空間ベクトルとは?成分・大きさ・内積をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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大学受験

空間ベクトルとは

前後・左右・上下の 3 方向をもつ空間で考えるベクトルです。成分は 3 つで a⃗=(a1,a2,a3)\vec a=(a_1,a_2,a_3) と書き、大きさは ∣a⃗∣=a12+a22+a32|\vec a|=\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2} です。

読み方:くうかんべくとる/英語:vector in space/習う学年:数学C(ベクトル)

サクラちゃん

サクラちゃん

空間ベクトルって、図がかきにくくて苦手です…

合格先生

合格先生

計算は平面とほとんど同じで、成分が 1 つ増えるだけだよ。図はおおまかでいい。長さや角は図ではなく、成分の計算で出そう。

この用語のポイント

  • 成分は 3 つ:a⃗=(a1,a2,a3)\vec a=(a_1,a_2,a_3)
  • 大きさは a12+a22+a32\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}(三平方の定理を 2 回)
  • 空間の点を表すには、同じ平面にない 3 つのベクトルが必要

やさしく言うと

空間ベクトルは、前後・左右・上下の 3 方向に進む矢印です。平面のベクトルは「横・たて」の 2 つの数で表しましたが、空間では3 つの数で表します。

  • ビルの中の移動:「東へ 20 m、北へ 30 m 歩いて、エレベーターで 10 m 上がる」。この動きは、東・北・上の 3 つの数 (20,30,10)(20,30,10) で表せます。
  • ドローン:ドローンは前後・左右に動くだけでなく、上下にも動きます。その動きを表すには、3 つの数が必要です。
  • 部屋のすみ:部屋のすみから、床の 2 本の辺と、たての柱の 3 本の線が出ています。これが空間の xx 軸・yy 軸・zz 軸のイメージです。
xyz O P(2, 3, 2) x へ 2 y へ 3 上へ 2 成分は 3 つ:(2, 3, 2)
原点 O から x 方向へ 2、y 方向へ 3、上へ 2 で点 P(2, 3, 2)

まとめると、空間ベクトルは a⃗=(a1,a2,a3)\vec a=(a_1,a_2,a_3) と 3 つの成分で表すベクトルです。考え方や計算のしかたは平面のベクトルとほとんど同じで、成分が 1 つ増えるだけです。

空間ベクトルの例

○ 空間ベクトルの例

  • a⃗=(1,2,2)\vec a=(1,2,2)(大きさ 3)
  • e3⃗=(0,0,1)\vec{e_3}=(0,0,1)(真上を向く長さ 1 のベクトル)
  • A(1,0,2)(1,0,2) から B(3,2,1)(3,2,1) へ → AB→=(2,2,−1)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(2,2,-1)
  • 立方体の頂点 O から向かいの頂点 F へ → a⃗+b⃗+c⃗\vec a+\vec b+\vec c
  • (2,0,0)(2,0,0)(xx 軸の方向。成分に 0 があってもよい)
  • 0⃗=(0,0,0)\vec 0=(0,0,0)

× まちがい

  • (3,4)(3,4) は空間ベクトルではない(成分が 2 つ)
  • (1,2,2)(1,2,2) の大きさを 12+22=5\sqrt{1^2+2^2}=\sqrt5 とする(zz 成分を落とした)
  • (1,2,2)(1,2,2) の大きさを 1+2+2=51+2+2=5 とする
  • (1,0,1)⋅(0,1,1)(1,0,1)\cdot(0,1,1) を (0,0,1)(0,0,1) とする(内積は数)
  • 空間の 2 つのベクトルで、空間のどの点も表せると思う(3 つ必要)

空間ベクトルの成分は、どれが xx・yy・zz かの順番が決まっています。(a1,a2,a3)(a_1,a_2,a_3) の順に xx 成分、yy 成分、zz 成分です。

図で見る

空間ベクトルの大きさは、三平方の定理を 2 回使うと求められます。(1,2,2)(1,2,2) なら、まず床の上で 12+22=5\sqrt{1^2+2^2}=\sqrt5、次にそれと高さ 2 で (5)2+22=9=3\sqrt{(\sqrt5)^2+2^2}=\sqrt9=3 です。

O (1, 2, 2) √1²+2² 高さ 2 大きさ = √1²+2²+2² = 3 三平方の定理を 2 回使うと、成分の 2 乗が 3 つ並ぶ
(1, 2, 2) は直方体の対角線。長さは √(1²+2²+2²) = 3

まとめると、a⃗=(a1,a2,a3)\vec a=(a_1,a_2,a_3) の大きさは ∣a⃗∣=a12+a22+a32|\vec a|=\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2} です。2 点間の距離も同じ式で求めます。

立方体や四面体の問題では、座標を使わずに、基準になる 3 つのベクトルで全部を表すことがよくあります。

OABCDEFG abc OF = a + b + c a の分だけ前へb の分だけ右へc の分だけ上へ
立方体 OABC-DEFG で、OF = a + b + c
うかるくん

うかるくん

平面では 2 つのベクトルで全部表せたのに、空間では 3 つ必要なんですか?

合格先生

合格先生

そう。a⃗\vec a と b⃗\vec b の 2 つだけだと、作れるのは a⃗\vec a、b⃗\vec b をふくむ1 枚の平面の上の点だけなんだ。その平面から飛び出すには、もう 1 方向 c⃗\vec c がいる。ただし c⃗\vec c がその平面にのっていてはだめだよ。

O ab P 平面上の点 P は OP = s a + t b この図では s = 1.5、t = 1.2。空間全体には c も必要
2 つのベクトル a、b で表せるのは、その平面上の点 OP = s a + t b だけ

計算は平面と同じ形

a⃗=(a1,a2,a3)\vec a=(a_1,a_2,a_3)、b⃗=(b1,b2,b3)\vec b=(b_1,b_2,b_3) とします。平面のときの式に、第 3 成分を付け足した形です。

計算空間ベクトル平面ベクトル
たし算(a1+b1, a2+b2, a3+b3)(a_1+b_1,\ a_2+b_2,\ a_3+b_3)(a1+b1, a2+b2)(a_1+b_1,\ a_2+b_2)
実数倍(ka1, ka2, ka3)(ka_1,\ ka_2,\ ka_3)(ka1, ka2)(ka_1,\ ka_2)
大きさa12+a22+a32\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}a12+a22\sqrt{a_1^2+a_2^2}
内積a1b1+a2b2+a3b3a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3a1b1+a2b2a_1b_1+a_2b_2
基準のベクトル3 つ(同じ平面にないもの)2 つ(平行でないもの)

内積となす角の関係 a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos\theta や、三角形の面積 S=12∣a⃗∣2∣b⃗∣2−(a⃗⋅b⃗)2S=\dfrac12\sqrt{|\vec a|^2|\vec b|^2-(\vec a\cdot\vec b)^2} も、空間でもそのまま使えます。

本で説明するサクラちゃん

サクラちゃん

空間ベクトルは、平面の計算に「3 つめの成分」を足すだけ。こわくないわ!

テスト・入試ではこう出る

空間ベクトルは、高校の数学C「ベクトル」で習います。成分を使った大きさ・距離・内積・なす角の計算、立方体や四面体の問題を、基準の 3 つのベクトルで表して解く問題がよく出ます。大学入試では「点が平面上にある条件」「線分と平面の交点」など、空間図形の問題で大きな得点源になります。

例題1(成分と距離)

2 点 A(1,0,2)(1,0,2)、B(3,2,1)(3,2,1) について、AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} の成分と、線分 AB の長さを求めなさい。

  1. 成分は終点 − 始点:AB→=(3−1, 2−0, 1−2)=(2, 2, −1)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(3-1,\ 2-0,\ 1-2)=(2,\ 2,\ -1)。
  2. 大きさ:∣AB→∣=22+22+(−1)2=9=3|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|=\sqrt{2^2+2^2+(-1)^2}=\sqrt9=3。

答え AB→=(2,2,−1)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(2,2,-1)、AB=3\mathrm{AB}=3。平面のときと同じやり方に、zz 成分が 1 つ増えただけです。

例題2(なす角)

a⃗=(1,1,0)\vec a=(1,1,0)、b⃗=(1,0,1)\vec b=(1,0,1) のなす角 θ\theta を求めなさい。

  1. 内積:a⃗⋅b⃗=1×1+1×0+0×1=1\vec a\cdot\vec b=1\times1+1\times0+0\times1=1。
  2. 大きさ:∣a⃗∣=1+1+0=2|\vec a|=\sqrt{1+1+0}=\sqrt2、∣b⃗∣=1+0+1=2|\vec b|=\sqrt{1+0+1}=\sqrt2。
  3. cos⁡θ=12×2=12\cos\theta=\dfrac{1}{\sqrt2\times\sqrt2}=\dfrac12。
  4. 0∘≤θ≤180∘0^\circ\le\theta\le180^\circ より θ=60∘\theta=60^\circ。

答え 60∘60^\circ。この 2 つは、1 辺 1 の立方体の、となりあう 2 つの面の対角線です。立方体の面の対角線 3 本で正三角形ができることとも合っています。

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

大きさや内積で、zz 成分を落とさない! (1,2,2)(1,2,2) の大きさは 3 だよ。

  • zz 成分を落とす:平面のくせで、大きさや内積の計算で zz 成分を忘れがちです。(1,2,2)(1,2,2) の大きさは 5\sqrt5 ではなく 3 です。
  • 2 つのベクトルで空間全体を表そうとする:sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b で表せるのは平面上の点だけです。空間の点には、同じ平面上にない 3 つのベクトルが必要です。
  • 3 つのベクトルなら何でも基準になると思う:a⃗\vec a、b⃗\vec b、c⃗\vec c が同じ平面にのっていると、空間全体は表せません。たとえば c⃗=a⃗+b⃗\vec c=\vec a+\vec b のときです。くわしくは一次独立のページへ。
  • 見取り図の長さや角度をそのまま信じる:空間の図は斜めから見てかくので、直角が直角に見えず、長さも実際とちがって見えます。長さや角は、図ではなく計算で求めます。

ことばの由来

「空間」は、たて・横・高さのある 3 次元の広がりのことです。平面上のベクトル(平面ベクトル)と区別して、空間の中で考えるベクトルを「空間ベクトル」とよびます。「ベクトル」は英語 vector から来た言葉で、もとはラテン語の「運ぶもの」という意味の言葉です。一般には「3 次元のベクトル」ともいいます。

ミニ問題

問題1 a⃗=(2,−1,2)\vec a=(2,-1,2) の大きさを求めましょう。

答えと解き方を見る

3 です。∣a⃗∣=22+(−1)2+22=4+1+4=9=3|\vec a|=\sqrt{2^2+(-1)^2+2^2}=\sqrt{4+1+4}=\sqrt9=3。zz 成分の 2 乗も忘れずに足します。

問題2 a⃗=(1,2,−1)\vec a=(1,2,-1) と b⃗=(2,x,4)\vec b=(2,x,4) が垂直になるような xx を求めましょう。

答えと解き方を見る

x=1x=1 です。垂直なら内積が 0。1×2+2×x+(−1)×4=01\times2+2\times x+(-1)\times4=0 より 2x−2=02x-2=0、x=1x=1。

問題3 a⃗=(1,0,1)\vec a=(1,0,1)、b⃗=(0,1,1)\vec b=(0,1,1) とします。OA→=a⃗\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec a、OB→=b⃗\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec b のとき、三角形 OAB の面積を求めましょう。

答えと解き方を見る

32\dfrac{\sqrt3}2 です。

  1. ∣a⃗∣2=2|\vec a|^2=2、∣b⃗∣2=2|\vec b|^2=2、a⃗⋅b⃗=0+0+1=1\vec a\cdot\vec b=0+0+1=1。
  2. 面積の公式 S=12∣a⃗∣2∣b⃗∣2−(a⃗⋅b⃗)2S=\dfrac12\sqrt{|\vec a|^2|\vec b|^2-(\vec a\cdot\vec b)^2} に入れると、S=124−1=32S=\dfrac12\sqrt{4-1}=\dfrac{\sqrt3}2。

3 辺はどれも 2\sqrt2 なので、1 辺 2\sqrt2 の正三角形です。正三角形の面積 34×(2)2=32\dfrac{\sqrt3}4\times(\sqrt2)^2=\dfrac{\sqrt3}2 とも一致します。

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よくある質問

空間ベクトルとは何ですか?

前後・左右・上下の3方向をもつ空間で考えるベクトルです。成分は3つで、(a₁, a₂, a₃) のように表します。

空間ベクトルの大きさはどう求めますか?

(a₁, a₂, a₃) の大きさは √(a₁²+a₂²+a₃²) です。(1, 2, 2) なら √9=3 です。

空間ベクトルの内積はどう計算しますか?

(a₁, a₂, a₃) と (b₁, b₂, b₃) の内積は a₁b₁+a₂b₂+a₃b₃ です。0になれば2つは垂直です。

平面ベクトルとのちがいは何ですか?

成分が2つから3つになることと、空間の点を表すには基準のベクトルが3つ必要になることです。計算のしかたはほとんど同じです。

空間ベクトルは何年生で習いますか?

高校の数学C「ベクトル」で習います(2022年度入学生から。以前は数学B)。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(ベクトル)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦