合格大作戦 数学用語辞典 › 確率・統計
大学受験大学院入試
二項分布とは
1 回で起こる確率が p の試行を n 回くり返したとき、起こる回数 X の確率分布です。P(X=r)=nCrpr(1−p)n−r で、B(n, p) と書きます。平均は np、分散は np(1−p) です。
読み方:にこうぶんぷ/英語:binomial distribution/習う学年:数学B(統計的な推測)
![うかるくん]()
うかるくん
コインを 100 回投げたら、表はちょうど 50 回出るんですか?
![合格先生]()
合格先生
平均は 50 回だけど、ちょうど 50 回になる確率は約 0.08 しかないんだ。表の回数は二項分布 B(100, 21) にしたがって、50 回のまわりに散らばる。標準偏差は 5 だよ。
この用語のポイント
- P(X=r)=nCrpr(1−p)n−r の分布を B(n, p) と書く
- 平均 np、分散 np(1−p)、標準偏差 np(1−p)
- n が大きいと正規分布に近づく。玉を戻さない取り出しは×
やさしく言うと
二項分布は、「起こる」か「起こらない」かの試行を n 回くり返したとき、起こる回数 X がどんな確率で何回になるかを表したものです。1 回で起こる確率を p とすると、
P(X=r)=nCrpr(1−p)n−r(r=0,1,2,⋯,n)で、これを二項分布 B(n, p) といいます。
- コイン投げ:コインを 10 回投げて表が出る回数は B(10, 21) にしたがいます。5 回のあたりがいちばん出やすく、0 回や 10 回はめったにありません。
- くじ:当たる確率 0.2 のくじを(戻しながら)10 回引くと、当たりの回数は B(10, 0.2)。平均すると 10×0.2=2 回くらい当たります。
- 工場の検査:不良品が出る確率がいつも同じ p の機械で n 個作るとき、不良品の個数を二項分布で考えます。
まとめると、二項分布は反復試行で「起こる回数」を確率変数にしたときの確率分布です。
B(10, 1/2):平均 5 を中心に左右対称の山になる![ひらめいたサクラちゃん]()
サクラちゃん
反復試行の確率を、回数ごとに全部並べたものが二項分布なのね!
二項分布になるもの・ならないもの
○ 二項分布になる
- さいころを 60 回投げて、1 の目が出る回数:B(60, 61)
- コインを 100 回投げて、表が出る回数:B(100, 21)
- 成功率 0.7 のシュートを 5 本打ったときの成功数:B(5, 0.7)
- 当たる確率 0.2 のくじを、戻しながら 10 回引いたときの当たりの数
- ○×問題 10 問にでたらめに答えたときの正解数:B(10, 21)
× 二項分布にならない
- 赤玉 3 個・白玉 7 個から、戻さずに 5 個取り出したときの赤玉の数(毎回確率が変わる)
- さいころを 10 回投げたときの目の和(回数ではない)
- 初めて 6 の目が出るまでに投げた回数(試行の回数 n が決まっていない)
- 1 回ごとに成功率が上がっていく練習の成功数(p が一定でない)
- さいころを 1 回投げたときの出た目(2 通りの結果に分けていない)
二項分布になる条件は、(1) 試行の回数 n が決まっている、(2) 各回は「起こる・起こらない」の2通り、(3) 起こる確率 p が毎回同じ、(4) 各回が独立、の4つです。
図で見る
p が 21 でないと、山の形がかたよります。当たる確率 0.2 のくじを 10 回引いたときの分布を見てみましょう。
B(10, 0.2):山は平均 2 のあたり。左にかたよる二項分布という名前は、確率が二項定理の展開の各項になっていることから来ています。q=1−p とおくと、(q+p)n を展開した各項が P(X=0), P(X=1), ⋯ です。
(q+p)⁴ の展開の係数 1, 4, 6, 4, 1 が ₄Cᵣ![うかるくん]()
うかるくん
確率を全部たすと 1 になるって、どうして言い切れるんですか?
![合格先生]()
合格先生
全部の項をたすと (q+p)n にもどるよね。q+p=(1−p)+p=1 だから、1n=1。二項定理のおかげで、計算しなくても 1 になると分かるんだ。
平均と分散
二項分布 B(n, p) の平均(期待値)・分散・標準偏差は、とても簡単な式になります。
平均 np は「1 回あたり p 回起こることが n 回分」と考えると、自然な式です。n が大きいとき、二項分布の形は平均 np、分散 np(1−p) の正規分布に近くなります。これを使うと、たくさんの項をたさなくても確率のおよその値が求められます。
回数が多いと、二項分布はつりがね形の正規分布に近づくテスト・入試ではこう出る
二項分布は、高校の数学B(統計的な推測)で、確率変数と確率分布のあとに学びます。テストや大学入試では、二項分布の平均・分散・標準偏差の計算、E(X)・V(X) から n・p を求める問題、正規分布で近似して確率を求める問題、そして仮説検定での利用がよく出ます。
例題1(平均・分散)
1 個のさいころを 60 回投げて、1 の目が出る回数を X とします。X の平均・分散・標準偏差を求めなさい。
- 1 回で 1 の目が出る確率は p=61。60 回投げるので、X は二項分布 B(60, 61) にしたがう。
- 平均:E(X)=np=60×61=10
- 分散:V(X)=np(1−p)=60×61×65=325
- 標準偏差:σ(X)=325=35=353≒2.89
答え 平均 10、分散 325、標準偏差 353
例題2(分布を書く)
X が二項分布 B(4, 31) にしたがうとき、X の確率分布を求め、平均と分散を求めなさい。
- P(X=r)=4Cr(31)r(32)4−r より、r=0,1,2,3,4 の確率は順に 8116, 8132, 8124, 818, 811(合計 8181=1)。
- 表から平均を計算:E(X)=810⋅16+1⋅32+2⋅24+3⋅8+4⋅1=81108=34
- 公式でも np=4×31=34 で一致。分散は np(1−p)=4×31×32=98。
答え 確率分布は上のとおり、E(X)=34、V(X)=98
確かめ:E(X2)=8132+96+72+16=38 なので、V(X)=38−(34)2=98 です。
![机で勉強するうかるくん]()
うかるくん
分散は np じゃなくて np(1−p)。標準偏差は、そのルートだ!
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
分散は np(1−p)。np は平均!
- 分散を np にする:正しくは np(1−p) です。コイン 100 回なら分散は 50 ではなく 25 です。
- 標準偏差を分散のまま答える:標準偏差は分散の正の平方根です。分散 25 なら標準偏差は 5 です。
- 戻さない取り出しに使う:玉を戻さないと毎回の確率が変わるので、二項分布ではありません(平均は同じ式になることがありますが、分散はちがいます)。
- B(n, p) の2つ目を分散と思う:二項分布の B(n, p) の2つ目は、1 回で起こる確率です。正規分布 N(m, σ2) の2つ目が分散なのと、まちがえないようにします。
- X の値の範囲を忘れる:X がとる値は 0 から n までの整数です。X=0(1 回も起こらない)もふくみます。
ことばの由来
二項は、(a+b)n のように2 つの項の和のことです。二項分布の確率は、{(1−p)+p}n を二項定理で展開したときの各項になっているので、この名前がつきました。英語では binomial distribution(バイノミアル・ディストリビューション)といい、binomial も「2 つの項」という意味です。記号 B(n, p) の B は binomial の頭文字です。
ミニ問題
問題1 コインを 100 回投げたときの表の回数を X とします。X の平均・分散・標準偏差を求めましょう。
答えと解き方を見る
平均 50、分散 25、標準偏差 5 です。X は B(100, 21) にしたがうので、E(X)=100×21=50、V(X)=100×21×21=25、σ(X)=25=5。
問題2 X が二項分布 B(n, p) にしたがい、E(X)=12、V(X)=9 です。n と p を求めましょう。
答えと解き方を見る
n=48、p=41 です。np=12、np(1−p)=9 なので、2 つ目を 1 つ目で割ると 1−p=129=43、p=41。n=12÷41=48 です。
問題3 X が B(6, 21) にしたがうとき、P(X=3) を求めましょう。
答えと解き方を見る
165 です。P(X=3)=6C3(21)3(21)3=6420=165。
関連する公式・用語
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よくある質問
二項分布とは何ですか?
1回で起こる確率がpの試行をn回くり返したとき、起こる回数Xがしたがう確率分布です。B(n,p)と書きます。
二項分布の平均と分散は?
平均はnp、分散はnp(1−p)、標準偏差はその平方根です。コインを100回投げたときの表の回数なら、平均50、分散25、標準偏差5です。
二項分布になる条件は?
試行の回数nが決まっていること、各回の結果が「起こる・起こらない」の2通りであること、起こる確率pが毎回同じで、各回が独立であることです。
なぜ「二項」分布というのですか?
確率が、2つの項の和 {(1−p)+p} のn乗を二項定理で展開したときの各項になっているからです。
二項分布と正規分布の関係は?
nが大きいとき、二項分布B(n,p)は平均np、分散np(1−p)の正規分布に近くなります。これを使って確率のおよその値を求めます。
二項分布は何年生で習いますか?
高校の数学Bの「統計的な推測」で習います。仮説検定でもよく使います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学B(統計的な推測)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦