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大学受験
極形式とド・モアブルの定理とは
極形式は、複素数を絶対値 r と偏角 θ で z=r(cosθ+isinθ) と表す形です。ド・モアブルの定理は、(cosθ+isinθ)n=cosnθ+isinnθ(n は整数)という定理で、n 乗は「角を n 倍」すれば求められます。
読み方:きょくけいしきとどもあぶるのていり/英語:polar form / de Moivre's theorem/習う学年:数学C(複素数平面)

うかるくん
(1+i)8 なんて、展開していたら日が暮れます…
![合格先生]()
合格先生
極形式に直せば一瞬だよ。1+i は長さ 2・角 45∘。8 乗は長さを 8 乗、角を 8 倍して、長さ 16・角 360∘。答えは 16 だ。
この用語のポイント
- 極形式:z=r(cosθ+isinθ)(r=∣z∣、θ は偏角)
- かけ算は絶対値はかけ算、偏角はたし算
- ド・モアブル:n 乗は絶対値を n 乗、偏角を n 倍
やさしく言うと
極形式は、複素数を「原点からの距離」と「向き(角度)」で表す書き方です。ふつうの a+bi は「横にいくつ、たてにいくつ」で表しますが、極形式は「どの向きに、どれだけの長さ」で表します。
- レーダーや灯台:「北東の方向に 2 km」のように、向きと距離で場所を伝えます。これが極形式の考え方です。
- 時計の針:針の先の位置は、「針の長さ」と「針の角度」で決まります。針を回すことは、角度を増やすことです。
- コンパスで円をかく:半径(距離)を決めて、角度を変えていくと円になります。極形式は、回転や円がからむ問題がとても得意です。
1+√3 i は、距離 2、角 60° の点。2(cos60°+i sin60°) と書けるまとめると、複素数 z の絶対値を r、偏角を θ とすると、z=r(cosθ+isinθ) と書ける。これが極形式です。そして、ド・モアブルの定理は、この形の n 乗が「角を n 倍するだけ」で計算できる、という定理です。
(cosθ+isinθ)n=cosnθ+isinnθ(n は整数)
極形式の例
○ 正しい極形式
- 1+i=2(cos4π+isin4π)
- 1+3i=2(cos3π+isin3π)
- i=cos2π+isin2π
- −2=2(cosπ+isinπ)
- −1+i=2(cos43π+isin43π)
- 3=3(cos0+isin0)
× 極形式ではない・まちがい
- 1+i=2(cos4π+isin4π)(絶対値は 1+1 ではなく 2)
- −1+i=2(cos4π+isin4π)(第 2 象限なのに角が 45∘)
- −2=−2(cos0+isin0)(r は正の数にする)
- 2(cos3π−isin3π)(「−」のままでは極形式ではない)
- 2(sin3π+icos3π)(cos と sin が逆)
極形式は、r>0 で、かっこの中が cosθ+isinθ の形(+ でつなぎ、cos が前)になっていなければなりません。cos3π−isin3π は、cos(−3π)+isin(−3π) と書き直します。
図で見る
極形式のいちばんの強みは、かけ算が図形の動きとしてはっきり見えることです。z1=r1(cosθ1+isinθ1)、z2=r2(cosθ2+isinθ2) のとき、
z1z2=r1r2{cos(θ1+θ2)+isin(θ1+θ2)}
つまり、絶対値はかけ算、偏角はたし算になります。これは、三角関数の加法定理から出てきます。
長さ 2・角 30° と 長さ 1.5・角 45° をかけると、長さ 3・角 75°![うかるくん]()
うかるくん
かけ算なのに、角はたし算になるんですか?
![合格先生]()
合格先生
そう。かっこの中をかけて展開すると、実部が cosθ1cosθ2−sinθ1sinθ2=cos(θ1+θ2)、虚部が sin(θ1+θ2) になる。加法定理そのものなんだ。だから「z2 をかける」は「θ2 だけ回して、r2 倍にのばす」ことになるんだよ。
同じ数を何回もかけると、角が同じだけずつ増えていきます。(1+i)n は、1 回かけるごとに長さが 2 倍、角が 45∘ ずつ増え、うずまきのように広がります。
(1+i)ⁿ は、長さ ×√2・角 +45° ずつのうずまき。(1+i)⁴=−4ド・モアブルの定理の使い方
かけ算の性質をくり返し使うと、ド・モアブルの定理が出てきます。絶対値もふくめると、次の形です。
{r(cosθ+isinθ)}n=rn(cosnθ+isinnθ)
絶対値は n 乗、偏角は n 倍です。使い道は大きく 3 つあります。
3 つめを見てみましょう。n=2 とすると (cosθ+isinθ)2=cos2θ+isin2θ。左辺を展開すると cos2θ−sin2θ+2isinθcosθ です。実部と虚部を比べると、
cos2θ=cos2θ−sin2θ,sin2θ=2sinθcosθ
という 2 倍角の公式が、いっぺんに出てきます。n=3 にすれば 3 倍角の公式も作れます。
![ひらめいたサクラちゃん]()
サクラちゃん
n 乗は「長さは n 乗、角は n 倍」。展開しなくていいなんて楽ね!
テスト・入試ではこう出る
極形式とド・モアブルの定理は、高校の数学C「複素数平面」で習います。極形式に直す問題、(a+bi)n の計算、zn=1 や zn=α の解を求める問題、回転を使う図形の問題がよく出ます。
例題1(累乗の計算)
(1+3i)6 を計算しなさい。
- 極形式に直す:∣1+3i∣=1+3=2、偏角は 3π。よって 1+3i=2(cos3π+isin3π)。
- ド・モアブルの定理:(1+3i)6=26(cos36π+isin36π)=64(cos2π+isin2π)。
- cos2π=1、sin2π=0 なので、答えは 64。
答え 64。展開すると 7 項も出てくる計算が、極形式なら 3 行で終わります。
z³=1 の解は、単位円の上で 120° ずつ離れた正三角形の頂点例題2(3 乗根)
方程式 z3=1 を解きなさい。
- z=r(cosθ+isinθ)(r>0、0≤θ<2π)とおくと、z3=r3(cos3θ+isin3θ)。
- 1=1⋅(cos0+isin0) と比べて、r3=1、3θ=2kπ(k は整数)。
- r=1、θ=32kπ。0≤θ<2π より k=0,1,2 で、θ=0, 32π, 34π。
- それぞれ z=1、−21+23i、−21−23i。
答え z=1, −21±23i。3 つの点は、単位円の上で 120∘ ずつ離れた正三角形の頂点です。
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
n 乗では、絶対値は n 乗。n 倍するのは偏角だけだよ!
- 絶対値を a+b で計算する:1+i の絶対値は 1+1=2 ではなく 12+12=2 です。
- 象限を見ずに偏角を決める:−1+i は tanθ=−1 ですが、点 (−1,1) は第 2 象限なので θ=43π です。必ず点の位置をかいて確かめます。
- n 乗で絶対値を n 倍する:{2(cosθ+isinθ)}3 の絶対値は 2×3=6 ではなく 23=8 です。n 倍するのは偏角だけです。
- 偏角の範囲をそろえない:偏角は 2π ずつずらしても同じ点です。問題で「0≤θ<2π」か「−π<θ≤π」が指定されていたら、その範囲で答えます。n 乗根では、範囲の中の解を全部出します。
- r を負にする:−2 は −2(cos0+isin0) ではなく、2(cosπ+isinπ) と書きます。r はいつも正です。
ことばの由来
「極形式」の「極」は、極座標(原点からの距離と角度で点を表す座標)の「極」です。原点のことを「極」とよび、そこからの長さと向きで表すので、この名前があります。英語では polar form です。
「ド・モアブルの定理」は、フランス生まれでイギリスで活やくした数学者ド・モアブル(de Moivre)の名前にちなみます。大学では、オイラーの公式 eiθ=cosθ+isinθ を使って、極形式を z=reiθ と短く書くこともあります。
ミニ問題
問題1 −1+i を極形式で表しましょう(偏角は 0≤θ<2π)。
答えと解き方を見る
2(cos43π+isin43π) です。絶対値は (−1)2+12=2。点 (−1,1) は第 2 象限にあるので、偏角は 4π ではなく 43π(135∘)です。
問題2 (1+i)8 を計算しましょう。
答えと解き方を見る
16 です。1+i=2(cos4π+isin4π) なので、(1+i)8=(2)8(cos2π+isin2π)=16。図3のうずまきを、さらに 4 回まわした先です。
問題3 (3+i)5 を a+bi の形で求めましょう。
答えと解き方を見る
−163+16i です。
- 3+i=2(cos6π+isin6π)。
- (3+i)5=25(cos65π+isin65π)=32(−23+21i)。
- =−163+16i。
絶対値は 5 乗(25=32)、偏角は 5 倍(65π)です。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
極形式とは何ですか?
複素数を、原点からの距離(絶対値)rと、向き(偏角)θで r(cosθ+i sinθ) と表した形です。1+i は √2(cos45°+i sin45°) です。
ド・モアブルの定理とは何ですか?
整数nについて (cosθ+i sinθ)ⁿ=cos nθ+i sin nθ が成り立つという定理です。n乗は角をn倍すれば求められます。
極形式でかけ算するとどうなりますか?
絶対値どうしはかけ算、偏角どうしはたし算になります。複素数平面では、回転して拡大することにあたります。
偏角はどう求めますか?
点の位置(象限)を図で確かめてから、cosθ=a/r、sinθ=b/r を満たす角を選びます。tanだけで決めると象限をまちがえます。
z³=1 の解はいくつありますか?
複素数の範囲で3つあります。1、−1/2+(√3/2)i、−1/2−(√3/2)i で、複素数平面では正三角形の頂点になります。
極形式は何年生で習いますか?
高校の数学C「複素数平面」で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(平面上の曲線と複素数平面)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦