合格大作戦 数学用語辞典 › 数と式
大学受験
因数定理・剰余の定理とは
剰余の定理は「整式 f(x) を x−a で割った余りは f(a)」、因数定理は「f(a)=0 ならば f(x) は x−a で割り切れる(x−a を因数にもつ)」という定理です。三次式の因数分解などに使います。
読み方:いんすうていり・じょうよのていり/英語:factor theorem / remainder theorem/習う学年:数学Ⅱ(複素数と方程式)

うかるくん
三次式の割り算、長くて途中でまちがえちゃいます…
![合格先生]()
合格先生
余りだけ知りたいなら、割り算はいらないよ。x−a で割った余りは f(a)。代入1回で終わりなんだ。f(a)=0 なら割り切れる、というのが因数定理だよ。
この用語のポイント
- 剰余の定理:f(x) を x−a で割った余りは f(a)
- 因数定理:f(a)=0 なら f(x) は x−a で割り切れる
- 代入するのは「割る式が 0 になる x」(x+2 なら −2)
やさしく言うと
剰余の定理は、「整式 f(x) を x−a で割った余りは f(a)」という定理です。わざわざ割り算をしなくても、x=a を代入するだけで余りが分かります。
因数定理は、その特別な場合で、「f(a)=0 なら、f(x) は x−a で割り切れる(x−a を因数にもつ)」という定理です。
身近なたとえで考えてみましょう。
- あめを配る:17個のあめを5人に3個ずつ配ると2個余ります(17=5×3+2)。整式の割り算も、これと同じ「割られる式 = 割る式 × 商 + 余り」の形です。
- 健康診断の検査:全部を調べなくても、1つの値を測るだけで分かることがあります。剰余の定理は、長い割り算をせずに、代入1回で余りが分かる近道です。
- かぎ穴さがし:f(a)=0 になる a が見つかれば、「x−a というかぎ」で式を割り切れます。そこから因数分解が進みます。
整数の割り算と、整式の割り算は同じ形まとめると、剰余の定理は「余りは f(a)」、因数定理は「f(a)=0 なら割り切れる」です。
使い方の例
○ 正しい使い方
- x2+3x+1 を x−2 で割った余り:f(2)=11
- x3−6x2+11x−6 は f(1)=0 なので x−1 で割り切れる
- x+3 で割った余りは f(−3)
- 2x−1 で割った余りは f(21)
- f(a)=0 になる a を探して、三次式を因数分解する
× まちがった使い方
- x−2 で割った余りを f(−2) とする(符号が逆)
- x2−1 で割った余りを f(1) だけで決める(2次式で割ると余りは1次式)
- f(2)=5 なのに「x−2 で割り切れる」とする
- f(x) を x−a で割った商を f(a) とする
剰余の定理で分かるのは余りだけです。商(割り算の答え)がほしいときは、ふつうの割り算か組立除法を使います。
図で見る:なぜ余りは f(a) なのか
f(x) を x−a で割ると、商 Q(x) と余り R を使って f(x)=(x−a)Q(x)+R と書けます。1次式で割ったので、余り R は数です。ここに x=a を代入すると、(x−a) が 0 になり、商の部分が消えます。
x=2 を代入すると、(x−2)Q(x) の部分が 0 になって、余りだけが残る![サクラちゃん]()
サクラちゃん
どうして x=a を代入するんですか? ほかの数ではだめなんですか?
![合格先生]()
合格先生
x=a のときだけ、x−a が 0 になるからだよ。0 には何をかけても 0 だから、分からない商 Q(x) が消えてくれるんだ。ほかの数では Q(x) が残って、余りだけを取り出せないんだよ。
グラフで見ると、因数定理の意味がよく分かります。f(a)=0 ということは、y=f(x) のグラフが x=a で x 軸と交わる(または接する)ということです。
x 軸と交わる x=1, 2, 3 が、因数 x−1, x−2, x−3 に対応する因数定理で三次式を因数分解する
因数定理のいちばんの使いどころは、三次以上の式の因数分解です。手順は次のとおりです。
- f(a)=0 になる a を探す。候補は ±(定数項の約数)÷(最高次の係数の約数)。最高次の係数が1なら、定数項の約数だけ試せばよい。
- 見つかったら、f(x) を x−a で割る(組立除法が速い)。
- 残った2次式を因数分解する。
組立除法なら、係数だけで割り算ができる![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
三次式が出たら、まず f(1) と f(−1) を計算。0 になればそこから崩せる!
テスト・入試ではこう出る
因数定理・剰余の定理は、高校の数学Ⅱ(複素数と方程式)で習います。定期テストや大学入試では、余りを求める、割り切れる条件から係数を決める、三次方程式を解く、2次式で割った余りを求める、といった形でよく出ます。
例題1(因数分解)
x3+2x2−5x−6 を因数分解しなさい。
- f(x)=x3+2x2−5x−6 とおき、x=±1, ±2, ±3, ±6(定数項 −6 の約数)を順に試す。
- f(−1)=−1+2+5−6=0 なので、因数定理より f(x) は x+1 で割り切れる。
- 割り算(組立除法)をすると、商は x2+x−6。つまり f(x)=(x+1)(x2+x−6)。
- 2次式を因数分解:x2+x−6=(x−2)(x+3)。
答え (x+1)(x−2)(x+3)
例題2(2次式で割った余り)
整式 f(x) を x−1 で割ると余りは 3、x+2 で割ると余りは −3 である。f(x) を (x−1)(x+2) で割った余りを求めなさい。
- 2次式 (x−1)(x+2) で割った余りは1次以下なので、ax+b とおく:f(x)=(x−1)(x+2)Q(x)+ax+b
- 剰余の定理より f(1)=3。x=1 を代入すると a+b=3。
- 同じく f(−2)=−3。x=−2 を代入すると −2a+b=−3。
- 2式を連立して解くと a=2, b=1。
答え 2x+1
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
x+2 で割った余りは f(2) じゃない! x+2=0 となる x=−2 を代入して f(−2) だよ。
- 代入する数の符号:x+2 で割った余りを f(2) とするのは×。x+2=x−(−2) なので f(−2) です。「割る式が 0 になる x」を代入すると覚えましょう。
- ax−b の形:2x−1 で割った余りは f(2) や f(1) ではなく、2x−1=0 となる x=21 を代入した f(21) です。
- 2次式で割った余りを数と思う:(x−1)(x+2) のような2次式で割ると、余りは1次以下の式 ax+b になります。数1つとは限りません。
- 候補の探しもれ:f(a)=0 の候補は正の数だけでなく負の数も試します。最高次の係数が1でないときは、21 などの分数も候補です。
- 因数定理を余りが 0 でないときに使う:f(a)=0 なら、x−a は因数ではありません。その a では因数分解は進みません。
ことばの由来
「剰余(じょうよ)」は「余り」という意味です。割り算の余りについての定理なので剰余の定理といいます。英語では remainder theorem(リメインダー・セオレム)で、remainder も「余り」の意味です。因数定理は英語で factor theorem(ファクター・セオレム)といい、factor は「因数」の意味です。
ミニ問題
問題1 整式 f(x)=x3−2x+5 を x+1 で割った余りを求めましょう。
答えと解き方を見る
6 です。x+1=x−(−1) なので、余りは f(−1)=−1+2+5=6。x+1 で割るときに f(1) を計算してしまうミスに気をつけます。
問題2 x3+ax+2 が x−2 で割り切れるとき、定数 a の値を求めましょう。
答えと解き方を見る
a=−5 です。割り切れるので、因数定理より f(2)=0。8+2a+2=0 より 2a=−10、a=−5。たしかめると x3−5x+2=(x−2)(x2+2x−1) で、割り切れています。
問題3 整式 f(x)=4x3−2x+3 を 2x−1 で割った余りを求めましょう。
答えと解き方を見る
25 です。2x−1=0 となるのは x=21 なので、余りは f(21)=4×81−2×21+3=21−1+3=25。x−a の形でないときは、割る式が 0 になる x を代入します。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
剰余の定理とは簡単にいうと何ですか?
整式 f(x) を x−a で割った余りは f(a) になる、という定理です。割り算をしなくても、代入1回で余りが分かります。
因数定理とは何ですか?
f(a)=0 ならば、f(x) は x−a で割り切れる(x−a を因数にもつ)という定理です。逆に、x−a で割り切れるなら f(a)=0 です。
x+3 で割った余りは何を代入しますか?
x+3=0 となる x=−3 を代入して、f(−3) を計算します。
f(a)=0 になる a はどうやって見つけますか?
定数項の約数を、最高次の係数の約数で割った数(プラスとマイナス)を候補にして、順に代入して確かめます。
2次式で割った余りはどうなりますか?
1次以下の式 ax+b になります。剰余の定理で2つの式を作り、連立方程式で a と b を求めます。
因数定理・剰余の定理は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅱ(複素数と方程式)で、高次方程式とあわせて習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅱ(複素数と方程式)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦