合格大作戦 数学用語辞典 › 関数
大学受験
平方完成とは
2次式 ax2+bx+c を a(x−p)2+q の形に直すことです。たとえば x2−4x+3=(x−2)2−1。2次関数のグラフの頂点を見つけるのに使います。
読み方:へいほうかんせい/英語:completing the square/習う学年:数学Ⅰ(2次関数)

うかるくん
平方完成って、手順は覚えたけど、なんで 9 を引くのかよく分からなくて…
![合格先生]()
合格先生
タイルで正方形を作ると分かるよ。x2+6x は角が 9 だけ欠けた正方形。9 を足して正方形にしたぶん、9 を引いて元に戻すんだ。
この用語のポイント
- 平方完成 = 2次式を「( )²+数」の形に直すこと
- x の係数の半分をかっこに入れ、その2乗を引く
- 2次関数の頂点・最大最小・解の公式に使う
やさしく言うと
平方完成は、2次式を「( )² + 数」の形に直すことです。「平方」は2乗のこと。2乗のかたまりを完成させるので、この名前がついています。
イメージを3つ紹介します。
- タイルの欠けた角をうめる:x2+6x は、1辺 x の正方形と、たて x・横 6 の長方形です。6 を半分ずつに分けて右と下に置くと、右下の角だけが欠けた正方形になります(下の図)。
- 借りたら返す:欠けた角 9 を「借りて」正方形を作り、同じ 9 を「返す(引く)」。足して引くので、式の値は変わりません。
- グラフの「底」の地図:(x−2)2−1 の形にすると、グラフのいちばん低いところ(頂点)が、式を見るだけで分かります。
x²+6x に 9 を足すと、1辺 x+3 の正方形になるこれで x2+6x=(x+3)2−9 です。x の係数の半分(ここでは 3)がかっこの中に入り、その2乗(9)を引くのがポイントです。つまり平方完成は、「足して引く」で式の形だけを変える計算です。
![「ここが大事!」と説明する合格先生]()
合格先生
足した分は必ず引く。これが平方完成のいちばんのコツだ!
平方完成の例
○ 正しい平方完成
- x2+6x+5=(x+3)2−4(9 を引いて +5)
- x2−4x+3=(x−2)2−1(−4 の半分は −2)
- x2+3x=(x+23)2−49(半分が分数でもよい)
- 2x2−8x+5=2(x−2)2−3(先に 2 でくくる)
- −x2+2x+3=−(x−1)2+4(−1 でくくる)
- x2−10x=(x−5)2−25(定数項がなくてもよい)
× まちがい・別のもの
- x2+6x+5=(x+3)2+5(足した 9 を引き忘れ)
- x2+6x+5=(x+1)(x+5)(これは因数分解)
- x2−4x+3=(x−4)2−13(半分にし忘れ)
- 2x2−8x+5=(2x−2)2+1(係数でくくっていない。展開すると合わない)
- x2−4x+3=(x+2)2−1(かっこの中の符号が逆)
- x2+6x=x(x+6)(x でくくっただけ)
どれも、展開して元の式に戻るかで正しいかを確かめられます。たとえば (x+3)2+5 を展開すると x2+6x+14 になり、元の x2+6x+5 と合いません。
図で見る(手順の流れ)
x2−4x+3 を例に、平方完成の流れを図にしました。見るのは x の係数だけです。
x の係数 −4 → 半分の −2 をかっこへ → その2乗 4 を引く−4 の半分の −2 が、かっこの中にそのまま入ります。(x−2)2=x2−4x+4 なので、余分な 4 を引きます。最後に、元からあった +3 と合わせて −1 です。
![合格先生]()
合格先生
(x+p)2=x2+2px+p2 だから、x の係数は p の2倍になるんだ。逆に、x の係数を半分にすれば p が分かる。タイルの図で、長方形を右と下に半分ずつ置いたのと同じことだよ。
やり方(x2 の係数が1でないとき)
2x2−8x+5 のように x2 の前に数があるときは、先にその数でくくるのが大事です。
定数項の +5 はくくらずに外に残しておくと、計算が楽です。③で、中の −4 にも 2 をかけるのを忘れないようにしましょう。最後に展開して、元の 2x2−8x+5 に戻るか確かめます。くわしい練習は公式辞典の二次関数の頂点(平方完成)にあります。
一般の形では、ax2+bx+c=a(x+2ab)2−4ab2−4ac です。ここに出てくる b2−4ac は判別式と同じ式です。
何に使うの?(グラフの頂点)
平方完成のいちばんの使い道は、2次関数のグラフの頂点を見つけることです。y=(x−2)2−1 なら、(x−2)2 は0以上で、x=2 のとき0になります。だから y がいちばん小さいのは x=2 のときで、そのとき y=−1。頂点は (2, −1) です。
y=(x−2)²−1 のグラフ。頂点は (2, −1)、軸は x=2x2 の係数が負のときは、グラフは上に凸(山の形)になり、頂点で最大になります。
y=−(x−1)²+4 のグラフ。頂点 (1, 4) で最大ほかにも、2次関数の最大値・最小値、二次方程式の解の公式を導くとき、円の方程式 x2+y2−4x+6y=0 を (x−2)2+(y+3)2=13 に直して中心と半径を読むときにも使います。
テスト・入試ではこう出る
数学Ⅰの2次関数では、まず頂点と軸を求める問題が出ます。そのあと、最大値・最小値、グラフの平行移動、x 軸との共有点など、ほとんどの問題の最初の一歩が平方完成です。大学入試でも、文字をふくむ2次関数の最大・最小(場合分け)や、円の方程式の問題で使います。
例題1(頂点と軸)
2次関数 y=2x2−12x+13 のグラフの頂点と軸を求めなさい。
- x2 の係数 2 で、x の項までくくる:y=2(x2−6x)+13
- かっこの中を平方完成(−6 の半分は −3、2乗は 9):y=2{(x−3)2−9}+13
- 中かっこを外す:y=2(x−3)2−18+13=2(x−3)2−5
- たしかめ:x=3 を元の式に入れると 18−36+13=−5 で合っている。
答え 頂点 (3, −5)、軸は直線 x=3
例題2(最大値)
2次関数 y=−x2+2x+3 の最大値と、そのときの x の値を求めなさい。
- −1 でくくる(符号に注意):y=−(x2−2x)+3
- かっこの中を平方完成:y=−{(x−1)2−1}+3
- 中かっこを外す:y=−(x−1)2+1+3=−(x−1)2+4
- −(x−1)2 は 0 以下で、x=1 のとき 0 になる。だから y は x=1 のとき最大。
答え x=1 のとき最大値 4(最小値はない)
![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
マイナスでくくるときは、かっこの中の符号が全部変わるんだね!
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
(x+3)2 を作ったら、勝手に足した 9 を引くのを忘れないで!
- 足した分を引き忘れる:x2+6x=(x+3)2 は×。(x+3)2=x2+6x+9 なので、9 を引いて (x+3)2−9 です。
- x2 の係数でくくらない:2x2−8x+5 を、いきなり (x−4)2 などにしないこと。先に 2 でくくります。
- くくったあと、引く数に係数をかけ忘れる:2{(x−2)2−4}+5 を 2(x−2)2−4+5 とするのは×。−4 にも 2 をかけて −8 です。
- マイナスでくくるときの符号:−x2+2x は −(x2−2x) です。−(x2+2x) にすると符号がずれます。
- 頂点の符号:y=(x−2)2−1 の頂点は (2, −1)。かっこの中が x−2 なら、頂点の x 座標は +2 です(−2 ではありません)。
ことばの由来
平方は「2乗」のことで、面積の単位「平方メートル」と同じ意味です。英語では completing the square(コンプリーティング ザ スクウェア)といい、「正方形を完成させる」という意味です。タイルの図で欠けた角をうめて正方形を作ることと、ぴったり合っています。
9世紀のアル=フワーリズミーの代数の本では、二次方程式を図形の正方形を完成させる方法で解いたことが知られています。平方完成は、とても古くからある考え方です。
ミニ問題
問題1 x2+8x+10 を平方完成しましょう。
答えと解き方を見る
(x+4)2−6 です。
x の係数 8 の半分は 4、その2乗は 16。x2+8x+10=(x+4)2−16+10=(x+4)2−6 です。展開すると x2+8x+16−6=x2+8x+10 で、元に戻ります。
問題2 2次関数 y=3x2+6x−1 のグラフの頂点を求めましょう。
答えと解き方を見る
頂点は (−1, −4) です。
- 3 でくくる:y=3(x2+2x)−1
- かっこの中を平方完成:3{(x+1)2−1}−1
- 中かっこを外す:3(x+1)2−3−1=3(x+1)2−4
かっこの中が x+1 なので、頂点の x 座標は −1 です。
問題3 平方完成を使って、二次方程式 x2+4x−1=0 を解きましょう。
答えと解き方を見る
x=−2±5 です。
x2+4x−1=(x+2)2−4−1=(x+2)2−5 なので、方程式は (x+2)2=5。2乗して 5 になる数は ±5 なので、x+2=±5、x=−2±5 です。解の公式も、この方法で作られています。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
平方完成とは何ですか?
2次式を a(x−p)²+q の形に直すことです。たとえば x²−4x+3 は (x−2)²−1 になります。
平方完成のやり方のコツは?
x の係数の半分をかっこの中に入れ、その2乗を引くことです。x² の前に数があるときは、先にその数でくくります。
平方完成は何に使いますか?
2次関数のグラフの頂点を求めるときに使います。最大値・最小値の問題や、解の公式の導き方、円の方程式の中心と半径を読むときにも使います。
x² の係数がマイナスのときはどうしますか?
先にマイナスの数でくくります。−x²+2x は −(x²−2x) となり、かっこの中の符号が変わるので注意します。
平方完成が合っているか確かめる方法は?
答えを展開して、元の式に戻るかを確かめます。戻らなければ、引き忘れや符号のまちがいがあります。
平方完成は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅰの2次関数で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(2次関数)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦