合格大作戦 数学用語辞典 › 確率・統計
大学受験
試行とは
同じ条件でくり返すことができ、結果が偶然によって決まる実験や観察のことです。さいころを投げる、くじを引く、袋から玉を取り出す、などが試行です。試行をしたときに起こることがらを事象といいます。
サクラちゃん
「試行」って、確率の問題文によく出てきますけど、ただの「実験」とどうちがうんですか?
合格先生
ほとんど同じ意味で、結果が偶然で決まり、同じ条件でくり返せる実験のことだよ。試行の結果として起こることがらが「事象」。確率は、この 2 つの言葉の上に組み立てられているんだ。
この用語のポイント
- 試行は同じ条件でくり返せて、結果が偶然で決まる実験
- 試行 → 結果(根元事象)→ 事象 → 確率 の順につながる
- 独立な試行は確率をかけられる。玉を戻さないときは独立ではない
やさしく言うと
試行は、結果が偶然で決まる「ためしにやってみること」です。同じ条件で何回でもくり返すことができ、やってみるまでどの結果になるか分からないものをいいます。
- さいころを 1 回投げる:結果は 1〜6 の目のどれか。何回でもくり返せますが、次に何が出るかは分かりません。
- くじを 1 本引く:当たりか、はずれか。引いてみるまで分かりません。
- サッカーの試合前のコイントス:表か裏かで、陣地やキックオフを決めます。結果が偶然で決まるから、公平な決め方になります。
まとめると、試行=確率を考える「もとになる実験」です。試行をしたときに起こることがらが事象で、その起こりやすさが確率です。

サクラちゃん
確率の問題は、まず「何が試行か」をはっきりさせるところから始まるのね。
試行といえるもの・いえないもの
○ 試行といえる
- さいころを 1 回投げる(結果は 1〜6)
- コインを 3 回投げる(3 回まとめて 1 つの試行とも見られる)
- 袋から玉を 1 個取り出す
- トランプ 52 枚から 1 枚引く
- 画びょうを投げて上向きか下向きかを見る(同様に確からしくないが試行)
× 試行とはいえない
- を計算する(答えはいつも 5 で、偶然に左右されない)
- 1 から 6 の数を順に書く(結果が決まっている)
- 「明日、富士山が噴火するか」(同じ条件でくり返せない)
- 中身の分かった袋から、見て赤玉を選ぶ(選ぶ人が結果を決めている)
- ゆがんださいころを 1 回だけ見て、確率を決めつける(くり返しの考えがない)
試行のポイントは、(1) 同じ条件でくり返せることと、(2) 結果が偶然に左右されることの2つです。結果が同様に確からしいかどうかは、試行かどうかとは別の問題です。画びょう投げのように、同様に確からしくない試行もあります。
図で見る
確率の言葉は、「試行 → 結果 → 事象 → 確率」の順につながっています。
1 つ 1 つの結果(これ以上分けられない事象)を根元事象、起こりうる結果全部の集まりを全事象といいます。確率の式「(起こる場合の数)÷(すべての場合の数)」の分母は、全事象に入る根元事象の個数で、それが同様に確からしいときに使えます。
うかるくん
さいころを 2 回投げるのは、試行が 2 回ですか? それとも 1 回ですか?
合格先生
どちらの見方もできるんだ。「1 回投げる」試行を 2 回くり返すと見てもいいし、「2 回投げる」を 1 つの試行と見て 36 通りの結果を考えてもいい。問題に合わせて、数えやすいほうを選ぼう。
独立な試行と、元に戻さない試行
2 つの試行で、一方の結果が、もう一方の結果の起こりやすさに影響しないとき、それらを独立な試行といいます。独立な試行では、それぞれの確率をかけ算できます。
一方、袋から玉を取り出して元に戻さないときは、2 回目の袋の中身が 1 回目の結果で変わります。2 回目の確率は 1 回目の結果によって変わるので、独立ではありません。
| 試行の組み合わせ | 独立か | 計算 |
|---|---|---|
| コインとさいころを投げる | 独立 | 確率をそのままかける |
| さいころを何回も投げる | 独立 | かける(反復試行) |
| 玉を取り出して戻すをくり返す | 独立 | かける |
| 玉を取り出して戻さないをくり返す | 独立ではない | 2 回目は中身が変わった袋で考える(条件付き確率) |
| くじを 2 人が順に引く(戻さない) | 独立ではない | 後の人の確率は前の人の結果で変わる |
テスト・入試ではこう出る
試行という言葉は、高校の数学A(場合の数と確率)で、事象・全事象・根元事象などとともに学びます。テストで「試行とは何か」を直接きかれることは多くありませんが、独立な試行の確率、反復試行の確率、条件付き確率など、確率の問題はすべて「何が試行か」をはっきりさせるところから始まります。
例題1(独立な試行)
コインを 1 回投げ、さらにさいころを 1 回投げます。コインが表で、さいころの目が 3 の倍数である確率を求めなさい。
- 試行は「コインを 1 回投げる」と「さいころを 1 回投げる」の 2 つ。コインの結果はさいころの結果に影響しないので、独立な試行。
- 表が出る確率は 、さいころで 3 の倍数(3, 6)が出る確率は 。
- 独立な試行なので、確率をかけて 。
答え (12 通りの表で数えると、表3・表6 の 2 通りで と一致します)
例題2(戻す・戻さない)
赤玉 3 個・白玉 2 個が入った袋から 1 個取り出し、色を見てから 2 回目を取り出します。(1) 1 回目の玉を袋に戻すとき、(2) 戻さないとき、2 回とも赤玉である確率をそれぞれ求めなさい。
(1) 元に戻すとき:1 回目も 2 回目も「赤 3 個・白 2 個から 1 個取り出す」同じ試行で、たがいに独立です。
(2) 戻さないとき:1 回目に赤を取り出すと、袋は赤 2 個・白 2 個になります。2 回目の試行の条件が変わるので、
答え (1) (2)
(2) は「5 個から同時に 2 個取り出す」と考えて としても同じです。

うかるくん
「戻す」なら同じ試行のくり返しで独立。「戻さない」なら中身が変わる!
まちがえやすい点

合格先生
まず「何が試行か」「結果は同様に確からしいか」を確かめよう!
- 同様に確からしくない結果で数える:さいころ 2 個の目の和は 2〜12 の 11 通りですが、出やすさがちがいます。和で数えると確率をまちがえます。2 個を区別した 36 通りで数えます。
- 区別のつかないものを区別しないで数える:同じ色の玉も、試行の結果としては 1 個 1 個ちがう玉です。赤1・赤2…と名前をつけると、同様に確からしい結果になります。
- 戻さないのに独立と考える:玉を戻さないとき、2 回目の確率は変わります。 とするのは「戻す」場合だけです。
- 試行の区切り方がぶれる:「2 回投げる」を 1 つの試行と見るなら結果は 36 通り、「1 回投げる」の試行を 2 回なら 6 通りずつ。途中で見方を混ぜると、分母と分子が合わなくなります。
ことばの由来
試行は「試みに行う」、つまりためしにやってみる、という意味の漢字の組み合わせです。英語では trial(トライアル)といい、「ためす」という意味の try と同じなかまの言葉です。日常では「試行錯誤(ためしてはまちがえ、をくり返すこと)」という言葉にも使われます。
ミニ問題
問題1 次のうち、確率で考える「試行」といえるものをすべて選びましょう。
ア くじを 1 本引く イ を計算する ウ 画びょうを 1 回投げる エ 1 から 6 の数を順に書く
答えと解き方を見る
ア・ウ です。どちらも同じ条件でくり返せて、結果が偶然に左右されます(画びょうの上向き・下向きは同様に確からしくありませんが、試行であることに変わりはありません)。イとエは、結果がいつも同じに決まっているので試行ではありません。
問題2 さいころを 2 回投げるとき、2 回とも偶数の目が出る確率を求めましょう。
答えと解き方を見る
です。1 回目と 2 回目は独立な試行で、どちらも偶数が出る確率は 。かけて 。36 通りの表で数えても、偶数×偶数は 通りで です。
問題3 箱 A には赤玉 2 個・白玉 1 個、箱 B には赤玉 1 個・白玉 3 個が入っています。A と B から 1 個ずつ取り出すとき、2 個とも赤玉である確率を求めましょう。
答えと解き方を見る
です。A から取り出す試行と B から取り出す試行は独立です。A で赤は 、B で赤は なので、。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
試行とは何ですか?
同じ条件でくり返すことができ、結果が偶然によって決まる実験や観察のことです。さいころを投げる、くじを引くなどが試行です。
試行と事象のちがいは?
試行は「さいころを投げる」のような実験そのもの、事象は「偶数の目が出る」のような、試行の結果として起こることがらです。
独立な試行とは何ですか?
一方の試行の結果が、もう一方の試行の結果の起こりやすさに影響しない2つの試行です。それぞれの確率をかけて、両方が起こる確率を求められます。
玉を元に戻さないで取り出すのは独立な試行ですか?
独立ではありません。1回目の結果で袋の中身が変わり、2回目の確率が変わるからです。
根元事象と全事象とは何ですか?
根元事象は、試行の結果の1つ1つで、これ以上分けられない事象です。全事象は、起こりうる結果全部の集まりです。
試行は何年生で習いますか?
高校の数学Aの「場合の数と確率」で、事象や全事象といっしょに習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学A(場合の数と確率)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


