事象とは?意味と排反・余事象をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

事象とは?意味と排反・余事象をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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大学受験

事象とは

さいころを投げるような試行の結果として起こることがらを事象といいます。「偶数の目が出る」= {2, 4, 6} のように、結果の集まり(集合)で表します。

読み方:じしょう/英語:event/習う学年:数学A(場合の数と確率)

うかるくん

うかるくん

「排反」と「独立」って、どっちも「関係ない」って意味じゃないんですか?

合格先生

合格先生

似ているようで正反対に近いんだ。排反は「同時には起こらない」。独立は「起こっても、もう一方の確率が変わらない」。排反だと、一方が起こればもう一方は絶対起こらないから、独立じゃないんだよ。

この用語のポイント

  • 試行=くり返せる実験、事象=その結果のことがら(集合)
  • 排反=同時に起こらない。排反なら確率をそのままたせる
  • 「少なくとも」は余事象:P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A})=1-P(A)

やさしく言うと

さいころを投げる、くじを引く、のように、同じ条件でくり返せて、結果が偶然で決まる実験や観察を試行といいます。その結果として起こる「ことがら」が事象です。

  • さいころ:投げること(試行)に対して、「偶数の目が出る」「6の目が出る」が事象です。
  • くじ引き:10本中3本が当たりのくじを引くこと(試行)に対して、「当たりを引く」が事象です。
  • 天気予報の「降水確率」:「明日、雨が降る」ということがらにも確率がつけられます。数学で習う「同じ程度に起こる」確率とは考え方が少しちがいますが、ことばの使い方はよく似ています。

数学では、事象を結果の集まり(集合)として考えます。「偶数の目が出る」は {2, 4, 6} という集合です。まとめると、試行が「すること」、事象が「起こることがら(結果の集合)」です。

全事象 U(さいころの目 1〜6) 246315 A:偶数 B:3の倍数 A = {2, 4, 6}、B = {3, 6}、A∩B = {6}
さいころの目の全事象と、事象A・B

事象の例

○ 事象

  • 「偶数の目が出る」= {2, 4, 6}
  • 「6の目が出る」= {6}(根元事象)
  • 「7以下の目が出る」= {1, 2, 3, 4, 5, 6}(全事象)
  • 「7の目が出る」= ∅\varnothing(空事象。決して起こらない)
  • 硬貨2枚で「少なくとも1枚は表」= {表表, 表裏, 裏表}
  • くじで「当たりを引く」

× 事象ではないもの

  • 「さいころを投げる」(これは試行)
  • 「よく出る目」(あいまいで、集合が決まらない)
  • 「偶数の目が出る確率 12\dfrac12」(これは事象ではなく確率)
  • 「さいころを10回投げる」(これも試行)
  • 「大きい目」(どこからが大きいか決まっていない)
  • 「36通り」(これは場合の数)

事象かどうかは、「起こる・起こらない」がはっきり決まる結果の集まりかで見分けます。「大きい目」のようにあいまいなことばは、「4以上の目」のように決めなおすと事象になります。

事象のことば

ことば記号さいころの例
全事象UU{1, 2, 3, 4, 5, 6}(起こりうる結果全体)
根元事象{1}, {2}, …(それ以上分けられない1つの結果)
空事象∅\varnothing「7の目が出る」(決して起こらない)
積事象(AかつB)A∩BA\cap B{6}(偶数で、3の倍数)
和事象(AまたはB)A∪BA\cup B{2, 3, 4, 6}
余事象(Aでない)A‾\overline{A}{1, 3, 5}(奇数の目)

記号は集合と同じです。事象を集合として考えると、「かつ」は共通部分 ∩\cap、「または」は和集合 ∪\cup、「でない」は補集合   ‾\overline{\ \ } になります。

図で見る

ベン図をぬり分けると、積事象・和事象・余事象のちがいがひと目でわかります。

AB 積事象 A∩B AB 和事象 A∪B A 余事象 A 「AかつB」両方起こる{6} 「AまたはB」少なくとも一方{2, 3, 4, 6} 「Aでない」Aが起こらない{1, 3, 5} (A:偶数の目、B:3の倍数の目)
ぬった部分が、それぞれの事象
サクラちゃん

サクラちゃん

「AまたはB」って、AとBの両方が起こるときも入るんですか?

合格先生

合格先生

入るよ。数学の「または」は少なくとも一方という意味なんだ。だから A∪BA\cup B には、重なりの {6} もふくまれるよ。

排反と独立

排反:2つの事象が同時には起こらない(A∩B=∅A\cap B=\varnothing)こと。A=偶数の目、C=1の目 は排反です。排反なら P(A∪C)=P(A)+P(C)=36+16=23P(A\cup C)=P(A)+P(C)=\dfrac36+\dfrac16=\dfrac23 のように、確率をそのままたせます。

排反でないときは重なりを引きます。A=偶数、B=3の倍数 なら P(A∪B)=36+26−16=46=23P(A\cup B)=\dfrac36+\dfrac26-\dfrac16=\dfrac46=\dfrac23 です。

AC AB 排反(重ならない) P(A∪C) = P(A)+P(C) 排反でない(重なる) P(A∪B)=P(A)+P(B) −P(A∩B) ← 重なりを引く
排反なら確率をそのままたす。重なりがあれば、重なりの分を引く

独立:一方が起こるかどうかが、もう一方の起こりやすさに影響しないこと。式では P(A∩B)=P(A)P(B)P(A\cap B)=P(A)P(B) です。上の A・B は P(A∩B)=16P(A\cap B)=\dfrac16、P(A)P(B)=12×13=16P(A)P(B)=\dfrac12\times\dfrac13=\dfrac16 で等しいので、独立です。

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

排反は「重ならない」、独立は「影響しない」。ベン図で見ると区別しやすいね!

あせるサクラちゃん

サクラちゃん

排反と独立はまったく別のこと。混ぜないように気をつけなきゃ!

余事象は「少なくとも」の強い味方

「Aが起こらない」という事象を余事象といい、P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A})=1-P(A) が成り立ちます。「少なくとも1回」のような事象は、そのまま数えると場合が多くなりますが、余事象(「1回も起こらない」)なら1通りの考え方ですみます。

大きいさいころ 小さいさいころ 112233445566●●●●●●●●●●● 少なくとも1個は6:11 どちらも6でない:25 25=5×5 はすぐ数えられる 1 − 25/36 = 11/36
「少なくとも1個は6」は、余事象「どちらも6でない」から求めると楽

テスト・入試ではこう出る

事象のことばは数学A(場合の数と確率)で習い、確率の問題では毎回のように使います。よく出るのは、余事象で「少なくとも」を求める問題、和事象の確率を重なりを引いて求める問題、排反・独立かどうかを判断する問題です。大学入学共通テストの数学Ⅰ・Aでも、確率は大きな問題として出題されています。

例題1(余事象)

2個のさいころを同時に投げるとき、少なくとも1個は6の目が出る確率を求めなさい。

  1. 目の出方は全部で 6×6=366\times6=36 通りで、どれも同じ程度に起こる。
  2. 「少なくとも1個は6」の余事象は「どちらも6でない」。それぞれ 5 通りずつなので 5×5=255\times5=25 通り。
  3. 余事象の確率は 2536\dfrac{25}{36}。だから求める確率は 1−2536=11361-\dfrac{25}{36}=\dfrac{11}{36}。

答え 1136\dfrac{11}{36}(上の図で赤のマスを数えても 11 個)

例題2(和事象)

1から20までの数が書かれた20枚のカードから1枚引くとき、2の倍数または3の倍数を引く確率を求めなさい。

  1. A=「2の倍数」、B=「3の倍数」とする。A は 10 枚、B は 6 枚(3, 6, 9, 12, 15, 18)。
  2. A と B は排反ではない。両方に入るのは 6 の倍数で、6, 12, 18 の 3 枚。
  3. n(A∪B)=10+6−3=13n(A\cup B)=10+6-3=13 枚。だから確率は 1320\dfrac{13}{20}。

答え 1320\dfrac{13}{20}(1020+620=1620\dfrac{10}{20}+\dfrac{6}{20}=\dfrac{16}{20} は、重なりを2回数えたまちがい)

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

「排反」と「独立」は別物! P(A∪B)=P(A)+P(B)P(A\cup B)=P(A)+P(B) は排反のときだけだよ。

  • 排反と独立を同じだと思う:まったく別の考えです。確率が0でない2つの事象が排反なら、一方が起こるともう一方は絶対に起こらないので、独立ではありません(A・C では P(A∩C)=0P(A\cap C)=0 ですが、P(A)P(C)=112P(A)P(C)=\dfrac1{12})。
  • 重なりを引き忘れる:P(A∪B)=P(A)+P(B)P(A\cup B)=P(A)+P(B) は、排反のときだけ使えます。例題2で 1620\dfrac{16}{20} としてしまうのがこのまちがいです。
  • 試行と事象をまぜる:「さいころを投げる」ことが試行、「偶数が出る」という結果のことがらが事象です。
  • 余事象を取りちがえる:「少なくとも1個は6」の余事象は「どちらも6でない」です。「どちらも6」ではありません。「少なくとも1回」の反対は「1回も〜ない」と覚えましょう。
  • 「または」から両方を外す:数学の「AまたはB」は、両方起こる場合もふくみます。

ことばの由来

事象は「こと(事)」と「すがた・かたち(象)」で、起こることがらを表すことばです。英語では event(イベント)で、「できごと」という意味です。試行は英語で trial(トライアル)、「ためしにやってみること」です。排反は英語で mutually exclusive(互いに排除し合う)といいます。

ミニ問題

問題1 さいころを1回投げます。A=「4以下の目」、B=「奇数の目」のとき、A∩BA\cap B、A∪BA\cup B、A‾\overline{A} を集合で答えましょう。

答えと解き方を見る

A={1,2,3,4}A=\{1,2,3,4\}、B={1,3,5}B=\{1,3,5\} です。

  • A∩BA\cap B(両方)= {1,3}\{1,3\}
  • A∪BA\cup B(少なくとも一方)= {1,2,3,4,5}\{1,2,3,4,5\}
  • A‾\overline{A}(A でない)= {5,6}\{5,6\}

問題2 さいころを1回投げます。次の2つの事象は排反ですか。(ア)「偶数の目」と「5の目」 (イ)「偶数の目」と「素数の目」

答えと解き方を見る

(ア)は排反です。5 は偶数ではないので、同時には起こりません。(イ)は排反ではありません。素数の目は 2, 3, 5 で、2 は偶数でもあるので、「2の目」のとき両方が同時に起こります。

問題3 硬貨を3回投げるとき、少なくとも1回は表が出る確率を求めましょう。

答えと解き方を見る

78\dfrac78 です。余事象は「3回とも裏」で、その確率は (12)3=18\left(\dfrac12\right)^3=\dfrac18。だから 1−18=781-\dfrac18=\dfrac78 です。「少なくとも」は余事象を使うと、数える場合が1つだけになって楽です。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

事象と試行のちがいは?

試行は、さいころを投げるように同じ条件でくり返せて、結果が偶然で決まる実験や観察です。事象は、その結果として起こることがら(偶数の目が出る、など)です。

排反とはどういう意味ですか?

2つの事象が同時には起こらないことです。さいころで「偶数の目が出る」と「1の目が出る」は排反です。

排反と独立のちがいは?

排反は同時に起こらないこと、独立は一方が起こっても、もう一方の起こる確率が変わらないことです。確率が0でない2つの事象が排反なら、独立にはなりません。

余事象とは何ですか?

ある事象Aが起こらないという事象です。Aでない確率は、1からAの確率を引いて求められます。「少なくとも」の問題でよく使います。

和事象と積事象のちがいは?

和事象は「AまたはB」で少なくとも一方が起こること、積事象は「AかつB」で両方が起こることです。

事象は何年生で習いますか?

高校の数学Aの「場合の数と確率」で習います。中学2年の確率では「ことがら」という言い方をします。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学A(場合の数と確率)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦