母集団と標本とは?意味と標本調査をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

母集団と標本とは?意味と標本調査をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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母集団と標本とは

調べたい対象の全体を母集団、そこから取り出して実際に調べる一部を標本といいます。標本を調べて母集団のようすを推定する方法を標本調査といいます。

読み方:ぼしゅうだん と ひょうほん/英語:population / sample/習う学年:中学3年(標本調査)。数学B(統計的な推測)

うかるくん

うかるくん

一部しか調べないのに、全体のことがわかるんですか?

合格先生

合格先生

みそ汁の味見と同じだよ。よくかき混ぜてから少しとれば、全体の味がわかる。数学でいう「無作為に取り出す」が、このかき混ぜにあたるんだ。

この用語のポイント

  • 母集団=調べたい全体、標本=取り出して調べる一部
  • 標本は無作為に(かたよりなく)取り出す
  • 標本の割合から全体を推定する(答えは「およそ」)

やさしく言うと

調べたい全体(母集団)がとても大きいとき、一部(標本)だけを調べて、全体のようすを推定します。身近な例で考えてみましょう。

  • みそ汁の味見:なべ全部を飲まなくても、よくかき混ぜてから小皿に少しとれば、全体の味がわかります。なべ全体が母集団、小皿にとった分が標本です。
  • 血液検査:体の血を全部調べなくても、少しだけとった血で、体全体の血のようすがわかります。
  • テレビの視聴率:全部の家庭を調べるのではなく、選ばれた一部の家庭で番組を見ているかを調べ、全体の割合を推定しています。

このように一部を調べる方法を標本調査、全部を調べる方法を全数調査といいます。

母集団(全体 66個) 無作為 抽出 標本 標本の大きさ 8 一部(標本)を調べて、全体(母集団)を推定する
母集団から、かたよりなく標本を取り出す

まとめると、母集団=調べたい全体、標本=実際に調べる一部です。

関係することば

ことば意味
母集団調べたい対象の全体
標本母集団から取り出した一部
抽出母集団から標本を取り出すこと
無作為抽出かたよりがないように、くじや乱数で取り出すこと
標本の大きさ標本にふくまれるデータの個数(人数・個数)
全数調査母集団のすべてを調べること
標本調査標本を調べて、母集団のようすを推定すること

標本調査が向いているもの・全数調査が必要なもの

○ 標本調査が向いている

  • テレビの視聴率、選挙の前の世論調査(全員は多すぎる)
  • 缶詰や電球の品質検査(調べるとこわれてしまう)
  • 池の魚の数、森の木の病気(全部は数えきれない)
  • 川の水質検査(川の水を全部は調べられない)
  • 新しい商品の好みのアンケート(だいたいの傾向がわかればよい)

× 全数調査が必要

  • 国勢調査(全員を数えることが目的)
  • 学校の健康診断(一人一人の結果が必要)
  • 入学試験の採点(全員の点が必要)
  • 飛行機に乗る前の手荷物検査(1つも見のがせない)
  • クラスの出席調べ(人数が少なく、全員の情報が必要)

標本調査を選ぶ理由は、主に「全部は多すぎる」「調べるとこわれる」「だいたいがわかればよい」の 3 つです。反対に、一人一人・1 つ 1 つの結果が必要なときは全数調査をします。

図で見る:かたよりと標本の大きさ

標本は「無作為に」取り出すことが大切です。同じ母集団から 10 個を取り出すとき、すみからまとめて取ると、全体とずれた結果になることがあります。

× すみからまとめて ○ 無作為に 10 個中 橙 8 個(8 割) 10 個中 橙 3 個(3 割) 母集団では 90 個中 橙 30 個(約 3.3 割) 赤い輪が取り出した標本。かたよった取り方だと、全体とずれる
同じ母集団でも、取り出し方がかたよると、全体の割合とずれる
サクラちゃん

サクラちゃん

無作為って、「てきとうに選ぶ」っていう意味ですか?

合格先生

合格先生

ちょっとちがうんだ。「てきとう」だと、つい選びやすいものを選んでしまう。どれも同じ確率で選ばれるように、くじや乱数を使って選ぶのが無作為抽出だよ。

もう 1 つ大事なのが標本の大きさです。下の図は、橙の割合が 0.3 の母集団から、大きさ 10 の標本と大きさ 100 の標本を 20 回ずつ取り出し、橙の割合を調べた結果です(コンピューターで試した一例)。

母集団の割合 0.3 大きさ10 大きさ100 00.20.40.60.8
標本が大きいほど、推定の値は母集団の割合(0.3)の近くに集まる

大きさ 10 では結果が大きくばらつきますが、大きさ 100 では 0.3 の近くに集まります。標本が大きいほど、推定は正確になりやすいのです。ただし、かたよった取り方をしていると、標本を大きくしてもずれは直りません。

標本から全体を推定する

中学3年でよく出る問題です。白い碁石がたくさん入った袋に、黒い碁石を100個入れてよく混ぜ、60個取り出したら黒が6個でした。

標本の黒の割合は 660=110\dfrac{6}{60}=\dfrac1{10} です。袋全体でも黒が約 110\dfrac1{10} と考えると、全体はおよそ 100×10=1000100\times10=1000 個、白い碁石はおよそ 1000−100=9001000-100=900 個と推定できます。

取り出した60個(標本) 黒 6個、白 54個 黒の割合 6 ÷ 60 = 1/10 袋には黒を 100個入れた 全体のおよそ 1/10 が黒なら 全体 ≒ 100 × 10 = 1000個 白 ≒ 1000 − 100 = 900個(推定)
標本の黒の割合 1/10 から、全体の数を推定する

答えは「およそ900個」です。標本調査の結果は推定なので、ぴったり同じとは限りません。高校の数学B(統計的な推測)では、推定がどれくらい確かかを「信頼区間」などで表します。

本で説明するサクラちゃん

サクラちゃん

標本はかたよらないように、無作為に選ぶのが大事よ。

テスト・入試ではこう出る

中学 3 年の「標本調査」では、母集団・標本・標本の大きさを答える問題、全数調査と標本調査のどちらが向いているかを選ぶ問題、標本の割合から全体の数を推定する問題がよく出ます。高校入試でも、碁石や魚の数を推定する問題が出ます。高校の数学Bでは、標本平均の分布や、母平均・母比率の推定、仮説検定を学びます。

例題1(中学:池の魚の数)

池の魚 30 匹をつかまえて印をつけ、池にもどしました。数日後に 40 匹をつかまえたところ、印のついた魚が 5 匹いました。池の魚はおよそ何匹と考えられますか。

  1. 2 回目に捕まえた 40 匹(標本)のうち、印つきは 5 匹。印つきの割合は 540=18\dfrac5{40}=\dfrac18。
  2. 池全体(母集団)でも、印つきの魚は全体のおよそ 18\dfrac18 と考える。
  3. 印つきは全部で 30 匹なので、全体を xx 匹とすると x×18=30x\times\dfrac18=30。
  4. x=240x=240。

答え およそ 240 匹(比で x:30=40:5x:30=40:5 と立ててもよい)

例題2(中学:不良品の数)

ある工場で作った製品 5000 個から、無作為に 200 個を取り出して調べたところ、不良品が 4 個ありました。5000 個の中の不良品はおよそ何個と考えられますか。

  1. 標本 200 個のうち不良品は 4 個。不良品の割合は 4200=150\dfrac4{200}=\dfrac1{50}。
  2. 母集団 5000 個でも同じ割合と考えて、5000×150=1005000\times\dfrac1{50}=100。

答え およそ 100 個(標本調査の結果なので「およそ」をつける)

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

「標本の割合=母集団の割合」と考えて式を立てれば、推定の問題はスッキリ解けるわ!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

標本はかたよりなく選ぶこと。推定の答えは「およそ○個」だよ。

  • かたよった標本で全体を決める:たとえば「駅前で夜10時に聞いたアンケート」は、その時間に駅にいる人にかたよります。標本は無作為に取り出すことが大切です。
  • 標本の大きさを取りちがえる:100人に聞いたなら、標本の大きさは100です。「標本が1つ」と数えるのではありません。
  • 推定した値を正確な値と思う:標本の平均と母集団の平均は、ふつうぴったりは一致しません。標本が大きいほど、近くなりやすくなります。答えには「およそ」をつけます。
  • 比を逆に立てる:魚の問題で x:30=5:40x:30=5:40 とすると、x=3.75x=3.75 匹という変な答えになります。「全体:印つき=標本全体:標本の印つき」のように、同じ順に並べます。
  • 「無作為」を「てきとう」と思う:自分で好きなように選ぶと、知らないうちにかたよります。くじや乱数を使って、どれも同じ確率で選ばれるようにします。

ことばの由来

母集団の「母」は、「もとになるもの」という意味です。標本を生み出す「もと」の集団なので母集団といいます。標本は、「見本」という意味のことばで、昆虫の標本のように、全体のようすを表す一部を指します。

英語では母集団を population(ポピュレーション、もとは「人口」)、標本を sample(サンプル)といいます。お店の「試供品(サンプル)」と同じことばです。

ミニ問題

問題1 ある中学校の全校生徒 480 人から、くじで 60 人を選んで睡眠時間を調べました。母集団・標本・標本の大きさをそれぞれ答えましょう。

答えと解き方を見る

母集団は全校生徒 480 人、標本は選ばれた 60 人、標本の大きさは 60 です。標本の大きさは「人数」なので、「標本が 1 つ」とは数えません。

問題2 次の調査は、全数調査と標本調査のどちらが向いていますか。(ア)花火の品質検査 (イ)修学旅行に行く生徒の健康観察 (ウ)テレビ番組の視聴率

答えと解き方を見る

(ア)標本調査、(イ)全数調査、(ウ)標本調査 です。花火は調べると使えなくなるので全部は調べられません。健康観察は一人一人の結果が必要なので全員を調べます。視聴率は全世帯を調べるのは大変なので、一部の世帯を調べて推定します。

問題3 赤玉と白玉が合わせて 600 個入った箱から、よく混ぜて 30 個取り出したら、赤玉が 9 個でした。箱の中の赤玉はおよそ何個と考えられますか。

答えと解き方を見る

およそ 180 個 です。標本の赤玉の割合は 930=310\dfrac9{30}=\dfrac3{10}。全体でも同じ割合と考えて、600×310=180600\times\dfrac3{10}=180。答えは推定なので「およそ」をつけます。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

母集団と標本のちがいは?

母集団は調べたい対象の全体、標本はその中から取り出して実際に調べる一部です。標本を調べて、母集団のようすを推定します。

標本の大きさとは何ですか?

標本にふくまれるデータの個数です。100人にアンケートをとったなら、標本の大きさは100です。

無作為抽出とは何ですか?

かたよりがないように、くじや乱数などを使って母集団から標本を取り出すことです。どれも同じ確率で選ばれるようにします。

全数調査と標本調査はどう使い分けますか?

一人一人の結果が必要なときは全数調査、全部は多すぎるときや調べるとこわれるとき、だいたいの傾向がわかればよいときは標本調査を使います。

標本調査の答えに「およそ」をつけるのはなぜ?

一部を調べて全体を推定した値なので、本当の値とぴったり同じとは限らないからです。

母集団と標本は何年生で習いますか?

中学3年の「標本調査」で習います。高校では数学Bの「統計的な推測」でくわしく学びます。

出典・参考

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第3学年 D データの活用(標本調査)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学B(統計的な推測)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦