この記事の結論

  • 『理系バカと文系バカ』は、サイエンス作家の竹内薫さん(構成は嵯峨野功一さん)が書いたPHP新書の本(2009年3月)です。理系・文系それぞれにありがちな考え方のかたよりをユーモアのある例で紹介し、両方をあわせもつ「文理融合」のバランスのよい知性をすすめています。
  • 「理系バカ・文系バカ」は人を決めつける言葉ではなく、考え方の「くせ」の話です。受験勉強では、数学に「文系の目(言葉で説明する)」、国語・英語に「理系の目(筋道を追う)」を足すと、どの教科も伸ばしやすくなります。

理系の人間は理屈で考える。文系の人間は論理的な話ができない。

そんな理系バカと文系バカを上手いこと書籍にしたのがサイエンスライター竹内薫さんの『理系バカと文系バカ』。

今日インターネットの記事でこの『理系バカと文系バカ』が紹介されていました。

理系と文系の違いをお互いの立場から客観的に述べられており、これから文系、理系を選ぶ高校生にはお勧めの本である。

すでに大学を卒業した人も文系、理系の違い解る一冊です。会社内でのコミュニケーションを円滑にするためにも一読をお勧めいたします。

※ここまでが2009年5月の元の記事です。冒頭の2文は、世の中でよく言われる「理系・文系のイメージ」を書いたもので、だれにでも当てはまるわけではありません。ここから下で、本の基本情報と、文系・理系の考え方の違いを受験勉強に生かす方法を書き足しました。

理系バカと文系バカ(竹内薫)とは?本の基本情報

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まず、本の基本をまとめます。書名・著者・出版社・発売年は、出版社(PHP研究所)の書籍ページと書店の書誌情報で確かめました。

項目内容
書名『理系バカと文系バカ』
著者竹内薫(たけうち・かおる)/構成:嵯峨野功一
出版社・シリーズPHP研究所・PHP新書
発売2009年3月
どんな本?理系と文系の考え方のかたよりを、「理系バカ」「文系バカ」という極端な例で紹介し、両方の垣根をこえたバランスのよい知性を考える
こんな人にこれから文系・理系を選ぶ高校生/文理のちがう人と話がかみ合わない大学生・社会人

書名のリンクは Amazon の検索ページです(今の版・電子書籍の有無はリンク先で確かめてください)。

目次(章立て)

書店の書誌情報にある章立ては次のとおりです。前半で「理系バカ」「文系バカ」の例を見て、後半で日本の理科離れや「理系センス」「文理融合センス」へと話が進みます。

『理系バカと文系バカ』の目次の地図 序章 「理系」「文系」って、そもそも何だ? 第1章 こんなタイプが「理系バカ」「文系バカ」!? 第2章 理系と文系、どっちがトク? 第3章 日本は理系人間が育ちにくいのか? 第4章 「理系センス」がある人はどこが違うのか? 第5章 文理融合センスを磨く5カ条 前半事例で笑って 後半理科離れと文理融合へ 章の名前は書誌情報(紀伊國屋書店)による。中身は本で確かめよう
図1 『理系バカと文系バカ』の目次の地図。前半は事例、後半は理科離れと文理融合

出版社の内容紹介によると、前半では、興味をもったことにのめりこんで極端な行動に走りがちな「理系バカ」と、人から聞いた情報をそのまま信じてまわりに流されがちな「文系バカ」の例を、ユーモアを交えて紹介しています。後半では、特に理科離れが進む日本の現状に警鐘を鳴らし、教育・政治・メディアで科学を広めるための具体的な方法を提案しています。

第1章には「文系バカ」「理系バカ」と呼ばれる例がそれぞれ10ずつ挙がっています。どんな例かは、ぜひ本で確かめてください。自分や家族、友だちに当てはまる例が見つかると、笑いながら読めるはずです。

竹内薫さんはどんな人?サイエンス作家の経歴

著者の竹内薫さんは、1960年東京生まれのサイエンス作家(サイエンスライター)です。出版社の著者紹介によると、東京大学(東大)の教養学部と理学部物理学科を卒業し、カナダのマギル大学の大学院博士課程を修了した理学博士です(専門は高エネルギー物理学の理論)。科学の読み物のほか、小説・エッセイ・翻訳なども手がけ、著書には『99.9%は仮説』などがあります。

つまり、物理学という「ど真ん中の理系」で博士号をとった人が、文章で科学を伝えるという「文系の仕事」もしている人です。理系と文系の両方の世界を知る人だからこそ、どちらか一方をばかにするのではなく、両方の良いところと弱いところを客観的に書けるのでしょう。元の記事で「お互いの立場から客観的に述べられて」いると紹介したのは、この点です。

物理学の勉強に興味がある人は、「物理の勉強法」や、「1メートル」の決め方の歴史を書いた「メートルの定義」も読んでみてください。科学の「決まりごと」がどうやって決まったかを知ると、理系の考え方がぐっと身近になります。

「理系バカ」「文系バカ」は悪口ではない:考え方のくせの話

「理系バカ」「文系バカ」という言葉だけを見ると、相手をばかにする言葉に聞こえるかもしれません。けれども、この本のねらいは人を2つに分けて決めつけることではなく、だれもがもっている考え方のかたより(くせ)に気づくことです。

理系の人にも言葉で伝えるのが上手な人はいますし、文系の人にも数字に強い人はたくさんいます。「理系だから〇〇」「文系だから〇〇」というのは、あくまで一般的なイメージです。そのうえで、イメージとしてよく言われる強みと落とし穴を並べると、次のようになります。

考え方の「くせ」には強みと落とし穴がある 理系寄りの考え方 ◎ 強み「なぜ?」を筋道で考える数字・実験で確かめる △ 落とし穴好きなことに没頭しすぎる伝わる言葉を後回しに 文系寄りの考え方 ◎ 強み言葉で伝える・まとめる人の気持ち・背景を読む △ 落とし穴聞いた話をうのみにするまわりの空気に流される 両方の目をもつ=文理融合
図2 考え方のくせには強みと落とし穴がある(一般的なイメージ。人によってちがう)

理系寄りの考え方の強みと落とし穴

理系寄りの考え方の強みは、「なぜそうなるのか」を筋道で考え、数字や実験で確かめることです。数学の証明や物理の計算は、まさにこの力を使います。

落とし穴は、好きなことに夢中になるあまり、まわりが見えなくなることです。また、自分では筋道が通っているつもりでも、相手に伝わる言葉にするのを後回しにしがちです。答案で「計算は合っているのに、説明が足りずに点が引かれる」のは、この落とし穴の典型です。

文系寄りの考え方の強みと落とし穴

文系寄りの考え方の強みは、言葉で伝えたり要点をまとめたりすること、人の気持ちや出来事の背景を読むことです。現代文の読解や英作文、歴史の論述で力を発揮します。

落とし穴は、もっともらしい話を聞くと、根拠を確かめずに信じてしまうことです。「みんなが言っているから」「有名な人が言っていたから」で判断すると、まちがった情報にも流されてしまいます。

大事なのは「両方の目」をもつこと

図2の下にあるとおり、目ざしたいのは両方の目をもつことです。理系寄りの人は「伝える力」を、文系寄りの人は「確かめる力」を足す。本の第5章の題「文理融合センスを磨く5カ条」にある文理融合は、そういう考え方です。

自分の考え方のくせをチェックしよう

本を読む前に、自分がどちらのくせに近いかを軽くチェックしてみましょう(この記事で作った目安です。診断ではありません)。当てはまるものが多い側が、今のあなたの「くせ」です。

こんなことはない?ありがちな側
1答えは合ったのに、答案の説明が足りずに点を引かれた理系寄り
2好きな単元ばかり進めて、ほかの教科が手つかずになった理系寄り
3人に説明すると「何を言っているかわからない」と言われる理系寄り
4SNSで見た勉強法を、確かめずにそのまま始めた文系寄り
5グラフや表を見ると、読まずに飛ばしてしまう文系寄り
6「みんながそうしているから」で志望校や参考書を決めた文系寄り

どちらの側に多く当てはまっても、気にしすぎる必要はありません。くせに気づけば、直す方法は見つかります。理系寄りの人は下の「教科別」の文系の目を、文系寄りの人は理系の目と「うのみにしない3つの問い」を、まず1つ試してみてください。

うかるくん

うかるくん

先生、ぼく理系志望なんですけど、国語の記述がほんとに苦手で……。やっぱり「理系バカ」なんでしょうか。

合格先生

合格先生

苦手なのは考え方のくせで、才能のあるなしじゃないよ。数学で筋道を立てる力はもうあるんだから、それを国語の「だから」「しかし」を追う読み方に使えばいいんだ。

うかるくん

うかるくん

数学の力を国語に使う……! それならできそうです。

文系と理系の考え方の違いを勉強に生かす:教科別

文系・理系の考え方の違いは、文理選択のときだけの話ではありません。どの教科にも「理系の目」と「文系の目」の両方が役に立つ場面があります。下の図で教科ごとにまとめ、そのあとでくわしく見ていきます。

どの教科にも「理系の目」と「文系の目」 理系の目 文系の目 数学 式で筋道を立てる 答案を言葉で説明する国語 「だから」「しかし」を追う 筆者の思い・背景を読む英語 文の形(SVOC)に分ける 自然な日本語に直す理科 実験・グラフで確かめる 現象を自分の言葉で社会 統計・グラフを読む 出来事の流れと理由
図3 どの教科にも、理系の目と文系の目の出番がある

数学:式の筋道+答案を言葉で説明

数学は理系の教科と思われがちですが、記述式の2次試験では、なぜその式になるのかを日本語で説明する力が点数を左右します。「よって」「ここで〜とおく」「〜より」などの言葉で、採点者に考えの流れが伝わる答案を書きましょう。書き方のコツは「答案の書き方のコツ」にまとめています。

京都大学(京大)の数学は、文系・理系とも記述式です。出題の傾向は「京大数学(文系)の出題分析」「京大数学(理系)の出題分析」で、学部ごとの配点は「京大の学部別の配点」で確かめられます。公式の意味や言葉の定義をあいまいにしないことも大切で、「算数・数学公式辞典」と「数学用語辞典」では、公式の証明と用語の意味を図つきで説明しています。

国語:論理を追う+筆者の思いを読む

現代文は、実はとても「理系的」な教科です。評論文は、主張→理由→具体例→まとめという筋道で書かれていることが多く、「だから」「しかし」「つまり」といったつなぎ言葉が道しるべになります。数学の証明を追うように読むと、記述問題の答えの骨組みが見えてきます(「現代文の記述問題の対策・勉強法」)。

一方で、小説や随筆、古文では、登場人物や筆者の気持ち、時代の背景を読む「文系の目」が欠かせません。京大のように理系の学部でも国語が課される大学もあり、理系の人の国語の勉強法は「理系でも京大は国語が要る」にまとめています。国語全体の入口は「国語まとめ」です。

英語:文の形に分ける+自然な日本語に

英文和訳では、まず文を主語・動詞・目的語・補語(SVOC)に分けて、どこがどこにかかるかを正確につかむ「理系の目」が役立ちます。そのうえで、直訳のままではなく自然な日本語に直すのが「文系の目」です。数学の言葉を英語で言う「数学用語を英語で言うと?」は、理系の人が英語に親しむ入口にもなります。

理科・社会:確かめる力+説明する力

理科では、実験の結果やグラフから何が言えるかを考えるのが理系の目、その現象を自分の言葉で説明できるかが文系の目です。説明できない公式は、まだ本当にはわかっていないことが多いものです。

社会(地理・歴史・公民)でも、統計やグラフを読む力は欠かせません。たとえば大きな数を見たときに「桁はいくつか」をすばやくつかむ考え方は、「常用対数の整数部分」で紹介している常用対数(log)の考え方ともつながっています。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

理系の人は「言葉で説明する」、文系の人は「数字と根拠で確かめる」。苦手な側の目を1つ足すだけで、どの教科も一段伸びるよ。ここが大事!

文系・理系のよくある思いこみ:入試の科目で確かめる

「理系バカ・文系バカ」の落とし穴は、勉強の計画にも出てきます。受験生がよく口にする思いこみを、今の入試の科目で確かめてみましょう。

思いこみ1:「理系は国語がいらない」

大学によっては、理系の学部でも2次試験に国語があります。たとえば京大の令和9年度(2027年度)入学者選抜要項では、2次試験の国語の配点は理学部150点・工学部100点・医学部医学科150点です(学部ごとの総点や共通テストの配点は「京大の学部別の配点」)。東京大学(東大)の理科(理科一類〜三類)も、2次試験に国語(80点)があります。「理系だから国語は捨てる」と決めてしまうと、志望校の選び方そのものがせまくなります。

思いこみ2:「文系は数学がいらない」

国公立大学の文系学部では、共通テストで数学を使うことが多く、2次試験で数学を課す大学もあります。京大の文系学部は2次試験に数学があり、配点は文学部100点・法学部150点・経済学部(文系)150点です。東大の文科(文科一類〜三類)も2次試験に数学(80点)があります。私立大学には数学なしで受けられる入試も多いですが、国公立を考えるなら、文系でも数学は大事な科目です。

思いこみ3:「文系科目は暗記だけ、理系科目は計算だけ」

歴史の論述では、出来事の原因と結果のつながりを筋道立てて書く力が必要です。逆に、物理や化学でも、現象を言葉で説明する力が問われます。暗記だけ・計算だけで乗り切れる教科はありません。どの教科にも図3の「両方の目」が必要です。

入試の科目は年度によって変わることがあります。受ける年度の科目と配点は、必ず志望大学の募集要項・入学者選抜要項で確かめてください。

学年別:理系の目・文系の目を育てる勉強

文理融合のセンスは、一度に身につくものではありません。学年ごとに、次のような順番で育てていくのがおすすめです。

学年こんな時期育てたい力
高1文理選択の前。全教科を広く学ぶ苦手教科を「捨てない」。わからない所は「なぜ?」を調べる習慣
高2文理に分かれて、得意教科を深める得意な側の力を伸ばしつつ、苦手な側の教科を週に何回かは続ける
高3・浪人志望校の過去問に取り組む記述答案を言葉で説明する練習。共通テストのグラフ・資料の読み取り
大学生専門を学び、ゼミ・研究で発表する専門外の人に伝える力。文献やデータで確かめる力

高1のうちは、文系・理系のどちらに進むかに関係なく、全教科の基礎をしっかり固めておくのがいちばんの準備です。高2で文理に分かれたら、得意な側を伸ばしながらも、苦手な側を完全にやめてしまわないようにしましょう。高3・浪人生は、過去問の答案を「人に読んでもらう文章」として書く練習が、両方の目を育てます。

「うのみにしない」力:情報を確かめる3つの問い

本の内容紹介にある「人から聞いた情報をそのまま信じてしまう」という落とし穴は、受験生にとっても他人事ではありません。インターネットやSNSには、「この参考書だけで合格できる」「〇〇大学は今年かんたんになる」といった、根拠のはっきりしない情報があふれています。

そこで役に立つのが、理系の「確かめる」考え方です。聞いた話をうのみにしないために、次の3つの問いを習慣にしましょう。

聞いた話をうのみにしない「3つの問い」 ネットの記事・うわさ ① だれが言っている?出典・発表した人 ② 根拠は何?データ・実験・調査 ③ ほかの説明はない?反対の意見・例外 自分の頭で判断する
図4 聞いた話は「だれが」「根拠は」「ほかの説明は」の3つの問いを通してから判断する

① だれが言っている?

入試の日程や配点なら、まず大学の公式発表(募集要項・入学者選抜要項)を見ます。うわさや個人の感想と、公式の発表は分けて考えましょう。

② 根拠は何?

「〇〇すると成績が上がる」という話には、どんなデータや調査があるのかを確かめます。根拠が「知り合いがそう言っていた」だけなら、参考程度にとどめます。

③ ほかの説明はない?

「あの人は〇〇の参考書で合格した」としても、合格の理由はその本だけではないかもしれません。ほかの説明(反対の意見・例外)を探すと、話を冷静に見られます。

答えが1つに決まらない問題を、筋道を立てて見積もる練習には「フェルミ推定とは?やり方と例題」、ひらめきと論理の両方を使う問題には「地頭(じあたま)の問題」がおすすめです。

文理融合センスを育てる勉強の5つの習慣

本の第5章は「文理融合センスを磨く5カ条」です(中身は本で確かめてください)。ここでは、それとは別に、受験生が毎日の勉強の中でできる習慣を5つ挙げます。

文理融合センスを育てる「5つの習慣」 1 「なぜ?」を1日1回調べる 2 数字を見たら単位と出典を見る 3 解いた問題を人に説明する 4 理系は新書・小説文系は科学ニュース 5 文理ちがう友だちと勉強の話をする ※本の第5章の「5カ条」とは別の、この記事のおすすめ
図5 文理融合センスを育てる5つの習慣(この記事のおすすめ)

1. 「なぜ?」を1日1回調べる

授業や問題集で「なぜこうなるの?」と思ったことを、1日1つだけでも調べてみます。教科書・資料集・辞書で調べたことは、ノートの端に1行メモしておきましょう。興味をきっかけに調べて掘り下げる勉強のしかたは「勉強ができるようになる方法は「興味をもつ」こと」にくわしく書いています。

2. 数字を見たら「単位」と「出典」を見る

ニュースやグラフで数字を見たら、「何の数か(単位)」「だれが調べたか(出典)」を確かめるくせをつけます。毎日少しずつの差が大きく開く「1.01の法則と0.99の法則」のように、数字で考えると見えてくることもたくさんあります。

3. 解いた問題を人に説明する

解けた問題を、友だちや家族に「なぜこう解くのか」説明してみましょう。説明につまったところが、まだあいまいなところです。理系の人には「伝える力」、文系の人には「筋道を立てる力」の練習になります。

4. 理系は新書・小説を、文系は科学ニュースを

ふだん読まない分野にふれるのも大事です。理系の人は新書や小説を、文系の人は科学のニュースや科学読み物を、週に1本でも読んでみましょう。『理系バカと文系バカ』は、まさにその入口になる1冊です。読書感想文の書き方の手順は「夏休みの課題図書と読書感想文の書き方」にまとめています。

5. 文理のちがう友だちと勉強の話をする

文系と理系に分かれると、ちがうクラスの友だちと勉強の話をする機会が減りがちです。おたがいの得意教科を教え合うと、自分にない考え方にふれられます。

高校生が新書を読むコツ:『理系バカと文系バカ』の読み方

新書は、専門家が一般の読者に向けて、1つのテーマをわかりやすく書いた本です。『理系バカと文系バカ』のような新書は、受験勉強の合間に読むのにちょうどよい長さです。ただ、最初から最後まで順番に読もうとすると、途中で止まってしまうこともあります。そこで、次の3ステップがおすすめです。

新書は「3ステップ」で読む 1 目次 目次を見る5分で全体の地図 2 章 気になる章から順番どおりでなくてよい 3 ✎ 1行メモ・話す自分の言葉で残す
図6 新書は「目次→気になる章→1行メモ」の3ステップで読む

ステップ1:目次で地図をつかむ

まず目次を5分ながめて、本全体の地図をつかみます。図1のように、前半と後半で何が書かれているかがわかると、読みながら迷いません。

ステップ2:気になる章から読む

新書は、順番どおりに読まなくてもかまいません。この本なら、まず第1章の「理系バカ」「文系バカ」の例を読んで、自分に当てはまるものを探すと楽しく読めます。

ステップ3:1行メモ・人に話す

読み終わったら、「いちばん心に残ったこと」を1行で書いてみます。家族や友だちに「この本にこんな例があってさ」と話すのもよい方法です。自分の言葉にすると、内容が頭に残ります。この「読んで要約する」練習は、現代文の要約問題や小論文にもつながります。

サクラちゃん

サクラちゃん

先生、わたし文系なんですけど、ニュースのグラフを見ると、つい「なんとなく増えてる」で終わっちゃいます。

合格先生

合格先生

そこで「だれが調べた数字?」「何年と何年を比べている?」と2つだけ聞いてみるといいよ。それだけで立派な「理系の目」なんだ。

サクラちゃん

サクラちゃん

2つだけなら、明日からできます! 世界史の資料集のグラフでもやってみます。

会社内のコミュニケーションにも:文系と理系で話がかみ合わないとき

元の記事では「会社内でのコミュニケーションを円滑にするためにも一読を」と書きました。大学のゼミやサークル、アルバイト、そして社会に出てからも、文系と理系の人がいっしょに仕事をする場面はたくさんあります。

話がかみ合わないときは、どちらかが悪いのではなく、話の組み立て方がちがうだけのことが多いものです。そんなときは、次の順番で話すと伝わりやすくなります。

話がかみ合わないときは「結論→理由→例・数字→結論」 結論まず言いたいこと 理由なぜそう思うか 例・数字具体例やデータ 結論もう一度短く 理系寄りの人は結論を先に、専門用語をふつうの言葉に 文系寄りの人は「たとえば」と数字を1つ入れる
図7 結論→理由→例・数字→結論の順で話すと、文理のちがう相手にも伝わりやすい

理系寄りの人は、細かい計算や手順から話し始めがちです。まず結論を言い、専門用語をふつうの言葉に置きかえましょう。文系寄りの人は、印象や気持ちの話が多くなりがちです。「たとえば」と具体例を出し、数字を1つ入れると、相手が納得しやすくなります。

受験生のうちは、グループ学習や、学校の探究の発表で練習できます。この順番は、小論文や面接で意見を述べるときの基本の型とも同じです。

文系か理系か迷っている人へ

元の記事のとおり、この本はこれから文系・理系を選ぶ高校生にすすめたい1冊です。「理系バカ」「文系バカ」の例を読むと、自分がどちらの考え方に近いか、足りない見方は何かを考えるきっかけになります。

ただし、文理選択そのものは、本を読んだ印象だけで決めるものではありません。好きな教科・なりたい仕事・入試で使う科目の3つで考える方法や、文理選択の時期、文転・理転については、「文系・理系の選び方|文理選択はいつ?迷ったときの決め方と入試科目の違い」にくわしくまとめています。この記事は、選んだあとにどう勉強に生かすかの話として読んでください。

数学の全体像は「数学まとめ」、漢字の読み書きは「漢字合格大作戦」からどうぞ。保護者向けの本の紹介は「賢い子どもを育てる本 おすすめ3冊」にもあります。

まとめ:理系の目と文系の目、両方をもとう

  • 『理系バカと文系バカ』は、サイエンス作家の竹内薫さんのPHP新書(2009年3月)。理系・文系の考え方のかたよりを例で紹介し、文理融合のバランスのよい知性をすすめる本です。
  • 「理系バカ・文系バカ」は決めつけではなく、だれもがもつ考え方のくせの話です。
  • 数学には「言葉で説明する文系の目」、国語・英語には「筋道を追う理系の目」を足すと、教科の力が伸びやすくなります。
  • 聞いた話は「だれが」「根拠は」「ほかの説明は」の3つの問いを通してから判断しましょう。
  • 大学生・社会人になっても、「結論→理由→例・数字→結論」で話すと、文理のちがう相手に伝わりやすくなります。
指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

文系とか理系とかで分けるより、両方の目をもつほうが強いんですね。新書の読み方の3ステップ、さっそくやってみます!

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よくある質問

『理系バカと文系バカ』の著者はだれですか?

サイエンス作家の竹内薫さんです(構成は嵯峨野功一さん)。竹内さんは1960年東京生まれで、東京大学理学部物理学科を卒業し、マギル大学の大学院博士課程を修了した理学博士です。

『理系バカと文系バカ』はいつ、どこから出た本ですか?

2009年3月に、PHP研究所のPHP新書として出ました。

『理系バカと文系バカ』はどんな内容の本ですか?

理系と文系の考え方のかたよりを「理系バカ」「文系バカ」という極端な例で紹介し、両方の垣根をこえたバランスのよい知性を考える本です。後半では日本の理科離れにもふれています。

文系と理系の考え方の違いは何ですか?

一般的には、理系寄りは筋道や数字で確かめる考え方、文系寄りは言葉で伝え背景を読む考え方といわれます。ただし人によってちがい、両方をもつのが理想です。

文系・理系の考え方の違いを勉強にどう生かせばいいですか?

数学では答案を言葉で説明する、国語では「だから」「しかし」で論理を追う、英語では文の形に分けてから自然な日本語にするなど、苦手な側の考え方を1つ足すと伸びやすくなります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • PHP研究所「理系バカと文系バカ」(竹内薫 著・嵯峨野功一 構成、PHP新書、2009年3月13日発売)の書籍ページ・内容紹介
  • 紀伊國屋書店「PHP新書 理系バカと文系バカ」の書誌情報(目次・著者紹介)
  • 竹内薫さんの経歴:筑摩書房「竹内薫」の著者紹介、紀伊國屋書店の著者紹介
  • 元の記事:大学受験合格大作戦「理系バカ」(2009年5月)

最終更新:2026年10月23日/作成:大学受験合格大作戦

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