

この記事の結論
- 勉強ができるようになる方法は、いろいろなことに興味をもつことと、興味を持ったことを自分で調べて掘り下げることです。
- 「なぜそうなるのか」を考えながら調べると理屈がわかり、知識がつながって、勉強ができるように、そして楽しくなります。海外旅行や修学旅行は、その練習にぴったりの機会です。
「どうしたら勉強ができるようになりますか?」という質問を受験生からよく受けます。

その質問に回答するとすれば
- いろいろなことに興味をもつこと
- 興味を持ったことを自分で調べて掘り下げること
といえるでしょう。
文系でも理系でも教科書に載っていることに限らず、まずは興味をもつこと。そして興味をもったことを自分で調べて掘り下げると知識はどんどん増えていきます。
何故そうなるのかを考えながら調べていると、理屈がわかってきます。
そうなってくると
- 勉強ができるようになってきます。
- 勉強が楽しくなってきます。
もういちど言います。勉強ができるようになる方法は
- いろいろなことに興味をもつこと
- 興味を持ったことを自分で調べて掘り下げること
です。
この記事は2013年10月に書いたものです。2026年10月に、元の文章と考え方はそのまま残し、旅行先と教科書のつながりの一覧、ロゼッタストーンの調べ方、興味を知識に変える手順、教科別・学年別の使い方を図で足しました。科目名は今の高校の教育課程(歴史総合・世界史探究・日本史探究・地理総合・地理探究など)に合わせています。
勉強ができるようになる方法とは:「興味の輪」を回す
上の2つを、もう少し細かく分けると、次の4つの段階になります。1つ目の「興味をもつ」から始まり、「自分で調べる」「なぜそうなるかを考えて掘り下げる」「理屈がわかる」と進むと、真ん中の「勉強ができる・楽しい」にたどり着きます。そして楽しくなると、次の興味がわいて、また1つ目に戻ります。
大事なのは、この輪が自分で回ることです。先生に言われて覚えたことは、テストが終わると忘れやすいものです。しかし、自分が「なんで?」と思って調べたことは、調べた場面ごと覚えています。だから、あとで教科書の同じ所が出てきたときに「あ、これ知っている」となり、そこから先の理解が速くなります。
ことわざの「好きこそものの上手なれ」も、同じことを言っています。好きなこと・興味のあることは、言われなくても調べたり練習したりするので、自然と上手になります。ことわざの意味と由来は「「好きこそものの上手なれ」の意味と由来」にまとめました。
「勉強ができる人」は何がちがうのか
勉強ができる人を見ていると、頭の良さそのものより、次のようなくせがあることが多いものです。
- わからない言葉が出てきたら、そのままにせず調べる
- 「なぜ?」「本当に?」と、一度立ち止まって考える
- 調べたことを、前に習ったことと結びつけて覚える
- 人に説明するのが好き(説明すると自分のわかっていない所が見える)
どれも、生まれつきの才能ではなく習慣です。習慣なので、今日から誰でも始められます。その一番やりやすい入口が、この記事の題にある「旅行」です。
うかるくん
興味をもてって言われても、苦手な科目にはどうしても興味がわかないんだけど……。
合格先生
最初から「科目」に興味をもつ必要はないよ。好きな場所・好きな食べ物・好きなスポーツから始めればいい。調べていくと、必ずどこかで教科書のページにつながるんだ。
うかるくん
たとえば、カレーが好きだったら?
合格先生
カレーのもとはインドの料理だね。インドがイギリスの植民地だったことは世界史、香辛料を求めた大航海時代も世界史、スパイスの産地の気候は地理。ほら、もう3つの単元につながったよ。
海外旅行を10倍楽しむ勉強法:出発前に教科書と資料集

例えば海外旅行に行くとしましょう。
ただ単に流されるまま旅行に行くのではなく
に目を通しておきましょう。
旅行に行く地域の歴史や文化、国の成り立ちなどを把握しておきましょう。すこしでも興味をもったことは調べておきましょう。
まだ習ってない範囲だから・・・・。⇒関係ありません。いずれ習います。
私は地理だから世界史は関係ない。⇒地理の教科書を読みましょう。
海外ではなく国内旅行だ。⇒日本史の教科書を読みましょう。
地理も世界史も日本史も関係ない。⇒いろいろなことに興味を持つことが大切です。
今の高校では、歴史は1年生などで学ぶ歴史総合(近現代の日本と世界)と、そのあとの世界史探究・日本史探究に分かれています。地理は地理総合と地理探究です。学校で使う教科書でも、市販の資料集でもかまいません。旅行先の国や地域のページを開いて、地図・写真・年表をながめるだけで、旅の見え方が変わります。
出発前の30分でやること
旅行の前に何時間も勉強する必要はありません。次の4つを、出発前の30分ほどでやってみましょう。
- 地図で場所を確かめる:資料集の地図で、国の位置・首都・まわりの国・大きな川や山脈を見る。
- 年表で「いつ栄えたか」を見る:教科書の索引で国名や都市名を引き、何時代の話に出てくるかを確かめる。
- 行く場所の名前をメモする:博物館・お城・教会・お寺などの名前を書き出し、教科書や資料集に出てくるかを探す。
- 「なぜ?」を1つ作っておく:たとえば「なぜこの国ではこの言葉が話されているのか」。現地でその答えを探すつもりで歩く。
4つ目がいちばん大切です。問いを1つ持っているだけで、ガイドの説明・博物館の解説板・街の看板が、全部「答えの手がかり」に見えてきます。これが「旅行を10倍楽しむ」ということです。
旅行中・旅行のあとにやること
旅行中は、気になったものを写真に撮り、ひと言メモを添えておきます。帰ってきたら、メモを見ながら教科書と資料集のページを開き、「ここで見たのはこれだ」と印をつけましょう。教科書の写真の横に、自分の撮った写真の日付を書いておくのもおすすめです。次にその単元を授業で習うとき、思い出がそのまま記憶の手がかりになります。
ノートにまとめるなら、きれいに書くことよりあとで見返せることを大事にしましょう。見返しやすいノートの作り方は「東大合格生のノートの取り方」で、教科別に図で説明しています。
旅行先と教科書のつながり 一覧(海外・国内)
「旅行と勉強がつながると言われても、ピンとこない」という人のために、よくある旅行先と、教科書のどこにつながるかを一覧にしました。海外なら世界史・地理・英語、国内なら日本史・地理・国語につながることが多いです。
| 行き先 | 見どころの例 | つながる教科書の単元 |
|---|---|---|
| イギリス(ロンドン) | 大英博物館・グリニッジ天文台 | 世界史:産業革命・イギリスの植民地/地理:本初子午線と時差・西岸海洋性気候/英語 |
| フランス(パリ) | ルーブル美術館・ベルサイユ宮殿 | 世界史:絶対王政・フランス革命(1789年)・ナポレオン |
| イタリア(ローマ) | コロッセウム・バチカン | 世界史:古代ローマ・キリスト教・ルネサンス/地理:地中海性気候 |
| エジプト(カイロ・ギザ) | ピラミッド・ナイル川 | 世界史:古代エジプト・ヒエログリフ/地理:外来河川・乾燥帯 |
| 中国(西安) | 兵馬俑・城壁 | 世界史:秦の始皇帝・唐の都長安・シルクロード/日本史:遣唐使 |
| アメリカ(ニューヨーク) | 自由の女神 | 世界史:アメリカ独立・移民/英語:liberty と freedom |
| カンボジア | アンコール・ワット | 世界史:東南アジアの王朝・ヒンドゥー教と仏教 |
| 京都 | 平安神宮・金閣・銀閣 | 日本史:平安京(794年)・室町文化/国語:古文の舞台 |
| 奈良 | 東大寺・正倉院 | 日本史:奈良時代・聖武天皇/世界史:シルクロードを通って来た宝物 |
| 広島 | 原爆ドーム・平和記念公園 | 歴史総合:第二次世界大戦と戦後の世界 |
| 沖縄 | 首里城 | 日本史:琉球王国と中継貿易/地理:さんご礁・亜熱帯 |
| 北海道 | 牧場・畑・開拓の資料館 | 日本史:開拓使・屯田兵/地理:冷帯の気候・酪農と畑作 |
海外旅行のつながり:イギリス・フランス・エジプト・中国・アメリカ
イギリスのロンドンには、経度0度の線(本初子午線)が通るグリニッジ天文台があります。地球は24時間で360度回るので、経度15度で1時間の時差になります。日本の標準時は東経135度なので、イギリスとの時差は9時間(イギリスの夏時間の間は8時間)です。これは地理の時差の計算そのものです。旅行中に「日本は今何時だろう」と考えるだけで、時差の問題が解けるようになります。
フランスなら、ベルサイユ宮殿は絶対王政、パリの街はフランス革命の舞台です。エジプトのピラミッドは古代エジプトの王の墓とされ、ナイル川は雨の少ない地域を流れる外来河川として地理に出てきます。中国の西安は、唐の時代に長安とよばれた都で、日本から遣唐使が向かった町です。ここは世界史と日本史が交わる場所なので、両方の教科書を開いてみると面白いでしょう。
アメリカのニューヨークにある自由の女神は、英語では the Statue of Liberty です。liberty と freedom はどちらも「自由」ですが、使い方がちがいます。その違いは「libertyとfreedomの違い」で、自由の女神の話とあわせて説明しています。東南アジア(カンボジアのアンコール・ワット、タイ、ベトナムなど)に行くなら、「世界史の勉強法番外編(東南アジア史)」が出発前の予習にちょうどよいです。
行く国の名前を漢字で書けるか、試してみるのもおすすめです。英吉利(イギリス)・仏蘭西(フランス)・埃及(エジプト)のように、国名には昔からの漢字の書き方があります。クイズ形式の「国名の漢字表記クイズ」で、旅行先の国を探してみましょう。
国内旅行・修学旅行のつながり:京都・奈良・広島・沖縄・北海道
修学旅行で多い京都・奈良は、日本史の教科書がそのまま町になったような場所です。京都の金閣と銀閣には、それぞれ鹿苑寺・慈照寺という正式な名前があります。正式名と建てた人・時代のちがいは「金閣寺と銀閣寺の正式名称」に図でまとめました。京都の北東の一乗寺には、宮本武蔵の決闘で知られる場所があり、史実と伝説を分けて調べると面白い題材です(「一乗寺下り松とは」)。5月に行くなら、平安時代から続く葵祭も見どころで、古文の『源氏物語』にも登場します(「葵祭とは」)。
奈良の東大寺の正倉院には、シルクロードを通って西アジアから来たとされる品々が伝わっています。日本史で習う奈良時代の話が、世界史のシルクロードにつながる、よい例です。広島の原爆ドームは、歴史総合で学ぶ第二次世界大戦と戦後の世界を考える場所です。沖縄の首里城は琉球王国の王城で、日本・中国・東南アジアを結んだ中継貿易の話につながります。北海道では、明治時代の開拓使や屯田兵の歴史と、冷帯の気候を生かした酪農・畑作を、地理と日本史の両方から見ることができます。
日本史のおすすめの勉強の順番は「日本史の勉強法~日本史合格作戦会議」、地理の地図・統計の読み方は「地理の勉強法【基礎編】」で説明しています。旅行の前に読んでおくと、見るポイントがはっきりします。
ロゼッタストーンはなぜ大英博物館に?興味を掘り下げる実例

例えばイギリスに行くのであれば
「ロゼッタストーン」だけでも追いかけて調べてみよう。
現在は大英博物館で見ることのできるロゼッタストーンだが、これはナポレオンがエジプト遠征のときにエジプトから持って帰ったものだからフランスにあるはず。
それならばフランスのルーブル博物館に展示されていそうなものだが、なんで大英博物館にあるんだろう?
興味を持ったら自分で調べるか、博物館の人に聞いてみよう。
世界史の教科書には載っていないが、ちょっと調べればナポレオン戦争中に所有権がフランスからイギリスに移っていることや、2003年からはエジプトが返還を求めていることなどがわかり実に興味深い。
文字の解読に貢献したのはイギリスのトマス・ヤングか、それともフランスのシャンポリオンか?という論争も繰り広げられている。
興味を持てば、知識はどんどん広がっていく。
調べてわかったこと:ロゼッタストーンの年表
ここからは、上の「なんで?」を実際に掘り下げてみます。大英博物館の収蔵品の説明などを確かめると、次のような流れがわかります。
- 紀元前196年:エジプトのメンフィスで、プトレマイオス5世のための勅令(王のお触れ)が出され、石に刻まれる。
- 1799年:ナポレオンのエジプト遠征の最中に、フランス軍の将校がナイル川の河口近くの町ロゼッタ(今のラシード)の近くで発見。「ロゼッタストーン」の名前はこの町から。
- 1801年:エジプトのアレクサンドリアでフランス軍がイギリス軍に降伏し、その取り決めで石はイギリスの手に渡る。
- 1802年:イギリスに運ばれ、大英博物館で展示が始まる。それからほぼずっと大英博物館にあります(1972年にはルーヴル美術館へ短期間貸し出されたことがあります)。博物館でいちばん人気のある収蔵品とされています。
- 1822年:フランスのシャンポリオンが、ヒエログリフの解読を発表。
- 2003年:エジプトの考古学の責任者が、石の返還を求める。その後も返還を求める声は続いている。
つまり、元の記事の「ナポレオンが持って帰ったものだからフランスにあるはず」という予想は、半分当たりで半分はずれです。見つけたのはナポレオンの軍隊ですが、フランス本国に運ばれる前に、イギリスとの戦争に負けてイギリスのものになりました。だからルーブル美術館ではなく、大英博物館にあるのです。
元の記事では「ナポレオン戦争中」と書きましたが、細かく言うと、1801年のエジプトでの降伏は、フランス革命のあとに続いたフランスとイギリスなどの戦争の最中のできごとです。こうした「ことばの細かいちがい」に気づけるのも、自分で調べたからこそです。
なぜ解読の鍵になったのか:3つの文字で同じ内容
ロゼッタストーンが有名なのは、同じ内容の文が3つの書き方で刻まれていたからです。上から、ヒエログリフ(神聖文字)、デモティック(民衆文字)、そしてギリシア文字です。ギリシア文字の部分は当時の学者にも読めたので、それと見比べることで、読めなくなっていたヒエログリフを読み解く手がかりになりました。
イギリスのトマス・ヤングは、1814年ごろからこの石を研究し、ヒエログリフの中で枠で囲まれた部分(カルトゥーシュ)が王の名前「プトレマイオス」を表していることなどを突き止めました。フランスのシャンポリオンは、それを大きく進めて、1822年にヒエログリフの読み方を発表しました。「どちらの功績が大きいか」は、イギリスとフランスの間で今もよく語られる話題です。
ここで出てきたギリシア文字は、数学や物理で使う α(アルファ)・β(ベータ)・π(パイ)などと同じ文字です。数学で使うギリシア文字の読み方は「ギリシャ文字の読み方一覧(24文字)」にまとめています。歴史の興味が、数学の記号にまでつながりました。
ロゼッタストーンとは(Wikipedia の説明)
元の記事では、Wikipedia の説明を引用していました。そのまま残します。
縦114.4cm、横72.3cm、厚さ27.9cm、重量760kg。当初花崗岩または玄武岩と考えられたが、古代エジプト期の暗色の花崗閃緑岩でできた石柱であり、プトレマイオス5世のため紀元前196年にメンフィスで出された勅令が刻まれている。この碑文は三つの文字、すなわち古代エジプト語の神聖文字(ヒエログリフ)と民衆文字(デモティック)、ギリシア文字で記述されている。細かい違いはあれど本質的には同一の文章が全部で三つの書記法で著されていると推測され、1822年、ジャン=フランソワ・シャンポリオンによって解読された。これによってロゼッタ・ストーンはエジプトのヒエログリフを理解する鍵となり、他のエジプト語の文書を続々と翻訳されることとなった。
なお、大きさは資料によって少しちがいます。大英博物館の記載をもとにした今の英語版 Wikipedia では、高さ約112cm・幅約76cm・厚さ約28cm、重さ約760kg となっています。同じことでも資料によって数字がちがうことがある。これも、調べてみて初めてわかることです。

合格先生
「なんでフランスじゃなくてイギリスに?」という1つの疑問から、世界史(ナポレオン)・言葉(3つの文字)・数学(ギリシア文字)まで広がったね。これが「掘り下げる」ということだよ。
興味を「知識」に変える5つの手順(自分で調べる方法)
ロゼッタストーンの例でやったことを、どんな題材にも使える手順にすると、次の5段になります。
- 気づく:「あれ?」と思ったことを見のがさない。旅行先の看板、ニュースの地名、教科書の写真のすみ。小さな違和感が入口になります。
- 問いにする:「なぜ〜なのか」「いつから〜なのか」「本当に〜なのか」の形の文にします。問いが文になると、調べる方向が決まります。
- 調べる:まず教科書と資料集。次に用語集や辞典。最後に博物館の人や公式の説明で確かめます(下の図6)。
- つなげる:わかったことを、教科書の習った所(または、これから習う所)に書き込みます。「この話は教科書の何ページの続き」と言えるようになれば、知識が根づきます。
- 話す・書く:家族や友だちに「知ってた?」と話してみる。説明できたら、それはもう自分の知識です。うまく説明できない所は、まだわかっていない所です。
特に5段目の「話す・書く」は、入試の論述や記述問題の練習にもなります。京都大学(京大)や東京大学(東大)の2次試験の世界史・日本史では、「なぜそうなったのか」を文章で説明する問題が出ます。論述の考え方は「世界史の勉強法(私大・2次試験編)」で、問題文の読み方・考え方・書き方の3ステップとして説明しています。
調べる順番:教科書から始めて、公式で確かめる
調べるとき、いきなりインターネットで検索する人が多いと思います。もちろん検索は便利ですが、受験生には教科書から始めることをすすめます。教科書は、その話題が歴史や地理の大きな流れのどこにあるかを教えてくれるからです。流れがわかってから細かい話を調べると、迷子になりません。
次に資料集です。地図・写真・年表が多く、旅行の予習にはいちばん役立ちます。言葉の意味があいまいなら、用語集や国語辞典・英和辞典で確かめます。そして、数字や日付など大事な事実は、博物館・大学・役所などの公式の説明で確かめるのが確実です。元の記事にも「博物館の人に聞いてみよう」と書きました。旅行先で本物を前にして聞くのは、いちばんぜいたくな調べ方です。
調べるときのよくある間違い
- 1つのページだけ信じる:インターネットの記事には、まちがいや古い情報もあります。大事なことは2つ以上の資料で確かめましょう。ロゼッタストーンの大きさのように、資料によって数字がちがうこともあります。
- 調べっぱなしにする:調べて満足して終わると、すぐ忘れます。手順4の「教科書につなげる」までやって、初めて勉強になります。
- 細かい話に深入りしすぎる:興味は大切ですが、受験生には時間の限りもあります。「教科書のどこにつながるか」が見えたら、いったん止めるのも大事です。
- 伝説と史実を混ぜる:歴史の名所には、言い伝えや物語がたくさんあります。「〜という説がある」「物語ではこう書かれている」と、事実と分けて覚えましょう。
教科別:興味から入る勉強法(世界史・日本史・地理・英語・国語・数学・理科)
「興味をもつ→調べる→掘り下げる」は、社会科だけの話ではありません。元の記事にも「文系でも理系でも教科書に載っていることに限らず」と書きました。教科ごとに、興味の入口の例をあげます。
世界史:旅行・映画・ニュースの国から
世界史は、国や地域の数が多く、最初はどこから手をつけてよいか迷う科目です。行ってみたい国、好きな映画の舞台、ニュースで聞いた国から入ると、その国の歴史が「自分の話」になります。全体の勉強の進め方は「世界史の勉強法【基礎編】」、共通テスト対策は「世界史の勉強法その2【共通テスト対策】」にあります。
日本史:地元の地名・お祭り・お寺から
日本史の入口は、身近な所にあります。自分の住む町の地名の由来、近所の神社のお祭り、通学路の古いお寺。調べてみると、意外な時代につながっていることがあります。高2から始める日本史の計画は「日本史の勉強法~日本史合格作戦会議」をどうぞ。
地理:天気予報・食べ物の産地から
地理は、毎日の生活そのものが教材です。天気予報の気圧配置、スーパーの野菜や果物の産地、台風のニュース。たとえば台風の名前がどうやって決まるかを調べると、アジアの国々が名前を出し合っていることがわかります(「台風の名前と番号の付け方」)。
英語:好きなドラマ・歌・看板から
英語の入口は、好きな海外ドラマや歌、旅行先の看板です。合格大作戦では、海外ドラマで英語を学ぶ方法を「海外ドラマで英語の勉強法(FRIENDS)」で紹介しています。また、ニューヨークの地下鉄の広告から覚えた単語の話は「commuteの意味」にあります。看板1枚から単語が1つ増える。これも「興味の輪」です。
国語・古文:百人一首・物語の舞台から
古文は、京都や奈良を歩くと急に身近になります。百人一首の歌に出てくる地名を訪ねたり、『源氏物語』の舞台を調べたりすると、教科書の古文が「本当にあった場所の話」になります。国語の勉強の入口は「国語まとめ」、百人一首は「百人一首」、古文の文法は「古文文法辞典」にまとまっています。
数学:身のまわりの数・時差・旅行の計算から
数学は興味をもちにくいと言われますが、旅行は計算の宝庫です。時差の計算、両替のレート、移動にかかる時間と距離。「日本のピアノ調律師は何人いるか」のように、わからない数を筋道立てて見積もる「フェルミ推定」も、数学の考え方を楽しく使う方法です(「フェルミ推定とは」)。数学全体の入口は「数学まとめ」です。
理科:「なぜ?」の宝庫から
理科は、そもそも「なぜ?」から生まれた科目です。なぜ空は青いのか、なぜ飛行機は飛ぶのか、なぜ温泉は温かいのか。旅行先の火山や温泉は地学、飛行機は物理、食べ物は化学と生物につながります。理科は、問いを1つ立てるだけで、教科書のどこかに必ず答えの入口があります。
旅行に行けなくても:毎日を「10倍楽しむ」
勉強ができるようになる方法は「海外旅行を10倍楽しむ!?」と書いたが、海外旅行だけではない。
目の前にあることに対して、普段の10倍楽しみましょう。
いつも以上に好奇心をもって接しましょう。そういったスタンスが身につけばどんどん勉強ができるようになります。勉強が楽しくなってきます。
(※表題で「10倍楽しむ」と書いたが、わかりやすい表現にするためであり、根拠のある数字ではない。ご容赦いただきたい)
毎日できる「10倍楽しむ」の例
受験生は、なかなか旅行に行けません。それでも、毎日の中に「旅行」の代わりになるものはたくさんあります。
- ニュースの地名:知らない国や町の名前が出たら、資料集の地図で場所を探す。
- 今日は何の日:記念日の由来を調べると、歴史のできごとに出会えます。
- 近所の博物館・資料館:入館料が安い所や無料の日がある所も多いので、気分転換に。
- 食べ物の産地:パッケージの産地を見て、地理の教科書の主な産地と比べる。
- 漢字の成り立ち:気になった漢字の部首や成り立ちを調べる。漢字は「漢字合格大作戦」で1字ずつ調べられます。
受験期の時間の使い方
「興味を広げるのは大事だとわかったけれど、受験生にそんな時間はない」という声もあるでしょう。その通りで、高3の秋以降は、新しい興味を次々に広げるより、教科書と過去問を中心にするのが基本です。興味を広げるのは、休み時間・食事中・寝る前の10分など、勉強の合間の気分転換として使いましょう。それでも、問題を解いていて「なんで?」と思ったことを、その場で教科書に戻って確かめる習慣は、最後まで続ける価値があります。
やる気が続かないときの工夫は「東大生の勉強法|やる気の保ち方」と「受験のモチベーションの保ち方」でも紹介しています。
サクラちゃん
高3になったら、興味を広げる時間なんてないよね。もう遅いのかな……。
合格先生
遅くはないよ。高3は「広げる」より「つなげる」時期なんだ。問題を解いて「なんで?」と思ったら、教科書のその単元を読み直す。それだけで、問題集の1問が教科書の1ページにつながる。
サクラちゃん
あ、過去問で出てきた知らない地名を、資料集の地図で探すのも同じだね!
合格先生
その通り!それなら時間もかからないし、本番で同じ地域が出たら場所の地図が頭に浮かぶよ。
学年別:高1・高2・高3での「興味の勉強法」
高1:とにかく広く「なぜ?」
高1は、興味の種をまく時期です。旅行・部活の遠征・修学旅行の下調べ・本・ニュースなど、何にでも「なぜ?」と考えてみましょう。まだ習っていない範囲でもかまいません。元の記事にも「まだ習ってない範囲だから⇒関係ありません。いずれ習います」と書きました。先に興味をもった所は、授業で習うときに一気にわかります。
高2:調べたことを教科書に書き込む
高2は、興味を教科書につなぐ時期です。調べたことを教科書の余白に1行で書き込み、ページ番号をメモしておきましょう。高3で教科書を読み直すとき、その書き込みが自分だけの「思い出の目印」になります。志望校が決まってきたら、その大学の入試でよく出る科目に興味の重点を移すのもよい方法です。
高3:入試に生かす
高3は、入試に生かす時期です。本番の勉強は教科書と過去問が中心で、興味を広げるのは合間の時間に。志望校の入試の全体像をつかむには、京大なら「京大合格作戦の立て方」のように、まず入試の形を知ることから始めましょう。自分に合った勉強の進め方に迷ったら、「受験の質問・相談」から質問してください。
保護者の方へ:子どもの「なんで?」を育てる
子どもが「なんで?」と聞いてきたとき、すぐに答えを教えるより、「なんでだと思う?」「一緒に調べてみようか」と返すと、自分で調べる力が育ちます。家族旅行の前に、行き先の地図や歴史の本を一緒に開くのもよい方法です。家庭でできるやる気の引き出し方は「勉強が好きになる子どもの育て方」にまとめています。
大切なのは、子どもが調べてきたことを「よく調べたね」と聞いてあげることです。手順5の「話す」の相手になってあげるだけで、興味の輪は大きく回り始めます。
受験生へのメッセージ
何度も言います。勉強ができるようになる方法は
- いろいろなことに興味をもつこと
- 興味を持ったことを自分で調べて掘り下げること

サクラちゃん
次の旅行の前は、教科書と資料集を開いて「なぜ?」を1つ作っていこう。旅が10倍楽しくなって、勉強もできるようになる!
受験の悩みや勉強法の相談は、受験掲示板「100点BBS」でも話し合われています。京都大学をめざす人は 京都大学受験掲示板 もどうぞ。
よくある質問
勉強ができるようになるにはどうしたらいいですか?
いろいろなことに興味をもち、興味を持ったことを自分で調べて掘り下げることです。なぜそうなるのかを考えながら調べると理屈がわかり、知識がつながって勉強ができるように、楽しくなります。
興味がない科目を好きになるにはどうすればいいですか?
科目から入らず、好きな場所・食べ物・スポーツ・ドラマなどから調べ始めます。調べていくと世界史・地理・英語など教科書のどこかにつながるので、その単元を開いて結びつけます。
ロゼッタストーンはなぜフランスではなく大英博物館にあるのですか?
1799年にナポレオンのエジプト遠征中のフランス軍が見つけましたが、1801年にエジプトでフランス軍がイギリス軍に降伏し、その取り決めでイギリスの手に渡ったためです。1802年から大英博物館で展示されています。
ロゼッタストーンを解読したのは誰ですか?
フランスのシャンポリオンが1822年にヒエログリフの読み方を発表しました。それより前にイギリスのトマス・ヤングが、王の名前の部分などを手がかりに研究を進めていました。
修学旅行の事前学習は何をすればいいですか?
資料集の地図で場所を確かめ、教科書の索引で行き先の名前を引き、何時代の話かを見ます。そのうえで「なぜ〜なのか」という問いを1つ作り、現地で答えを探すつもりで見学すると学びが深まります。
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出典・参考
- The British Museum, The Rosetta Stone(収蔵品 EA24。英語版 Wikipedia「Rosetta Stone」の記載で確認:材質・重さ・前196年の勅令・1799年の発見・1801年のアレクサンドリアでの降伏・1802年からの展示・トマス・ヤングとシャンポリオン・2003年の返還要求)
- ウィキペディア日本語版「ロゼッタ・ストーン」(元の記事の引用。CC BY-SA)
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(歴史総合・世界史探究・日本史探究・地理総合・地理探究)
- 写真:大学受験合格大作戦(2013年の元の記事の写真)。図は大学受験合格大作戦が作成
最終更新:2026年10月22日/作成:大学受験合格大作戦












