこともあります。だから目標点は、合格ラインぴったりではなく、少し上に「貯金」をのせて決めます。ここでは計算の練習として、仮に目標を550点の6割=330点として考えてみます(6割は説明のための仮の数字で、実際の合格最低点ではありません)。
図3のように、共通テストが7割(77点)なら2次試験で253点(57.5%)、9割(99点)なら231点(52.5%)が必要です。共通テストの1割(11点)は、2次試験の2.5%ぶんにあたります。共通テストで取った1点も、2次試験で取った1点も、同じ1点です。共通テストを高く取っておくと、2次試験の重圧が少し軽くなります。
目標点を決めるときの注意
- 科類で目標を変える:理科三類のように合格者の点が高くなりやすい科類もあります。必ず志望する科類の数字で考えます。
- 共通テストは換算後の点で:1000点満点の得点率をそのまま110点にかけた点で考えると、計算がかんたんです。
- 年に1回は見直す:新しい年の合格最低点が出たら、目標点も見直します。
東大 科目別の得点計画:得意で稼ぎ、苦手は守る
目標点が決まったら、2次試験の4科目に点を配ります。ポイントは「全部の科目で同じように取ろう」としないことです。東大の2次試験はどの科目もむずかしく、満点近くを取れる科目はめったにありません。得意科目で稼ぎ、苦手科目は大きく落とさないという配り方が、いちばん現実的な戦略です。
図4は、2次試験で240点を取る計画の例です。共通テストが9割(99点)なら、合計339点で、仮の目標330点に9点の貯金ができます。文科の例では英語で84点(7割)を稼ぎ、苦手な人が多い数学は26点(約3割)でも全体で届くように組んでいます。理科の例では数学と理科で稼ぎ、国語は28点(3割5分)で守ります。この数字はあくまで例なので、自分の模試や過去問の点数に合わせて作り直してください。
英語(外国語)の得点計画
英語は文理とも120点で、東大の戦略の柱です。東大の英語は、むずかしい単語を知っているかより、基本の単語と文法を速く正確に使えるかが問われます。単語は「東大の英単語」と「東大英単」、熟語は「お勧め英熟語300」を参考にしてください。聞き取り試験もあるので、毎日少しずつ英語を聞く習慣を早めに作りましょう。
数学の得点計画
理科の人にとって数学(120点・150分)は稼ぎどころ、文科の人(80点・100分)にとっては「大きく落とさない」科目です。どちらも、完答できる問題を1問でも増やし、ほかの問題では途中の考え方を書いて部分点をねらうのが基本です。公式は「算数・数学公式辞典」、言葉の意味は「数学用語辞典」で確かめられます。文系の数学の参考書は「東大文Ⅲ対策・英語と数学のお勧め参考書と勉強法」に、基本書を1冊にしぼる考え方は「青チャートと1対1対応の演習」にまとめています。
国語の得点計画
国語は文科120点・理科80点で、現代文・古文・漢文がそろって出ます。古文と漢文は、文法や句形を覚えれば点が安定しやすい分野です。古文は「古文文法辞典(2次試験の古文)」、全体は「国語まとめ」、漢字は「漢字合格大作戦」を使ってください。
地理歴史・理科の得点計画
文科の地理歴史は日本史探究・世界史探究・地理探究から2科目、理科の理科は物理・化学・生物・地学から2科目です(どちらも出願のときに届け出ます)。2科目で120点なので、1科目あたり60点の重さです。2科目のうち得意なほうで稼ぐ計画にすると、全体が安定します。

合格先生
得点計画のコツは「満点をねらう科目を作らない」ことだ。東大の2次はどの科目もむずかしい。6〜7割を取れる科目を2つ作れば、戦略はぐっと楽になるよ。
東大 共通テストの戦略:足切りを確実にこえる
共通テストは、文科が6教科8科目または7教科8科目、理科が6教科8科目で、2025年からは「情報Ⅰ」も加わりました。換算後は110点ですが、戦略の上では2つの役目があります。
- 足切りを確実にこえる:第1段階選抜で落ちると、2次試験を受けられません。ぎりぎりではなく、余裕をもってこえる得点を目標にします。
- 合計点の「貯金」を作る:図3のように、共通テストで1割多く取ると、2次試験で必要な点が11点へります。
おすすめは、高3の夏までは2次試験の勉強を中心にして、秋から共通テストの形式の練習をふやすやり方です。2次試験の勉強は共通テストの土台にもなりますが、マーク式の時間の使い方や、2次試験にない科目(文科の理科基礎、理科の地理歴史・公民など)は、別に練習しないと点になりません。共通テストの時間割は「共通テストの時間割【2027年】」にあります。
東大 学年別の計画:高1・高2・高3
得点計画ができたら、それを学年→月→週の計画に落とします。下の図は、東大を目ざす高校生のおおまかな流れです。
高1:土台をつくる
英単語・英文法と、数学の教科書の例題を毎日少しずつ。東大の問題はむずかしく見えますが、使う道具は教科書の基本です。この時期は毎日勉強する習慣そのものが財産になります。ノートの作り方は「東大合格生のノートはかならず美しい」、やる気の続け方は「現役東大生がこっそりやっている勉強のやり方」が参考になります。
高2:弱点をうめる
一度、東大の2次試験の過去問を1年分だけ見てみましょう。解けなくてかまいません。どんな形の問題が、どれくらいの量出るかを知るのが目的です。そのうえで、図4の得点計画を自分用に作り、いちばん足を引っぱっている科目を平均までもどします。基本書を1冊にしぼってくり返す勉強法は「東大首席→官僚→弁護士の方法論」で紹介しています。
高3:点に変える
夏から過去問を本番と同じ時間を計って解き、秋から共通テストの練習をふやします。月ごとのくわしい流れは「東大合格大作戦」の「1年の図」に、過去問集の選び方と何年分解くかは「東京大学過去問題集」に書いています。
浪人生の場合
浪人生は、去年の本番の点数(成績開示などで分かる場合)や模試の結果から、どの科目で何点足りなかったかを最初に確かめるところから始めます。足りなかった点を科目に配りなおせば、それがそのまま1年の戦略になります。
東大 模試と過去問で戦略を見直す
戦略は一度立てたら終わりではありません。模試や過去問の点数を記録し、計画とのずれを見て直す。これをくり返して、戦略を育てていきます。
- 点数は科目ごとに数字で残す:「なんとなくできた」ではなく、「英語78/120」のように記録します。
- 判定より点数を見る:東大型模試のA〜E判定は、その時点の位置を示すだけです。大事なのは、計画した点と実際の点の差です。
- ずれが大きい科目に時間を配る:計画より大きく低い科目から、次の1〜2か月の勉強時間をふやします。
東大型模試の時期や選び方、判定の見方は「東大型模試の選び方と受け方」にまとめています。
サクラちゃん
模試で数学が計画より20点も低かったんです…。もう戦略を全部やり直したほうがいいですか?
合格先生
全部やり直さなくていい。まずその20点がどの問題で落ちたかを見よう。計算ミスなら毎日の計算練習、手が出なかったなら基本の問題集にもどる。それでも足りなければ、ほかの科目で少し多めに取る計画に直せばいいんだ。
サクラちゃん
落ちた理由ごとに直せばいいんですね。英語でカバーする計画も考えてみます!

サクラちゃん
戦略は「立てる→ためす→直す」のくり返しなんだ!自分の点数で作った作戦がいちばん強いね。
東大と京大の戦略のちがい
京大も「2次試験で決まる」入試ですが、学部ごとに配点がちがい、2次試験が総点にしめる割合も学部によって変わります。東大は科類で文科・理科の2つの配点にまとまっているのに対し、京大は学部・学科ごとに得点計画を作る必要があります。京大の配点は「京都大学の学部別 配点一覧」、戦略の立て方は「京大合格作戦の立て方」で確かめてください。旧帝大(旧帝国大学)の中での東大と京大の位置は「旧帝大の順番」に書いています。
東大は前期日程だけで、後期日程はありません。国公立大学の後期日程を併願する場合は、その大学の配点でも同じように得点計画を作っておきましょう。お金の計画も戦略の一部です。授業料や奨学金は「東京大学の学費」に書いています。
勉強の計画で迷ったら「受験の質問・相談」で聞いてください。やる気が落ちたときは、東大受験をえがいた漫画『ドラゴン桜』(三田紀房)の記事「ドラゴン桜を徹底的に活用してみる」もどうぞ。
よくある質問
東大合格の戦略(ストラテジー)とは何ですか?
550点満点のうち、どの科目で何点取って合格ラインをこえるかを先に決め、そこから逆算して勉強の計画を立てることです。
東大の配点は何点満点ですか?
共通テスト110点(1000点満点を換算)と2次試験440点の合計550点満点です(2027年度)。2次試験は文科が外国語・国語・地理歴史各120点と数学80点、理科が外国語・数学・理科各120点と国語80点です。
東大の目標点はどう決めればいいですか?
東大が公表している志望科類の合格者最低点を数年分見て、いちばん高い年より少し上に貯金をのせた点を目標にすると安全です。
東大は共通テストの点数が低くても大丈夫ですか?
第1段階選抜(足切り)があるので、共通テストで余裕をもって足切りをこえる必要があります。110点も合計点の一部です。
東大の得点計画はいつ見直せばいいですか?
模試や過去問を解くたび、目安として1〜2か月に1回、科目ごとの点数と計画のずれを見て直します。
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出典・参考
- 東京大学「令和9(2027)年度 東京大学入学者選抜要項」(配点・試験時間・第1段階選抜の予告倍率・共通テストの教科科目)
- 『孫子』謀攻篇(「知彼知己者、百戦不殆」)
- 目標点・科目ごとの得点計画の数字は、計算のための仮の例です(実際の合格最低点ではありません)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦











