一次独立とは?意味と係数比較をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

一次独立とは?意味と係数比較をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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大学受験大学院入試

一次独立とは

ベクトルが、たがいにほかのベクトルの実数倍や和で表せない関係のことです。平面の 2 つのベクトル a⃗\vec a、b⃗\vec b では、どちらも 0⃗\vec 0 でなく、平行でないことと同じです。このとき、どのベクトルも sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b の形にただ 1 通りに表せます。

読み方:いちじどくりつ/英語:linearly independent/習う学年:数学C(ベクトル)

サクラちゃん

サクラちゃん

一次独立って、名前がむずかしそうで…。どういう意味ですか?

合格先生

合格先生

平面なら「2 つの矢印が平行でない」ということだよ。そうなら、その 2 つを組み合わせて平面のどこへでも行けるんだ。

この用語のポイント

  • 平面の 2 つ:0⃗\vec 0 でなく、平行でないなら一次独立
  • どのベクトルも sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b にただ 1 通りで表せる
  • 一次独立なら係数比較ができる(答案に理由を書く)

やさしく言うと

一次独立は、「2 つの矢印が、たがいにちがう向きを向いている」ということです。平面では、零ベクトルでない 2 つのベクトル a⃗\vec a、b⃗\vec b が平行でないとき、一次独立といいます。

  • 東と北:「東へ何歩、北へ何歩」と言えば、地図の上のどこへでも行けます。東と北は向きがちがう(平行でない)からです。
  • 東と西:「東へ何歩、西へ何歩」では、東西の一直線の上しか動けません。東と西は反対向きで、平行だからです。これは一次独立ではありません。
  • 2 本のひも:ちがう向きに引っぱる 2 本のひもがあれば、その組み合わせでいろいろな向きに引けます。同じ向きのひもを 2 本にしても、引ける向きは増えません。
ab P O OP = 2a + 1.5b a の方向に 2 つ分b の方向に 1.5 つ分
平行でない a と b を使えば、ななめの方眼で平面のどの点にも行ける

まとめると、a⃗\vec a、b⃗\vec b が一次独立なら、平面上のどんなベクトル p⃗\vec p も p⃗=sa⃗+tb⃗\vec p=s\vec a+t\vec b の形に、ただ 1 通りに表せます。これが一次独立のいちばん大事な性質です。

一次独立の例

○ 一次独立

  • (1,0)(1,0) と (0,1)(0,1)(直角)
  • (1,2)(1,2) と (3,1)(3,1)(向きがちがう)
  • (1,1)(1,1) と (1,−1)(1,-1)
  • 三角形 OAB の OA→\overrightarrow{\mathrm{OA}} と OB→\overrightarrow{\mathrm{OB}}
  • 空間で、同じ平面にない 3 つ:(1,0,0)(1,0,0)、(0,1,0)(0,1,0)、(0,0,1)(0,0,1)
  • 平行四辺形のとなりあう 2 辺のベクトル

× 一次独立でない

  • (1,2)(1,2) と (2,4)(2,4)((2,4)=2(1,2)(2,4)=2(1,2) で平行)
  • (2,−1)(2,-1) と (−4,2)(-4,2)(反対向きでも平行)
  • 0⃗\vec 0 と (1,0)(1,0)(零ベクトルをふくむ)
  • 空間の 2 つのベクトルで空間全体(3 つ必要)
  • 空間で、同じ平面にのる 3 つ:a⃗\vec a、b⃗\vec b、a⃗+b⃗\vec a+\vec b

平面の 2 つのベクトル (a1,a2)(a_1,a_2)、(b1,b2)(b_1,b_2) が一次独立かどうかは、a1b2−a2b1≠0a_1b_2-a_2b_1\ne0 かどうかで調べられます。0 になれば平行(または零ベクトルをふくむ)で、一次独立ではありません。

図で見る

2 つのベクトルが平行だと、sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b をどう作っても、1 本の直線の上にしか行けません。「平面のどこへでも行ける」かどうかが、一次独立かどうかの分かれ目です。

一次独立 一次独立でない ab ab 平行でない→ 平面のどこへでも b = 2a(平行)→ 点線の上だけ
平行でなければ平面全体へ。平行なら 1 本の直線の上だけ
うかるくん

うかるくん

一次独立って、要するに「平行でない」ってことですよね? なんでむずかしい名前なんですか?

合格先生

合格先生

平面の 2 つなら、そう考えてOK。でも空間の 3 つになると「どの 2 つも平行でない」だけでは足りなくて、3 つが同じ平面にのらないことが必要になる。どんな数のベクトルにも使える言い方として、「一次独立」という名前があるんだ。

正式には、「sa⃗+tb⃗=0⃗s\vec a+t\vec b=\vec 0 ならば s=t=0s=t=0」が成り立つことを一次独立といいます。これは、「a⃗\vec a と b⃗\vec b のどちらも、もう一方の何倍かでは表せない」という意味です。

一次独立 一次独立でない abcabc c が平面から飛び出す→ 空間全体を表せる c も同じ平面の上→ 平面の上だけ
空間では、3 つが同じ平面にのらないとき一次独立

係数比較ができる理由

一次独立のいちばんの使い道は、係数比較です。a⃗\vec a、b⃗\vec b が一次独立なら、次のことが言えます。

sa⃗+tb⃗=s′a⃗+t′b⃗ ⟹ s=s′, t=t′s\vec a+t\vec b=s'\vec a+t'\vec b\ \Longrightarrow\ s=s',\ t=t'

理由:移項すると (s−s′)a⃗+(t−t′)b⃗=0⃗(s-s')\vec a+(t-t')\vec b=\vec 0。一次独立なので、s−s′=0s-s'=0、t−t′=0t-t'=0 です。

平行なときは、この比較ができません。たとえば b⃗=2a⃗\vec b=2\vec a なら、2a⃗+0b⃗2\vec a+0\vec b と 0a⃗+1b⃗0\vec a+1\vec b は同じベクトルなのに、係数はちがいます。だから答案では「a⃗\vec a、b⃗\vec b は一次独立だから」と書いてから係数を比べます。

平面空間
一次独立に必要な数2 つ3 つ
条件零ベクトルでなく、平行でない零ベクトルでなく、同じ平面にのらない
表し方p⃗=sa⃗+tb⃗\vec p=s\vec a+t\vec b(ただ 1 通り)p⃗=sa⃗+tb⃗+uc⃗\vec p=s\vec a+t\vec b+u\vec c(ただ 1 通り)
ひらめいたうかるくん

うかるくん

一次独立なら係数を比べてOK。答案には理由を一言書く!

テスト・入試ではこう出る

一次独立は、高校の数学C「ベクトル」で使います。いちばんよく出るのは、三角形の 2 本の線分の交点を、2 通りに表して係数比較する問題です。空間では、四面体の中の点を 3 つのベクトルで表して係数を比べます。大学の線形代数でも中心になる考え方です。

例題1(ベクトルを分解する)

a⃗=(1,2)\vec a=(1,2)、b⃗=(3,1)\vec b=(3,1) のとき、p⃗=(5,5)\vec p=(5,5) を sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b の形で表しなさい。

  1. a⃗\vec a と b⃗\vec b は平行でない(1×1−2×3=−5≠01\times1-2\times3=-5\ne0)ので一次独立。だから表し方はただ 1 通り。
  2. sa⃗+tb⃗=(s+3t, 2s+t)s\vec a+t\vec b=(s+3t,\ 2s+t) が (5,5)(5,5) と等しいので、s+3t=5s+3t=5、2s+t=52s+t=5。
  3. 連立方程式を解いて s=2s=2、t=1t=1。

答え p⃗=2a⃗+b⃗\vec p=2\vec a+\vec b。たしかめ:2(1,2)+(3,1)=(5,5)2(1,2)+(3,1)=(5,5)。

OAB MN P 21 11 OA = a、OB = b OP = ½a + ¼b
三角形 OAB で、AM と BN の交点 P は OP = ½a + ¼b

例題2(交点のベクトル)

三角形 OAB で、OA→=a⃗\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec a、OB→=b⃗\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec b とします。辺 OB の中点を M、辺 OA を 2:12:1 に分ける点を N とし、AM と BN の交点を P とします。OP→\overrightarrow{\mathrm{OP}} を a⃗\vec a、b⃗\vec b で表しなさい。

  1. P は AM 上にあるので、AP:PM=s:(1−s)=s:(1-s) とおくと OP→=(1−s)a⃗+s2b⃗\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-s)\vec a+\dfrac s2\vec b。
  2. P は BN 上にもあるので、BP:PN=t:(1−t)=t:(1-t) とおくと OP→=2t3a⃗+(1−t)b⃗\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{2t}3\vec a+(1-t)\vec b。
  3. a⃗\vec a、b⃗\vec b は一次独立なので、係数を比べてよい:1−s=2t31-s=\dfrac{2t}3、s2=1−t\dfrac s2=1-t。
  4. 2 つめから s=2−2ts=2-2t。1 つめに入れて 2t−1=2t32t-1=\dfrac{2t}3、t=34t=\dfrac34、s=12s=\dfrac12。

答え OP→=12a⃗+14b⃗\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac12\vec a+\dfrac14\vec b。手順 3 で「一次独立だから係数を比べられる」と書くのが答案のポイントです。

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

係数を比べるのは一次独立のときだけ。答案には「一次独立だから」と書こう!

  • 零ベクトルをふくむのに一次独立とする:0⃗\vec 0 と a⃗\vec a は、50⃗+0a⃗=0⃗5\vec 0+0\vec a=\vec 0 のように、係数が 0 でなくても 0⃗\vec 0 が作れます。だから一次独立ではありません。
  • 反対向きなら平行でないと思う:(2,−1)(2,-1) と (−4,2)(-4,2) は向きが反対ですが、−2-2 倍の関係なので平行です。平行には「同じ向き」と「反対向き」の両方がふくまれます。
  • 理由を書かずに係数を比べる:係数比較は一次独立のときだけ使えます。答案では「a⃗\vec a、b⃗\vec b は一次独立だから」とひとこと書きます。
  • 空間で「どの 2 つも平行でない」だけで安心する:a⃗\vec a、b⃗\vec b、a⃗+b⃗\vec a+\vec b はどの 2 つも平行でないことがありますが、同じ平面にのるので一次独立ではありません。

なお、教科書によっては「1 次独立」と数字で書きます。意味は同じです。

ことばの由来

「一次」は、sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b のように実数倍してたすだけの式(1 次式)のことです。この形を「一次結合」といいます。「独立」は、ほかのベクトルの一次結合では作れない(ほかから決まらない)という意味です。英語では linearly independent(リニアリー・インディペンデント)で、日本語はその直訳です。

ミニ問題

問題1 次のうち、一次独立な組をすべて選びましょう。(ア)(1,2)(1,2) と (2,4)(2,4) (イ)(1,0)(1,0) と (0,1)(0,1) (ウ)(2,−1)(2,-1) と (−4,2)(-4,2) (エ)(1,1)(1,1) と (1,−1)(1,-1)

答えと解き方を見る

(イ)と(エ)です。(ア)は (2,4)=2(1,2)(2,4)=2(1,2)、(ウ)は (−4,2)=−2(2,−1)(-4,2)=-2(2,-1) で、どちらも平行です。成分で調べるなら、(a1,a2)(a_1,a_2)、(b1,b2)(b_1,b_2) について a1b2−a2b1≠0a_1b_2-a_2b_1\ne0 なら一次独立です。(イ)は 11、(エ)は −2-2 で、0 ではありません。

問題2 a⃗\vec a、b⃗\vec b が一次独立のとき、(x+1)a⃗+(y−2)b⃗=3a⃗−b⃗(x+1)\vec a+(y-2)\vec b=3\vec a-\vec b を満たす xx、yy を求めましょう。

答えと解き方を見る

x=2x=2、y=1y=1 です。一次独立なので係数を比べて、x+1=3x+1=3、y−2=−1y-2=-1。

問題3 a⃗=(1,1)\vec a=(1,1)、b⃗=(2,−1)\vec b=(2,-1) のとき、p⃗=(4,1)\vec p=(4,1) を sa⃗+tb⃗s\vec a+t\vec b の形で表しましょう。

答えと解き方を見る

p⃗=2a⃗+b⃗\vec p=2\vec a+\vec b です。s+2t=4s+2t=4、s−t=1s-t=1 をひいて 3t=33t=3、t=1t=1。すると s=2s=2。たしかめ:2(1,1)+(2,−1)=(4,1)2(1,1)+(2,-1)=(4,1)。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

一次独立とは簡単にいうと何ですか?

平面の2つのベクトルなら、どちらも零ベクトルでなく、平行でないことです。このとき、平面のどのベクトルも2つの組み合わせでただ1通りに表せます。

一次独立の正式な定義は?

sa+tb=0(零ベクトル)ならば s=t=0 が成り立つことです。どちらも、もう一方の何倍かでは表せないという意味です。

係数比較はいつ使えますか?

基準のベクトルが一次独立のときだけです。sa+tb=s′a+t′b なら s=s′、t=t′ と比べられます。

成分で一次独立かどうかを調べるには?

(a₁, a₂) と (b₁, b₂) なら、a₁b₂−a₂b₁ が0でなければ一次独立です。0なら平行です。

空間ではどうなりますか?

3つのベクトルが零ベクトルでなく、同じ平面にのらないとき一次独立です。空間のどのベクトルも、その3つでただ1通りに表せます。

一次独立は何年生で習いますか?

高校の数学C「ベクトル」で使います。大学の線形代数でも中心になる考え方です。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(ベクトル)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦